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本多忠頼が読む日本のジュエリービジネス

■日本のジュエリー産業 明日の姿を考える 第39回 ■2017年1月30日 月曜日 16時44分45秒

新しい時代の宝飾業界

異例ずくめの中で、トランプ新大統領が誕生した。これからの8年間、アメリカのペースで世界が動くことになるが、そのペースに日本が早く慣れる必要がある。就任前に、本間製のゴールデンクラブを贈って、お愛想を取ろうと子供だましをしたのが我が国の首相だが、相手はこんなことで懐柔される男ではない。日本がおかれている今の時代環境は、明治維新に極めて似ている。鎖国から列強各国に立ち向かった、先人の知恵を大いに参考にすべきだ。
処で従来型の宝飾店の経営スタイルで商売が成り立っている全国約50店の宝飾店と百貨店の宝石・貴金属売り場は別として、全国各地にある大多数の従来型宝飾店の経営は、もはや限界に来ており、ここで、経営の大転換をしても先行きは無理であろう。 
というのは、以前ほど、消費者のジュエリーに対する潜在需要は大きくはない。また、その必要性もあまり大きくない。つまり、ジュエリーを欲しいという欲求はかってほど、強くはないのだ。その理由は第一には、日々の生活にゆとりがなくなっているからだ。経済的な用件もあるが、それより将来に対する不安や見通しのなさが一番だ。つまり、生活のゆとり感をなくしているのが、長期に亘る消費低迷の原因なのだ。 
第二には、消費者が本当に欲しいというジュエリーが提案されていない。ジュエリーに対する消費者の欲求が商品に欠けている。最近、ユニクロの国内需要が不振だ。その理由は、消費者が買いたい、欲しいというものがぜんぜん提案されていないからだ。そのため、売り上げが落ちているのだ。 
宝飾業界も同じで、宝石や貴金属は、女性の憧れのものだから、いつの時代も同じようなものが売れるという考えがあるのではないか。商品開発に工夫がない。もっと、消費者が買いたいと思うもの、欲しいものは何かについて捜し求めて商品化することが必要だ。時代時代の価値感で、ジュエリーに対する期待や役割は大きく変るし流行にも左右される。 
恐らく今年以降、少なくとも7、8年の世界経済の流れは、「内需重視」の時代に回帰するだろうから、その流れの中で、新しい宝飾市場確立のチャンスはある。問題はいかに過去の流れを断ち切るかだ。 
基本的にアクセサリーを包含した「装飾品市場」の確立を目指すことだ。使用素材では、宝石・貴金属はもとより、合成石、プラスチック、スチール、ゴム、布、ガラス、皮革など、ありとあらゆる装飾品素材になるものを加工する商品群の市場確立を目指すことだ。 
デザイン的には、個性的なもので、多品種少量化が一段と進むので、ものづくりの能力があれば、製造小売が有利になる。いわば、過去10数年流行った「パテシエ」ブームのような現象が、宝飾業界にもやってくるのではないか。 
ところで、確立すべき新市場規模は当面、店売り中心で、.5千億円前後を狙うべきだ。従来商品市場とあわせて、1兆円前後の市場規模を維持すべきであろう。 
恐らく、ここ数年は、従来のジュエリー市場の伸びを期待するのは無理で、年間売り上げ7千億円台の規模を維持するのが、せい一杯だ。世界的に見ると、宝飾市場は、米国市場を除いて、軒並み不振の年が当分続くであろう。 
また、順調だった宝飾時計の需要も一服し、売り上げ大幅ダウンが再来年にはやってくる。宝飾時計の売り上げに頼ってきた地方の有力宝飾店も当分は、苦戦を余儀なくされるのは間違いない。 
いずれにせよ、欧米諸国の「自国第一主義」が政治経済両面で機軸になるので、我が国が、その中をいかに泳ぎきるかが大きな鍵になる。 
今まで取ってきた、我が国の米国中心主義から、はたして脱却することが出来るか、どうか、試練の年になるのは間違いない。
■日本ジュエリー産業 明日の姿を考える第38回 ■2016年12月21日 水曜日 14時44分9秒

新しい時代の宝飾業界

 今年は、昨年以上に、世界の政治、経済、社会の面で大きな変化がもたらされる年になる。昨年、欧米で起こった変革が、世界規模で拡散、アジア各地でも勃発する可能性がある。
 昨年が世界大改革の序章の年であるとすれば、今年は、第二楽章に入る年だ。恐らく、イスラム民族のキリスト教徒に対する本格的な反撃が始まろう。それはテロのかたちをとるが本質的には、西洋文明とイスラム文明の戦い、十字軍戦争の再来だ。その原因は、昨年暮れの原油生産国による10数年ぶりの原油値上げだ。値上げの影響は、世界経済、中でもイスラム国の経済成長に大きな影響を与える。
 更に、中東やアフリカからのヨーロッパへの民族移動規模の移民の数は、今以上に拡大、その影響は、アジア諸国へも波及する。
 日本も例外ではない。多くの外国人にとっては、日本は鎖国時代と変わらず移住しずらく、また住みにくい国なのだ。
 それ故、人手不足で介護などの分野で海外に人手を求めているが、一定期間、訓練を受け一人前になれば祖国に帰国する現象が一段と加速化しよう。つまり、それらの人達の定着性は低く、日本は農業や介護分野の専門家の養成機関に他ならないのだ。日本人が持つ他民族に対する、変な優越性を早く捨て去ることが必要だ。
 ところで、本欄のある読者が「最近の記事内容は、宝飾業界について触れていないのではないか」と指摘してきた。確かに、指摘の通りだが、当業界の現況や明日の姿については、すでにふれたとおりだ。いくつかの業界中核問屋が営業を止め、小売企業も廃業が続出している状況にある。
 宝飾品の売上も1兆円を大きく割り込んでいる。
 従来カバーしてきた産業分野では、一つの産業として、成り立たないマイナーな存在になってきているのだ。再三再四言っているように、新たな商品分野の本格的な開発無くして、新たな宝飾産業は成立しない。銀座に店を構えるほとんどの海外ブランドショップが、現在力を込めて販売しているのは、宝飾時計である。
 しかも、多くのジュエリーショップが、ジュエリー二の次、売るのは、時計に力を入れている時代なのだ。30年前に見られたように、何百万円もかかる息子の結婚式も親がかりであった。だからキャラ石の婚約指輪が売れたのだ。
 バブルが崩壊、国際化が大きく進展、日本の中産階級が姿を消して、親は高齢化した。その中で、展示会の客はいなくなり、いつの間にか、お婆ちゃんから孫までの三世代の客も消えてしまった。
 大きく変わってしまった中で、のんびりしていたのが宝飾業界であった。ファッション業界は低価格帯のファスト・ファッションが急激に普及、家具は高級家具からニトリの時代になった。それに対して旧態依然として変わることなく、従来型商品を追い求めて商売しているのが宝飾業界だ。
 然しながら、今まではアクセサリー素材メーカーとしてやってきたオーストリア企業であるスワロフスキーが、昨年12月、アクセサリー・ジュエリーのテレビCMを流し始めたが、これが新アクセ宝飾品市場を作り出すきっかけになって、アクセサリー・ジュエリーの本格的販売に繋がればいいと思う。
 先行き、この新市場の主導権も海外企業に取られる恐れがあるが、使用素材にこだわることなく、キュービックなどを用い、スイング・ジュエリーの製造販売をしているクロス・フオーのような企業の活躍が大いに期待されるのだ。
 また数年後には、現在の日本ジュエリー協会が、改組・拡充される機会がやってこようが、そのきっかけは今年訪れそうだ。
 業界そのものの抜本的な見直しと、それに伴う明日への青写真が必要になるのが今年で、業界の再編成を期待してよい年になりそうだ。
■日本のジュエリー産業 明日の姿を考える 第36回 ■2016年12月14日 水曜日 15時53分37秒

