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木村サンの独り言

■ジュエリー業界の負のイメージが見つからない限り発展は難しい ■2017年3月15日 水曜日 11時54分1秒

 弊社は、いま、多くの求人雑誌やネット等で社員の募集を呼びかけています。新卒、中途を問わず、広く門戸を拡げていますが、なかなか思うように、こちらが希望するような人材には出逢うことが出来ません。特に若い世代の申込みは年々少なくなっています。先日、若い人達の就職事情に詳しい方と話す機会があり、色々とお話しを聞かせて頂きました。どうやら我々「ジュエリー業界」や、「保険屋さん」は特に人気が無いそうなのです。業界や、そこに属する企業の業態に「ブラック」なイメージがある事が理由らしく、がっかりしました。 インターネットで「ジュエリー業界」を検索すると、そこで働く「現実」が生々しく公開されています。小売企業についての投稿ばかりですが、検索上位のいくつかのサイトから記事を抜き出してみます。

“内定を頂いた時にはうれしくてたまらなかったのですが、内々定の話を友人や先生方に話すと「ジュエリー業界の将来性は期待できないし、ブラック企業が多い。一部の人間を見て雰囲気に惹かれたから、という理由で判断するのは良くない。」と言われてしまいました。”
“宝石というと特別な考えを持つかも知れませんが、間違いなく分野は「販売員」です。販売員ですから
・自分でノルマを果たすための購入もある。
・商品を身につけろとの指示もある
・残業も棚卸しや、商品入れ替え時は相応にある
・賞与や給与がいまいちだ
・休みは平日だ
小売りの方の知識は、卸などからしたら低いものです。商品魅力と言っていても、恐らく真の業界の事は分からないままに終わります。それが小売りなんです。でもそれで良いんです。それが宝石の小売りなんです。”
“上司は毎日、一定時間に電話を入れて、店内の従業員の売り上げ数を聞いてました。大きなプレッシャーで胃が痛くなりました。大声で怒鳴られることもあって、予告なく店内に来て、辺りを見たわして、お客さんの前で店長に怒りをぶつけていたり、とにかくコワいし、お客さんも、おそらくヘンな店だなと思っていた気がします。”
“1日に数百件も顧客に電話して、今日や明日など、無茶な来店を迫ることをしていました。とてもイヤな気分がして、お客さんもイヤがって怒られたことが何十回もつづきました。顧客リストに入れば、大量のはがきを送ることや、電話をかけまくることも仕事だったし、顧客の数が多いほど上司に怒られなくてすむので、我慢しながらつづけてました。”

 皆さまいかがでしょうか。正直「そんなことは無い」と言い切れない悲しさがあります。これら記事の内容が恐らく世間一般のジュエリー業界のイメージであり、ある意味「世論」みたいなものです。若い人材がなかなか我々の業界によりつかないのもすべて、この「世論」が影響しているのかもしれません。多くの若者達に背中を向けられた時、我々はどのように仕事をし、どんな経営をしなければならないのでしょうか。ジュエリー業界がそんなイメージになってしまった原因を追及し改善しようとすると、現在の「売上」作りの屋台骨が揺らぐことになるのであれば、既に健全な社会から距離を置く存在になってしまっているのかもしれません。今回の大不況で、旧来の仕組みが崩壊し、我々の業界そのものが大胆に構造改革される事を期待すべきなのでしょうか。何れにしても、その答えが見つからない限り、業界の発展は難しいはずですから。
■ブランドは創るものではなく、生まれるもの ■2017年2月21日 火曜日 11時20分15秒
 私の故郷にはうまいラーメンがあります。仕事柄、全国各地を日々回っていますが、北関東、特に隣接し合った群馬県館林、栃木県佐野周辺のラーメンは絶品だと思っています。もちろん、九州には九州の、北海道には北海道の味があるのでしょうが、やっぱり故郷のラーメンには勝てません。我が故郷のラーメンは、ほとんどのお店が自家製麺の青竹打ち麺で、スープは透明感のあるさっぱり味、見た目は喜多方ラーメンに似てるけど、喜多方に比べもっとすっきり味で、いわゆる関東特有の中華ラーメンとも明らかに違います。個人的には毎日食べても大丈夫なやさしい味です。そして店舗数に関しても人口比率にしたら他の地域を圧倒する店舗数と聞いております。そのほとんどが自家製麺の個人店ということも特徴です。一説には、人口1万人当たりのラーメン店舗数が10店を超えているとも言われています。ちなみに札幌や福岡市は3店、日本一と言われる喜多方市でも9店だそうです。私のお袋の実家も隣接する板倉町でラーメン屋でした。でも以前から悔しく思っている事があります。「佐野ラーメン」という名称です。我が故郷の館林周辺(佐野・栃木・足利等々)、皆、同じスタイルのラーメンが食べられるのですが何故か「佐野」だけ有名になっちゃったのです。館林は「ラーメン」より「うどん(乾麺)」が有名になっています。我が故郷は天与の気候風土に恵まれ、小麦の一大産地となっており、麺類が有名になるのは自然の流れなのですが、この「佐野ラーメン」という言葉が個人的には残念でなりません。館林にも「うまいラーメン屋さん」はあります。佐野にも負けていませんし、館林市民が食べている麺は「うどん」というより「ラーメン」だと思います。なぜ「佐野」なのか。実は数年前に地元のいろいろな人に聞いて、あっけなく理由が判明しました。その理由は「ゴルフ」だったのです。佐野周辺には古くからゴルフ場がたくさんあります。東北自動車道で都心からわずか60分足らずの佐野藤岡インターチェンジのまわりには思いつくだけで10カ所以上ゴルフ場があるのです。実はこのゴルフ客が口コミで「佐野にはうまいラーメンがある」と広めたようなのです。例え隣接している地域といえども人々はインターチェンジの名称となっている「佐野」でゴルフをしてきたと喋ります。よって「佐野ラーメン」だけがブランド化されたそうなのです。すごい事ですよね。やはり複合的な要素が口コミを広げるエネルギーなのですね。ブランド化という言葉は我々の業界でも多々耳にします。「商品」「店舗」「人材」すべてにおいて「ブランド」という付加価値を皆追い求めています。昔から「商品」は工場で作られ、「ブランド」は人々の頭の中で創られると言われます。商品の作り手や売り手自身が、自社商品をブランド化するためにはかなり専門的なプロセスと辛抱強さが求められるのです。やはり、ブランドは創るものではなく生まれるものなのかもしれませんね。
「佐野ラーメン」がブランド化されて以降、多くの新しいラーメン店が佐野には誕生しました。でも地域の人々が足蹴に通い続けるのは、古くから営業しているお店ばかりです。我々の業界では「ヒット商品」がひとつ誕生すると多くのメーカーが相乗りします。一時期はダイヤモンドのペンダントの多くが3石縦つなぎになった事象が思い出されます。多くの結婚指輪に物語やひとつひとつの名称が付けられました。ブランドを構成する要素に同じ舞台で相乗りするなら、人々の心に大きく響く斬新さや付加価値がなければ「本物」とは認めてもらえない事を皆、わかっているはずなのに。さてさて、我社の商品達と「館林ラーメン」は、どうやったら広めてもらえるかなぁ。
■ダイヤモンドの「輝きの数値化」は、賛否両論在るにせよ、大きな判断要素になる ■2017年1月13日 金曜日 15時56分27秒

長年4C頼みだったダイヤモンドの評価を、ダイヤモンドの本質とも言うべき「輝き」に注目して新たな評価基準のひとつにする取り組みには興味がそそられます。10年近く前にラスベガスのJCKでダイヤモンドの輝きを測れる機器を初めて体験しました。思わず興奮して、出展ブースにいた担当者を質問責めにした覚えがあります。最近は、本誌でもたびたび取り上げられ、だいぶ身近になったんだなぁと注目しております。計測機器そのものを購入したいですが、なかなか難しそうです。今後のダイヤモンドマーケティングに大きく貢献してくれる素晴らしいツールなので、自分達でも容易に所有できるようになったら良いなぁと思っています。
 マーケティング上、販売する商品の付加価値をわかりやすくすることはとても大切なことです。ダイヤモンドには様々な付加価値がありますが「輝き」に勝る価値はありません。普段ダイヤモンドと接する機会が少ない一般の消費者の皆様には、その輝きの違いを明確に判断するのは、なかなか難しいと思います。宝石店の中では強いスポットライトに照らされ、ダイヤモンド本来の輝きを体感することは難しいのです。そんな状況の中で「輝きの数値化」は、賛否両論在るにせよ、大きな判断要素になることには間違いありません。料理の味と一緒で、ダイヤモンドの輝きにも人それぞれ好みはありますが、輝きの「強さ」という素質は誰もが長所として認める視認要素に間違いありません。
 健康商材はどうでしょう。使用する事で得られる健康効果が最大の付加価値になりますが、ここ数年、我々ジュエリー業界の現場を潤してくれた水素水グッズは昨年末から厳しい批判を受けています。国民生活センターが「水素水関連商品について調査したところ、ほとんどの商品が表示よりも溶存水素濃度が低かったか、あるいは完全になかった」として、調査対象となった商品の写真とともに発表したからです。また、対象となった事業者には、健康保持増進効果があると受け取れる表記をやめるよう要望が出ました。
 私は芸能に疎いので詳しくはわかりませがインターネットのニュースを読むと、水素水ブームの立役者である有名な女性芸能人でさえ「自分は無関係」と背中を向けているみたいですね。たしか「わたしの美貌の秘訣」的な取り上げられ方をしていましたが、御上のお達しには逆らいたくないご様子です。
 販売店様は商品を販売した手前、女性芸能人さんと同じような反応は出来ないはずですが、消費者のために誠実な対応をお願いしたいです。今回の騒動の発端は「含まれる水素の量」や「誇大な健康効果の表記」のようですが「使ってみたら良かった」というお客様も少なくないはずですから、けして卑屈になる必要はありません。もともと医療機器では無いので効能云々ではないと思います。買っていただいたお客様が納得できる説明や対応さえ受けられれば、そこは長年のお客様がほとんどだと思いますので、培われた信頼関係で解決できるはずです。
 ダイヤモンドの「輝き」と、水素水の「健康効果」を比較するのはだいぶ無理がありますが、商品の付加価値は、売り手の信用と、その価値を生み出した先人たちの努力、さらには揺るぎない信念と真実が「価値の基盤」になっていると思います。付加価値が大きな特徴となる商材を扱う時は、その価値の定義をしっかりと把握し、強い自信を持って関わるべきです。「難しいことはわからないけど他店で売れているらしいから」という理由だけで導入するのは、結果的にお客様との信頼を裏切る場合もあるのではないでしょうか。我々が扱う商品は「知らなかった」で済むほど安価なものでは無いはずですから。
■若者達の成長こそ、企業の生命線と言っても過言ではありません ■2017年1月13日 金曜日 15時55分21秒

明けましておめでとうございます。クリスマス商戦、年末商戦は昨年以上に静かで厳しいものでした。ジュエリー需要は何処へいってしまったのでしょうか。昔、クリスマスプレゼントで本命の彼女に「ジュエリー」を贈るとなると、まだ二十歳そこらの私の頭には「ティファニー」が思い浮かんだものでした。しかし、現在は「4℃」や「スタージュエリー」などのアクセサリーが主役のようですね。単価の違いは歴然で、その差が我々の業界の「いま」を表しているのかもしれません。若者たちにとっての「ジュエリー」とは、実用的で背伸びすれば手の届くアクセサリーのような存在になってしまったのでしょうか。インターネット上では「4℃」や「スタージュエリー」のことが「ジュエリー」と呼ばれ、「ティファニー」などは「高級ジュエリー」と区別されています。 
学生時代、我々の憧れは「自分のクルマ」でした。友人達もクルマが欲しくて、みんなバイトに励んでいました。クルマの雑誌を買って、将来を夢見て読みあさっていました。若者たちのクルマ離れが叫ばれる中、新成人に車についての価値を尋ねると、60%もの若者達が「単なる移動手段としての道具」と回答したそうです。あの頃の我々が裕福だったとは思いませんが、厳しい社会環境と世の中の雰囲気が、若者たちを、より実用的な世界へと誘っているとしたらさびしいものです。2013年厚生労働白書「若者の意識を探る」によると、新入社員の働く目的として「経済的に豊かになりたい」よりも「楽しい生活をしたい」と思う若者が2000年頃から急増したそうです。そこには「モーレツ社員」なんて言葉は完全に死語になった現実が見て取れます。
 新年早々、偏見と言われて批判されそうですが、私が考える若いスタッフのイメージは「夢ではなく現実の世界をしっかりと見つめながら、自分達の世界観は広げたりしない。特別でなくても、豊かで“普通の生活”があたりまえならば、仕事も一定の範囲を設けて、その中で精一杯頑張る」といった感じに思えます。ジュエリー業界はいま、完全に若者不足です。特に小売の現場では若いスタッフさんがなかなか根付かず、経営者や店長さんは本当に苦労されています。業界や企業の健全な発展には絶対的に若いエネルギーが必要なんですが、どうも我々の業界は若者達には不人気のようです。「クルマ」や「労働意識」を取り上げたりして回りくどいかもしれませんが、若者たちがジュエリー業界を嫌う理由は、業界内の誰もが心当たりあるのではないでしょうか。我々の業界は中小企業が殆どでメーカーや商社は休日出勤、長期出張あたりまえ、小売ではジュエリーアドバイザーというより人集め戦闘員のようです。ある現場では昔を知りすぎているベテラン経営者が若いスタッフ達に「あの頃の成功事例」を繰り返し説いて「売上」の低迷を現場の努力不足と声を荒げる場面に出会したことがあります。売上不振も深刻ですが、若者達が育たない業界では「未来」さえ無くなってしまうのです。せっかくの不況で、ジタバタしても売上なんて上がる事もないのですから、業界全体で「世代交代のススメ」なんて難しいテーマに時間をかけて向き合う1年になっても良いのではないでしょうか。
 若いスタッフを「雇う」「育てる」というのは根気と経費のいる大仕事ですが、売上作りに匹敵するほど重要な仕事だと思います。若いスタッフが多い弊社は若者達の成長こそ、企業の生命線と言っても過言ではありません。多くの試練を乗り越え、業界内の淘汰にも勝ち抜き、共に生き抜ける1年にしていこうではありませんか(笑)。本年もよろしくお願い致します。
■この業界に「信用」「信頼」というキーワードが無くなりつつある ■2016年12月27日 火曜日 14時58分15秒

いま、我々ジュエリー業界の大きな問題は、間違いなく「売上」の確保です。この切実な状況は、誰もが挨拶のように口にします。当然、他人事ではなく私自身にとっても厳しい状況で1日1日がとても大切になっています。出張のバランスを間違うと大変な売上不足に陥ります。本コラムで私自身が度々問題視している展示会にもせっせと参加させて頂きます(笑)。もはや、自分が理解している範囲だけの数字が総てなので、全国を飛び回って必死に頑張っていますが、現場の疲弊は急速に進み、その「波」にさらわれないように自分達の足元を固めるのが精一杯というのが現状です。
 世の中の景気は緩やかに回復してるはずなのに我々のまわりでそれを感じることが出来ない事が大問題なのです。今年の夏前にティファニーが発表した2016年2〜4月期決算は売上高が前年同期比7%減、純利益は17%減、既存店売上高も9%減ったそうです。主力の米州が低迷し、欧州やアジア太平洋も不振だった半面、日本だけは増収を確保したのです。日本の売上高は8%増で、既存店ベースでは12%増、卸売りは苦戦したが、直営店が堅調だったと発表されました。ティファニーは、「日本人の消費者が売り上げ増をけん引した」とコメントしています。
 何かと好調と言われるアジア地域の中でも前年期増は日本だけと聞かされると強い違和感を感じてしまいます。もちろん、ティファニーの数字はジュエリーが全てではありませんが、日本の消費者がティファニーにイメージするのは確実に「ジュエリー」と言えるでしょう。日本でジュエリーは、いま「売れる」のです。
 卸売りは苦戦したという点も気になります。日本人はティファニーの看板を背負った直営店には足を運んだようですが、同じティファニー商品であっても、卸された先には足を運ばなかったという現実が不安をかき立てるのです。考えすぎかもしれませんが日本人が大切にする「信用」「信頼」というキーワードがティファニー以外の多くの宝石店から失われつつあるとしたら、悲しすぎますね。
 様々な席で自分がジュエリーメーカーの社長だと言うと業界外の多くの人々に「いま、大変でしょう」と言われてしまいます。「景気が冷え込めば直撃を受ける業界」「衰退業界だから儲からない」というイメージが大方の見方なのでしょう。経済の一般常識を理解している人々であれば誰もが意識する「儲からない業界」。それが我々の業界なのです。
 以前、ネットのニュースで読ませてもらった事があるのですが、新しい競合が出現するリスクの少ない閉ざされた環境の中で、ナガホリさんと桑山さんは業界再編の旗手となって積極策を進め「残存者利益」を獲得していると書かれていました。つまり、例え、悪いイメージでちっぽけな市場でも、保守的な環境の中でシェアを独り占め出来れば、しっかりと儲かりますという論理です。最も、獲得したシェアに見合う企業規模が維持されればの話でしょうが。
 株価が上がり、円安も進んでいます。それなのにジュエリー業界はますます厳しさが増す様相です。そんな中、シェアを広げ続ける「卸」の両横綱はますますパワフルになっていくのでしょう。売上不足に苦しまないために、適正な淘汰が必要とすれば「卸」が2社なら、「小売」は何社で、「製造」は何社くらいになるのか、その青写真は既に、業界人の頭の中では完成間近なのかもしれませんね。
■“飯田の皆様と絆を深め、「安心」と「本物」と「笑顔」をお届けします。” ■2016年11月24日 木曜日 13時14分58秒

 多くの業界の皆様がよくご存知の通り私は長年、健康ジュエリーを販売しています。弊社は健康ジュエリーの存在なしには現在のポジションに立つことは無かっただろうと断言できます。だからこそ、健康ジュエリーに対しては深く鋭くこだわって製造販売を続けさせて頂いております。気が付けばおよそ20年間、健康ジュエリーに関わりすぎて様々な知恵を得ることになり、いつの頃からか「木村は健康商材に詳しい」というイメージまで背負うことにもなりました(笑)。それを自慢するつもりも否定するつもりもありませんが自分が知っていることであれば様々な質問や相談には応えるようにしています。最近、大変多くの仲間や取引先様から「水素水」について聞かれます。水素水について初めて色々意見を求められたのは5、6年くらい前からだと記憶しています。最初の頃は今ほど業界を席巻していなかったので、若干無責任な応え方をしていました。「水素分子の水に対する飽和状態(これ以上溶けない量)は一般的には1.6ppmだから、それ以上と広告してあったら、ちゃんとそのメーカーさんに質問してみたら」なんて感じです。1リットルの水に1.6mgですから、そんなわずかな水素に何ができるのかというのが自分自身の見解だったのです。溶存水素量は水温によって変化します。水温が上がると溶解度は下がり、水温が下がると溶解度は上がるというのが学生時代の常識です。一般的には1.6ppmとは常温(おそらく20℃)だと思われますので夏の時期、水道水の水温が上がれば溶存水素量はさらに少なくなると話したこともありました。ところが「沸騰させても水素が残る!特許も取得」なんて商品まで出てきて、私の知識レベルを遥かに超えた世界になってしまったので、そのあたりから多くを語ることをやめることにしました。水素水を愛用する多くのお客様から「使って良かった」という感想をお聞きします。それがすべての「答え」なのですから。
 今回の水素水や、ちょっと前のゲルマニウムブームの時もそうだったのですが、昔の自分達の事を思い出します。発売当時、弊社健康ジュエリーがマイナスイオンジュエリーと宣伝されていたため、マイナスイオンブームの時には散々たたかれました。マスコミに好き勝手書かれ悔しくて眠れない夜もありました。その時、負けず嫌いの私は奮起し徹底した理論武装をはじめたのです。ふと気がつくと我々の身の回りからマイナスイオン商材はほとんど消えていました。様々な異論に耐えられなくなった商材達が次々と消えていったのです。出る杭は打たれます。水素水を取り扱うのであれば、その発売元のこだわりや情熱に注目すべきです。叩かれて消えていくような商材を扱えば、お店の信用に傷が付きます。先日、長野県飯田市にあるT社という老舗小売店様で感動的なスローガンを聞かせて頂きました。T社は創業100周年の企業であり、スタッフの皆さんのモチベーションも高く、エネルギッシュで素晴らしいお店です。地域密着の模範企業のようなお店で、徹底した地域貢献サービスを追求しているように見えました。以前、本コラムで書かせて頂きましたが「地域密着」こそ、これからの「小売」が生き残るための重要なマーケティングなのです。
“飯田の皆様と絆を深め、「安心」と「本物」と「笑顔」をお届けします。”
なんと、美しいスローガンでしょう。胸にジーンときました。
 大変厳しい時代ですから、健康商材も上手に活用すべきと考えます。しかし、「安心」「本物」「笑顔」という価値観だけは絶対に忘れるべきではありません。地域とともに発展し生き残るためにも、地元の皆様に胸を張って自信を持っておすすめできる健康商材を選ぶべきではないでしょうか。

■付加価値を武器に出来る商材と企画を探してみてください ■2016年10月18日 火曜日 16時24分22秒

先日、ジュエリー業界で働いている若い読者から、声を掛けられた。
「木村さん、コラム読んでますよ。業界の悪口ばっかり書いて、書きっぱなしで、解決策も書いてないですよねぇ。」と、笑って言われてしまった。俺ってそんなに無責任と思われているのかなぁって悲しくなってしまいました。
 私は解決策へのプロセスとして「理想の宝石店とは何か」という大命題を模索し続けるコラムにしたいと思っています。やはり、それが業界全体に求められる生身の姿のように思うからです。
 話はだいぶ変わりますが、今月のはじめ、福島県にあるお布団屋さんの催事をお手伝いさせていただきました。お布団業界には「西川ふとんチェーン」という組織があり、全国各地の有力なお布団屋さんが名を連ねています。その旗振り役が卸売元である「西川産業」さんで、今年は創業450周年になるそうです。
 以前のコラムでも触れたことがありますが、20万円、30万円、40万円、、、もっともっとその上、50万円や100万円と値が付いた高級お布団がポンポン売れるのです。そんなお布団を買うことが出来る顧客を催事会場に呼ぶことが出来るお布団屋さんも素晴らしいのですが、それら高級お布団を専門家として説明、接客し、売り切ってしまうスタッフさんや西川産業さんからのお手伝いさん達が本当にスゴいと改めて感心しました。
 みなさま、アイダーダックの羽毛布団ってご存知ですか。アイダーダックは、アイスランドやグリーンランドの北極圏の海岸線にだけ生息する希少な海洋性水鳥で、厳しい寒さに耐えるため、その羽毛は希少性と比類のない品質から羽毛の王様と称されています。このアイダーダウンを使った羽毛ふとんは100万円以上するものもあるのです。そんな高級布団が、公民館のような地方の催事会場で売れていきます。普通の格好をした普通の人々が買っていくのです。お客様が会場に入ってくると必ず接客の担当者がひとり付きます。アイダーを買ってくれそうなお客様は、朝礼の時点ですべてのスタッフが知らされており、対象となるお客様には決まり事のような接客が始まります。必ずお布団を体験してもらうために寝てもらって、お客様は、横になった状態でゆっくりと丁寧に説明を聞かされます。長い時間をかけて、体験もしてもらって、その気持ちよさに納得して頂いて買ってもらうのです。こちらが感心するほどの専門知識を連呼し説明する姿はまさに「眠りのスペシャリスト」です。
 景気が云々関係なく高級羽毛布団は、私の目の前で売れていました。こんな高級羽毛布団を買える顧客は全体のほんのひと握りに間違いありませんが、そのひと握りの人々を市場の中でしっかりと探し出し、育て、信頼を勝ち取って販売につなげているのです。理想の宝石店を語る上で重要なヒントは、まさに、そこにある気がします。高級羽毛布団のように「付加価値」を売る理想の宝石店には、お布団屋さん同様に「深すぎる専門知識」「選び抜かれた顧客」「自信とこだわり」が必須だと思います。お布団屋さんに出来て宝石店に出来ないわけがありません。どうかみなさま、付加価値を武器に出来る商材と企画を探してみてください。必ず我々の業界にも転がっているはずですから。
■挑戦することへの瞬発力さえ忘れなければ生き残れる ■2016年9月16日 金曜日 16時21分41秒

円高は心配ですが、世の中、景気はそんなに悪くないらしいです。しかし、ジュエリー業界の景気はあまりよくありません。特に8月は本当に悪かった。私を含め、仲間たちの多くが悲鳴をあげております。去年よりも明らかに厳しい空気です。
 岡山では、業界の皆さんがよくご存知の問屋さんが経営破綻しました。仲間は減る一方ですね。その問屋さんは昔ながらのルートセールスをあきらめ、企画提案、チラシ展開、催事応援に大きくシフト変更した商社さんでしたが、うまくいかなかったようです。いわゆるイベントビジネスは、そう長続きするとは思えません。少なくとも、問屋さんの下に入って、イベントそのものをお手伝いさせて頂く「メーカー」やデザイナー達は、連戦連敗で限界寸前の状況にまで追い込まれています。
 催事応援のウェートが大きくなると、売上が読めなくなります。まさに「時の運」で、経営計画もたてられなくなってしまうのです。「去年はこれくらい売れた催事だから」という予測要素は、年々当てにならなくなっています。そうなると、会社の運命は世の中の「空気」に従うしかなくなるのです。
「景気が悪くなったので会社が潰れました」といった展開を仕方のないことと考えるのであれば、今のうちにあきらめて会社を整理した方がよいと思います。今以上によい空気には、今後10年は絶対にならないですから。傷口を浅く済ますなら、今ですよ。
 業界の仲間みんなが、これからもっと悪くなると言っています。「厳しい」なんて言葉は聞き飽きました。それでも不思議な事は、時代はどんどん厳しくなっていくのに「商い」のやり方はまったく変えようとしないことです。相も変わらず展示会販売を重ねて、売り上げつなぐやり方だと思います。この5年間でどれくらいのお客様が消え、どれくらいの新しい顧客を創ることができたのでしょう。恐らく、圧倒的に減少の幅の方が多いのではないでしょうか。昨年の今頃、いや、ヘタをすると5年前の今頃とまったく同じことを、同じやり方で「今の時代」を過ごしているのではないでしょうか。5年前と今ではジュエリーの売れ方はまったく違っているはずなのに。
 年々悪くなるのにやり方を変えなければ益々悪くなるに決まってますよね。もちろん「どうしてよいかわからない」という事情も理解できますが、こんな時こそ勇気を持って「経営とは挑戦する事である」と心に言い聞かせることも大切な気がします。極端に「変化」を嫌う我々の業界ではありますが、時代のリスクも背負いながら、業界全体で、もう少し暴れてみませんか?リスクを恐れて、時代の流れに身を任せていても、どうせジリジリ追い詰められるだけですから。最も大切なのは、市場規模に見合った企業規模。以前から、このコラムで「小売業」は「小さくあるべき」と書かせて頂いていますが、今こそ、その重要性が高まってきました。さらには、地域や地元に密着する情熱、ジュエリーのプロとしての品格と人間力、そして何より、挑戦する事への瞬発力さえ忘れなければ生き残る事は難しい事ではないと考えています。そうやって、頑張っているジュエリー業界の仲間は、皆さんが思っているほど少なくないのですから。
■上田宝飾時計店店主が愛される理由は、人柄だけでなく揺るぎない信頼があるから ■2016年8月23日 火曜日 16時25分20秒

長崎県島原市は美しい自然に囲まれた小さな街です。江戸時代、城下町として栄えた島原も、現在は過疎化を心配しなければならない静かな田舎町になってしまいました。観光の目玉として再建された島原城も観光客があふれるわけでもなく、普段はひっそりと佇んでいます。その島原城にほど近い、静かな商店街に上田宝飾時計店はあります。商店街と言ってもアーケードや人通りがあるわけでもなく、一方通行の狭い道路沿いに数軒の商店が点在するだけで、普段はかなりひっそりとしています。都市部への交通の便も悪く、島原半島の中心に位置する陸の孤島のような立地です。
 上田宝飾時計店の上田三生(うえだみつお)は、若くして他界した父の跡を継ぎ社長になったそうです。私と同年代で、背は小さいが体重は私を大きく超えています。大きなお腹をぶるんぶるんと振るわせながら20坪程の店内を忙しく動き回る姿がとても印象的です。街の人々にとって大切なお店となっていて、宝飾に限らず時計の電池交換や修理、メガネ、役所や学校の名札やトルフィー、記念の楯等々、様々な理由で多くの地元の人々が彼を訪ねてきます。
 特筆すべきは彼の人柄です。これがまた憎めない男でいつもヘラヘラしています。ヘラヘラと言ってもいたって真面目で、地元の様々な活動に顔を出し、若手のリーダー的な雰囲気も併せ持つしっかり者です。夕刻、彼と地元の呑み屋街を歩くとあちらこちらから声がかかります。「おーい、みつお〜」。呼ばれて挨拶をし、少し歩くと、またまた知り合いに出会います。なかなか目当ての呑み屋に辿り着けません。この小さな歓楽街は彼のホームグランド、彼曰く「週5は呑んでる」といった具合です。「週5、地元の仲間と本気で絡んでいる」と言うことらしいですが「商い」には常に真摯に向き合っています。しかも貪欲に新しいことにもチャレンジします。若い経営者や跡継ぎ候補となると、家業は両親やスタッフ任せにして、JCや街の活動だけ一生懸命頑張ることを「仕事」と勘違いしてしまう人も多いが、彼は完全にそんな人々と一線を画しています。子ども達の行事やイベントの為にお店を空ける事も嫌い、とにかく、定休日以外はきっちりお店を開けて自分自身が店頭に君臨します。だからといって家族と距離を置くわけでもなく、特にふたりの娘達への愛情の注ぎ方はいつもトップギアである(笑)。彼は年に一、二度、ダイヤモンド相談会というイベントを我々とともに仕掛けてくれます。その時、私は「上田三生ルート」の凄さにいつも感銘を受けるのです。上田三生がバドミントンサークルで知り合った仲間、上田三生の呑み友達、上田三生の昔からの知り合い、上田三生の先輩後輩同級生、上田三生のJC筋等々、とにかく様々な接点で上田三生に関わった老若男女が上田三生に会いに来て、ダイヤモンドの話を真剣に聞いてくれます。いつもの常連さんではなく、毎回毎回、前回とは違う出逢いがそこには生まれるのです。そしてダイヤモンドはしっかりと売れていきます。プロポーズ、奥様へのプレゼント、自分用、その用途は様々ですが、上田三生自身が深く関わり、ダイヤモンド需要がありそうと判断された仲間達にお声がけしているので成約率も自然と高いのです。けして広くないお店はたった数人の来店ですぐに一杯となり、笑いに包まれる。上田三生が「買ってください」と言っている姿はあまり見かけません。もともと展示会的なイベントはほとんどやらないため、普段と変わらない、いつもの雰囲気の中でいつの間にか商談が進む感じは、私の文章力ではうまく表現できません。
 彼は大きなお腹とおへそが見え隠れするTシャツに髭面といった風貌で店頭に立ちます。それが、地元の人にとっては接しやすい雰囲気のようです。お店に行けば必ず彼に相談できるという安心感がお店のいちばんの魅力かもしれません。彼が地域に愛される理由は人柄だけでなく揺るぎない信頼があるからであり、お客様も「みつお」という名前を連呼して慕い続けている。
 ありがたいことに、我々の取引先には、上田宝飾時計店のような地域で輝くお店は少なくありません。しかし、厳しい時代、地方の多くの小売店さんは常連客の高齢化や売上の減少に頭を悩ませています。売上が作れないからダメもとでもイベントを濫発する悪循環はメーカーの赤字出張を急増させ、業界構造を揺るがす危機的問題にもなっています。しかし、市場規模に見合った商いで地域密着を貫き通し、地域の中で自分自身の存在感を確立出来れば、特定顧客の固定化や衰退は防げるということを上田三生はいつも私に見せつけてくれるのです。地元で生き抜く決意と、地元の期待とともに増え続ける彼の体脂肪は(笑)、地域に支えられて地域と共に輝き続けるに違いないと思います。
■メーカーの愚痴と取るべきか、業界の危機的な問題と取るべきか ■2016年6月14日 火曜日 11時17分48秒

 今回は、メーカーの愚痴と取るべきか、業界の危機的な問題と取るべきか、本コラムを読んで頂く皆様に判断はお任せします。
 私はメーカーです。問屋さん経由で小売店さんの展示会に出ることも多々あります。弊社はブライダルなんかもあってまだ恵まれている立場ですが、一般的に業界全体で普段の商売(在庫仕入等)が消極化してしまったため、展示会に呼んで頂いて自分たちの商品を直接お客様に売り込むしか売上げが作れない時代が続いています。しかし、その展示会の売上げも少しずつ悪化しているため、展示会に出るだけ「赤字」という場面も増えてきました。
 展示会場には中間問屋さんが集めたたくさんのメーカーが参加します。参加メーカーが増えるほど、自分たちの売上げ比率は下がっていきます。わずか数点の売上げしかなくても出張自体を「黒字」にするためには、ひとつの商品にたくさんの利益を乗せなければいけません。
 最近感じるのですが、他の要因もあるとはいえ、展示会場内の商品価格は明らかに高騰しています。値引き等の対策かもしれませんが、いまや、百貨店や呉服屋さんより展示会場のほうが高かったりもします。昔は主催する小売店さんからクレームが出たりもしましたが、最近はどんな感じなんだろう。とにかく高いと感じます。これって業界不信につながる気がして辛いです。
 何年か前に全国チェーンの大手家電量販店で、ヘルパーと呼ばれるメーカー社員達が、店頭応援させられている事が問題になりました。無言の圧力で、ヘルパーを出さないと商品を売って貰えなくなる雰囲気を創り出し、強制ではないものの各メーカーから人を出させた事が問題となった記憶があります。
 先日、とある小売店さんの展示会場で、ふとそんな会話になりました。メーカー仲間達は自分たちの立場を家電量販店のヘルパーにダブらせていたのでしょうが、いまいちかみ合っていませんでした。その展示会は地元有力宝石店主催でホテルのホールを借り切り、お客様を招待して盛大に行われたものでした。商社さんが窓口となり、その商社さんからお声が掛かったメーカー達が「ヒト」と商品を協賛して行われるいつものスタイルでした。私は商社さんとは関係のない、直接取引の参加でしたので少し立場が違ったのと、弊社は健康ジュエリーの販売応援でしたので、高額品にはならないにせよ販売点数が多く目立っていたため、会場内のメーカー仲間達から頻繁に声をかけられました。「最近どうですか?」ってみんな話しかけてくるのものなんですね。こちらから聞いてもいないのに「最近の展示会はみんな赤字だよ」とか、「せめてアゴアシ(交通費と宿泊者)くらい問屋さんか小売店さんが出してほしいよ」とか、「赤字にならないように値段は上げるしかない」「今月も休みなしだよ。子供の運動会にも出られないよ」なんて事まで。グチりたい気持ちはよくわかりますが、嫌なら展示会に出なければ良いのです。力のあるメーカーやデザイナーさんは最近自分達が参加する会場を選んで選り好みしています。売りが見込めなかったり、悪い噂があるような小売店さんの催事には参加しません。今後はもっともっと選り好みが激しくなるでしょう。とはいえ、多くのメーカー仲間は会場を選ぶなんて出来ません。しかし、ここへ来て、その慣例も限界に近付いている気がします。
 もしも、メーカー仲間達が展示会をボイコットするようになった時、我々の業界はどうなってしまうのでしょうか。そして、それは現実となるのでしょうか。私は「いま、そこにある危機」と思えてならないのですが。
■催事予定は来年夏〜秋くらいまで埋まっているが、売り上げ達成は! ■2016年5月16日 月曜日 13時23分46秒

 プロ野球には「助っ人外国人」という言葉があります。メジャーリーグで活躍し、選手としてのピークを過ぎようとしている選手を日本に招聘して即戦力として期待します。バッターなら主軸で4番候補。ピッチャーなら先発の柱となりエース級の実力を持った選手やストッパーとして信頼出来る選手。各球団のスカウトの目に留まった彼らは、その期待を背負って来日し、シーズンを闘うのです。
 マスコミもファンの心を過剰に煽ります。「メジャー通算○本塁打の強打者入団!」とか、「ついに本物のメジャーリーガー来日」とか、私を含め野球ファン達は、その過剰な言葉に踊らされ、シーズン開幕を心待ちにするのです。
 そして、シーズンが始まると、助っ人外国人達は、プロとしての厳しい審査が待っています。私が個人的に考える過去最強助っ人は、阪神タイガースファンに「神様」と言わしめた伝説の人、ランディ・バース選手です。いまでも、掛布選手、岡田選手と共に「バックスクリーン3連発」を記録した1985年シーズンは、関西の阪神ファンにとって夢のようなシーズンだったはずです。でも、バース選手のような助っ人が出現することは極めて希です。文化や歴史の違う日本という国で活躍するには、実力だけでなく「運」や「人間性」、さらには「環境適応能力」も問われます。
 結果的に、入団したものの、試合に出られない選手だったりするとシーズン途中にクビ、例え試合に出続けたとしても、他の日本人選手と同等の実力程度で一般的な選手だったりすると、シーズンオフには日本を去っていくのです。
この「助っ人外国人選手」のようなプレッシャーを、私は、全国の弊社取引先様が主催するジュエリー展示会場で感じています。「木村社長が来るから売れる!」という期待に応えなければいけないからです。いや、正確には「売れて当然」といった空気さえ感じます。もし、接客や売上高が期待通りでなく「普通」だったりすると、弊社以外のメーカーに取って代わられる事だってあるはずです。まさに助っ人選手ですね。もちろんプロとして最大限の努力で望みます。おかげさまで週末を中心とした催事予定は来年夏〜秋くらいまで参加要請を頂いております。今のところ現役選手として使ってもらえているようです。
成功した助っ人外国人選手は、日本で現役を引退する場合と、日本での実績が評価されてメジャー球団に移籍する場合があります。我々はと言うと、引退はあってもメジャー移籍はありませんね(笑)。展示会販売というマーケットに大きく開けた未来は感じないので、とにかく「いま」を必死に取り組むだけです。このコラムの読者の方からよく言われることがあります。
「木村さんはコラムでは展示会を否定したり批判しているくせに、自分は展示会販売で儲けているじゃないかっ!」
 確かに、その通りです。展示会販売は弊社の売上の大きな柱となっています。先日、仲の良い同級生の息子が「大学受験なんてくだらないっ!」と親子げんかをしたそうです。その息子さんも生まれたときから知っている子で仲良しだったのでメールしました。「○○君、大学受験なんて確かにくだらない。でも、そのくだらない事さえやりきれない人はもっとくだらないぜ。大学受験をひと通りやってみて、結果を出してから大学受験を批判するなら私も○○君を応援するけど、出来もしないことを批判するのは負け犬の遠吠えだよ」。
 適切な表現かはわかりませんが、とことんやらないと何も言えないのです。もちろん、会社を守り、取引先様にも喜んで頂きたくて展示会に参加しています。完全に「私欲」のためです。私が使えるほとんどの時間は、そんな事に使っているのかもしれません。でも、それが私が出来る「いま」であり、未来を測るための指標になっているのです。多分、こんな生活があと数年は続くはずですから。
■展示会の売上でなく、店頭での売り上げの確保を ■2016年5月16日 月曜日 13時18分3秒

 今回のコラムは息抜きと思って読んで頂ければ幸いです。毎回読んで頂いている皆様、どうか気分転換という事でお許し下さい。
 恥ずかしながら43歳にしてゴルフを始めた私。色々教わって、最初に「へぇ〜」と思ったことは「プレーヤーは、14本を超えるクラブを持って正規のラウンドをスタートしてはならない。プレーヤーの使用クラブは、そのラウンドのためにスタート時点で選んだクラブに限られる」というゴルフ規約。
 アマでもプロでも関係なく、ゴルファー全員に適用される世界共通のルールですよね。そしてその時の私(超初心者)の素直な感想は「14本も必要かよ。野球だってバット1本。14本も持ち歩くんじゃ、ゴルフバックが大きい訳だなぁ」と笑ってしまった。ところが初ラウンドを終えた頃から、父のお古クラブを拝借したり、ネットで安売りしていた中古クラブを試しに買ってみたりすると、この14本の制限ではあっという間に足らなくなった。とにかく強烈に下手くそなので「誰でも簡単に打てるやさしいクラブ」なんて宣伝されてると気になって気になって仕方がない。アプローチだって、自分が最初にセットで揃えた「PW、AW、SW」に対し、とっても上手な仲間のゴルフバックを見ると「52」とか「56」と書いてあるクラブが並んでいるのを見れば、今すぐにでもネットで情報収集したい気持ちになった。もともと「超」がつくほど凝り症の私、自分の経験や成長欲、さらには外野の環境にあれほど心が戸惑った経験は本当に久しぶりでした。それでも本当にゴルフって楽しいんですよね。
 あれから約2年、幾度かのラウンドを経験し、自称ですが「超」が外れて「初心者」になったいま、この14本がとても重要なことに気付いてきました。
このコラムを読んで頂いている皆さんは、ゴルフの上手な方が多いので、これ以上のコメントは控えますが、今ではきっちり、自分の身の丈にあった14本で練習に打ち込んでいます。いつかは自分の成長と共にクラブの内容は変わってくると思いますが、自分の特徴を活かしてくれるクラブの構成は大きくは変わらないと思います。
なぜ、こんなくだらない事を書いたかと言うと、このクラブの本数のルールが、宝石店の適正在庫の概念みたいだなぁって最近感じていたからです。
 オーナーのこだわりで逸品と言われるようなジュエリー作品から、ダイヤモンド、パール、地金製品、ブライダル、カジュアル・・・ある意味、店格を示すような色石、さらには珊瑚や健康ジュエリー等の変化球まで。その宝石店に相応しいラインナップで取り揃え、ゴルフクラブの14本ルールのように、身の丈にあった適正量を保持することがとても大切ですよね。
 ゴルフクラブと同様、「在庫」を「武器」と考えれば、どーんと大きな利益を生むドライバー的な商材から、便利に距離を稼いでくれるユーティリティーのような定番商材、適材適所でお客様の好みに見合うアイアン的なカジュアルジュエリーに、グリーンまわりやグリーン上で次のホールへ進むために必ずお世話になるアプローチやパター的な商材、これはパールやブライダルかな(笑)。そしてそれらがクラブ14本のルール同様、在庫過多も不足もない適正量でなければいけないと考えれば、そのラインナップの構成は宝石店の腕の見せ所となりますよね。
 ゴルフは他人からクラブを借りてプレイしているうちは成長は見込めないと、最初の頃よく聞かされました。しっかりマイクラブを用意して、自分に厳しく練習しなければ絶対に上手くなりません。こんな考え方、不真面目かもしれませんが、魅力ある品揃えの宝石店を目指すなら、14本のクラブのように、適正枠をしつかりと守り、こだわりの在庫をバランス良く準備すべきかなぁって最近強く感じます。展示会販売が主役となってジュエリー業界は本当にダメになりました。景気に大きく左右されるので、今後が本当に心配です。展示会ではなく店頭で売上が安定してこそ、「小売」ですから。
■昨年後半から年末、そして正月が明けて1月末までジュエリー業者は大苦戦 ■2016年3月8日 火曜日 11時14分31秒

 円高株安が進み、いよいよアベノミクスの危機が迫っている様相ですね。世の中の「景気」と「景況感」というのは、これほどまでに「温度差」が出るものなのかと感じています。そもそも、民衆が「感じる」ことの出来ない景気回復って、一体何なのでしょう。もともと、バブル期に代表されるような日本経済の幻影が異常事態と考えれば、我が国の国力を踏まえて、今くらいが「普通」なんだと思うべきかもしれません。国際的な市場へ挑戦するのではなく、この国の中でビジネスを続けていくなら「今くらいの景気」でもやっていけるビジネスモデルにしておかないといけないと思うのは弱々しい解釈ですかね。
 昨年後半から年末、そして正月が明けて1月末まで、多くのジュエリー業者は大苦戦しています。特に今年に入ってから、あきらかに現場の空気が違う気がします。それは私自身が体感しているだけで、私が見えていない現場も多いはずですから断言はしませんが「とにかく売れない!」と嘆く仲間が急増している事実は、多くの皆様もご理解頂けるはずです。
 大手商社さんを中心に、業界再編の動きも目立ってきましたが、まだまだ市場減退への対策はまったく進んでいないのが宝飾業界です。だいぶ前のコラムで「小さく売るから小売」なんて可愛いことを書いたことがありましたが、「小さい」ことの重要性は日に日に強まっています。市場規模に見合う「規模」というのは、最後は企業存続の最重要キーワードになるはずです。それが自分自身のポリシィーにあわない経営者の方には、我々の業界は物足りなすぎるかもしれませんね。ジュエリー業界は、急速に「稼ぐ力」を失いつつあるからです。 全国の多くのパパママ宝石店(小売店)が、ご子息に企業承継することを躊躇する姿を多くの現場で出会します。将来に不安が残るような企業承継は誰もが望まないからです。売上が創れても、「メーカー」も「問屋」も「小売」も誰も儲からない、それでも「売上」は創るというスタンスは「商い」の鉄則を無視する行為です。
 いわゆる「市場原理」とは「他人の同じ自由を妨げない」ためのルールを取り決めた上での市場原理であるとするなら、「商いの鉄則」などというアナログな言葉で表現すること自体がナンセンスかもしれません。しかし、日々頑張る「仕事」の対価が「幸福」の基盤であるなら、収益のない「仕事」は、社会主義以外の国で「ささやか」に生活するという人間の基本的な「幸福」さえ奪う行為であって「幸福」のない業界に「明るい未来」はないと思うのです。
何かの記事で「チョーク」の会社が廃業したことを知りました。黒板に文字を書く馴染みの文具ですが、ホワイトボードやタブレットの普及でマーケットそのものが消滅するのであれば、寂しいけど仕方のないことです。我々ジュエリー業界のマーケットは「縮小」はあっても「消滅」はありません。恐らく永遠に消えることはないでしょう。現実に「縮小」のピークは過ぎていて、現在はかなりゆるやかな縮小になっているはずです。
 日本では不要になりつつある「チョーク」は、電力事情が厳しく物資不足の発展途上国では絶対に重宝されたはずです。マーケット(売場)の選び方も、生き残るための大切な要素だと思います。例えば、自社のビジネスが「ゆるやか」ではなく「急速」に縮小しているようであれば「売場」を間違っているのかもしれません。それなら、やるべき事は容易ではないけど単純明快です。けして、現状に絶望する必要なんてありませんよね。ちゃんと儲かる売場を創出し、あたたかい春に向けて、みんなで頑張れば良いだけですから。
■信じていたものに裏切られたと感じると、人は大きな絶望感に襲われます ■2016年1月15日 金曜日 15時2分46秒

 水素水がブームですね。「水素水」とは水素ガスを含んだ水のことだと思います。水素分子には、老化やさまざまな病気の原因とされる「活性酸素」を消去する働きがあるそうで、健康志向の消費者に人気のようです。現在の水素水ブームを見ていると、かつての「マイナスイオンブーム」を思い出します。
 我々の業界では「トルマリン」が大ブームとなり飛ぶように売れていましたね。トルマリンは美しいし、身体にも良ければ一石二鳥という触れ込みでした。ところが、人気のヒートアップも早かったですが急降下するのも早かったですね。順序としては「健康効果について科学的な見地からケチがつく」、「売れ残りを恐れた業者が格安で乱売」、そして最後はトルマリンに代わる新商品(健康ジュエリー等)の誕生で「トドメ」がさされるパターンでした。トルマリンは宝石でしたから、あまり違和感なく我々の業界に受け入れられましたが、今回は「水」です。ブームの大きさに違いはありますが、「水」に限らず、「健康布団」や「靴のインソール」、「ウィック」等々、全国津々浦々、多くの宝石店さんの会場で、ジュエリーとは無縁の商品が馴染みのアイテムになっています。私は、お客様が喜ぶもので、本当に良い商品なら、大切なお客様にご紹介することは間違いではないと思っています。ただ、今回の「水素水」のように、世間一般を取り込んでの大ブーム商品の際は少し注意を払って欲しいと考えます。目立ちすぎるブームは「科学」というフィルターから事細かくチェックされるようになるからです。マイナスイオンがまさにそうでした。

とある展示会場で販売員とご夫婦のお客様とのやりとり
・コーディネーターさん
「トルマリンは電気石と呼ばれていて、電気を発生させるんです。」
・奥様
「なんか肩こりとかにイイって言われてるよね〜」
・旦那様
「アホか。天然の石から電気が生まれるなら原発いらんわ(笑)」
・コーディネーターさんと奥様
「・・・(無言)」

 旦那様は、まさしく正論ですよね。業界内で「トルマリンは電気石」という事が常識っぽくなっていると「ダイヤモンド善し悪しは4Cで決まる」と同じ感じで、それが絶対に間違いないように思えてしまいます。これはとても恐ろしいことです。自分も「小売」の現場を2つ持っているのでわかるのですが、お客様は「お店の信用」で買い物をします。中学生レベルの「常識」で考えてもおかしな事を、大人で、専門家と思っていた宝石店の店主が、あたりまえのように間違ったことを言っていれば、長年の信頼を揺るがしかねないと思います。信じていたものに裏切られたと感じると、人は大きな絶望感に襲われます。「人」でモノを売る小売業者にとっては致命的なリスクとなるのです。
 ジュエリーの売上にプラスαとなる「水素水」の存在が、厳しいマーケットの中で、マーケティング上、いかに大切なのかはとても理解出来ます。だからこそ、取り扱うのであれば、メーカーからの請け売りの知識ではなく、店主やスタッフが自ら徹底的に検証した上で、お客様にご提案していくことがとても大切だと思う今日この頃です。情報なんていくらでも氾濫しているのですから。
■少しずつ「ゲストコントロール」を図るビジネスへと転換しなければ ■2016年1月15日 金曜日 14時51分38秒

 あけましておめでとうございます。本年もコラム「木村のひとり言」を宜しくお願い致します。この場をお借りしてお礼を申し上げます。旧年は本当に多くの皆様に大変お世話になりました。私のビジネスにとっては有意義であり、激動の年でした。そして、日本各地、多くの「現場」で「貴重な経験」を体感することも出来ました。このコラムも毎回締め切りギリギリの入稿で編集の皆様を冷や冷やさせ続けましたが、なんとか毎月の連載を続けることが出来ました。木村に関わって頂いたすべての業界人の皆様に、心よりお礼申し上げます。
さぁ、2016年のプレイボールです。アベノミクスが始まって、すでに3年くらいになりました。円安や株高によって大企業や富裕層の皆さんは確実にしっかりと潤っています。その一方で、国民生活は、むしろ悪化したように思います。国民経済の疲弊はそのまま「消費の減退」へと直結し、庶民の皆さんが、自分へのご褒美としてジュエリーを買う機会を奪い続けています。この明暗はっきりとしたマーケットが我々に与えられた2016年のグランドです。欲張ることなく、一言で言えば、きっちりとしたプレーで、1点差ぐらいで勝つゲームが出来たら大成功と考えても良いのではないでしょうか。
 本コラムではここ数年書き続けている事なので「木村、またかよっ!」とお叱りを受けそうですが、やはり、これまで長年にわたり培ってきた「国民総顧客」というスタイルから、少しずつ「ゲストコントロール」を図るビジネスへと転換しなければならないのです。これは、小売に限ったことではありません。むしろ我々メーカーや問屋といった「卸売」にこそ重要な改革なのです。その展開期のリスクとして従来顧客の見切りに伴う「売上減少」という試練も産むかもしれません。しかし、それらの試練に耐える覚悟こそ、本年に求められる最も重要なマーケティングなのではないでしょうか。
 我々、流通の川上にいる仲間にとって試練が続いています。いわゆる大手は、海外への生産委託やコスト削減への取り組みを積極的に進めていて、その成果が出始めています。その結果、業界内の大多数を占める中小規模の卸問屋や工房を持つメーカーは「稼ぐ力」を完全に失いつつあります。稼ぐことの出来ない世界に後継者が育つことは難しく、国内の職人不足も深刻です。また、デジタルの嵐も心配です。今後3DCADが高度に発展していけば、職人そのものの存在価値に変革の嵐が吹き荒れることでしょう。我が国のジュエリー産業の根幹を守るためには、日本が世界に誇る「匠の技」はしっかり尊重し継承しつつ、デジタルによって進められる「効率化」や「手軽さ」は深入りする寸前の世界でフル活用してもらうような「バランス」が大切ではないでしょうか。「共存共栄」という言葉がありますが、どちらかと言えば「分存共栄」がちょうど良い気がします。私の会社を含め、中小メーカーや問屋、そして職人の皆さんは「大手」に追従するのではなく明確な「独自性」を打ち出さなければ生き残れません。2016年を「差別化」で稼ぎ抜く覚悟を持とうではありませんか。昨年9月の香港ショーではジュエリータウンおかちまち会員企業85社の約半数が出店したそうです。甲府からも多くの企業が海を渡りました。なんとなく漂う「国内を諦めて海外で」という風潮を払拭し「国内でも海外でも稼ぐ」雰囲気が流通の川上で芽生えるような2016年にして行こうではありませんか。
■「下町ロケット」に感化され、品質や性能に挑む ■2016年1月15日 金曜日 14時36分27秒

 私は宇宙開発に興味があります。今話題の「下町ロケット」も読んで感動しました。いまから20年以上前、大学を卒業する際も、北海道の十勝地方にロケット発射基地を含む航空宇宙産業施設を整備する構想を卒業制作として立案したくらいですから(笑)。今回のコラムは「下町ロケット」に感化されたまま書かせて頂きます。
 先日の改良型H2Aロケットの打ち上げに成功したニュースに私は興奮しました。国産ロケットのH2Aによる民間企業の衛星の打ち上げは今回が初めてで、日本が本格的な国際市場参入する第一歩と言えるでしょう。
 私が学生の頃から、国産ロケットH2は夢のプロジェクトでした。卒業後すぐに打ち上げに成功し、サラリーマン時代の自分に大きな刺激を与えてくれました。しかし人工衛星打ち上げにかかるコスト面で、欧州やロシア、米国に大きく差があり、なかなか本格的な運用とまではいかなかったようです。
 日本が商業衛星の受注を増やしていくには、ロケット打ち上げの価格競争力を上げる必要がありました。H2Aの打ち上げ費用は100億円以上で、ライバル達が80億円を下回る状況の中、割高感が否めなかったのです。コストを下げればライバルと闘えるという発想は自然な流れです。現実に、2020年に打ち上げを目標としている次の国産ロケットH3は打ち上げ費用をH2Aの半額(約50億円)とすることを目標としています。とはいえ、日本の技術者達は「コスト」だけに固執することなく日本人らしい発想で今回の打ち上げに大きな意味を持たせて成功させたのです。
 今回の改良型H2Aの最大の特徴は、衛星を従来より遠くへ運ぶための改良にあります。最大飛行時間をこれまでの2時間から5時間半に延ばし、エンジンの噴射回数も2回から3回に増やしました。搭載した衛星の目的軌道のより近くまで運べるようにしたのです。これにより分離した衛星の燃料を節約することが出来て運用寿命を延ばせます。衛星が少しでも長い期間運用出来るという点は「顧客目線」に立った最大の利点というべきでしょう。いま出来る事をしっかりと組み込んで、関係者なら誰もが認めるわかりやすい付加価値を比較的短期間に実現させたのです。
 単に、打ち上げ費用の価格競争で躍起になるのではなく、顧客ニーズの付加価値を見出し、ライバル達に品質や性能で闘いを挑みました。すごいことだと思いませんか。日本の技術者ならではの素晴らしい発想です。これは、我々ジュエリーメーカーにもあてはまる大切な要素だと思います。
 景気の冷え込みは予想以上のスピードで業界を席巻し、勝ち組とそうでない者達の差を拡げています。割引販売に人々の心が動くような時代でないことは明らかだし、もともとジュエリーは価格競争で企業が優位に立つといった性質のものとは違うと考えます。展示会等における長年の乱売によってジュエリーの魅力や信頼を揺るがす様々なマイナス要因が、目に見える形でジワジワと我々を呑み込もうとしています。我々ジュエリー業界は、改良型H2Aロケットのように顧客目線に立って、これからの環境や市場を見据えた明確なニーズを探求し、未来に向けた商品開発を進めなければいけないのです。創る人々も販売する人々も業界が一丸となって、今後のジュエリー需要の柱とも言うべき「勝ち組消費者」の皆さんのハートに一直線、果敢に挑戦していこうではありませんか。
■「辛口だからおもしろい」とするなら、いまの私のコラムは「つまらない」ということか ■2016年1月15日 金曜日 13時38分3秒

 多くの皆様からのご指摘・・・「最近の木村さんのコラムはマイルドになった。昔のような辛口ではない」等々。この類の話は毎週のように頂く。とうとう新聞社の方にも言われてしまいました。「辛口だからおもしろい」とするなら、いまの私のコラムは「つまらない」ということか。「辛口」だとなぜ面白いのだろう。皆さんが言いたくても言えないことを、木村が代弁しているからか。何れにしても誰もが現状に多くの疑問を感じているということだろう。
 その疑問は、展示会依存型の売上づくりに走る業界体質なのか、「プロパーは委託」があたりまえとなった流通構造か、いまだに店頭から消えない二重価格表示の販売方法か、「花珠」オンパレードの真珠鑑定、カラーストーンの処理についての見解、心配ないと思うけどブライダルジュエリーで「永久」とか「50年」とか保証する事への不安、宝石を販売する立場でありながら積極的に古い時ジュエリーを地金買い取りすること等々、書き上げたら誌面いっぱいになるほど。それらを不安視しながらも日々の商いを取り組まなければならない経営者の皆さんは、とても多いのではないでしょうか。
 先日、眼鏡専門店のイベントに参加させて頂きました。その会場で大手レンズメーカーさんと仲良しになり様々な話が出来ました。でもそれらの話を総括した上で、いちばん羨ましかったのは「レンズは、日々の店頭で売れていく」というあたりまえの流通スタイルでした。
 眼鏡屋さんにとって「レンズ」は、必ず発注し続ける商材です。様々な付加価値によって単価アップを研究されているようで、新しい付加価値を持ったレンズが登場すると、小売店のスタッフさんは一生懸命勉強して、顧客への提案を展開してくれるのです。なんだかあたりまえのことなんですが、とても羨ましく思えたのです。たしかにジュエリーだって同じだと思われる方は少なくないでしょう。現実に弊社の看板である地金製品やダイヤモンドは、日々の店頭でも一生懸命販売してくれる仲間(小売店さん)も増えました。しかし、ジュエリーメーカーの多くは「自社在庫は展示会に行って自分達で販売するもの」という感覚が年々強まっています。なんだか余裕が違うのです。展示会場においてもレンズメーカーさんは自社のレンズに対して様々なプレゼンを展開し販売応援しているのですが、この会場で売り切る必要はなく「次に眼鏡を作る時は、ぜひ、この新しい遠近両用レンズを使ってみて」と伝えていくことがとても「重要」のように思えました。小売店スタッフさんに「バトンを手渡す」ように見えたのです。
 我々はそうはいきません。ジュエリーメーカーは、その会場の売上が、業績を左右します。お客様の心のなかに入り込んで、様々な訴求要素を見出し、自分が提案している商品の需要を導いた上で、なんとかご購入頂けるように必死になってお願いし続けます。ちょっと古いですが「いつ売るの、いまでしょっ」が重要なのです。駆け出しの頃、他のメーカーの先輩達に「また考えとくわ」
■宝石価値の高い品でも、売り方を間違えれば「消費財」になり得る理論 ■2015年10月14日 水曜日 13時38分26秒

