 | 設計したのは世界的に著名な日本人建築家、坂茂氏
スウォッチAG は10 月3 日、約5 年の施工期間を経て竣工した新社屋(スイス・ビール市)で落成式を執り行った。世界最大級の木材構造建築物となる新社屋を設計したのは、世界的に著名な日本人建築家、坂 茂(ばんしげる)氏。スウォッチAG 社史に新たなページを刻むこの新社屋は、同社の時計のように既成概念にとらわれない設計となっている。 スウォッチ・グループは2007 年に竣工した東京・銀座のニコラス・G・ハイエック センターの建設で坂氏と初めてコラボレーションをして、これに続く2011 年、坂氏の設計がスウォッチ・グループが実施したスウォッチ社屋、オメガ社屋およびCité du Temps(シテ・ドゥ・タン)の設計コンペティションで選ばれた。独創的でありながら実用性も兼ね備えた建築コンセプト、そして各建物において各ブランドの精神を尊重する能力が高く評価されている。坂氏はさらに敷地の文脈も考慮し、プロジェクト全体に反映している。 なめらかに光を反射し美しい曲線を描くスウォッチ本社屋の全長は240 m、幅は35 m、高さは最も高い位置で27 mにおよび、従来のオフィスビルの概念を覆すデザインが想像力を掻き立て、まるで芸術作品のように見る人に建物の解釈を委ねている。一方で、建物を取り巻く周囲の環境にも美しく調和するよう設計されている。 総面積11,000 uの広大なヴォールト形状をしたファサードは、エントランスに向かってゆるやかに上昇し、Cité du Temps(シテ・ドゥ・タン) へと繋がる。建物内外には、曲線、色、透明性など様々な要素が散りばめられており、建築材料も通常とは異なった使われ方をしている。 ファサードをかたち作るのは、木造のグリッドシェル構造。環境への配慮と持続可能性の実現のため選ばれたのが、木という伝統的な素材。自由度の高い建材である木は、極めて高い精度の加工が可能で、これはミリ単位の精度が求められたこのプロジェクトに不可欠な要素となっている。木材を用いることで、設計段階から最新の3D テクノロジーを用い、4,600 に上る個別の木部材の形状と設置箇所を精密に定義することが可能となった。 個々の梁は完璧な精度で組み上げられていて、木造グリッドシェルはオフィス空間の外皮の役割も果たすため、多種多様な技術的要件も満たす必要があった。そのため、各種設備配管のネットワークが木製の梁に直接組み込まれ、ファサード全体に張り巡らされている。 https://www.swatch.com/ja_jp/press/swatchhq/ |
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