再生のヒントを考える

 本紙7月1日号にてトランプ次期米国大統領の出現を予想したが、まさにそうなったのだ。当時、彼がクリントン候補を破るとは、ほとんどの人が予想していなかったのだ。同号に書いたように、それは英国のEC離脱と同じことなのだ。
 米国は、我が国が思うほどに経済面で豊かではないのだ。実情は、順調な景気回復には程遠く、国内の重要な産業拠点は荒れ果て、失業者であふれている。
 今や、豊かなアメリカ、強いアメリカではなく、資本主義の戦いに敗れた姿のアメリカしかないのだ。
 それは資本主義の限界を露見しているといってもよい。職のない労働者の生活苦から来た不満の爆発が、トランプ勝利を生み出したのだ。トランプ氏は、日中からの輸入と米国に押し寄せた200万人からの低賃金で働くメキシカンの移民たちが米国民から仕事を奪ったのだと。それらを排除して、米国人のための強い米国を再興しようという公約を掲げて勝利した。
 わが国の場合、メキシコからの移民に対応するのが、労働人口の4割弱を占める非正規雇用者だ。産業のグローバル化によってもたらされた、年収300万円では、一家が生活できない低所得者。それが拡大しており、貧富の格差拡大のテンポは米国以上だ。
 わが国においても、トランプ現象やEC離脱に似た現象は、近い将来見られることは確実だ。
 今月に予定されているプーチン大統領との会談で歯舞色丹2島返還には同意は得られるが、国後、択捉の日本が要求している2島返還には応じてもらえずに終わるのは確実だ。TPPも駄目で、日ソ領土問題も解決できなかった阿部首相はこれで終わりだ。当然、戦いに敗れれば、領土を取られるという19世紀までのルールは今もって生きているということを忘れてはならない。
 ところで大阪府は2025年、大阪万博開催誘致に立候補することを考えているが、果たして税金の使い方としてどうなんだろう?
 詳細はまだ明らかにされていないが、2025年5月〜10月に大阪湾岸部の人工島「夢州ゆめしま」で開く予定。来場者は3千万人で、テーマは「人間の健康・長寿への挑戦」だそうだ。
 1970年に千里で開催された第一回大阪万博は、最終的には7千万人近くの来場者を集めて成功を収め、それなりの意義があったが、今回の万博は、安倍政権が狙う、景気浮揚の目玉にはなりえない。
 大阪府としては、会場設営費として、1200億円〜1300億円、造成中の夢州の工事費、地下鉄工事などに700億円を見込んでおり、最低で2000億円は必要だ。これ以外に、運営費として690億〜740億円がかかるというが、これは、入場料で賄うという。
 何よりも、70年大阪万博の意義は、日本の若いクリエーターを育成するのに大いに役立ったところにある。当時としては絶対にあり得ないことだが、数億円から数十億円の金を出展企業から任され、若いクリエーターが自分の意志で、自由な発想で、パビリオンの設計、建設やイベントの企画実施に自分の責任で使うことが出来た初めての経験だった。この経験こそが、70年代から90年代にかけての日本の創造性発展の礎を作ったのだ。今回は、健康と長寿のテーマで展開するというが、健康は何も一時的なモノではなく、恒常的に取り組むべきテーマだ。地方自自体の予算としての2000億円は決して少ない額ではないが、これを高齢者の健康、医療の充実・支援に使うべきではないか。また2025年万博の参加企業が、どんなビジネス提案をしてくるかにもよるが、恐らくメインは、医療分野におけるロボット領域だろう。
 大阪に競合するライバル都市は、フランスのパリであるが、2018年に開催都市が決まるそうだ。
■日本のジュエリー産業明日の姿を変える36回 ■2016年11月7日 月曜日 11時35分29秒
産業の再生が図れるはずがない。
 少なくとも、高齢者が自分の生活を豊かに楽しむことが出来るものを購入する機会を拡大することを考えるべきだし、そのようなものを作る産業を育成すべきだ。つまり、現在の生活を高度化、円熟化するための生活財の充実を図ることだ。これを市場として捉えれば、容易に潜在化する50兆円の市場がある。
 と同時に問題なのは、景気を良くするための税金の無駄遣いである。東京五輪に次いで、2度目の大阪万博をやるとのことだが、いずれも二番煎じだ。それよりもやるべきことがほかにあるのでは?次回、それを見てみる。
■日本のジュエリー産業明日の姿を変える35回 ■2016年11月7日 月曜日 11時31分49秒