 日本の景気は緩やかではあるが回復していると言われていますね。様々な経済指標を読み取れば事実のようです。しかし、その実感がない人々が多いのではないでしょうか。
 あたりまえですが、国の「経済成長率」を高めるためには、“大企業”を中心とした各企業部門に滞留しているはずの余剰資金を、速やかに家計部門に還流することが求められます。還流による「所得の増加」によって、個人消費の回復を実現することが条件となるからです。それでは、お金が市場に還流されれば、我らがジュエリー業界の景気回復も進むと見るべきでしょうか。恐らく業界全体をみれば、その計算は成り立つはずですが、私は違った見方をしています。企業部門に滞留する余剰資金の多くは「大企業」に存在すると考えられます。その還流の恩恵を得られるのは、当然、大企業で“正社員”として働く人々です。現在のところはさほどでもないようですが、今後、大企業で“正社員”として働く事が出来る人々は、ほんのひと握りの勝ち組だと考えられます。経済力はもちろん、しっかりとした価値観と自我のアイデンティティーを有し、厳しい眼で消費活動を愉しめる人々です。
 当然「各企業が余剰資金を還流させれば」という仮定の話になりますが、その時は、特定のジュエリー市場だけが恩恵を受ける事になると考えています。「特定」とは、なにも大手や有名ブランド、百貨店等を特定するわけではありません。市場淘汰の大きな流れにもなるでしょうが「真のジュエラー」だけが市場のニーズを担う事になる気がしてならないのです。それは、中国人観光客があふれる都心のジュエリー売場や、全国各地にたくさんの支店を抱える大手チェーン店、あるいは、インターネット販売の類ではない気がします。
 昔から、どんなことがあっても「ジュエリー」はなくならないと励まされてきました。その点に関して、私自身、異論はありません。古来から人々の憧れの象徴として君臨してきた「ジュエリー」は、人類が社会を構成し続ける限り消滅することはないでしょう。しかし、それは「憧れの象徴」であるからこそです。景気が悪くなると真っ先に影響を受ける「消費財」に近いような「ジュエリー」は、バブルのように消えてなくなるのかもしれません。ここで、注記したいのですが、ジュエリーの価値に希少性等の「差」は生まれても、「憧れの品」か「消費財」かというような、その存在の「優越」があるとは思えません。細かいメレダイヤモンドを「クズダイヤ」等と言って素人はバカにしますが、奇跡的に誕生したダイヤモンドに「クズ」なんて失礼極まりない言葉です。ただ、私が「真のジュエラー」を語る上で、「憧れの品」と「消費財」を区分するとしたら「どんなふうに買った品か」、「どんなふうに売った品か」という差だと考えています。つまりジュエリーは、そのお買い上げの満足度と達成感、さらには、ジュエラーとの信頼で「憧れ」に値する品になると思うのです。それは「超特価○割引で買った品」や「お付き合いで選んだ品」などではなく、明確に欲しい理由とタイミング、そして何より、真の価値を有した品でなければいけないと思うのです。例え宝石価値の高い品でも、売り方を間違えれば「消費財」になり得るという理論です。そして、その理論は、大企業の恩恵を受ける人々が大切にする「価値観」に通じる要素ではないでしょうか。その価値観をしっかりとジュエリーという「カタチ」に変えて市場に提案出来るジュエラーを「真のジュエラー」とするのであれば、強烈な格差社会の中で生き抜く道は「展示会販売」「大特価セール」「通販」といった現況のマーケティングの主役達とは逆の方向にあるのではないでしょうか。
■「小売り」は「人」の力が大きいビジネスモデルだと思う ■2015年9月24日 木曜日 12時52分39秒

 両親や家族を大切にするのは当たり前のことです。両親や家族を大切に出来る人は、仲間を大切に出来る人だと思います。仲間を大切に出来る人は、たくさんの人々に慕われます。たくさんの人々に慕われる人は、新しい出逢いが生まれ新しいお客様を集められる人になると思います。新しいお客様を集められる人は、周囲の人々から信頼され新たなコミュニティを形成するでしょう。そのコミュニティの経済活動が小売店を元気にするはずです。どんなに経済的に厳しい時代になっても、その理屈は変わりません。つまり「小売り」は「人」の力が大きいビジネスモデルだと思う。ひと昔前は、洗練されたトークと、極上の気配りを武器に「売り」という結果を出せる人を「プロ」と呼びました。いわゆる「売る人」「お客を持ってる人」と表現された情熱家の先輩達です。その先輩達は時代が変わった現在においても伝説化しています。中には「コンサルタント」として活躍されている先輩もいます。私も尊敬して止まない小売販売の「プロ」達は、好景気にわく時代にも後押しされ、宝飾市場ウン兆円時代を築きあげたのです。その伝説の人々が引退したから宝飾業界は落ち込んだという人もいますが、引退した原因をレジェンドひとりひとりに聞いて回れば、それは大きな間違いだということにすぐに気付きます。私がお聞きしたレジェンドの方々の声を概略まとめると「思うようにいかなくなった」ということ。「言葉」や「気配り」の見返りが「売上」なら、その成果を左右するポイントに大きな変化と進化が生じたと考えるべきでしょう。我が国は、卸売業の機能があまりにも高水準であったため、日本では他の先進国のように大手の寡占化が進まなかったという観点があります。我々宝飾業界がまさにそれです。卸売業の機能があまりにも高い、つまりは便利すぎたために小売業の地力が弱体化したと思えてしまうのです。展示会販売に偏りすぎた弊害の原点も、まさにそこにあるような気がします。私の勝手な想いかもしれませんが、「ひと」の力に「みせ(企業)」と「もの(商品)」の力が加わって小売業が成り立つのであれば、以前の繁盛の構図が「ひと」>「みせ」>「もの」であり、現在は「ひと」=「みせ」=「もの」、つまり全てが対等に力を合わせて市場を創る時代になったと感じています。経済産業省「商業動態統計調査」を見ると小売業の販売額の見通しは前年比100%を維持し、ごく僅かに上回る見通しのようです。私のまわりでは宝飾小売業を廃業されたりして、諦めてしまう経営者がじわじわ増えています。市場が維持され小売業の数が減っていけば、淘汰に生き残った小売業にはその恩恵が降り注ぎます。百貨店業界の売上高ランキング(平成25-26年)で1位は三越伊勢丹、2位は大丸松坂屋百貨店やファッションビル「パルコ」などを傘下にするJ.フロントリテイリング。3位が高島屋ですが、その3位高島屋の売上高が約9,000億円。また、ネット通販で世界最大手のアマゾンが発表した日本国内における売上総額が約8,000億円、恐らく現在のジュエリー市場規模は、これら金額を下回っているはずです。業界3位の1百貨店、通販大手の1企業の売上さえ超えられない市場規模の中で、今後の淘汰はもっともっと進むことでしょう。しかし「残るお店は残る」ことだけは間違いないはずです。「ひと」「もの」「みせ」がしっかりとタッグを組んだ活気あるお店だけが。
■宝飾業界における悪循環からの脱皮はあるのか? ■2015年9月1日 火曜日 16時24分10秒

 私が宝飾業界に入った頃、週末に、幼なじみ達とよく草野球をしました。あの頃、我々のような末端のメーカーは、あまり外に出ることはありませんでした。しかし、世紀末の頃、状況は大きく変化していったのです。
 私の場合、故意に週末は現場に出るようになっていきました。売上が欲しくて欲しくてたまらない時代でしたから、現場で自分達で売っちゃえば、伝票も書けるし、小売店さんから感謝もされるし、売上が足らない時は、間に入る問屋さんが仕入をかけてくれて目標売上の不足分を補填してくれる事も多かったのです。それに気付いてからは「週末こそ商いの中心」へと変化していったのです。そして、本当に良く売れました。いつの頃か定かではありませんが、そんな時代は確か数年続きました。しかし、多くのメーカー社員達が現場に進出し始めると、今度は「現場獲得競争」が勃発したのです。「仕入は結構です、、、我々が現場で売りますから」というスタンスで、国盗り合戦の如く市場の奪い合いが始まったのです。自分もその国盗合戦の最前線にいて、常に「トップ」を目指し全国を駆け巡っていました。本コラムで私自身が「展示会販売」に疑問をぶつけ始めたのが2009年頃のようです。「店頭販売が最も大事」なんて記事や、そのテーマで講演会もやったりしました。メーカーとは勝手です。散々売っといて、今度は「展示会をするな」ですから自分でも呆れます。この場を借りて皆さんに心からお詫びしたいです。年間60会場もの宝飾展示会場を渡り歩き、売りまくった私自身が心から「後悔」しています。展示会がなければ、我が社はとっくに廃業していたかもしれません。生きる為に必死だったとはいえ、あのスタンスが宝飾業界をどんどん悪くしてしまったのです。別の道をもっと真剣に探せるスキルも、想像力も自分には欠けていました。情けないです。
 展示会場では、値引販売、ローン多重化提案が横行し、今では参加するメーカー仲間達の悲鳴が悲劇的に響き渡っています。メーカー達は既に「店頭仕入」という流通を諦めつつあります。本当に良いものなら自信を持って現場に仕入をしてもらえば良いのですが、自らが招いた、展示会重視、委託重視の慣例化が店頭仕入を激減させルートセールスさえ崩壊しつつあります。もはや一般人向けのフリーマーケットと化したIJT等の見本市も、宝飾業界には「絶対悪」として君臨し、それに頼るマーケティングもあと数年しか保たないはずです。問屋さんは「展示会を取る」事がメインの業務となり、メーカー達はこの現場に良くも悪くもぶら下がらないと売上は作れない現状が続いています。しかも今年に入ってからは、移動や宿泊、人件費等のコストが大きく売上を上回ることが殆どで、赤字になることがわかっていても展示会に参加しないといけない悪循環が、驚異的に宝飾一次産業達の体力を奪い始めています。あの頃のように問屋さんが補填仕入することも難しく、売れなかった時は「悪かったねぇ」で終わることが決め台詞のようになっています。販売店は「お客様集め」がメインのお仕事となり、それはけして悪いことではないのですが、あまりにも催事頻度が多すぎていつも同じお客様ばかりに頼る傾向に陥っています。それでも「常連」と呼ばれて悪い気がしない顧客様が店頭に足を運んでくれていました。この部分が「過去形」になっていることはもう説明はいらないはずです。
 私は、現場に弊社商品を導入する際、出来る限り、販売店スタッフの皆さんに「勉強会」の実施をお願いしています。でも、最近、不安なことがあります。販売店スタッフさんの側から、かつてほど製品に関する突っ込んだ質問が出ないのです。展示会にメーカースタッフが来る前提であれば、製品知識を習得しなくても支障ないという雰囲気が、販売店スタッフの皆さんに蔓延してしまっているとしたら、それこそ宝飾業界の緊急事態です。
 メーカーも、問屋も、販売店さんまで悪循環なら、業界全体で逆流ポンプを設置し改革していかなければ、我々は足元から崩れてしまう危機に直面しているのではないでしょうか。
■「街の電気屋さん」は、大手との差別化に成功し、生き残っているのです ■2015年7月16日 木曜日 13時28分50秒

今日訪問していたのは静岡県内のとある宝石店。自分が10年以上通い続けている大切なお店です。最近、やっと、ご子息が修業先から戻り、家族みんなで地域に根差した商いを続けています。父、母は子を想い、子は父親、母親を想う素敵な宝石店には、今日も常連と呼ばれるお客様達が集います。しかし、このお店の5年後、10年後がどうなっているのかは、誰も想像がつきません。だからこそ、いま、この瞬間をしっかりと過ごす事が大切だと想います。この宝石店のように、全国には、地域に根差し、家族で力を合わせて、運営されている宝石店がたくさんあるはずです。しかし、その数は少しずつ減っている気がします。
 かつて「街の電気屋さん」は全国チェーンの大手家電量販店の進出により淘汰されました。その要因は、大手家電量販店の武器であった商品力や展開力に加え、顧客ニーズを的確に読み切ったマーケティング戦略に他なりませんでした。しかし、そんな中、徹底的に地域密着と顧客管理を直向きに取り組む事が出来た「街の電気屋さん」は、大手との差別化に成功し、生き残っているのです。
 全国各地を回る中、自分自身の実感として「街の宝石店さん」が減っているいま、我が国のジュエリー市場はどのように変化しているのでしょうか。イオンのような大手SCが急速に増え、その殆どのSCに宝石店はテナントとして存在します。全国チェーン化に取り組む大手宝石店です。ジュエリーの市場は確実に縮小傾向にあるはずですが、全国各地にSCが増加する中、このような全国チェーンの宝石店は増加傾向にあります。当然の如く、各地の市場に大きな影響を与えているはずです。しかし、現在の状況では、減っているとはいえ、不思議と共存し合っているように見えます。「街の宝石店さん」と「チェーン店」は根本的に顧客の種類が違うとみるべきでしょうか。そうなると落下傘部隊のように全国各地に誕生した「チェーン店」が新たな市場を確立していると見るべきか・・・。しかし、私は違う見方をしています。「街の宝石店さん」は昔からの常連客に頼りすぎていて、新たな顧客創造に苦手意識を持っている気がするのです。現に、我々の業界で活発に取り組まれている展示会商売では、いつも同じお客様ばかりに頼ってしまっている「街の宝石店さん」に出逢うことは少なくありません。いつもいつも同じお客様の財布をアテにしても、そう長くは続くはずないのですが、“今のところ”なんとかなってしまっている感じがあるのです。その要因は、かつて、大手との差別化に成功し、生き残ることが出来た「街の電気屋さん」のそれとは大きく違う気がします。生き残れた電気屋さんは地域密着・顧客管理の中で新たなニーズや市場開発を“独自”に取り組んでいます。宝石店さんの場合、企画や市場開発を「問屋さん」に頼ってしまっている事が多い気がするのです。問屋さんは決められたフォーマットに従うように、各地の宝石店に同じ提案をしていきます。店舗名だけ書き換えるチラシのように、その企画は、統一化されたテーマと商材を活用して出涸らしのお茶の如く繰り返されているのです。出涸らしのお茶は、そのうち単なるお湯になってしまいます。味も素っ気もないマーケティングに陥った時「街の宝石店」はどうなってしまうのでしょうか。
私にとって大切な静岡の小さな宝石店は、地域のコミュニティに君臨し、今日も元気にお店を開けています。この街でもライバル店だったはずの同業者がひとつひとつ姿を消しているのです。そんな中、恒例行事のように訪問させて頂いた私をあたたかく迎入れてくれる宝石店の家族の皆さんと夜遅くまで「生き残る術」について語り合う時間が、何よりも「貴重」に思えて仕方ありません。
■『買える人探し』がこれからの課題  ■2015年7月16日 木曜日 13時27分52秒

今年に入って本当に悪くなった・・・。私から聞きたいわけではありませんが、お逢いする(業界の)相手から、先に言われてしまいます。私の顔を見るなり、何かの我慢が吹っ切れたかのように、言葉の追いかけっこの如く「後ろ向き」な言葉が連呼されたりします。そんな場面が増えてきました。円安等による物価上昇への不安もありますが、株価も上がっていますし、大企業の夏のボーナス、賃上げや外国人観光需要も期待されています。5年先にはオリンピックだって開催されます。世間では、実感は薄いものの、景気の家計動向や企業動向が上昇しているという見方が拡がっているのです。落ちるところまで落ちて、あとはジリジリ上がっていくだけと考えれば「後ろ向き」な言葉に強く反論したって良いのです。しかし、どうも我々の業界はこれから悪くなるという機運が充満しています。
 つい先日、関東近郊の海沿いの街でジュエリーの展示会をお手伝いさせて頂きました。お店にとっては年に1回限りの大切な催事です。そのお店は、家族やベテランのスタッフさんが力を合わせて頑張る地域密着1店舗の老舗で、私も大好きなお店です。お手伝いで集まるメーカーやお客様までも、そのお店を愛しています。売上高は去年よりも良かったそうです。凄いことですよね。現場でずっとお客様のお相手をさせて頂いたのですが、すばらしい高単価の商品も売れてました。平均的に売上の単価は高いほうだった気がします。でも、集客は本当に大変だったみたいです。現場のリーダー的存在である社長の奥様も、招待状を配る過程で、常連のお客様達の反応から「今回はやばいかも」と覚悟していたそうです。フタを開けてみればまずまずの成果で、きっとホッとしたでしょう。お客様も本当に楽しそうでした。成約率も悪くなかったと思います。しかし、現場にいたスタッフ、メーカー、場合によってはお客様までもが「いつまでも続けられない」という危機感を感じていたはずです。お客様の高齢化に加え、いつもと変わらない顔ぶれ。さらには、多くの地方都市で深刻化する地元コミュニティの衰退が、未来への不安を煽るのです。結局は「いつまでも催事には期待出来ない」とわかっていながらも、やり続けているのが、業界全体の現状でしょう。それでも、明らかに「買えるお客様は買える」のです。この催事でも「買えるお客様」にだいぶ救われました。そんなお客様の心を掴んでいる主催者(小売店)の勝利です。まさに「買える人」と「買えない人」の明確な二極化が現実となって我々の業界に影響し始めたわけですから、生き残るためには「買える人」探しをすれば良いのです。「買える人」を見つけるためには、まずは店を知って頂き、何かを買ってもらうことが必要です。それには様々な企画や取り組みで、自社の市場に向けた情報発信をこれまで以上に実践する以外、方法は無いのかもしれませんね。私自身の信念として、催事中心の売上づくりには異論と疑問があります。しかし、今年の春以降は、ここ数年以上に全国各地の催事会場を走り回っています。まるでピーク時のあの頃のようです。私自身の売上づくりのためでもありますが、何よりも「いますべきこと」の優先順位をしっかり確認したいという欲求もカラダを動かす原動力となって、今日も全国のどこかの街で宝石に囲まれています。明るい未来への道筋を、自らの足で踏み固められると信じて。
■次世代の仲間達にお願いです。「先輩や父のため」に「自我」を諦めないで下さい ■2015年7月16日 木曜日 13時26分44秒

 今年還暦の人が生まれたのは昭和30年前後であり、昭和50年代には社会に飛び込んでいます。昭和60年、身勝手なアメリカに主導されたプラザ合意により、ドルに対する先進国通貨の価値は引き上げられました。昭和60年代の1ドル250円台から、約3年間で1ドル120円台まで進んだなんて今では想像も付きません。当時、我が国は、世界一の輸出大国として君臨していたため、円高ドル安傾向による「不況」を心配した日本政府は、大胆な金利緩和を打ち出しました。金利が下がりお金を借りる人が増え、流通も急増し、使い道がなく持て余した「お金」は、無駄に消費され続けたのです。カネ余り時代とは良く言ったものです。私はこの時、高校生でした。今年還暦となった先輩達は「24時間働けますか?」なんてヒット曲が流れる市場に巻き込まれ、日本の好景気が永遠に続くという妄想と機運の中、寝る間を惜しんで稼ぎ続けたのです。その諸先輩方のご子息の皆さんが「働き盛り」に差し掛かろうとしています。だいたい30歳台半ばくらいでしょうか。「景気」という観点では、まったく恩恵を受けずに生きてきた30歳台半ばの人々は先輩達の期待に応えようと必死なのです。私も、昭和16年生まれの父を尊敬し、その期待に応えるべく日々走り続けているつもりです。時折、ふと考えることがあります。先輩方の多くが「息子達のために」とか「跡継ぎのために」という言葉を口にします。でも、次世代の人々の多くも「父のため」「社長のため」と口にします。結局どっちもどっちなのです。先輩方が、我々に何かしらの「レール」を残そうと奮起されている事は、逆に、次世代の人々が「自分達が本当にやりたいこと」を試すチャンスを掴みにくくしているのではないでしょうか。
 大塚家具の株主さんを巻き込んだ「親子喧嘩」は記憶に新しいところですが、お父様の「このままでは大塚家具は潰れてしまう」という心配は、いったい誰のためだったのでしょうか。もちろん上場企業ですから「株主さんのため」だったかもしれません。「可愛い娘のため」だったのかもしれません。しかし、あの娘さんと近い立場の私からすれば、あの「心配事」はすべて「自分のため」としか思えません。大塚家具の前社長(父)は、自分が納得出来る結果を出すために動いたのです。テレビで「自分が苦労して作った会社を、自分が苦労して育てた娘さんが潰すのなら本望ではないですか」とあるコメンテーターが言っていましたが、まったくその通りだと思います。自分(父)が養育した娘でも会社を救えないのであれば、当の本人である自分が“現在の環境”で会社に居座っても、やっぱり救えるはずがないのです。
多くの先輩方へお願いします。「企業承継」を行うなら「いま」です。間違っても「景気が良くなってから」だとか「会社の業績が良くなってから」なんて思わないで下さい。景気の落ち込みはまだまだこれからなのです。若い世代が頼りないのではなく、大きく変わったいまの時代に納得がいかず、昔の常識とのギャップを「若者達の力不足」と思い込みたいだけなのです。
 そして次世代の仲間達にお願いです。「先輩や父のため」に「自我」を諦めないで下さい。「上には何を言っても無理」なんて絶対に絶望しないでください。とにかく、とことん意見をぶつけ合って一致団結すべきだと思います。
■「商品は工場で作られ、ブランドは人々の頭の中で創られる」 ■2015年4月14日 火曜日 13時33分32秒

 前回は、セブンイレブンの100円珈琲にマーケティング上の大きな使命感を感じると書いてコラムを結びました。弊社のスタッフ達に「一番弁当の美味しいコンビニは?」と質問してみると、そのほとんどが「セブン」と答えます。「なぜ」と問うと「なんとなく」という感じの返事。まさにイメージです。事実、自称コンビニマニアの私も、目に入る範囲で複数のコンビニがあると、優先順位としてセブンを探します。私が利用させて頂くのは圧倒的に「おにぎり」です。おにぎりはお気に入りがあって「銀しゃりむすび塩むすび」と「もっちもち赤飯おこわおむすび」を温めてもらって頂くのがベストチョイスとなっています。当然、他のコンビニにも「塩むすび」「赤飯むすび」はあるのですが、口に入れた瞬間の「美味い!」という感動格差に開きがあるのです。特に赤飯好きの私にとっては、その小豆の風味やうまみの度合いがまったく違うように思います。何故かはわかりませんが、とにかく違うのです。「人気のセブンの珈琲は高原価らしい」というニュースがネットを中心に拡がった時、「赤飯も高原価なのかなぁ」と勝手に想像した自分に驚きました。まさにブランドの原理です。「ネット=口コミ」という公式は誰もが認める情報要素です。しかもこの論理は、すべてのビジネスにとって日に日に大きな影響力を持ち始めています。メーカーである私達にとって「ものづくり」が「ビジネス」として成り立つかどうかは、すべて、この「口コミ」にかかっています。セブンで売っているものが何となく高品質に思えるのであれば、間違いなくブランド戦略として成功しているのです。そのブランドを作り上げたのは、開業以来約40年間で築き上げた「高品質」と、徹底した「顧客ニーズ」のリサーチによるものにほかならないのではないでしょうか。インターネット百科事典「ウィキペディア」ではセブンイレブンの経営手法として次のように書かれています。“・・・セブンイレブンの成長の要因として「顧客志向の商品開発力」と「発注」が上げられる。例えば、2013年1月の発売以来、年間4億5000万杯以上を売っている「セブンカフェ」は開発担当者が『自分が毎日飲みたいコーヒー』の質を追求して生まれたものとされている。また、顧客のニーズを本部のネットワークでいち早く察知し、店舗で売る商品をメーカーや取引先に発注するシステムを構築することで売上げの機会を逃さない。【中略】セブンイレブンが目指すのは「売れ残ってでもいいから、品物を売り切れ状態にするな」という考え方であり、廃棄ロスよりも機会ロスの最小化を目指している。”
 本当に欲しいものが買える事も大切ですが、「商品は工場で作る。ブランドは人々の頭の中で創られる」という鉄則を実践していることに感心させられます。セブンの珈琲は発売後わずか2年で「セブンの珈琲は美味い」というブランド化に成功しました。人々の頭がそうしているのです。前回からのコラムのネタとなっている我々の直営宝飾小売店「輪・高崎工房」は4月4日リニューアルオープンしました。セブンを見習って人々の頭の中に響くお店づくりを目指すためには、何よりも「商品」の質と、量ではなく的を得た「品揃え」を追求しなければなりません。宝飾小売業として、いまを生き抜く大切なハードルに、勇気を持って、全力でチャレンジしていこうと思います。
■付加価値消費の市場では「替える人だけが、買う」 ■2015年3月13日 金曜日 13時43分5秒

 先月のコラム発表の後、たくさんの皆様から「高崎で何やるの?」といったお問い合わせを頂きました。様々な誤解や憶測もあったようです。お騒がせして申し訳ございません。それほど大それた事を実践するつもりはありません。先月のコラムでも書かせて頂いたとおり市場規模に見合うチャレンジの範囲で改装するだけです。ジュエリー市場・・・その基盤であるわが国の経済市場は縮小化していくことは確実です。しかし、ジュエリーの主戦場である付加価値消費の市場は、特異なスタイルで存在し続けることも明らかなのです。これからは、「買える人だけが、買う」という自然な解釈を注視すべき市場となります。「ジュエリーを買う=人生にとって大きな買い物」、「ジュエリーを買う人=リッチな成功者」と書けば皆さんはあたりまえと思うかもしれませんが、バブル期のちょっと前くらいから最近まで「ジュエリーを買う=ローンにすれば誰でも買える」「ジュエリーを買う人=ジュエリーが好きなすべての国民」といった感じだったんじゃないかなぁ。また、こんな事を書いたら多くの皆様に誤解を与えそうですが、とにかく「ジュエリーを買える人がどんどん減っていく」ので、「ジュエリーの価値はどんどん上昇していく」はずなのです。その上昇する価値に負けないようなジュエリーを市場に提供していく時代だと思います。メーカーは“すばらしい作品”を創らなければいけないし、小売店は価値に見合うコミュニティを形成していかなければなりません。
 前回のコラムの最後にセブンイレブンの珈琲について「ヒントになった」と書きました。皆さんもご承知の通り、1月の発表によれば、セブン&アイ・ホールディングスは営業利益が過去最高となったそうです。大手新聞社の評論を読むと、「消費増税の逆風で消費者の選別が厳しくなり、価格よりも品質が売れ行きを左右する。質の高い商品で価格を引き上げた脱デフレ型の企業が増益を達成した」と書かれていました。セブンに対して、小売り最大手のイオンは大幅な減益となりました。イオンの基本的な戦略は価格訴求で、生活必需品約100品目を値下げするなど販売促進に努めたそうですが、客足は戻らなかったとしています。イオンのは、記者会見で「価格政策など増税後の対応を失敗した」と説明していますが、私もそう思いました。価格訴求すれば消費が戻るなら、市場が拡大していると考えなければいけないからです。どう考えても「逆」です。
 先月、私が大好きなテレビ番組「がっちりマンデー」で“地元密着”メディアが成功しているビジネスモデルについての取材を放映していました。終始、「地元密着、地域限定」という言葉が踊っていました。やはり、もはや“万人ウケ”の時代ではないのです。
 セブンの珈琲は、様々な情報によれば、かなりの「高原価」らしいです。私は珈琲好きなので、はじめて飲んだ時は腰を抜かすほどビックリしました。本当に美味いのです。誰もが珈琲好きとは限らないのに、セブンは、その1杯100円の珈琲に、マーケティング上の大きな使命を与えたように思いました。それでは、この続きは次回で。
■業界の大寒波への対策は信頼を取り戻すこと ■2015年2月13日 金曜日 14時20分38秒

 弊社には群馬県内に2つのアンテナショップがあります。群馬は弊社の創業の地であり、私の故郷でもあります。もともと弊社の扱い品目にはいわゆる「ブライダルジュエリー」というものが存在していなかったため、2000年以降、一時活況を呈したその市場に参入する目的で整備したものでした。第一号店は館林市、その後、二号店を群馬県のマンハッタン(笑)的存在である高崎市に整備しました。館林では「我々の商品が辺境の地である館林で人(お客様)を呼べるか」ということが実験の主目的でした。シャッター商店街で、多くの若者が1時間ほど電車に揺られれば東京へ行けてしまう最悪の立地。しかし、他店では到底観ることが出来ない個性的で魅力的な商品を提案出来れば、お客様に来て頂けるのではないかという想いを実践したかったのです。全国の弊社取引先様がご存知の通り、館林にはたくさんのお客様に来て頂く事が出来ました。同業者様の見学も100社を超えているはずです。お客様は、北は約300キロも離れた仙台から、南は静岡からもご来店頂いた事がありました。この時は飛び上がって喜んだものでした。当時は、現在ほどWeb環境が整備されてなく、わずかなネット情報と口コミで広域的な集客を実現出来たのです。
 あれもこれもたくさんのブランドを置くことがメジャーと言われた時代に、わずかに弊社だけの商品で、たった20坪たらずの店舗と、未経験者ばかり3人のスタッフさんだけで、我社のブライダル商品の強大なエネルギーを確信出来たのです。
 1店舗目の開店から4年後、高崎に店を作りました。同じ群馬県内でも商圏は完全に分かれていました。最初の店舗の位置から約60キロほど離れた立地でしたが、この距離は、館林〜東京間の距離とほぼ一緒で、館林の消費者は高崎に行くくらいなら都内に出てしまうのです。店舗面積は館林のお店に比べ倍以上の約50坪、周辺人口にいたっては約10倍という世界に、新たな挑戦を挑んだのです。店舗の設置場所は、あえて繁華街を避けて閑静な住宅地内を選びました。このお店は弊社商品を取り扱い頂いている若い仲間達の「目標」となるような店を作ろうと思いました。店舗設計、スタッフ教育、集客、売上はもちろん、とにかく、未来は縮小するであろう予測していた市場規模でも、その投資や規模が過大になることなく、個人事業主であれば、大きすぎるリスクを背負うことなく、新しいお客様創りに継続的な成果を上げられるお店を創りたかったのです。つまり、「売上」の大きさを競うのではなく、手元に残る「利益」についてこだわったのです。商品は弊社製品のみ、スタッフは館林同様に3人、売上・集客数実績は、それだけの立地にも関わらず、館林よりも1〜2割ほど多いくらいでした。商いとしては“成りたつ”実績でしたが「同じマーケティングで、同じやり方で、製品も同じなら、その結果は立地規模ほどの格差は出ない」という結論でした。高崎店のオープンから既に7年が過ぎ、館林、高崎共通のテーマが生まれていました。「せっかくブライダルで創ったお客様に、その後売るモノがない」。確かにその通りでした。弊社としては「ブライダルジュエリーのアンテナショップ」という位置付けであり、メーカーという立場から、それほど「小売」に固執もなく、何となく「卒業生」などという言葉で、顧客との離別を仕方のないものと考えていたのです。しかし現場では、その「卒業生」とスタッフさん達との間に信頼関係が構築され「売るモノ」が無くても、その卒業生達との交流は確かな存在として、口コミや地元密着のマーケティングに影響を与えていることを気付かされました。
 話しは変わりますが、現在のジュエリー市場、つまり「現場」は、強烈に厳しくなっています。これほどの大寒波に、どれだけの仲間が耐えうるのでしょうか。しかも、その寒波は当分、へたをすると5年以上、勢力を維持もしくは拡大しながら、日本のジュエリー市場に停滞する見込みです。二重価格や現場値引き等による安売販売、展示会による押込販売、ジュエリーの商品価値を大きく崩壊させた地金買取等により、我がジュエリー業界の信用は徐々に落ち込んでいます。その軟弱化した地盤に大寒波ですから、その防寒対策はかなり強固でなければ太刀打ち出来ません。我々が仲間と呼ぶ弊社取引先様も、もはや商品力やメーカーサポートではなく、現場の皆様の限界以上の努力と工夫なくして生き残れない状況となっています。アンテナショップで確信した弊社商品の強大なエネルギーが、現場の頑張りを後押ししても、まだ足りないくらいなのです。
 今回の寒波は一時的なものではありません。使い捨てカイロのような今だけの対策と言うよりは、思い切って最新型のエアコンやしっかりとした防寒着といった長く助けてもらえるものを準備しないとダメなのです。
 弊社アンテナショップに生まれた「Community」※注記は、その現場力(商品、スタッフ、店舗の魅力と帰属することの満足感)によって構築されたものです。ジュエリー業界全体の「信頼」には無関係のしっかりとした信頼感によって築かれています。我々の業界の大寒波への対策は「信頼を取り戻す」ことが第一歩だと考えます。全国の小売店さんには、長年の努力の中で、弊社アンテナショップと同じような「Community」が形成されているはずです。その「Community」を活かすエネルギーが「信頼」であるなら、このエネルギーを維持出来れば、ジュエリービジネスの足元は、強固に踏み固められるはずなのです。私はこの「Community」に賭けてみようと思います。初めてアンテナショップを開店させたあの頃のように、すべての環境と、我々が持てるエネルギー、そして未来予測のデータに耐えられる最大のリスクをコントロールして、お客様にジュエリーを買って頂ける店舗づくりを実践してみたいのです。もちろん、簡単ではありません。初めてお店を創ったあの頃のように、業界全体の目は冷ややかでしょう(そうゆう業界なのです)。しかし、本誌でも記事として取り上げられている「JJCM」という仲間達との交流が、私の背中を押してくれました。そして、その取り組みに大きなヒントを与えてくれたのは、セブンイレブンの一杯100円の珈琲でした・・・。その内容は次号につづく(ごめんなさい)。


注記・Community
コミュニティ:「共同体」を意味する語に由来。もともとは地域や社会レベルを示す言葉でしたが、近年では広義で同じ目的や共通の価値観で集まる集団や場所についても使う言葉。
■2015年は、希少価値の高いダイヤや重量感たっぷりの地毛根製品の需要が急上昇! ■2015年1月7日 水曜日 14時44分35秒

 明けましておめでとうございます。新年早々、心配事は語っても仕方ありません。今年の消費税アップはとりあえず無くなった事ですし、見通し明るく元気な一年にしたいです。年末の総選挙で、与党の基盤はさらに強固となって、安倍内閣は今まで以上に安定しますね。自信満々のアベノミクス政策により、ジュエリー市場の牽引役として期待される富裕層が今まで以上に優遇されていけば、高品質で高価なジュエリーは必ず売れるはずです。一方で、一般庶民からはジュエリーがどんどん離れていってしまうのかもしれませんね。だからこそ、今年は富裕層の皆さんに目を向ける時です。急速に円安が進んで、地金やダイヤモンド価格が高騰し、ジュエリー全体の価格が上がったとしても、富裕層にはびくともしません。むしろキャピタルフライト現象で、希少価値の高いダイヤモンドや、重量感たっぷりの貴金属地金製品の需要は急上昇するかもしれませんよ。ブライダルジュエリーも同様です。お金持ちしか結婚できなくなるはずですから、“ブランド”なんて看板を掲げておきながら低価格のカットリングとデザインや品質的に大差ないものや、「お得感」を売りにするマーケティングからは一線を画すべきですよね。これだけ厳しい時代にしっかりと結婚できる若者達は、ミーハーなイメージ戦略にも流されたりしません。
 いずれにしても、2015年、大成功を目指すなら富裕層以外のマーケットには一定の距離感が必要です。お土産付の展示会商売や、大特価二重価格セール、特売チラシなんてもってのほかです・・・。でも、もし、庶民派ジュエラーを目指すなら、私の皮肉たっぷりのカラ元気な本年の見通しは笑い捨ててくださいね。必ずや、何かしらの歩み方は存在するはずですし、むしろ、心のどこかで、それを期待しています。
 少しだけ、私が今年気になること。3月に「北陸新幹線」長野〜金沢間が開業予定ですね。首都圏では、宇都宮・高崎・常磐線を東京駅まで乗り入れる「東北縦貫線」、愛称「上野東京ライン」が開業予定となっています。
 北陸新幹線開業においては、金沢市の集客性の高まりが期待される一方、富山市のストロー現象が心配されます。最速達列車「かがやき」号で、富山〜金沢間はわずか20分、富山に比べ都市そのもののポテンシャルが高い金沢の中核化はさらに進む気がします。また、夏には本州日本海側で初となるアウトレットモール「(仮称)三井アウトレットパーク北陸小矢部」が開業予定で、北陸地区でブランド戦略によってジュエリーを展開していく道筋には大きな変革期が訪れそうです。
 上野東京ライン開業においては、これまで上野発着のジレンマから利便性が悪く、それぞれに存在意義を見出していた常磐線の衛星都市、松戸、柏、取手あたりの価値観が下落し、一極集中化と共に、商業的な再編をみるかもしれませんね。拍車をかけるように、秋には有楽町(銀座)数寄屋橋交差点の東芝ビル跡地に完成予定の複合ビルには、グローバルブランドをはじめとした複数の路面旗艦店が出店する見込みで、銀座エリアに新たな一大ショッピングストリートが誕生する事を考えると、東京駅を中心とした大きなブラックホールに、常磐線に、宇都宮線、高崎線を含めた首都圏衛星都市の市場が呑み込まれていくかもしれません。北海道の旭川では、駅に直結する複合ビルに「イオンモール旭川駅前」開業します。極端な一極集中から消耗戦の様相を呈している札幌に比べ、個人的には旭川の活性化に商業的なチャンスがあるのではと期待しています。何れにしても時代の変化や社会情勢をしっかりと見据えて、業界の皆さんや仲間達と共に、2015年を闘い抜きたいと思います。どうぞ、本年も宜しくお願い致します。
■サロンのような店内に会員制の顧客が集う ■2014年12月17日 水曜日 15時7分46秒

 今年最後のコラムです。今回は私の「夢」の話です。フィクションと考えて頂いても結構です。こんな宝石店が多数存在する日本であって欲しいという木村の我が儘を書かせて頂きます。
 その宝石店は、長閑な田園風景が拡がる地方都市にあります。けして、立地に恵まれているわけではありませんが、閑静な住宅街の中にあります。午後からしか開店しないお店です。どうやら、午前中は、お客様のもとへスタッフ達がお邪魔し、御用聞きに飛び回っているようです。
 お店に入るとまず目に入ってくるのが、壁に誇らしげに並んでいる金のネームプレート。アルファベット表記でゴルフ場のクラブハウスのように、ズラリと連なっています。この宝石店のVIP会員の皆さんらしく、地元の名手と呼ばれる有名人の名前も多く含まれています。
 来店者には、まず最初に、お店のオーナーが優しく気品に満ちた笑顔でお客様を出迎えます。
「こんにちは○○様、本日はいかがなされましたか。」
 それはまるで、高級ホテルのコンシェルジュのような、安心感と自信に満ちあふれた優しい挨拶です。このお店は、どんなお客様でも、出迎えはオーナーと決まっています。その後の来店動機の内容によって、ご案内するスタッフはそれぞれ違うようですが、必ず、オーナーがお客様に声掛けするところからはじまります。ただ、この店のオーナーは地元の様々な組織や活動、あちこちで有名人であり、行事も多いのでお店を留守にする事もしばしば。その時はオーナーの奥様や、最近修行から戻ってきた息子さんがお出迎えします。
 お客様は、来店動機を伝えると、サロンのような店内のソファーに誘導され、あたたかいおしぼりと、とびきり美味しい珈琲でお迎えを受けるのです。
 ソファーに座ると、宝石店スタッフのみんながひとりひとり挨拶していきます。世間話で盛り上がり、時間を忘れてしまうくらいの楽しい座談会が繰り広げられます。
 その宝石店は会員制で、会員からの紹介がなければ会員になれません。また、会員には毎月のようにニュースレターが届き、様々な情報が提供されます。そして誕生日や結婚記念日をはじめ、会員に関する様々な記念日には、抜け目なく、お店からの祝福やオファーが舞い込みます。会員であるお客様は、その宝石店からのオファーによって、季節の移り変わりを感じるのです。
 今日の雑談は、先月、このお店主催で開催された「今年のボジョレーヌーボを愉しむ会」の話題。会員同士は、既にお店を介して知り合いになっていて、仲も良く、自然と他の会員の話題になる。会員さんの発案で「いま、何してるんだろ。○○さん、ちょっと呼んでみようか。」といった具合になることもしばしば。気が付けば閉店間際には数人の会員様が集まって談笑している事だって、このお店には日常の風景である。
 週末になると、この宝石店は定休日になる。いわゆる展示会は、年に一度、地元で最も高級と言われるホテルで盛大に開催される創業祭だけで、普段は店内でも一切行わない。日曜日が定休日ということで、のんびりな週末となる。土曜日の夕方からはカルチャースクールの教室として地域に提供されている。第一土曜日は絵画デッサン教室、第三土曜日はヨガ教室。ペットのしつけ教室なんてのも開催されたりする。このお店の会員はペット愛好者が多く、わんちゃんと来店しても、他のお客様にご迷惑とならない設備が店内には充実しているのだ。さらに、お店の駐車場脇にはゴルフ練習用のネットまで設置されていて、レッスンプロによるゴルフレッスンまで開催される事がある。近所の会員のご主人が、自由に練習している事もしばしば。年に3回、この宝石店主催のゴルフコンペは、奥様方の多い会員様のご主人が喜んでくれる貴重なイベントとなっている。
 そして、この時期のお楽しみと言えば、毎年恒例のクリスマスパーティーである。たくさんの会員が集まり、話題に尽きる事のない楽しい談笑が夜遅くまで続いていく。
 このお店に用意されたジュエリー達は、オーナーがひとつひとつ厳選した素晴らしい逸品ばかりである。陳列された作品の横には、オーナー直筆の説明プレートが並ぶ。この説明プレートには、素材の説明や仕入れた時期と理由、さらにはその作品にまつわるエピソードまで記載されている。店内、ほぼすべての商品に、そんな説明プレートがセットされているのです。ですから、頻繁に訪れる会員は、自然とジュエリーに詳しくなっていきます。会員からの要望で、宝石セミナーも開催されたりしますが、講師は、鑑定士の資格を持った店のオーナーがいつも担当する。オーナーはセミナーが開催される度に、予習復習に追われている(笑)。その成果は素晴らしく、見慣れた講師からのわかりやすく楽しい情報は、参加した会員であるお客様の心に深く刻まれていく。
 その日は、ある会員のご子息が結婚する事となり、婚約指輪と結婚指輪を選びに来た。そのご子息には、両親がこのお店でブライダルジュエリーを購入した時の写真やエピソードを紹介され、絆を深めるような様々な思い出話に花が咲いた。このお店では、婚約・結婚指輪の購入だけでは会員になれない。その後の購入と関係性が必要で、長年のお付き合いとなっていくことが重要視されるためだ。親子何代にも渡って、この宝石店との密接な関係が構築されていく。そして、このお店は、地域に根付き、無くてはならない存在になっているのである・・・。
 机上の空論、理想論主義者、妄想・・・なんと言われても良い。いつか、そんな宝石店が全国あちこちに存在する日本になって欲しい。今年に一年、大変お世話になりました。どうか、皆様、良いお年を。
■「販売力」+「宝石学」を備えたオールラウンドジュエラーを目指して ■2014年11月17日 月曜日 10時52分56秒

 ジュエリービジネスにとって大切な事とはなんだろう。最近は宝石学の観点から、産地証明や高度な鑑別技術を研究し、お客様に安心できるジュエリーをお届けしようという活動も見受けられます。また、流通経路を徹底的に省き、お客様に安価で良質なジュエリーを提供しようという人々も増えてきています。
 私はメーカーとして、良い商品を創らなければならないという宿命を持っています。それこそがメーカーの責任であり、存在意義なのは言うまでもありません。しかし、「良い」商品とはいったい何だろうと考えることがあります。
 読んで字の如く、ジュエリーにとって「良い」とは、品質や作りの良さ、高度に洗練された意匠製を意味するのだろうと思っています。しかし、すばらしいジュエリーを創ったからと言って、市場から大歓迎される時代でもないのです。前記した「宝石学」に関わる学者肌のジュエラーさん達ならそれで良いかもしれませんが、市場では「売れる」商品が「良い」という風潮である。このせめぎ合いが、自分にはかなり苦しいのです(笑)。
 ブライダルを見ても分かります。数日前、たまたま書棚を整理していたら10年以上前のマリッジリングカタログが出てきました。その懐かしさに、じっくりと眺めていると、明らかに「良い」リング達である。正直、最新の商品に比べて、とてもしっかりとした作りをしている。マリッジリングに求められるのは長年の使用に耐えられる丈夫さと、毎日着用しても邪魔にならない洗練されたフォルムだと自分は考えていますが、この10年以上前の作品達は、この両者を見事に成立させていると感心しました。しかし、現在のブライダルジュエリーに深く関わっている私の目では「売れない」商品と考えざるを得ないデザインだったのです。
 現在の“良い”マリッジリングは「耐久性」よりも「ショールームで体感できる着け心地」を重視します。販売現場でのわかりやすい体感が販売促進に役立つからです。「これからのこと」をこだわっても、若いお客様にはなかなか理解していただけないと言う寂しい理由です。だからデザインも「ベテランになっても恥ずかしくないしっかりとしたデザイン」ではなく、「若いときだけ似合うキュートで華奢なデザイン」が求められます。さらには最も重要視されるのが「演出」であり、後付けの「物語」や、乱発される「キャンペーン」でライバルとの差を創出しようと努力するのです。まだ何もわからない若い人たちに「売れれば良い」という情けない観点から「サイズ直し永久無料」なんて言葉まで付帯させるブランドさえあります。あれもこれもブランド側が「売りやすいネタ」を用意すると、現場の販売スタッフが成長しないという悪循環に陥ります。
 確かに、そこまですれば現在のマーケットで「売れる」商材に近付くかもしれませんが、我が国のジュエリー業界にとって、それが本当によいことなのかどうかは疑問が残ってしまいます。
一方で、ジュエリービジネスの新たなビジネスモデルとして産地証明や宝石学の鎧を、ジュエラーに、もっとしっかりと羽織らせようと唱える人もいます。感動的なのは、宝石の原産地に奨学基金を設立させたり、現地の若者を対象とした宝石講座を開講して、より原産地とのパートナーシップを強固にするといった活動を情熱的に進めようとしています。
 小売店さんの店頭に小規模でも宝石ミュージアムを設置、社内に宝石研究所も設置、その学術的背景として研究機関とも提携させて・・・まさに夢のようなすばらしい取り組みです。宝石の本質をしっかりと理解し、消費者への信頼と、店格の向上を獲得することが、これからの新しいジュエリービジネスの第一歩という論点には、心からの賛同を表明したいです。同じように賛同する小売店さんの次世代経営者を、宝石の原産国へ連れて行き、様々な貴重な体験を提供する活動も見受けられます。我が国のジュエリー業界にとって必ずやプラスになることでしょう。
 しかし、日本のジュエリーの現場を歩き回っていると不思議なことに気付きます。景気が急速に悪くなって特に感じるのですが、メーカーである私の苦しみをあざ笑うかのように、「売れる」と「高品質」をしっかりとコントロールしているジュエラーが目立ってきているのです。
 例えば、私が尊敬する小売店さんの若きジュエラーは「売れるだけの商品」とはちゃんと距離を置いているし、「宝石学」という観点にも適度な距離感を置いています。世の中で流行しているからという理由だけで、その商品を店頭に加えたり、わざわざ原産国まで行って大切な店頭を長期間留守にすることはありません。そして何より、そんな若きリーダーが君臨するお店は地域に信頼され、ちゃんと儲かっています。
様々な実情の中で、メーカーとしての我々には「売れる」と「高品質」のバランスを保つことを徹底的に研究することが求められているようです。それと同様に小売りの現場でも「プロとして売る努力」や、「宝石学を熟知したジュエラーになるための努力」のどちらかに偏ることなく、その両者をしっかりとコントロールできるジュエラーが求められるのではないでしょうか。
 全国を回っていると、どうしても、どちらかに偏る傾向が見受けられます。「うちの跡継ぎさんは商売よりも外遊が多くて・・・」なんて愚痴をこぼすベテラン社員さんもよく見かけます。
 店頭に「売る人」と「研究者」がどちらも存在しているので問題ないと言われるかもしれませんが、どちらかが欠けた時のリスクは経営の柱を大きく揺るがすはずです。自分自身も常に心がけていることですが、「販売力」+「宝石学」を備えたオールラウンドジュエラーを目指して、未来のジュエリー小売企業を守る最高のガードマンを目指してほしいものですね。
■どんなことがあっても、ジュエリーはなくならない ■2014年10月15日 水曜日 13時18分56秒

 ふと考えれば、宝飾業界とは、極めて“ささやかな市場”である。こんな「ささやかな市場」の中で、大手も中小もない気がする。ましてや「拡大路線」に走る要素は皆無であり、この業界の中では無縁の仕組みと言えるでしょう。たまたま読んでいた記事で、そう感じました。「自動車の8月の新車販売台数は、前年同月比9.1%減の33万3471台」となったそうです。減ったとはいえ、単純計算で1ヶ月数千億円程度の市場規模と考えれば、場合によっては我々宝飾業界の1年分に匹敵する規模なのかもしれません。
 「宝飾1年分=自動車1ヶ月分」と思えば、我々宝飾業界なんて本当に「ささやかな市場」であり、そんな小さな世界で、私を含め、多くの仲間達が「生活の糧」として守り続けている大切な存在なのです。
 自動車の記事ではさらなる「気付き」がありました。大きな市場である他の業界でも、その市場規模に関係なく、我々の業界に通じる要素は少なくないようです。自動車の販売が減ったのは、消費税増税前の駆け込み需要の反動減と景気の先行き不透明感を背景に、贅沢品の一種である自動車の購入が見送られていることが理由だそうです。しかしその一方で、欧州高級車ブランドである「メルセデス・ベンツ」や「アウディ」は前年同月を上回る販売を記録したと書かれていました。
 ドイツ車は、まさに「ブランド」です。高付加価値商品の代名詞とも言えます。その「ブランド価値」は、とても高く評価されていますね。私自身も、若い頃はドイツ車の誇りや職人気質に憧れて「フォルクスワーゲン・ゴルフV」に乗っていた事があります。その後、スウェーデン車の「ボルボ」にも乗りました。2台のクルマを経験して強く感じた事は、自動車の品質や性能という点では、国産車が「世界一」だという自分自身の中の“確証”でした。
 クルマ離れが進んだ現在の若者達では考えられないかもしれませんが、若い私は、本当に外車が欲しかった(笑)。当時はインターネットなんてなかったので、多くの輸入車のカタログを徹底的に読みあさり、週末になれば様々なディラーへ足を運んで、片っ端から試乗車に乗りまくったものでした。若い頃、ささやかな経済力(笑)でありながら、背伸びして、いわゆる「外車」を購入して本当に良かったと感じる点は、自分自身が身をもって体験し、結論付けた「国産車と外車の違い」だったと考えています。つまり、品質や性能では国産が世界一という“確証”の事です。
 たとえ、品質や性能が勝っていても、「ブランド価値」という点では、国産車はドイツ車に遠く及ばない現実も身に染みて感じています。持論ですが、「ブランド」とは工場で創られるものではありません。消費者の「頭の中」で創られるものだと考えています。
 宝飾業界においては、私自身の価値観の中で「ブランド」と呼べるものにあまり出逢った事はありません。真珠の「MIKIMOTO」なんかは、我が国の宝飾業界に夢と希望を与えてくれる世界ブランドですが、そんな価値を有するブランドは、長い歴史と偉人達の努力によって築き上げられるものですから、次の100年後に期待するしかないのかもしれませんね。
 歴史は浅くとも、ブランドとしての価値観を確立出来たものはありますが、それには強力なリーダーシップを持った先導者や、絶妙な時代背景、さらにはほんの少しの「運」といった様々な奇跡が必要かもしれません。もちろん、何の努力も行動もせずに奇跡が起こる事は無いと断言出来ますが、それほどの“奇跡”は神様のご加護さえ必要と思えます。
 例えば、スマートフォンの「iPhone」。もはや伝説の人物となったスティーブ・ジョブズの緻密な戦略と、誰にも真似の出来ない情熱によって、わずか7年間で今日の価値観を確立しました。
 自動車同様、国産のスマートフォンの性能は、けして「iPhone」に見劣りするものではありません。むしろ高性能と言える機種もあります。しかし、国産機種の「新型」が発売されるからと言って、わざわざ徹夜までして、携帯電話の販売店にファンが並ぶ事はないのです。私は、この「違い」を理解する研究をすすめる事が、我々宝飾業界には求められている「本質」を探る道のひとつだと考えています。宝飾業界は「ささやかな市場」でありながら、その歴史は自動車やスマートフォンとは比べものになりません。
 宝飾の歴史こそ、人類の歴史であり、キリストが生まれる以前からジュエリーはあると何かの記事で読んだ事があります。「ささやかな市場」は、人類の最初の職業と言われる「売春」と同時期に確立したとも言われているのですから、人類が存在する限り「売春」と「宝飾」の市場は存在し続けるはずです(笑)。有史以来の市場の累計金額では、宝飾は「ささやかな」世界とは無縁の存在に君臨しているはずです。
我社の創業者である父の口癖に「どんなことがあったって、ジュエリーは無くならない」という言葉があります。厳しい時代をむかえ、今でこそ心に染みる強い信念です。
 短期的には多くの宝飾業界の仲間達が「生活苦」に陥ってしまうほど「ささやかな市場」になっていく可能性は否定出来ませんが、「絶対に存在し続ける市場」と考えると、夢や希望を強く感じます。この地球に「人類」が存在した証として君臨するような宝飾品の価値観に恥じない仕事を、強い信念と情熱をもって続けていこうではありませんか。
■今まさに我々に求められる決断力・行動力によるスキルアップ ■2014年9月18日 木曜日 10時33分3秒

私が生まれた頃、父はジュエリーメーカーを起業しました。それまで父は、農家で農耕用に飼育されていた家畜向けの薬を販売する会社を経営していました。私が生まれる前、農家にコンバイン等の農耕機はほとんど普及しておらず、農家の皆さんは牛や馬の力を借りて農耕を行っていたそうです。農家にとって家畜はとても大切な存在だったようで、その薬もよく売れたと聞いています。しかし、世の中がどんどん豊かになり、小林旭さんが「燃えるオト〜コのぉ〜、赤いトラクタぁ〜」とテレビコマーシャルし始めた頃、父は「もう、家畜の時代ではない」と考え、会社ごと、当時の社員の方に譲ってしまったそうなんです。先見性があるというか、すごい決断力と行動力だなぁって、尊敬してしまいます。その後の父は、宝飾関係の仕事をしていた親戚の方のお誘いもあり、ジュホウ製作所(現在の株式会社ジュホウ)を創業しました。
 父に「なんで宝飾をやろうと思ったの?」と聞いた事があります。父は、薬屋時代、顧客のすべてが庶民的な農家の人々で、高額となる家畜向け薬剤の商売では、集金などお金のやり取りにかなり苦労したと言っていました。そこで、仕事を変える際、「宝飾ならお金持ち相手の商売だから、お金の心配が無くていいかな」って考えたそうです。
 正直、初めてその話を聞いた時に私はかなり驚きました。何故なら私もサラリーマン時代、「日本の近未来は、強烈な階級社会になるはず。ジュエリーならお金持ち相手のビジネスに関われる。」と考えて、父の会社への転職を決断したのです。
 でも、実際の宝飾業界は少しイメージと違っていました。お金の有る無しに関係なく、ジュエリーをなんとか買える方法を提案する事が、ジュエリー販売の現場だったからです。ローン販売や値引き販売など、富裕層ビジネスとは逆行する世界でした。確かに、ジュエリーは人々の夢を叶えるもの、その夢を提供していく事は大切なミッションです。高度成長期以降、もともとあまり豊かではなかった我が国のジュエリー消費を拡大するには、最短ルートの展開手法だったはずだし、そのおかげで、日本のジュエリー業界は発展し、「市場規模ウン兆円」なんて騒がれた時代もありました。先輩方の努力と苦労は、とてもはかりしれません。しかし、あの頃の「拡大」の時代は完全に終焉し、これからは「縮小」の時代です。ビジネスの展望を研究すれば、今後は、国民が「ジュエリーを買える方法の選択肢」がどんどん狭くなっていくはずで、2割程度の「ジュエリーを買える人」と8割程度の「ジュエリーを買えない人」が、階級社会型のジュエリー市場を形成する世界は、すぐそこまで来ていると考えるべきが定めなのです。
ここで言う「買える人」とは、ローンも不要、値引きも関係なし、場合によっては店頭スタッフよりジュエリーに詳しかったりもする、そんな人々です。そんな人々に求められるビジネスを研究しなければ、明るい未来になれそうもありません。既に値引販売や、展示会の乱発により「富裕層」と呼ばれる人々と、「街の宝石屋さん」との距離が開きつつある事実も考えなければないと思います。私は「富裕層ビジネス」の基本は「その店で買わなければならない理由づくり」と考えています。全国の宝飾店を見てきて、自分なりに思うのは、それはけして「立地」や「規模」ではなく、「店舗の居心地の良さ」や「店頭商品へのこだわり」、そして何より「オーナーやスタッフ達の専門性や人間性」だと思います。父が、まだまだ儲かっていた「薬屋」をすぱっと切り捨て、宝飾業界へ飛び込んだような「決断力」や「行動力」は、新たに必要とされる多くのスキルアップと共に、今まさに、我々にこそ求められているのではないでしょうか。
■縮小するマーケットに逆らわないマーケティング ■2014年8月12日 火曜日 14時39分31秒

