 | 更なる飛躍を目指すビジュピコの石部高史社長に聞いた
ちょうど一年前の7月20日、日本唯一の宝飾問屋街・御徒町に、高品質のジュエリーやパールジュエリーをはじめ、2ct以上のハイジュエリーを揃え、『新しいジュエリーのカタチ』として“卸価格”で一般消費者へ届ける「ビジュピコ上野御徒町本店」がオープンし話題となったのは 記憶に新しい。 オープン当初「高額のジュエリーを扱うことで、御徒町全体のイメージアップを図ろうという思いがある」と話したBIJOU PIKOグルー プ代表の石部高史氏に、この一年を振り返ってもらった。
御徒町で一年間商売してみて気づいたことはありますか?
「オープン当初は、予想と反して価格重視のお客様が非常に多く、銀座に次ぐマーケットの大きさを感じました。ブライダル市場においても同じく、価格重視的なブライダルのお客様も多く、最近は特に喜平の需要と供給が非常に大きくなってきています。」と小売販売について語った。一方で卸販売については「仕入れをどんどんしていくような小売店はそんなに多くはなく、委託商売を中心に動いているように思う。うちのお店としては、ほとんど“卸売り”の需要はなかった。それが今の御徒町だと捉えています。」とした。
「御徒町をもっと美しく、もっと夢が感じられる街にしたいと」という考えをお持ちでしたが、その点はどうでしたか? 「御徒町には潜在能力があると感じています。上野−御徒町のマーケットは、業界的に“宝飾の中心”であると実感していますし、お客さんもプロみたいな人がすごく多いです。御徒町駅から自店までの数百メートルの道には、ジュエリーを買いに来る人、ジュエリーを探しに来る人たちが非常に多くいます。これだけジュエリーを買いに来ることを目的とする街は他にないと思います。この上野御徒町本店は、 BIJOU PIKOグループの旗艦店として位置づけており、4月の札幌店、7月の新潟店と新店舗を出しながら、格付けジャ パンの受賞歴を活かしつつ、 全国各地に“御徒町=宝飾の問屋街=良いものがリーズナ ブル”というアピールの強化を図り続けていくと思います。3 月、4月は御徒町も人が少なかったですが、最近は富裕層のお客様が御徒町に買いにきています。購入するものもダイヤモンドか金商品に絞られてきている傾向があります。一年を通してみても、お客様は都内に限らず、全国的に御徒町を知っているお客様が多く、商圏範囲は全国区に近いと感じています。ネット社会によって 御徒町の卸問屋街が良質で安いと明確になりつつありますし、小売店の手前、小売をやっているとは打ち出せないと思います。ファミリーセールという名の小売販売も多いことから、小売が半分以上を占めているような肌感もあります。 他業種と同じように、直売がど んどん進んでいく一方で、良い商材が日本にほとんどなく、海外の商品を含めて、これから良い商材の調達が難しくなっていくと思います。また、国際宝飾展が東京で開催されている期間は、海外のお客さんやユーザーが増える傾向 にあります。国内の宝飾展がある限り、御徒町は伸び続けると思います。それは、宝飾見本市にユーザーを呼ぶからです。見本市の会場には御徒町や周辺の企業が多く出展していますし、『御徒 町で買うのが得だ』と思う人が増えていると思います。ユーザーを入れれば入れるほど、御徒町が得をするのです。 一方で、東京の小売店は大変だと感じるのですが、ネット社会となってからは、価格の差などがわかる人にはわかる時代となりました。それもこの一年で感じたことです。国際宝飾展があるから御徒町に出店した要因も大きいかもしれません。 実際に国際宝飾展の恩恵を受けている出展社もいますし、それが現在のジュエリーマーケットの縮図ではないでしょうか。 遠くから新幹線に乗ってジュエリーを買いに来る人も多くいます。全国的に価格戦略を打ち続ければ、地方から効果が表れてくると考えています。しかし、 残念なことは、大胆な価格訴求だけに、中古商品と間違われることがかなりありました。