再生のヒントを探る

 日銀は先月の政策会議でアベノミクスの根幹であったデフレ経済から脱却し、日本経済を成長軌道に乗せるために掲げてきた2年以内での2%のインフレ目標達成をついにおろしてしまったのだ。
 アベノミクス支援で日銀が取った超金融緩和策やマイナス金利政策の狙いは、企業に金を借りやすくすれば、設備投資を増やし、物の生産を拡大し、景気に好循環がもたらされるという見方からだ。
 しかしながら、物を作っても、それが売れなければ意味はない。そんな市場環境にはない中で、金融緩和さえすれば、上手くいくという考え、そのものが甘すぎる。多少景気が良くなっても、消費者が金を使うようにはならない。なぜならば、それは将来に対する不安があるからで、1500兆円もあるという世界最大の個人資産を使おうとはしない。消費者も企業同様、国が思うように動いてはくれないのだ。
 先ずは、国を運営する根幹である財政について、将来に亘って、どのような方向で行くべきかを決めることが大事だ。つまり、大きな政府で行くべきなのか、それとも、小さな政府にすべきなのかを決定すべきだ。
 その中には、1千兆円を上回る国の借金返済問題も含まれる。
 高い社会保障制度を国民が選ぶのであれば、高税負担は当然となる。その場合、西欧並みの、消費税⒛%強を受け入れなければならない。野党が口癖のように言う、防衛費の削減だけで、年々増大する高齢化社会の社会保障費を賄うことはできない。まさに100年先を見通した長期ビジョンが必要なのだ。
 私は、今の時代が江戸末期の文化文政の時代に似ていると思う。
 というのは、金持ちと貧乏人との格差が大きく広がり、幕府の財政基盤も、再建できないほどに崩壊してしまったのだ。一方で、町人富裕層の後押しを得て、浮世絵をはじめ、様々な町人文化が花開き、開国から明治維新の新しい時代の幕開けに繋がったのだ。どうも、今がそんな時代に、似ている感じがするのだ。
 いずれにせよ、日本のみならず世界が、新しい時代の入り口に直面しているのは間違いない。つまり、新しい時代の価値観というものが何なのかは、まだ見えていないが、それを予見して対応する必要があろう。
 これから我々が、創設しようとしている新しいジュエリー市場は、その価値観が今までとは異なる。
 つまりこれからのジュエリーの位置づけは、日常性が重要で、非日常性のものではないのだ。そして、値段的にその多くは、高くても3桁のものでなくてはならず、何十万円もするものではないのだ。
 今はやりのファツション・コーデが靴やバッグ、アクセを入れて一式1万円も出せば容易に出来る時代だ。そうした中で、1個、何十万円もするジュエリーでは、新市場での市民権は得られない。すでに、素人が作るハンドメイドのアクセ市場が、1億円超まで成長、さらなる拡大の可能性がある。
 他方、小さな政府を志向するには、あらゆる面での国家予算の支出削減が必要となる。先行き、人口減少社会ゆえ、小さな政府の方向もあり得るのだ。
 世界経済のカギを握る中国の経済成長率が誓い将来、5%を切るのは目に見えてており、そうなれば成長戦略路線をとる国など存在するはずはなく、貿易も極端な保護貿易主義の時代になる。あれ程まで期待された中国からの旅行者の日本での高額品購入が突如として激変してしまった。
 やはり、これからは、内需拡大を日本人自らが、しこしこと積み上げていく努力をしなければならないようだ。
 以前から強調しているように、高齢化社会の中で、成熟社会が必要とするものを、どう作っていくかが、これからの日本経済のカギになると考える。
■日本のジュエリー産業の明日の姿を考える 第73回 ■2016年9月6日 火曜日 16時1分34秒

再生のヒントを探る

 リオが終わって2020年は東京オリンピックだ。
 事前の評判では、競技施設の建設が開会式まで間に合うかどうかといわれていたが、その不安を吹き飛ばして、見事に大成功をおさめたリオ・オリンピック。今回も事前の日本のマスコミは、後進国蔑視のうがった報道が目立った。そのため、オリンピックの開催国の準備不足や社会不安に関する報道が多かったが、わが国だけが優秀で何から何まで完璧に出来るという思いあがった報道姿勢はもはや止めるべきだ。日本が史上最高の数のメダルを獲得したリオ・オリンピック。万一、これだけのメダルを取れなかったら、施設や準備不足にマスコミ関係者はケチをつけたのではなかろうか。
 今回のオリンピックの成功から、学ぶべきことが二つある。
 その一つは、オリンピック施設の建設費用を税金の形で負担する地元住民に対するサービスだ。高額の入場券を入手できなくても、オリンピックを楽しむことが出来る。パブリック・ビュー施設を各地に作ったことだ。そのため、会期中オリンピックに対する関心を高めることが出来、最後まで盛り上がる中で、五輪を閉会することが出来たのだ。
 第二は、質の高いリオ五輪に参加した5万人のボランティアの協力だ。現地でボランティアの活躍を見聞した日本のオリンピック関係者は「これだけ質の高いボランティアを東京オリンピックで集めることに疑問がある」とのこと。1か月以上にも亘って、無償で質の高いボランティア活動をしてくれる人が、どれくらいるかについては、未知数とのことだ。
 今は何でも「金の時代」、戦後無料奉仕は、何でもバカ臭いこと、良くないことが強調されてきた。そもそも、寄付行為(ドネーション)についての土壌がないのが日本だ。
 災害時のボランティア・サポートもせいぜい、続けて半年ぐらい、熱しやすく、冷めやすいのが日本人だ。極めて由由しき問題だ。
 東京オリンピックは、いくら金を積んでも、成功はしないし、おもてなしのスローガンだけでは駄目なのだ。
 いかにして、五輪の素晴らしさと、ボランティアの役割について、力強いPRをしていくかにかかる。
 金のことばかり考えているのでは、望むようなボランテァを集めることが出来ず、五輪そのものが不成功に終わるのではないか。
 ところで、前回アジアの近隣諸国、中でも中国や韓国と仲良くやっていくべきだと書いたのだが、またまた8月27日、28日にケニアのナイロビで開かれたアフリカ開発会議の席上、阿部首相は「アフリカ支援は量よりも質」として、豊富な資金力で先行する中国に対抗して、総額3兆円の投資の支援、の援助を約束した。因に、中国の資金援助は、6兆円と日本の倍で、豊富な地下資源開発のためのインフラ整備事業を中心に、開発にすでに手を付けている。
 この会議は今年で六回目を数え、毎回東京で開かれてきたが、今回はアフリカ側の意向で、ナイロビ開催となり、中国に対して日本の存在感を示すための資金援助の声明となった。
 いずれの国にとっても、2050年には25億人を超すといわれる最後の巨大市場であるアフリカ市場は、大きな魅力だが、進出する企業にとっては、政治的不安定さや内戦、テロなどの治安リスクも多々ある。
 どう考えても一国で対応できるプロジェクトではない。EC連合のように日本、中国、韓国のアジア主要国が纏まって三国連合で対処すべきではないだろうか。
 敗戦後この方、アメリカの枠の中にいたが、いつまでもアメリカの枠の中にいる必要はないのだ。安部首相が我が国の成長戦略の柱として考えてきた、PTCの行方がアメリカにおいてさえ怪しくなってきた。あくまでも、世界の貿易協定の主流は、二国間協定が優先するようだ。
 となれば日本にとっては、アジアの近隣諸国の存在がより重要になるのではないか。
 再三再四いうように、今年は世界の変化が著しい。一つの産業の再生・再構築を考えるのも、従来的な枠の中では納まらないようだ。再生のために役立ちそうなのは、全てを動員して使うことが必要なもようだ。いずれにせよ、今業界がおかれている状況は、ジリ貧になっていくスピードと、再生力のスピードとの競争だ。だからと言って、その先に素敵な未来が用意されているとは言えないのだ。
■日本のジュエリー産業の明日を考える 第33回 ■2016年7月29日 金曜日 15時30分49秒