 昨年、2013年の国内宝飾品の小売市場規模は、2012年比105.6%の9,617億円だったそうです(矢野経済研究所)。インターネット上で見かけた大手小売企業の売上高を積み重ねてみると、As-meエステールさんで298億円、ツツミさんで262億円、F&Aアクアホールディングス(4℃)さんで246億円、ハピネス・アンド・ディさんで156億円、田崎真珠さんで149億円、ベリテさんで105億円・・・。国内の売上だけではないですが、ミキモトさんで200億円以上、それ以外にも全国にチェーン展開する宝飾小売企業が存在しますよね。いま、掲げた数字だけでも軽く1,000億円は超えています。このコラムを読んで頂いている皆さんはもっと多くの小売企業さんの売上高を知っているはずです。それらも積み上げれば、残されたシェアが、どれだけ小さいのかが実感出来ます。
 「宝飾業界大手」と呼ばれる小売企業さんについては、「活況」と言われる富裕層の購買意欲と、それに伴う高額ジュエリーへの期待で緩やかな市場成長が見込めるというデータもあります。しかし、いわゆる“街の宝石店”さんが形成するシェアは年々縮小しているように思います。多くのコンサルタントの先生がおっしゃるように、その縮小されていくマーケットの中で、いかに独自色を持つかという事はとても重要です。様々な企画の展示会販売や、お店のオリジナルブランド・・・、リフォームに強いお店みたいなイメージづくりも良いかもしれません。でも、最も心に留めておく重要な視点は、縮小するマーケットに逆らわないマーケティングだと考えます。つまり、顧客の数や売上高が、今後伸びる可能性は無い事を前提とした生き残り策を実践しなければならないと思うのです。そうなると、連続する展示会販売や、値引き販売、大手で売れているとされるものを安易に取り入れるような展開は、今後厳しいような気がします。特に展示会販売は、費やした「経費」と「利益」のバランスが重要ですが、マーケットが縮小し、どんなに努力しても新規のお客様が増やせない事態と考えれば、そのバランスを保つのは、相当厳しいのではないでしょうか。
 やはり、お店の規模(商品量、社員数)が重要のようです。お店の規模が大きければ、企業を維持するための「売上」も大きくなっていきます。「大手と互角に闘う」覚悟があれば別ですが、そんなリスクを受け入れていくような時代ではありませんよね。地元の市場規模を徹底的に研究して、それに見合う適正な規模に留めておく事が、後々の「命綱」になるはずです。
 たまたま、日本を代表するような超大手企業の皆さんは、あまり、我々の業界に興味がないようで、本格的に参入する気配はまったくありません(笑)。ビジネスとしての魅力を感じていないのでしょうね。我々の宝飾業界はかなりの“未成熟”な市場環境にあると言わざるを得ません。例えば、あり得ないとは思いますが、トヨタ自動車さんが、レクサスブランドを活用し、ジュエリー小売に本格参入したら、簡単に国内シェアの多くを奪ってしまえる事は、誰が考えても理解出来ます。そんな事になったら、多くのブランドや、百貨店の宝飾売場は大きな影響を受けるでしょう。まぁ、無いでしょうけど。
 バブル期が訪れるずっと前の本来の宝飾業界に戻るべきなのかもしれません。若い私が想像する事も難しいのですが、宝飾品が、国民の夢と希望と成功の象徴、誰からも「たからもの」と崇められていた、あの時代にです。このあやふやで、小さな市場の中で、適正な規模と優秀な社員を守り、マーケットを取り囲む環境の変化に一喜一憂する必要のない、しっかりとしたビジネスモデルを構築することが、生き残りの為の絶対条件になっているはずですから。
■「脱・展示会」を掲げて、 ■2014年7月15日 火曜日 15時41分24秒

 まだ、日本がバブル景気になる前、全国の宝飾小売店では店頭催事、パスポート催事を実施する企業が少しずつ増えていきました。その後まもなく、本格的に取り組まれるようになり、全国各地で大きな成果をあげ、ジュエリー市場の拡大期が訪れたのです。
 バブル期になり、催事によって確立された市場は、さらに激しく消費活動の戦場と化す事となりました。まさに「売れすぎて困る」時代となったのです。1980年代後半には東京・山手線内側の土地価格でアメリカ全土が買えると言われるほど日本の土地価格は高騰したと言われます。このような、実体を伴わない「あぶく銭」マネーが全国各地に降り注いだ結果が「ジュエリー大消費時代」を築いたようです。まさに「頑張れば頑張っただけ売れる時代」の到来でした。催事等の展示会販売は、この頃最盛期を迎え、それまでルートセールスが専門で、催事などやっていなかった卸業者(問屋)までも、催事の企画書を持って、取引先(小売店)を走り回る時代となりました。催事で大きな成果をあげる宝飾小売店は「成功者=カリスマ」と呼ばれ、宝飾小売業成功のための「先生」として大活躍する時代となったのです。催事の仕掛け人を「コンサルタント」と呼び、その関連する職業が台頭してきた時代でもありました。毎週末のように、どこかでジュエリーの催事が行われ、催事を企画し運営する会社の社員達は、キャラバン等と言って、まるでサーカス団のように全国の宝飾小売店や展示会会場を転々とする日々が繰り返されました。そして、バブル崩壊・・・。国民、特に「中流」と呼ばれる人々の消費力は年々弱体化しています。今年の消費増税以降、その傾向は顕著です。それに伴い、それらメインターゲットの顧客を繰り返し“頼り”にしてきた展示会販売も、最後の打ち上げ花火になりつつある気がします。我々「メーカー」は、今までのように、問屋さんの要請に対応し続ける事自体が難しくなってきています。利潤を上回る経費等の赤字増大が原因です。
 世間では、バブル崩壊は1992年の中頃を通説としているようですが、宝飾業界でその被害を実感出来るようになったのは、私がこの業界に入った頃(1998年〜2000年)からのようです。つまり、我が業界の過去約15年間は、平均してマイナス成長に陥っていると読むべきでしょう。そして、今後もまた、さらなる悪化を予測しなければならないようです。先月は、九州で有名な老舗小売店さんが倒産し、私を含め多くの業界関係者がショックを受けました。でも、まだこれは「序章」に過ぎないようです。
 先日、昔からお世話になっている取引先の社長さんに「あんたのコラムはどんどん悪くなっている。昔のあんたのコラムを読ませてやりたいくらいだ!」とお叱りを受けました。昔の私のコラムには「本音」だけでなく、「夢」と、「希望」があったのです。今回のコラムで、なぜ、バブル期前〜現在までの「系譜」を整理したかと、我が業界の「バブル」こそが「展示会販売」そのものであり、その「バブル」が崩壊したいま「展示会販売」に多くの売上を希望的観測のもとに委ねていくのは危険であると言いたいからです。最近では、専門業者から名簿まで購入して電話集客する事例もあるようですが、ベネッセホールディングスから顧客情報が流出した問題がこれだけ社会問題になっている事を考えると、地元密着・信用第一が生命線である小売店さんにはハイリスクな気がします。ここまでが、私の「本音」の部分。そして「夢」と「希望」を語るなら、私と同年代の若き経営者達の中に、「脱・展示会」を掲げ、地域密着の愛される宝石店を目指そうという動きが確実に芽生えてきています。そして、その仲間達を、私は結集させる決心をしました。お叱り頂いた社長さんのおかげで「目」が覚めました。ジュエリーを愛する事が出来る人々のコミュニティー創出、そしてプロパー・ブライダル・メンテナンス等、宝石店の基本的な機能に磨きをかけ「街の宝石店」として、新たな時代と市場を築く準備を、我々は始めようとしています。近い将来、必ずや、このコラムで、宝飾業界の「夢」を大いに語るであろう木村に、どうかご期待下さい。
■最近 少し困ったこと・・・他社のダイヤを取り付けないブライダルブランド ■2014年6月19日 木曜日 16時35分56秒

 ごめんなさい。今回のコラムは私のグチになってしまいそうなので、先に謝っておきます。私はダイヤモンドの卸売りをしています。ラフの品質やカットにこだわった輝きの強いキラキラのダイヤモンドです。世間ではウィリアム・レニーダイヤモンドと呼ばれています。0.2〜0.3ctサイズを主力として、メインターゲットを婚約指輪用としていますが、最近、少し困ったことがあるのです。昨今、ブライダルジュエリーには様々なブランド(と称するもの)があります。そのブランドの中には、自社(ブランド)が用意するダイヤモンド以外は取り付けてくれないブランドがあるのです。理由はわかりませんが「ダイヤモンドも含めてブランドなので」とか「信頼出来るダイヤモンドしか留めたくないので」といった説明をしているようです。販売する側の小売店さんまでも、特にこの点に疑問を感じることなく、お客様に提供し続けているのだろうか。もちろん、どんな言い訳をしたとしても、ブランドメーカーとしてはリング枠でもダイヤモンドでも“利益”を稼ぎたいという気持ちは、メーカー経営者のひとりとして痛いほど理解できますが・・・。
 弊社にも婚約指輪用のリング枠はご用意がありますが、多くの選択肢から選びたいというお客様の気持ちも大切だと考えています。結果的に、弊社直営店や、弊社商品をメインとして取り扱って頂いているお店を除き、ダイヤモンドルースの状態で販売する事が多くなっているのです。様々なブライダルジュエリーブランドが「他社のダイヤモンドは取り付け出来ません!」となれば、弊社は困ってしまいます。弊社のダイヤモンドの品質は、各ブランドさんが用意するものに負けない自信があります。ましてや、各ブランドさんの多くが「トリプルエクセレントだから最高級ですよ」というレベルであれば尚更です。極端なブランドさんだと「枠のデザインさえ選んでくれれば、ダイヤモンドは一定の基準以上のものが留められて納品されます」という横暴が罷り通っております。つまり、お客様は一生に一度のダイヤモンドを自分自身で選ぶことなく、納品時に初めて目にするのです。そんな流通過程を「お客様が納得されているので大丈夫」としてしまう小売店さんや、ブランドメーカーさん達の感覚も、不安でたまりません。
 いまさらですが、婚約指輪を自動車に例えると「ダイヤモンド」がエンジン、リング枠が「車体のデザイン」と言えます。自動車ならすべて「エンジン+ボティ」のセット販売ですが、それはボティもエンジンも一緒に開発したり生産したりしているから。セットでなければいけない理由も明確で、婚約指輪のそれとはだいぶ事情は違います。婚約指輪の場合、各ブランドメーカーは、条件に見合うダイヤモンドを他社から調達しているだけなので「ダイヤモンドとリング枠」のセット販売に、絶対的な必然性は感じません。それを業界の「スタンダード」にすることには、私は絶対に「反対」です。もともと、婚約した時に、お母さんからダイヤモンドを受け継ぐ場合だってある。弊社直営店や取引先の小売店さんでは、ダイヤモンドルースだけを買ってプロポーズする彼氏だって少なくない。そういったカップルさんは「ブランド」っぽく販売されているブライダルジュエリーのリング枠は選択出来ない事になってしまうのだが、それは婚約指輪の「本質」までも無視する大事件だと思うのです。もちろん、ダイヤモンドを留めてもらえないというのは、前記した通り、私の商売にとってマイナス、つまり“グチ”なので、読み流してもらっても良いのですが、ジュエリー業界にとってどうなのかをぜひ考えて頂きたいのです。婚約指輪やブランドコンセプト(各ブランドが演出用に用意した物語)を好きになって、ジュエリーに興味を持ち、人生をかけてジュエリーファンとなる人は少ない気がします。むしろ、私や仲間達が若者達にダイヤモンドを語り、その「ダイヤモンドの奇跡」を知って、ジュエリーファンになる人は、私の経験上、意外に多いのです。全国の小売店さんがブライダルを活用して新規顧客を獲得しようと躍起になるなら、婚約指輪やそのマーケティングに対して何をこだわるべきかなんて、簡単に気付くと思うのですが。
■最近 少し困ったこと・・・他社のダイヤを取り付けないブライダルブランド ■2014年6月16日 月曜日 16時1分44秒

 ごめんなさい。今回のコラムは私のグチになってしまいそうなので、先に謝っておきます。私はダイヤモンドの卸売りをしています。ラフの品質やカットにこだわった輝きの強いキラキラのダイヤモンドです。世間ではウィリアム・レニーダイヤモンドと呼ばれています。0.2〜0.3ctサイズを主力として、メインターゲットを婚約指輪用としていますが、最近、少し困ったことがあるのです。昨今、ブライダルジュエリーには様々なブランド(と称するもの)があります。そのブランドの中には、自社(ブランド)が用意するダイヤモンド以外は取り付けてくれないブランドがあるのです。理由はわかりませんが「ダイヤモンドも含めてブランドなので」とか「信頼出来るダイヤモンドしか留めたくないので」といった説明をしているようです。販売する側の小売店さんまでも、特にこの点に疑問を感じることなく、お客様に提供し続けているのだろうか。もちろん、どんな言い訳をしたとしても、ブランドメーカーとしてはリング枠でもダイヤモンドでも“利益”を稼ぎたいという気持ちは、メーカー経営者のひとりとして痛いほど理解できますが・・・。
 弊社にも婚約指輪用のリング枠はご用意がありますが、多くの選択肢から選びたいというお客様の気持ちも大切だと考えています。結果的に、弊社直営店や、弊社商品をメインとして取り扱って頂いているお店を除き、ダイヤモンドルースの状態で販売する事が多くなっているのです。様々なブライダルジュエリーブランドが「他社のダイヤモンドは取り付け出来ません!」となれば、弊社は困ってしまいます。弊社のダイヤモンドの品質は、各ブランドさんが用意するものに負けない自信があります。ましてや、各ブランドさんの多くが「トリプルエクセレントだから最高級ですよ」というレベルであれば尚更です。極端なブランドさんだと「枠のデザインさえ選んでくれれば、ダイヤモンドは一定の基準以上のものが留められて納品されます」という横暴が罷り通っております。つまり、お客様は一生に一度のダイヤモンドを自分自身で選ぶことなく、納品時に初めて目にするのです。そんな流通過程を「お客様が納得されているので大丈夫」としてしまう小売店さんや、ブランドメーカーさん達の感覚も、不安でたまりません。
 いまさらですが、婚約指輪を自動車に例えると「ダイヤモンド」がエンジン、リング枠が「車体のデザイン」と言えます。自動車ならすべて「エンジン+ボティ」のセット販売ですが、それはボティもエンジンも一緒に開発したり生産したりしているから。セットでなければいけない理由も明確で、婚約指輪のそれとはだいぶ事情は違います。婚約指輪の場合、各ブランドメーカーは、条件に見合うダイヤモンドを他社から調達しているだけなので「ダイヤモンドとリング枠」のセット販売に、絶対的な必然性は感じません。それを業界の「スタンダード」にすることには、私は絶対に「反対」です。もともと、婚約した時に、お母さんからダイヤモンドを受け継ぐ場合だってある。弊社直営店や取引先の小売店さんでは、ダイヤモンドルースだけを買ってプロポーズする彼氏だって少なくない。そういったカップルさんは「ブランド」っぽく販売されているブライダルジュエリーのリング枠は選択出来ない事になってしまうのだが、それは婚約指輪の「本質」までも無視する大事件だと思うのです。もちろん、ダイヤモンドを留めてもらえないというのは、前記した通り、私の商売にとってマイナス、つまり“グチ”なので、読み流してもらっても良いのですが、ジュエリー業界にとってどうなのかをぜひ考えて頂きたいのです。婚約指輪やブランドコンセプト(各ブランドが演出用に用意した物語)を好きになって、ジュエリーに興味を持ち、人生をかけてジュエリーファンとなる人は少ない気がします。むしろ、私や仲間達が若者達にダイヤモンドを語り、その「ダイヤモンドの奇跡」を知って、ジュエリーファンになる人は、私の経験上、意外に多いのです。全国の小売店さんがブライダルを活用して新規顧客を獲得しようと躍起になるなら、婚約指輪やそのマーケティングに対して何をこだわるべきかなんて、簡単に気付くと思うのですが。
■9割の新ヤンキーから外れた勝ち組の若者達を掴め ■2014年5月13日 火曜日 14時2分34秒

昨年末の週刊現代に、「日本人の9割がヤンキーになる」という記事がありました。ヤンキーとは言っても、私の記憶にある暴走族や不良軍団の事ではなく、明らかな犯罪や反社会的行為を行うわけではなく、ヤンキー的価値観をカッコいいと思い、共感している人々の事を言うそうです。この、かつてのヤンキーとは異なる「新ヤンキー」と呼ぶべき人々が、爆発的に増殖しつつあると書かれていました。
「地元の学校を卒業し、地元の工場や店舗に就職。早ければ、都市部の大学に進んだ同級生が学生生活を送っているのと同じ頃、やはり地元の友人と20歳そこそこで「デキ婚(できちゃった結婚)」し、子どもには「キラキラネーム(当て字や難読漢字を使った読みづらい名前)」をつける。(中略)週末といえば大型ショッピングモールで買い物、カラオケ、ボウリング。本も雑誌も新聞も全く読まず、暇な時間にはテレビを見るか、スマホでゲームに興じる・・・」
 この記事では、「新ヤンキー」を格差社会の下級と位置付け、それらは一部のエリートによって便利に使われ、我が国の階級社会は「国策」として、促されているというような書き方でした。
「・・・ヤンキーが『低学力・低賃金・非組織・非正規労働者』の供給源になる(中略)政治の都合にも合致しているのだとしたら、この流れを押し止めることは容易ではないだろう。9割のヤンキーとごく一部のエリートに分断された社会が、健全であるはずがない。」
 初めてこの記事を読んだ時、内容の極端さはともかく、とても当てはまることの多い様相に鳥肌が立ちました。自分の故郷は首都圏のはじっこと言われる北関東で、同級生達(1971年生)を思い出せば、記事の通り明らかに二分化されていくように感じる節が明らかにあるのです。
 ブライダルジュエリーの広告媒体として殿様商売を続けてきたリクルート社「ゼクシィ」は、その集客力に明らかな陰りが見える。弊社直営店をはじめ、全国の取引先様の様子をお聞きしても、雑誌・ゼクシィからの来店はどんどん減少しているようだ。これに代わり台頭しているのがネット集客であり、あくまでも「無料」を前提とする情報公開や情報検索という世界観で構成されているWeb上で、天下のリクルートと言えどもなかなか雑誌の時のような「殿様」ビジネスは成立しそうもないみたいだ。現実、リクルート社ゼクシィnetも理由無き「値上げ」を乱発し、ジュエリー業界に限らず、ブライダル業界全体から、ますます嫌われ者として距離を置かれ始めている。
 新ヤンキーは本や雑誌に興味が無く、唯一の情報ツールが「ネット」だとすれば、若者の9割がヤンキー化した後の広報戦略は極端な偏りを見せていくだろう。雑誌・ゼクシィの最大の衰退要因かもしれない。若者達は、ネット上の決済についても抵抗感が少ないようだ。それに、買い物に対して「こだわり」と言うよりも「無気力」な雰囲気さえ漂う。そうなれば店頭へ足を運ぶことなく、購入までネット上で済ませてしまう選択も急増するはずだ。我々業界が、今まで通り、現実世界の店頭で、しっかりと本質を伝え、こだわりを訴えてブライダルジュエリーを販売していくためには、9割の新ヤンキーから外れた勝ち組の若者達をしっかりと呼べるような研究が急務と言えるのではないでしょうか。
■ジュエラーとして、地元で生き抜くならば、“誇りと情熱を胸に”リスク要因には絶対に関わってはいけない ■2014年4月15日 火曜日 10時51分6秒

木村さん、最近のコラム、ジュホウさんの宣伝が多すぎるんじゃない?全国をまわりながら、そんなお声を頻繁にお聞きします。素直に批判と受け止め、少し反省しつつ、宣伝大成功と心で微笑んでおります(笑)。「何を書いても良いから」という条件で書き始めた連載コラム、気が付けば、長年に渡りたくさんの「ひとり言」を発信してきました。既にその反響は「ひとり言」とは言い難い状況ではありますが、多くの皆様のあたたかいお言葉や厳しいご批判に、今でも驚き続ける毎日です。
 STAP細胞の小保方晴子さんの問題が連日マスコミを賑わしていますね。「科学」とは無縁の「世間」の人々に万能細胞の云々を理解してもらう前に、「捏造」や「不正」といった言葉がひとり歩きし、彼女はすでに疲れ切っています。
 数年前の全宝協事件の時も感じたのですが、ダイヤモンドを知らない素人でも「世論」という後ろ盾さえあれば、まるでダイヤモンドを長年研究していた「プロ」のように言葉を発し、その問題を批判することが出来てしまうのです。小保方晴子さんを注目のヒロインに祭り上げたのも、谷底まで突き落としたのもマスコミですし、そのマスコミに牽引されてしまうのが「世論」なんですね。テレビの情報番組で印象的な放送を見かけました。なぜか「巣鴨地蔵通商店街」のお婆ちゃんに「小保方さんの問題、どう思いますか?」なんてインタビューをしていて、そのお婆ちゃんが「かわいい顔してるのに残念よねぇ」って・・・。お爺ちゃんまで「不正はいけませんよねぇ」って、そしてその映像を全国へ垂れ流すマスコミの謀略を、受ける側の我々は放置し続けて良いのでしょうか。せめて、同じ立場に近い研究者の皆さんあたりにインタビューして、選別することなくすべてのコメントをしっかりと報道してもらいたいものです。おそろく、そんなことは、NHKにさえも期待出来ないはずですが。このSTAP細胞や全宝協事件のように、いまの時代は様々なリスクと隣り合わせです。私自身の本音は、このコラムを続けていることが一番の大きなリスクかもしれません。それでも続けてきた「理由」はこの誌面ではとても書ききれませんが、お節介な「使命感」みたいなものです。
 このコラムを読んで戴いているほとんどの読者の方はプロの「ジュエラー」です。当たり前ですがジュエラーとして生きて行く覚悟、つまり、「ジュエラーとしての本分」を忘れてはいけないと思います。ジュエリーに対する直向きな想い、そして何より本業に邁進する一途な情熱がなければ、これほどの厳しい時代を生き残る事なんて出来ませんし、高いお金を払ってジュエリーを買って頂いているお客様に失礼です。そして何より世論を敵にまわす要素が多いことも、我々の業種ならではだと考えています。「ジュエリーとは高価なもの」というイメージは誰もが抱く常識的なイメージです。私は、動くお金が大きいだけに多くの目から注目されている事だけは絶対に忘れないようにしています。ましてや地方都市であれば、商店街の中で最も高いものを売っているわけですから、「僻み」や「やっかみ」も少なくないのです。もしかしたら、攻撃の糸口を常に探られている可能性だってあります。不健全・粗悪な商品の販売、目を覆うような大特価セール、強引な押し付け販売、見え見えの集客企画、マルチ(ネズミ講)まがいの商い、安易な副業等々、我々が絶対に手を出すべきではない様々な複合的要素は、世論からは「邪道」と決めつけられる可能性が高い代表的なリスク要因です。ジュエラーとして、地元で生き抜くと覚悟したのであれば、誇りと情熱を胸に、これらリスク要因には絶対に関わってはいけないと考えます。全宝協や小保方さんと同じ立場になれば、すべてをあきらめないといけなくなるはずですから・・・。
■旬の商品と成り得る要素 ■2014年3月14日 金曜日 14時17分38秒

 今年に入り、商品の動きが少し良くなった気がしています。消費税率が上がる前だからかもしれませんが、去年よりはだいぶ良い気がしています。大手ボランタリーチェーンに加盟している小売店さん達の話を聞いても、展示会実績などは前年よりも良好に推移しているようです。ただ、一方で「売れる商品と売れない商品」、「売れる企画と売れない企画」、「売れるお店と売れないお店」の差が、鮮明に区分されてきているようにも思います。
多くの皆さんがご存知の通り、弊社では「アイシリーズネオ」という健康ジュエリーを製造販売しています。健康ジュエリーといっても磁気やブラックシリカ、ゲルマニウム等が入っているものではなく、金やプラチナを使用して、宝飾専門店でも扱いやすい仕上がりとなっています。また、一般医療機器に届出されていて「効能・効果がある」としっかりと明記された数少ない健康ジュエリーとなっています。
 現在では全国各地の有力店様でお取り扱い頂き、本当にすばらしい販売実績を頂いております。先週、東海地区にある大手百貨店様にお伺いし、外商スタッフの皆さんの朝礼に参加させて頂きました。大勢のスタッフさんの前で、大声を張り上げ「アイシリーズネオ」の商品説明をしてきました。消費税アップ前のラストスパートで目標数まで掲げてご活用頂けるそうで、我々も出来る限りのバックアップをお約束してきました。
 大手百貨店様の目に留まった最大の要因は、顧客対象や販売価格が、百貨店様の事情に合致していた事があげられます。同じ百貨店の東京のお店でもよく売れた事も大きかったようですが、「一般医療機器」としてエビデンスがしっかりしているため、百貨店様に対する信頼を汚すようなリスクが極めて少ない点も重要だったように思います。
 アイシリーズネオが、たくさんの宝飾専門店で良好な販売実績を上げている事情も、大手百貨店様の事情もほぼ同じです。まず、展示会商品ではないことです。健康ジュエリーというと、いわゆるメーカーさん専属の販売員さんが展示会で販売することが「常」ですよね。血流検査までして販売することもあります。「血流検査」にいたっては、たとえ弊社のように「医療機器」というお墨付きを頂いたものであっても、販売の現場でデモンストレーションすることは薬事法等で規制の対象となるのです。普段、お店に在庫を置いて頂いて、目に留めて頂いたご来店のお客様に“お店のスタッフさん”が説明して販売出来ている健康ジュエリーは、我社の「アイシリーズネオ」くらいかもしれませんね。弊社は、店頭でアイシリーズネオを販売するための勉強会も定期的に実施しています。もちろん、我々を展示会に呼んで頂いて販売することもあるのですが、あくまでも、販売のお手伝いというよりは、販売手法のデモンストレーションという意味合いを持たせているのです。ですから、他社が販売する多くの健康ジュエリーが2〜3年というスパンでブームとともに現れては消える中、弊社「アイシリーズネオ」は発売以来15年が過ぎようとしています。さすがに何年も店頭で売れていると、社内のほとんどのスタッフさんが説明方法を覚えてくれて、継続的な販売実績が創りやすくなる好循環を生み出すのです。
 そして、「ジュエリー品質」であると言うことも重要です。使用している素材や、加工技術が、すべてジュエリーと呼べる要素になっていないといけません。「美しさ」は何よりも優先されるべきで、宝飾店を訪れるお客様の価値観に見合うものでないと駄目なのです。
 さらに、お買い求め頂いた後の「使用頻度」にも配慮が必要です。“モノ”が無かった時代は、ジュエリーを買って頂いた瞬間が、満足のピークだったそうです。バブル前、「ついに、私もダイヤモンドを手に入れたわ」という満足感は、昭和30〜40年代の「テレビ」や「マイカー」に匹敵する感情だったかもしれません。しかし、現在は、ジュエリーを買った瞬間が「不安」のピークとなっているように思います。この話を現場で私が語り始めると、多くの現場スタッフから「支払いがあるからですよね」とうなずかれます。しかし、それこそ間違いであり、現状認識から離れてしまっている証拠となります。私が言う「不安」とは、「お金払えるかなぁ」ではなく「買ったけど使うかなぁ」という不安です。宝飾店の常連さんは、お金に困っているわけではない中流以上が多い事は、現場スタッフの皆さんの多くが理解しているはずです。「裕福なスタッフは、ジュエリーの販売がうまい」とよく言われますが、それは「値段に対する腰の据え方」がまったく違うことが原因です。ジュエリーの本当の価値は「値段」のカーテンを簡単に取り払う事が出来る人でないと伝えきれないのかもしれません。いずれにしても宝飾店の常連さんにとって、「使わないのに買ってしまう」事が一番の恐怖なのです。
 「店頭で売れる」、「ジュエリーの品質」、「高い使用頻度」という3要素を、声を大にして語れる商品だけが、売上げ好調の「いま」を支える旬の商品と言えます。弊社「アイシリーズネオ」が売上好調な理由を考えると、旬の商品と成り得る3要素を、しっかりと、しかも、わかりやすくクリアしている事に尽きる気がします。本当にたくさんの業界人の皆様、御愛用者の皆様に支えられて、アイシリーズネオは更なる飛躍を感じさせる好調ぶりを示しています。どうか、皆様、弊社商品に限らず「旬の商品」をフル活用して、“いま”を闘っていきましょう。
■旬の商品と成り得る要素 ■2014年3月14日 金曜日 14時16分40秒

 今年に入り、商品の動きが少し良くなった気がしています。消費税率が上がる前だからかもしれませんが、去年よりはだいぶ良い気がしています。大手ボランタリーチェーンに加盟している小売店さん達の話を聞いても、展示会実績などは前年よりも良好に推移しているようです。ただ、一方で「売れる商品と売れない商品」、「売れる企画と売れない企画」、「売れるお店と売れないお店」の差が、鮮明に区分されてきているようにも思います。
多くの皆さんがご存知の通り、弊社では「アイシリーズネオ」という健康ジュエリーを製造販売しています。健康ジュエリーといっても磁気やブラックシリカ、ゲルマニウム等が入っているものではなく、金やプラチナを使用して、宝飾専門店でも扱いやすい仕上がりとなっています。また、一般医療機器に届出されていて「効能・効果がある」としっかりと明記された数少ない健康ジュエリーとなっています。
 現在では全国各地の有力店様でお取り扱い頂き、本当にすばらしい販売実績を頂いております。先週、東海地区にある大手百貨店様にお伺いし、外商スタッフの皆さんの朝礼に参加させて頂きました。大勢のスタッフさんの前で、大声を張り上げ「アイシリーズネオ」の商品説明をしてきました。消費税アップ前のラストスパートで目標数まで掲げてご活用頂けるそうで、我々も出来る限りのバックアップをお約束してきました。
 大手百貨店様の目に留まった最大の要因は、顧客対象や販売価格が、百貨店様の事情に合致していた事があげられます。同じ百貨店の東京のお店でもよく売れた事も大きかったようですが、「一般医療機器」としてエビデンスがしっかりしているため、百貨店様に対する信頼を汚すようなリスクが極めて少ない点も重要だったように思います。
 アイシリーズネオが、たくさんの宝飾専門店で良好な販売実績を上げている事情も、大手百貨店様の事情もほぼ同じです。まず、展示会商品ではないことです。健康ジュエリーというと、いわゆるメーカーさん専属の販売員さんが展示会で販売することが「常」ですよね。血流検査までして販売することもあります。「血流検査」にいたっては、たとえ弊社のように「医療機器」というお墨付きを頂いたものであっても、販売の現場でデモンストレーションすることは薬事法等で規制の対象となるのです。普段、お店に在庫を置いて頂いて、目に留めて頂いたご来店のお客様に“お店のスタッフさん”が説明して販売出来ている健康ジュエリーは、我社の「アイシリーズネオ」くらいかもしれませんね。弊社は、店頭でアイシリーズネオを販売するための勉強会も定期的に実施しています。もちろん、我々を展示会に呼んで頂いて販売することもあるのですが、あくまでも、販売のお手伝いというよりは、販売手法のデモンストレーションという意味合いを持たせているのです。ですから、他社が販売する多くの健康ジュエリーが2〜3年というスパンでブームとともに現れては消える中、弊社「アイシリーズネオ」は発売以来15年が過ぎようとしています。さすがに何年も店頭で売れていると、社内のほとんどのスタッフさんが説明方法を覚えてくれて、継続的な販売実績が創りやすくなる好循環を生み出すのです。
 そして、「ジュエリー品質」であると言うことも重要です。使用している素材や、加工技術が、すべてジュエリーと呼べる要素になっていないといけません。「美しさ」は何よりも優先されるべきで、宝飾店を訪れるお客様の価値観に見合うものでないと駄目なのです。
 さらに、お買い求め頂いた後の「使用頻度」にも配慮が必要です。“モノ”が無かった時代は、ジュエリーを買って頂いた瞬間が、満足のピークだったそうです。バブル前、「ついに、私もダイヤモンドを手に入れたわ」という満足感は、昭和30〜40年代の「テレビ」や「マイカー」に匹敵する感情だったかもしれません。しかし、現在は、ジュエリーを買った瞬間が「不安」のピークとなっているように思います。この話を現場で私が語り始めると、多くの現場スタッフから「支払いがあるからですよね」とうなずかれます。しかし、それこそ間違いであり、現状認識から離れてしまっている証拠となります。私が言う「不安」とは、「お金払えるかなぁ」ではなく「買ったけど使うかなぁ」という不安です。宝飾店の常連さんは、お金に困っているわけではない中流以上が多い事は、現場スタッフの皆さんの多くが理解しているはずです。「裕福なスタッフは、ジュエリーの販売がうまい」とよく言われますが、それは「値段に対する腰の据え方」がまったく違うことが原因です。ジュエリーの本当の価値は「値段」のカーテンを簡単に取り払う事が出来る人でないと伝えきれないのかもしれません。いずれにしても宝飾店の常連さんにとって、「使わないのに買ってしまう」事が一番の恐怖なのです。
 「店頭で売れる」、「ジュエリーの品質」、「高い使用頻度」という3要素を、声を大にして語れる商品だけが、売上げ好調の「いま」を支える旬の商品と言えます。弊社「アイシリーズネオ」が売上好調な理由を考えると、旬の商品と成り得る3要素を、しっかりと、しかも、わかりやすくクリアしている事に尽きる気がします。本当にたくさんの業界人の皆様、御愛用者の皆様に支えられて、アイシリーズネオは更なる飛躍を感じさせる好調ぶりを示しています。どうか、皆様、弊社商品に限らず「旬の商品」をフル活用して、“いま”を闘っていきましょう。
■新規顧客の勧誘こそ“必要不可欠の大命題” ■2014年2月17日 月曜日 16時27分2秒

消費税率がアップする前の駆け込み展示会が増えています。私も2月、3月のすべての週末は展示会販売のお手伝いをさせて頂く予定になっています。個人的には、メーカーの我々が消費者の皆さんと深く関われる唯一の場所であり、様々な情報やスキルを得られる大切な機会と考えています。
小売りの現場を多く経験させて頂いているので、展示会という存在の大きさは理解しているつもりです。しかし、いつもいつも同じお客様に頼ってしまうような展示会の「苦しみ」は、言葉では表せないくらいの「悲劇」だと思います。「お客様」も、主催者である「小売店スタッフ」も、お手伝させて頂いている「メーカー」さえも辛くなる展示会に陥ってしまう危険もあるからです。
 小売店の現場スタッフさんからすれば、呼びやすいお客様にお声かけするのは当然です。呼びやすいお客様の数は、年々減少傾向にあるように思え、呼びやすくないお客様(新規顧客など)の勧誘は必要不可欠の大命題となっています。
 展示会の会場で、こんな言葉を聞くことがあります。スタッフさんから常連のお客様への言葉ですが「今日は買わなくても良いからね、遊んでいって」という投げかけ。メーカーである我々は、その言葉を大人の解釈で捉えないと胸がはち切れそうになります。自分の場合、この会場に来ている限りは、スタッフさんは、当然「売上げを創るために呼んだはずだ」と心に呼びかけ続けます。そうしないと自分の心に宿る「セールスの神様」が腰を上げてくれないからです。買ってもらうつもりで、そのお客様を呼んでいるのか、買ってもらえたらラッキー程度でとりあえず「宝くじ」のように頭数を揃えたのか・・・。どんな状況でも、目の前にいるお客様は、ジュエリーを買いに来たお客様と見なし接するように「自己洗脳」するようにしています。そんな中で、スタッフさんから、時々信じられないような言葉を聞いたりすることもあります。「あのお客様、いつもお土産だけ貰いに来るのよねぇ」。実は、意外によく聞く言葉のひとつです。「お土産だけ貰いに来るとわかっているなら、それこそ呼ばなければよいのに」と心でつぶやきます。私の心に宿るセールスの神様は、いまにもどこかへ出掛けてしまいそうになります。
 自分たちは東京からたくさんの商品を持ち込み、そのリスク(盗難や紛失事故)に耐えながら、交通費、宿泊費、家族との時間を犠牲にしてその現場に足を運んでいます。理由はたったひとつ、「売上げ」を創るためです。ふだん、お世話になっているお礼として、つきあいで足を運ぶような余裕のメーカーさんは、いまの時代には存在しないでしょう。
 やはり、お客様を創らなければどうにもならないのです。市場に対し、業界全体で、ジュエリーの魅力を拡げる努力をもっともっと加速させないといけないのです。基本的なことですが、
「人」を操るのが小売り、「金」を操るのが問屋、「モノ(商品)」を操るのがメーカー。
 それぞれが違った立場で、最善の方向性を考えて、その立場で何が出来るのかを一致団結する場が必要ではないでしょうか。それぞれの柵(しがらみ)は捨て去り、互いに言いたいことを活発にぶつけ合って、今こそ「協働の精神」を発揮しなければ、プロの「創り手」であるメーカー達が小売りまで手を出す事になったり、「人」づくりのプロである小売りの皆さんが「卸」や「製造」にまで手を出すことになったりという業界の流れはますます目立ってくることでしょう。それこそは互いの立場に対する「物足りなさ」への不安が生み出した「負の遺産」以外、何物でもありません。 それぞれが「プロ」として、自分たちの立場に専念できるジュエリー業界に、変えていかなければいけないのではないでしょうか。
■将来のジュエリー市場を支える若者達から信頼されない存在になるのは絶対に避けるべき ■2014年1月17日 金曜日 16時17分36秒

 私がジュエリー業界の人間でなかったら・・・例えば、素人の木村亮治が、愛する彼女のために婚約指輪を買うなら、どこで買っていただろう。
 私なりに考えに考え抜いて、結論は「ティファニー」。私は、特にティファニー信者というわけではないし、ブランドにこだわるような女性に自分から惚れるとも思わない。自分がティファニーを選ぶと思われる理由は「安心感」によるものである。
 自分の性格はとても「ケチ」で、自分がお金を出して買うなら、他人より(同じものを)高く買うのは絶対にイヤである。だから、あちこちのいろいろなお店で見かけるブランドの指輪なら、手元のスマホを駆使してその場で検索し、ネット上の一番安いお店を探す。ただし、現物チェックだけは忘れることはしないだろう。大手メーカーのブランドであれば必ず「現場」にも「ネット上」にも氾濫しているので、自分が一番行きやすい宝石店(個人接客を避けたいために、おそらく人混みに紛れられる百貨店)で現物をチェックし、指のサイズを測ってもらうまでを店頭で済ませて、購入に関してはネットで最安値検索をして「決済」クリックする。
 それに私は見栄っ張りである。素人ながら「間違いのない買い物をした」と胸を張りたい。自分の性格を考えれば、数多くの宝石店を渡り歩いて調べるはずである。そんな中、現在のブライダルジュエリーショップの実態を考えれば、多くのお店で「特価の勧誘」を受け続けるであろう。「今日決めてくれたら、特別に○%オフします」という、アレである(笑)。お店によっては毎週末、「今月は決算で、特別価格」という説明を繰り返すお店まである異常な世界を、生意気な素人の私は「信用出来ない業界」と判断するに違いない。私は、「ここぞ」という買い物をケチる性格でもない。必要なものであれば、けして安い必要は無く、どちらかと言えば「安物買いの銭失い」を避けたいタイプである。
 そんな生意気な素人の私は、多くのお店を調べ尽くした後に悩むはずである。まずはダイヤモンドに頭をひねる。いわゆる「4C」でダイヤモンドの価値は決まると説明されるはずだが、4C的に同じグレードのものでも、その価格は、店頭とネット上で大きな開きがあることが理解出来ない。
 例えば0.3ct、D、VVS1、3EXを大手インターネット販売サイト「Blue nile」で調べると、小売価格は8万円台から用意されている(2014年1月13日)。米国GIAのレポート付、米国内および海外43カ国へのすべての発送がFedEx発送無料、条件付となるが返品保証となればネット販売の不安さえ軽減される。一方で倍近い価格が付いているサイトも少なくないが、少なくとも、店頭の「現場」では倍以上も普通である。
 さらに、デザインで悩む。男の私には、すべて同じようなデザインに見えるのだ。それにも係わらず価格に大きな差が出ている。
 ゼクシィに大きく掲載されたお店や、「品数が多いところで買えば大丈夫かな」と最初は考えるだろうが、いざ、店頭に足を運ぶと、今度は多すぎて選べない(笑)。それぞれに特徴でもあれば別だが、やっぱり、ブランド名や値札のデザイン、陳列ディスプレイが違うだけで、指輪そのもののデザインはどれもこれも似すぎているのである。そして最初の不安が頭をよぎる。ここで選んでしまって、うちに帰ってネットで調べたら、同じようなものがもっと安くお得に販売していたらどうしよう・・・といった不安である。
 そんなことを繰り返した後に、素人の木村亮治は恐らく「ティファニー」を選ぶ。もちろん、けして安いわけではない。4Cで同じグレードのダイヤでも比較的他店よりも高価である。しかし、高くても不安は少ない。ティファニー店頭では、4Cはともかく、ティファニーの基準があると説明されるので、その善し悪しは、世界的にも「有名」な会社のプロフェッショナル達に任せた方がリスクが低いと考えるはずだ。そして、何より「安心感」である。素人・木村は、あちこちの店頭で、何度も「特価」や「割引」を打診されたでしょう。その結果、宝石の価格に関してかなりの不信感を持ち始めるはずである。ティファニーであれば、自分が買った同じ商品が、どこかでディスカウントされて売られている心配は極めて少ない。ティファニー自体が大特価セールをするとも思えない。まさに、迷走を続けて行き着いたゴールが、誰もが知っている「ティファニー」となるんじゃないかなぁ(笑)。
 北関東のある都市の商店街では、ブライダルジュエリーマーケットのほとんどを、地元百貨店の中にあるティファニーが占めているそうです。その理由は、単なる「ブランドに対する憧れ」だけでは無い気がします。ディスカウント接客やありきたりのデザインにウンザリしたこだわり派カップルさん達が、地元宝石店やチェーン専門店を避けて、消去法で「安心出来る店」を選んだ結果かもしれません。
 私の仮説が正しかったりすると、我が国のジュエリー業界にとって、最大の危機と言わざるを得ません。消費者の目はどんどん高度になり、本質を追究する厳しい時代、若者達の二極化はますます進んでいます。「こだわれる若者」と「間に合わせるだけの若者」、その彼らが年を重ね、余裕のある年代に成長した時、宝石店にとって大切な存在は果たしてどちらの若者達か・・・。誰もが容易にわかるはずです。
 こだわれる若者達が将来のジュエリー市場を支えてくれるのであれば、その若者達から信頼されない存在になることだけは、絶対に避けるべきではないでしょうか。
■2014年は、期待とともに強烈な危機感と緊張感に覆われた勝負の年 ■2014年1月9日 木曜日 16時16分25秒

 明けましておめでとうございます。政府の景気対策やオリンピック誘致の成功によって、少しだけ景気に明るさが見え始めた、期待に胸膨らむ2014年の幕開けです。
 大手百貨店5社が昨年12月2日に発表した11月の売上高は全社が前年同月を上回っていました。全社そろってのプラスは2カ月ぶりで、堅調が続いた高級腕時計や宝飾品など高額品の売上の影響も大きかったと報道されています。数字を見ても明らかです。3.1%増収の高島屋は高級腕時計を含む宝飾品売上が37.9%増、5.1%増収の大丸松坂屋百貨店でも美術・呉服・宝飾部門が27.7%増と、好調を支える牽引役となっていることは間違いなさそうですね。株価や金価格の上昇基調が背景となり、それら刺激に敏感な外商顧客や各ブランド顧客が高額品を買ったのです。「客層」や「客数」はほぼ前年と変わらないのに、客単価が大幅に上昇していると聞きます。そして多くの業界関係者が、2014年も、“高額品消費”の基調は続くと見ているのです。
 高額品消費が出来る人々を顧客として多く抱えている百貨店等の小売窓口が成長する一方で、国民の多くを占める「庶民」をメインとしてきた小売窓口は、急速に狭くなっていく年になってしまいそうです。消費増税や、大企業優遇の政策の中、「庶民」には厳しい時代が到来します。
 もともと、我国では「庶民」でもジュエリーを買うことが出来ます。私自身も現場で「自分へのご褒美」なんて言い方をして様々なジュエリーを販売してきました。バブル期以降は「国民総中流家庭」のキャッチフレーズのもと、多くの国民がちょっとした贅沢を楽しめる時代が長く続いてきました。日本は(あくまでも経済的にという注釈が付きますが)世界で最も豊かな国へと成長したのです。しかし、冷静に考えれば「ジュエリー」は「贅沢品」です。割引超特価○%オフで買うものでもなければ、○十回無金利ローンで買うものでもありません。いわゆる「限られたマーケット」の中で、限られた人々だけが楽しめる趣味趣向の王様なのです。
 アベノミクスの成果により階級社会が確立すると、貧しかった頃の我国や、他の国々がそうであるように、国民全世帯の2割弱と言われる「お金持ちの人々」だけがジュエリーを買う時代に「戻る」はずです。そうです、「戻る」のです。それが良い事なのか悪い事なのかは私自身でも悩みどころですが、当たり前の普通の事なんですよね。
 我々宝飾業界も、昔に「戻る」一面が必要かもしれません。高価で貴重なジュエリーを、限られたマーケットへ大切に販売していく時代・・・例えば、そこには展示会の準備風景で当たり前のように見られる光景は消滅するはずです。問屋さんやメーカースタッフ達が、手馴れた様子で素手でジュエリーを掴み、まるで雑貨品を扱うかのように什器(指輪刺や首掛)にどんどん陳列していく“あの”光景です。
 私は、2014年に期待しています。しかし、その前提として、ジュエリーに求められる「本質」をもう一度しっかりと見直すことが必要だと感じています。製品の品質や、アイデンティティー、階級社会時代におけるマーケット、さらには芸術性など、ジュエリーだからこそ求められる多くの価値観をしっかりと確立していくための2014年と考えています。それが出来なければ、2015年以降が闇に閉ざされてしまうからです。期待とともに強烈な危機感と緊張感に覆われた勝負の年、皆様とともに「行動」する一年でありたいと願っています。今年も「木村の独り言コラム」と「株式会社ジュホウ」を宜しくお願い致します。
株式会社ジュホウ 代表取締役・木村亮治(ryo.kimura@j-twinkle.co.jp)
■いまこそ、店頭販売力の真価が問われる時期 ■2014年1月9日 木曜日 16時13分47秒

 今年も残すところあと2週間となりました。年末商戦、全国で頑張っている皆様の活躍ぶりが目に浮かびます。いまこそ、店頭販売力の真価が問われる時期ですよね。展示会販売の売上に頼りすぎる危うさは誰もが感じるところですが、その麻薬から卒業するのはなかなか容易ではありません。
 私は店頭で売れる定番商品の開発に力を入れています。そんな中で、弊社らしい面白い商品が生まれました。パラジウム(Pd950)のコマネックです。我社では「森羅万象(しんらばんしょう)」というブランド名で売り出しており、販売価格で5万円台(オープン価格)から用意されているようです。もともと、はじめて完成させた時、古くからの取引先様へ弊社セールスマン達が持ち込んだところ「デザインが懐かしすぎる」「地金がパラでは売りにくい」という理由でなかなか取り扱ってもらえず「早すぎたかなぁ」と考え込んでしまいました。そんな時「面白い」と目を着けてくれたのは百貨店さんの若いバイヤーさん達でした。世界中で弊社しか作っていないパラジウム製のコマネック、今ではデザインに欠品が出るほどの人気で、少しホッとしています。
 私の父が現役絶頂の頃、コマネックは我社の主力商品でした。ジュホウのコマネックは表面の研磨が素晴らしく、とてもよく光ると有名だったそうです。他社コマネックよりも高値だったにも関わらず、弊社のコマネックがいちばん売れていたと、多くの先輩方から聞いています。
 父からこんなエピソードを聞いた。ある宝石店さんが火事になり、消化剤が商品の上に降り注いでしまった。その時、中性洗剤と水で簡単にキレイになったのはジュホウのコマネックだけだったそうです。それは、パーツ表面の研磨の良さでツルツルしていたので消化剤が容易に落ちやすかったことが原因だったそうです。それを見た火事に見舞われたお店の社長さんが「ジュホウのネックだけは高くても良いから向こうの言い値で仕入れろ!」と言って、長期に渡り、弊社コマネックを大切に販売してくれたそうです。販売の現場でも、この火事のエピソードは伝説のように語り継がれたと聞いています。良いものにはそれだけの価値があり、その価値には売る人、買う人双方の心を奪う魔力が宿っているのですね。ウン十年昔の話を書いてしまいましたが、ここが、脱・展示会販売のキーポイントのような気がするのです。店頭でスタッフ達が、その価値を「語る」理由が存在することが、店頭販売強化の原点のような気がしてなりません。今年は弊社地金リング(石を装着しない地金だけのリング)も本当によく売れました。弊社の製法特許であるティンクルカット(弊社ホームページをご参照下さい)が付加価値として備わってくれているおかげです。
 昔、さんざんコマネックを販売したベテランの皆様からすれば「森羅万象」は見飽きた商品だったかもしれません。素材がパラジウムというのも抵抗があったでしょう。しかし、究極の定番商品と呼ばれるものは、高級車・メルセデスベンツのように、伝統的に同じ意匠を踏襲しながら、何か新しい斬新な要素を加えていくものです。トヨタのロングセラー・クラウンがハイブリッドカーになって人気を博しているのも理解出来ます。冷静に考えれば、いま、コマネックを一生懸命作っている工場が、うち以外にあるでしょうか(笑)。もしかしたら、いつの間にかオンリーワン商品になってしまったかもしれません。さらに驚いたのは、私の妻も含め、同級生達(42歳)にコマネックを見せると「キレイ」とか「斬新」という言葉が出てきます。実はコマネックを見たことがない年代がジュエリー市場の中心へ近付いてきているのかもしれませんね。それなら、当然、大チャンスです。見飽きているのは業界人だけなんですから。我々が戦略商品として生み出したパラジウム製のコマネック「森羅万象」は、父の代からの仕上げの良さ、作りの巧みさに、さらなる進化を加えた最新の技法で仕上げられています。プラチナよりも丈夫で、肌に優しく、軽くて、輝きの強い「森羅万象」を、店頭販売強化のきっかけとして活用してみては如何でしょうか。最後に宣伝になりますが「森羅万象」Pd950ネックレスのカタログをお配りしています。詳しくは(株)ジュホウ東京事業部 電話03-3801-9951まで。
■ベテラン経営者によるワンマン経営は「善」か「悪」か ■2014年1月9日 木曜日 16時12分19秒

 ベテラン経営者によるワンマン経営は「善」か「悪」か。全国の現場を渡り歩いて自分が感じる事は、ベテラン経営者が率いるワンマン企業は我々の業界には多いという事です。
 今年の春頃、家電量販店最大手のヤマダ電機が全役員の降格を発表しました。創業者の山田昇会長が、何故か5年ぶりに社長として現場復帰し、社長は副社長に降格。それ以下の取締役も全員が1段階ずつ降格するという珍しい人事です。極度の業績不振が原因で、現在のヤマダ電機には、数年前、売上高が2兆円を突破し3兆円の目標を掲げた勢いは感じられません。現状は恐らく、その目標額の半分程度かもしれませんね。雑誌には、ヤマダ電機凋落の理由は山田社長の「超ワンマン」にあると書かれていたのが思い出されます。
 記事には「役員会で喋るのは山田会長ひとり。他の役員は何も言えない。中国進出でも第1号店から状況は悪かったのに、止めようと言えないまま、ずるずると出店を続け、深手を負った」(ヤマダの元幹部)・・・なんて書き方がされていました。
 山田社長は、私の故郷・群馬県の英雄です。地元群馬の小さな電気屋さんが、日本を代表する企業へと躍進した、まさに“グンマドリーム”の立役者と言えます。
 例えば、家電のマーケットは、近い将来、その殆どがインターネットになる・・・若者達にとっては当たり前と思えるその現実を、御年70歳の山田社長に、完璧に理解してもらうことが出来るでしょうか。山田社長も、多分、言葉では理解されていたでしょう。
「現物は地元の家電量販店でチェックし、買う時はインターネットで最安値を探す」という論理は、現役世代にとっては、多くのベテラン世代が考えているよりも当たり前の流れです。その動きはわずかこの数年で急激に日常化し、プロ野球・東北楽天イーグルスの日本一でさらに拍車がかかっています。
 もしも雑誌の記事が本当なら、会議で誰も山田社長にモノを申す事が出来ない環境では、人生経験は素晴らしく豊かであってもまったく野球経験はありませんという監督のもとでペナントレースを闘うような状態の企業になってしまうと思います。つまり、人生経験の中で「野球」という世界を常識の範囲内で理解している・・・例えば、野球は9人でやっているとか、ストライクとボールの違いはどうとか、アウトは3つで攻守が変わるとか、なんとなくシステムの概要を知っている程度では、プロチームの監督なんて出来ませんよね。どんなに、選手達から詳しく教えて貰っても、野球経験そのものがなければ理解出来るわけはないのです。それでも監督をやり続けるなら独自の理論で成功させるしかありません。これこそ、極めて難しい奇跡の成功です。
「まだまだ心配だから」となかなか現役引退しないベテランワンマン社長も多いのですが「後継者のため」という言葉は、いま流行の偽装に聞こえます。結局は「自分」のため、自分がやめたくないだけに見えます。例えば、後継者が自分の息子なら、息子に譲って、息子が会社を潰しても、それは仕方のないことなのです。その程度の会社なら、たとえ先代がギリギリまで現役にこだわっても結局は潰れますから。父として、経営者として、ご子息の「しつけ」や後継者教育を全力でやった自信があるなら、自分がとことん元気なうちに、どんどん息子さんに会社を譲るべきでしょう。そうすれば、悔いのない企業継承が出来ます。何故なら、言い残すことが無いくらいまで元気に文句が言えるからです。その文句に立ち向かうことが出来ないような後継者なら、どうせ駄目になるのですから、遅かれ早かれ同じ事です。
 時代は想像を絶するスピードで変化しています。ワンマン経営で成功するためには、その変化の全てを完全に掌握し、力強く前進出来る経営者にならなければ野球経験のない監督になってしまいます。そのエネルギー源は元気な身体と、長期に渡るプロジェクト遂行能力を備えることが必須となりますが、それを無視してワンマンに君臨することは、後継者がもともと持っていた「やる気」と「実力」を、どんどん奪って「負」のスパイラルに陥る危険があるということだけは、けして忘れてはいけないと思います。
■「おばあちゃん・おじいちゃん世代」の後に来る生活の疲弊・緊急事態 ■2013年10月15日 火曜日 13時53分54秒

 30年くらい前、自分が少しずつ社会の仕組みに興味を持ち始めた頃、自分が大人になったら、車を買って、家を建てて、子供を大学まで行かせて、老後は妻と海外旅行を楽しむのかなぁなんて普通に考えていた。2013年の現在、私と同じ42歳で、30年前に思いついた“普通”を実現出来る人は本当に幸せだと思う。
 我々が「現場」と呼ぶジュエリーの展示会場で、販売の仕事をお手伝いさせて頂いている時、商品をおすすめした際の断り文句の上位に入ってくるのが「子」や「孫」への気遣いである。ここ数年では、「お孫さん」が、急増しているキーワードである。「こんど、孫が大学を受験するので」、「こんど、孫が結婚するので」、「こんど、孫にクルマを買ってやらないといけないので」。
これから孫に大金を使うので、ジュエリーを買うことを控えるという事らしい。確かに、ジュエリーを買って頂ける顧客層の年代を考えれば、孫が成人の一歩手前くらいになっている事は容易に理解出来る。地方の宝石店が主催するようなジュエリー展示会に来て頂けるVIPのお客様は、比較的お金に余裕のある中流層の上位の方が多いと感じる。家庭の中では、当然「おばあちゃん」、「おじいちゃん」と呼ばれる人々だ。この人々は、私が察するに、完全に家族の経済的な大黒柱として君臨している。例えば、地方の「おばあちゃん」「おじいちゃん」が子供夫妻と孫達を引き連れて、ディズニーランドへ遊びに出掛ける。その旅費、宿泊費、現地で遊ぶための細かい出費・・・そのすべてを「おばあちゃん」「おじいちゃん」が引き受けるのは当たり前の慣例である。私達は、ジュエリーの展示会場で、お客様の世間話の話し相手になることが多い。ただでさえ、高額のジュエリーと積極的すぎる販売員達に囲まれて緊張状態にあるお客様に、少しでもリラックスして頂きたいと思うからだ。そんな中、だいたい還暦を過ぎた頃のお客様達の世間話を誘導すると、そんな話は当然の如く耳にする。不思議なのは北海道に行っても九州に行っても「ディズニーランド孫奉公旅行」の話しは登場するので、全国的に流行っているのかもしれない(笑)。そんな時42歳の自分はとても不安に思うのである。自分達40代前半の世代が、還暦を迎える頃、子供達や孫達を経済的に支えられる「大黒柱」になり得るのかという不安だ。
 同世代、同級生達の現在の様子は痛いほど伝わってくる。その所得も出費も容易に想像が付く。いまだにご両親の経済的援助が無ければ、生活が成り立たないという同世代も多い。多いというよりも、殆どかもしれない。
 私はGIA.G.G.を日本で取得した。この業界で10年近く過ごした頃、その必要性を強く感じ、現在とほぼ同じ全国を走り回る日々の中で「通信課程」で取得させて頂いた。話しは変わるが、あの「通信課程」という言葉は「詐欺」だと感じた(笑)。通信なんて言ったって、御徒町のGIAへどれだけ通学したかわからない。取得までの約1年間、地方の展示会場と御徒町を何度も何度も行ったり来たり。当時の先生が「あれだけ大きなスーツケースをいつも教室に持ち込んでいたのは木村さんだけだよ」と今でも笑う。私の先輩方で還暦前くらいのベテランG.G.は本国・アメリカで取得している人が多い。お父様が宝石関係の会社の社長さんだったという人が多いのも必然的だ。ベテランG.G.が米国で青春を過ごしていたのは恐らく昭和50年代で、日本の高度成長が最終コーナーを向かえていた頃のようです。今では信じがたい「所得倍増計画」を成し遂げた頃から20年近くが過ぎ「国民総中流化家庭」なんて言葉も飛び交ったそうだ。その頃、宝石がじゃんじゃん売れていた事は諸先輩方の昔話で耳に“タコ”が出来るほど聞かされている。そんな時代の宝石業者の社長の息子さんが、今では想像出来ない円安ドル高の学費と生活費をしっかりと手にして渡米出来たのは、まさに“ジャパンドリーム”であり、憧れの対象だったのかもしれません。でも、現在の状況の中、同じような教育を息子や孫に施すことは極めて容易なこととは思えません。弊社の全国の取引先を見渡しても、自分と同世代の社長や専務クラスが、その子供達に同じ対価をかけられるかというと、とても無理な気がします。
 いま、日本の市場は還暦過ぎの方々の消費活動に支えられています。その方々の中で約2〜3割の富裕層が、長年の努力の成果として「貯蓄」と「年金」という確固たる財源を手にし、第二の人生を謳歌しているのです。たとえ富裕層でなくても、我々の世代から見れば、ベテランの皆さんの多くが余裕があるように見えてしまいます。多い、少ないは別として「年金」が支給されている時点で羨ましい限りです。
 自分が不安なのは、現在の「おばあちゃん」「おじいちゃん」世代が去った後、我が国の市場はどうなのかという不安です。我々世代が、子や孫にかけられるお金は、現在とは比べものにならないほど少額となり、恐らく「中流」という階級は完全に崩壊するのでしょう。
 人々が自分の生活水準を低く戻すことは簡単ではない。上からの援助が消滅した後の若年世代の生活が著しく疲弊し、大混乱を招くことは、もはや避けては通れない道なのかもしれません。完全に「おばあちゃん」「おじいちゃん」、あるいは両親からの「援助」、さらには社会からも守られていた若年層が「お金がないからガマンする」という「当たり前」をどこまで受け入れられるかという切実な問題は、社会秩序の維持という点で大きな懸念要素になる気がして仕方ないのです。ましてや、オリンピック後、我国が「デフォルト」に陥ればなおさらです。いずれにせよ、日本は確実に「富裕層」2割、「貧困層」8割の国へと向かっています。8割の貧困層をジュエリー市場の計算式に当てはめるのは困難極まりない状況です。強烈な階級社会という危機を目の前にして、多くの諸先輩方の経済力に支えられてきた我々世代に残された生き残りへの道は本当に険しい。いま必死にならなくて、どうやって生き延びるというのでしょうか。自分と同世代の仲間達には「緊急事態宣言」を発令し、その対策と準備をどんどん急ぐように促していきたいものです。「考える」よりも「行動」であるということに早くに気付かないと「未来」はないのですから。
■富裕層のビジネスにシフト出来ない企業は、マーケットを失う ■2013年9月20日 金曜日 13時23分19秒