けれども、ダイヤモンドの価格で例えれば、いつかは世界基準のプライスをお客さんが知る日が来ると思います。ブライダルショップが、ダイヤモンドショップに変わるような感覚では ないでしょうか。御徒町はなんでも揃っていますが、デザイン力は足りていな い。1c t以上のダイヤモンドも、1年で 50pc以上売れる実績があり、今後はもっと増えていくと考えていますし、ハイ クラスのジュエリーの販売も増えていくことに期待しています。在庫を持たない 小売店が多ければ多いほど、私は在庫に良質な商品を増やしていかなければという気持ちになるんです。やっぱり、在庫がないからお客さんがお店に来ないし、在庫があるからお客さんは来ると思うんです。1点豪華主義をどのように御徒町で作っていくかも課題かもしれ ません。御徒町にはまだまだ潜在能力が眠っています。」
御徒町の潜在能力を活かし、ビジュピコとしては今後どのような展開を図っていきますか? 「今後は良い商品、良い商材を調達するための企業努力が問われていくと思います。コロナによって、展示会販売をベースに売上を作ってきた企業は、香港の展示会に出展できなくなったのをはじめ、インバウンドによる恩恵がなくなり、国内の見本市にも出にくくなってきた現状を見ると、必ずしもジュエ リー業界は展示会で利益をたくさん得ていた企業が多かったのではなく、ギリギリの中で会社を維持してきた企業が多いことに気づきます。そのような状況の中で、金の相場が上がり過ぎています。これからは、誰が金の商品を作れるのかという問題もあります。新商品の開発も鈍くなってきています。ますます環境が変わっていく中で、最終的には原点回帰的な本来の店頭販売をやっていかなければ、生き残れないように感じます。自店の強さを外にアピールしていかなければならない時に、大手宝石メーカーが宝飾業界から撤退するな ど、ますます厳しさが増し、業者が淘汰されていくのも時間の問題のように感 じます。SCで低単価商品を販売し、展示会に連れて行くような手法も厳しくな ると予想できますし、今後はジュエリー の付加価値を提案するだけではなく、 動産価値としてのジュエリー、貴金属としての強みを活かすことが大事になると 私は考えています。それに伴い、3月から5月にかけては、断捨離を含め、会社の整理をやってきました。Withコロナとして、コロナと上手く付き合いながら、本当に必要とされる物しか売れなくなると思います。そして小売店の大事さが大きくなっていくように思います。良い商品をいかにリーズナブルに販売していくのかを追求していく考えもあって、 逆に仕入れの部分を拡大していきたいと考えています。また、ネット販売が普及するにつれ、価格の透明性がもっと問われていくと思います。これまでは流通の仕組みが価格に影響してきましたが、価格の透明性を誰が先にうたい始めるのかです。百貨店やインショップが なかなか価格訴求出来にくくある中で、いかに路面店を中心に価格訴求を上手く行えるかなど、企業努力が必要だと強く感じます。今回のコロナで大きく方針を変えるつもりはありませんが、催事ビジネスや催事商材は考え直しなが ら進めていくと思います。」と語った。 さらに「中国でブランドのディスプレイを製造しているメーカーと提携し、小売店に対して、特に集客の提案や企画の提案ができる仕組みをつくりました。 ブライダルに関しては、これからも出店攻勢をしていく予定です。ジュエリーの富裕層に対する戦略は、上野御徒町本店の出店で間違っていないことを確信していますので、スヌーピー、パックマン、テッド、ディズニーなどキャラクター商品を高額ラインでつくり、話題性を打ち出して拡大・強化していきます。ドイツのニーシングとも契約が完了し、9月から動き出せますので、海外のブライダル商品にも力を入れていきます。」とした。 https://www.iprimo.jp/ |
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