再考しなければならない宝石業界その8

 どう考えても、この半年間世界は大きく変わってきているような気がする。中でも注目されるのは、民族の宗教的価値観の違いによる国家間の対立だ。
 こういう事態になると、日本の立ち入る余地は全くない。それは明治維新まで、約300年間、鎖国状態にあった日本独自の立場の結果であり、その間、世界の流れとは無縁の存在だったからだ。
 歴史的に見れば、キリスト教とイスラム教の激しい対立は今日もテロという形で連綿と続いている。民族の生き残りを掛けた戦いが再現しているといってもよい。
 良しあしは別通して、恐らく、その戦いは一方が他方を再度、ねじ伏せるまで永久に続くだろう。 
 そして世界の流れは、自国利益第一主義の時代となる。そうした中で、日本が国際社会の一員から弾き飛ばされる可能性すらあるのだ。世紀の大きな分かれ目、どう生きるかの問題が大きくのしかかってきている今日この頃だ。
 ところで前々から言っている通り、アベノミクスの破たんは明確で、小泉内閣当時、2020年に財政のプライマリーバランスをゼロにするという計画だったが、それがご破算にされ、順調な経済成長であっても、2020年には5兆5千億円の財政赤字になることが政府から発表された。
 いつの間にか、さらなる巨大財政赤字を抱えることになったのが、アベノミクスだ。恐らく消費税、⒛%台を実現しないと、今後も増える医療費、社会保障費に対応できなくなると思う。
 どんなに頑張ろうが、法人税による税収拡大は無理であり、やはり頼れるのは消費税の増税しかない。ヨーロッパ並みの高率の消費税を選択するか、それとも国が面倒を見る社会補償のサービス低下を容認するかの選択しかない。
 いずれにせよ日本ですら、時代の劇的変化をこの数年のうちに迎えようとしている。
 このような人々の生活の劇的変化を考慮に入れた対応をビジネスでも考えることが必要だ。
 宝飾品というものが、宝石からあらかたアクセサリーに変わる日は、あと4,5年の内だ。
 この間に、自店としてやるべきことをしておくべきだ。先ずは、今まで経験したことがなかった経済環境で、どうやっていけば生き残れるかを考えること、やはり、重要なのは、商品に対するユーザーの趣向と潜在需要を把握することだ。
 彼ら、彼女たちにとって、アクセも宝石も、その使用価値は同じなのだ。 
 装いの主流は、ファストファションの時代、誰でも気軽に購入出来て、しかも常にトレンドを追求したもので、年齢を問わず瞬く間に巨大市場を創っていった。そしてかっては装いの主流をしめたプレタやオートクチュールは、ほんの一部の特権階級のもの。それと同じで、宝石からアクセサリーの時代に変わっていくことを明確に理解することが必要だ。
 更に必要なことは、アクセサリーは、トータルファッションをより魅力的に仕上げる役割がある。
 それは、自分をより魅力的に見せるための小物であり、自分の欠点を魅力的に装うものが、アクセサリーなのである。
 つまり、従来の宝飾品より、アクセサリーの役割は、広いのである。またアイテムとして、メガネ、バッグ、ヘアバンド、リボン、靴、ショール、ソックス、手袋などもアクセの範疇なのである。
 宝飾品が、単に着用すれば、ほぼ満足が得るのに対し、アクセの重要な役割は、トータルのコーディネイションを盛り立てることが出来るかどうかが課題なのだ。
 宝飾品と同じようでも、商品に対するユーザーの期待の違いについて、明確に把握することが重要である。
■日本のジュエリー産業の明日を考える第32回 ■2016年7月13日 水曜日 15時30分36秒

再考しなければならない宝石業界その7
  
 大方の予想に反して6月24日、EUからの脱退についての英国民の投票結果は、離脱派の勝利となり、世界の金融市場は、大混乱をおこしている。
 しかしながら、離脱が残留を上回る結果になったのは、決して予想外の結果ではないのだ。というのは、英国国会議員が暗殺されるまでは、英国のEU離脱の流れは確実であったのだ。
 しかしながら、EU残留を推進していた英国下院議員殺害事件が起り、残留派が同情票を上乗せする可能性が出てきたため、投票直前、離脱・残留の票差が分からなくなったのは事実だ。
 英国のEU離脱による欧米金融市場の混乱については、ソロス氏が指摘するまでもなく、今後の世界経済を左右する影響力のあるものになることは、以前から分かっていたことだ。投票結果を予想して、私とて、200万円以上の損失覚悟でレアル建てのブラジル債を投票日直前の6月22日に売却した。
 リーマンショック以上の株価と為替の混乱は、世界の金融業界も政府当局も、英国はEU残留の結果になると決め込んで、楽観的な見方が広がるなかで、何の対策も講じてなかったことに尽きるのだ。
 なぜ英国民は、EU離脱を選択したのか?
 最大の理由は、民主主義の根幹である国家の自冶権確保のためだと思う。また歴史的に誇り高きジョンブルにとって、EU加盟のほとんどの後進諸国の民と一緒にされたくないとのプライドがある。
 英国本土とドーバー海峡の先にあるヨーロッパ大陸諸国とではプライド観に大きな差がある。これは、日本とアジア諸国との関係に通じるものがあるのだ。
 というのは、韓国や中国、台湾の民に対して、日本人は、依然として見下す優越感を持っているようだ。民族間の差別感をなくそうということで世界大戦の反省からEUはスタートしたのだ。
 然しながら、最近大きな国際問題になっている移民の受け入れが、一国の政治経済に影響を与えるようになってくると、民族の移動に様々な問題が生じてくるのだ。
 当初、問題外の候補だった、米国共和党大統領候補トランプ氏が、今や大きな支持を得ているのは、今まで米国が取ってきたやり方を棄てて、米国の利益だけを優先すること、保護貿易主義に徹することにある。かって評判の悪かったモンロー主義への回帰である。
 おそらく、トランプ氏の大統領就任は間違いなく、彼の政策は、世界ナンバーワン国民を目指したい米国にとって、大きな時代の転換となる。
今年は、まだ6ケ月しかたっていないが実に様々なことが国内外で起こっている。最近ある雑誌に、日本はあまり米国一辺倒になるのは問題だ、もっと近隣友人である韓国や中国、台湾、ベトナム、タイなど、アジア諸国と仲良くしないと近い将来、大きなしっぺ返しが来ると書いたが、時代はそんな流れの中にある。
 全ての面で、日本国内市場の需要が限界の今日、全ての日本の産業にとって、自分たちが生産したものを買ってもらう市場がアジアなので、全てのアジア近隣諸国と仲の良い友達でなくてはならないのだ。
 ジュエリー業界においてもしかりである。同じような価値観の民族同士が、共通する価値観に基づき共通の市場を確立することが必要だ。
 それは今までのように、日本の言い分だけが正しいとの態度は通用しない。何度か引用してきたが欧米一辺倒を廃棄して、「謙譲の美徳」が通用するアジアへの見直しを抜本的にすべきだ。
 最近の国際会議で、日本の政治家の国際感覚のずれが目立っている。世界の流れが大きく変わっている中で、その流れを的確にとらえることが必要だ。(続)
■日本のジュエリー産業の明日を考える 第32回 ■2016年5月30日 月曜日 12時32分1秒