 2020年、夏のオリンピックが東京に決まり、世の中が元気になりそうですね。東京召致メンバーの最終プレゼンテーションは感動的でした。
 日本はどんなふうに変わるのでしょうか。間違いなく進められる事は、東京湾岸地区を中心とした公共施設、社会基盤の前倒し的な整備です。莫大な資金が東京へ集中します。東京〜名古屋間で計画されている中央リニア新幹線までも間に合わせようとする声もあるそうです。
 消費増税はほぼ確定でしょう。さらなる増税だって覚悟しないといけません。なんてったってオリンピックですから。総理大臣や政府は、これで日本経済は大きく成長すると言っています。経済効果は3兆円とも言われています。私も、そうなって欲しいと心から願っています。
 ただ、日本の階級社会は確実に台頭するのではないでしょうか。オリンピック召致で潤うのは大企業ばかりと考えられています。建設、土木、観光、広告等々、殆どの業界も大手が牛耳っています。また、それらに投資する人々も、富裕層ばかりです。長く続いてきた「国民総中流家庭」時代も確実に終焉をむかえ、「買える人々」に特化したマーケティングも急務となるはずです。つまり、富裕層のビジネスにシフト出来ない企業は、マーケットを失うということです。
 宝飾業界で数年前から「ローン問題」が表面化しました。ローンの個人審査が厳しくなり、ジュエリーが売り難いという問題でした。しかし、この問題も消える気がします。近い将来、ローンまでしてジュエリーを買う人は激減するはずだからです。消費税も、金・プラチナ相場も、ダイヤモンド価格でさえ上がってきます。追い打ちをかけるように円安も進んだらジュエリーの価格はいったい幾らくらいになるのでしょうか。そんな高価なジュエリーを買える人々は、ローンなんて組まないのではないでしょうか。本当のお金持ちだけがターゲットなら、ローンは不要なのです。
 もしも、今の売上の大半がローンによるものであれば客層の改革が必要です。近い将来は期待できない客層だからです。オリンピックは、市場の「当たり前」を早める起爆剤です。テレビのニュースで「景気の上昇」が叫ばれても、それは全国民の2割程度と言われる富裕層の人々が対象なのです。その富裕層は突然、来店してくれません。むしろ、お抱えのジュエリー店を既に持っていて、浮気は難しいとみるべきです。 先週、とある高級宝飾店の展示会をお手伝いさせて頂いたのですが、百万円〜2百万円程度の高級腕時計が、次々に売れていきました。噂では過去最高の売上だったようです。2013年夏、全国には売れ過ぎて困っているお店も明らかに存在します。彼らは本当に元気です。今から新たに富裕層を獲得するためには、ブライダルから若者達を育成するか、超高級店を新設し20年くらいかけて顧客づくりに専念するしかないのかもしれません。難しい舵取りを迫られますが、やらなければ未来はないのではないでしょうか。
 我々の業界では、なぜか、本業以外の活動が忙しい後継者だったり、ひどい場合は現場を苦手と言って事務所から出てこないような後継者までいます。元気な社長やベテランスタッフ達におんぶにだっこで生き残れる未来は存在しません。特に現在の後継者候補が経営者となる頃、東京オリンピック後の壊滅的なリバウンド不況がやって来ます。
 2020年夏の東京オリンピックは、未来を背負う若い力が中心となって宝飾業界の改革を進める為の良いきっかけになって欲しいものです。
■本物の「健康ジュエリー」の時代に ■2013年8月12日 月曜日 12時12分30秒

 連日の猛暑で、巨漢の私はいつも汗だくです。この暑さの中でも、全国各地でジュエリーの展示販売会は行われています。私も「売上」を作るため、社員の皆様に負けないようにせっせと全国の展示会場を回っております。私は展示会場では、主に健康ジュエリーを販売しています。私がこの業界に入った頃「ジュエリー品質の健康ジュエリー」はまだまだ珍しかったようで、お客様に情熱的にご説明させて頂くと、多くのお客様が真剣に私の話を聞いてくれました。いま「健康ジュエリー如何ですか?」と問いかけると多くのお客様から「私持ってるわよ〜」とご返事頂きます。磁気、トルマリン、ゲルマニウム、ブラックシリカ、玉川温泉・・・とにかくたくさんの種類が世の中には存在し「常連」と呼ばれるお客様の多くが、この「健康ジュエリー」とされる存在を何個かは所有しているのである。そこでムキになって「うちの健康ジュエリーとそこいらのを一緒にされては困る」と訴えたところで、お客様の心には全く響かない。お客様が所有されている健康グッズの類のすべてを丁寧に聞き出し、それらを尊重しつつ、不足している機能だけをなんとか見つけ出して、そこを弊社商品が補える理由をしっかりとお伝えすると、買って頂けたりするのである。他のメーカーさんから見れば、弊社商品は大ヒットしているように思えるようだ。15年もの間、ずっと販売し続けていることや、一般医療機器として、また特許取得商品としての優位性が他を引き離しているように感じるのだろう。しかし、続けてきた当の本人(私)はプレッシャーの連続でした。弊社健康ジュエリー「アイシリーズ」は「売れている」のではなく「売っている」のです。この15年間で製造してきたデザインは延べにして100種類以上、マイナーチェンジ(改良)や新機能の付加、さらにはアフターメンテナンスや、医療機器としての研究活動等、表舞台に隠れた様々な手間を掛け続けています。それは、ひとえに「続ける」ためである。15年間で多くのライバルが生まれては消えていった。弊社商品がスタートした頃は、磁気商品や時計バンドメーカーさんが作っていた健康ジュエリーが売れていた。この商品は地金にセラミックを混合したものだった。その後、トルマリンが売れた。大阪ではトルマリンの専門店まで誕生した。そしてゲルマが「プチプチ」と宣伝して一世を風靡し、程なく甲府で製造されるブラックシリカ系の商品が台頭し始める。陰りが見えていたゲルマでしたが、お正月のテレビ番組で有名占い師のおばさんHが、有名男優さんWとのやりとりの中で見事に宣伝し爆発的な市場を創り上げ復活した。不思議と爆発的に売れると減退が急速に進み、いまは主流から外れてしまった感じがする。現在は、またまたセラミック系の時代がやってきた。時代は繰り返すのだ。玉川温泉という名称を打ち出す商品や、ブラックシリカを地金に混合した商材が主流となりつつある。様々な健康ジュエリーが戦国時代のように交互する中で、弊社商品は、細く、強く、そして長く目立ち続けてきた。私は、健康商材としての信頼を獲得する最も重要な要素は「やめない事」だと信じている。消費者目線で言えば「消えない事」である。「昔、あったよね〜」が最悪の批評であり、とにかく「あの青い健康ネックレスって、ずっとあるよね」を実践し続けなければ、お取り扱い頂いた販売店様の信用を著しく傷つけてしまうからだ。弊社取引先の多くが「うちは健康ジュエリーに関してはジュホウさんのしかやらないよ」と言って頂く。それは、お取引先様の「信頼」を勝ち得た証であるとともに、自分達が大きな責任を負っているという「事実」でもある。ブライダル商品やダイヤモンド等、弊社商品のラインナップもこの15年間で一変した。しかし、健康ジュエリーに打ち込む姿勢には「こだわり」を持ち続けているつもりだ。自分達を心地よく刺激するプレッシャーに包まれながら、社長である私を含め弊社のすべての戦士達が、この暑い夏も、休み返上で全国のお店に立ち続けている。弊社を信じてくれるお取引先様のため、自分達の誇りとプライドにかけて。
(株)ジュホウ 代表取締役 木村亮治 ryo.kimura@j-twinkle.co.jp
■「問屋やメーカー」は「小売り」へ走る。隣の芝生は青く見えるのかもしれないが ■2013年8月12日 月曜日 12時6分55秒

 景気が落ち込み、売上が頭打ちになると、我々宝飾業界には不思議な傾向が見られます。「小売店」さんが「問屋やメーカー」になろうと動き始め、「問屋やメーカー」は「小売り」へ走る。隣の芝生は青く見えるのかもしれないが、まるでそうなることが成功者の証のような風潮さえある。
 小売業で成功を収め、地域の有名店へと登り詰めた時、市場規模に対する売上高のピークを向かえることに危機意識を感じ「自分達でオリジナルブランドを作り全国に卸す」という発想へと導かれていく事がある。
また、問屋やメーカーは、小売業の利益率に憧れ、さらには、自分達の商品が不況でなかなか流通に乗っていかないもどかしさから「だったら自分達で小売りしちゃおう」という流れになるらしい。 どちらも、痛いほど気持ちはわかる。しかし、その後の「経過」までなんとなく慣例化している点が心配だ。
 血気盛んな小売業の方が「問屋やメーカー」を目指して動き始めた後、何年かすると、やっぱり自分達で売っちゃった方が「楽」という発想になる事例が見られる。小売業は「動物の食物連鎖」で表現すれば頂点に位置する。高校の野球部で表現すれば神様の3年生である。その方々が食物連鎖の底辺や高校野球の1年生になるというのは、メンタル的に厳しい気がする。それに、小売では想像もしなかった低利益率、背中に重くのし掛かる在庫量、全国を飛び回る経費、さらには様々発生する取引先とのトラブルやクレーム対応、そして、あまりにも「のんびり」に見える全国の仲間達との温度差を目の当たりにして、やっぱり「自分達で店を増やしてガンガン売る方が効率的」という結論になっていくのかもしれません。
 問屋やメーカーもしかりである。小売業に憧れ、キレイな店舗を構えたり、インターネット販売をはじめても、なかなか思うような売上にならない。ほとんどの問屋やメーカーは、素晴らしくキレイなお店を抜群の立地で完成させて・・・まさか、なかなかお客様が来てくれないという悲劇は想像もしていないようだ。つまり、小売業を成立させる上で最も重要な点は、商品量や商品内容ではなく「人」や「地域」との関わりであることを理解しないまま小売業に飛び込んでしまう例である。
とはいえ、逆説的かもしれませんが、私は業界に改革を進める上で、これらの動きはとても重要と考えます。この動きに関わる人々の多くが、未来のジュエリー業界を背負うリーダー的な方が多い点もその理由です。業界で中心となる人々が、ジュエリーの風上から風下までのすべてを、自らの肌で実感して相互理解することは、必ずや、我が国のジュエリー市場を強固に下支えするエネルギーになるはずです。
 小売業が問屋・メーカーへ、問屋・メーカーが小売業へ進み、軌道に乗せて、企業の柱へと成功させる鍵は「本気度」だと考えます。慣例化された「経過」とは無縁の、とことん突き進むエネルギーです。私は「小売→問屋・メーカー」の場合、つまり風下から風上へシフトし成功させるためには「小売を捨てる勇気」も必要だと考えます。つまり、どちらも頑張って、どちらも成功させるなんて、簡単な時代でないことは、現場の皆さんが一番理解しているはずだからです。そして、「問屋・メーカー→小売」の場合は、自社が小売をする明確な「理由」と「ビジョン」を持ち、さらには全社体制でそのビジョンを完全理解して企業の長期経営計画へと活用することが求められると思います。もし製造部門を持たない、いわゆる「問屋」さんが「小売」に取り組むのなら「風下→風上」同様に、「卸を捨てる勇気」も必要かもしれません。
 消費税アップ、格差拡大という時代を前にして、多くの若きリーダー達が、そのエネルギーをぶつけ合う取り組みが、何故か私の心を躍らせてくれているのは、どうしてなんだろう・・・。
(株)ジュホウ 代表取締役 木村亮治 ryo.kimura@j-twinkle.co.jp
■いつも同じお客様の財布で商売していた「ツケ」が、回ってきているようで強い危機感を覚える ■2013年8月12日 月曜日 12時4分57秒

 自分にも何人かの富裕層の友人がいる。厳しい時代を「勝ち組」として生き抜くセレブ達である。何となく気になって「ジュエリーって興味ある?」と聞いたことがある。
「木村君の商品は見てみたいよ」とあっさり返事が返ってくる。
「そうではなくて、買うことがあるかと言うことだよ」とさらに聞いてみる。
「そんなには機会はないよ。必要な時だけ買う程度かな。友達やうちの社員達へのお祝い事とか、かみさんへのご褒美とか・・・」。と、再びさらりと返事をもらう。
「必要だから買うと言ってくれる事が嬉しいよ。そんな人が増えればジュエリー業界はもっと本質的な需要に集中したマーケティングが出来るし」。私は素直に喜んだ。
 しかし、その後の彼の返事で私は凍り付いた。
「でも、うちの近所ってジュエリー店が無いんだよなぁ・・・」。
私が知り得る限り、この地域には何軒かのジュエリー店がある。わりと大規模にやっている小売店さんもある。当然、弊社の取引先もある。彼に進言する。
「おいおい、宝石店ってあるよ。○○○とか○○○とか・・・。」
彼は、さらにあっさり応える。
「かみさんに任せてるからわからんけど、いつも東京へ行っちゃうんだよね・・・。」
そんな会話の中で色々とわかったことがある。いま、我々と同じ年代で宝石が買える人々(若年富裕層)は「割引セール」等を行っているようなお店には絶対に行かないらしい。そういったお店はチラシや雰囲気でわかるそうだ。
 これから先、ジュエリーを買えるお客様はどんどん減っていく。少なくとも、現在の国の政策では経済格差は止まらない。むしろその格差は、格差を飛び越して階級社会をも形成し「庶民がご褒美にジュエリーを買う」という、ささやかな市場さえ奪われようとしているのです。あたりまえですが「ジュエリーをふつうに買える人々」をお客様として迎え入れる事が出来なければ、宝飾小売企業に未来はないのです。くれぐれも「現在のお客様を捨てろ」と言っているわけではありません。でも、全国の小売店さんで「上顧客」と言われる人々の多くは高齢化が進み「買う意欲」そのものが減退しているように見えます。そして、今後はもっと減退するのではないだろうか。
 全国のジュエリー展示会で感じるのだが、いつもいつも同じお客様の財布で商売していた「ツケ」が、ここへ来て回ってきているようで強い危機感を覚える。
「割引セール」を感じるお店は、若年富裕層から敬遠されるのであれば、そのイメージを払拭しなければ、永遠に「良いお客様」は新たに創れないと言うことになる。
 確かに、大手商社やコンサルタント会社が仕掛けるチラシセールには目に余るものがある。二重価格は当たり前、大きな赤色の数字で、いかにも「お得感」を示すような価格表記、とても、高級品を販売している様相は感じられず、どちらかと言えば家電量販店のチラシと見間違う雰囲気だ。販売商品も、ひとつひとつ検証すれば、とてもジュエリークオリティーと言えないようなものさえ掲載され、さらに悲しい事に、チラシ表面はジュエリーを掲載して、裏側には「金・プラチナ高価買取!」というものまで横行している。ここまで来ると、若年富裕層でなくても、誰もがお店のセンスを疑うしかない。
 現実問題として、庶民はジュエリーを買えない時代となるのであれば、買える人々にサービスを集中させるしかない。買える人々が求めるサービスは「価格の割引」ではないはずである。恐らく、ジュエリーの高貴な付加価値を明確に伝えてくれる「場」を求めているはずだ。
 私の推論が正しければ、もし、今後も宝飾小売店を続けるのであれば、今すぐにでも「割引セール」をやめて、買える人々に相応しい宝石店づくりに着手すべきでしょう。とはいえ、これまで幾度も「セール」を行ってきた企業が、その地元でイメージ転換を図ることは極めて困難で厳しい非現実的かもしれません。屋号や店名のすべてを入れ替え、以前のお店とは全くわからない新店を作るしかないのかもしれませんね。割引セールの代償はそれほど大きなものだと思うのです。
「いま」だけのビジネスではなく「これから」のビジネスに取り組める企業だけが生き残れる戦国時代、我々メーカーも、どの将軍様(商社や小売企業)に従うか、究極の選択を余儀なくされている。
夜の世界で必死で働く女性がテレビで喋っていた。「お金を稼ぐのに、キレイも汚いも無い」。心にドスンと釘を打たれた想いがした。稼がないと生き残れないのであれば、どんなことでも貪欲に取り組まないと、闘いを挑んでいるライバル達に勝てるわけがない。結果がすべてなので、もしも売上が落ちていく現象があるのであれば、その落ち込み分を横取りするライバルは必ず存在しているのである。
 若年富裕層の獲得も同じである。自店に新しいお客様を呼べないのであれば、その新しいお客様はライバル店に獲得され、旧来顧客だけを頼りにしなければならない自店は必ず市場淘汰される。 以前のコラムで都市部の有名百貨店の外商さん達が、地方の富裕層獲得に全力を挙げている事を書いた。地元で頑張ってきた宝飾小売企業からすれば、有名百貨店さんと同じスタートラインならまだしも、知名度やブランド性でかなり出遅れたスタートになっている恐れも否定出来ない。だからこそ、地域に根差した地元の実力者となって、コミュニティーの中で一目置かれるプロフェッショナルを目指していこうではありませんか。
(株)ジュホウ 代表取締役 木村亮治 ryo.kimura@j-twinkle.co.jp
■「大手」有利と言われるいまの時代にどう生き残るべきか ■2013年8月12日 月曜日 12時2分22秒

今回のコラムはジュエリー市場において「大手」有利と言われるいまの時代に「非大手」の皆さんがどんな準備をし、どう生き残るべきかを考えてみます。
弊社取引先のAさんはインターネットを活用して集客を図るウェブマーケティングをとことん実践している。ゴールデンウィークにご一緒させて頂いた際、Aさんは「とりあえず、自分で出来る事は何でもやってみた感じですねぇ」と笑いながら言ってました。Aさんのお店は、ブライダルジュエリー専門店で、今では来店客の半分くらいをインターネットによって集客出来ているようです。スタッフの皆さんが一丸となって、結果を求め続ける「闘うお店」です。もっとも、闘っていないお店なんて存在しないと言うことが前提でないと私達メーカーも力の入れ処が無くなってしまうのですが、私個人的には「もったいないなぁ」と感じる現場も少なくありません。
 弊社ブライダルジュエリーの取引先は「大手」と闘わなければならない小売店さんがほとんどです。資金力や展開力でかなりのハンデを抱えながら、全国各地で頑張っています。とはいえ、そのモチベーションは千差万別です。一例ですが、夜中まで若いスタッフ達が自主的に手作りでブライダルフェアの準備をすることが毎月の恒例行事というお店もあれば、お客様のご来店が無い事をわざわざ愚痴にしてメールしてくる取引先さえあります(笑)。
 昔から感じるのですが、闘うお店のスタッフから、仕事の愚痴を聞くことは殆どありません。我々メーカーに対する不満まで言ってくれないものだから、正直辛い時もあるくらいです。「頑張っているよなぁ」と感心することばかりなのです。
 毎日毎日、1日に何度も更新するスタッフブログやSNS、いつ訪れるかわからないお客様への徹底的なお出迎えの準備、以前に婚約指輪や結婚指輪を買ってくれたお客様への愛情たっぷりのお手紙やメール、最近では動画サイトを活用した手作りPR動画の配信まで・・・やれることはすべてやる精神で前進し続けているお店もあるのです。当たり前ですが、たとえお客様が来て頂けない時でも、けしてヒマな時間はありません。闘うお店のスタッフ達からは「自分達は頑張っています」なんて言葉はあまり聞きません。むしろ頑張れないお店から「自分達は頑張ってます・・・けど・・・」と切り出されることが、個人的には悔しかったりします。
 すべてを自分達の目標のために捧げ、我々が苦労して創り上げた商品を一生懸命展開してくれる姿を見れば、メーカーとしても心震えるのは当然です。実際にあった我社の例で言うと「あのお店のスタッフの皆さんために何かをしたい」と考える弊社社員達が、情熱的にお店の運営に関わるようになったりしたことがあります。頑張る現場スタッフ達とメーカーの総力で、この厳しい時代に「大手」と闘う体制が自然と出来上がった事例と言えます。
 大手は、本気になっています。ただでさえ小さな我が国のブライダルジュエリー市場を完全に掌握する方針のようです。私の推測ですが、その理由は、この春頃から値上がりしたリクルート社のブライダル広報雑誌「ゼクシィ」の法外な広告費を「商売に見合う」ようにするために、複数店舗で1誌面エリアを賄う必要があるからだと思われます。つまり「ゼクシィ」が大手を多店舗化へと動かし始めているのです。
 東京・銀座の一等地にお店を構えるような企業が地方に進出すれば、イメージ戦略に敏感な若者達は大きく反応し、マーケットが偏ります。大手と闘うことを回避出来ないのであれば「いま、大丈夫でも、明日は大丈夫じゃない」と考えて、大手では真似の出来ない手間のかかるマーケティングを徹底的に実践すべきなのです。当然、「大手っぽいマーケティング」こそ、絶対に避けるべき要素と言えます。大手との闘いのために残された時間は予想以上に少なく、わずかであり、もはや1分1秒を争う非常事態と心に留めるべきかもしれませんね。
■ビジネスの神様は宝飾業界に明るい未来(リスタート)は訪れないとでも言うのでしょうか ■2013年8月12日 月曜日 12時0分34秒

宝飾業界の仲間達は中小零細企業がほとんどですよね。これだけ業界全体が落ち込む中で、その多くが、苦しいビジネスを余儀なくされていると思います。
弊社も例外ではなく、経営者としては強く責任を感じますが、若い社員達が寝る間も惜しんで走り回り、何とか売り上げを維持している状況です。社員のみんなには心から感謝しています。
メーカーが「市場に受け入れられそうなものを作って、問屋さんや小売店さんに売り込む」という時代は完全に終焉を向かえました。
私の持論ですが、特に我々のような零細企業は、メーカー(企業)自身が新しい市場を複数開発し、その狭い市場をひとつひとつ満たすだけの商品を「細く」そして「長く」投入し続けていくスタイルしか生き残れないと考えています。つまり、売れているものを探して作るのではなく「特定の需要」が生じる環境を創出して、その需要を満たす新商品を開発し、丁寧に市場投入していくことで、会社をゆるやかに成長させていくべきだと思うのです。これは問屋さんや小売店さんでも一緒かもしれませんね。「商品」が売れに売れた「大消費時代」崩壊後に社会に飛び込んだ我々世代に課せられた宿命は「モノ作り」ではなく「環境作り」だと確信しています。
様々な手法はあるにせよ、平成25年以降を生き抜くためには、「平成階級社会時代」に対応できるシステム作りは必須です。それが出来なければ成す術もなく業績は落ち続けるのかもしれません。それが中小零細企業であれば、その悪影響はさらに急速に襲い掛かってくることでしょう。
「売れるのを待つ」、「景気回復の時期を待つ」、まさか、そんなくだらない事を考えている経営者はさすがに存在しないでしょうが、我々宝飾業界の弱点のひとつと言われる「行動力」の欠如は、宝飾業界の不振に、大きく影響する要素となっていると思います。
3月末には、いよいよ金融円滑化法も終了しました。宝飾業界の仲間達は、人件費の削減や在庫の圧縮等々、出来る限りの企業努力により倒産を免れた仲間も少なくないはずです。自分が走り回る販売の現場では、問屋さんやメーカー企業の中で、商品をしっかりと持っている企業が少しずつ台頭してきていると感じます。
多くの仲間達の声を聞けば、様々な企業努力の過程の中で在庫処分を急いだ結果、売り上げを作るための材料が消滅し、新たな仕入れを起こしたくても金融機関からの新規資金調達が許されず、八方塞に陥った仲間も大勢いると感じています。そんな仲間の多くが借入金を残していることも大きな不安要素であり、大きな市場淘汰の波は、背伸びをすれば、もうすぐそこに見えそうです。
アベノミクスが原因なのか、百貨店さんの宝飾品売り上げは好調のようです。「百貨店売り上げ=主に外商」と想像すると、全国の隅々まで、百貨店さんの外商部隊の網が毛細血管のように張り巡らされている感覚を覚えます。
百貨店への宝飾品の流通に関われる企業はともかく、地域密着、地元密着で頑張っている中小零細企業にとっては、貴重な存在である地域の有力者や富裕層を“青田買い”されてしまう恐れがあり、大きな脅威になっていく可能性は否定できません。
大きな市場淘汰の波が訪れ、さらには階級社会における強者のほとんどを百貨店や大手の宝石店に抱え込まれた時、我が国の宝飾業界全体はどのように変貌するのか・・・。
ビジネスの神様は「強者」と「市場創造力のある企業」だけが生き残る時代を一度は通り過ぎなければ、宝飾業界に明るい未来(リスタート)は訪れないとでも言うのでしょうか・・・。
■近未来の最大のライバル「ネット市場」と真っ向から対決しなければ ■2013年4月2日 火曜日 16時6分18秒

 インターネットは便利ですね。私の場合、読みたい本、聞きたい音楽や映画、出張で使う鉄道の切符や航空券、宿泊ホテルくらいまでは完全にネットです。サイズの大きい私のワイシャツもすべてネットで購入しています。昔は自分のサイズがなかなか見つからなくて本当に苦労しました。今では、デスク上のパソコンで、珈琲を飲みながらウィンドーショッピング出来ます。このまま、多くの人々にとって消費の表舞台がネットになってしまったら、市場はどうなるのでしょうか。
 ジュエリーだって、ネットで売れる時代。特にブライダルジュエリーにおいてはかなりの売上をネットだけで販売している会社も出現しています。「サイト上で販売」という形態に限らず、その影響は実売店の集客にも影響しています。私のお店でも、多くのお客様がネットで見つけてくれてご来店頂いております。来店動機の7割はネット絡みです。ブライダルジュエリー専門店という性格上、ネット検索で多くの専門店を比較して、ご来店の是非を判断されているようなので、弊社のネット対策費は年々増加傾向にあります。逆に、反応が明らかに弱くなった雑誌等の広告媒体は縮小傾向にしています。お客様はスマホで地図検索して、お店までやってきます。 販売や、情報サービスまでネットが支配したら、世の中はどのように変わるのでしょうか。全国の地方都市にはロードサイドと言われる郊外型の繁華街が存在します。全国チェーンの紳士服屋さんや、靴屋さん、おもちゃ屋さん、スーパー、SCまで、多くの実店舗が軒を連ね、各地域の消費活動の拠点とも言えるでしょう。しかし、パソコンやスマホを完璧に使いこなす年代が、消費対象の多くを占めた時、彼らは、ネット以外で商品購入する機会を激減させてしまうかもしれません。つまり、ネットで簡単に買えるものをわざわざ出掛けてまで買うことは無くなるのではないでしょうか。そして、その時代はけして遠い未来ではないことも、疑いようのない事実なのです。
 お客様が、店頭で「モノ」を買わない時代、どんなお店が実店舗として生き残れるのでしょうか。全国に急速に拡がった大手家電量販店は、既に若者達のショールーム(現物は近所の家電量販店で見て、購入はネットで価格比較し最安で買う)になってることは関係者周知の事実です。
ジュエリー店はどうでしょうか。最新の発表では、昨年度のジュエリー市場は9,110億円あったそうです。海外資本のブランド店、大手百貨店、そしてネット販売が、どれくらいの割合を占めているのか・・・。今後、格差社会、階級社会の成熟が進み、少なくともブランド店や百貨店における高額ジュエリーの販売は増加すると見込まれています。そしてネット販売も、低価格帯やブライダルジュエリーを中心に増加することは明らかです。すると、いわゆる昔から家族で頑張っているような普通のジュエリー店の市場は急速に落ち込んでしまうのではないでしょうか。
 生き残るためには、近未来の最大のライバル「ネット市場」と真っ向から対決しなければ行けません。私は、体感重視の市場は実店舗で発展していくと考えています。例えば「レストラン」は、美味しい食事と、大切な人達とくつろげる最良の環境を提供し、「体感出来るサービス」を売って行くでしょう。ネットではけして提供出来ないサービスだからこそ生き残るのです。街のジュエリーショップとして生き残るためには、この「体感」という要素を如何に準備出来るかで決着が付くはずです。
 これからのお客様は「モノ」を買い求めるのではなく「こと」を買うために出掛けてくるはずですから。
(株)ジュホウ 代表取締役 木村亮治 ryo.kimura@j-twinkle.co.jp
■厳しい時代であっても勝ち抜ける「本物」ジュエリーを ■2013年2月14日 木曜日 17時9分34秒

 日本の景気は良くなったのでしょうか。政権交代以降、「アベノミクス」等と世間は騒ぎ、株価も上がって、円安も進みました。しかし、実体経済はどうでしょう。個人消費は上向いたのでしょうか。私が高校生の頃、日本経済は「バブル」という麻薬に犯され、現在の寝たきり状態の日本経済を作ってしまいました。その主犯格が現政権だと思うのです。バブル未経験の私が言うのもおかしいかもしれませんが「売ったつもり」「買ったつもり」で現実社会が何ひとつ伴わない想像上の好景気が「バブル」だったとすれば、税収40兆円にも満たない我国が、1000兆円もの借金を背負い、返済出来るはずもない借金をどんどん増やして、お金をばらまく手法とは、その頃と何ひとつ変わらない、むしろ再現していると思いませんか。前政権が「良い」とはまったく考えませんが、現在の寝たきり経済も、化け物と化した原発も、東京電力の体質でわかった一部の役人達の腐敗でさえ、その主犯格は自民党なのです。今回の政権復帰は、神様が「自分達が犯してきた過ちは自分で正せ!」と安倍首相にチャンスを与えたのかもしれませんね。その責任をとってもらい、素朴で健全だった頃の日本を取り戻してもらいたいものです。
効果の是非はともかく「現況の回復」という視点だけで考えれば、確実にお金はばらまかれます。バブル崩壊の後、我々ジュエリー業界は、2〜3年遅れてからその影響を受けたと聞きます。ジュエリーは必要なモノをすべて揃えた後の「最終消費財」ですから、世の中の経済の動きから2〜3年遅れて影響してくるようです。だとすれば、今回の「ばらまき」がジュエリー業界に影響してくるのは2〜3年後ということになります。私は、ほんの少しは期待して良いと考えています。特にジュエリー業界においては「小売企業」が恩恵の対象となるのではないかと考えます。但し、絶対条件として、格差社会の「勝ち組顧客」を獲得している事が必須となります。いわゆる「主婦達のちょっとした贅沢」とか、「昔積み上げた貯蓄で遊ぶ高齢者」といった層ではなく、現役バリバリ世代で、誰が見ても、今後も活躍が期待出来るような顧客としっかりと信頼関係が構築された企業だけが、その恩恵を受けるはずです。しかし、現在はすべての「モノ」が揃っている時代、これだけモノがあふれている中、個人消費を上向かせるためには、よほど素晴らしい逸品を提案していかなければなりません。ジュエリーをたくさん所有されているお客様でさえ欲しくなるジュエリーが必要となってくるのでしょう。それが、高級ブランドなのか、高級舶来時計なのか、絶品のダイヤモンドや高級色石をあしらった本格的なジュエリーなのか・・・答えは難しいですね。ただひとつ言えることは、勝ち組顧客に求められるのは、当の本人達と同じように、厳しい時代であっても勝ち抜ける「本物」だけであるということでしょう。ジュエリーにしか表現出来ない、ジュエリーならではの価値観を創出出来る企業にチャンスが到来するのだと確信しています。
 自分達の商品を宣伝するつもりはないですが、こんな不況の時代に弊社医療機器ジュエリー「アイシリーズネオ」は、生産が追いつかないほど市場から求められています。その理由は、単に「医療機器」として珍しいからではないはずです。長年にわたり、本格的な地金製品を製作してきたクラフトマン達の手作業による丁寧な表面仕上や、効能に対する徹底した理論武装、そして何より、売り手達のこだわりが、空前の大ヒットへと導いてくれているのだと考えています。本当にありがたいことです。
 「健康ジュエリーはきらい」と、他の健康商品、これまでの健康商品と一括りにしてしまうベテランジュエラー達にもっともっと柔軟にアンテナを張ってもらって、ジュエリーの可能性を伝えていきたいと強く思っています。なんだか、コラムがうまくまとまりませんが、変化しつつあるジュエリー市場の新たな需要に対し、ジュエラーのプライドが邪魔にならないように・・・。
■厳しい時代であっても勝ち抜ける「本物」のジュエリー ■2013年2月14日 木曜日 15時49分14秒

 日本の景気は良くなったのでしょうか。政権交代以降、「アベノミクス」等と世間は騒ぎ、株価も上がって、円安も進みました。しかし、実体経済はどうでしょう。個人消費は上向いたのでしょうか。私が高校生の頃、日本経済は「バブル」という麻薬に犯され、現在の寝たきり状態の日本経済を作ってしまいました。その主犯格が現政権だと思うのです。バブル未経験の私が言うのもおかしいかもしれませんが「売ったつもり」「買ったつもり」で現実社会が何ひとつ伴わない想像上の好景気が「バブル」だったとすれば、税収40兆円にも満たない我国が、1000兆円もの借金を背負い、返済出来るはずもない借金をどんどん増やして、お金をばらまく手法とは、その頃と何ひとつ変わらない、むしろ再現していると思いませんか。前政権が「良い」とはまったく考えませんが、現在の寝たきり経済も、化け物と化した原発も、東京電力の体質でわかった一部の役人達の腐敗でさえ、その主犯格は自民党なのです。今回の政権復帰は、神様が「自分達が犯してきた過ちは自分で正せ!」と安倍首相にチャンスを与えたのかもしれませんね。その責任をとってもらい、素朴で健全だった頃の日本を取り戻してもらいたいものです。
効果の是非はともかく「現況の回復」という視点だけで考えれば、確実にお金はばらまかれます。バブル崩壊の後、我々ジュエリー業界は、2〜3年遅れてからその影響を受けたと聞きます。ジュエリーは必要なモノをすべて揃えた後の「最終消費財」ですから、世の中の経済の動きから2〜3年遅れて影響してくるようです。だとすれば、今回の「ばらまき」がジュエリー業界に影響してくるのは2〜3年後ということになります。私は、ほんの少しは期待して良いと考えています。特にジュエリー業界においては「小売企業」が恩恵の対象となるのではないかと考えます。但し、絶対条件として、格差社会の「勝ち組顧客」を獲得している事が必須となります。いわゆる「主婦達のちょっとした贅沢」とか、「昔積み上げた貯蓄で遊ぶ高齢者」といった層ではなく、現役バリバリ世代で、誰が見ても、今後も活躍が期待出来るような顧客としっかりと信頼関係が構築された企業だけが、その恩恵を受けるはずです。しかし、現在はすべての「モノ」が揃っている時代、これだけモノがあふれている中、個人消費を上向かせるためには、よほど素晴らしい逸品を提案していかなければなりません。ジュエリーをたくさん所有されているお客様でさえ欲しくなるジュエリーが必要となってくるのでしょう。それが、高級ブランドなのか、高級舶来時計なのか、絶品のダイヤモンドや高級色石をあしらった本格的なジュエリーなのか・・・答えは難しいですね。ただひとつ言えることは、勝ち組顧客に求められるのは、当の本人達と同じように、厳しい時代であっても勝ち抜ける「本物」だけであるということでしょう。ジュエリーにしか表現出来ない、ジュエリーならではの価値観を創出出来る企業にチャンスが到来するのだと確信しています。
 自分達の商品を宣伝するつもりはないですが、こんな不況の時代に弊社医療機器ジュエリー「アイシリーズネオ」は、生産が追いつかないほど市場から求められています。その理由は、単に「医療機器」として珍しいからではないはずです。長年にわたり、本格的な地金製品を製作してきたクラフトマン達の手作業による丁寧な表面仕上や、効能に対する徹底した理論武装、そして何より、売り手達のこだわりが、空前の大ヒットへと導いてくれているのだと考えています。本当にありがたいことです。
 「健康ジュエリーはきらい」と、他の健康商品、これまでの健康商品と一括りにしてしまうベテランジュエラー達にもっともっと柔軟にアンテナを張ってもらって、ジュエリーの可能性を伝えていきたいと強く思っています。なんだか、コラムがうまくまとまりませんが、変化しつつあるジュエリー市場の新たな需要に対し、ジュエラーのプライドが邪魔にならないように・・・。
■5年後、10年後を見据えた宝飾市場のマーケティングを ■2013年2月14日 木曜日 15時18分25秒

 日本の若者達の未来はどうなるのでしょう。私の会社は荒川区日暮里にあります。この地域では、馴染みのラーメン屋や、いつもお世話になっているファーストフード店等で、海外から来た若い女性従業員が急増しています。中国の方が最も多い気がしますが、韓国をはじめ近隣のアジア諸国の方の言葉もよく耳にします。報道などでは、医療や介護といった分野でさえも海外からの若い労働者を受け入れる議論が進められているようですが、中小の工場や農業等、日本人の若い人々が好まない職種へ流入してくるようです。
 安い賃金、仕事に対する直向きさ、我慢強さ等、日本の若者達の職場が奪われかねない事態であるが、当の本人達はあまり関心がないようだ。いま、人材不足に悩んでいる企業は少なくない。弊社も元気な若い社員をいつも募集しているが、なかなか我々のような中小企業には、面接希望者がやってこない。そして、仮に来て頂いたとしても、なかなか採用出来るような若者が少ないのが現状だ。多少無理して採用すると、信じられないことが起こったりもする。わずか数日の出勤で無断退職した若者さえいる。
 我が国はとても豊かで、幸せで、何もかもが揃っている。私は昭和46年生まれですが、飢餓で困った事なんて無い。病気になればいつでも病院に行けた。生活保護を受けている国民は213万人にも及ぶが、これだって日本が豊かだから生み出された数字かもしれない。その一方で、日本の借金は1000兆円にも膨れあがっている。わずか、40兆円ほどの税収しかない国で、その25倍もの借金を抱えているのである。デフレ脱却を「合い言葉」に、生まれた時から大金持ちだった二世議員の総理大臣が、世の中の物価を上げようとしている。それで、この国の経済は救われるらしいが、そのインフレに耐えられる国民はどれだけいるのか。きっと貧富の差は明確に市場を二分し、我々の商いに大きく影響するはずである。
 豊かさという「ぬるま湯」に長年守られてきた社会から、強烈な階級社会へと日本が変化する時、外国人労働者にさえ職場を奪われ、それでもなお無理せず生きる事を疑わない多くの若者達には、ある日突然、厳しい現実と向き合う日がやってくるのかもしれない。
 私は群馬県で、ブライダルジュエリーの直営小売店を2店経営させてもらっている。弊社直営店では、恐らく全国的な平均価格よりも高い価格の商品が若者達に選ばれ御成約頂いている。もちろん、価格的に安いものも様々用意されているが、自然と「単価の良いもの」へと視点が移るようだ。正確に言うと、我社の単価の良いものとは「他店では買えない、他店では売ってないような特徴的なもの」ということになる。数年前に比べ、来店客数は確実に減った。それにも関わらず、それほど売上が落ち込むようなことはない。むしろ昔より売上が良い月だってある。ご来店頂く若者達の「職業」や、乗ってきて頂いた「車」には、「なるほど」と思えるような変化を感じることがある。少なくとも「メジャーブランド」に憧れたり、それら商品を引き合いにするような若者達は昔に比べていなくなった。偏見と思われる可能性も大いにあるので、あえて記述はしないが、若者達の中で、購買能力や、その思考力に、大きな「差」が生じてきているのだ。昨年10月末に、パナソニックは、2013年3月期の連結最終損益(米国会計基準)の見通しを7650億円の赤字になると発表した。我々日本の宝飾業界の市場規模とほぼ同額である。我々がどんなに大騒ぎして商いしたところで、所詮は大手電機メーカーの単年度赤字程度しか売ってない業界である。宝飾の市場規模が大きく改善することが見込めない中、次なる顧客層である若者達に「未来につながるような格差」が生まれ始めているのであれば、5年後、10年後を見据えた我々のマーケティングそのものに、厳格なターゲット像を埋め込むしかないのかもしれない。
■「儲かる企業」の真似事のブライダルではなくて、アイデンティティ豊かで、その企業独自の手法が求められる ■2013年2月14日 木曜日 15時14分32秒

 我々宝飾業界の小売企業が「ブライダルジュエリー」に力を注ぐことは、今や宿命かもしれない。しかし、それは苦難の道であり、多くの苦しみを乗り越えなければならないドキュメンタリーの「はじまり」となることがある。
 業界内には、本格的にブライダルジュエリーを頑張らないと時代に乗り遅れる雰囲気が漂い、メーカー企業においては「ブランド開発ラッシュ」、小売企業にとっては「ブライダル専門店開店ラッシュ」が続いた。ピーク時には毎月のように全国のどこかでブライダルジュエリー専門店がオープンしてきたように思う。全国で多くの次世代経営者達がブライダルに挑戦し、今もなお現在進行形で、「次の社長」としての多くのスキルを学んでいる最中と言えます。そのスキルの中心は「社員の心」を掌握するリーダーシップと、マーケティングの基本(お客様を創る)にほかならないのです。
 私の感覚的なものになるが、2012年夏頃から、全国的に、ブライダルの来店が減り、売上が下がってしまった仲間が増えたように感じている。相次ぐ出店ラッシュに需要と供給のバランスが崩れたか、カップルさんが減ったのかは定かではないが、順風満帆とは行かず、悩んでいる仲間も多い。厳しい時代はこれから本格化します。これまでのように勝手に市場が形成されることは絶対にありえません。展示会販売やジュエリーの投げ売りが目立つような状況がいつまで続けられるというのでしょうか。これからは、企業自らが「市場」も「顧客」も創り上げていく時代です。格差を超越する階級社会のはじまりによって「顧客」は誰でも良いという訳にもいかなくなりました。「ジュエリー」で永遠に商いを続けたければ、純粋に強固な信頼関係が築けて、階級社会においても勝ち組になり得るような若者達を、大切な顧客予備軍として、ひとりずつ丁寧に育てて行くしか方法はないはずです。そのためには「どこかで儲かっているらしい企業」の真似事のブライダルではなくて、アイデンティティ豊かで、強いポリシィーとこだわりが感じられる、その企業独自の手法が求められるのではないでしょうか。ブライダルを取り組んでみたが、広告費用等がかさみ、ブライダル事業そのものが「赤字」であれば、企業内における風当たりも強くなります。ブライダルに関わらない他のスタッフ達がブライダルを「お荷物」と感じるような状況も出てくるでしょう。しかし、10年後も、展示会や大特価セールといった“いまどき”の宝飾品販売が、“現在”のように「そこそこ出来る」という保証が何処にあるのでしょうか。むしろ「無い」と言っても過言ではありません。“いまどき”の商いがパッタリ駄目になった時、そうなってからの顧客づくりでは到底間に合わない事の恐ろしさを、スタッフ全員に理解させて、はじめてブライダルは本格始動するのです。小売企業において「売上は普段からの商売で何とか作るから、ブライダル部隊は、頑張ってお客様を創ってくれ!」といった気風が生まれると、将来、安定的に新しい顧客の流入を期待出来るようになります。当初の数年間は目に見える成果がわかりにくく、不安になるかもしれませんが、「商い」と「創客」の役割分担がしっかりとシステム化されれば、卒業する顧客と、入学する顧客のバランスが保たれ続けるはずです。多くの若いリーダー達から相談されることも多いので追記しますが「赤字だから・・・採算が取れないから・・・莫大な経費の割に儲からない」というもっともすぎる理由で、ブライダル事業から手を引けと進言する大先輩やコンサルタントの先生が目の前に現れても、その先輩方は本気で心配してくれているのだから、心から敬意を払いましょう。そしてじっくりと話し合うのです。先輩方の素晴らしい経験と熟練の知恵をもってしても、ブライダルの代替となるような「顧客鉱山」を明確に示すことは難しいはずです。焦りから「いまの売上を作れ!未来は未来になってから考えろ!」となってしまう事も考えられます。その結論の危うさを伝えきる「説得力」と、皆が認める「現場力」で前進して行こうではありませんか。
(株)ジュホウ 代表取締役 木村亮治 ryo.kimura@j-twinkle.co.jp
■「儲かる企業」の真似事のブライダルではなくて、アイデンティティ豊かで、その企業独自の手法が求められる ■2012年12月13日 木曜日 11時22分18秒

 我々宝飾業界の小売企業が「ブライダルジュエリー」に力を注ぐことは、今や宿命かもしれない。しかし、それは苦難の道であり、多くの苦しみを乗り越えなければならないドキュメンタリーの「はじまり」となることがある。
 業界内には、本格的にブライダルジュエリーを頑張らないと時代に乗り遅れる雰囲気が漂い、メーカー企業においては「ブランド開発ラッシュ」、小売企業にとっては「ブライダル専門店開店ラッシュ」が続いた。ピーク時には毎月のように全国のどこかでブライダルジュエリー専門店がオープンしてきたように思う。全国で多くの次世代経営者達がブライダルに挑戦し、今もなお現在進行形で、「次の社長」としての多くのスキルを学んでいる最中と言えます。そのスキルの中心は「社員の心」を掌握するリーダーシップと、マーケティングの基本(お客様を創る)にほかならないのです。
 私の感覚的なものになるが、2012年夏頃から、全国的に、ブライダルの来店が減り、売上が下がってしまった仲間が増えたように感じている。相次ぐ出店ラッシュに需要と供給のバランスが崩れたか、カップルさんが減ったのかは定かではないが、順風満帆とは行かず、悩んでいる仲間も多い。厳しい時代はこれから本格化します。これまでのように勝手に市場が形成されることは絶対にありえません。展示会販売やジュエリーの投げ売りが目立つような状況がいつまで続けられるというのでしょうか。これからは、企業自らが「市場」も「顧客」も創り上げていく時代です。格差を超越する階級社会のはじまりによって「顧客」は誰でも良いという訳にもいかなくなりました。「ジュエリー」で永遠に商いを続けたければ、純粋に強固な信頼関係が築けて、階級社会においても勝ち組になり得るような若者達を、大切な顧客予備軍として、ひとりずつ丁寧に育てて行くしか方法はないはずです。そのためには「どこかで儲かっているらしい企業」の真似事のブライダルではなくて、アイデンティティ豊かで、強いポリシィーとこだわりが感じられる、その企業独自の手法が求められるのではないでしょうか。ブライダルを取り組んでみたが、広告費用等がかさみ、ブライダル事業そのものが「赤字」であれば、企業内における風当たりも強くなります。ブライダルに関わらない他のスタッフ達がブライダルを「お荷物」と感じるような状況も出てくるでしょう。しかし、10年後も、展示会や大特価セールといった“いまどき”の宝飾品販売が、“現在”のように「そこそこ出来る」という保証が何処にあるのでしょうか。むしろ「無い」と言っても過言ではありません。“いまどき”の商いがパッタリ駄目になった時、そうなってからの顧客づくりでは到底間に合わない事の恐ろしさを、スタッフ全員に理解させて、はじめてブライダルは本格始動するのです。小売企業において「売上は普段からの商売で何とか作るから、ブライダル部隊は、頑張ってお客様を創ってくれ!」といった気風が生まれると、将来、安定的に新しい顧客の流入を期待出来るようになります。当初の数年間は目に見える成果がわかりにくく、不安になるかもしれませんが、「商い」と「創客」の役割分担がしっかりとシステム化されれば、卒業する顧客と、入学する顧客のバランスが保たれ続けるはずです。多くの若いリーダー達から相談されることも多いので追記しますが「赤字だから・・・採算が取れないから・・・莫大な経費の割に儲からない」というもっともすぎる理由で、ブライダル事業から手を引けと進言する大先輩やコンサルタントの先生が目の前に現れても、その先輩方は本気で心配してくれているのだから、心から敬意を払いましょう。そしてじっくりと話し合うのです。先輩方の素晴らしい経験と熟練の知恵をもってしても、ブライダルの代替となるような「顧客鉱山」を明確に示すことは難しいはずです。焦りから「いまの売上を作れ!未来は未来になってから考えろ!」となってしまう事も考えられます。その結論の危うさを伝えきる「説得力」と、皆が認める「現場力」で前進して行こうではありませんか。
(株)ジュホウ 代表取締役 木村亮治 ryo.kimura@j-twinkle.co.jp
■「若いエネルギー」が活躍できないような業界の体質に問題あり ■2012年12月13日 木曜日 11時17分28秒

 今から10年前の2003年、皆さんは何をしていましたか。世の中はどうだったでしょう。私自身は様々な出来事が克明によみがえるほど「最近」に感じます。10年なんて本当に早いですよね。そして、この先10年後の世の中はどうでしょうか。私はいつも「未来」が気になります。宝飾業界はどうなっているのでしょうか。
 例えば消費税はどうでしょう。まだ法律改正そのものが国会で論議されている段階で法律改正の見通しは立たないようですが、民主党は2014年度から8%、2015年度から10%を目標にしているようです。いずれにしても増税される可能性の方が高そうですよね。消費意欲という点で、高額品を販売する我々の業界においては大打撃となりそうです。
 環太平洋経済協定(TPP)も気になります。実施されれば、全国の農家の皆さんが経済的に大打撃を受けることは確実です。農家の皆さんは、地方の宝石店さんにとって、とても大切な顧客になっているので、ジュエリー市場への影響は必至でしょう。
 そのほか、経済、社会、国際関係等、多くの変化が予測されますが、ジュエリー業界にとって明るい希望となる要素は極めて少ないように思います。とにかく、現在とは何もかもが違う世界がやってくるのです。しかしながら、現在のジュエリー業界は、バブル期前後のやり方と大差がなく、行き過ぎた展示会販売、二重価格による割引販売、既存顧客への集中販売等々、まるで時間が止まってしまっているかのようです。その原因は何処にあるのでしょうか。
 私は「若いエネルギー」がなかなか活躍できないような業界の体質に問題があるように感じます。
 例えば、ジュエリー販売の現場である小売店さんの店頭や、展示会における販売風景は、若い人々の多くには、耐え難い雰囲気のようです。もちろんスキルや勤労意識のジェネレーションギャップは考えてあげないといけないのですが、若い人材が夢と希望を抱いて我々の業界に飛び込むには様々な環境整備が必要だと感じます。
 私は、何かと多くの若者達と交流する機会があり「宝飾業界のイメージ」について、たびたび問い掛けをします。頻繁に聞く返答に「ノルマ」という言葉が有ります。どうしてそう思うのかを聞いてみると「高いものを売り付ける仕事」という悲しい返事。これを同業者仲間に話すと「ジュエリーに理解ある人とそうじゃない人がいるから仕方ない」といった答えが普通に返ってくる始末(笑)。
 我が国の世論はイメージで形成されているので、広く一般的な意見としては、仲間の言う「そうじゃない人」が大多数を占めるのかもしれない。そうなると、ますます若者は近付かない業界になってしまいます。
 「売り付ける」イメージの起因要素としては、長期ローンを重ねさせる集中販売や、度重なる展示会販売、高齢者への販売にも配慮が必要かもしれませんね。それらイメージを払拭し、ジュエリー販売の本質について熱意を持って探求しなければ、若いエネルギーを業界に取り込むことは不可能だし、業界の共倒れを引き起こす悲劇へとつながってしまう事でしょう。
 私は「ジュエリーを売っているんだ」という誇りを忘れません。専門家としての知識を追求し続けます。お客様の悩みと夢を解決するコンサルティングセールスを心掛けます。そのために、ジュエリーを研究します。まだまだ長い道のりですが、自分も若いエネルギーの一翼として、業界に貢献できることを夢見ています。
(株)ジュホウ 代表取締役 木村亮治 ryo.kimura@j-twinkle.co.jp
■「良い商品は、売り過ぎない事、作り過ぎない事が大切だよ」 ■2012年12月13日 木曜日 11時13分56秒

弊社医療機器ジュエリー・アイシリーズネオの大ヒットは、同時に極端な品薄状態を招き、多くの取引先様に多大なご迷惑をおかけしております。会社の代表者として、心よりお詫び申し上げます。職人の匠の技と、精密な工程を必要とするこの商品は、極端な増産が難しく、急増した注文数に追いつかないのです。厳しい時代に、生産が追いつかないなんて言うと“嫌み”に聞こえるかもしれませんが、新ジャンル・医療機器ジュエリーに、私は大きな可能性を感じています。以前、コラムでアイシリーズネオに触れた時に、新聞社や弊社に多くの問い合わせを頂きました。「あんな効果を書いて大丈夫か」「消費者が誤解するのでは」というご心配の言葉や「磁気ネックレス、ゲルマニウムと何が違うのか」という疑問の声まで。
皆様の疑問をクリアにするため、アイシリーズネオの仕様について書かせて頂きます。この商品は、正確には「理学療法用器械器具/一般医療機器」となります。くどいようですが、磁気ネックレスに認められる「管理医療機器」とは違います。磁気の場合、その効能は「装着部位のこり及び血行の改善」とされています。当然ですが、これ以外の効能について提示する事も言及する事も認められていません。しかも「装着部位の〜」とありますので、商品が肌に触れている部分のみの効果とされています。これに対し、弊社商品の使用目的は「皮膚内に挿入せず、皮膚への接触によって末梢神経を刺激することができる器具であり、再使用可能な非能動型器具である。豊富なマイナスイオンと末梢神経を刺激する効果によって、●血行を良くする●筋肉の疲れをとる●筋肉のこりをほぐす ●神経痛・筋肉痛など痛みの緩解●新陳代謝の促進●冷え性の改善●便秘の緩和●ストレスの解消・軽減などの効能・効果がある」と明確に提示することが認められています。そして何より「一般医療機器」となっていますので、副作用も心配なく、多くの販売店でお取り扱い頂けます。いずれにしても、ゲルマやシリカ等、これまでの健康ジュエリーとは一線を画します。それらは、あくまでも「健康グッズ」であり、ギリギリセーフのセールストークの積み重ねによって、販売馴れした専門スタッフが展示会等のイベント時に販売する事が主流となっています。この点において、アイシリーズネオとは完全に違います。福岡県北九州市の老舗「宝石・時計・メガネのヨシダ」さんは、地元に愛される有名店で法政大学などが主催する「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」で「審査委員会特別賞」を受賞するほどの素晴らしい宝石店です。弊社の大切な取引先様ですが、私は、公私共々、吉田清春社長に大変お世話になっていて、先日も立ち寄らせて頂きました。業界関連の情報交換や、個人的な相談等々、かなり甘えさせて頂いております。アイシリーズネオも飛ぶように(笑)売って頂いており、感謝しても仕切れないほどの大切な存在です。吉田社長との会話の中でこんなやりとりがありました。
吉田社長・「アイシリーズネオは本当に売りやすい商品だよ」
木村・「社長、良かったら、展示会で販売応援しましょうか」
吉田社長・「いゃいゃ、いいわ、いいわ。あれなら、うちのスタッフでも簡単に売れるもの・・・」
正直、とても嬉しかった。日常の店頭商品になることを目指して開発したアイシリーズネオが、その真価について評価された瞬間でした。ヨシダのスタッフは、モチベーションも高く、優秀で、勤勉な方ばかりです。商品導入前、私は勉強会をさせて頂いたのですが、アイシリーズネオの商品知識やマーケティング手法について、高い理解度と徹底した共通認識を備えています。20〜30万円という価格の商品が、日々の商いの中で、売れていく・・・この厳しい時代には考えられないような最高の武器になっているのです。
吉田社長の口癖「良い商品は、売り過ぎない事、作り過ぎない事が大切だよ」。この感慨深い大切なアドバイスを忘れることなく、今後とも頑張っていこうと思います。
(株)ジュホウ 代表取締役 木村亮治 ryo.kimura@j-twinkle.co.jp
■しっかりと「ブライダル」の本質を伝えることが業界・ジュエリー文化の成熟に役立つ ■2012年9月19日 水曜日 15時17分38秒

 ブライダルジュエリーは、ジュエリー愛好者を生み、育てるための大切なきっかけです。業界全体で大切に扱っていかないと、我が国の宝飾市場に大きな陰を落とします。「ブライダルは売れる」と各メーカーさんが口をそろえます。確かに、他の一般的なプロパー品よりは動きは良いかもしれません。弊社の売上に大きく貢献してくれているのも事実です。しかし、それ以外の様々な商品と連携して会社が維持出来ているのであって、ブライダルだけではとてもやっていけません。また、ブライダルの売上げを維持するためには、かなりのサポート体制も必要となります。例えば、販売店の稼ぎ時である土日に、商品の問い合わせ先が用意されていないようなメーカーさんでは「ブライダル」の製造メーカーとしては論外なのです。そのあたりを理解しないと初期導入以降、リピートが全く来ないという事にもなりかねません。
 メーカーが工場を動かせない辛さは痛いほどわかりますが、景気の後退だけがその理由でないこともしっかり認識しないといけません。ブライダルに希望を託して、まとまった種類のカットリングをペアで作り、立派な什器と、それらしいネーミング、さらにはパンフレットや広告まで経費を使って、「新作」として発表したとしても、販売店を探すのは簡単ではありません。デザインや「演出」が飛び抜けていれば別ですが、ほとんどの場合、値札を外せば、どこかで見覚えのあるデザインばかり。よほどの腕を持った営業マンがいない限り、このご時世、新規導入に踏み切る販売店の数は、各メーカーが費やした経費を取り戻すまでには行かないと思います。
「プラチナ、細身、シンプル」という流行にこだわるとリングのデザインには限界があり、結局、演出で差別化する手法が主流となってしまいます。また、流行の変化も早くて「和風」が流行るとみんな和風、「ハワイアン」が流行るとみんなハワイアン、「アンティーク調」が流行るとみんなアンティーク・・・キリがありません。 最近では、ブライダルが初心者マークのお客様がほとんどなのを良いことに、子供向キャラクターまで演出に活用しているブランドもあります。ここまで来ると、「結婚」なのか「七五三」なのか分からなくなります。
 ブライダルが多くの一般の人々にとって「ファーストジュエリー」になるからこそ、抜群のタイミングで、しっかりとジュエリーの本質を伝え、お客様の「夢」を育てていく事が、業界の発展や我が国のジュエリー文化の熟成に役立つはずです。
 私にとって、大晦日の紅白歌合戦で唯一の楽しみは、大物女性歌手「K」さんの衣装です。「もはや衣装ではなく舞台装置では?」と突っ込みたくなるほどですよね。毎年楽しませて頂いています。大物歌手Kさん達の涙ぐましい努力が、紅白連続出場の成果につながっているので、Kさんを応援したいのです(笑)。でも、毎回、どんな「歌」を歌っていたのかは、全く覚えていません。
 音楽業界では「演歌離れ」を歌手のキャラクター性で食い止めようとしているようですが演歌の素晴らしさを育てるには至っていない気がします。最近、演歌の流行歌って出て来ないですよね。ブライダルジュエリーはどうでしょうか。同じようなマーケティングに走ったら「値札さえ外せばどこか似てる」というリングが氾濫し、販売価格や宣伝力を巻き込んだ消耗戦に突入しそうです。でも、既に、そんな感じになっているのかもしれません。
 演歌と一緒で、ブランド数やプロモーションはどんどんエスカレートするけど、肝心のペアリングの売れ行きはいまひとつとなるのであれば、完全に消耗戦です。
 ブライダルは、我々の業界にとって最も重要な「ジュエリーに興味を抱いてもらう最初の入口」のはずなのに・・・。
■本腰を入れて、ジュエリービジネスの「本質」を目指さなければ ■2012年7月30日 月曜日 14時9分16秒

