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連載コラム 石部イズム

■第1回 〜御徒町編〜 「御徒町から見て」 ■2021年6月1日 火曜日 11時25分31秒

以前、この時計美術宝飾新聞にコラム(「石部イズム」)を掲載してから早15年の歳月が過ぎ、私もジュエリー業界入りして30年を迎えました。
スタートは徳島の畑の真ん中から、今では全国46店舗を構える会社へと変化していきました。
現在は、ホームグラウンドを徳島から東京に変えて約10年が経ち、御徒町に本社 を移して4年目を迎えました。この20年はゼクシィに始まり、ブライダル業界が繁栄させてきたブームにも上手く乗れたように思います。
ブライダルジュエリーの商圏は、東京エリアの中では何といっても銀座、続いて表参道、新宿と主要なエリアで競合他社が多い中、御徒町はというと駅前の老舗店が中心となり平日はカップルが少ないのに比べて、土日にはどのお店も満員状態です。
たまたま物件も見つかり、出店ができる運びとなった御徒町という町は、いわゆる“穴”だということがわかりました。そして連日、御徒町に通う事で、それまでの時折訪れた際に感じていた町の印象とは、かなり変わっていることに気づきました。
それは、卸やメーカーの商売の形が段々となくなりつつあることです。小売店が仕入れをしなくなったことや、小売店の催事応援でも採算が取れないことも要因の一つですが、一番大きな要因は国際宝飾展(IJT)等の展示会にユーザーを動員して、小売りをしていることは言うまでもなく、出展している卸・メーカーも背に腹は代えられない状況で小売販売をしているからでしょう。
また、近年ではアジアのインフルエンサーによるライブ販売が、御徒町でも頻繫に開催されているのを目にします。小売店で重ね売りをしてきたローンが通らないお客様より、新規のお客様ばかりのライブ販売の方に魅力を感じるのは言うまでもないことです。そのため平日はライブ販売、土日はブライダルジュエリーと町は変わってきています。
さらに、卸・メーカー業は小売店にわからないようにファミリーセールなどを行っていますので、今までの仕組みは壊れたも同然です。IJT等の展示会でユーザーがもらう名刺は御徒町5丁目界隈の会社の名刺と甲府の会社の名刺がほとんどだからです。
そんな中、ジュエリーの価格の不透明な部分に気づいた富裕層が、御徒町にジュエリーを買い求めに来ます。 私も2年前にたまたま御徒町駅前の新築ビルが出来るとわかり、富裕層ビジネスの商売を展開することになりました。
そこでびっくりしたのが2カラット、3 カラット、中には10カラットまでも探しにくるユーザーがこんなにもたくさんいるということです。この御徒町という 町は、やはりIJT等の展示会の恩恵を大いに受けていることに気づきました。
ネットやSNSによって情報がいち早く伝わるこの時代に、原価に7倍、8倍と値付けをするような既存のユーザー展示会が果たして残るのか?という疑問だけが残ります。百貨店のジュエリービジネスもあまり変わらないよに感じます。
小売店が仕入れをしなくなり、ユー ザーに重ね売りをして年に何回も展示会を繰り返している会社の先は見えないでしょう。
このコロナ禍で特に展示会は逆風の中、招待するお客様の年齢層も低くはありません。ジュエリー協会もジュエリーコーディネーターの資格の取得を推進していますが、実施されている展示会とでは、ちぐはぐな感じしか伝わってきません。
IJT等で展示されている商品も企画商品をたくさん作っているのはわかりますが、高級品を作っているメーカーが今は非常に少なくなっています。 時計業界も一部のブランドだけが業績を上げ、ほとんどのブランドでは売上が減少しているように感じます。 そこから2点の考えが浮かび ました。
1点目、ジュエリーは中途半端な物ではなく高級品を揃えるお店が勝ち組となる雰囲気ではないか。2点目はメンズジュエリーがあまりにも少ないこと。この2点が今のマーケットにはみつかりません。この2点を中心に商品作りをしていかなければならないと思い、新たな分野の開発に踏み込みました。
以前のブライダルジュエリーブームのように次にくるのは何か?という答えに、この2つは外せないでしょう。(絵・T・B・T代表取締役社長 石部高史)
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