抜本的に再考しなければならない宝飾業界 その6

 去る5月26日から8年ぶりに、日本でサミットが開かれたが、首脳会議に先立って仙台で開かれた7か国蔵相・財政相会議で、日本が今回のサミット議長国として、取りまとめの目玉に考えていたのが、低迷する世界経済を活性化するため『財政出動』を各国でやろうとする提案であったが、財政規律を重視するドイツや英国の賛意が得られず見送りになった。各国共に財政事情は異なるが、日本と各国政治家の国家財政運営についての考え方に大きな差があることを見た。
 日本の場合、景気が悪いと安易に国債に頼って、金をばらまくことを考えるが、他国の場合は、財政規律は政治の根幹であり、いかに重要性があろうとも、簡単に財政規律を乱すことはできないのだ。
 国家財政運営について日本の後進性を露見したのがこの一件だが、景気が悪いといって金をばらまいた結果、一千兆円もの借金を作ってしまったのが、日本なのだ。安部首相は、現在の世界経済を、かってのリーマン・ショック前夜とし、そのリスク回避のため、財政出動の必要性について各国首脳に再三再四、説得したが賛意を得られず、逆に『危機』というのは、どういうものかとの反論もあった。 
 ここまで安倍首相が世界経済の悪化を強調した背景には、目前に迫った消費税増税実施の結論をどうするかがあったからだ。消費税増税再延期は、まさにアベノミクス失敗を意味するに他ならない。いずれにせよ、世界経済の見方や財政規律の考え方に、他国との間に大きな差があるのは明確だ。
 まして国民の税金が入っている政治資金の公私混同使用の升添東京都知事問題が話題になっているが、これこそ、政治の後進性を示すものであり、政治先進国では絶対にありえないことだ。
 政治家の資質がないものが都知事になっているのを即刻辞めさせるべきだ。
 ところで、最近宝飾時計の売れ行きが落ちている。特に百貨店での落ち込みが大きい。その原因は、最近の株安や円安の影響によるものらしい。予想以上に株価、為替の変動が大きい。
 しかも去る5月18日、内閣府から今年の1月〜3月のGDPの速報値が発表されたが、大方の予想を上回る年率換算で1・7%であったが、市場ではおかしな反応が出た。発表直後、株価は急落し、金融関係者は、不審の声を上げたのだ。つまり、予想では景気の実感からみて、プラス成長は絶対にあり得ないのに、発表された数値はプラスで、しかも想像以上に良い結果で、信じられないという驚きの反応であった。
 この数値を頼りに安部首相は、消費増税実施の判断をするといわれていただけに、政府、金融業界、産業界共に微妙なのだ。
 統計を担当する内閣府の官僚が、安倍首相をおもんばかって、統計値に手心を加えたとは思いたくないが、事象はその類の反応であった。
 いずれにせよ、何をやっても思ったことは押し通すという風潮に対しては、鋭い目で監視しなければならない時代なのだ。
 さてブランド宝飾時計の売上は大きく落ちているが、セイコー、シチズン、カシオの実用性高い国産時計の復活は目覚ましく着実にそのシェアーを拡大している。
 私の記憶が正しければ、セイコーが海外ブランドに対抗して、宝飾時計を発表したのは、80年代半ば帝国ホテルであった。しかし、』私の目には、その導入には、あまり積極的ではなく、時計本来の技術で勝負しようとの企業精神がありありだった。
 それ以来、30年余年の努力が実った国産各社ブランド時計が復活してきている。宝飾時計ではないが、まさにユーザーが手にしたいファッション性のあるものが登場、宝飾店の販売環境協会に、寄与している。
■日本のジュエリー産業の明日を考える第31回 ■2016年5月2日 月曜日 14時56分30秒

抜本的に再考しなければならない宝飾業界  その6

 自然災害の脅威をまの当たりにしたのが、平成28年「熊本」地震だ。それは、人知の限界を超えた大自然の脅威であり、古代から今日まで繰り返されてきたいまだ解明されない大自然の謎なのだ。と同時に、その脅威が近在の川内や伊方、玄海などの原発施設に影響を与えるようになれば、日本国そのものの存立を危うくする大問題になる。そうならないうちに、再駆動を開始した川内原発の操業中止を要請したが、国の原子力規制委員会は、それを受け入れていないのだ。万一、強い余震が原発施設を破壊したとき、どんな状況になるかは福島第一原発事故を見ても、甚大な被害は想像に難くない。
 一方で、このところ我が国経済は、一段とおかしくなってきた。GDPの年間成長率は、ここにきて、極めて不安定なものになっている。
 先月、IMFは今年の日本のGDP成長率予測値を1・0%から0・5%に引き下げ、世界経済全体の成長率も大きく下げた。今年の経済状況は、リーマンショック時と同じレベルの悪さで、世界経済は今や不況に陥る寸前である。
 来年4月の消費増税再延期説が出ている中で、今年景気が良くなるはずがない。当然、宝飾品の売り上げは悪化する。
 再三再四指摘してきたように、こうした状況の中でやるべきことは、従来の宝飾品市場を補完する新装飾品市場=アクセサリー・ジュエリー市場を確立することである。
 それは宝飾品の存在を装飾品として日常性の世界へ取り戻そうとすることである。
 宝飾品の値段が高ければ、庶民には買えないし、購入したものを着用する機会も限定される。購入できる人が限定されれば、宝飾品はますます非日常性のものになっていくし、当然、市場規模は縮小する。今のような市場規模では、いくら努力しても売り上げは良くて現状維持、多くの企業は、さらなる業績悪化が余儀なくされるのは間違いない。
 しかしながら、どんなに不況であっても、女性のおしゃれ意識は旺盛で『美しくなりたい』ということで、魅力的になる努力をするのだ。もちろんそのための小道具が必要になる。
 今が新しい装飾品市場を創るチャンスなのだ。その装飾品は、ファイン・ジュエリーの需要激減を補完するものであり、値段も購入する機会も、また買ったものを着用する機会も、すべて特別ではなく、日常性あるものだ。誰でも、容易に買うことが出来る値段であり、普段使い、日常のおしゃれに必要な小道具なのだ。
 そして重要なのは、デザインのグレイドアップだ。着用したとき、どれだけ目立つかの表現が重要だ。
 和装文化の原点は、華美にならず目立つことを極力抑えて、いかに品よく、優雅に表現するかにある。つまり、奥ゆかしさの中に、美しさが完結するとの考え方である。和装文化は、織や染を工夫に工夫を凝らせて完成させた超絶技巧の結果なのだ。
 一方、アクセサリーは、完成していないものにプラスすることにより、美しいもの、魅力あるものに演出するところに役割がある。
 それ故、和装文化には、コスチュームジュエリーの価値観はないのだ。つまり「コスチュームジュエリーはまがい物」であり「本物ではない」との評価だ。
 こうしたところから、我が国では、コスチュームジュエリーやアクセサリーを一段と低いレベルのものと評価する見方が定着したようだ。
 今まで、当業界が取扱ってこなかったコスチュームジュエリーやイミテーションジュエリーを包含した装飾品、いわゆるアクセサリージュエリー市場の開発が急務である。
 さもないと、宝飾品産業は一つの産業として市場規模を維持することが出来ず、産業として消滅してしまう危険すらあるのだ。
■日本のジュエリー産業の明日を考える 第30回 ■2016年4月22日 金曜日 16時28分52秒