 日本は不思議な国です。もし「日本」という国が企業だとすれば大赤字の会社ですよね。そんな赤字会社なのに、社員である公務員の皆さんにボーナスを毎年支給します。民間企業ではありえないことです。宝飾業界を見渡してもボーナスなしの会社なんて星の数ほどあります。しかも、この「日本」という赤字企業は、収入が足らないからといって株主である国民から消費税アップでお金を徴収するというのだから、ますます始末が悪い。公務員さんには申し訳ないけど、ボーナスを「0」にするとか、人員数を半分にするとか、目に見える改革でもやってくれるのなら納得しますが、そんなことがあり得るはずもなく、ただひたすら、一般の国民達は言われたとおりに生活しなければならないのです。これに限らず、なかなか先が見えない原発事故の問題、頼りなく信用の無い政治家と政府、不安定な経済状況等々・・・今の時代は社会不安だらけ。
 この国の未来はどうなっていくのだろうか。現在の苦境をバネにして大繁栄する・・・そんなシナリオを描く人は少ないですよね。 我々の生活が、今と同じままで安定し続ける保証は、全くと言ってよいほど存在し得ない。それなら、ジュエリーのマーケットはどうなっていくのだろうか。
 先日、宝飾業界に全く関係のない友人がこんなことを言いました。
友人・「景気が悪いからジュエリーの売り上げが落ちるっておかしくないか?」
私・「景気が落ちれば、贅沢品が売れなくなるのは、おかしなことではないよ。」
友人・「だって、ジュエリーを買う人は、景気になんかに左右されないリッチな人達じゃないの?」
私・「いゃいゃ、普通の庶民だって、夢や希望の象徴としてジュエリーを買っていたさ。その人達が買えなくなるんだよ」
友人・「おまえ達が売りつけたわけじゃなくて?」
私・「違う違う。大昔からジュエリーは人々の憧れで・・・」
そう話しかけて、なんとなく私は会話をやめたくなった。
「憧れ」と言うなら、ジュエリーは人々の希望である。しかし、ジュエリーという「希望」を販売している我々業界人達はどうだろうか。「値引販売」「モラル無き展示会商法」「何かが売れるとすぐにコピー商品」「様々な処理を開示することなく当たり前のように売り続けられる色石達」・・・。
 国民の皆さんの宝石店の印象として「言葉巧みに高額品を買わされる」というイメージが定着していると言われたこともあります。そういえば、ジュエリー販売は、なぜか詐欺商法にも多用されます。
 宝飾販売の現場では「日本の未来が見えない時こそ、希望とジュエリーが求められる」という気風にすべきなのに、ただ、ひたすら、“いま”買える人だけを探し、徹底的に頭を下げ、その人の買う気力が限界になるまで商品を提案し続けている気がします。それがジュエリー販売の基本的なスタイルであると言うのであれば、完全に、人々の「憧れ」とは程遠い存在ですよね。
 机上の理想論を、さも自分は関係ないかのように書いているつもりはありません。私自身、弊社の売上を考えれば、その基本スタイルから生み出されている割合が大きい事は間違いないのです。
 こんな時こそ、我々業界人は、本腰を入れて、ジュエリービジネスの「本質」を目指さなければならないはずです。もちろん、遅すぎるくらいですが。
 まとまらないコラムになってしまって申し訳ございません。こんな記事を書きたくなる時もあるのです。どうかお許しください。
(株)ジュホウ 代表取締役 木村亮治 ryo.kimura@j-twinkle.co.jp
■ジュエリービジネスを続けたいなら「立地」ではなく「やり方」と「意識」を変えて ■2012年7月25日 水曜日 16時27分0秒

 北陸にある田舎町の小さな宝飾店。家族総出の兼業店で、地元の人々から愛されるアットホームなお店があります。このお店と出会ったのは10年くらい前で、問屋さんから依頼され、ミニイベントを開催してからのお付き合いになります。お店の信頼は厚く、商売もなかなかのものでした。そのお店の社長さんから「閉店セール」のご相談がありました。その時の電話の会話・・・
私・「社長、お店を改装でもするんですか?」
社長・「いや、お店を閉めるんだ。」
私・「えっ完全閉店って事ですか?」
社長・「廃業したいんだ・・・」
私・「○○君(お店を手伝っている30歳代の息子さん)は?」
社長・「けして潤沢ではないけど、少しまとまったお金があるので、それを渡して、もう少し都会でお店をやらせようと思うんだ。大学も関西だったから色々仲間もいるらしいので・・・」
私・「社長、都会だって大変ですよ・・・」
社長・「木村君、この街の商店街なんて夜8時になると灯りも消えて人っ子一人歩かないんだよ。昼間だってシャッター商店街だし・・・。もうここでは無理なんだよ。」
私・「そうなんですか・・・。地元の人達は寂しいでしょうね。私の個人的な意見ですが、この街でやれないのなら、都会に行っても無理ですよ。都会に行けば、確かにお客様は多いけど、ライバル店もいっぱいあります。市場規模に対する割り当てでは、社長家族がコツコツと田舎でやり続けた方が商いは有利な気がしますよ。」
社長・「木村さん、本当にここでは無理なんだよ・・・。」
そこから先は会話が続きませんでした。社長の想いは、自分が元気なうちに、息子さんの環境を整えたいという事らしいです。「社長、甘いですよっ!」と言えなかった自分が情けなかった。
 東北の震災で被災した取引先の仲間達は、大変な苦しみの中で頑張っています。先週も福島県いわき市の取引先に訪問しました。以前から私の商品をよく買って頂いたお客様と、震災以来初めての再会もありました。お客様は目に涙を溜ながら「木村さ〜ん、本当に会いたかった・・・大変だったんだよ、車もカバンもみんな流されちゃってぇ」私も何度も頷きながら「がんばろうね」って言うのが精一杯。お店の店主にとっては見慣れた光景のようで、ただただ、私とお客様との再会を、微笑みながら見つめていました。我々には想像も出来ない環境の中で「再建」に取り組むたくさんの人々のエネルギーを感じ、励ますつもりが逆に励まされてしまいました。
 どんな環境においても「つらい」のは一緒です。昔からのいつものお客様ばかり頼りにしている宝石店では、現在の「不況」を乗り切れないでしょう。それでも「ジュエリー」を続けるのであれば「立地」なんかではなく「やり方」と「意識」を変えていくしか方法はないと思います。もちろん簡単ではないですが、とことん挑戦するしかないのです。その際は「本業」から離れないことも重要です。ひとつのこと(昔から慣れ親しんだ本業)さえ集中して出来ない企業が、多角的に様々なものに手を出して成功するほど甘い時代ではないのです。「お客様の来店が減って暇だから」と言って、副業に手を出す人もいますが、私には「来店がない=暇」という方程式の意味が理解できません。仕事に集中する中で「暇」なんて時間があるのでしょうか?私は、少しでも時間が空くなら、やりたいことはたくさんあります。お客様ひとりひとりに手紙も書きたいし、ネットを活用して様々なマーケティングにも取り組んでみたい。もっともっと新しいビジネスモデルを開発して、じっくりとお店を育ててみたい。もちろん「ジュエリー」が好きだから出来ることかもしれませんね。「ジュエリーもそこまで好きじゃない」、「仕事もそんなに一生懸命な気分になれない」という人は、付加価値産業であるジュエリー業には不向きです。震災後のキャッチフレーズ「ジュエリーだから出来ること!」を理解できるはず無いですから。
■効くかもしれない健康ジュエリーから、効くはずの健康ジュエリー「アイシリーズネオ」 ■2012年6月19日 火曜日 10時45分6秒

 今回のコラムは少し宣伝です。弊社は健康ジュエリーを製造、販売しています。商品名は「アイシリーズ」で、今年で発売15周年になります。そして我々宝飾業界には数多くの健康ジュエリーがあります。大昔の磁気ネックレスに始まり、セラミックやトルマリン、ゲルマニウムにブラックシリカ、今では玉川温泉なんて商品もあります。しかし、どれもセールストークはほぼ同じです。
 弊社取引先である小売店さんや問屋さんの中には「健康ジュエリーはジュホウさんの商品しか取り扱いしない」と宣言してくれている企業が多く存在します。私は、そんな大切な取引先様を、何よりも最優先して深く関わり続けています。理由はどうであれ「ジュホウの健康ジュエリーが一番だ」と考えてくれている事がとても嬉しいのです。「一番」の定義はどうも色々のようです。「一番美しい」、「一番安全」、「一番信用できる」・・・。いずれにしても、弊社は本当に幸せ者です。数年前、あれだけゲルマニウムが大ヒットした際も、それら関連商品にはまったく目もくれず、弊社商品だけを取り扱い続けてくれた仲間も多かったことを思い出します。末端のお客様にはどのように見られているのでしょうか。少なくとも、流行り物を追いかけるお店に比べ、お客様からの信頼には大きな差が出たはずです。「本質」を求める今の時代、消費者の皆さんは販売者のこだわりを注視しているはずですから。
 当たり前ですが、私は弊社商品に絶対的な自信があります。だからと言って「他の健康ジュエリーはダメで、うちのだけが本物」なんてくだらない花火は打ち上げてきませんでした。ただ、多くの弊社取引先様に少しでも貢献できるように、巷にあふれる健康ジュエリーとの差別化には真剣に取り組んできたつもりです。気がつけば「健康ジュエリーなんて2〜3年人気が保てばたいしたもの」と言われる時代に15年間のロングラン。その理由は、販売店様やユーザー様の応援無くして考えられません。しかしこれまで、他の健康ジュエリーとの明確な差別化は難しかったように思います。
 そんな中、我々は究極の差別化に成功したかもしれません。先月末、弊社健康ジュエリー「アイシリーズネオ」は、数々の医学的効能データが認められ、一般医療機器と認定されました。磁気は一切使用せず、管理医療機器でもない、恐らくジュエリーとしては史上初の一般医療機器です。ネックレスでもブレスレットでも、アンクレットまでも、すべてのタイプで医療機器となります。この一般医療機器ジュエリーの登場により、大切な取引先様の皆様に少しだけ恩返しが出来る気がしています。
 弊社健康ジュエリーに新たに追加された「アイシリーズネオ」は素材がK18/Pt850のコンビで、弊社自慢の様々な技法を用いて美しく仕上げられています。また、上代20万〜30万円台に抑えることにも成功しました。そして何より、「豊富なマイナスイオンと末梢神経を刺激する効果によって」と前書きした上で◎血行を良くする◎筋肉の疲れをとる◎筋肉のこりをほぐす◎神経痛◎筋肉痛など痛みの緩解◎新陳代謝の促進◎冷え性の改善◎便秘の緩和◎ストレスの解消・軽減・・・などの効能・効果を提示することが出来るのです。効くかもしれない健康ジュエリーから、効くはずの健康ジュエリーへ、これこそ、これからの健康ジュエリーの新定番となるはずです。
 毎度、弊社商品を愛してくださっている取引先様の皆様、どうか、アイシリーズネオにご期待ください。
(株)ジュホウ 代表取締役 木村亮治 ryo.kimura@j-twinkle.co.jp
■「おもちゃ屋さん」のような市場淘汰が予測される宝飾業界 ■2012年6月19日 火曜日 10時44分13秒

 私が子供の頃、故郷には人気のおもちゃ屋さんがあった。クリスマスの時季になると、そのおもちゃ屋さんが入れる新聞折り込み広告を心待ちにしたものです。学校でも、友達連中と「どのおもちゃが欲しいか」で盛り上がった事を思い出します。いまに思えば、30年以上前の事ですが、いわゆる「町のおもちゃ屋さん」という存在は「地元とともに生きる商い」の王道だったように思います。不思議と、多すぎることもなく、少なすぎることもなく、全国どこの街でも、バランス良く「個人経営」のおもちゃ屋さんは存在していました。店名が苗字(名字)のおもちゃ屋さんですね(笑)。でも、今では壊滅したようです。色々調べてみると、子供の数が激減したのと、海外から黒船のようにやってきた大型玩具店「トイザらス」の攻勢によるものです。マーケットが縮小し、大手が市場を席巻する・・・まさに典型的な市場淘汰ですよね。
 我々宝飾業界ではどうでしょうか。「ジュエリーを買える人」は確実に減少しています。一方で「とびきり高価なジュエリーを買える人」という存在が目立ってきているのも事実です。「どんな人でも、上手にローンを組めば、自分へのご褒美にジュエリーが買える」時代が終焉を迎え「買える人はいつでも買える、買えない人は絶対に買えない」時代に移行してきたのです。買える人・・・それを富裕層と呼ぶのであれば全国民の2割程度ですね。
 いわゆる富裕層は「富裕層から選ばれるお店」でしかジュエリーを買わないそうです。「おもちゃ屋」の市場淘汰の例と「宝石店」では決定的な「違い」があると言われます。それは「顧客管理の精度と密着度」だそうです。
 元来、宝石店は、お客様と相互の強い信頼関係を保っていました。ですから「Aという宝石店の上顧客は、間違ってもBという宝石店では買わない」という論理です。付加価値産業の代表格である宝石店では「全体の顧客の上位2割のVIPが、お店全体の8割の売上を生み出す」と言われます。しかし、この大前提となるのが、上位2割のVIPが、時代の変化と共に、新陳代謝のように入れ替わっていく事でした。この「入り替わり」は、新規顧客が創出される事で維持されていたのです。高度成長期の終焉以降、国民が豊かにお金をもてあそんだ20年間が、新規顧客創出に尽力するモチベーションを、宝石店から急速に奪っていきました。「成功事例」等と言われる一定のノウハウを実践すれば売上は容易に上がる時代、「お客様作り」のプロセスよりも、「売上づくり」を優先することがトレンドになっていたのです。「田植えを行わず、稲刈りばかりの20年間」は、一度植えた「稲」が、何度も芽吹くのを待つようなビジネスへと固定化されたのです。つまり「いつも同じお客様の財布をあてにする商売」の常習化です。そんなの続くはずがありません。市場が守られ、売上が容易に伸びていった時代が長すぎたのと、その頃の主役達や旧来のビジネススタイルの幕引きが鈍すぎたのです。
 結論を言うと、我々宝飾業界でも、おもちゃ屋さんのような市場淘汰が予測されます。それは、トイザらスのような「メガマート」にではなく、富裕層の誰もが認める「高級宝石店」の台頭によるものです。そういえば、最近、マスコミ等で「Harry Winston」の名を良く聞きます。そんなお店の知名度が高まるにつれ、我々は新たな生き残り策に取り組まないといけないのです。
(株)ジュホウ 代表取締役 木村亮治 ryo.kimura@j-twinkle.co.jp
■年金を貰える年代の経営者は、次世代経営者にタイミングの良い世代交代を ■2012年4月17日 火曜日 12時56分42秒

 多くのベテラン経営者と話をしていると「息子に社長を譲るには、まだ早いが・・・」なんて話をよく耳にします。昨年、自分が社長交代した頃から、そんな機会が増えた気もします。私はたいてい「何が早いんですか?」と言い返します。経験やスキルではなく、現経営者の「心配」が「まだ早い」という回路につながっていることが多いのです。「早すぎたら、会社は潰れますか?良いじゃないですか、他人ではなく身内の息子が潰すんですから。それに潰れるのは社長が棺桶に入った後だと思いますよ」。一生に一度、大切な人生を、最後まで現役社長のまま過ごすよりも、ダメは承知で社長を譲り、今まで出来なかったことをすべきです。元気なうちしか「社長業」も「遊び」も無理です。まわりを見回すと、ダメになるときは一瞬で、心配も何も判断する余地は与えられないまま社長交代を迫られます。苦労して払ってきた年金さえ貰えないままです。私の父は、取締役からも外れ、ゴルフとサウナを愛する年金暮らしですが、会長となった今でも、月初と月の中間の営業会議に顔を出してくれます。それほど長い時間滞在することはないが(笑)、昭和16年生まれのベテランらしい「心」に残るアドバイスを言ってくれます。
 会長には本当に頭が下がります。おそらく2週間書き溜めたであろう大学ノートのメモを見ながら、丁寧に営業マン達に話しかけてくれます。新聞や雑誌、業界仲間達の話など、大切な事と感じればちょこちょこと書き留めているはずです。ちょっと若い社員達には難しいかなぁと思う内容でもみんな一生懸命耳を傾けています。朝礼など一切存在しない我社にとって、みんなのモチベーション維持には重要な時間と考えています。私の話は、かかったとしても20〜30分、会長が5分〜10分程度、そんな感じですから我社の営業会議が1時間かかることは絶対にありません(笑)。午前中のうちに、会長は「あと頼んだぞっ」と吐き捨てるように言葉を残して颯爽と会社を出て行きます。会長の顔には若干の満足感さえ漂っているように見えます。会長は我々に「頑張れ」とはあまり言いません。特に私には「頑張れ」とは絶対に言わないと思います。私が代表取締役になってからは、会長に私の方から質問することが多く、色々助けられることばかりです。
 私は、会長と激突する時期が長かった。会長である父は、子供の頃から、とても厳しく、私がジュホウに入った後も、当時の社長である父とは、本当によくやりあったものでした。互いに自分達の会社のことを思っての事でしたから、どうしても情熱的になり、まわりの社員をだいぶ困らせたかもしれません。でも4〜5年前からは徐々に今のような雰囲気となった。理由は定かではないが、父も私も解り合える議論が増えていったように思います。ふたりとも、けして売上や会社の現状に満足しているわけではないが、ふたりして同じ事を考え合うことが増えているのです。父から認めてもらおうと思ったことは一度も無いが、父を安心させようとは毎日考えています。
当たり前ですが、会社の存続は未来を担う人にかかっています。以前の私と同じ立場にある専務クラスの皆様には、経営者とはとことんやりあって、わかり合って欲しいし、経営者も認めるスキルを身につける努力を絶やさないで欲しい。絶対に「うちの父(現社長)は無理」なんて泣き言で片付けないで欲しい。そして、年金を貰える年代の経営者の皆様には、業務の最前線で活躍する事を考えるのではなく、次世代経営者に残すべき様々な宝物を、少しずつ整理して、与えていくタイミングについて真剣に考えて欲しい。絶対に「うちの息子(次の経営者)には無理」なんて戯言で片付けないで欲しい。いよいよ、バブル期以降に社会に飛び込んだ仲間達が業界を動かさなければならない時期なのですから。
(株)ジュホウ 代表取締役 木村亮治 ryo.kimura@j-twinkle.co.jp 
■挑戦に関わる「喜び」を、挑戦者となった仲間達への「情熱」に変えて・・・ ■2012年3月19日 月曜日 11時26分53秒

 ある有名宝飾店の社長さんとの電話の会話、社長:「いやぁ木村さん、本当に(商売が)厳しいねぇ」。木村:「そうですよね。でも昔、呉服屋さんがやっていたテレアポの戦略で、展示会販売の成果を上げてるようですよ」、社長:「あぁ〜、あのやり方は最初は良いのだけど、後々大変なんだよ。お客さんとの関係がダメになっちゃう。」、木村:「確かにそうですねぇ。でも立ち止まることだけは許されませんから」・・・。
 企業は、「売上づくり」と「お客様づくり」で成長します。どちらか片方だけに固執すると他方が壊滅的なダメージを受けるのです。売上にも、お客様にも同じようにバランスよく力を入れて頑張らないと、前進できずに立ち止まってしまいます。私は、その両立への近道が「ブライダル」であると確信しています。
 私事ですが、3月は大変忙しく働かせて頂いております。私はウィリアム・レニーダイヤモンドというダイヤモンドを輸入・卸販売させて頂いておりますが、その専門店がオープンラッシュとなっているからです。この厳しい時期に、本当にありがたい事です。
 3月20日、東京・表参道にブライダルジュエリーの専門店・雅-miyabi-表参道/ウィリアム・レニーダイヤモンドギャラリー東京がオープン致します。このお店は、京都府亀岡市の老舗宝石店「有限会社マツヤマ」(松山邦雄社長)がオーナーとなります。マツヤマさんは昨年、京都・寺町に最初のブライダルジュエリー専門店をオープンさせ、今回は2店舗目のブライダル挑戦です。後継者である松山恵一朗常務のもと、すばらしいスタッフたちが一致団結し、未来に向けて行動しています。特に、最初の店となった雅-miyabi-京都寺町のスタッフの皆さんは、高いモチベーションを保持しながら、店長が中心となって、新しい若いお客様達との心通う交流を積極的に取り組んでいます。月100回以上更新し続けているスタッフブログやダイヤモンドの専門的知識の探求など、スタッフ一丸となった取り組みが、少しずつ少しずつ成果へと結びついてきているように見えます。その明確なビジョンが東京進出の決断となった事は言うまでもありません。
 そして、3月30日、この新聞紙上でも何度か報道されていますが、現役大学生・豊田泰三さんが店長を務めるハルカ☆ミライ・ドウ高松アトリエ/ウィリアム・レニーダイヤモンドギャラリー高松が、香川県高松市にオープン致します。オーナーは香川県観音寺市
の「株式会社トヨタ宝冠堂」(豊田公夫社長)で、同社初のブライダルジュエリー専門店となります。中心市街地の商店街に隣接し、新店周辺では再開発による街づくりが進んでいて、集客力向上に対する期待が高まる立地です。若い泰三君と、その友人達までもが協力し、着々と準備が進められています。地元愛の強い若者達のコミュニティとして、街興しの新しいエネルギーになる予感がして楽しみで仕方ありません。
 4月5日には、名古屋・栄にJewlry Ito 栄アトリエ/ウィリアム・レニーダイヤモンドギャラリー名古屋がオープン致します。このお店の特徴は、実際に結婚式が出来る教会を模した店内と、元気いっぱいの若いスタッフ達でしょう。名古屋都心・栄地区のシンボル的な公園に隣接し、都会のオアシスを感じさせる素晴らしい立地を誇ります。
 さらに、4月末には長崎県で、その後も、元気いっぱいの仲間達が全国で新しい取り組みの準備を始めています。そのほとんどのお店で、店舗設計やスタッフさんのご指導、建築に関わるコンサルティング、弊社オリジナル商品の導入をお手伝いさせて頂いております。どこまでも前向きな仲間達のパワーに負けないように、精一杯頑張ろうと思います。売上づくりとお客様づくりを両立させるための挑戦に関わる「喜び」を、挑戦者となった仲間達への「情熱」に変えて・・・。
(株)ジュホウ 代表取締役 木村亮治 ryo.kimura@j-twinkle.co.jp
■展示会そのものがお客様ニーズから離れてしなっているのかも。 ■2012年3月12日 月曜日 16時26分16秒

 先日、とある問屋さんの社長さんとお話ししました。なかなか売上げが上がらず「厳しいよぉ〜」と泣きが入る。その後には、社員への不満・・・「うちの社員連中は御用聞きになっとる。もっと、もっと積極的に提案していかなきゃ売れんよ」と捲し立てる。その後、間髪入れずに「我々がもう少し若かったら、ばんばんやるんだけど・・・昔は、飛び回って色々商品を売り込んだものよ」と、いつも通りのセリフ。その後は昔の武勇伝を30分くらい聞かされる。いつもいつも同じ話で、その登場人物まで私は覚えてしまった。いつもなら「社長は、すごかったんですねぇ〜」と話を合わせるのだが、その日の私は腹の虫の居所が悪く、ついつい、大人げなく言い返してしまった。
「社長、相談があります。社長の現役時代、バンバン外回りして売れていた若い頃、もしも、お客様(小売店)が、一切、先入れ(店頭品在庫として、先に仕入れておくこと)を行わない事態になっていたら、現役バリバリの社長はどうやって売上げを作りましたか?」。すると「仕入れが駄目だと言われても売るのが営業だ」と言い切る。「社長、それでは解決になっていませんよ。相手は先入れしないのですから」と言い返す。「それでも、全く仕入れないって事は無いんじゃないかなぁ。仕事というのは信用と信頼だ。誠心誠意、相手に気持ちをぶつければ・・・」「いまの若い連中はガッツがたらん」と大声を上げる。私はため息混じりに繰り返す。

「社長、それでは答えにならないんですよ・・・。」

 あくまでも商売の準備として、定期的に仕入れを行う・・・それが当たり前の時代と、出来るだけ、不要不急の仕入れを避けてリスクを減らす事が当たり前の時代とでは、営業活動の前提条件あまりにも違いすぎるのです。ベテランの皆さんが「私が若かったら・・・」と思うのであれば、良く売れた時代のやり方を、同じ努力で現代に頑張ったとしても、良い成果が生まれることは無いと思います。

 市場の前提条件をひっくり返して質問し直します。

「それでは質問を代えます。お客さんから仕入れが難しい言われても売上げを作らないといけない、それなら、私はふたつの方法があると思うんです。ひとつは、どうしても小売店さんが仕入れたくなるような商材を新たに創り上げるか、ふたつめは、お客様がどうしても仕入れないといけない環境を仕掛けてしまうかです。社長ならどちらの方法で売上を創りますか?」
 商材か環境か・・・卸売業の営業マンが「仕入」が見込めない時代に実行すべき対策とは・・・この答えを探求し、導き出す努力を実践している卸業者は、現在の苦境においても何とか売上げを作っているように思います。特に“環境”づくりにおいては、展示会販売による成果仕入が、現在の卸販売の主流になっていますよね。
 しかし、展示会のような“きっかけ”まで企画、実践しておきながら、集客や販売に失敗し、成果を作れず「仕入れないといけない環境」を創出できない事も増えてきたように思います。展示会販売そのものが、お客様のニーズから少しずつ離れてしまっているのかもしれませんね。
 商材も環境も、どちらもうまく仕掛けが出来ず「直営小売店」という新しい流通の市場へ進む卸業者も増えてきましたが、小売においても、新しい商材や環境整備が必要なのは同じ事なので、卸として成果を出せない企業が、小売りにさえシフトすれば成果を出せるほど簡単ではないと考えています。仮に、シフト後に成果があげられても、偶然生まれた実績は、長続きしないことが多いのです。
 いずれにしても、「卸」という市場には、その企業に君臨するベテランの皆様の現況に対するしっかりとした認識と、斬新なアイデアが盛り込まれた商材、そして何より、お客様のニーズに求められるような環境づくりが求められているのでしょうね。それら実践が進まないと「卸売」の衰退は止まらないはずですから。
■IJTそのものの存在が心配で仕方ありません ■2012年1月27日 金曜日 13時58分8秒

 2012年の国際宝飾展は例年より少し早い時期に開催されましたね。その理由について色々な噂が流れました。中国から来場されるバイヤーの皆様のために、中国の旧正月を避けたとか、月末は多くの企業にとって支払時期で大変だから前倒しにしたとか・・・まぁ、どれも噂の域なので何ともわかりません。しかし、中国から来られるお客様に対して様々な配慮があった事は確かなようです。あちこちのブースから飛び交ってくる中国語は年々目立ってきています。私は初日に会場をまわったのですが、本当にたくさんの中国からの来場者を目にしました。IJTを成功させるためには重要なお客様であることは間違いないのですが、たとえ中国の方であっても、宝飾業界に関わる業界人であって欲しいものです。私の所感なので正確ではないかもしれませんが、観光客にしか見えない方も多かった気がします。これは、私に限らず、多くの関係者が感じた事実であり、IJTの「即売会化」が進んでいるように感じてしまいます。
 多くの業界人の皆さんの認識の通り、もはや、IJTは「見本市」ではなく「即売会」となっています。特に、消費者の皆さん(とりわけ中高年の主婦層)に人気の天然石ルースを取り扱うブースには、今年も、まるでスーパーのバーゲン会場のような光景が広がっていました。IJTを主催するリード社の石積社長でさえ、オープニングセレモニーの挨拶の中で「最も安く買える場所・・・」と胸を張って宣言していましたし、全国の業界人にばらまかれた「招待状」の封筒の裏には・・・
「IJTでの購入は断然お得です!」
◆会期中だけの大幅割引
◆50万点のジュエリーから選べる
◆色石、天然石もその場で購入
と印刷されているくらいですから(笑)。
 さらに、驚いた事は、主催者であるリード社から出展社へ配布された、ブース掲出用の外国人向けポップです。そこには、大きく「Accept Small Lot Order」の文字が印刷されていました。宝飾見本市であれば「Wholesale Only」のはずです。
 私も外国人バイヤーとして、ラスベガスや香港といった海外の見本市へ出掛けていきますが、心地よい刺激と、世界で活躍するジュエラー達の息吹や、同じ世界で生きる事の「誇り」と「喜び」を感じる事が出来ます。私にとって宝飾の見本市は、車で言うところの「オイル交換」であり、「給油」ではないのです。
 現況のIJTでは、我が国の宝飾ビジネスそのものが、海外のプロ達から馬鹿にされても仕方ありません。数年前、米国からIJTを見学に来た私の友人が「ツーソンの野外フリーマーケットのようだ」と呆れていた事が思い出されます。オープニングセレモニーの来賓挨拶では「IJTの発展そのものが我が国のジュエリー業界の発展である」なんてリップサービスが聞こえましたが、本当にそうでしょうか。我が国のジュエリー文化の成熟を妨げている事はないでしょうか。ただでさえ、買い取りビジネスが横行し、一般の消費者から「宝石の価格なんてあってないもの」、「買う時は高いけど売る時は二束三文」といった声が、日に日に高まっているのに、その消費者も遊びに行ける「アジアを代表するジュエリー大特価セール」を毎年続けていたら、中流層を中心とした一般的な消費者をメインターゲットとする宝飾小売企業の多くに壊滅的なダメージを与えてしまう事にならないでしょうか。
 私も、このお祭りにブースを出展しなくなって数年が経ちます。昔から出展しているある問屋さんの社長が言ってました。「木村さん、取引先(小売店)は借りて帰る。消費者は買って帰る。高い経費を払ってここへブース出しているんだから、きれい事では済まされないんだよ」。この言葉の極めて重い意味をリード社の皆さんは理解出来るでしょうか。この問題意識を理解出来れば、ここ数年、毎年寂しくなっているIJTは驚異的に持ち直すはずです。
 余談ですが、私なら借りる人よりも買ってくれる人にベストプライスを出します。なんだか毎年、この時期のコラムに同じ事を書き続けているようですが、私は、IJTそのものの存在が心配で仕方ありません。
■ 明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。 ■2011年12月27日 火曜日 13時46分20秒

 おかげさまで、私のような若輩で世間知らずの男が何とか書き続けている本コラムも、多くの業界人の皆様に読んで頂けるようになったようです。尊敬する諸先輩方に恐縮しながら、何とか細々と続けてきました(笑)。その記事内容によっては厳しく叱責を受ける事も頻繁にありますが、業界のためと信じて書き続けていくつもりです。私は本コラムを書く時に、必ず、宝飾業界とはまったく関係のない人の気持ちになって書こうとします。15年ほど前、宝飾業界の外にいた自分が「なんじゃそら(笑)」と驚いた宝飾業界の変な「常識」・・・。その衝撃を伝えたいのです。
 ジュエリーの世界と他のファッション業界で「ブランド」と名乗る際の名前や価値観の「重さ」の違い、宝飾卸問屋という存在と特殊な業態、ジュエリー展示会の実態、色石は処理されていて当たり前という業界の常識、新品を買うより高価になるジュエリーリフォーム、激安のTシャツだって記載する「Made in JAPAN」や「日本製」といった製造国表示が殆ど無いジュエリー製品の不思議さ・・・等々、書き始めると終わる事のない物語になってしまいます。

 毎年、お正月には新年の展望を書かせて頂いておりますが、2012年は本質が問われる年になるのではないかと考えています。
 前記した「宝飾業界の変な常識」の中には、社会通念や消費者意識の中で、問題になるような要素もあると感じます。それら問題と一線を画すためにも、販売者の「ポリシィ」や「品質管理のスタンス」をしっかりと定義付けし、顧客に情報発信を続ける事が重要になると思われます。
 また、資金力と人材力のある小売店さんが大きく飛躍する年になると思われます。まさに“格差「ジュエリー」社会”が本格化するのではないでしょうか。
 私の勝手な心配かもしれませんが、展示会販売に、電話集客方式が台頭している事も気になりますね。昨年頃から目立ち始めた電話集客は、過去の呉服業界の手法で、集客システムも明確であり、全国多くの現場で成功実績が報告され始めています。しかし、皆さん思い出して下さい。過去にも「呉服業界の手法」が何度か宝飾業界に導入されましたが、何かしらの「イメージダウン」となる問題も多かったように思いませんか。私の個人的な偏見と聞き流して頂きたいのですが「今回は大丈夫」と言われても心配です。「お客様作り」よりも「売上げ作り」に比重が高すぎる結果、無理な商談も増えてしまうような気がします。イベントを手伝う問屋さんには大きなメリットがありそうですが、地元で消費者と向き合う小売店企業としては、値引きや無理売り等のイメージダウンというリスクを背負う可能性は払拭出来ない気がします。いま、百貨店等における宝飾品の売上げは、富裕層の購買意欲と共に少しずつ回復傾向にあります。「富裕層の顧客を獲得できない宝石店に未来はない」と言われていますが、展示会の乱発は、富裕層が最も嫌う宝石店イメージをわざわざ創り出しているように見えます。そんな私でさえ「メーカーの悲しさ」で全国各地の展示会を日々お手伝いし、プロとしてプライドをかけて売上げ作りにこだわっています。だからこそ「脱・展示会」「店頭販売強化」という情熱が生まれ、ブライダルジュエリーによる「創客(そうきゃく)」や、店頭におけるこだわりジュエリーの販売手法を研究する毎日になったのです。それでも、2012年は、これまで以上にシステム化された展示会販売が台頭するはずです。とはいえ、実際に電話集客による展示会に成功した経営者でさえ「ずっとこのやり方で行くのは無理」と言い切る人もいます。宝飾業界名物「対処療法」の一環になってしまいそうですが、元呉服系コンサルタントの先生方のご指導により販売モチベーションの高い小売店企業が増える事は、同時に市場淘汰を促す事になるので、宝飾業界としては「業界の活性化」という観点から歓迎すべきかもしれませんね。

 いずれにせよ、2012年は、プロのジュエラーとして、宝飾業の本質にこだわった経営者が生き残ると信じています。自分達が扱う商品や売り方に明確な「ビジョン」と「誇り」を持ち、あくまでも自分達のやり方を情熱的に実践していく事が求められると考えます。
仮に、前記した様々な要因により、宝飾業界全体のイメージダウンが仮に生じたとしても、消費者から「あの会社だけは違う」と言われるほどの「企業ブランド化」を最優先に掲げて、会社全体で行動に移すべきだと考えます。私は、多くの現場を肌で感じながら、「企業ブランド化への努力」だけが、唯一、宝飾業として成功する明るい未来へ直結するエネルギーだと感じ始めています。

 2012年、ジュエラーとしての本質を問われる革命的な1年間を、共に「行動」して、しっかりと過ごそうではありませんか。

(株)ジュホウ 代表取締役 木村亮治 ryo.kimura@j-twinkle.co.jp
■「呼べるお客様」と「買えるお客様」の混同 ■2011年12月8日 木曜日 15時8分40秒

 ここ数年は連戦連敗と言われたジュエリーの展示会。ところが最近、宝飾の展示会販売が好調だなんて話を、よく耳にします。おそらく、これまでジュエリーとは無縁だった顧客層を取り込み始めたのかもしれませんね。電話集客でも何でも、とにかく、今まで関わったことの無いような新しいお客様をどれだけ集客できるかで、展示会成果の優越は決まってくるのでしょう。
 どんなビジネスでも、そのスタートは市場開拓です。この部分を怠ることなく積極的に行動していれば「商い」が行き着いてしまうことは無いはずです。私は、展示会販売が難しくなった最大の要因は、景気悪化では無いと考えます。展示会のやり過ぎで、現場のスタッフも疲れ果て、ついつい声をかけやすい「呼べるお客様」ばかり展示会に集客してしまった事。結果的に、いつもいつも同じお客様に頼り続け「呼べるお客様」と「買えるお客様」を混同した事に起因するのではないでしょうか。つまり、新しいお客様さえ、ちゃんと呼ぶ事が出来れば、その企業の展示会は成功し続け、いつものお客様だけで展示会を強行する企業の展示会は、どんどん売り上げが落ちていくのです。
 私も昔ながらの展示会によく応援に行くのですが、主催する小売店のスタッフさんからこんな話を聞くことがあります。「あのお客様はお金持ちだから大丈夫よ・・・。」何が大丈夫かと言うと「お金持ちで何か付き合って買ってもらえるからどんどん商品をオススメして大丈夫」と言うことです。でも、その情報は、最新情報に更新されているでしょうか。ひと昔前、展示会でVIPと言うと、地元企業の経営者家族(いわゆる自営業者)や公務員さん、それに、お金には苦しんでいないのに年金などの公的収入がある高齢のお客様が多かった気がします。でもそんな皆さんは、現在最も経済的に厳しくなりつつある人々ですよね。つきあいが長すぎて、顧客管理も「なぁなぁ」になってしまっていると、突然、そのお客様を失ったり、最悪のケースでは「売りつける悪徳企業」と地元から総スカンされることさえあるのです。
 現在の経済状況や社会の様子を考えれば「宝飾品を売る」と言うことは「真夏に毛皮を売る」ようなものかもしれません。それでも「宝飾展示会」という難しい環境で素晴らしい成果をあげる企業が出現し始めたのであれば、市場開拓という方向性に顔を向け、積極的に「行動」する企業が台頭してきた証だと感じます。その一方で「行動」しない企業がどんどん衰退し、その格差が目立ち始めている事も注視すべきでしょう。お客様のご来店をただひたすら待ち続ける時代はとっくに終わっていて、販売の現場から市場そのものを築きあげる必要性が求められる時代となりました。複雑な需要と社会情勢が、その構築を難しいものとしています。単に大々的な広告を入れたり、お金をかけて販促を重ねても、傷口の応急処置にしかなりません。じっくり、しっかりと傷を癒し、完治させ、これまで以上に免疫力を高める努力を続ける事こそ、多くの宝飾店経営者に求められている「行動」の行方だと確信しています。
 私が考える「真夏に毛皮を売る方法」は、大きくふたつ。来るべき寒い季節に備えて買って頂くか、どうしても今、買いたくなるようなニーズを生み出す事。そのニーズは、ジュエリーの真の「すばらしさ」を徹底的にお伝え出来るビジネスモデルを創出する事だと確信しています。そういえば、私は、真夏でも、名古屋で山本屋本店さんの味噌煮込みうどんを食べる事を楽しみにしています。山本屋本店さんは季節を問わずいつでも混んでいます。そして、一番安いうどんでも1260円と高価です。それでも、真夏に汗を拭きながら食べるあのコシのあるうどんが絶品なんです。毛皮だって宝石だって逆境を跳ね返すニーズを作り出せば、山本屋本店味噌煮込みうどんのように市場を確立出来るのではないでしょうか(笑)。
株式会社ジュホウ 代表取締役 木村亮治
(ryo.kimura@j-twinkle.co.jp)
■一日の時間を有効に使う術は、「集中力」と「イノベーション」 ■2011年10月14日 金曜日 15時1分29秒

 中学生の頃、マイコン(現在のパソコンと同意)に興味を持った。塾の帰り道、深夜営業していた地元の本屋さんに道草して、コンピューター関連の本を閉店まで立ち読みすることが、最高の楽しみだった。あの頃は家庭用コンピューターが急成長した時期で、新鮮で刺激的な情報が次々に発表され、私は夢中になった。
 そして1年以上の交渉期間を経て「勉強に使うから」と嘘をつき、買って貰う許可を頂いた。当時、家電メーカーは次々に新型コンピューターを発表、私が夢に見るほど欲しかった富士通製の「FM−NEW7」は、高性能でありながら、当時は破格の9万円台で売り出していた。たしかタモリさんがTVCMしていた(笑)。まだまだフロッピーディスクさえ高価だった時代、データーのやり取りは、なんと、オーディオと同じカセットテープだった。1つのソフトを読み込ませるのに半日がかりだった記憶がある。ところが、いざ、買ってもらえるという段階になって、中学生の私の心は強烈な誘惑を受けることになる。それがMacintoshとの出会いであった。斬新なデザイン、そして奇抜なアイデアの数々。もともと、FM−NEW7のようなマイコンは、真っ黒な画面にコンピュータのプログラミング用語を直接打って計算や仕事をこなしていた。しかもメーカー毎にそのシステムは違っていて富士通ではF-BASIC(エフベーシック)という言語を使っていた。例えばソフトをインストールする時は、データの入ったカセットテープをデーターレコーダーという機器にセットし、画面上に「LOAD」と打ち込むとテープが回り始めて、ファックス受信で流れるような「ピーヒョロ」音が鳴り始めるといった具合である。現在のパソコンのように、マウスを使って誰でも簡単にパソコンを操作できるようになったのは、ずっと後の時代でしたが、その源流を感じさせたのが中学生の私を悩ませたMacintoshであり、その生みの親が、先日他界したアップル創業者スティーブ・ジョブス氏だったのです。彼が創り上げたMacintoshはとにかく斬新だった。コンピューター本体のデザインから完全に日本製マイコンとは違っていて、未来の世界を感じる雰囲気さえ漂わせていた。彼のその後の活躍は知らない人はいないですよね。2005年、彼はスタンフォード大学での講演でMacintoshのアイデアを踏襲し、世界のスタンダードに成長したマイクロソフト社のWindowsに対して「WindowsはMacの単なるコピーにすぎないので・・・」と発言して聴衆の大爆笑を誘った話はあまりにも有名です。
 現在、我々が便利に使っているパソコンはスティーブ・ジョブス氏が思い描いたとおりに進化し、今ではiPhoneによって携帯端末の世界まで創り上げてしまったのです。スティーブ・ジョブス氏は2007年「電話を再発明する」と言ってiPhoneを生み出しました。多くの皆さんが感じているようにiPhone以外の他社の携帯端末は、どれを見てもiPhoneを参考にして作られているとしか思えないデザイン、機能、そして雰囲気を有しています。世界のスタンダードを次々に創造し、現実化した彼の功績は、人類に大きな進歩を及ぼしたのですね。前記の講演で、最終の成果を見据えて、プロセスを進むことは不可能だと彼は言っています。「いま起きていることが将来何の役に立つのか、どんな未来につながっているのかは分からない。それでも必ず役に立ち、何らかの良い未来につながっていくことを確信しよう・・・人生に起きる全てが自分にとって必然であることを意識するのだ」。彼は「信念」を持つ事の大切さを、若い世代に伝えたかったのでしょう。どんなことでも、無駄な事はなく、どんどんやってみることだと。私はこの講演の内容を知った時から「行動あるのみ」という信念を持っています。言葉よりも、悩むよりも、そして疑ったり批判することよりも、まずは「行動」であり、それを躊躇する人々のために、自分自身の貴重な時間を費やすことは避けようと考えています。行動することは勇気がいります。しかし「吉」と出るか「凶」と出るか不安でも、きっとそれが、自分自身の未来にとって必要に違いないと考えます。すべてスティーブ・ジョブス氏が教えてくれたことなのです。
 マイコンを手に入れた中学生は、家族が寝静まった家の中で、夢中になってキーボードを叩き続けた。その時間を少しでも多く捻出したくて、一日の時間を有効に使う術を考えた。それは「集中力」と「イノベーション」であり、その後の私自身の受験勉強や、ビジネスに大きく影響した事は間違いない。今に思えば、子供達が「経験」という偉大な教師から、成長する術を享受されるプロセスには、時代を変えるほどの刺激が必要不可欠なのかもしれません。そう考えると、いまさらですが、スティーブ・ジョブス氏の生み出した世界が、我々の人格形成や行動にまで大きく影響し、世の中すべてをデザインしてしまったのではないかと思ってしまいます。そんな神様のような経営者を失った今の世の中が、今後どんなふうに進化するのか考え込んでしまいますよね。彼と重なる時代に生きたこと、その幸せに感謝しつつ、心よりご冥福をお祈り致します。
■行動なき企業には、そのレースに参加する権利さえ剥奪される ■2011年10月3日 月曜日 16時15分36秒

先日、打合せで福島県福島市に行ってきました。地元の老舗ふとん店「てっせんや」の佐藤専務と夕方のアポイントを取り、夜は一緒に街に繰り出すというおきまりのパターンです(笑)。てっせんやは地元では誰もが知っている有名なふとん店で、ふとん以外にも、ジュエリーや健康商材等を数多く取り扱っています。
 佐藤専務は「てっせんや」の後継者で、私よりもほんの少し若い好青年です。いつも目がギラギラしていて、そのパワーがこちらまでビシビシ伝わってきます。私は彼を、地元愛が強く、仲間を大切にし、努力家で、自分自身にとても厳しい、一流の商人だと考えています。お世辞を言わない男が書くのですから間違いありません。
 今回の打合せの主題は来年4月に開催されるてっせんや主催の展示会の段取りです。2ヶ月ほど前からお話を頂き、着々と準備させて頂いております。まだまだ半年以上先のイベントを熱く語る専務の姿は、恒例行事だからといつも通りの展示会を計画し、メーカーや商社に丸投げして、ギリギリまでのんびりする宝飾業界の“一部の小売店さん”に見せてあげたいくらいです。専務は「木村さんの説明は私たちが聞いて本当に納得できる。展示会では商品の事をお客様にしっかり説明して頂ければ、販売は私と社長に任せて下さい!」と言い切った。頼もしく感じますよね。「クロージングは任せて!」なんて言ってくれる小売店さんは、我々宝飾業界では本当に減ってしまった気がします。そんなやりとりの中、閉店時間となってお待ちかねの夜の部へ行くことになりました。私は、震災以降はじめての訪問だったので、まずは、震災の話から切り出しました。専務は何かを思い出すかのように語ってくれました。
「震災直後、何か出来ないかと考え、何時間もかけて店のトラックを運転し、被災地の同業者仲間にガソリンや衣服類を届けたんです。(母である)社長に言うと心配して反対されると思ったので、休みの日に黙って行ったのだが、内緒にしてくれるはずだった同業者仲間がお礼の連絡を社長にしちゃって(笑)。何で黙っていったんだと大げんかになったんですよ。」と話す目には、未曾有の大惨事を経験したあの頃の思い出が鮮明に焼き付いているようだった。
「何か出来ることはないか」、それは彼の口癖です。食事の最中に何度も出てきた言葉で「そう思って○○をしてみたんですよ」と続く。彼は必ず行動で示してくれる。今回の宴の席で聞かせて頂いた話の中で、最も感心した彼の行動があった。
「1セット10万円以上の寝具を買ってくれたお客様には、引っ越しの手伝いをサービスってのを始めたんですよ。寝具を新たに買う人は新居等に移動するお客様が多いんです。うちのトラックを使って、朝10時から夜7時まで、引っ越しを手伝いました。いざやってみたら、荷物が本当に多くて大変でしたよ(笑)。でもお客を喜ばせることが好きなんで・・・。嫁に“にぎりめし”を持たせてもらったんですが、お客様からラーメンもご馳走になっちゃって、嫁の“にぎりめし”もラーメンも両方食べました」と笑った。
 ふとん店でも宝石店でも、「小売」は、地域密着、顧客密着が大原則です。そして、重要視すべき事があります。それは、「小売店が、最も消費者に近い」という事実の認識です。
 東京の手作りジュエリーのお店Sが、震災の被災地に行き、ボランティアでジュエリー教室を行った事を知り私は感動しました。
 福岡県の宝石店Yでは、社員みんなで市内の落書き消しをボランティアで実践し、地域犯罪を減少させることに尽力しています。
 どれもこれも、消費者に近い存在だからこそ、その素晴らしい行動が有機的に多くの人々の心を打つのではないでしょうか。
 我々メーカーの客先は小売店で、小売店の客先は消費者です。メーカーは客先に優良な商材と最新の情報、さらにはマーケティングにつながる戦略を提供することが使命となります。私が、このコラムを書き続けたり、自分に許される全ての時間を全国の取引先の巡回に充てているのは、その使命を果たすための最低限の行動だと思っているからです。小売店は客先となる消費者に優良な商品と幸福感の提供、そして何より密接な顧客サービスを永年的に続けていくことが使命と言えるでしょう。佐藤専務の様々な取り組みを夜中まで聞かせて頂き、「メーカー」、「小売」のそれぞれが、しっかりと役割分担して、その使命を“行動”で全うすることが何よりも大切なんだと改めて感じる事が出来ました。
 時代が悪いなんて事は関係なく、それら使命を実践できないメーカーや小売店は確実に消えていくことになります。口ばかりで実践や行動しない人々が、何となく道筋を立てられるほど甘い時代ではないはずです。それが市場淘汰となって、さらなる競争を生むのだと考えれば、行動なき企業には、そのレースに参加する権利さえ剥奪されるのかもしれませんね。
(株)ジュホウ 代表取締役 木村亮治 ryo.kimura@j-twinkle.co.jp
■消費者を甘く見るような商いに絶対に手を染めるべきではない ■2011年9月20日 火曜日 15時12分45秒

 先月末「スーツ全品半額」などとテレビCMなどで宣伝していながら、実際にはすべての商品が対象ではなかったとして、消費者庁が大手紳士服販売5社に対し、景品表示法に基づいて再発防止を求める措置命令を出しました。
 「ダイヤモンドプチネックレス/当店通常価格105,000円の品を半額の52,500円!」我々の業界でも、チラシや店頭で、こんな表示をよく見かけます。多くの同業者の皆さんがご承知の通り、その店での販売価格とは別に、参考となる別の価格(比較対照価格)を同時に表示することを「二重価格表示」と呼びます。前記の場合、ダイヤプチの販売価格は52,500円、比較対照価格は105,000円ということです。関係機関の通達を読むと、二重価格表示は、それが適正に行われていれば問題はないとされています。しかし、当然ですが比較対照価格が根拠のないものや不合理なものだと、販売価格が実際以上に安くなっているとの誤解を消費者に与えることになり景品表示法上問題となるのです。二重価格表示のルールは埼玉県消費生活支援センターの「景品表示法(二重価格表示のルールについて)」のサイトで分かり易く示されています。過去の販売価格を比較対象とした二重価格表示に関してのルールです。

・過去8週間のうち、4週間以上の販売実績があれば、過去の販売価格として表示することができます(例1)。・販売開始から8週間未満のときは、販売期間の過半かつ2週間以上の販売実績があれば、過去の販売価格として表示することができます(例2)。・上記(1)や(2)を満たす場合であっても、実際に販売した最後の日から2週間以上経過している場合には、過去の販売価格として表示することは、原則としてできません(例3)。・販売期間が2週間未満のときは、過去の販売価格として表示することは、原則としてできません(例4)。

 ルールに反した二重価格表示は、法律により「不当表示」とされます。これらに関係する法律に違反した場合には内閣総理大臣から措置命令が出され、その命令に違反した者は2年以下の懲役または300万円以下の罰金に処されます。
 我々の業界でも、メーカーが通常よりもかなり高い値札に変更して販売の現場に商品を持ち込まないといけない例がありますよね。小売店指示かメーカー企画かはともかく、小売店もメーカーも利益率を下げる事は出来ませんから、とても高い価格になります。これは、小売店、メーカー双方が通常の利益を確保して付けた上代価格を値引き後の価格にすり替え「お買い得に見えるように消費者を騙せ」と言う手法にほかなりません。そんな事の繰り返しが、消費者の皆さんが時折口にする「宝石の価格なんてあってないようなもの」という誤解を生み出したのでしょう。そして、そんな安易なマーケティングが業界不信につながっているのではないでしょうか。絶対にやってはいけない事なのです。
 小売りの現場で「二重価格表示のルール」をしっかりと理解している人はどれくらいいるのでしょうか。大切な事は、どんな販売においてもすべての責任は販売者に課せられるという事実をしっかりと受けとめる事だと思います。当たり前ですが「メーカーさんの企画通りやっただけ、知らなかった」という弁明は社会ではまったく通用しないのです。紳士服販売大手5社の半額表示違反のように、公に公開されれば信用は失墜し、地元密着の商いは成り立たなくなります。ジュエリーのような付加価値の強い商品の販売は、お店に少しでも「マイナス」イメージの付くと消費者から避けられてしまう事は過去の例から見ても明らかです。
 インターネットや様々な情報によって、簡単にモノの価格が明らかになる時代、「半額」という言葉に踊らされるほど、消費者の消費傾向は安易ではありません。IJTに大勢の消費者が買い物に出かける時代です。消費者を甘く見るような商いに絶対に手を染めるべきではないと考えます。
木村亮治(ryo.kimura@j-twinkle.co.jp)
■「作る会社」→「売る会社」→「消費者」というシンプルな流通システムへ移行しつつある ■2011年8月2日 火曜日 10時5分53秒

 ビジネスにリスクは付き物である。リスクを負わなければビジネスの「質」は絶対に高まらないと思う。小売店、問屋、メーカー、それぞれどんな業態にとっても、そのリスクとは「資金力」か「労力」に伴うものである。「お金も出さない、労働も全力を出さない」なんてビジネスが成立するわけがない。
 昨今、メーカーの消費者に対する直売が目立ってきている。直営小売店、あるいはインターネット販売等々、そのやり方は様々ではあるが、製造者と消費者との距離は確実に狭くなってきた。間に挟まれた問屋さんはたまったものではないが、問屋さん自体も「小売」の商売にシフトしつつあるので、結果的には「作る会社」→「売る会社」→「消費者」というシンプルな流通システムへ移行しつつある。この移行の流れに対応できない企業は、恐らく急速に市場を失っていく。特に、中間管理職のような立場にあった問屋業は「製造」か「小売」のどちらかを早急に選択し、明確な方針を打ち立てて積極的に進んでいかなければならない。
 我々の業界に限らないが「家業」というだけで、そのご子息達に会社を引き継ぐような時代もとっくに終わっている。ご子息が強く希望し、明確なビジョンがあって、おそらく先代が経験してきたであろう、家族やプライベートをすべて犠牲にして経営に打ち込める事が、中小企業を安全に引き継ぎ、その後も事業が安定する最低条件である。これらが身に付いてない経営者が事業継承しても、必ず、その後2代と続かないようだ。先に示したような流通形態の大きな変化を先読みし、無理と妥協のない事業継承が行われた企業が、強いビジョンを持ったの上で、明確なリスク管理を徹底して、はじめて、強い中小企業として存在感を高めるに違いない。
 とんでもない時代がやって来ている。この夏、世界経済は悲鳴を上げ始めた。世界経済の旗手であるはずの米国の財布が空っぽになり、近年の経済を支えた中国でさえ、高速列車事故の後、指導者である政府の足下がぐらついているように見える。欧州も経済はガタガタだ。我が国においては、無責任な政府によって、ほとんどの国家的決断が棚上げされ、政治そのものが長期休暇に入ってしまっている。原発問題もまったく解決していないし円高も止まらない。プラスの要素が皆無の世の中で、資本主義経済システムの崩壊だって心配になるご時世だ。こんな何が起きるかわからない時代に、次世代の若い経営者達には、将来のビジョンが求められているのだから困りましたね。
 私が、取引先である宝飾業界の仲間達(小売企業)、とりわけ次世代経営者の皆さんに求めるのは、殆どが中小企業である我々の業界で、流通形態の変化をモノともせず、大胆かつ繊細にリスクを操り、情熱的に人生のすべてを経営に注ぐ覚悟を持ったリーダーである。もちろん、自分自身もそうならないといけない。経営者が高級車に乗って、商いの現場は社員達に任せきりで、週末はゴルフを楽しむような時代は二度とやってこない。最近気付いたのだが、私と気の合う経営者仲間は、皆、第一線で活躍する30〜40代の若い世代が多いのだが、ゴルフをする人間はひとりもいない。話題にも上がらない。絶対に愚痴も言わない。そして、休んでいるのを見たことがない・・・。 
■地域に信頼され、尊敬される町医者のようなジュエラーが誕生することが「業界維新」です ■2011年7月14日 木曜日 13時2分7秒

 7月20日、久しぶりに「創客塾(そうきゃくじゅく)」を開催します。このコラムが全国に出回る頃には、米国DCWN社が公認するWLDSA(弊社が輸入元となっているウィリアム・レニーダイヤモンドの専門的な知識を有したプロの販売士)が20〜30人が誕生していることでしょう。
 もともと創客塾は、弊社が主催する勉強会で、お取引先様(小売店)に集まって頂き「創客(そうきゃく)」の精神の普及に長年取り組んできました。今回は初めての試みとして、研修参加者に、ダイヤモンドのプロの販売士としての資格取得考査まで受験して頂く事にしました。「創客塾2011夏」と題し「地域を代表するダイヤモンド専門店を目指して」というメインテーマで全国から約60名の仲間達が集まってくれます。
 これからの宝飾業界の「小売」は完全に「特定少数」の商いが主役になります。景気悪化の影響も大きいですが、不特定多数に向けた「集客ツール」のばらまきが、バブル崩壊後ものんきに繰り返され、全国の宝飾展示会の集客率を悪化させた事は紛れもない事実です。また、コンサルタントと呼ばれる先生方の御指導により、たとえ宝飾品であっても「質」より「量」の商いが長年継続されてしまい、ジュエリーは単なる「商品」として扱われるようになってしまいました。ジュエリー展示会前の準備の様子を観察していると、問屋さんのスタッフ達が、当たり前のように“素手”でジュエリーをつかんで並べ込みをしていますよね。そこに「高級品」を扱っているという雰囲気は全く感じません。バブル崩壊前の時代には「店頭にはピアスを3000個置くべきだ」なんてマーケティングも当たり前のように全国へ拡がり、ジュエリーはまさに物量の時代へと突き進みました。しかし、最初はそれで良かったのです。多くの「成功実績神話」が生まれ「先生」と呼ばれる人々もたくさん誕生しました。とにかく「売れた」のです。いまの中国のような状況が全国の地方都市までも行き渡り、売れすぎて困る時代が長く続きました。自分はまだ中学生、高校生の時代でしたが、世の中の大人達が、とても元気だったことを覚えています。
 しかし、現在の苦境に大きな影を落とした最大要因は、そんな時代がとっくに終焉を迎えたのに、良い時代のイメージのまま、我々の業界は「変化」を嫌ったことにあります。バブル期が終わっても、流通の利益率を考えれば、小売店さんには相当の貯金(現金)が残ったはずです。しかし、現実は厳しく、現場は本当に苦しんでいます。バブル期に受けた融資の返済が滞るなんて話は、日常茶飯事です。なぜこんな事になったか・・・まさにミステリーです。「稼ぐ」こともしたけど、「使う」こともしたと考えるしかありません。
 そんな「ミステリー」な小売店企業のマーケティングを、その当時指導していたコンサルタント達は、2011年の今でも、涼しげに「先生」なんて呼ばれているのですから、この業界は本当に「お人好し」です。
 特定少数のお客様に向けたビジネスに不可欠な要素は「専門的な知識」と、「コンサルティング能力」を備えた専門スタッフ達の活躍でしょう。その存在やシステムを導入できない宝飾店に、近未来を生き抜く力は無いと断言できます。宝石の王様であるダイヤモンドを深く深く掘り下げて学ぶことは、ジュエリーのプロとして基本中の基本です。リフォームやコーディネート等の知識にしても、基礎的な知識の土台の上に建てられる建築物に過ぎません。
 どんなに景気や社会情勢が不安定になってもジュエリー市場から「ダイヤモンド」が消滅することは無いはずです。そして、いま、ジュエリーを愛する消費者や、こだわって一生に一度の婚約指輪を探しているような人々に強く求められているのは「信頼できるダイヤモンド」なのです。「この人から、このお店から買えば間違いない」という専門スタッフ・専門店としての存在感が、地域でしっかりとアピールできれば、物量主義が蔓延した市場の中で、唯一無比の商売が出来るはずです。地域に信頼され、尊敬される町医者のようなダイヤモンドマンが全国各地で活躍し、そのプロ達が密接的に情報交換するような組織さえ構築出来れば、業界維新の大きな流れが現実化していくことでしょう。
木村亮治(ryo.kimura@j-twinkle.co.jp)
■「現場力」を研究して「やらなければならないこと」を当たり前のように実践していくべき ■2011年6月16日 木曜日 16時4分22秒

