| 「手の届く範囲を見る商品。試用して見え方確認を」
【眼鏡記者会共同】独立行政法人国民生活センター商品テスト部は2月4 日、東京都港区の同センター会議室で「眼鏡型の拡大鏡による見え方〜視力・ 老眼などを矯正できるものではありません〜」を表題にした記者説明会を開催。 同センターで見え方などの特性をテストし、結果を明らかにした。瞳孔間距離や焦点距離、プリズム効果など基礎知識の説明もあった。当日、同説明会がNHK のニュースやwebで取り上げられるなど消費者に情報として流された。2015年度以降、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に419件の相談が寄せられたことに応えたもの。 PIO-NETに寄せられた相談は「ぼやけて見える・ピントが合わない」(294 件)、「表示倍率どおりに拡大されない」(91件)、「眼がくらくらした・気分が悪くなった」(41件)といった割合。着用したまま歩行し転倒、骨折したケースもあったという。相談のうち60歳以上からが353件で約9割。男性186件、女性234件。 2017年度が165件で最多だった。 テスト対象となったのはレンズが一 体型のものが17、同分離型が8の計25銘柄。ネットや実店舗で販売されている拡大鏡を集めた。表示倍率は1.6 倍が21銘柄、1.5倍、1.8倍、2倍、記載なしが各1銘柄。東京都眼科医会や東京眼鏡専門学校の専門家の見識を参考にした。 テストはデジタルカメラを応用して行なわれた。結果は、@焦点距離は25〜 51pで40p前後が多かった。A光学上の拡大倍率は表示倍率とほぼ一 致。B全銘柄で表示倍率どおりには拡大されて見えなかった。 表示の調査では、@ネット通販のうち5銘柄は、銘柄名や製造または販売者のいずれも記載されていなかった。 Aネット通販のうち6銘柄にはパッケージや取説に注意表示などがなかった。B表示倍率どおりに拡大して見えるようになるか明確に記載されている銘柄はなかっ た。 消費者へのアドバイスとしては、@眼鏡型拡大鏡は手の届く程度の距離を拡大してみるための商品。歩行などをするときに掛けるものではない。A使用方法・時間に沿って試用して目的に合った拡大鏡であるかを確認。眼や見え方に異常を感じたときは使用中止を。B屈折異常や老眼がある場合は眼鏡などで矯正したうえで拡大鏡を使する必要がある。異常がある場合は眼科医の診察を。 事業者への要望としては、眼鏡型拡大鏡の光学中心距離、表示倍率どおりに見るための方法、試用を促す表示などを求めた。 説明会では「既製老眼鏡は医療機器で規制があるが拡大鏡は雑品なので規制がない。眼を計測して作るメガネと違って光学中心距離が合うとは限らない。靴と同様に、合う合わないは試着してみないとわからない。合わないと疲れ目などの原因になることもある」と し、ネットなどの通信販売に対して疑問を呈した。また「センターに相談されるのは数パーセントであり、ごく一部」とし、より多くの消費者が疑問を持っていることを示唆した。 |
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