抜本的に再考しなければならない宝飾業界 その5

衆参同時日選挙実施の政治的話題と共に、経済を巡る最近の話題、すでに政治決定している、来年4月の消費税10%をどうするかの議論だ。 
 安倍首相は、先月、海外から著名な経済学者をよんで消費税の実施について、どうすべきかの意見を拝聴しているが、これは大変おかしな話で、自ら決めた増税延期をチャラにしようとするもので、アベノミクスの失敗を隠さんための小手策だ。おそらく増税は、先送りになるだろうが、そうなると消費税の増税は、今後は一切無理になる。そうなれば、年金や介護、保育所支援など含めた社会保障の充実や国の借金返済をどうするかが大きな問題として残る。   
 また、ここにきて三井物産や三菱商事の大手商社は世界的な資源価格下落のため、16年3月期決算は、創業以来、初の赤字に陥ることになった。
 昨年の実質GDPが年率1・4%にとどまり、実体経済の弱さを示している米国経済は、インフレ懸念が出てきており、一方で、最近、個人消費の低迷から景気判断を停滞に変えた日本経済も、ただならぬ事態に直面しだしてきているようだ。
 この分だと、昨年暮れに予想した為替や株価は、さらなる波乱含みの展開が予想される。
 年央から年後半に掛けて、円高がさらに進行して、1j=一〇〇円台をきり、日経平均も1万円台割れの値下がりを覚悟せざるを得なくなろう。
 こういうなかでの世界の宝飾品市場だが、ダイアモンドの需要は停滞するが、採掘量の大幅減少のため、サイズの大きいものや高品質のものの価格は強い傾向で推移する。
 また、良質の貴石も産出量は極端に少なくなっているので、宝石品質の物の値段は上昇の一途をたどっており、今後は供給の大きな部分をリサイクルに頼らざるを得なくなる。
昨年から年初にかけて、原油価格の下落にひきずられ値下がり気味だった金価格は、原油価格の回復と共に値を上げて、今年は高値水準で推移するであろう。
 多くの資源価各が下落傾向にある中で、宝石や金、プラチナなどの貴金属は、世界的なカネ余り現象と株価低迷と相俟って、格好の投機対象になっており、今後、価格が大幅に高騰する環境下にあり、業界としては商売のしづらい年になろう。
 一方で、この様な経済環境は、新しいジュエリー・ビジネスの創生に拍車をかける。高級宝石の素材価格は大幅に値上がりするため、入手も販売もしづらくなるため、当然、売り上げ減少に拍車がかかる。従来の宝飾品だけの商売ではジリ貧になるので、当然、売り上げ減少を補うビジネスが必要になる。
 価格的に安い分野の貴金属やアクセサリー・ジュエリーの販売拡大に力をいれることが必要になる。経済環境の改善も不可能で、収入の伸び悩みが当分の間は、振るわないので、資産運用もままならない。となると、高級ジュエリー分野での需要拡大を図るのは難しいので、低価格のアクセサリージュエリーでの需要開拓を活発化せねばならない。
 好むと好まないとにかかわらず、低品位の金やプラチナ素材を使用のものやシルバーヤステンレス素材、めっきもの、それに使用する石素材も半貴石のウエイトが増えるし、また今まで使用したことのない天然石の使用も増えてくる。
 要は、宝石としての素材価値ではなく、価格を気にせず、容易に入手できる装飾価値重視の宝飾品がユーザーに選択される時代だ。全ての宝飾業者が宗旨替えする必要はないが、おそらく本年は、従来商品市場の商売はジリ貧になり、市場規模は、前年比マイナス2割近くは縮小するものと思う。となれば、大きく新天地へと舵を切るのは、今年であろう。
■明日の姿を考える 第29回 ■2016年2月26日 金曜日 13時11分2秒