 自分のお店へお客様に御来店頂くには、どのようにしたらよいでしょうか。昔からお付き合い頂いている常連さんなら、電話一本でお越し頂けるかもしれません(実際にはそれも難しくなっているようだが)。しかし、新規のお客様、とりわけ、何か目当てのものを探しに宝石店へ来られるようなお客様にお越し頂くことは、我々の業界関係者なら誰もが、容易ではない事と認識しているのではないでしょうか。「こうすれば、必ず新規のお客様が御来店される」。そんな方法を見付け出す取り組みを、誰もが必死になって探しているはずです。これまでのコラムでも何度か取り上げて書かせて頂きましたが、最もわかりやすい方法は、多額の広告宣伝費をかけて、お客様を呼ぶ方法かもしれません。しかし、豊富な資金力を有する大手企業ならともかく、そんな方法を誰もが実践することは到底不可能です。資金を強引に調達して無理に実践すると、大変な惨劇になることは明らかだと思います。宝石店は「小売(こうり)業」です。小さく売っていくから小売業なのです。そう考えると「大規模小売店」という言葉は、少し矛盾した意味合いに聞こえますね(笑)。
 一般的に「お金をかけずに」という手法を必死に考えていくことが小売業の使命ではないでしょうか。もちろん、最小限の広告宣伝は必要ですが、それを補完するように口コミ誘導を図る事が、小売店が生き残るための唯一の道だと感じます。宝石のような付加価値産業では、その付加価値の部分で人を引きつける事が、最も正当な手法と考えます。「あのお店のダイヤモンドは、とにかく輝く!」といった噂が出るような取り組みを、実際に成功させているお店も存在します。昔よく耳にした「良いものが本当に安い」という口コミもけして悪いとは思いませんが、私が知り得る限り、その謳い文句で大成功した宝石店なんて聞いたことがありません。大手商社や、卸売業の皆さんの直営店、さらにはコストを徹底的に抑えたインターネット販売等の台頭により、価格面では、一般の小売企業では、絶対に太刀打ちできないことも、その理由かもしれませんね。いずれにしても、小売店企業では、経営者が中心となって、自らの企業の特徴を徹底的に育てていくことが重要だと思います。そして、その特徴やこだわりを、情報発信する体制を築くべきです。情報発信と言えども、これまた、お金をかけて宣伝するのではここまでの話が「何だったの?」になってしまいます(笑)。そこで、最も期待すべきが「現場力」です。現場の皆さんが、自らの言葉で、しっかりと情報発信する術が、現代社会にはあふれています。インターネットを活用したスタッフブログや、Facebook、Twitter、mixi等々、何でも出来てしまうのです。間違った情報さえも伝わってしまうリスクはありますが、それらリスクをしっかりと管理しながら、会社と一丸となって情報を拡げていく必要があるのではないでしょうか。ただし、デジタルだけでは、情熱や人間味は伝えきれません。お客様との「心」のふれあいも、がむしゃらになって取り組むべきでしょう。それら努力がしっかりと実を結べば、地域にとってかけがえのないお店として君臨できるはずです。これらは「お金をかけること」だけでは獲得できない「深い絆」さえも生み出してくれます。くどいようですが、現場で直接お客様と関わるスタッフ達が「自分達で出来る事は全てヤル!」ことが何よりです。経営者は、それら取り組みを促すだけでなく、自らも、そのシステムを理解し、協働で前進して欲しいものです。現場スタッフは、経営者の目指す方向性に対して相互理解に努め、自らの生活のため、そして所属する企業の発展のために、徹底的に「現場力」を研究して「やらなければならないこと」を当たり前のように実践していくべきと考えます。そんなことさえ出来ないのであれば、小売業で働く事自体、難しいと思うべきではないでしょうか。
(株)ジュホウ 木村亮治 ryo.kimura@j-twinkle.co.jp
■地域密着、そして顧客密着の個店主義を貫き「かかりつけの宝飾店」に ■2011年5月17日 火曜日 16時58分14秒

 全国、どこに行っても、たくさんのブランドを持った宝飾小売店さん(ブランドショップ)を必ず見かけます。特にすごいなぁと思うのは、関西、東海、新潟には、かなりの規模を誇るお店が同一商圏と思われるエリア内に複数見受けられます。どのブランドショップも大々的な宣伝によって、多くのお客様を獲得しているのです。特にブライダルジュエリーの市場では、ここ数年、最も実績を残せるビジネス手法として、瞬く間に主流になりました。施設整備や商品の準備に多額の資金が必要なことから、どんな小売店さんでも簡単に手を出せる手法ではないのですが、逆にそのことが、乱立の抑止力にもなって、各ブランドショップの商圏維持につながっているようです。資本主義経済の日本では「強いものが勝つ」が当たり前ですので、この流れは悪いことではありません。この時代に生きる我々は「市場淘汰=市場の発展」という事を受け入れなければなりません。それでは、ブランドショップを展開できない宝飾小売店さんは、淘汰されるのでしょうか。私は、そんな企業こそ、やり方次第で、大手とは一線を画した独自の優良な市場を得られると言い続けてきました。我々の会社が、多くの宝飾小売店さんとタッグを組んで、様々なブライダルジュエリービジネスの取り組みを行っていることは、本コラム読者の皆さんはよくご存知だと思います。そして、弊社が積極的に関わっている企業の多くが小規模精鋭であることも、よく知られるようになりました。私もメーカーとして「お金」を稼ぐために頑張っているのですが(笑)、ただ、要領良く売り込めば売り上げが作れる時代ではありませんよね。取引先となる小売店さんとの共存共栄が不可欠なことから、弊社は様々な研究を進め「小規模個店主義」という考え方を提案し続けています。この考え方は「小規模」だからこそ活かすことが出来るのです。
 全国展開するチェーン店のファミリーレストランは、マニュアルだらけで、本部一括管理の企業が多いですよね。新聞か何かで読んだことがあるのですが、あるファミリーレストランが、各支店の店長さんに多くの権限を委譲して各店の個性を出せる体制へ改革したエピソードを思い出しました。各支店では独自のお店づくりが活発化し、従業員が運営するミニコンサート、お客が参加する料理コンテスト、地元で人気のパン屋からパンを仕入れて販売する等々、各店の店長さん達が創意工夫で、独自のイベントやメニューを投入し、激化する他のファミリーレストランとの差別化を進めたそうです。単に経費リスクを増大させ、価格競争や支店を増やす事で優位性を確保しようとするやり方ではなく、現場で出来る創意工夫から、これまでにない付加価値で優位性を得る・・・まさに「小規模個店主義」の原点だと感心してしまいました。企業の差別化は、その規模や資金力だけに頼ることなく、現場の創意工夫で確立することが出来るはずです。我々メーカーの仕事はその創意工夫をどんどん引き出せるような商品の開発・供給と、実践ノウハウの集積だと考えています。弊社の場合、集積された情報は余すことなく、仲間達の現場へと拡散させます。そして取引先である小規模精鋭の仲間達と共に、一致団結して、大手とは一線を画したお客様を確保していけると考えているのです。全国の仲間達(取引先企業)の中には、「市民農園」ならぬ「お客様農園」で、顧客に農業体験の場を提供し、お客様のライフスタイルまでも関わりを強化していくような宝石店も出現しました。地域密着、そして顧客密着の個店主義を貫き「かかりつけの宝飾店」として強い存在感を放つ仲間を、これからも増やしたいと考えています。
(株)ジュホウ 木村亮治 ryo.kimura@j-twinkle.co.jp

■若者に「頑張れ」と言うより、何を悩み、何をしたいかを共有できる関係づくりを ■2011年5月10日 火曜日 13時7分31秒

「頑張れ」という言葉、難しいと思いませんか。今回の震災の被災者に、私自身はとても「頑張れ」なんて声は掛けられません。被災者の皆さんは必死になって頑張っているし、我慢しています。それがニュース映像などで流れると、その直向きな強さに、涙が出そうになります。時には逆に励まされたりする事もあります。私も、ついつい弊社の若手社員達に「頑張れ」と言葉をかけますが、今頃になって色々思い出してしまいました。自分がまだ宝飾業界に飛び込んで間もない頃、右も左もわからないまま、ただひたすらに動き回った時期がありました。もともと「営業」の経験さえなく、宝飾とは畑違いの仕事をしていた私に、取引先や宝飾品の販路開拓のスキルがあるわけもなく、当然のごとく、なかなか売上に結びつかなかったのです。バブルはとっくにはじけて「不況」なんて言葉が目立ち始めていた頃でしたので、宝飾メーカーとして生き残るための術を必死になって模索していました。あの頃の私にあったのは「危機感」ではなく、売れない事への「恐怖感」だったのです。私の力では、このままずっと「売上」が作れないのではないかと思うと夜も眠れず、自分がなぜこの仕事を始めたのかと自問自答し続けたものでした。
そんな時、上司である父から「危機感もて」とか「頑張れ」なんて言われると「やってるわい!」と腹を立て、些細なことでよく口喧嘩したものでした。今だからこそ、あの頃の父の気持ちもわかりますが、当時はやってもやってもなかなか結果が出ず、焦りもあって、とても、それらの言葉を「激励」としては受け入れられなかったのです。「自分が現場に出ていた若い頃であれば・・・」と考えてしまうのは、昭和を生き抜いてきたビジネスマンであれば誰もが思うことです。それを声に出せば、若い連中からは「昔と今では違う」と言い訳されるので、余計にフラストレーションが溜まってしまうのです。
父の世代の人々だって「今」が「昔」と違うことは痛いほどわかっているのですから。でもわかっていても「言いたい」のです。それらをしっかり受け入れる我慢強さを備えれば、ベテラン世代にすばらしい知恵を与えてもらえることがあります。私の父なんかは、ふたりでじっくり話をしていると30代の私がびっくりするような斬新なアドバイスをくれたりします(笑)。そういった意味では、先代の経営者を「会長」なんて名誉職みたいに奉るのではなく「相談役」という役職になってもらったほうが、いつまでも現役みたいで元気がもらえそうですよね。父の時代、ビジネスは確かに「足し算」でした。頑張った分だけ結果が出ていたのです。当然のように「精神論」がまかり通ったりもしました。現在のビジネス環境は、少なくとも足し算にはなりません。複雑化した公式のようなものです。ベテランの経営者や管理職に限らず、いまだに昔ながらの「精神論」で、企業の社員教育を職業とするコンサルタントの先生も多々見受けられますが、社会に飛び込んでからずっと、複雑な社会環境しか経験出来ていない若い社員達に「精神論」や「昭和の成功例」を聞かせる事自体が、企業内のベテランと若手の相互理解を遠のかせる要因になるのではないでしょうか。
相互理解の環境が整わないと、若手は、会社から去っていきます。その若者が有能、無能に限らずです。若い彼らが、しっかりと納得して自ら行動出来るような社風を創り上げないと、企業は生き残れません。若い連中に「頑張れ」とまくし立てるよりも、彼らが何を悩み、何をしたいかを共有できるような関係づくりを構築したいものですね。
株式会社ジュホウ 木村亮治 ryo.kimura@j-twinkle.co.jp

■今回の「国難」に負けることなく、宝飾業界から日本を元気にしたい ■2011年4月18日 月曜日 11時40分48秒

このたびの震災に被災された皆様、ご家族・ご関係者の皆様、我々宝飾業界の仲間達に心よりお見舞い申し上げます。
いま以上に被害が拡大しないこと、被災地のすべての皆様の救援、1日も早い復興を、心よりお祈り申し上げます。
また、東京電力福島第一原発の事故についても避難や不自由を余儀なくされている皆様の一日も早い「心の安息」と「生活の安定」を心より願っております。
被災地域の宝飾店さんは、その当日、その瞬間まで、いつもと変わらない営業を続けていたはずですよね。展示会の最中だったなんて話もよく耳にします。今回の震災で改めて感じたこと、それは、この世界は、不変ではないと言うことです。
原発事故のことを考えれば、南東北地域に限らず北関東や首都圏、東海地区までも、ある日突然、自主避難の対象となる可能性がないとは言えないはずです。全国に点在する原発に加え、我が国は多くの活断層の真上にあり、周囲を海に囲まれ、狭い国土の上に多くの人口密集地が形成されています。悲劇的な災害の発生要素は星の数ほどあるのです。
「銀行さんからの融資を受け、新工場を建設し、今月1日から稼働させていた。今回の津波で全部流されてしまいました。」そんなことを話す水産加工業者の社長さんがテレビでインタビューされていました。呆然とした様子が印象的で、とても気の毒で見ていられませんでした。社長さんには完全に想定外の災難だったと思います。新しい事業そのものが的外れして大赤字となり工場が閉鎖になるのなら、経営の責任者として気持ちの整理も出来るでしょうが、今回のような事態では、整理のしようがないでしょうね。もし、自分が同じ立場に立たされたら、頭が真っ白になって自分自身を見失ってしまうかもしれません。
経営者は様々なリスクを「想定」し、健全な事業運営に努めます。それは社員やその家族を守る上で当たり前の努力ですよね。今回の震災を教訓に、世の中の急変という事態までもしっかりと見据える必要があると感じました。でも大切なことは、消極的になるのではなく、自社のジュエリーの市場の対象範囲をしっかりと見据え、その規模にあった確実性の高いサービスを行うこと。自分達の規模や資本力から飛躍することなく、その中で、最大の収益を確実にあげるためのシステムを徹底的に探求し、構築すること。そしてさらに、そのための行動を絶対に惜しまないことだと考えます。
もともと、それほど大きな市場を有するはずもない我々の業界においては、地域密着や個店力の成長が「小売業」には求められ、「卸売業」ではその地域ごとの特性や地域バッティングをしっかりと見据えた小売業支援と、取引先・仕入先(メーカー)相互への有機的な情報発信が求められます。我々「メーカー」にはそれら業態に対応できる差別化商品の企画・開発が任されることになりますね。
モノ(商品)の売り上げだけを追求する「小売業」、旬を通り過ぎた商品をばらまく展示会の繰り返しを唯一の売り上げ要素とする「卸売業」、「売れそうな商品」ではなく「売れている商品」ばかり作ろうとする「メーカー」という現在の我々の業界の構図では、いざという時の有事には対応できないはずです。
今回の「国難」に負けることなく、宝飾業界から日本を元気にしていくことに尽力しようではありませんか。 
株式会社ジュホウ 木村亮治 ryo.kimura@j-twinkle.co.jp
■ジュエリーの価値は、匠の技によって表現される様々な芸術性や製作手腕が決めていく ■2011年3月31日 木曜日 14時23分25秒

 結婚指輪は、なぜプラチナでないといけないのか。そんな疑問を抱いたのは、もう10年以上前のことである。この新聞の前号(3月1日)のコラムでも「若年層は素材に無関心なのか?」で、そんな記事を見かけました。
 弊社も長年プラチナ製のリングを作ってきましたが、とにかく軟らかいため、傷が付きやすく、せっかくのカットやデザイン柄が消失してしまうことが残念でなりませんでした。特に弊社は製法特許取得の地金カット仕上げを「ウリ」にしていたので、職人達は、そのカットの摩耗を防ぐ様々なアイデアを探したものでした。地金を主体としたジュエリーの中で、結婚指輪は悲惨でした。毎日装着される結婚指輪は、その摩耗も早く、とても無残な姿へと経年変化していったのです。前号のコラムでは「若年層が素材に無関心といわれるのは、業界が生み出したものかもしれない」と締めくられていましたが、私は「結婚指輪=プラチナ製」という常識こそ、業界が生み出して、頑なに守り続けてきたと考えます。昨今の急激なプラチナ高騰により、やっと、ジュエリー素材の本質を問う論議が活発化しているのです。逆に言えば、プラチナ高騰がなければ、今でもプラチナが王様だったに違いありません。
 全国、どこの街に出掛けても、金・プラチナ高価買い取りの旗や看板を必ず見ることが出来ます。あの姿を見ると、不思議と「プラチナ=高級」と感じることはありません。まるでスクラップのように貴金属が換金されていく様子は、地金を主体とした宝飾品の評価の大半を「素材」で位置付けてきたこれまでの歴史に、ついつい笑ってしまうことさえあります。
 私は、地金製品を主力としたメーカーのひとりとして、ジュエリーの価値は、匠の技によって表現される様々な芸術性や製作手腕が決めていくものであると考えています。もちろん、そのキャンバスとなる「素材」も大切ですが、なんといっても「料理」の手腕で、地金ジュエリーの存在感は大きく高まって行くのです。ダイヤモンドやカラーストーン等の宝石類は「素材」によって評価が決まることでしょう。それらは「地球」という職人が作り出した芸術品であり、揺るぎない評価基準も確立しています。しかし、地金ジュエリーに関しては、例えそれが、シルバーであっても、チタンであっても、パラジウムであっても、金配合比率の悪いK9やK14であっても、その完成された姿が示す芸術性や存在感で「ジュエリーとしての評価」をしていくべきだと思っています。
 私は、7年ほど前から、プラチナ以外の素材を活用して、様々な結婚指輪を製造してきました。それはインターネットで「輪(りん)」や「遥(はるか)」と検索して頂ければご覧になって頂けるはずです。発売当初、多くの諸先輩から御批判を受けた「プラチナ以外であるというマイナス要素」は、今ではお取り扱い頂いている販売店様の「こだわり」という武器に成長しました。今こそ、ジュエリー先進国である欧米のマリッジバンドのように、プラチナ以外の選択肢が、単に価格やイメージではなく、ユーザーの指向と欲求を叶えるため機能の選択肢として認識される時代になったのだと感じています。
株式会社ジュホウ 木村亮治〔ryo.kimura@j-twinkle.co.jp〕
■まったく新しいきめ細かなサービスが必要な「ブライダル」戦略 ■2011年3月31日 木曜日 14時21分43秒

つい先日の日曜日のことである。私は、とある政令指定都市へ出張していた。この街の人口は100万人を超え、このエリアでは大都市である。私が訪問していた取引先は老舗の宝石店。地元でも有名な商店街の中にあり、その宝石店の社長は商店街運営の中心メンバーにもなっている。老舗だけあって昔からの良い顧客が多く、その日も、夕方には私を外商へ連れ出してくれる予定になっていた。社長に連れて行ってもらった外商で、売上げが作れなかったことは過去に一度もなく、私にとってみればとても有り難い商売である。とはいえ、約束は夕方。昼間から訪問してしまって、やることがない(笑)。社長もそれを気遣って、昼休みを利用して市場調査しようという話になった。
実は、昨夜からこの街に入っていた私は、社長を誘って食事に出た。久しぶりの再会ということもあってお酒も入り、ついつい私も言葉が強くなった。
「社長、このままだとこの街のブライダル市場、大手にみ〜んな獲られちゃいますよ。まだまだこの街は未開発の市場なんです。」
弊社ブライダル商品は既に社長のお店には導入済みで、少しずつ、若いお客様の取り込みにも成果は出ている。スタッフの意識も変わりはじめ、導入前とは比べものにならない危機感も持っている。しかし、私の本音は、もっと頑張れるはずとストレスを感じていた。老舗で、長年付き合っている顧客の信頼も厚く、正直、売上げにもそれほど困っている様子はない。さらに、大手地金商社の指定取次店となっていて、昨今の地金ブームで地金の売買がとても忙しいのだ。そんな中、まったく新しいきめ細かなサービスが必要な「ブライダル」という新事業を全力で取り組んで欲しいと思うこと自体に難しさがあるのかもしれない。しかし、弊社商品が導入されている以上、私にも信念がある。
「社長のお店の未来のために、ブライダルを真剣に取り組まないと、絶対に手遅れになっちゃいますよ。」そんな言葉のやり取りがあったのだ。
市場調査は自然と「ブライダル」の方向へ向かった。アイプリモさんやシライシさんはじめ、東京進出組の大手や地元の有力店など、社長がお店を構える商店街近辺にはライバル店が集中している。それぞれのお店の外から、御来店カップルさんの数を数えていくという最も原始的な市場調査(笑)を進めた。
「おっ4組も入ってるよ」「えっ!、ここも2組」。調査を進めるにつれ、社長の顔から笑いが消えていくのがわかった。日曜日の昼下がり、わずか30分ほどの間でゼクシィに広告掲載する5〜6店舗を見て回った。ざっと数えても30組以上のカップルさんが、それぞれのお店には確実に存在した。社長は、カップルさんがいない自分の店に帰ってきて、少しの間、黙って考え込んでいるように見えた。私は、各ライバル店の様子をスタッフさん達に報告した。みんな、一様に驚いていた。こんな身近な市場規模さえ気付いていなかったことがすぐに感じ取れた。「ブライダルのお客さんってそんなにいるんだぁ。」あるスタッフから本音がポロリ。いくらかの時間が過ぎた後、社長が私に言った。
「何からすればええやろうかぁ。」
お店の行動は、ちょっとしたきっかけで加速する。日々全国をまわり、こんな出来事を繰り返していくことが我々に与えられた仕事なのかもしれません。
株式会社ジュホウ 木村亮治(ryo.kimura@j-twinkle.co.jp)
■人間レベルの競争社会で台頭するのが「人間力」 ■2011年1月19日 水曜日 16時25分55秒

 新しい年になりました。「木村の独り言コラム」を本年も宜しくお願い致します。これまでの長いトンネルを抜け出し、今年こそはジュエリー市場が元気になる事を心から願っています。大手百貨店や高級宝石店で、昨年の終盤くらいから、少しずつ高単価なジュエリーが売れ始めていると聞きました。大手企業の冬のボーナスも、けして悪い数字ではなかったようです(ボーナスの使い道トップは貯蓄や生活費の補填らしいですが)。最近気付いたのですが、弊社で取り扱っているダイヤモンドの販売単価も昨年に比べ明らかに上昇しています。とはいえ、残念なことですが、販売点数は減少傾向であることは注目すべきでしょう。これらを踏まえると、ジュエリー等の付加価値高額品を「買える人」と「買えない人」との格差は確実に拡がっていることが理解できます。極論ですが買える人は買える、買えない人はどんどん買えなくなっているのです。
 2011年以降のビジネスには、この「買える人」を見定める明確なマーケティングが不可欠です。この「買える人」とは、まさに現代を生き抜く「人間力」に満ち溢れた人々であり、この人々と通じ合うためには、自分自身の「人間力」を徹底的に鍛え上げる事が必須となっていきます。私自身も常日頃からその大切さを認識していながら、ついつい「危機感」だけに意識を奪われ、目の前の商いだけを追いかけてしまう事が多く、なかなか「人間力」を鍛える修練と向き合うことが出来ていません。「危機感」は「個の力」を畏縮させるのです。その「危機感」はいまの「不況」が増幅させているのです。
 多くの諸先輩方が感じている「不況」と、若手の業界人達が感じているそれとでは、若干の見解相違があります。特に年齢が30歳代となると、完全に「バブル」を知らない年代です。展示会等で働く業界人を見渡すと、若手業界人の割合もだいぶ増えてきたように思います。彼らからすれば、良い時期を知らないので、いまの状況が「ふつう」と感じているはずです。
 20年以上前、「売り場面積を倍にすれば売り上げが倍になる」と教えられたベテラン業界人と、「展示会販売の売り上げに頼り続ける事には無理がある」と思い知らされ続けた若手業界人には、その危機意識の質に大きな相違があるのです。売り上げや市場の急激な減退を目の当たりにしてきたベテランの人々は、現在の売上に大きな不安や怒りを抱えています。不安で当然ですよね。その不安を解決するような「特効薬」をいつも探し続けます。「じわじわと効いてくる薬」では、もう彼らの不安を打ち消すことは出来ないのです。若手からみれば「せっかち」に見えてしまうかもしれません。
 一方、若手の業界人達は、ベテランから見ると、不思議なほどの冷静さを感じることがあるようです。その様子が「危機感がない!」と誤解されることもしばしば。若手の人々は、誰が考えても厳しい時代に向かって歩んでいます。本人達は痛いほどそれを認識しています。少なくとも、将来は年金がもらえると思っている若手は半数以下です(払っていない人々の割合でわかります)。
ベテランの皆さんは政治について語ります。「いまの政府はダメだよ〜」なんて言っている姿をよく見かけます。若手は政治に興味すらありません。期待することが何もないからです。
 つまり、若手には焦りがありません。焦っても、世の中が変化するなんてあり得ないことを、意識レベルのDNAに叩き込まれているのです。
 だからと言って「危機感がない」とか「無責任」と考えることには疑問を感じます。若手には、ベテランの皆さんではなかなか宿らない「その環境に上手にあわせて、自分の力だけを頼りに生きていく」という「強い客観性」を持った人間が多い事を理解してあげてほしいのです。
 若い年代になればなるほど、その客観性はさらに強固になります。若手と自負する39歳の私でさえ、すでに大きなギャップを感じるほどです。私が社会に飛び込んだ頃、上司から「飲み」に誘われて夜の街へ繰り出すことは、断れるわけもない義務のような感覚がありました。たとえ、嫌いな上司であっても断ることは無かったと思います。いま、私たちの年代が20代の若手を「飲み」に誘っても「すいません、今夜はパスでっ」と簡単に断られてしまうことがあります。ついついこっちが気遣って「体調悪いのか?大丈夫か?」なんて声をかけるほどです(笑)。
 完全に「個」を優先し、自分自身を常に観察しながら生きていく事を義務付けられた人生・・・それが若手の人生観なのです。私は、働く人々の多くが、この人生観を持った人間となったとき、経済活動そのものが「企業レベルの競争」ではなく「人間レベルの競争社会」に進むと思っています。そして、その競争について行けない人々は、とても厳しい生活を余儀なくされるはずです。30年前なら弱者をサポートしてくれた「社会」も、これからは手を差し伸べることはしません。強者の代名詞である大手企業の法人税を下げる原資を、将来の人々(つまり今の若手)や子供達に負担させようとするくらいですから。
 人間レベルの競争社会で台頭するのが、冒頭に書かせて頂いた「人間力」だと考えています。若手業界人が突き進む「個」の潜在意識の中で、必ず自らの人間力を素晴らしく鍛え上げる逸材が目立つようになります。私が現場をまわっていても、その逸材候補はゴロゴロと見受けられます。
 2011年は、昨年よりもさらに厳しい一年間だと考えます。政府の無力化はますます目立つようになり、やっと決まりかけている対処療法的で浅はかな経済対策には、素人である私でさえ期待していません。中小企業は壊滅的な打撃を受ける一方、合併や淘汰によって大手企業は競争力を増し、その格差が目に見えて社会に示される「最初の年」になるかもしれません。
 そんな中、若手をしっかりと理解するベテランと、客観的な視点から「個」を鍛えられる若手達がしっかりと肩を組める企業だけが、危機感を超える「前進」を勝ち得るのではないでしょうか。すばらしい人間力に満ちた人々の集団には、必ず「買える人々」との接点が生まれます。そんな仕組みが明確化される新しい年を、期待を持って展望したいものです。最後となりますが、関係者の皆様、お取引先様の皆様、どうか今年も宜しくお願い致します。

株式会社ジュホウ 取締役ゼネラルマネージャー 木村亮治
■地域の人々が「地産地消」の消費にシフトして欲しい ■2010年10月20日 水曜日 10時59分49秒

急速に加速する円高、もしかしたら総理大臣になっていたかもしれない政治家の起訴、巷では信じられないような事件の数々。日本は間違った方向に迷走している気がしますね。休日の高速道路は、政府が実施している格安な高速料金のおかげで大渋滞になることが増えました。私的には、高速料金無料化へ進む動きには反対です。むしろ、普通乗用車には、今の標準的な高速料金の3倍くらいを徴収して頂きたいと思っています。
全国にはたくさんの宝飾店がありますが、その数はまだまだ多すぎると言われています。成熟した宝飾市場である欧米と比べても、人口割合で比較すれば、数倍の数になるそうです。特に、都市部以外の地方において、その実態は強く感じられます。自分が地方をまわっていても「よくぞ続いているなぁ」と思うくらい、宝飾店の姿が目に飛び込んできます。減少しつつある事は間違いないとは思いますが、あまり、世の中の移動が容易になると地方の消費に大きな打撃を与えかねないと心配しています。私の思いこみかもしれませんが、地方で見かける、いわゆる「繁盛店」「良い顧客を抱えている優良店」と呼ばれるお店の立地は、大消費地へのアクセスが不便な地域に多く見られる感じがするのです。そして、過去を振り返ると長野や山形、鹿児島といった地域が、新幹線の開通によって、商店街ごと意気消沈してしまうケースを我々は体験しています。特にいま、心配なのが来年3月に予定されている九州新幹線の全通や、今年の12月に予定されている東北新幹線の全通です。特に九州新幹線では独立地域とされた「熊本」が九州経済の中心「博多」と、わずか35分で結ばれてしまいます。博多駅ターミナルは開通に合わせて大規模な百貨店を新設中で、その求心力はさらに強大化すると思われます。大昔、山陽新幹線が全通した際、小倉(北九州地区)から消費が「博多」へ移った過去もあり、今回はそれ以上のインパクトになるのかも知れません。
東北新幹線においては「仙台」が流動の中心になります。東京から新幹線で北進すると乗客のほとんどが仙台で下車してしまい、それ以降、車内がガラガラになってしまう程です。青森から仙台まで2時間以内というインパクトも大きいでしょう。この際、新幹線の開通を延期にして、高速道路ももっと不便にして、地域の人々が「地産地消」の消費にシフトして欲しいと思ってしまう自分は、非国民なのかも知れませんね。
株式会社ジュホウ 木村亮治〔ryo.kimura@j-twinkle.co.jp〕
■「不況」を言い訳に販売に尻込みする業界人達 ■2010年9月28日 火曜日 16時34分33秒

「なかなかわかって貰えなくて」涙ぐみながら彼女はポツリとつぶやいた。ある展示会で、たまたま私が接客する事になった彼女。年齢は三十歳、独身、無職。詳しく聞く事は遠慮したが、心の病で相当悩んだ時期があったそうだ。今は明るさを取り戻しているように見えた。
お母様と一緒に展示会に来ていた。「三十歳・独身・無職」お母様とすれば心配で仕方がない。雑談の中で繰り返すように「せめて仕事でも」と問う。その都度彼女は「いまは色々考えたい」と反論する。口論の中間に入ってしまった私、やはり放っておけない。彼女の気持ちに触れ、気が付けば2時間以上彼女と向き合った。お母さんの目の前で、私が感じた彼女の感情を代弁し続けた。彼女の目から涙がこぼれ、私は何度も彼女の肩に手を添えた。最後は再会を約束してお母様とふたり、仲良く帰っていった。私から30万円のネックレスを買ってくれた彼女は、素敵な笑顔を見せてくれた。無職の彼女にとっては勇気の要る買い物のはず。「キレイ」と言って嬉しそうにネックレスを眺める彼女の顔が今でも頭から離れない。
不況だから、ローンが通らないから・・・ジュエリーは確かに売れなくなった。でも、ジュエリーは必ず人の心を動かす。全国どこかの現場では「不況」を言い訳に販売に尻込みする業界人達を嘲笑うように多くの物語が繰り広げられている。今までも、そしてこれからも。
株式会社ジュホウ 木村亮治〔ryo.kimura@j-twinkle.co.jp〕
■業界全体で「販売者責任」を取る ■2010年8月9日 月曜日 13時43分23秒

 ダイヤモンドの鑑定書が必要、不要という議論から、私が以前の記事で書いた「鑑定書」という呼称についての議論まで、今回、時計美術宝飾新聞社がまとめたアンケート結果には、我々業界の危機感が明確に示されていました。
JJAが提唱する「販売者責任」、つまり、売った側の責任を強調している点については、小売業者の“こだわり”はもちろん、製造メーカーと小売業者の中間に位置する卸業者に、より専門的な情報開示とプロフェッショナルな人材が必要になる気がします。冷静に考えれば、我々メーカーが製造したものに「不正」があれば、消費者の手に渡るまでの流通過程の中で、必ず除外されるはずです。少なくとも消費者はそれを疑わないのではないでしょうか。多くのグラジュエイト・ジェモロジストや、ベテラン業界人の「プロの眼」の洗礼を受け、批判と評価の宣告を幾度となく潜り抜けて、ほんのひと握りの逸品だけがお客様の手に渡る・・・そんな、精度の高い流通プロセスが求められる時代であることは、業界内外の動向からも周知の事実のはずだからです。
私の個人的な見解ですが、各メーカー(工房)には、欧州で見られるようなマイスターの格付けを行って、技術や意匠、さらにはマーケティングという点で競争させるべきだと思います。すでにメーカーの世界では、この世界的な大不況の功績により、自然発生的に「勝ち組」と「負け組」との差が確実に広がっていて、格付けは始まっている感じもします。しかし、単に「売れる商品」を供給するメーカーを評価するのではなく、業界への貢献度や業績、自社に所属する技術者の顔ぶれ、さらには現代社会の風潮を付加して、先進的な取り組みや環境への配慮など、評価項目を作り上げてスコア評価すると、より正確な格付けが出来るのかもしれませんね。
厳格に格付けされたメーカーを源泉として、多くの厳しいプロ達がこだわり尽くした流通プロセスを、歴史と伝統の上に築き上げられた「正しい風潮」として、しっかりと業界全体で保持・継承出来れば、今回のような問題は、消費者に渡る手前ですべて食い止められたのではないでしょうか。

業界の危機感が明確に示された

忘れてはいけない事は、ダイヤモンド・グレーディング・レポート(いわゆる鑑定書と呼ばれてしまうもの)を、公の鑑定機関が発行した「鑑定書」といった雰囲気にしてしまって巧みに販促物化してしまったのは、他ならぬ我々宝飾業界の人間達です。百貨店をはじめとした全国の宝飾販売店、さらには問屋さんが催事に連れてくる無責任なコーディネーター達は「4Cの最高峰」なんて表現で「トリプルエクセレント」や「ハート・アンド・キューピッド」という言葉を接客プレゼンの決め手にしてしまったのです。
ほとんどの業者が、ダイヤモンドをまるで工業製品のように「4C」だけで価格決めして流通させてしまいました。売れ残ったり、消費者が質屋さんに持ち込むと、ダイヤモンド価格は下落し、4C各評価毎の全体の価格基準までもどんどん下落させて、副作用的に、ダイヤモンドの4C基準を比較材料とした価格競争を常態化させてしまったのです。
ダイヤモンドの品質基準を語る上で「4C」の存在はとても大切ですよね。猛暑の中、空き時間の全てをGIAに通う事に費やしている私を含め(笑)、誰もが認めるグローバル・スタンダードに間違いないのです。しかし、今回の事件が大騒ぎになるまで、そもそも「4C」とは何かという論点で、認識を深める努力は、年々忘れられてしまっていたのかもしれません。GIAの基準は前提条件としながらも、消費者が唯一頼りにする全国の宝石店さんが、独自の評価方針を探求していく事を、業界全体で促していく事が必要ではないでしょうか。
今回、有名になってしまった全国宝石学協会(全宝協さん)ですが、日本が世界に誇る、国際的評価の高い鑑別専門会社ですよね。カラーストーン等では、日進月歩の最新の「処理」を見抜く為の高額な専門機材や蓄積データを備えているし、優秀なグレーダーさんも多く在籍していると聞きます。
販売の現場では「全宝協が鑑定した商品はすべて無料で再鑑定します」といった内容の説明が多いようですが、果たしてそれが、本当に消費者が求めている事なのかなぁと疑問を感じます。
どれだけの人々が、自分が購入した商品に不安を抱き「無料で再鑑定」をしてもらうため、店頭へ持参したかを多くの人々に聞いてみると、当初の予測よりだいぶ少なかったようです。お客様が所有している商品よりも、百貨店の「店頭品」の再鑑定が最も忙しかったのかもしれませんね。

責任の擦り合いは業界のマイナス

全国の宝石店を廻っていると、経営者である社長が自分の跡継ぎである息子や娘を「甘い」と嘆く事も少なくありません。そんな時、私は必ず「子は親の鏡ですよ」と伝えます。同じように経営者が、自社の社員を「アホ社員」と言い放つ姿を見る事があります。その時は必ず「社員は経営者の鏡ですよ」と言います。そんな毒舌(?)が原因となって、経営者の方に顔を真っ赤にして怒られることも、私の日常ではよくあることです(笑)。自らが長年、商売に活用してきた全宝協さんを批判し、あたかも自分達も被害者といったような弁明をする販売店は、必ず信頼を失うのではないかと考えます。また、お客様への回答としても、「うちは○○だから大丈夫」という返事だけで終わらせて欲しくないものです。せっかくの機会ですから、「そもそも、ダイヤモンドのカラーとはこんなふうに判定するんですよ」といった「ふかい〜ぃ話」をしてあげて欲しいものですね。  
株式会社ジュホウ 木村亮治〔ryo.kimura@j-twinkle.co.jp〕
■「勝ち組」の客には「ブランドの量」ではなく「こだわりの質」を ■2010年7月20日 火曜日 15時7分46秒

 日本経団連が5月19日に発表した1部上場企業対象の今年の夏のボーナス額の調査では、昨年比1.51%増の790,468円と発表されました。また、先月末に公表された国家公務員の夏のボーナス(期末・勤勉手当)は、管理職を除く行政職(平均35.5歳)の平均支給額で577,500円、これは昨夏より4千円(0.7%)増加したそうです。ここ数年、世の中を苦しめてきた景気は底打ちの時期に達して、僅かながらに景気は回復基調にあるというのが、多くの先生方の見解のようです。我々の業界で、せめて、公務員並みのボーナスを支給された人間はどれくらいいるだろうか。もともと、中小企業がほとんどの業界ですので、上場企業の様子なんて別世界の出来事と感じる業界人も多かったはずです。我々の業界に限らず、全国で働く人々の7〜8割の皆さんにとっては、別世界の支給額に思えたのかもしれませんね。
株式会社野村総合研究所(野村総研)が金融資産保有額別のマーケット規模を推計する際、その区分は、預貯金、株式、投資信託、債券、一時払い生命・年金保険などの純金融資産の保有額(負債を差し引く)によって、「超富裕層」「富裕層」「準富裕層」「アッパーマス層」「マス層」に分類して推計しています。
個人の純金融資産5億円以上の世帯を「超富裕層」と呼び、1億円以上の世帯を「富裕層」、5000万円以上を「準富裕層」、3000万円以上を「アッパーマス層」としています。
金融資産3000万円以下の世帯がマス世帯と呼ばれ、野村総研の推計によれば、我が国全体の世帯のうちの約8割を占めるそうです。そして残りの約2割が、いわゆる「余裕のある世帯」となるのですが、それら世帯が消費するマーケット規模は日本全体の6割近くを占めるという結果にも驚かされます。
つまり、我が国においては「2割のお金持ちによって国内消費の約6割が賄われている」ということになります。宝石は「贅沢品」ですので、その多くは「2割のお金持ち」によって消費されているのでしょうか。私はそうは思いません。あくまでも私の推測の域ですが、残り8割の上位にランクする人々もかなりの消費を担ってきたと考えます。だからこそ「ローン販売」が重要だったのです。自分が自由に使えるお金を超えてしまうような買い物を「ローン」で行うスタイルは、全国の宝石店では日常的な光景でした。しかし、ローン販売が難しくなり、8割の上位にランクする世帯の消費活動は、確実に減退し始めています。さらに、「余裕のある世帯2割」と「一般的な世帯8割」の経済格差は、年々拡がり続け、今では「格差」を超えて「階級」になったとまで言われています。
少なくとも、ボーナスだけを見ても、「上場企業で働く人+正規の公務員」とそれ以外の人々とでは大きな開きがあることは明白です。今後は「2割のお金持ち」を重点的に顧客として獲得していかないと、宝飾業界では生き残れないはずです。
先日、香川県観音寺市にある弊社取引先「トヨタ宝冠堂」に立ち寄りました。そこには「遥(はるか)」と呼ばれる弊社のブライダル商品が導入されています。「遥」は、極めて特徴的な商品が多く、マニアックな顧客層にしか受けない商品で、導入直後はどんな販売店さんも、その販売方法やマーケティングに大変苦労されます。これまでの「常識」が通じないのです。例えば「ブライダルなのにプラチナ製品が皆無」というだけでも、その商品構成の異様さを感じて頂けることでしょう(笑)。
トヨタ宝冠堂さんは、売上げの軸であった「展示会販売」を極端に減らし、若手スタッフが中心となって様々な改革に取り組んでいます。当然ですが、困難な道のりです。忍耐強く、手探りで一歩一歩前進しています。その目的は、将来の軸となる顧客を創り上げる事、ただそれだけを目指しているのです。
久しぶりの訪問で、トヨタ宝冠堂の皆さんとの再会に喜びを感じつつ、スタッフみんなとお茶を頂きながら、この数ヶ月を振り返りました。そんな会話の中で、最も特徴的だったのが「遥を見に来るお客様は、本当に公務員さんが多いんですよ・・・」という一言。そして、それに「うんうん」とうなずくみんな。それはまさに、マニアックな「遥」という商品の戦略が、少しずつ良い成果として形になってきた証だと感じました。「公務員」を「勝ち組」と考えれば、トヨタ宝冠堂には勝ち組のカップルさんが訪れている事になります。その中で、どれだけのお客様を「一生のお客様」として自店のファンに出来るのかはこれからの取り組みに期待しなければなりません。
弊社商品の宣伝になってしまうので「遥」の話はあまり出来ませんが、最も大切なことは、「何処にでもあるような商品で勝負しないこと」、「こだわりを表現しやすい商品で勝負すること」そして何より、「専門店として選りすぐりの商品に絞り込むこと」だと考えています。
「勝ち組」と呼ばれる人々の心に訴えるのは「ブランドの量」ではなく「こだわりの質」だと思うのです。以前のコラムで、ブランドがたくさん置いてあるお店には「富裕層」ではなく「富裕層に憧れる普通のお客様」が来るのではないかと書いた事がありました。
 ブランドショップでは高級時計をローンで買う人が多いと聞いたからです。「2割のお金持ち」が、「8割の上位にランクする人々」が多く所有する商品を嫌うとすれば、結婚情報誌でお馴染みのブランド達や、それらブランド商品をたくさん取り揃えるお店は対象外になってしまうのかもしれませんね。株式会社ジュホウ 木村亮治〔ryo.kimura@j-twinkle.co.jp〕

■「業界全体のモラル」を問うのであれば ■2010年6月4日 金曜日 10時42分5秒

「業界全体の誇りや伝統」についても真剣に向き合うべき

全宝協の問題は、我々の業界全体を巻き込む大事件となってしまいましたね。多くの諸先輩方、尊敬すべきGGの皆様、宝石学を究めた研究者の方々が読まれるこの誌面上で、私のような半端な人間が、この問題に対してコメントするのは、生意気極まりないことではありますが、多くの仲間に意見を求められていますので、勇気を持って少しだけ書かせて頂きます。
先日、たまたまGIAに取材に来ていた大手新聞社の女性記者と話す機会がありました。社会グループの記者でしたが、彼女は、事あることに「基準は何?」という言葉を繰り返し質問してきました。
そもそも、今回の問題に関する記事の多くで「鑑定書」と記載がありますが、正しくは「ダイヤモンドグレーディングレポート」ですよね。「鑑定書」と言う言葉には、テレビの「何でも鑑定団」のように、そのものの価値を保証するようなイメージと捉えることが出来ます。しかし、全宝協をはじめとした多くの鑑定機関が発行しているのは「グレーディングレポート」、直訳すれば「品質分析報告書」の類です。GIAのグレーディングリポートを見ると、小さな文字ではありますが「本レポートは保証書や価値判断書、価格査定書といったものでは無く、単にダイヤモンドの特徴について述べたものである」と書かれています。もちろん、全宝協のダイヤモンドグレーディングレポートにも同じような注記があります。
そんな話を、私は記者に説明しました。すると強い口調で反論とも思える言葉を浴びせられました。「それでは消費者は何を信じたらよいのですか。」
私は、もっともなご意見だなぁと感心しましたが返事はシンプルに答えました。
「お店です」。
私は記者を見つめて一言、その後互いに一瞬の静寂がありました。「自分が信頼できる宝石店がすすめてくれたダイヤモンドを信じるのです。本当に大切な買い物としてダイヤモンドを買いたいと思うなら、消費者も、信頼できるお店を探すくらいの努力も必要じゃないかなぁ」。
記者は「なるほど。」と言ってくれました。記者からは「情報開示」という言葉も何度か耳にしました。どうやら、グレーディングの結果と販売価格の因果関係を開示して欲しいようです。しかし、グレードによって値段がどう違うなんて事は、明快にシステム化されているわけもなく、それこそ具体性に欠ける情報開示になりますし、今回の問題を解決する根本的な答えにはなり得ないと私は考えています。本当に情報開示すべきは、全国の宝石店で、「ダイヤモンドのグレーディングとはどういったものか」を徹底的に広報することだと思うのです。今回、問題になったダイヤモンドのカラー判定について、「グレーダーの目視」であること、「ダイヤモンドをひっくり返してパビリオンから観察するということ」「天然のものだから、それぞれのカラーの中間が存在すると言うこと」等々、そして何より、「コンピューターで正確に計測するようなものではない」という事。
他の新聞社でこんな事を耳にしました。「あっちこっちの小売店に新聞社が取材で回っているらしいですよ。でも殆どの小売店がノーコメントなんですって」。私はすぐに「ノーコメントなんてダメだ」と声を荒げてしまいました。しっかりと自分達の自信と情熱を言葉にして伝えるべきです。一番消費者に近い小売店さんが、問題から逃げていてはダメだと思うのです。
もし、小売店さんがコメントに困るのであれば、その原因はダイヤモンドの販売が「4C」の説明で片付けられる実態が大きいと思っています。4Cのシステムがダイヤモンドの基準として有名になると、メーカーや小売店は自社の保証書ではなく鑑別会社のレポートを保証書代わりにつけるようになりました。○○協会とか、○○研究所とか、素人である消費者を信用させる為には、あたかも公的な機関が発行しているようなレポートが、それらしくて都合が良かったのではないでしょうか。これは真珠でも一緒ですよね。結局、店頭に御来店頂いたお客様(消費者)には、「4C」でダイヤモンドの善し悪しが判断できると説明されてきました。現場からすれば、その方が「楽」だったのですね。そんな中で、今回の事件は起こったのです。そして、その問題の本質に気付かない宝石店や、多くの百貨店は、未だに「全宝協」だけを責めています。自分達は全く悪くない、むしろ被害者のような言い回しをしたりする人もいます。うちは「中宝研」だから大丈夫なんて、訳の分からない説明をしたりもします。問題の根元は「4C」に頼り過ぎて、現場のスタッフ達でさえ、ダイヤモンドグレーディングの本質を理解していない事があるのではないでしょうか。今回の問題で「業界全体のモラル」を問うのであれば、それと同時に「業界全体の誇りや伝統」についても真剣に向き合うべきかもしれないですね。
株式会社ジュホウ 木村亮治  ryo.kimura@j-twinkle.co.jp
■6月18日に完全施行となる改正貸金業法によって ■2010年5月31日 月曜日 16時25分15秒

必ずや「超専門店化」の優位性が目立つ時代に

いま、宝飾業界では、多くのメーカーならびに小売店企業がブライダルジュエリー市場へと本格的に参入し、まさに、「ブライダル戦国時代」の様相を呈しています。私は、自分の取引先企業には、ブライダル客を取り込むことが出来ないのであれば、宝飾業界で小売店を継続させることは、実質的にかなり難しいことをいつも提言しています。ブライダルジュエリーの販売機会によって創出される新しいお客様との出逢いを通じ、将来、上顧客となってくれそうな予備軍を確実に育て上げることが、小売店企業の唯一の道だと自分自身が確信しているからです。
 展示会販売の衰退により、いつまでも昔からのお客様だけを頼りにする商売は、いよいよ限界に近付きつつあります。我々の業界が長年頼りにしてきたローン販売が、6月18日に完全施行となる改正貸金業法によって、かなり厳しい条件へと移行することも大きな要因と言えます。
 現在の「ブライダル戦国時代」の発生要因は、未曾有の大不況の中、多くの消費者から「贅沢品」として敬遠されつつあるジュエリー市場で、唯一、祝い事としての実用的な要素を含んだ「ブライダル」の売上げに期待が集まるからでしょう。ブライダルにこれまで真剣に取り組んでいなかった小売店企業から見れば、ブライダルで頑張っている小売店企業の芝生が青々と輝いて見えるのです。
 しかし、我が国の婚姻組数は、平成8年で795,080組、平成20年で726,106組(厚生労働省)と減少しており、例え離婚率の上昇によって再婚率が増加したとしても、少子化も重なって、市場は横ばいから緩やかに縮小されていくものと予測できます。その市場に多くの業者が殺到すれば、自ずと、1業者あたりの市場割当ては減少していくはずです。
 結婚情報誌「ゼクシィ」のリクルート社が2009年春に実施した調査では、結婚指輪の相場はペアで約21万円と発表されています。婚約指輪の相場は約36万円だそうです。婚約指輪を買うカップルは全体の約6割という事も示されていますので、単純計算で年間3000億円規模程度の限られたブライダルジュエリー市場を、宝飾業界の仲間達が争奪していく事になります。
 その限られた市場の中で、取り扱いブランド量や価格を競い合うビジネスでは、メーカー直営店や、GTBT・石部氏が仕掛けるような「ブランド集積ショップ」が有利になります。さらに、永遠にブランド導入合戦を繰り広げると、最終的には完全に「資本力」の勝負になってしまいます。
 前回のコラムで家電量販店を例にしましたが、ヤマダ電機のようなメガストアに、中小規模の家電量販店が対抗するためには、仲間との合併等によって資本力と共に自社を大規模化するか、あるいは、大手ではマネ出来ない痒いところに手が届くような専門店へと自社を変革する以外、勝ち目はありません。
 現実的に「資本」で太刀打ちすることは無謀であり、必然的に後者の方向を目指すべきと思われます。家電なら、ひと通り販売していた電気店が「パソコン専門店」等へ生まれ変わる事例が目立つのも、その動きと言えるでしょう。とはいえ、極めて厳しい時代の中、単に「パソコン」の専門店では、ライバルとの差別化は困難になってきているそうです。今なら、さらに一歩進んで「マッキントッシュの専門店」とか「PC用のケーブル専門店」といった、「超専門店」の時代になっているのです。
 それでは、ブライダルジュエリーではどうでしょうか。もちろん、数多くのブランドを取りそろえて、他社と差をつける小売店も急増しています。これからも増えることでしょう。しかし、家電量販店の例と一緒で、多額の資金投入を続けて王様のようなビジネスを展開出来る企業は、ほんのひと握りと考えるのが自然です。ブランドの量やトレンドを維持するためには長年にわたる多額の資金が必要となるからです。
 私は、大手とは一線を画す事を前提として、ブライダルジュエリーで生き抜く為には「超専門店化」が不可欠と考えています。同様の動きの例として、自社工房をウリにして、お客様からのフルオーダーに応える小売店も増えていますが、金・プラチナ地金の高騰や、大手のジュエリーメーカーがフルオーダーシステムに本格的に参入することで、単に、世界でたったひとつのデザインの指輪を作ると言うだけでは採算か合わなくなるはずです。最も安全で確実な「超専門店化」は、経営者自身が徹底的にブライダルジュエリーを研究し「これが好きだっ!」と思える「こだわりのブランド」を見つけ、メーカーと連携して、そのブランドの専門店へと変革する手法だと思います。メーカーとしても、自社商品に対して、そこまでのこだわりを持って頂けた取引先には、様々なサービスを施すはずです。そして、そんな協力関係があちこちで成果をあげれば、わざわざメーカーが慣れない小売りに参入して直営するような事例もなくなるはずです。業界で良く知られたブライダルジュエリーのブランドが、インターネット市場等で、直営を開始する事例が増えているのは、全国にネットワークを築き上げたものの、予測していた売上げには到底及ばず、手っ取り早く収益を上げようとする動きではないでしょうか。ブライダルジュエリーを月に2000万円売り上げる小売店さんに、自社のブランドを導入してもらっても、そのお店に20〜30のブランドがひしめき合っていれば、自分達へ割り当てられる売上げも限られてきます。ここ数年では、ブライダルに強いお店というと各地で目立つ存在でしたので、多くのブランドが同じお店に集中してしまったのです。しかも、ブライダルに強いお店なら、さらに新しいブランドを増やすので完全に悪循環となります。商圏を守る契約で導入させてしまうと、その商圏における自社の売上げが消滅していくのを、メーカーは指をくわえて見ているしかないのです。
 これらの動きは、今後、ブライダルブランドジュエリーの勢力再編として目立ってくるのかもしれません。ブランド集積ショップや、ブランドメーカー直営の増加により、それ以外の企業がブライダルジュエリーに本格参入して「一騎打ち」をするのであれば、必ずや「超専門店化」の優位性が目立つ時代になるはずです。「ブランド獲得合戦」の時代が終焉したいま、最も、小売店経営の本質であった「差別化」が、マーケティングの主役に躍り出るのかもしれませんね。
株式会社ジュホウ 木村亮治〔ryo.kimura@j-twinkle.co.jp〕
■小規模経営ならではの「機動力」や「独自性」に期待 ■2010年4月12日 月曜日 5時39分45秒

小売店企業と共存する商圏の中で生き残る「道」

とにかくお客様に御来店頂きたい、それが全国のジュエリーショップの心の叫びですよね。店頭への集客の実数は「宣伝力」によるところが大きいと言われます。「宣伝力」は、完全に「資金力」と置き換えられます。石部さんがプロデュースするようなブランドジュエリー店は全国に拡がり、その多くが、自らの商圏の中で一定の集客を成功させているようです。この成功の影に「宣伝力」の変革を感じることが出来ます。
それは、ブランドジュエリー店を立ち上げた小売店企業各社が、自ら多額の資本を投入して、戦略的に広告宣伝を展開する事例が常識化した事にあります。まさに「完全勝利」を目指す石部イズムの具現化に向けて、自らの商圏を完全に掌握するための取り組みが全国各地で示されたのです。これは家電業界における広告展開の変遷に似ています。
昔、全国には「街の電気屋さん」がたくさんありました。その殆どが小規模家族経営のお店であり、その宣伝は、取引先である大手家電メーカー各社に任せていたのです。しかし、大手家電量販店が誕生し、小売店である各量販店企業が独自に宣伝を展開するようになりました。その結果、消費者の多くは「価格」と「品揃え」に勝る量販店へ集中していったのです。いわゆる「街の電気屋さん」は、昔からの常連客や近所付き合いの顧客に頼る事が大きく、新規顧客の取り込みは苦手でした。さらに、時代の変化の中で「ご近所付き合い」も希薄になっていった事で、ますます厳しい商いを強いられ現在に至ります。
あたりまえの事ですが、小売店は、メーカーの消費者窓口ではありません。その小売店が独自性に目覚め、自らをブランド化するプロセスの中で、「宣伝」の形態は大きく様変わりして行くのです。店頭への集客が「宣伝力」によって全て決着するのであれば、資本力で差が出てしまう小規模な小売店企業に勝ち目はありません。家電のように売上げ規模が巨大であれば、メーカー側が販売店に成り代わって宣伝をする事も出来ますが、もともと市場規模の小さな我々の業界では、上場企業も皆無でメーカー側の資本力にも「限界」があります。
もし、メーカー側が多くの経費を負担するのであれば、販売価格をつり上げたり、自ら小売事業を拡大して利益幅を確保する必要があります。それでは、完全に潰し合いになってしまいます。さらに、消費者の頭の中には「ブランド名」だけが蔓延り、小売店がその「ブランド」の引き渡し場所になってしまう事例も見て取れるのです。何れにしても、これらは小売企業とメーカーの共存共栄の論理からは離れてしまう事でしょう。
私は、小規模小売店企業が、バンバン宣伝費をかけられる小売店企業と共存する商圏の中で生き残る「道」として、小規模経営ならではの「機動力」や「独自性」に期待しています。お客様をお招きする様々な取り組みに、大手ではマネの出来ない様々な工夫を盛り込む事だと考えています。例えば「機動力」の観点では、大手の観光ホテルではマネの出来ない、優良なペンション経営を参考にするとわかりやすいと思います。「独自性」の観点では、ふつうの「醤油」では大手に対抗できない地方の老舗醤油メーカーが、徹底的に研究を重ね、「卵かけご飯専用醤油」で元気になった例が有名ですね。大切なことは、店頭で展開する商品を徹底して絞り込み、お金をかけることなく、インターネット等の情報発信や口コミ誘導をとことん頑張って、自分達でお客様を創り上げるべきなのです。そうすれば、必ずや「お店のファン」の集団が形成されます。それほど大きな集団でなくとも、安定経営出来る規模を早期に明確化すれば、自ずと進むべき道はも見えてくるのではないでしょうか。我々メーカーが果たすべき使命は、そのための強力な武器として、極めて特色のある商材を継続的に供給する事と、販売店の商圏をきっちりと守る事だと思っています。
潟Wュホウ 木村亮治 ryo.kimura@j-twinkle.co.jp
■宝飾業界は「質」と「独自性」が求められる時代へ突入しました ■2010年2月15日 月曜日 12時11分57秒

明確な独自のビジョンを持った経営者であり続ける事

今年の国際宝飾展(IJT)で最も話題となったのが中国人の皆様の購買意欲だったのではないでしょうか。物販ブースの多かったB会場を中心に、あちにこちらで中国語が飛び交い、東京タワー内のおみやげ物屋さんのようでした。多くの中国人の皆さんはグループになっていて、一団となって各ブースを廻っていましたが、少し気になる事がありました。あの人達はいわゆる「バイヤー」なのでしょうか?首からぶらさげている入場証も「卸」「小売」とバラバラで、どんな業態の方なのかが、よくわかりませんでした。ブースを出展している仲間の中には中国語の通訳スタッフを用意していた会社もあるので、後でその様子を聞いてみたいと思っています。中国の皆さんが、スーツというより普段着の方が多かった事で「中国からの観光客の皆さん」の可能性も疑ってしまいます。さすがにそれは無いとは思いますが、もし、場内で囁かれた「噂」が真実であれば、富裕層が中心と言われる中国人観光客にとって、IJTが最高のおみやげ物屋さんになっていた事になります(笑)。主催者の方も把握しきれないでしょうから、仕方のない事かも知れませんが。
何が真実なのかわからないとしても、一番の問題は、以前から本コラムで訴えさせて頂いている「宝飾見本市の意義」という視点に集約されると思います。会場内には「8割引」とか「大特価」といった類のビラをぶら下げたブースも数多く見られ、ハンドバックから財布を出して現金を支払うオバ様達の姿は、年末のアメ横のようでした。それでも入場者は少なかったらしく、2日目の朝、開場前に「昨日の来場者は記録的でした」といったアナウンスが流れてきた以降は、3日目も4日目も、何のアナウンスも発表も出ませんでした。弊社のブースはA会場の好立地にあったのですが、2日目以降客足はまばらで、最終日は「出展者」というバッジを付けた人達が最も目立っていました。
2月1日付けの本誌一面で「会場の雰囲気は4日間通し昨年より盛り上がりを見せた」と書かれていましたが、私は、自分自身の実感として、過去10年で最も寂しいIJTだったような気がします。会期最終日、「主催者」のバッチを付け、スーツで決め込んだ若い女性スタッフが、家族や友人と思われる来場者を連れて廻っていた姿には、さすがに呆れて声も出ませんでした。「見本市」に最も必要なのは「活気」ではありません。もちろん、入場者は多い方が嬉しいですが、我々メーカーにとって出逢いたいお客様は「プロ」の入場者です。売上げの対象となるような仕入れバイヤーに限りません。自分の作品を売り込む若手デザイナーや、ジュエリー産業への進出を悩む商社の方でも、とにかく、ビジネスとして訪れる皆さんを待っているのです。そのために極めて高額な出展費用と準備のための労力を惜しみなく注ぎ込んでいるのです。相手が国籍を問わず「消費者」であれば、出展企業は「小売業」の皆様が主体となるべきです。それで、宝飾業界が活性化されるのであれば、私はそれでも良いと思います。思い切って、主催者の皆様も方向転換するべきではないでしょうか。もちろん弊社のようなメーカーは出展出来なくなりますが・・・。
一方、日程が重なる形で開催された第1回ブライダルジュエリーショー(BJF)には驚かされました。もちろん弊社も出展させて頂きましたが、私が知り得る限り、全国の有力小売店が一同に集まったのではないでしょうか。特に初日は、声が嗄れるほど、多くの企業様への説明機会を得る事が出来ました。会場内の商談スペースはほぼ埋まり、一時は部屋の中が人で埋め尽くされたくらいです。もちろん、来場者の全てが「プロ」ですから、会話も弾みます。私自身の予測通り、出展企業が共同で用意した軽食もほとんどが余りました。来場者は商品探しに夢中で食事やサービスなんて求めていないのです。事前の協議で「IJT会場から歩くには遠いのでタクシーチケットを用意した方が良いかも」といった心配する意見もありましたが、入場者が「プロ」であれば、そんなサービスを求める事もなく、これから先のビジネスチャンスを求めて、プロ達は必然的に集まったのです。今後のBJFにも多くの課題は残されていますが、ひとまずは大成功だったと思います。全国各地の選ばれたプロ達が集まるブライダルジュエリー見本市の最高峰として、発展して欲しいものです。石部さんはじめ、出展企業及び関係者の皆様、本当にご苦労さまでした。
宝飾業界は、完全に「質」と「独自性」が求められる時代へ突入しました。それらを備える事の出来ない企業は生き残れないはずです。「リフォーム」に走る業者もありますが、二束三文で買い取られた「おさがりジュエリー」が在庫過多になっている状況では、今後の発展は見込めないのではないでしょうか。斬新で、消費者が「夢」と感じてくれるような新商品を徹底的に探して市場に投入し、それらを「買える顧客」を創出する努力から目を背けてはいけないはずです。現場から離れて、高みの見物のコンサルタントの「先生」の類に身を預けるのではなく、大切な事は、経営もマーケティングも、プロフェッショナルとして明確な独自のビジョンを持った経営者であり続ける事だと私は信じています。  株式会社ジュホウ 木村亮治〔ryo.kimura@j-twinkle.co.jp〕
■次のマーケットを見据える「たくましさ」 ■2010年1月13日 水曜日 11時42分5秒

新しいエネルギーを感じるビジネスに取り組もう

2008年夏頃から始まったとされる世界的な景気急落は、データだけを読めば、2009年3月以降は回復の動きが起きているとされています。世界的に株価も上昇に向かい、他国より相対的に上げ幅は小さいとされる日本でさえ、3月10日の日経平均終値7054.98円を底に12月中旬では1万円台を維持しています。とはいえ、私を含め、宝飾業界で働く多くの皆さんが「売れないなぁ」という感覚に支配されていることでしょう。
今からおよそ2年前の2008年前半の日経平均株価は13,000円くらいだったと記憶しています。展示会販売の落ち込みが表面化してきた頃です。
「ローンが通らなくなる」宝飾業界には、明らかに暗雲が拡がりつつありました。その頃の私自身のブログや新聞記事を読むと「危機感」を訴えるコメントが目立っています。「これから宝飾業界の景気はとても悪くなるから、いまのうちに準備しましょう」「展示会販売から卒業しましょう」「自社のアイデンティティーを高める努力を加速化させましょう」。結果的に見れば、2010年こそ最悪のスタートになってしまっています。あの頃の警告に敏速に対応できた企業でさえ、とても苦しんでいるのが実情です。しかし、まったく準備出来なかった企業の悲劇は、もはや説明はいらないでしょう。2005年、宝飾業界の常識を打破し、最悪となるであろう経済環境の到来に備えるため、全国に仲間達を求め立ち上げた「輪(りん)プロジェクト」。宝飾業界においては、多くのコンサルタントの先生方が「売り方」「モチベーションの上げ方」しか伝えられていなかった時代でした。また、不況の時期だからこそ大きな投資で市場へ宣戦布告し、店舗改装や、著名なブランド品を店頭に揃えることが生き残りの必須条件であるという誤解さえ生まれていました。業界全体が迷走し始める中、我々のプロジェクトの参加企業は、「セル」よりも「マーケティング」に重点を置く事を最も大切な共通認識だとしてきました。時間と努力を重ねて、新たな顧客層とそのネットワークを構築し、規模は小さくても、今後何十年に渡って、自社のファンや地域に支えられる「強い」企業を作ろうとしたのです。その頃の私の口癖は「経営者は売上げの落ち込みよりも、将来の方向性が見えないことの方が怖いはずだ」というものでした。
先日、その仲間のひとり、三重県の神山幸久さんと、ゼクシィの今後の契約について電話で会話しているとき、こんなやりとりがありました。私が「ゼクシィ卒業とはコスト的に合わないから掲載をやめると言うことではない。ゼクシィに代わるお客様の集め方に何となく気付いて、それを実践するために、掲載をやめたり誌面を縮小することだよ」と言うと「あぁ、うちは、少しずつだけど何となく気付いてきてるねぇ」と返されました。
彼は、今後もけして楽な道のりではないし、まだまだ多くの経費や草の根的な取り組みが課せられ、「苦渋の選択」や、「多大な努力」を何度も繰り返さないといけない「これからの経営者」のはずです。けして恵まれた商圏や経済状況では無いのですが、彼は足元の状況だけに固執するのではなく、常に「次のマーケット」を見据える「たくましさ」が備わってきているように思います。今に思えば幸せな事ですが、私は、そんな仲間達をたくさん知っています。似たもの同士は気が合うと言いますが、宝飾業界の中で、彼らのような侍達が強固なネットワークを構築し始めているのです。最悪の景気の中で、彼らの輝きは少しずつ目立つようになってきました。そんな輝きが拡がっていく年、それが2010年なのかもしれません。もし、彼らのような存在が宝飾業界の「ノアの箱船」に成長すれば、必ずや宝飾業界は新しいエネルギーで輝き始めます。今年は、「溜め息」ではなく「鼻息」を荒げて、自分自身のアンテナをとことん駆使し、新しいエネルギーを感じる事の出来るビジネスに取り組もうではありませんか。本年も「木村サンの独り言コラム」を宜しくお願い致します。
潟Wュホウ 木村亮治 ryo.kimura@j-twinkle.co.jp
■「使う素材に興味のないシェフが経営するレストラン」 ■2009年11月27日 金曜日 6時9分0秒

宝飾業界でも同じことが言えます

いまさらと笑われるかも知れませんが、私はいま、GIAの通信教育を受けています。我々の業界では言わずと知れた存在であるGemological Institute of America。その組織が定める宝石学(ジェモロジー)のスペシャリストの訓練を受け、宝石の知識、ビジネスのノウハウ、グレーディング・鑑別技術、そして何より、プロのジュエラーとしての倫理を兼ね備えて修得した人に与えられる称号が、これまたお馴染みのGIA.GG(Graduate Gemologist)です。皆さんのまわりにも少なからずいらっしゃると思います。私は、このGIA.GGになるための勉強をしているのです。このコラムで発表したのですから、もはや、「挫折」は許されません(笑)。「挫折」なんて書くと「根性無し」に聞こえるかも知れませんが、正直、甘く見ていました・・・とても大変なのです。通信教育とは名ばかりで、こまめに御徒町の教室に顔を出さないと、資格取得のために必須とされる実習が一向に前に進みません。出張先から羽田空港や東京駅に戻ると、そのまま御徒町へ直行する日々が続いています。私の居場所について「東京に戻っている日の昼間=御徒町」という行動パターンが、弊社の社員達やお客様にまで浸透したようです。GIA.GGを取得する方法は大きく2つに分かれています。専門学校のように通学する全日制のプログラムと、私のように通信教育で取得を目指す通信制のプログラムです。全日制は、まさにその名の通り、週末以外の毎日通学し、半年で卒業(GIA.GG取得)します。通信制の場合、GIA.GG取得までの平均期間が1〜2年と聞いています。GIAの発表によるとGGプログラムの合格率は、全日制の場合が約80〜90%、通信制の場合が約40%となっているそうですので、油断は禁物なのです。今回、なぜ、こんな事をコラムで書こうと思ったかと言うと、私と共に通信教育で学んでいる仲間達が本当に頑張っているからなのです。当たり前ですが、通信制の学生のほとんどが、普段は働いています。「論理(学科)」は基本的に「読書」と「暗記」の類ですので、自宅でも何処でも空いた時間を有効活用して進める事が出来ます。でも試験や実習は、仕事を上手に休んで通学しなければなりません。今年の夏からスタートして約4ヶ月、通信制で頑張る色々な人と出会いました。ティファニーや百貨店で働いている人、普段は宝石とは全く違う仕事をしている人、種子島から来ている人、もう3年以上も通っている人・・・等々。若々しい全日制に対して、通信制には「私よりも年上」という人もたくさん頑張っています。GIA.GGを取得する目的やきっかけはそれぞれ様々なようですが「宝石学」を学ぶ姿勢には感動さえ覚えます。みな、かなりハングリーに「宝石」と向かい合っています。そして「夢」や「希望」もたくさん耳にします。宝飾の現場の最前線にいながら感じ得なかった事・・・宝飾業界全体のモチベーションがこれだけ崩壊していると、「宝飾業界の未来」とか「宝石の浪漫」なんて、口にするのも歯がゆいですよね。でも、宝石の世界を探求する多くの人々の強い情熱や、宝飾への「思い」が、通信教育の学生さんが集まる教室には、明らかに充満しています。
私は最近まで、この「思い」を忘れかけていたのかもしれません。「宝石が好きです!」そんな言葉を、純粋に、素直に、大声で叫ぶ事が出来ない自分に気付いてしまったのです。そして、それこそが、いまの宝飾業界の問題の核心かも知れない事も・・・。「お魚に詳しくない板前さんのお寿司屋さん」、「使う素材に興味のないシェフが経営するレストラン」、そんなお店が繁盛するとは思えないし、発展や進歩なんてとても期待出来ませんよね。宝飾業界で働く皆さんは「宝石」が大好きで、ジュエリーそのものが自分自身の興味の中心になっていますか?
通信教育は「自分」との闘いです。生活を支えるためにしっかり働き、「プライベートの時間」「睡眠時間」を削って「周囲の犠牲」に目を瞑りながら、ひたすら「GIA.GG取得」という夢に向かって頑張っています。その通信教育の学生の「思い(情熱)」に負けていては、これだけ付加価値を「ウリ」にしている宝飾業界の人間として、恥ずかしいのではないでしょうか。そして、多くの問題が山積する我々の業界を改革する上のヒントが、そこにあるような気がしてなりません。
株式会社ジュホウ 木村亮治 ryo.kimura@j-twinkle.co.jp
■「バザー」なのか「Exhibition」なのか、明確にルールを決めて欲しい ■2009年11月24日 火曜日 7時37分24秒

IJTの基本コンセプト

今年もまた国際宝飾展(IJT2010)の時期が近付いてきました。出展各社は、その準備に取りかかっていることでしょう。私の会社も例年通り参加する予定です。皆さんご存知の通り、国際宝飾展はあくまでも見本市です。宝飾や時計のプロのバイヤーや関係者が一同に集結し商談する場です。しかし、近年、国際宝飾展の主旨に大きく矛盾する光景も目立つようになってきました。この事に関しては、本コラムにおいて私は度々話題にしてきましたが、毎年、会期が終了すると「来年は絶対に参加するのをやめよう」と心に誓っています(笑)。しかしながら弊社ブースは、大変有り難いことに毎年多くのお客様が集まり、最近はWilliam-LennyDiamond関連の海外の仲間もやってきます。
全国各地で厳しい時代を闘っている仲間達(取引先)にとっては唯一の“心の交流”を果たす、楽しみの場になっているのです。だからこそ、「出展辞退」の判断を迷ってしまうのです。「ジュホウさんは余裕があるからそんなこと言えるんだ」と批判される出展社の方も多いのですが「誰のための見本市なのか」を考えると、今の国際宝飾展の姿がまったく正しいと考える業界関係者は少ないと思います。先日開催された東京モーターショーでは、世界的な不況で、常連だったゼネラル・モーターズやダイムラーなど大手海外メーカーが参加を見送りました。もともと見本市というものは景気に左右されて当たり前です。リクルート社「ゼクシィ」に広告掲載するのと同じで、あくまでも「宣伝費」として投資するものだと思うのです。もし、見本市でメーカー直売が当たり前になると、「築地市場」と一緒で、必ず一般消費者はあらゆる手立てで入場してきます。そして「全国の宝石店の販売価格は、この会場よりもだいぶ高価」というイメージが定着し、消費者にとっては「ジュエリーがお得に買えるイベント」と認知されても仕方がないということになります。主催社であるリード社に私がお願いしたいことは「バザー」なのか「Exhibition」なのか、明確にルールを決めて欲しいのです。混在は、どう考えてもおかしいと思います。私はいまこそ「決断」しました。全国の仲間達に申し訳ないのですが、もし、リード社が、IJTを「バザー」混在イベントとして、来年度以降も同じ状態であれば、弊社はIJT2010を最後に出展を取りやめます。誰かが熱意を持って「行動」に移れば、我々に限らず、仲間達からも同様の意見が出てくるかも知れません。IJTはリード社だけでなく、日本ジュエリー協会も主催者になっています。過去20年以上に渡り、我々の業界の発展に大きく寄与してくれた事は間違いありません。多くの国民にとって高価で縁遠い存在だったジュエリーを、身近な存在にしてくれたのは「ジュエリー大量販売時代」を支えてくれたIJTだったのす。しかし、IJT自体がその大きな方向性を変えずに、ひたすら「来場者の増加」を自慢するだけの「巨大バザー会場」であり続けるのであれば、既に業界の発展に寄与するという「大看板」は外す時が来たと考えるべきでしょう。これからの宝飾業界は「逸品主義の時代」です。この時代のジュエリー・マーケティングは、Webサイトや、それぞれのテーマに特化した広報媒体へと小さな窓口へ移行しつつあります。場合によってはメーカーと小売店が共同で新商品を開発することもあるはずです。全国の現場を見て歩くと、厳しい時代でありながら、こだわりを演出したブランドジュエリーのマーケットは急上昇する機運を感じます。それは製造者と販売者が一致団結し、強い信念を持ってマーケットに接している姿を感じるからです。そのシステムの中にIJTという機能は組み込まれてきません。販売する側が、ひたすら良い商品を求めて情報収集する姿も見受けられます。「他社に無い逸品」を真剣に探す小売店さんが、お台場にさえ行けば簡単に商談できるような商品に期待するでしょうか。私は今回が最後にならない事を心のどこかで祈りながら、IJT2010の準備を本格化させようと思います。順番が「逆」かも知れませんが、皆様の弊社ブースへのご来場を心よりお待ち申し上げます(笑)。
〔株式会社ジュホウ 取締役ゼネラルマネージャー 木村亮治〕
■「バザー」なのか「Exhibition」なのか、明確にルールを決めて欲しい ■2009年11月24日 火曜日 7時37分24秒

IJTの基本コンセプト

今年もまた国際宝飾展(IJT2010)の時期が近付いてきました。出展各社は、その準備に取りかかっていることでしょう。私の会社も例年通り参加する予定です。皆さんご存知の通り、国際宝飾展はあくまでも見本市です。宝飾や時計のプロのバイヤーや関係者が一同に集結し商談する場です。しかし、近年、国際宝飾展の主旨に大きく矛盾する光景も目立つようになってきました。この事に関しては、本コラムにおいて私は度々話題にしてきましたが、毎年、会期が終了すると「来年は絶対に参加するのをやめよう」と心に誓っています(笑)。しかしながら弊社ブースは、大変有り難いことに毎年多くのお客様が集まり、最近はWilliam-LennyDiamond関連の海外の仲間もやってきます。
全国各地で厳しい時代を闘っている仲間達(取引先)にとっては唯一の“心の交流”を果たす、楽しみの場になっているのです。だからこそ、「出展辞退」の判断を迷ってしまうのです。「ジュホウさんは余裕があるからそんなこと言えるんだ」と批判される出展社の方も多いのですが「誰のための見本市なのか」を考えると、今の国際宝飾展の姿がまったく正しいと考える業界関係者は少ないと思います。先日開催された東京モーターショーでは、世界的な不況で、常連だったゼネラル・モーターズやダイムラーなど大手海外メーカーが参加を見送りました。もともと見本市というものは景気に左右されて当たり前です。リクルート社「ゼクシィ」に広告掲載するのと同じで、あくまでも「宣伝費」として投資するものだと思うのです。もし、見本市でメーカー直売が当たり前になると、「築地市場」と一緒で、必ず一般消費者はあらゆる手立てで入場してきます。そして「全国の宝石店の販売価格は、この会場よりもだいぶ高価」というイメージが定着し、消費者にとっては「ジュエリーがお得に買えるイベント」と認知されても仕方がないということになります。主催社であるリード社に私がお願いしたいことは「バザー」なのか「Exhibition」なのか、明確にルールを決めて欲しいのです。混在は、どう考えてもおかしいと思います。私はいまこそ「決断」しました。全国の仲間達に申し訳ないのですが、もし、リード社が、IJTを「バザー」混在イベントとして、来年度以降も同じ状態であれば、弊社はIJT2010を最後に出展を取りやめます。誰かが熱意を持って「行動」に移れば、我々に限らず、仲間達からも同様の意見が出てくるかも知れません。IJTはリード社だけでなく、日本ジュエリー協会も主催者になっています。過去20年以上に渡り、我々の業界の発展に大きく寄与してくれた事は間違いありません。多くの国民にとって高価で縁遠い存在だったジュエリーを、身近な存在にしてくれたのは「ジュエリー大量販売時代」を支えてくれたIJTだったのす。しかし、IJT自体がその大きな方向性を変えずに、ひたすら「来場者の増加」を自慢するだけの「巨大バザー会場」であり続けるのであれば、既に業界の発展に寄与するという「大看板」は外す時が来たと考えるべきでしょう。これからの宝飾業界は「逸品主義の時代」です。この時代のジュエリー・マーケティングは、Webサイトや、それぞれのテーマに特化した広報媒体へと小さな窓口へ移行しつつあります。場合によってはメーカーと小売店が共同で新商品を開発することもあるはずです。全国の現場を見て歩くと、厳しい時代でありながら、こだわりを演出したブランドジュエリーのマーケットは急上昇する機運を感じます。それは製造者と販売者が一致団結し、強い信念を持ってマーケットに接している姿を感じるからです。そのシステムの中にIJTという機能は組み込まれてきません。販売する側が、ひたすら良い商品を求めて情報収集する姿も見受けられます。「他社に無い逸品」を真剣に探す小売店さんが、お台場にさえ行けば簡単に商談できるような商品に期待するでしょうか。私は今回が最後にならない事を心のどこかで祈りながら、IJT2010の準備を本格化させようと思います。順番が「逆」かも知れませんが、皆様の弊社ブースへのご来場を心よりお待ち申し上げます(笑)。
〔株式会社ジュホウ 取締役ゼネラルマネージャー 木村亮治〕
■企業継承へ至るアクションプランを実施していくべき ■2009年9月9日 水曜日 6時42分36秒

「先代」と「新社長」の関係づくりが、安定的な企業継承への近道

前回のコラムで「還暦を過ぎた経営者は、適切な候補者がいるならば引退を考えるべき」と書いた事が、意外な反響を呼んでしまいました。わざわざお電話まで頂いた社長さんもいて、少し驚きました。宝飾業界に関わるほとんどの企業が中小企業です。中小企業にとって避けては通れない大きな壁、それが「世襲」を前提とした「企業継承」であることを改めて認識しました。
自分の身の回り(取引先)には、たまたま還暦を過ぎた経営者の方の多くて「早く引退しないと木村君に叱られるわぁ」なんて皮肉たっぷりに言われる事もしばしば・・・。多くの経営者は、次の跡継ぎ候補に強い不安を感じているようで「まだ無理だわ」といった感じの感想が多かったのです。その都度、「誤解しないで欲しい」と前置きして、丁寧にお返事させて頂いたのですが、今すぐ、実務的に引退すべきと提案しているわけではないのです。少なからず、企業継承へ至るアクションプランを実施していくべきだと申し上げております。
「還暦を過ぎた経営者が、体調を維持できるギリギリまで、経営の実権を握っていれば、その不安がいつか“きれいさっぱり”消えてくれる日が訪れて、ニコニコ顔で企業継承出来るとでもお考えなのですか?」
そんな冷酷な返事を、これまでも何度となくベテラン経営者の皆さんに問いかけてきました。時には激怒されて「出て行け〜」なんて言われたこともありました。最も悪いタイミングの企業継承とは何か・・・それは先代の体調が突如崩れたりして仕事に関わることが不可能になり、急遽、ご子息が新社長になるパターンです。この場合、新社長側の準備はかなり未成熟で、企業は危険な状態に陥ります。どんなに優秀な新社長でも、つまらない話に騙されたりして、企業に深刻なダメージを与えるパターンも、たびたび耳にします。逆に最もベストなタイミングは、現(ベテラン)社長が“バリバリ”元気なまま一線から身を引き、相談役くらいのポジションを維持しながら、新社長を誕生させるパターンではないでしょうか。その時点で会社の財布(手綱)をしっかりと握っていても良いのです。ただし、会社には顔を出さないくらいの我慢は必要です。社員と接することも極力避けるべきでしょう。社員に何か伝えたい時の窓口は「新社長」にして、新社長のフィルターを通過させて指示させるのです。私の知人の中には、携帯電話の番号まで変えて、社員達や取引先とのダイレクトな接点を閉ざした先代社長までいます。つまり、先代の「引退」は現場と明確に隔離された「院政」で良いのではないでしょうか。会社の帳簿をチェックし、ベテランならではの視点から市場の様子を把握、そしてわかりやすいアドバイスを新社長に提言して行く。そんな先代を持つ新社長は本当に幸せだし、スムーズに企業継承できるのではないでしょうか。さらに大切なことがあります。先代は「バンバン」遊ぶべきです。わざと目立ち過ぎるくらい遊んで、その姿を社員達に見せつけるのです。そんな先代の心遣いが、社員達に「本当に新社長にすべて任せたんだ」と認識させるはずだし「うちの先代、週5でゴルフ」なんて会話が、社員達の安心感と自意識の向上を育んだりします。新社長は「社長」と肩書きされた名刺を持ちながら、多くの人々と関わり始め、相手も新社長を会社の代表として扱います。どんな悩み事が生じてもいつでも先代に相談できる、時には、まだまだ元気な先代が、縁の下の力持ちになってくれたりもする、そんな「先代」と「新社長」の関係づくりが、安定的な企業継承への近道だと思います。「不安」は絶対に消えないですから、早くに立場と視点を変えて、次世代経営者を育ててあげてください。
ご子息の中には自意識が強く情熱的に頑張っている人も多いのです。頑張っているご子息ほど、先代との意見の違いで喧嘩してしまったり、嫌になって企業継承そのものを拒む人まで出てきます。ご子息に対する不安を消すことが出来ないというだけで、いつまでも現場に関わってしまうと誰も幸せになれないのではないでしょうか。追い打ちをかけるように「昔は○○だった」なんて話を掲げて若い社員達にハッパをかけても、誰ひとり「おれも昔の社長みたいに頑張ろう」とは思えないはずです。「時代が違うよ」と心の中で呟かれて、社内に「理不尽さ」が起因する重い雰囲気がのしかかります。誰ひとり自分の会社を悪くしようなんて社員はいません。先代か後継者のどちらかがしっかりとした未来への展望を実行に移せば、どんな苦難も、共に力を合わせて乗り越えられるのではないでしょうか。
〔木村亮治〔ryo.kimura@j-twinkle.co.jp〕
■生き残るための経営戦略 ■2009年8月31日 月曜日 5時57分1秒

還暦を過ぎた経営者であれば、次期後継者へ企業継承すべき

コラムを書けない期間が長引くと「木村さん、独り言楽しみにしてるよ」というお声をよく掛けて頂くようになりました。大変嬉しい事ですが、少々のプレッシャーも感じます。この夏、宝飾業界で大成功している企業なんてほとんどありません。隣の芝生が青々と見えるとしても、今さらあせってはいけません。ジタバタすると無駄な時間や経費の浪費を生んでしまうと考えるべきでしょう。焦らないといけない時期は3〜4年前に過ぎ去ってしまったのです。いまは、しっかりと地固めをして、未来への生き残りを画策すべきだと思います。その具体的なプロセスを言うと、例えばベテラン経営者が長年頑張っている小売店企業の場合、もし還暦を過ぎた経営者であれば、この1〜2年以内に次期後継者へ企業継承すべきだと思います。もちろん、それに相応しい候補者がいればの話ですが、この点だけは何としてでも完遂しないといけません。継承するのは企業だけではありません。自店を長年支えてくれた顧客の皆さんも継承が必要なのです。企業継承には現社長が主導的にアクションを起こさなければいけませんが、顧客の継承においては次世代後継者が積極的に汗をかかないと駄目です。本人の性格がどうとか、得意分野がどうとか、そんな事は全くどうでもよいので、とにかく先代からの顧客と積極的に関わって行くべきです。先日、選挙がありましたが、「政権交代を狙う党から公認を取った若い候補者が、メガホンを持って自転車で自分の選挙区をまわる・・・地元有権者の目を見ながら両手で握手を求める」。宝飾店企業の後継者が「顧客の継承」を行う真の姿は、そんなイメージが最も近いのではないでしょうか。あの若い候補者達だって、超有名大学卒業〜超一流企業勤務なんてエリート経歴を持っているわけで、暑い夏の日に大声を張り上げて自転車を走らせるなんて、プライド云々振り払っての危機感です。現在のような苦境の中で企業を譲り受ける次世代後継者にも、圧倒的な危機意識と共に、すべてを振り払っての行動が求められるはずです。さらに、同時進行で求められるのが新規顧客を創り上げるための明確な「実践」です。この実践の対象は、若年層に集中させるべきでしょう。ここで、私がずっと感じ続ける「業界の不思議」を書かせて頂くと、宝飾店の社長さんは、なぜかご子息を他店に「修行」に出したがりますよね。「修行」は他店でないと出来ないのでしょうか。私は、仕事柄、ブライダルジュエリーのマーケティングに深く関わっていますが、ご子息の地元のお友達がみんな結婚適齢期なのに、当の本人(ご子息)が他店へ修行に出ている事が多いのです。ご子息が戻ってくる頃には、そのご子息も含め、友人達は皆結婚して子供までいる始末です。つまり、若年層の新規顧客を、最も容易に獲得出来る期間を、いとも簡単に手放しているのです。ここでも「宝飾業界の旧来からの常識」が、せっかくのチャンスを無駄にしてしまっているのです。「自分の息子は、自分のグランドで、自分達が育てても良いのではないか」そんなシンプルな常識が求められます。経済が停滞し身動きが取れない今だからこそ、「着実な企業継承&若い新規顧客(次世代の市場)づくり」を徹底して行動に移すべきです。その時、ベテラン経営者は「我慢・忍耐」を背負います。次期後継者には「全てを振り払っての実践」が求められます。もし、それが出来ないのなら、「未来」の企業創造は不可能であると断言出来ます。長年苦労して積み上げた「資産」が目減りする前に、企業の存続をあきらめるべきかもしれませんね。
木村亮治〔ryo.kimura@j-twinkle.co.jp〕
■7月から「店頭販売強化」のキャンペーンを始めました ■2009年7月21日 火曜日 2時20分23秒

8月からは「不況を生き抜く店頭販売の絶対的な心得」セミナーです

全国の仲間が悲鳴を上げています。展示会販売では採算が合わないというリスクを背負いながらも、この手法以外では売上げが作れないという恐怖感から、更なる展示会の予定を組んでしまう。様々な経費が重くのし掛かり、たくさんの売上げが作れないと赤字に陥ってしまうリスクに怯えながらも、恐怖感を解消する選択肢を選ぶ事の悲しさは「業界不振」そのものを表す構図ですよね。
弊社の場合、たまたま特徴的な商品があって展示会協賛の要請を多く頂ける有り難い状況なので、展示会を「選択」出来るだけリスク軽減の幅がありますが、一般的な商品が主体となるメーカーでは、激しい競争により、なかなか展示会協賛の要請も少なく、結果的に選択する余裕もないそうです。「売上減少」が続くと、メーカーや商社の社員は「企業の採算性」よりも「自らの保身」をかけて予定を埋めようとします。展示会場の「マネキン」さんがいつまでも減らない理由のひとつです。我々「メーカー」は問屋さんに付いて全国の宝飾展示場をまわりますが、その移動や宿泊の経費は莫大な金額となります。商品にしっかりとした利幅を付けるか、販売点数を増やさないと、必ず「赤字の旅」となるのです。とはいえ、大不況の今、市場では真逆の条件が求められます。つまり「利幅を減らして価格を下げなければ売れない」「販売点数は明らかな減少傾向」が常識化しているので、利益を生み出せない悪循環に陥る傾向になっています。「コンサルタント」の肩書きを持つ方々の中には、様々な商社が企画した「展示会」をわざわざ小売店さんに紹介することを仕事にしている“先生”も多いが、業界全体の仕組みを理解せず、単に「売上げ」だけ作れれば、「何もしないよりマシでしょ」と勘違いしている事も多いのではないでしょうか。でも少しずつ「何のための展示会なのか」というストレスは、小売店、商社、メーカー、そして毎回のように勧誘される上顧客にまで降りかかっているように思います。それではまさに「業界崩壊」です。「昔は大手商社丸抱えだったデザイナーさんが、自ら展示会に参加させて欲しいと営業してくるようになったよ。」中堅商社の役員の方が言っていました。とにかく、売上げが激減し、販売出来る“可能性”だけでも欲しいのです。その“可能性=展示会”という感覚が、多くの宝飾関連業者の経営基盤を悪化させているはずなのに。
弊社は7月から「店頭販売強化」のキャンペーンを始めました。弊社新開発の商品を活用し、取引店様に「店頭販売」に特化したマーケティング・システムを提供しています。ほぼ、今年いっぱいの約半年間、たった3種類の商品を“店頭”で徹底的に販売してもらうのです。もちろん、いつもの「木村流」ですので、経費をかけてはいけません。このシステムで採用した商品の開発には3つの条件が必要でした。@「顧客」に「こうゆうのは、まだ持ってない。」と思わせる斬新な存在感。A「店頭スタッフ」が強調して説明しやすい付加価値と特徴。B「顧客」「お店」「メーカー」が相互に幸せになれる明確な収益性。そして、これらの条件を十分に満たす新商品を、順次、取引先へ供給しています。8月からは「不況を生き抜く店頭販売の絶対的な心得」というテーマで、店頭スタッフの皆さんに簡単なセミナーを準備し、この新商品の供給先を、私自身がまわっていく予定です。展示会の悪循環から脱出するためには明確なアクションが必要なのです。経済危機と国民不安が本格化する今年の下半期、私は、弊社を信じてくれる「取引店様」と一致団結して、生き残りのための道筋を作ろうと思います。 
木村亮治〔ryo.kimura@j-twinkle.co.jp〕
■こんな取り組みが「生き残り」への鍵になるのかも ■2009年7月1日 水曜日 3時46分38秒

厳しい時代だからこそ、店主自らの「こだわり」やお客様への「情熱」を伝える

6月は2度ほど水出珈琲の勉強会を実施しました。福島県と香川県の小売店さんスタッフに、水出珈琲の歴史やその概要について学んでもらい、最後は作り方まで実践してもらいます。講師は、埼玉県さいたま市にある自家焙煎珈琲豆専門店「南回帰線」オーナーの岩附氏です。彼は脱サラ後に自ら珈琲豆専門店を起業した「こだわり」の頑固親父です。なぜジュエリーショップのスタッフに水出珈琲の勉強をしてもらうかというと、本格的な喫茶店でもなかなか出せないような美味しい珈琲を、宝飾店に御来店頂いたお客様に提供しようとしているのです。「本格的な・・・」というと、結構な設備投資が必要だったり、腰を据えたトレーニングが必要だったりと思われがちですが、この「水出珈琲」は、専門的な先生のバックアップさえあれば、気軽に導入出来ます。設備も、もともとどんなお店でも置いてあるような電子レンジ等以外に、珈琲豆を挽く「ミル」や、巨大な砂時計を思わせる「ウォータードリッパー」という器具だけで、抽出にはコンセントさえ必要ありません。ただ難点とすれば、とても時間がかかるということです。
昔、オランダ人が発明した抽出方法なのでダッチ(Dutch)コーヒーとも言われる水出珈琲は、その「砂時計」のようなウォータードリッパーが特徴的です。銀座には「水コーヒーどんパ」と呼ばれる水出珈琲専門店まであります。その砂時計には上部と真ん中、そして下部に、それぞれガラス器具があり、上部の球のような器具には水、中央部分にはコーヒー粉を入れ、一滴づつ水を落として染み込ませ、少しずつ抽出していきます。つまり染みこんだ水が美味しい珈琲になって4〜8時間後に下部のガラス器具いっぱいに溜まるのです。「どんパ」のホームページでは、水出珈琲について、「あるがままの珈琲豆の味・香り・色をそのままお飲みいただくために贅沢にたっぷりと時間をかけた本物の手作りの良さをお楽しみください。」と紹介しています。来上がった珈琲を飲めば、味わい深いコクがあり、透き通った飲みやすさを味わうことが出来るのです。2004年10月に、私が初めて小売店「輪」をオープンさせた時から、お店作りに関わったほとんどの宝飾店にこの「水出珈琲」を提案しています。他店との差別化や、顧客満足度の向上、さらには上質な店内演出に・・・水出珈琲は大活躍してくれているのです。福島は6月末、香川では7月下旬に新しい宝飾店として生まれ変わります。その2店舗にも水出珈琲は導入されます。南回帰線の岩附さんには「輪」の時から関わってもらっていて、今では、私達が使用している砂時計(ドリッパー)にぴったり合うように、専用の珈琲豆をパッケージングして、全国の仲間達に供給してくれています。彼が我々のために自家焙煎する珈琲は、けして高価ではありませんが、格別な風味となるようにバランスよくブレンドされた「一級品」で、仲間達には好評です。そして、来店されるお客様に「感動」を届けてくれます。仲間達は、岩附氏から「水出珈琲」の奥深いストーリーを伝授され、自らが「宣教師」となって、お客様へと伝導しているのです。それは宝飾店店主の「こだわり」として捉えられ、お店に対する「好印象」と「確かな信頼」となってイメージアップに寄与します。今まで何度もこの勉強会をやってきました。そのたびに「また新しいお店が生まれるなぁ」と感慨深く関わってきました。厳しい時代だからこそ、店主自らの「こだわり」やお客様への「情熱」を伝えるこんな取り組みが「生き残り」への鍵になるのかも知れませんね。
木村亮治〔ryo.kimura@j-twinkle.co.jp〕
■情報を発信するプロ集団に ■2009年6月2日 火曜日 3時12分37秒

新しい展開をする問屋に期待

宝飾業界には数多くの「問屋」が存在します。問屋には流通の舵取りとして「生産」と「市場」を結び付ける役割があります。いま、物流効率の向上により、問屋(卸売)の中抜き現象が表面化しています。問屋の立場から見ると、従来の単純な口銭ビジネスは成立しにくい環境だと言えます。今後は、供給業者である「メーカー」、販売業者である「小売店」に対し、価値の高い企画・提案をできるかどうかが、問屋の生命線だと思います。つまり、問屋が、市場の動向を徹底的に研究して企画立案を行って、それに必要な商品をメーカーに要請し、そして小売店には企画と商品をセットにしてシステマティックに提供し続ける事が大切だと思うのです。そうすれば常に新しいマーケットが次々に開拓され、不況に苦しむ宝飾市場を活性化出来るのではないでしょうか。
先日、私の会社の取引先で、とある大手の問屋さんの若い営業マンから一本の電話がありました。「ジュホウさんはA社の展示会に出展されていますが、うちを通して頂きたいのですが」。弊社の女性スタッフが最初に電話を取り、判断に困って私に取り次がれました。A社とは大手呉服小売りチェーンで、頻繁に展示会を行って、厳しい時代でありながら売り上げを伸ばす有力企業です。弊社の関連会社や営業マンが何度も何度も通い詰めて、弊社商品を提案し、やっとの思いで展示会に呼んで頂けるようになった矢先でした。
私が「それはA社さんの御意向ですか?」と聞くと「A社とは昔から商売させてもらってます。うちのOBも所属しているんです」と、なかば「当然」といった雰囲気で突き返されました。私はその若い営業マンに「この件は貴社の専務や社長さんからの指示ですか?」と問うと「えっ?」と言って一瞬間が空きました。私はその問屋さんの専務や社長を尊敬しています。若い自分にとって、業界の「生き字引」とも言えるベテランの専務・社長を、納入先という以上に慕い続けているのです。私は「この事を専務は知らないな」と感じました。
言葉を詰まらせた若い営業マンは、どうやら自分自身の判断だったようです。彼の一生懸命な思いを傷付けないように、私は言葉を選んで伝えました。
私:「貴社は我々の商品をA社に提案したことがありますか?」
彼:「いいえ。無いです」
私:「私の会社の営業マンは弊社が貴社と取引があることも伝えています。A社もそれはわかっていることでしょう。それでも取り合ってもらえなかったようです。うちの社員達は何度も何度も商品提案をして、頭を下げ、展示会に出られるようになったみたいなんです。もし良かったら、貴社の専務や社長には、今回の経緯を、私から直接説明させて貰いますが・・・。」
彼:「そうでしたか・・・。こちらでもちょっと調べますので。」
そんなやりとりで電話は終わり、それ以降、あの若い営業マンから電話は来ていません。過去数十年間、「メーカー」や「小売店」は、多くのマーケティングを「問屋」に依存してきました。しかし、インターネット、マスメディア等の爆発的な広がりにより多くの情報があふれ、さらには不況による危機感から様々な探求を試みる挑戦者達も急増し、市場の把握や多くの情報を活用出来る「メーカー」「小売店」も増えてきました(そんな企業でないと生き残れませんが)。問屋の皆さんには、マーケットの活性化のためにも、単なる「流通業」ではなく、誰もが欲する新たな展開や情報を発信するプロ集団となって欲しい。私は、問屋こそ、我々メーカーや小売店の道標となる事を期待しています。
(木村亮治:ryo.kimura@j-twinkle.co.jp)
■これで良いのか『国際宝飾展(IJK)』 ■2009年5月19日 火曜日 6時31分41秒

「天然石のフリーマーケット」の「Tucsonのようだ」

久しぶりに神戸の国際宝飾展を見学してきました。弊社の若いスタッフ達と一緒に行ったのですが、その雰囲気を一言で言えばデパートの地下で、地方の特産品を販売する「物産展」のようでした。会場内のベンチに座って休憩しているとき、たまたま横に座っている外国人来場者の方と雑談したら「Tucsonのようだ」と言って、ため息をついていました。彼にとっては期待していたジュエリーショウになっていなかったのでしょう。Tucsonとは、毎年1月から2月にかけて開催される、世界最大の宝石・鉱物見本市の事です。私も、2年ほど前、仲間のお手伝いでブースに立った事がありますが「天然石のフリーマーケット」みたいな様相に「アメ横」のイメージが重なって笑ってしまったことを思い出します。今回の神戸においても、右を見ても左を見ても即売コーナーばかり。「IJKとはそういうイベントだから」と割り切っても良いのですが、それでも、店頭用として在庫の仕入れをする小売店さんの姿も少なくないわけで、今後は、1月の東京も含め、IJKそのものの存在価値を、関係者の皆様には、じっくりと見直しして頂きたいものですね。たまたま弊社担当の事務局スタッフ(IJK・IJT主催会社の社員の方)と話す時間があり、私なりの要望は伝えました。あくまでも持論ですが、会場内を「@即売エリア」と「A新商品・コンセプト提案見学エリア」に明確に区切ればだいぶ違うと思います。@のエリアでは、会場内で現金即売等を必須条件としてそれが出来ない出展者を排除し、Aのエリアではその逆で即売禁止を必須条件にすれば良いと思うのです。イメージとしては@のエリアは市場のような賑やかで活気ある即売会場、Aのエリアは東京モーターショーのような「夢のような未来のコンセプト」が展示されたエリアといった感覚・・・。
リクルート社の広告媒体「ゼクシィ首都圏版」が、「エンゲージ」と「マリッジ」を分離した時と同じように、業者によっては@の会場とAの会場両方にブースを出展する事もあるのではないでしょうか。主催会社にとっても悪い提案ではないと思います(笑)。私の会社は、毎年、多額の出展費用を支払ってIJTに出展させて頂いております。新規顧客の創出というよりは、全国に広がった顧客ネットワークを年に1回、お台場に集合してもらってモチベーションを高められるような交流機会を提供することが主目的になりつつあります。
IJTを徹底的にマーケティング活用するのであれば、日々の営業活動の連動させなければ、出展費用に見合わないはずです。たとえば「IJT会場で、これまでに無かったまったく新しい発想の新商品を提案します」と宣伝し、その商品導入を、東京から遠く離れた地方の「A社」に促したいたいのなら、弊社の営業マンが1年間かけて、我が社の技術力や企画力を「A社」にアピールし続け「ジュホウさんがそこまで言うなら、本当にすごい新提案なんだろうな」と興味を持たるほどの相互認識を創出しなければ、遠方からわざわざ来場頂ける可能性も低いし、仮に来場頂いてもその後のビジネスに展開することは難しいはずです。不況と呼ばれるいまだからこそ、国際宝飾展が、宝飾業界にさらなる貢献をもたらしてくれることを期待したいものです。
(木村亮治:ryo.kimura@j-twinkle.co.jp)
■売れてます!10周年迎えた「ヘルスケアジュエリー」 ■2009年4月9日 木曜日 2時42分37秒

噂が業界の首を絞めることが分からないと

噂、噂、噂・・・。世の中には様々な噂が氾濫します。もちろん、我々宝飾業界においても様々な噂が存在します。ただし、宝飾業界で「噂」というと、その意味はかなり狭い範囲の意味を持ちます。
「○○宝飾」が危ないらしい・・・。
「○○時計」が苦しいらしい・・・。
「○○社」が○千万円も引っかかったらしい・・・。
そうです。悪い「噂」に限定されるのです。時代も悪いのですが、あまりにも偏っていて、自然に笑ってしまうことがあります。その噂をなぜ他人に話したくなるのか、それは、話す相手となる同業者が、なぜかちょっと嬉しそうだからかもしれません。自分達の業績が悪いとき、他の同業者が苦しんでいる様子を聞くと、「ホッ」とするのかもしれませんね。自分でもそんな感覚に陥ったことがあります。多くの皆さんから、「木村さんは知ってると思うけど」と余計な前置きをされて、小声で囁く。どんな場合においても、そんな雰囲気を見て取れます。面白おかしく他社の噂を話すことでコミュニケーションが上手に取れてしまう事もあるらしく、本題に入る以前に盛り上がりすぎて、肝心の商売を忘れとしまう営業マンもいるとか(笑)。
「企業」や「個人」は噂で潰されるときがあります。悪い噂の対象になると周囲から警戒され、商売にも悪影響が出ます。本当に噂通りになることがあるのです。現在、あちらこちらで飛び回っている噂に良い噂はありません。噂のほとんどが現実化したら、宝飾業界は確実に壊滅します。つまり、「噂」を流すと言うことは、宝飾業界で働く自分自身の首を絞めることもあるのです。
「噂は流さない方が良い・・・。」
そんなつまらない偽善を張るつもりはありません。大切なことは現状を如何に把握できるかです。徹底的にアンテナを張って、自らのマーケットを熟知しておくことが、自らの「生き残り」に大きく寄与してくれます。
「○○時計は好調らしいよ・・・。」
いま、そんな噂を流しても誰も信用してくれません。業績の悪い同業者だと、そんな言葉に嫉妬し、不機嫌になる人もいます。でも、それではダメなのです。大切なことは、他社では無く、自社。
長年、宝飾業界では、「○○が売れている」と聞くと、こぞってそれに飛びつく傾向がありました。結果として、多くの「似たような」ジュエリーが氾濫したのです。それは、店頭に置いてはデットストック、購入した人々にとっては「買取専門店」に持って行くジュエリーの対象になったりしていますよね。
私が力を入れる健康ジュエリーなどは典型的です。磁石、トルマリン、ゲルマニウム、セラミック、ブラックシリカ、チタン・・・多くのヒット商品が生まれては消えていきました。いつしか「健康ジュエリーなんて2〜3年人気が保てば、大成功だ」と笑われるジャンルになってしまいました。でも笑うのは業界人だけで、高いお金を払って買った消費者からすれば、たまったモンじゃありません。それこそ、業界不振の温床です。
お陰様で、私がプロデュースし、販売し続けているヘルスケアジュエリー「アイシリーズ」は今年で10周年を迎えました。新作も発表し、ラインナップはさらに充実しました。けして、意地で続けているわけではありませんよ。販売を続けてくれる仲間が頑張ってくれているから、我々も続けているのです。
(木村亮治:ryo.kimura@j-twinkle.co.jp)
■「成長は続かない」と考えている事そのものが、変化の証です ■2009年3月30日 月曜日 3時17分4秒

革新的な変化や顧客創造を生むエネルギーは確実に成長している

売上は何故落ちるのでしょうか。景気が左右する事は間違いなさそうですが、2〜3年前まで、普通にジュエリーを買ってくれていたお客様が、ここへ来て急に買えなくなったりするのでしょうか。もちろん、自由に使えるお小遣いが減ってしまったお客様は多いと想いますが、その方々の余裕が、天地がひっくり返るほど急激に悪化したことは考え難いものですよね。全国の取引先を廻っていく中で、「常連さん」と呼ばれているお客様に声をかけてみると、ほぼ同じ応えが返ってきます。「もう、持ってないモノが無いわよ・・・」。
確かにその通りだ。いつもいつも同じお客様を展示会に招待し、様々な理由を付けてジュエリーを買ってもらい続けた結果である。そこで疑問が残る。果たして、新しいお客様は何処へ行ってしまっているのだろう・・・。
例えば30歳代のお客様は何処へ行ってしまったのだろう。宝石を買っていないのだろうか。その若いお客様達が、常連客の大半と同じような年齢に達したとき、そのお客様とバランス良く入れ替わって、街の宝飾店に顔を出してくれるのだろうか。恐らく、我々の業界関係者の全員が「それは無い」と答えるはずです。もしも入れ替わらないのであれば、年配の常連客に頼って商売している宝飾店からは、時と共に常連客が消滅する事になる。それでは、全国の宝飾店の大半が、商売にならない。でも、そんな現実が、明確に現れてきているのです。こんな事をコラムに書かなくても、多くの業界人達は気付いているはず。でも、新しいお客様探しに本腰が入らないのは、どうしてでしょうか。
現在の常連客で、十分売上が作れる自信があるのかもしれませんが、スタッフの中には、自分も常連客と共に引退すると公言するベテランさんも少なくありません。つまり、顧客もスタッフも、宝飾業界全体のシステムが世代交代出来ない状況に陥っていたのかも・・・。それは、宝飾業企業の多くが、もう何十年も短期的な売上のみを追いかけ過ぎて、長期的視野を持った経営から逃げてきた結果かもしれません。ある問屋さんのベテラン営業マンからこんな話しを聞いたことがあります。「昔は小売店さんに営業に行くと、まず麻雀をさせられた。夜遅く(朝)まで、小売店さん社長と、何社かの営業マン達がジャラジャラとやったものだった。翌朝、社長さんや小売店さん従業員に鞄の中を見てもらい、気前よく商品を抜いてもらって仕入れてもらった。昨夜、麻雀でだいぶ負けたんですと言うと、可哀想だからと言って、さらに商品を抜いてくれた・・・良い時代だったなぁ」。現在の問屋さんの若手営業マンが聞いたら、信じられない光景でしょう。その逆も同様で、その頃働いていた人々が、2009年春の現状を想像しながら、未来を見据えた仕事をしていたとは考えられません。経済成長が当たり前の時代が50年以上続き、戦後初めて経済が本格的に下降し始めたのですから無理もないのです。でも、変化の時はいよいよ近付きました。もう少し、世界経済が悪化すれば、世代交代は若い業界人の自発的な変化によって成立していくのではないでしょうか。これからは、様々な時代の変化を見越して、長期的な視野を持つことが必須になってきます。若い我々に2020年の経済状況なんて簡単には想像できませんが、遠く将来までも経済成長が続くはずだと信じていた20年前の若い業界人とは明らかに違う危機感が宿っているはずです。そんな中で革新的な変化や顧客創造を生み出そうとするエネルギーは確実に成長しつつあります。「成長は続かない」と我々が当たり前のように考えている事そのものが、変化の証だからです。
(木村亮治:ryo.kimura@j-twinkle.co.jp)
■若者達の優しさで企業は変わります ■2009年3月19日 木曜日 7時51分56秒

先輩達に、若い人達と同じ価値観を理解させようなんて残酷すぎます

宝飾業界で頑張る20〜30歳代の皆様、どうか読んでください。
昭和20年、全国の主要都市は米軍の空襲によりそのほとんどが焼け野が原と化し、国民の多くが苦しい生活を強いられていました。この終戦前後に生まれた人々は、極東の敗戦国が実現した奇跡の高度成長とともに人生を過ごしてきました。子供時代は食料も何もない時代、ひたすら働く両親の背中を見て育っていったはずです。戦中戦後生まれの少年少女達の成長と共に、日本経済も着実に成長し、彼らが学生となって青春を謳歌する頃には「所得倍増」といったスローガンまでも飛び出します。さらに成人を迎える頃、東京ではオリンピックが開催され、夢の超特急新幹線も開業します。松下幸之助や本田宗一郎といった教祖的経営者も誕生し、日本のビジネスマン達はその活躍の舞台を世界へ拡げていきました。彼らが「中堅」と呼ばれ、働き盛りを迎えた頃、人々は全国の都市部へ集中し、国内の経済活動は都市圏を中心に活発化して行きました。その後、田中角栄という政治家が「列島改造論」なるものを掲げ、日本国中に新幹線や高速道路を張り巡らせ、地方都市と大都市圏がつながって行きました。全国どこに行っても立派な宝飾店が見られるようになり、各地方に資本が流れ、多くの地方都市から「地方らしさ」が消えて人々の生活やファッション、そして文化に到るまで「東京ミニチュア版」のように変貌しました。世はまさに「努力さえすれば何でも出来る」時代へと突入したのです。日本特有の終身雇用制度が、彼らに明確な人生目標を提供し、「勤勉」は正当かつ物理的(やったら、やった分だけ)に評価されて自分達の賃金へと反映されました。そしてバブル経済に突入。既に経営者・管理職の域に達していた彼らを待ち受けていたものは、繁栄の代償としてばらまかれた「円」。日本人は皆、中流以上の生活を望み、夢のマイホームや、豪華な海外旅行へと経済は流動して行きました。「団塊の世代」と呼ばれる人々にとって、その頃は、還暦前の夢の10年間だったのかもしれません。何故ならバブル崩壊後は「失われた10年」と言われ、多くの既成概念が時代遅れと化し「一生懸命やっているのになかなか成果が上がらない」時代が訪れるからです。思い出されるのは自分達が最も活動的に働いていた頃の素晴らしい想い出ばかり。ついつい「昔は○○だった」と若者達へ自慢話を押し付けてしまう癖が常習化し、世代交代が進む職場ではさらなる孤立化を招いていくようになる。そして「こんなはずはない」と首を傾げる日々。現在の宝飾関連企業でトップに君臨する人々の多くは、そんな人生を歩んできたのです。経済危機のいま、宝飾業界の企業の多くは売上が落ち込み続けています。「うちの社長はいつも怒ってばかり!」と若い皆さんが溜息をつく。聞こえてくるのは“グチ”や、絶望的な将来への不安。誰が悪いわけでもなく、何となくやりきれない日々が過ぎて行く。事態の打開策が見出せないジレンマ。でもこんな時こそ、互いを理解してみましょう。今回のコラムで書いたベテランの人々の人生、若い皆さんがしっかりと研究し、彼らの納得を勝ち得る様々な行動をしっかりと重ねていきましょう。それによって、業績が明確に上がっていく事は無いとは思いますが、社内における世代を越えた理解度が高まって行くはずです。30〜50年も仕事をしてきた先輩達に、若い人達と同じ価値観を理解させようなんて残酷すぎます。若い皆さんが上手に取り込んであげることが重要なのです。そんな若者達の優しさで企業は変わります。本当です。自分も経験しています。どうか試してみてください。
(木村亮治:ryo.kimura@j-twinkle.co.jp)
■不況の時代に「挑戦」し続けているダイアモンド神山 ■2009年3月4日 水曜日 14時23分16秒

現在は年間約100組の若い新規顧客が訪れるお店になりました

三重県伊賀市にダイアモンド神山(こうやま)という宝飾店があります。私はこの店とは7、8年ほどの付き合いになります。長い歴史を受け継ぎ店を守り続けた社長、そして店と家族を支え続けた奥様、宝飾学校卒業後、大阪の宝飾店で修行し、今ではお店の大黒柱として家業に励む専務・幸久さんと、しっかりと専務を支えてくれるお嫁さん。専務のふたりの実姉は経理、支店の店長として専務(弟)を支えている。約20坪程の店内は1枚の壁で左右に分けられている。入口を入って左には大きなテーブルと一般の宝飾品、そして眼鏡フレームが陳列されていて、ちょっとしたお座敷もある。一方、喫茶店のような雰囲気の右の部屋には、たくさんの若いカップルさん写真が所狭しと飾られていて、ブライダル関連の商品が素敵なディスプレイに囲まれて陳列されている。どちらの部屋もあたたかみが感じられます。このお店はセミプロ級の大工の腕を持つ親戚のおじさんを中心に家族全員が力を合わせて3年ほど前に改装した。最寄駅は近鉄線の青山町駅。ホームは1本だけで、当然の如く特急は止まってくれない。なだらかな山々と、古い街道、緩やかに流れる川、日本の原風景のような伊賀市阿保(あお)は、大阪と名古屋のほぼ中間に位置するのどかな田舎である。初めてこの駅に降り立った日の事は今でも忘れません。私は当時、弊社の市場基盤を強化すべく全国に取引先を求め、連日連夜、新規開拓の旅に出ていました。沖縄から北海道までたくさんの町を旅していましたが、ベスト3に入る程の寂しい駅前。九州や北海道の「閉鎖した炭坑」の町や、過疎に苦しむ山間の町でも、駅前というの少なからず賑やかなものです。この青山町の駅前は、なんとなく「心」が寂しくなるほど閑散としているのです。あの時はドンヨリと曇っていて人も歩っていなかった。尊敬するH社長が紹介してくれた大切な仲間のお店。期待いっぱいのはずが、不安に支配されたのです。しかし、あたたかいスタッフ(神山家族)の皆さんと初対面してその不安はみるみる消えていきました。それから数年、今では弊社の大切なお取引先として良い商売をさせて頂いています。改装前、専務・幸久さんの不安はただひとつ。先代の時代から引き継いでいる大切なお客様達の高齢化。一方では、そのお客様達に頼ってしまっているうちは、なかなか新しい若いお客様が増えない現実に、将来の道筋が不明瞭で不安だったのです。既に神山の人間味や素敵なお客様に惚れ込んでいた自分自身も、幸久さんと同じ悩みを共有していました。当時の私は、ブライダル商品を立ち上げ、日本の3大商圏である首都圏・名古屋圏・関西圏にその導入店を探していました。そんな中で、神山家族の姿が真っ先に思い浮かんだのでした。1商圏1社のみを前提としていた私にとって、大きな商圏を背負う関西圏は戦略上の最重要商圏のひとつ。“伊賀”という立地には、夜眠れなくなるほど心悩んだ事を思い出します。結果的には、運命共同体として幸久さんに、私達のブライダル商品とお店の改装を提案したのです。神山を支えてくれる大切な常連客、新たな神山のサポーターとして来店して頂きたい新規顧客、どちらのお客様も喜んで頂けるお店づくり、そして幸久さんはじめ若いスタッフ達が新たなテーマで“1”からスタートできる環境づくりを多くの仲間達で探求した結果が今の神山の姿なのです。現在は年間約100組の若い新規顧客が訪れるお店になりました。父や母がではなく“自分”が創り上げたお客様に囲まれ、不況の時代に「挑戦」し続けています。そんなお店と出逢い、関わり続けることが、私の心を今日も支えてくれているのです。
(木村亮治:ryo.kimura@j-twinkle.co.jp)
■慣例にも縛られず、本当に必要なパートナー達とタッグを組んでいく ■2009年2月9日 月曜日 1時3分0秒