抜本的に再考しなければならない宝飾業界 そのB

 株高と円安で経済活性化を図ろうとしたアベノミクスは破綻寸前で、デフレ脱却を図るためにとった日銀の超金融緩和策も、インフレ率2%の2年以内実現目標を達成できず失敗に終わっている。そのため、日銀は去る1月末、突如として「マイナス2%の金利を市中銀行から預かっている預金に課す」という奥の手を導入すると発表したが、日経平均株価は1万5千円を割るところまで暴落、為替は1ドル=110円台の円高を招き、思惑外の結果で、政府・日銀共に慌てふためいている。
 日銀のマイナス金利政策導入について、ある米経済紙は『BANZAI』の見出しで紹介したが、これは日銀がデフレ退治にもはや有効な手段を持ち合わせていないことを皮肉を込めて紹介したものだ。
 初めての金融政策導入ゆえ混乱もあり、今後経済悪化を招き、手の付けられぬ事態にならないことを祈るばかりである。
 それはそれとして、前号で、新時代の経済環境に即した、誰でも容易に購入できるアクセサリー・ジュエリーの登場が期待されている話を書いたが、それは、同時に、新商品市場を創設していくための膨大なマーケティング投資が必要になるという話だ。
 新商品を開発して市場導入を図れば、その商品が自然と売れていくものではない。それ相当のマーケティング努力が必要であり、ましてや旧来の商品に決別した新市場を確立しようとするのならば、なおさらだ。
 前世紀、デビアスをはじめ、PGI、WGCなどの海外鉱山会社が日本市場に投資する膨大な販促費用によって、ジュエリー市場の活性化を図ってきたが、その投資が皆無になった今日、すべて自前で市場開発をやらなければならない現実を、シカと思いしることが必要だ。
 つまり、人の褌で相撲をとることのできない時代であることを認識しなければならない。
 広告宣伝の話になると「金がないので今は無理だ。儲かって余裕ができたら広告宣伝をする」という業界人が多いが、これでは本末転倒だ。
 端的に言えば、広告宣伝の役割は、販売商品の存在を購入予定者、ターゲットに広く知らしめ、その商品についての購入意欲を高めることにある。それ故、商品を製造・販売するのに不可欠なサポートが広告宣伝活動なのだ。広告宣伝なくして、自らが製造したモノの大量販売はありえないのだ。
 であるので、広告宣伝というものは、商品が売れて儲かってからするものではない。
 そんなことは、すでに分かっているという読者も多いと思うが、マーケティング・セオリー通りのやり方をしないことには、新市場の確立なんて出来っこない。
ジュエリーは購入者が限定される特別な商品なので、広告宣伝は不用との論理は通用しない。特にこの20年の間に多くの消費者のジュエリーを買いたいと思う心は消えかかっている。その心に火をつけ、ジュエリーを購入したいという気持ちにするには広告宣伝に頼らざるを得ないのだ。そして、つねにジュエリーを欲しくなる気持ちの状態に、広告宣伝でしておくことが重要なのだ。
 今年は年初から株価の大幅値下がりと急激な円高で、富裕層のジュエリーに対する動きが悪くなるのは必至だ。このまま手を拱いていると、ジュエリービジネスは大変なことになる。つまり産業として無くなる可能性もあるということだ。
 それ故、従来のジュエリーに決別して、新しいスタンスで、新たなジュエリー市場を開拓していくチャンスの年でもある。
 現在の窮地に追い込まれた状況を脱して、ジュエリービジネスを新天地で花を咲かせる第一歩の年にしてもらいたい。ジュエリー業界人、一丸となってのチャレンジを期待したい。
■明日の姿を考える 第27回 ■2016年1月29日 金曜日 15時3分9秒

抜本的に再考しなければならない宝飾業界 そのA

 予測したように世界の株式市場は、波乱の年明けになった。中でも、東京株式市場は、史上初めての大発会以来、6営業日連続の下げとなり、昨年暮れよりも18000円ほど、日経平均株価は下げる年初となった。しかも、世界同時株安の混乱はそう簡単に収まりそうにない。
 中国経済の深刻さが一段と厳しくなってきたのと、新興国経済の不振で、原油需要の大幅な減少が予想され、国際原油価格は大きく下げており、そのため日本の株式市場からもオイルマネーの引き上げが顕著になったからだ。このままだと、日経平均株価が1万5千円台を割るのは時間の問題で、株高で経済振興を図るというアベノミクスは、ここにきて完全に破たんした。
 まさに、元旦号で予想したように、今年は我が国にとっても、また世界にとっても、予見することのできない経済大変革の年なのだ。
 そうしたときに、麻生財政相は記者からの質問で、最近の株価の動きについて訳のわからぬコメントをしていた。「我が国経済のフアンダメンタルズはおかしくないので、最近の株価の下げについては、騒ぎ過ぎだ」と。
 株価暴落の責任が、自分に推しつけられているとの勘違いからのコメントなのか分からぬが、彼は国際経済の仕組みについて、あまりにも無知すぎる。新聞記者が聞いているのは、世界同時株安の中で、これからどんな経済見通しをもって、政策運営に当たるのかということなのだが、またもやとんちんかんなコメントで対応した。こんな安部盟友に、財務の大臣を任せておいて大丈夫なのか? 
 ところで、このところ日経平均株価は1万6千円台になってしまい、今のところ反騰する見込みはない。原油価格が下げ止まらないのと、中国経済の先行きが見通せないと、世界同時株安からは脱するのは難しい。 
 当然株取引によるリターンは減少するし、中国の観光客による爆買いも、予想外の速さで終息するであろう。
 回復基調にあった景気は、再び悪化に向かうことになり、今年度の企業業績も、ただならぬことになる可能性は非常に高い。
 こうした状況下で、ジュエリーの動きが一段と鈍くなるのは必至だ。なかでも小売価格10万円以上のものになると、売るのが難しくなる。それ故、ボリューム感があり、装飾性の高い3万円から5万円ぐらいまでの価格帯のアクセサリー・ジュエリーの開発が急がれる。ターゲットは、30歳代後半から60歳代前半の女性なので、体形を考慮したデザインでなければならない。また、価格の要素が何よりもキーになるので、素材は必ずしもプラチナ900、850や18Kなどのジュエリー素材にこだわる必要はなく、石も天然石なら貴石でなくても、装飾性が高ければよい。
 いずれにしても、新しい経済環境にマッチした装飾具の開発と市場への登場が待たれているのだ。
 それがないことには、新たな宝飾品市場の確立は不可能だ。いずれにいせよ、旧来の市場を捨て去って、新生ジュリー市場を、これから作っていこうという覚悟がないと、明日のジュエリービジネスはありえない。
 今まで様々な方策を用いてジュエリー市場の再興を試みてきたが、消費を活性化させる所得、つまり経済環境が激変してしまった今日、人々の生活の中におけるジュエリーの必要性も大きく変わってしまった。
 こうした中でも、従来から存在していたジュエリーの必要に等しい。
 であるならば、どんなジュエリーが求められているのかを見出して、その開発と商品供給に努めることが不可欠だ。
 こうした努力なくして、ジュエリー産業の明日はない。
■明日の姿を考える 第27回 ■2016年1月15日 金曜日 14時49分37秒