「国際宝飾展は暇だったねぇ」というのが、業界仲間の挨拶になってしまっています。確かに、少し寂しかった気がしますが、天然石や、リサイクルジュエリーの格安販売のコーナー等はとても忙しそうでした。経済不況の中、少しでも安く良いものを手に入れたいという消費者心理に後押しされ、物販、いわゆる小売りをしているブースに“消費者”が集まっていた事になります。いつも感じることですが、少しずつ消費者の来場者が増えてきているような気がしますね。物販売上も業界にとって大切ですから、良いことなのかもしれませんが、各メーカーがIJTであまりにも安価に直販すると、いわゆる「まちの小売店さん」は面白くないはずです。毎年、安からぬ会場費等の経費を何とかペイしようと多くの出展業者は必死になります。特に昨年来の卸販売の落ち込みは、この会期中に期待しなければならない中間流通業者の苦しみを理解してあげなければならないでしょう。とはいえ、メーカーの製造直販のような「飛び越し流通」が公然と見られるのであれば、我が国で長年保たれてきた製造メーカー〜商社〜小売店という構図が明確に崩壊していることになります。私の会社は「メーカー」になるのですが、10年前と現在では取引先が大きく異なります。それはこちら側から多くを仕掛けたわけではなく、大半は自然に変わっていった気がするのです。もともと、我々メーカー仲間はマーケティング意識に乏しくその機能を商社さんに頼っていました。そのため、「商社さんの求める商品を作っていれば売れていく」と考えていたのです。現在の状況がそれとは大きく異なることは説明不要でしょう。流通構造の変化の様子は様々見られます。今ではメーカーが小売店に飛び込んで自分達の商品を売り込む事は珍しくなくなりました。本当は許されないことかもしれませんが問屋さんが扱う商品はあまりにも多く、なかなか自分達の商品の提案までチャンスが巡ってこない場合があり、もともと小規模企業が多いことから体力的にそれを待ちきれず直談判に走るのです。さらに潤沢な資金力があるメーカーだと直営販売店を展開する例も増えています。また、個人的に「なるほど」と感じたのは宝石ビジネスの学校の事例です。小売店さんのご子息がそこで学び、成長して帰って経営者になります。その若い経営者にとって、学校時代の先生は、いつまでたっても“恩師”です。優秀な生徒ほどその先生を慕い続ける気持ちは強いものですよね。そのような学校で「先生」と呼ばれていた人が展示会屋さん(問屋)になって教え子の戻った小売店さんに展示会を仕掛けたり、スタッフ教育等のコンサルティングを商売にしたりする人も見受けられます。また、コンサルタント業においては、以前破綻した呉服商社系コンサルタント会社のように、コンサルティング契約したクライアント(小売店)を卸問屋に紹介し、その紹介料で商売する人もいます。私はこれらの総称を「教え子ビジネス」と呼んでいます。それがモラルに反するとは言えないし、すべての先生がそうなっているわけではないので誤解しないでくださいね。そうなると「教え子=取引先(顧客)」といったアンバランスな関係が生じます。旧来からの小売店とメーカーとの流通過程の中に、先生が関係する多くの中間業者が流入し、強固だった流通構造が緩んでしまうこともあったのです。私はこれも流通崩壊と考えます。いずれにせよ、厳しい情勢の中で流通構造は大きく変化しつつあります。その事実に背を向けることなく、慣例にも縛られず、自らが本当に必要なパートナー達とタッグを組んでいくことが大切だと思います。
(木村亮治:ryo.kimura@j-twinkle.co.jp)
■日本市場独自の流通システムに変化 ■2009年2月9日 月曜日 1時0分32秒

今年も恒例となった国際宝飾展が始まります。弊社もA22−42に出展しております。今年は、「輪」「遥」の新作に加え、William Warthling氏が新たに切った感動的なWilliam-LennyDiamondのルースを多数展示致します。私は検品しながら鳥肌が立ってしまいました。燃えるようなファイヤが輝く素晴らしいダイヤモンドを、どうぞ弊社ブースにてご覧になって下さい。
数年前からの傾向ですが、小売店さんのIJT出展が増えてきましたね。弊社のブースのまわりは高知、埼玉、山形の小売店さんの出店社さんに囲まれています。自社ブランドを開発し、メーカーになってしまった小売店さん達です。考えてみれば、ジュエリーピコの石部さんあたりはその先駆けだったのですね。
メーカーは「小売り」に走り、小売りは「メーカー」に走る。「隣の畑は良く見える」と言うわけでは無いでしょうが、少なくとも、業界全体の大きな流れであることは間違いなさそうです。もっとも、スタッフや資金面等に余裕がないと異業態へのチャレンジなんて出来ないはずですから、それを実践している企業は「勝ち組」なのかも知れません。
以前、コラムで「問屋さんはメーカーとして生きるか、小売りとして業態を変えるしか生き残れないかも・・・」と書いたことがあります。いわゆる木村が多くの非難を受けた「問屋不要論」の話です。
あれから数年が経ち、現在では多くの業界関係者が、日本市場独自の流通システムの中で、中間業者の必要性に疑問視する時代になってきました。
文頭で示したように、勝ち組企業の風潮が「自ら創り、小売りも行う」という流れだとしたら、中間業者は益々影が薄くなってしまいます。未曾有の経済危機が訪れ、その危機感によって生じた様々な変化が、流通構造全体の改変を急激に早めているのかも知れませんね。
国際宝飾展に出展する各企業は明確に認識しています。単にメーカーとして少しだけ変わった商品が開発できたとしても、それをわざわざ仕入れてまで自店で展開しようと考える小売り業者は急速に減少しているのです。
おかげさまで、我々の工房は、常に多くの同業者の皆様からお声をかけて頂いております。そればかりか、我々の商品を買い付ける目的で、わざわざ弊社所在地である東京・日暮里までお越し頂くケースも増えてきました。
自らアンテナを張り、時代の最先端を見逃すことなく、厳しい時代に強く対応して頑張っている小売業者の多くは、オーナーさん自身が直接的に多くのメーカーさんとの関わりを形成しているのです。
国際宝飾展は展示即売会ではありません。少なくとも国際的に宝飾の見本市は「素人さん」出入り禁止です。ラスベガスのJCKで入場バッチが欲しかったら、過去1年以内でジュエリー製品を仕入れた伝票のコピーや、自ら経営する宝飾店の写真等を持参するように言われますよね。それが「見本市」なのです。
とやかく文句を言っても、その国際宝飾展に出展している以上は説得力がありませんが、近い将来、我々は、この日本独自のスタイルとなってしまった宝飾見本市から卒業したいと思っています。
厳しい時代へと突入しようとしている2009年。まだまだ、これから本格的な経済危機へと移行するのにも関わらず、すでに限界の厳しさだと声を揃える我々宝飾業界の現実は、今回の国際宝飾展で感じることが出来るはずです。
そして業界再編が一気に進んでいくのではないでしょうか。
(木村亮治:ryo.kimura@j-twinkle.co.jp)
■商品を徹底的に絞り込んで究極の専門店へ ■2009年1月9日 金曜日 2時48分14秒

「大手とは一線を画す店づくり」を

2004年の労働者派遣法の改正によって、それまで認められていなかった「製造業」への労働者の派遣が認められるようになりました。2006年に発覚した偽装請負の問題で、製造業界側は何かと規制が厳しい請負から派遣へ労働力をシフトをしました。結果的に2006年度の製造業への派遣労働者は前年度の3倍以上にも膨れ上がったのです。そして今年の3月、その期間に採用した派遣労働者の3年間の契約期間が一斉に切れます。これが、製造業界における2009年問題です。報道等で連日のように話題となる「派遣切り」も我々の業界と密接に関係する危機だと思っています。非正規労働者の多くは20〜40歳代の働き盛りの青年層です。契約を打ち切られ、新しい雇用先が見つからなかったらどうなるのでしょうか?一部の人々はホームレスという悲しい現実に直面してしまうのかもしれません。とはいえ、年代的に両親はご健在という人々も少なくないはずです。そしてその両親に頼る(失業した)若者も少なからず出現するはず。両親の年代を想像すると戦後間もなく生まれ、日本の高度成長を支えてきた団塊の世代。「自分が苦労した分、子供達だけには苦労させたくない」。そんな想いから、失業してしまったご子息を実家に戻す事を考える両親も相当多いのではないでしょうか?その両親の多くは、ご子息を支えられる「経済力」を有した人々と仮定出来ます。両親は社会的な地位と、それ相当の蓄えを持った「中流」以上の人々と考えるべきでしょう。ここで我々の業界とつながるのです。中流の人々とは、これまで全国の宝石店を支えてきた「中流層」に当てはまるのではないでしょうか。扶養すべき家族が増えたなら、今後は宝石は買わない、いゃ、むしろ心配で買えなくなるかもしれません。
この問題に限ったことではありませんが、その後、世の中の経済停滞が長引けば、中流の皆さんの貯蓄の切り崩しも急速に加速し、更なる資産減少へと向かいます。様々な要因から、我が国からは中流が消滅し、富裕層とそれ以外といった階級社会が形成されるはずです。そんな富裕層の人々を、百貨店や高級店は社運を掛けて奪い合っています。そうなると、宝飾業界の大半を占める中小の個人店では、奪い尽くされた後の僅かなお客様だけで売上を作るしかないのでしょうか。それだけでは、とても「健全な商い」は成り立ちません。ならば百貨店や高級店では対応出来ない特別な目的やサービスを開発していくべきなのです。つまり、2009年問題が確実に発生する以上、宝飾業界に生きる我々は、それ相当の準備を早急に始めなければいけません。ポイントは「中小」に出来て「大手」に出来ないものは何かということです。それは「まごころサービス」なんて答える中小の社長さんは多いのですが、厳しい市場の中で闘う百貨店やその社員のサービスの「質」はとても高い次元で成熟されていると感じます。もっと明確な差をつけるアクションが求められるはずです。例をあげるなら、商品を徹底的に絞り込んで究極の専門店へと改革する方式もあります。不特定多数を相手にしなければならない大手には絶対に真似できない事です。それが「ブライダル」なのか、「ダイヤモンド」なのか、「真珠」なのか・・・はたまた、特定のブランドひとつに絞り込むべきか。徹底したこだわりの中で「専門店」であることをPRして行けば、「大手」では入り込めない隙間的市場を取り込めるはずです。「厳しい時代」と嘆くのは後回しにして、「大手とは一線を画す店づくり」をしっかりと進めて行くべきではないでしょうか。(木村亮治:ryo.kimura@j-twinkle.co.jp)
■顧客対象を明確にする準備を大至急 ■2009年1月9日 金曜日 2時41分30秒

「生き残るためだけの仕掛け」を考えて行くべきだ

大変な時代になりました。世界経済の危機がこれほどまでに実感出来る時代、誰が想像できたでしょうか。働いている人々の3人に1人が非正社員の時代、その非正社員の大規模なリストラが始まりました。つまり、3人に1人は失職の危機にさらされているのです。さらには急激な円高、政治の停滞、極端なまでの消費低迷、社会不安はどんどん加速しています。現在は「社会不安はピークに達する」と書けない背景があります。私は、まだまだ、我が国の社会情勢は混迷していく、現況は、ほんの序の口と予測しているからです。
「こうゆう時代だからこそチャンスだっ!」なんて言ってくれるコンサルタントの先生も少なくありませんが、私は希望的観測をしない「つまらない人間」ですので「チャンス」なんてとてもじゃありませんが書きません。期待していた皆様ごめんなさい。現在は「いかに残るか」の時代だと思います。「チャンスをモノにするための仕掛け」ではなく、「生き残るためだけの仕掛け」を考えて行くべきだと思います。自分たちが残れば、自然にライバルが減っていく時代です。限られた市場の中で、ライバルを減らし、需要を逃さない仕掛けを進めるべきなのです。付加価値であるジュエリーの世界で、必ず必要となる需要を大切にしなければなりません。冠婚葬祭に関するものがその一例ですよね。これらを大切に販売していく事です。けして欲張らず、焦らず、適正な利潤とこだわりを加えて提供すべきです。そして何より、需要を見越した商売を継続することでしょう。いつか、必需品以外の需要が生まれる日まで、必死に生き残るのです。
経済危機以降、北米ではジュエリーはよく売れていると聞きます。乱高下する先物、株価暴落の中、富裕層は財テクをあきらめ、現金を持て余しているそうです。結局、付加価値の代名詞でもあるジュエリーにお金を使っているそうですが、日本でも、ほんの一握りの富裕層に同じような傾向が見られます。六本木の高級ビルの中にあるダイヤモンド専門店では、売り上げが増大しているとテレビで報道されていました。地金買い取りの時代は終わり、今度は地金を大量に買い付ける富裕層も増えているそうです。以前、北海道の小売店さんで聞いたのですが、売りに来る人の地金量は小口が多く、買いに来る人の地金量は大口が殆どだと言っていました。このままの時代が進めば、格差社会はもっと極端に明確化されることでしょう。その時、自分たちのお店がどんなお客様を相手に出来るかを想像して欲しいのです。中流が消滅し、世の中には庶民と富裕層しかいなくなったとしたら・・・。庶民に愛される宝石店は、無駄な買い物に付き合わせるような商品は排除すべきで、プロとして間違いのない必需品ジュエリーをしっかりと提案しなければなりません。富裕層が通う宝石店は、間違いのない一級品のみで構成され、その店舗の立地にも細心の気遣いが必要です。アメリカでは、2割の富裕層からの税収が国家税収の8割を占めるそうです。日本もアメリカと同じような国に変化するはずです。それを考えれば、近未来の日本の宝石店の種別割合は、宝石店10社につき、2社くらいが富裕層向け、8社が一般向けといったところでしょうか。どちらにせよ、自店を2010年以降も経営継続していくのであれば、その顧客対象を明確化する準備は大至急進めるべきでしょう。その準備を怠ると、富裕層はもちろん、一般の人々さえ来店しない、誰も来ないお店になってしまいます。すなわち、この準備が「生き残る仕掛け」ではないでしょうか。
(木村亮治:ryo.kimura@j-twinkle.co.jp)
■近未来のジェリーショップに ■2009年1月9日 金曜日 2時36分14秒

必要なビジネスモデル

12月4日、群馬県高崎市飯塚町に、私達が直営する2つめの宝飾店が誕生します。敷地面積150坪で店舗面積は53坪。私自身はじめてのチャレンジとして、今回は設計と施工管理を全て自分が行い、店内の備品に至るまで監修させて頂きました。外装・内装工事やオリジナルショーケース等のディスプレイ工事、空調や照明、インターネット回線等の設備工事、演出用のサイン(看板)工事まで全て含めた工事費用を2千万円以下とすることに成功し「格好良さ」を犠牲にすることなく工事を完了した事実は、全国の宝飾店経営者に夢を抱いて貰う意味で、是非、時計美術さんに特集記事でも組んで頂きたいものです(笑)。「メーカー」である我々が「小売店」を建設し運営する事は、ひと昔前なら考えられないことでしたが、今では各メーカー・商社の出店ラッシュを予感させる様相を感じますよね。もともと、我々と同じ「メーカー」である「ツツミ」さんが小売事業で大成功した事もあり「問屋」よりも「メーカー」の方が先行して小売事業を展開してきました。もちろん「ツツミ」さんの成功云々が主要因ではなく、未曾有の消費低迷により、(注文が来ないので)モノ作りが出来ない事が大きな危機感となって「自分達で製作して販売までする」仕組みに走ったと考えられます。「メーカー」にとって製作の手を止める事は、単に経営を圧迫するだけではなく、技術力の低下や、“時流”に沿った商品製作に関わない事からファッションセンスの変化に乗り遅れていく事態にも陥ってしまうのです。実は、これが最も怖い事で、一度時代に取り残されると、それを取り戻すことはほとんど不可能だと言われています。その末路は「ヒット商品」の「コピー品」を好んで作る以外、トレンドには対応できないメーカーになってしまうのです。とはいえ「ヒット商品」の類似品を製作し、それを流通させる頃には既に「時代遅れ」になってしまっている事は、これに関わる多くの業界人は気付いており、あくまでも「時代遅れでもOKなお客様」向け商品になっているのです。その結果、宝飾専門店向けというよりは、量販がメインとなるテナントショップや通信販売、夜中まで営業しているディスカウントショップ向け商品になっている感があります。正統派の宝飾店にとっては、確実にイメージダウンにつながる商品だし“それで良い”お客様を相手に商売が継続できるほど、世の中の景気は甘くないはずです。全国の宝飾店を巡っていると特に気付くのですが“それで良い”と割り切っていた宝飾店ほど、売上の減少や顧客崩壊が激しいと感じます。世界的に進む株価の失墜や、日本の規制緩和という時代の流れが、様々な過剰利益や「裏金的な金銭」の排除を進めています。そして、汚い言葉ですが“あぶく銭”そのものが消滅しており、それを見込んだ商売は確実に崩壊し始めたのです。あくまでも例ですが「若い女性のスタッフにお酒の相手をしてもらうお店で、その女性スタッフの皆さんから好かれたい目的でプレゼント用のジュエリーを買う」といったシチュエーションが、今では激減した(昔は多かった)と聞いたことがあります。私達は、高崎の新しいお店を、近未来型のジュエリーショップ運営に必要な新しいビジネスモデルを創る研究施設と位置付けています。オープン直後から、全国の取引先様が見学に来て頂ける予定になっており、その壮大な目的を達成させるべく新たな取り組みが始まろうとしているのです。広報宣伝に継続的な経費がかかるので、店頭在庫は1千万円以下に抑え、初年度の年間売上目標をスタッフ3名で1億円としました。ご興味のある業界人の皆様、是非遊びに来てくださいね。
(木村亮治:ryo.kimura@j-twinkle.co.jp)
■感動的なダイヤモンドの物語が ■2009年1月9日 金曜日 2時33分8秒

消費者と販売店の距離を縮める

私は「William-LennyDiamond」(以下WLD)というダイヤモンドを販売しています。全国21店の仲間達が、その素晴らしい輝きの伝道師となって一生懸命販売してくれています。公のコラムで宣伝記事を書くつもりはありませんが、「業界を元気にする」という本コラムの主旨に合致する生き残りのヒントがぎっしりと詰まった商品ですので、少し書かせて頂きます。WLDは消費低迷が叫ばれる中、発売して約10ヶ月、安定的な売上と共に、沢山の感動的なエピソードを創ってきました。WLDは@新規顧客の獲得、Aブライダル売上の安定化、Bスタッフの創客力強化、という3つの大きな役割を担う切り札として市場展開されています。米国・ニューヨーク州にある工房・DCWNのオーナー・WilliamWarthling氏によって製作され、58面ラウンド・ブリリアント・カットに、更なる磨きをかけるというアイデアで、我社が特許出願中の特殊なカットにより、これまでの入射光の上部への反射をさらに強める工夫が施されています。その特徴は何と言っても“ブリリアンシィ”です。反射光は「強く」「白く」輝きます。さらに驚くべき事に、クラウン面からも強い光の反射が見られるので、カラット数以上に大きく輝いて見えます。お客様は、ペンライトで照らしてみたり、屋外で日光に当ててみたりして、その輝きに心を奪われ、言葉に出来ないほどの感動を味わいます。さらに、売上の一部がWilliam-LennyDiamond基金となって、アフリカ・タンザニア連合共和国に小学校をプレゼントするプロジェクトに活用されるので、米国の医療ボランティア団体からの感謝状が、お客様と、その両親にまで直送されるのです。ふたりの門出が、素敵な社会参画となって、最高の想い出になるように演出されているのです。WLDをご購入頂いたお客様は、タンザニアの子供達に手紙を書く事になっています。店内で珈琲を飲みながら、スタッフと談笑して手紙を書くお客様もいれば、自宅に帰り、貴重な時間を費やして手紙を書き、わざわざお店に持ってきて頂くお客様もいます。どんな場合でもお客様が味わう様々な体験と宝飾店との関わりは、かけがえのない想い出となって心に宿るはずです。ふたりが贈った手紙は完成するタンザニアの小学校に永久保存されるので「将来は、タンザニアへ新婚の頃の想い出探しの旅に出たら・・・」なんて話しをして、カップルさん達と一緒に「未来」を夢見たりもします。現在、我々は、さらなる物語の深化を図るため、米国スタッフをタンザニアへ派遣しています。一般的に、お客様にダイヤモンドの提案をする時、どんな言葉をかけることが出来るでしょうか。恐らく「4C」の説明に始まり、デザインや価格の比較で終わってしまうはずです。何店舗か比較してまわる最近のお客様からすれば、どこでも同じようなお話しばかりで退屈極まりない事でしょう。しかも単に商品を「探している」だけのダイヤモンド選びは、作業的に遂行され、そのダイヤモンドを買った後、販売店に対する思い入れや想い出を感じることなく、それっきりの付き合いになることも多いのではないでしょうか。人間関係を構築して付加価値を提案していくジュエリービジネスに、そのような焼き畑的な販売の繰り返しがどれほどの意味を持つというのでしょうか。事実、WLDは上記の@〜Bの目的に大きく寄与し始めています。ダイヤモンドから始まる感動的な物語がお客様と販売店との距離を縮め、長い人生の中で継続的かつ特別な関わりを保持する「きっかけ」になっているからです。「商品力」が「宝飾専門店の生き残り」に大きな役割を担うヒントがそこにあると思います。
(木村亮治:ryo.kimura@j-twinkle.co.jp)
■○ ○○に特化した専門店になるために ■2008年10月14日 火曜日 13時15分8秒

○○を早急に見つけよう

去年の今頃を思い出してください。郵政事業が民営・分社化されました。去年の夏頃から大騒ぎとなった米国のサブプライムローン問題について、その損失が1兆4500億ドル(約147兆円)にも達するとの見通しをIMFが公表しました。テレビCM等で有名だった大手英会話学校が439億円の負債を抱えて破綻し、ボクシングのフライ級世界戦で反則行為を繰り返した挑戦者の若い青年に1年間のボクサーライセンス停止処分が下され世間を騒がせました。創業300年の有名な三重県の餅菓子店が、売れ残った商品を冷解凍して販売したり、その一部を原材料として再使用していたことがばれて、私の大好きな「○福」が全国の店頭から消えました。その頃、金の価格は1グラム2700〜2800円、プラチナ価格は5300〜5400円で取引されていました。ドル円為替相場は、米景気の好況感からドル高を基調として一時117円までドル高が進みました。すべて遠い昔のようなニュースですが、わずか1年前の出来事です。そして2008年10月、世界同時株安という事態に陥り資本主義経済は危機に直面しています。プラチナ価格も急落し、今や金価格に追い付きそうです。果たして去年、今の状況を予測できたでしょうか。また、宝飾市場がここまで冷え込む覚悟していた業界関係者はどのくらいいたのでしょうか。そして、さらに深刻な局面を迎えるであろう、来年とはどんな1年になるのでしょうか。私は大手ショッピングセンター(SC)の状況が気になります。皆さんお住まいの地域でも、いつの間にか多くのSCが建設されたはずです。2〜3年前から今年の春ぐらいまで、週末にはSC近隣の道路が交通渋滞を引き起こしている姿を頻繁に見かけませんでしたか。最近、如何でしょうか。「平日ガラガラ」は当たり前、週末でも「以前に比べだいぶ落ち着いた」なんて感じること多くありませんか。もともと「初モノ」には飛びつき、その後は飽きっぽい国民性です。集客力は年々減っていく気がします。全国には、SCの集客力を期待して高額なテナント料を支払い入っているジュエリーチェーンもだいぶ多くなりました。しかし、平日の様子を見ると「採算が合うのかなぁ」と首を傾げてしまいます。「スクラップ&ビルド」という言葉で、収益力の無い(もしくは無くなった)支店はスクラップ(閉鎖)し、収益力の見込める新店を継続的にビルド(開発)していく事が重要だと提言する専門家の先生も多いと聞きますが「顧客を育てていく」というスタンスが必要なジュエリー業界では、短期間でスクラップする判断は難しく、結果的にビルド過多になりがちだと言われています。予測できない近未来を「景気は良くなる、生活は楽になる」と考える人は皆無で、むしろ危機的な状況が今後は予測されます。急速な市場縮小も覚悟しなければいけないと思います。そんな中、販路拡大を画策するのは、市場を席巻する覚悟が必要だと思うのです。大手ジュエリーチェーンが支店を増やし続ける理由も、そこにあるのかもしれません。私の会社も含め、中小の規模で、来るべき市場縮小に対応するためには、自ら、特化した市場を創り出す方法しか考えられません。それは、自社の差別化という「ありきたり」の言葉になってしまいますが、「極めて明確な差別化」と言葉を強める必要に迫られていると考えるべきだと思います。単にブライダル専門店や、ジュエリーリフォーム・フルオーダー専門店では、大きな差別化にはならないと思います。○○に特化したブライダル専門店、○○が出来るリフォーム専門店と表現できるような「○○」を早急に意識付けすべきではないでしょうか。
(木村亮治:ryo.kimura@j-twinkle.co.jp)
■ジュエリーショップは、大手か超専門店しか生き残れない! ■2008年9月29日 月曜日 13時42分18秒

ブランドバリューよりも自店そのものをブランドに

厳しい時代ですね。店頭販売の売上は下降するばかりで、展示会をやっても軒並み前年割れ。そんな現場を、この8〜9月はたくさん見ることになってしまいました。宝飾業に関わる経営者達は、どこまで下降して行くのかという「恐怖」と、今後何をすべきか見えない「不安」でいっぱいです。チラシや展示会の仕掛けを増やしても、悪い結果は最初から見えてしまいます。そんな中で、大手きもの専門店Sが、ジュエリー小売事業部門を、宝飾専門店チェーンのKに4億5000万円(予定)で譲渡すると発表しました。S社にとって宝飾は、主力であるきもの事業に続く収益の柱だったようですが、近年は赤字続きでした。現在は東日本に28店を展開しています。K社の社長は業界でも有名なカリスマ社長で、すばらしい実践力を発揮し、おそらく譲渡されたお店も立て直してK社グループの経営基盤の底上げに活用するのでしょう。私はこれからの宝飾店が唯一生き残る方向性は2つだと思っています。ひとつはK社のように、全国的なネットワークを構築して大手宝飾チェーンとして生き残る方法、ただし、この場合は、最盛期のジュエリーMさんのように強力なカリスマ性を持った経営者がリーダーになっていて、社員も、経営のプライマリーバランスもしっかりと管理されていることが必須条件となります。株式の上場もせずに、あくまでも強力な経営者の指示だけが、全国の店舗にダイレクトに届くことが重要だと思います。そしてふたつ目は、徹底的にマーケティングを限定した専門店として、地域密着を大切にしながら、小さく、強く存在感を保持していく方法です。例えばブランドも最小限に絞り、そのブランドバリューよりも自店そのものをブランドとしてアピールし、徹底した“超専門店”へと成長させていく事だと思います。どちらの方向性にしても、いつもの同じお客様だけに頼るのではなく、人工透析のように、エネルギッシュな若年層顧客を新たなお客様として誘導するシステムの構築も必須条件となるはずです。店頭販売の活性化や将来に向けた経営基盤の強化は、GTBTの石部さんが言うように、ブライダルの活用が重要になることでしょう。そして、それが出来ないのなら、今すぐにでも宝飾店をあきらめた方が良いのかもしれません。何故なら、上記のふたつから漏れてしまう宝石店は、現在よりもさらに厳しい現実に直面するはずです。大きな資金投入を行い、若者が欲しがるような、たくさんの有名ブランドを抱えたお店では、来客があっても、なかなか買ってもらえなくなってきた・・・色々調べてみると、現物は販売店で見て、買うのは安価で、ポイントもたまるインターネットへどんどん移行している、そんな話も聞きます。若者達は並行輸入でも良いのですね。小規模なジュエリーチェーンは価格や商品力で大手に惨敗し、SCの集客力低下で致命的な売上ダウンを経験するはずです。地元商店街で愛されてきた宝石店や時計店は、老齢化した常連客と共に消滅、メーカーや卸問屋直営の小売店が激増することも商品構成に主体性のない宝飾店を直撃するでしょう。地金買取のビジネスもライバルの乱立と“買い尽くし現象”で共倒れ、リフォームビジネスでは、職人達との見解の相違や、新製品価格の下落、さらには消費者が宝飾品に抱いていた期待しすぎの価値観の幻滅により長続きせず中途半端なビジネスになるのではないでしょうか。そして、自らの信念とジュエリービジネスの本質を貫き、結果的に生き残った宝飾店だけが、食物連鎖の崩壊のようにライバルを減らして、どんどん台頭していくと思います。
(木村亮治:ryo.kimura@j-twinkle.co.jp)
■「あたたかさと情熱がつないだ世代交代」 ■2008年9月12日 金曜日 12時54分41秒

愛媛県大洲市という山間の小さな街に、私がこの業界に飛び込んだ頃から大変お世話になっている宝飾店があります。その店は昭和2年創業の老舗で、社長さんやスタッフの皆さんの人柄同様、地元に愛される素敵なお店です。けしてチェーン展開など行わず、この街にしっかりと根を張り宝飾文化を広めてきました。このお店を舞台に繰り広げられた約1年半ほどのドラマは、私の人生に大きな影響を与えてくれました。2007年1月、国際宝飾展の弊社ブースへ、そのお店のH社長とスタッフの皆さんが立ち寄ってくれました。私自身数年ぶりの再会で、近況や、既に進んでいた「輪」というビジネスモデルの事をお話ししました。当時の「輪」は、私が創った群馬の最初の店で結果を出し、新潟や三重など全国10社以上の仲間が本格的に展開し始めた頃でした。その時、会場で私が話した内容はH社長の心に残り、その日の深夜(日付が進む頃)、私の携帯電話のベルを鳴らす事になったのです。「わしの娘達がなぁ、木村さんのやり方はえぇわいと言うんじゃ」。昔から聞き慣れたH社長のあたたかい大洲弁、間違いなく興奮気味に話す時の声、他の取引先の仲間と酔いつぶれて寝転がっていた私には何を言われているのか到底理解出来ず、「明日、また連絡します」と伝えてその場を納めたのです。翌日以降は、まさに急展開でした。H社長のご子息は皆お嬢さんで、そのうちのふたりが嫁に出て東京に住んでいました。その娘さん夫婦と食事をした際、H社長が何気なく「輪」や「木村という男」について話した。すると娘達は「輪」のビジネスモデルに興味を持ち、輪の商品や既存店を見たいと言い始めた。そして「社長が所有する別荘を模様替えして、そこを輪の店にしたら」と具体的な提案までしてくれたらしいのです。H社長にとって後継者をどうするのかという悩みは大きく、まさか、嫁に出た娘達がそんな事を話してくれるとは夢にも思わなかったのです。そして、夜中のあの電話。H社長が興奮するのも無理は無いですよね。そして、私はふたりの心優しい娘さん夫婦と出逢いました。その後の経過はとてもこのコラムでは書ききれません。色々なことを話し合いました。本当にたくさんのことを話しました。80年以上続く老舗の娘として生まれたこと、子供達はすべて娘だったこと、故郷への思い、大切なお父さんやお母さんのこと。そして未来のこと。何度も何度も。そして、いま、妹さん夫婦が大洲に戻り「輪」プロジェクトに取り組んでいます。妹さんの旦那さんは会社を辞め、妻である社長の娘さんと力を合わせて、切磋琢磨、悩みながら、老舗の新たな扉を開こうとしています。その夫婦が創り上げたブライダルジュエリーのお店は、社長が保有していた純日本建築の別荘に、一般的な家具をショーケース代わりに配して活用されています。原価ベースで400万円ほどの商品サンプルを展示して営業する「輪」ならではのスタイル、エンゲージ用のダイヤモンドルースは、確か7つほどしかないはずです。もうすぐ開店1周年になります。初めてのカップルが来店した時、初めて結婚指輪が売れた時、初めてダイヤモンドが売れた時・・・H社長は必ず電話や手紙で連絡をくれます。あたたかい大洲弁で、少し興奮気味に。今や、四国では隠れた有名店となり、松山はもちろん、遠くは徳島や高知からもお客様が訪れています。皆、お客様は何度も何度もトンネルを抜けて、車で1〜5時間かけて大洲にやって来ます。そんな素敵なエピソードが、まだまだ宝飾業界を下支えしてくれれば、この厳しい時代を上手に生き抜けるお店は、もっともっと生まれることでしょう。
(木村亮治:ryo.kimura@j-twinkle.co.jp)
■私の口癖である「変態客」のように、 ■2008年9月9日 火曜日 17時23分16秒

もっと価値観を限定すべきです。

「1円でも安く買いたい」。それは消費者にとって当たり前の欲求です。全国の宝飾店を見ても「お買い得品」とか「SALE」という張り紙を必ず見かけます。以前、日本の商売人達は「安く売る努力」は徹底的にやってきて「高く売る努力」はあまり本気にならなかったという旨のコラムを書きましたが、そのツケが、現在の宝飾業界低迷に廻ってきています。例えば、展示会ですが、お客様に値引きを強いられた際に、誰がその値引き分を被るかで必ず不穏な空気が流れます。小売店さんが値引きを頼んでいないのに、問屋さんが勝手に値引きしちゃうこともあります。問屋さん自ら値引き分を被るのなら仕方ないですが、何故かメーカーに「助けて!」と縋ってくる場面も増えてきました。それは、展示会場に並んでいる商品の多くが問屋さん自身の在庫では無いからです。酷いときには全て借り物(メーカーからの委託品)の場合も少なくありません。むしろそれが当たり前になりつつあるのです。当然問屋さんの利益は薄利となり、その値引きが原因で、最近では「展示会主催者である小売店への納品総額−メーカー仕入総額−マネキンやディスプレイなどの経費=赤字」となる場合がほとんどなのです。業界人達には周知のことですが「在庫を持たない(正確には「持てない」)問屋」となった原因は、小売店さんの店頭販売減少に伴う、普段の仕入が消滅したことが大きく、宝飾業流通システムの堰止ダムになってしまっているのです。さらに店頭販売を壊滅的に減少させた戦犯を探ると、消費拡大ニーズが一時的に高まった社会情勢や、売上拡大競争の激化で展示会を積極的に提案し続けた問屋やメーカー、比較的容易に売上が拡大できることに甘んじた小売店と多岐に及び、まさに複数犯で複雑であり、問題を解決するための根っ子が掴みにくい事で問題解決を遅らせてしまっているのです。それが、他の業界に比べ光明が見出し難い原因で、このままでは業界全体の流通システムはドミノ式に壊滅します。流通スリム化が進む我が国の市場を見据え、それを待ち望む声もありますが「壊滅」の「悲劇」は多くの人々の予想をはるかに超える事になるのではないでしょうか。「高く売る努力」に不可欠なのが「価値観のアピール」です。有名な醤油の話ですが、消費低迷が進む中で各メーカーは「減塩」「こだわり」「限定醸造」などの冠言葉を付けて、価格の維持や利益率アップに努めてきた。しかし同じような商品を次々に生まれ、結局価格競争になってしまった。生き残りをかけた更なる研究とアイデア創出が繰り広げられ、その結果、消費の対象を限定的に狭くして成功した商品が出てきている。そのひとつに小さなメーカーさんが開発した「卵がけごはん専用醤油」なんて商品があります。私も味見しましたが、思わず「美味い」と声を上げてしまいました。多分「イメージ」によって美味さを倍増しているのです。缶コーヒーなどでは「朝専用」なんて書かれた商品もヒットしています。缶コーヒーの消費の多くは午前中に集中する事に目を付けたのです。日本のビジネスは、多様化する顧客ニーズに、商品性能の多様化、複合化で対応してきたのですが、今後は多様化した要素毎に商品開発を進める時代なのかもしれません。そんな視点から「高く売る努力」を進め、宝飾業界も商品開発や販売手法を改革しましょう。「高く売る=ブランド品」では無いですよ。宝飾業界が扱う多くのブランド品は、醤油で表現すると「減塩」程度の価値観に感じます。それはブランドコンセプトが不明瞭だったり、取扱店が多すぎて有り難くからかもしれません。私の口癖である「変態客」のように、もっと価値観を限定すべきです。
(木村亮治:ryo.kimura@j-twinkle.co.jp)
■「リフォームビジネスはコンサルタントに頼らないで!」 ■2008年8月6日 水曜日 15時10分48秒

経営者自らの青写真でリフォームビジネスに取り組んで欲しい

「ジュエリー製品の販売は既に頭打ちとなっているから、地金の下取りや買取り、ジュエリーリフォームビジネスに参入すべきだ」と主張するコンサルタントの先生がいるようです。我が国においてジュエリーのリユース市場は巨大なものであり、その主張に異論はありません。特に、ジュエリーリフォームに関しては、独自のノウハウで繁盛店になっている小売店も目立ってきました。でも、ジュエリーリフォームのビジネスをシステム化するのは反対です。さらに、そこへ「コンサルタント」という人や業者が絡んでくるとさらに厄介です。既に貴金属地金の下取りや買取りビジネスは、多くの仕掛け人達によってシステム化されました。その結果、全国にたくさんのお店が氾濫しましたよね。宝飾店や買取り専門店のみならず、古本屋さんや古着屋さん、出張買取り業者まで存在します。その中で急激な淘汰が既に始まっているのです。下取りや買取りビジネスを一生懸命進めた結果、それ以降、店頭販売が全く駄目になったという宝飾店もあります。ジュエリーリフォームに関しては創作性や専門性が求められるので業者か氾濫するとは思いませんが、全国の宝飾小売店に「ほぼ同じ手法」「同じノウハウ」「同じ成功事例」で紹介されている事が気になります。特に“コンサルタントや先生”と呼ばれる仕掛け人達の提案内容には、本当に、宝飾業界の事やクライアントの将来を考えた提案かと疑問を感じてしまう事もあるのです。真の経営コンサルタントであれば、現在の宝飾業界にとって最も緊急の課題は(現場を理解していれば)「新規顧客の創出」や「次世代経営者への事業継承」を念頭に置くはずです。既存の宝飾店が、単にシステム化されたジュエリーリフォームビジネスを導入するだけでは、結局、従来からの常連客を中心に、ひたすらリフォームを勧めていく構図になるはずです。自分達が過去に販売した古くて飽きられてしまった商材をスクラップにして、リフォームを提案していくのです。飽きられてしまうような商品を販売した責任はさておき、問題は、毎度お馴染みの常連客に固執する体質です。いつか、常連客の多くに声を掛け終わると「お客様に一巡した」なんて言い方をして、また、次の仕掛けを探す・・・まさに焼畑農業です。数年前の「ゲルマニウム・ブーム」を思い出すと分かりやすいでしょう。新製品や新しいブランドが、なかなか日本の宝飾業界では育たないと言われる理由もそこにあります。結局は「いつものお客様向け」ビジネスに固執してしまうのです。既に数年前からジュエリーリフォームで成功しているお店には、独自のテーマ性とポリシィが存在します。たくさんの職人達と自ら交渉し、信頼関係を構築して、揺るぎない技術力をPRしています。そのビジネス手法には“匠”の技でお客様を感動させる壮大な夢を感じるのです。第三者の力で用意された画一的なシステムをお店に導入して、経営者はともかく、そこで働くスタッフ達は、そのシステムに強い思い入れを込められるでしょうか。結局、流れ作業的に「ジュエリーリフォーム」を大衆化してしまう結果へとつながるのではないでしょうか。そして消費者イメージとして「夢のない宝飾業界」を創り上げてしまうのではないでしょうか。リフォームを提案したお客様に「新しく買った方が全然安いじゃないっ!」と言われた時、貴店のスタッフはどのように応えるのか。すべてのスタッフが胸を張って、リフォームすることの大切な意味や情熱を伝えられるお店を創る確かな自信があるなら、コンサルタントに頼らず、経営者自らの青写真でリフォームビジネスに取り組んでみては如何でしょうか。
(木村亮治:ryo.kimura@j-twinkle.co.jp)
■7月20日号の「時計美術宝飾新聞」で採り上げられました ■2008年8月2日 土曜日 23時51分5秒

「石部高史さんと私の「ガチンコ」対談ってどうよ・・・」

7月20日号の「時計美術宝飾新聞」で、私と石部さんとの対談が紙面化されました。多くの皆さんはご存知かと思います。また、多くの業界関係者の皆様から反響をいただきました。有難うございました。
記事の大見出しで「石部高史 VS 木村亮治 がチンコ対談」と書かれてしまい(これは聞いてなかった)、ますます私と石部さんが「犬猿の仲」なんではないかと思われてしまいました。毎回言っているのですが,そんなこと無いですよ(笑)。
ただ、生きている時代や世界は一緒で、正確に言うと目指す「ゴール」も一緒なんです。だけども、生き方が大きく違うように見えるみたい。華麗な石部さんと、地味な木村とでも表現すべきか・・本当はそんなに違わないんですけどね(笑)。メタボなボディまで一緒ですから。
石部さんは常に危機意識を持っています。明確なセンスをもって目的意識を貫き、自分が必死になってもがいているのに、周りの同業者が、とても頑張っていないように見えるのです。「石部さんの周りと」とは、大手宝飾店のご子息のことになってしまいますが、それこそ、プロ野球で言えば、昔ヤクルトのブンブン丸と言われた池山や、苦労人が集まる楽天の現役選手たちが、元巨人選手で長嶋監督の子息「一茂」や、楽天の野村監督の息子「克則」を罵倒したのと同じ構造です。
書いてある内容で「不安」に思った次世代経営者の皆様も多いかも知れませんが、あまり彼を攻めるべきではありません。「何故もっと頑張らないんだっ!俺はこんなに頑張ってきたのにっ!」という石部さんの気持ちは、わかってあげるべきだと思います。
彼が、全国の宝飾店のプロデュース業から足を洗うことも、日本ゴールドチェーンの役職につき、ほんの一ヶ月で退いたことも・・全てが彼の孤独な心を表しているのです。
宝飾業界は、一人で生きることは絶対に不可能です。大切なことは、同じ志を持った仲間たちとタッグを組んで、如何に悪政や海外からの黒船に対抗するかです、石部さんからは「一匹狼になることのススメ」を説かれました。天才・石部ならそれで良いのですが、少なくとも私には無理ですね・・。
ショッピングセンター内のジュエリーショップや、2流(日本国内やジュエリー業界でしか評価されない)ブランドをたくさん配した「ナンチャってブランドジュエリー」が下り坂を転げるように消えていくまで、時間はもう少しです。
石部さんのプロデュースの内容を誤解して「ナンチャってブランドショップ」を作ってしまった地方の宝飾店はたくさんあります。私は対談している最中、それらのお店が、今一番「石部イズム」を再確認すべきだと強く感じました。私が2002年に石部さんと初めて出逢い、ジュエリーピコの商談室で「石部イズム」を説かれ、自分なりに消化して「輪プロジェクト」を立ち上げた時のように・・。
最後に、くれぐれも言っておきますが、決して仲が悪い訳ではないので誤解の無いようにお願いします。
(木村亮治:ryo.kimura@j-twinkle.co.jp)
■Z誌に頼らないマーケティングの確立と ■2008年7月29日 火曜日 0時56分58秒

業界全体が団結して新たなマーケティング戦略を

ブライダル・ジュエリー・ビジネスのマーケティング上、必須条件となるのが結婚情報誌Z誌への広告掲載です。Z誌は、圧倒的な知名度と、若者達からの絶大なる支持で、最もメジャーな結婚情報誌と言えます。同様の情報誌は九州地区や北陸地区にも地方誌として存在しています。ひと昔前は、大都市圏=Z誌、地方都市=地方情報誌という勢力分布の時代もありましたが、現在は全国各地方版のZ誌も発売されています。各地方でZ誌のテレビCM等も戦略的に流され、全国制覇の様相です(山陰地区は未発売)。まさに「ひとり勝ち」です。私は、全国の取引先(小売店)に、ブライダルに力を入れるなら、絶対にZ誌に広告掲載をすべきだと言い続けてきました。「サッカーボールを持たずにピッチに入るようなものだ!」と比喩し、小売店さんには恐ろしく高価な広告費の捻出をお願いしてきたのです。しかし、少し困った事になってきています。Z誌は「ひとり勝ち」になってしまった結果、横綱相撲的な方針転換を次々に行い、広告掲載費の実質的な値上げも進めています。最も驚いたのは関西、東海、首都圏の3大都市圏版で実施されたエンゲージリングの特集ページと、マリッジリングの特集ページが分離されたことでした。つまり、今まではブライダルジュエリーのコーナーに90万円/月で1ページの広告掲載をしていたお店は、その1ページにエンゲージもマリッジも宣伝していたが、どちらか一方に絞るか、追加で契約してそれぞれに掲載していくかという決断に迫られるのです。つまりエンゲージもマリッジも宣伝していくためには各コーナー別に1契約ずつ、合計2契約、実に90×2契約で180万円が必要となのです。リクルート側は「読者が見やすいように」と分離の理由を説明しているが、単純に掲載料のアップが目的なのは明らかですよね。もはやZ誌と広告掲載店の関係は「Z誌が砂漠の真ん中で飲料水を売り、掲載店がこれを買って生命を継続させるようなもの」に見えてしまいます。値上げに腹を立て「掲載を止める」と脅しても、他に変わる販促手法が確立されていないのですから立場的に弱くなります。6月末に発売されたZ誌福島版では、Z誌の編集部が如何に広告掲載店の事を真剣に考えていないかが露呈するようなページ構成がありました。
1ページ契約している別々の宝飾店が見開きで隣り合っているのに、両方のページが、京都発の有名ブランドから支給された同じようなあずき色背景の写真で埋め尽くされたのです。掲載頁の位置は編集部では指定出来ないと彼らは言います。しかし、京都発ブランドを販売するためにZ誌を活用した別々の2社の経営者からすれば悔しくて仕方がないはずです。私はその件をたまたま福島で会ったZ誌担当者の女性に抗議すると「商圏が違いますから大丈夫だと思います」という返事。お客様は車で飛び回る時代に「Z誌・福島版」、つまり同じ福島県内の2店舗が商圏的に全く別だと言い切ってしまう浅はかさ。コンサルタントの基本は、自分がクライアントの気持ちになること、Z誌の販売元はマーケティングリサーチの会社、つまりZ誌担当者はコンサルティングサポートを約束しているはずですが、社運をかけて数十万円の広告費を支払う気持ちには至っていないようです。広告掲載店の気持ちなんて全く理解していないのです。横綱の横暴に対抗するためには業界全体が一致団結して新たなマーケティングを研究する以外方法はありません。「お金が無いならZ誌に掲載しなければ良い」なんて言っていたら、宝飾業界そのものが馬鹿にされ続けるだけです。一刻も早くZ誌に頼らないマーケティングを確立したいものです。
(木村亮治:ryo.kimura@j-twinkle.co.jp)
■「MJC」がジュエリー市場の台風の目に ■2008年7月9日 水曜日 16時25分44秒

私は「MJC」というジュエリー通販が好きです。テレビでもCMが頻繁に流れています。運営会社は明治4年創業の財閥系の会社です。資本金は1,000億円を超え、売上高も1兆円以上の規模を誇ります。まだまだ本格的にジュエリー販売をスタートしたばかりですが、今後成長し続けると、日本の宝飾業社は誰も太刀打ちできない気がします。現実に、東京・大阪の都心の一等地に立派なショールームが整備されて、通販の弱点と言われた「実物を見ないで買えるか」という問題を解決しようとしています。日本における庶民向けジュエリー市場の台風の目になるのではと期待しています。宝飾業界は新たな勢力に弱いものです。全国にアイプリモやラザールキャプランブティックを展開しているプリモ・ジャパン株式会社も創業は1999年、社外取締役にジャンポールトルコフスキー氏まで顔を揃える株式会社ダイヤモンドシライシが、銀座に設立したのも、まだまだ1994年のこと。歴史がありそうなジュエリーツツミでさえ、埼玉の蕨に1号店が開店したのが1973年11月なのです。他の業界では完全に「新参者」扱いでしょう。全国を回っていると、創業80、90、100年なんて宝飾時計店をよく見かけます。ところが、新規参入業者にかなり食い込まれ、存亡の危機に陥っているお店も少なくありません。欧州では「お母さんもお婆ちゃんも、ひいお婆ちゃんも、ここで宝石を買った」と言われるようなお店がゴロゴロあります。皆、地元に愛され、尊敬され、地元の有力者として活躍しています。そして極めて限られた小規模のマーケットでしっかりと根を下ろした商売をしています。支店やチェーン展開というのも考えられず、昔ながら同じ店で同じ商売をし続けているのです。商品や販売手法にも強いこだわりも持っています。日本の老舗はどうでしょうか。次々に現れる新参者に対抗するために、支店を増やしたり、流通組織である問屋から他店でも容易に取り扱えてしまうブランドを「まんま」と導入させられて、あたかも流行を追いかける百貨店の宝飾品売場のような特長のないお店作りを進めてきたように思います。新参者が恐れるのは、老舗が自ら消してしまった「老舗らしさ」や「格式」なのです。それをあえて同じ土俵にしてしまっては、起業意欲にあふれ、マーケティング戦略を徹底した新参者に対抗できるわけありません。特にブライダルジュエリーに関して言えば、完全に新参者達の天下になってしまっています。天下統一とは行きませんが、全国の県庁所在都市では、老舗のブライダル売上は恐ろしい程激減したはずです。そこで老舗は、資産力を背景に何故か更なるブランドを取り揃えて対抗しようとするから自滅が進んでしまっています。この後、一般的なファッションジュエリーまで新参者が席巻し始めたら、老舗はどうなるのでしょうか。少なくとも「MJC」あたりが本気を出すと、品揃え、価格、宣伝力、販売力、企業運営のための資金力すべてにおいて惨敗します。新参者に対抗するためには伝統と格式を重んじる事はもちろん、新参者と同じパワーを有する若い人材を活用する以外、道はないのです。不思議と老舗の経営者はワンマンな体制が目立ちます。自分自身が身体が動かなくなるギリギリまで会社の経営権を保持し、跡継ぎの教育を中途半端のまま目を背け、何かあったその時に突然経営権を引き渡してしまう老舗も後を絶ちません。こんな事で企業の継続性が保たれる訳はなく、新参者の若い起業家にも勝てるはずもないのです。若いスタッフ達が伸び伸びと活躍して「のれん」を守る老舗が、日本の宝飾業の良き伝統を継承するには不可欠だと思います。(木村亮治)
■コンサルタントは「売り方」でなく「マーケティング」の指導を ■2008年6月4日 水曜日 3時10分46秒
かつて、京都にとあるコンサルタント会社がありました。その会社は16年連続2桁成長を続ける呉服専門店チェーン「T」(平成18年8月倒産)のグループ会社として、そのノウハウと実績をもとに、きもの専門店の活性化を促すプロ集団として活動していました。その後、ワンツーワンマーケティングを販売戦略とする小売専門店(宝飾、メガネ、寝具家具、エステ、美容室など)にまで幅広くクライアントを拡げましたが、親会社である呉服専門店チェーンと共に破綻したのです。「コンサルタントが潰れるなんて、一体何をコンサルティングしていたのだろう」とがっかりした事を思い出します。
この京都の会社に限らず、宝飾業界には、コンサルタントと呼ばれる先生方の集団が多くあります。宝飾店の売り上げアップのために、その卓越されたノウハウを提供していく商売ですが、私が考える「コンサルタント」とは「マーケティング」を語るべきだと思っています。宝飾業界のコンサルタントは何故か「セーリング」の講義が中心となっているのです。つまり「売り方」を教えようとするのです。この背景には、販売力で定評のあった大手ジュエリーチェーン「M」のOBが「先生」として起業するケースが多いからだと思われます。
「M」は昨年、京都在住の認知症の老婆に宝飾品を次々に売りつけた(ローンを組ませた)としてTV報道されました。認知症の老婆1人相手に借金までさせ3,764万円も売り上げ問題化した会社です。強力な「販売力」の陰で「社会性」や「モラル」が置き去りになってしまったのです。結果的に、世間の皆様(消費者)から「宝飾業界」=「何でも売り付けるモラル無き集団」と酷評される事さえあるのです。ぜひコンサルタントの先生には、そんなイメージを払拭するような明解なマーケティングを仕掛けて欲しいものです。

卓越した情報を駆使し「企業カウンセリング」を

結局、販売力の強化に走ると必ず「無理な売り方」に辿り着いてしまうからです。そんな目先の商売を指導するのではなく、小売店や問屋さんをコンサルティングしていくなら、もっと大きな時代変化に対応できる対策を提供すべきです。
例えば、クライアントが30年後も元気企業としてやっていけるようにするためには・・・といったようなビジョンも大切です。このビジョンには、30年後の2040年に対し、地球環境が抱える環境問題や、世界経済の動向予測等、プロのコンサルタントとして、クライアントの知識や興味対象から欠けてしまっている大切な要素を、経営者に植え付けていく事になるでしょう。
世界の人口はこの40年間で30億人も増加して現在は65億人です。そして30年後には90億人とも推定されています。そうなると石油、水、食糧の不足は顕著に世の中を変えていきます。ほぼ100%の石油と60%の食糧を海外に頼っている日本は、30年後、エネルギーや食糧不足で治安も悪化し、市場もガタガタになっている可能性も高いと言われています。その時、宝飾業は如何にして生き残るか・・・30年後のその時までにどんな準備が必要なのか・・・そんな指導を続けていけるのがコンサルタントだと思うし、「そんな先の話より、今月の売上を何としてくれ」というクライアントでは、2008年〜2010年は乗り切れないと思うのです。
コンサルタントと名乗り、その報酬を得るのであれば、せめて「成功したら私のおかげ、失敗したらあなたの努力不足」という無責任なスタンスを捨て、「売り方」指導ではなく、卓越された情報を駆使した「企業カウンセリング」を進めて欲しいものです。
■コンサルタントは「売り方」でなく「マーケティング」の指導を ■2008年6月4日 水曜日 2時57分10秒

かつて、京都にとあるコンサルタント会社がありました。その会社は16年連続2桁成長を続ける呉服専門店チェーン「T」(平成18年8月倒産)のグループ会社として、そのノウハウと実績をもとに、きもの専門店の活性化を促すプロ集団として活動していました。その後、ワンツーワンマーケティングを販売戦略とする小売専門店(宝飾、メガネ、寝具家具、エステ、美容室など)にまで幅広くクライアントを拡げましたが、親会社である呉服専門店チェーンと共に破綻したのです。「コンサルタントが潰れるなんて、一体何をコンサルティングしていたのだろう」とがっかりした事を思い出します。
この京都の会社に限らず、宝飾業界には、コンサルタントと呼ばれる先生方の集団が多くあります。宝飾店の売り上げアップのために、その卓越されたノウハウを提供していく商売ですが、私が考える「コンサルタント」とは「マーケティング」を語るべきだと思っています。宝飾業界のコンサルタントは何故か「セーリング」の講義が中心となっているのです。つまり「売り方」を教えようとするのです。この背景には、販売力で定評のあった大手ジュエリーチェーン「M」のOBが「先生」として起業するケースが多いからだと思われます。
「M」は昨年、京都在住の認知症の老婆に宝飾品を次々に売りつけた(ローンを組ませた)としてTV報道されました。認知症の老婆1人相手に借金までさせ3,764万円も売り上げ問題化した会社です。強力な「販売力」の陰で「社会性」や「モラル」が置き去りになってしまったのです。結果的に、世間の皆様(消費者)から「宝飾業界」=「何でも売り付けるモラル無き集団」と酷評される事さえあるのです。ぜひコンサルタントの先生には、そんなイメージを払拭するような明解なマーケティングを仕掛けて欲しいものです。

卓越した情報を駆使し「企業カウンセリング」を

結局、販売力の強化に走ると必ず「無理な売り方」に辿り着いてしまうからです。そんな目先の商売を指導するのではなく、小売店や問屋さんをコンサルティングしていくなら、もっと大きな時代変化に対応できる対策を提供すべきです。
例えば、クライアントが30年後も元気企業としてやっていけるようにするためには・・・といったようなビジョンも大切です。このビジョンには、30年後の2040年に対し、地球環境が抱える環境問題や、世界経済の動向予測等、プロのコンサルタントとして、クライアントの知識や興味対象から欠けてしまっている大切な要素を、経営者に植え付けていく事になるでしょう。
世界の人口はこの40年間で30億人も増加して現在は65億人です。そして30年後には90億人とも推定されています。そうなると石油、水、食糧の不足は顕著に世の中を変えていきます。ほぼ100%の石油と60%の食糧を海外に頼っている日本は、30年後、エネルギーや食糧不足で治安も悪化し、市場もガタガタになっている可能性も高いと言われています。その時、宝飾業は如何にして生き残るか・・・30年後のその時までにどんな準備が必要なのか・・・そんな指導を続けていけるのがコンサルタントだと思うし、「そんな先の話より、今月の売上を何としてくれ」というクライアントでは、2008年〜2010年は乗り切れないと思うのです。
コンサルタントと名乗り、その報酬を得るのであれば、せめて「成功したら私のおかげ、失敗したらあなたの努力不足」という無責任なスタンスを捨て、「売り方」指導ではなく、卓越された情報を駆使した「企業カウンセリング」を進めて欲しいものです。

■今を乗り越えれば2025年前後には好景気になる ■2008年6月4日 水曜日 2時46分44秒
日本経済の60年周期を信じて

いわゆるガソリンの暫定税率廃止と道路特定財源の一般財源化を進める民主党の議員さん達が、国土交通省関東地方整備局の視察をしたニュースが流れました。パフォーマンスだったとはいえ、ニュース画像に登場していた公務員達の対応があまりにもひどかった。
タクシーや公用車の使用実態など、道路財源の“無駄遣い”が公然と続けられてきたのは既に明らかであるのに、国土交通省の管理職の人が、民主党議員に対し「個人の特定につながると可愛そうだから・・・」なんて言い訳をしている様子がテレビで流れてしまっていた。この整備局に勤務する職員のひとりが、平成19年度に深夜帰宅用タクシー券を出勤日のほぼ毎日に当たる計190回、総額500万円分も使っていたもので、この職員の1回のタクシー代の最高金額が4万円に上るほか、1日の平均残業時間が2時間未満だったことも既に発表されている。税金横領は明らかで犯罪なのだから、国民が許すわけはない。2007年度末の国債や借入金などを合わせた国の債務残高は前年度よりも2%増えて850兆円に達していると財務省が先日発表した。これに地方債務を加えると確実に1000兆円を超える。今後の税収のアップは期待薄で、借金は当分増え続けると予想されている。日本では国家の税収入総額の約8割が公務員の給与として支払われる。公務員の給与は民間給与の平均だと言われているが、その詳細を知る人は少ない。
実は従業員100人以上の企業の男性をランダムに抽出して平均値を出し、それを民間の平均と決めつけているのです。我国は就労人口の約8割が従業員数100名以下の中小企業に所属し、その数は全企業数の99%(166万社)、つまり、就労人口の8割の給与額は全く参考にされず、高額な設定で支払われているのです。度重なる公務員の税金横領、利権優先の無駄な公共工事、税収の低迷、社会保障費の増加等々、あと5年も経つと日本の借金は何処まで進むのでしょうか。そんな中で、国民が「お金を使ってショッピングを楽しもう」という気になるのでしょうか。日本は経済破綻するという学者も多いですが、もし経済破綻したら、宝飾業はどのように生き残れば良いのでしょうか。この春も全国的に売上が低迷しているようで、今後も売れない日々が続いた時、宝飾業はどこまで持ち堪えられるのでしょうか。生き残るためには宝飾品を買える新規顧客を創出することが必須条件となりますが、その手法には「戦える商品」「結果の出る販売手法」「明確に目的客に伝わる広報展開」が必要になるでしょう。そのためにも、メーカー、商社、販売店が一致団結して同じテーブルで作戦会議し、協働体制で乗り切るべきです。どちらが「買う方」とか「売る方」とか、「川上」だとか「川下」だとか、会社が「大きい」とか「小さい」とか言うようなつまらない壁を取り払い、一丸となって対策を準備しないとダメだと思います。日本は1946年に経済破綻し、それから高度成長を遂げました。日本の経済は、歴史的に約60年周期で崩壊と繁栄を繰り返しています。今を乗り越えれば2025年前後には好景気になるという経済の専門家もいるのです。宝業界全体が一丸となり、何とか“いま”を乗り切り、次の60年で飛躍することを、心より願っています。(木村亮治)


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