抜本的に再考しなければならない宝飾業界 その@

 新しい経済環境に直面する中で新年が始まった。
 おそらく今年は、世界にとって経済の大変革が訪れる年になるであろう。
 というのは、EU諸国や日本は、依然として経済は低迷しており、金融超緩和策がとられているが、そうした中で昨年末、米連銀は金利値上げの政策を決定、新しい経済政策へ踏み切ったが、それが今後の世界経済にどんな影響を与えるかは未知数である。
 米連銀は、米国経済が順調に回復しているとの判断から金利値上げに踏み切ったのだが、果たしてそれは本物だろうか。世界的な観点から言えば、昨年来、新興国の経済成長率はダウンしだしており、回復の目鼻は立っておらず、かってのように米国経済だけで世界経済を牽引できる時代ではない。また今年は、米大統領改選の年でもあり、政権交代があれば政治環境も大きく変わってくる。
 一方、国内での大問題は、少子高齢化の着実な進行である。東京都でさえ、2020年の東京五輪が終わるとともに、人口減少がスタートするとのことだ。
 人口減少は、もはや都市・地方を問わず、日本の将来を左右する大問題になっている。最近地方での伝統的な祭りの復活が話題になっているが、地方再生の原点は、その昔、春・秋に行われた鎮守様のお祭りに沢山の人が集まることだと思う。
 いずれにせよ、多彩な問題を抱える中で、新年がスタートしたが、何よりも国際情勢に大きく左右される1年になることは間違いない。
 ところで、過去30年の間、宝飾業界の売上額は、年々減少、今やジリ貧状態だ。だからと言って、現状を打破する積極策を打つわけでもなく、その間、多くの企業が取ったのは、延命策ばかりであった。
 つまり90年代初頭、荒れ狂っていた倒産の嵐を避け、他企業よりも一日でも長く商売ができるための最善策の実行であり、残念ながら自社のことしか考えない企業が大部分だった。バブル経済崩壊後、4分の1世紀を過ぎた今日、抜本的に業界のあり方を考えるのも意味あることだと思う。そのため、本号から1年間の予定で再度、当業界のあり方を考えてみる。
 以前から高価な宝石・貴金属は、非日常的な存在のものであったが、少なくとも1980年代の日本では、努力すれば庶民でもなんとか手にできる存在であった。しかしバブル崩壊後、社会階層の激変で、それらのものは、もはや庶民のまったく手の届かないものになってしまった。
 つまり、宝石・貴金属の存在意義が大きく変わってしまって、今やハリウッド女優がレッドカーペットへ登場するとき着飾るものか、皇室の儀式に必要なものといった、もはや庶民には全く縁のないものになってしまったのだ。
 こうした中で、業界としてやるべきことは、まず庶民が欲しくなる宝飾品とは何かを、具体的に提案することだ。
 それは憧れだけの商品では駄目で、実際に購入できる価格のものでなければならない。現在、ジュエリー市場の中心商品であるブライダル商品の需要は徐々に減少する。なかでも、ダイヤモンド婚約指輪の需要は激減する。
 そのため、早急に時代に即した魅力的な欲求商品を提案し、最大限、販売拡大を図ることが必要だ。
 では、その商品の要件は、何か。永遠のベストセラー、ダイヤのプチペンダントを導入したのは、1977年夏のデビアスのダイヤモンドサマーギャラリー・キャンペーンだが、そこから言える条件は、デザインはシンプルが絶対条件、値段は3〜5万円の低価格帯、どんな服装にもあって飽きが来ないものが良い。今年、多彩な提案が、積極的にされることを望みたい。
■明日の姿を考える 第26回 ■2016年1月15日 金曜日 14時24分39秒

どうなる
2016年の日本の政治と経済

 企業は史上最高の収益を上げているにもかかわらず、設備投資や賃上げをしないため、景気回復が停滞していることについて菅官房長官は、日経連幹部をなじるが、経営者が設備投資に二の足を踏むのは、経済の先行きに明るさを感じることができないからだ。
 増産してモノが売れる見込みがあれば、生産設備も増強するし、製品在庫の積み増しもする。しかし、価格競争でしか、モノが売れない最悪の環境の中で、積極的に設備投資をしようとする経営者などいない。
 賃金が上がらないので、個人消費は依然として低迷しており、中国経済の先行き不安も増しており、対中貿易は前年比マイナスに転じ、世界経済の今後の見通しも極めて悲観的だ。
 また最近発表されたGDP速報値は、2・4半期連続マイナス成長で、日本経済が間違いなく転換期に差し掛かっているのは事実だ。つまり、経済は踊り場状態から下降状態に入ったのだ。
 政府は、来る1月の通常国会で緊急経済対策の補正予算を組むと言うが、もはやアベノミクスは完全に破綻したと言える。それに代わる「新アベノミクス」3本の矢が登場、名目GDPで600兆円の達成目標とのことだが、長期金融超緩和策で円安が進行、ドルに対して2割以上も円での購入価格が下落してしまった。
 にも拘わらず、給与は上がらないので、購買力を高めるために、労組は賃上げの施策に全力を傾注すべきだ。
 また政府は出来る見込みのない600兆円の「GDP」達成プランなどなどは、引き下げて、懸案の国会議員や公務員の定数削減など、人件費をはじめとする経費削減の実現に取り組むべきだ。
 大方の予報では、消費税の増税を控えた平成16年は、世界的に不況になること大であり、日本経済も極めて大変な状況になる。政治的にも不安定さが増して、やるべき課題の多き年になる。
 こうした中でのジュエリービジネスは、更なる厳しさが予想される。
 恐らく、ジュエリーの需要は今年より減少する。というのは、著しい景気減速の結果、企業業績は、大幅に落ちるので、当然株価は下落、株取引による収入減の為、宝石・貴金属の購入率は下落すると予想される。来年の日経平均株価の主要な推移は、1万5千円台から1万3千円台であると予想され、年初から円高が進行し、1ドル=120円から100円台前後で推移するものと思われる。そして、年末には、中国や東南アジアからの観光客数も激減し、爆買もしぼむであろう。
 米国の利上げと中国経済の動向が、来年1年間の世界経済の行方を左右するが、それにもまして、わが国の政治・経済の動向が、庶民生活に大きな影響を与える。経済問題以上に混迷度を深めるのが政治の分野だ。
 安保法案の強行採決で味を占めた安部内閣は、数を頼りに、なんでもできるということで、辺野古やJA問題も含め、し放題の政治が始まっているが、これが政権の命取りなって、志摩サミットを花道に安部内閣は退陣となる。しかし、後継政権の力不足のため、当分政情不安が続くだろう。
 こうした流れは、決して絵空事ではないのだ。こんな事態を招くようになるのは、国民の政治意識の欠如に他ならない。選挙で投票すれば終わりなのではなく、常日頃、政治を監視することが不可欠なのだ。選挙で選ばれさえすれば、議員は何をしてもOKという白紙委任状を国民はした覚えはない。しかし、その後厳しく監視しなければ好き放題されてしまうのが、現在の日本の民主主義の現状なのだ。そして国民がまごまごしているうちに、憲法までもがその位置づけを歪められてきているのが現状だ。
 来年は民主主義とは何んぞやを、国民が再考する年になるだろう。
■宝飾ビジネスの明日の姿 第25回 ■2016年1月15日 金曜日 13時32分44秒

5年後のジュエリー業界(その6)

 安保法案通過後のこの一か月は、政治面は静かであったが、経済面では中国経済の先行きに不安が増しており、世界経済の今後に与える影響大のため、中国政府は今年六度目の利下げを10月25日から実施に踏み切った。
 一方、アベノミクスは実現策である三本の矢がウヤムヤとなり、完全に破綻、それに代わる新アベノミクスが登場、目標はGDP六百兆円の達成だそうだが、その「GDP」は、頑張っても出来っこないプラン?との評価もあり、卓上の空論と言えそうだ。
 いずれにせよ、1980年代、日本経済を支えていた中間層が完全に消滅して、今や年収二百五十万円以下の生活にゆとりのない低所得層が全世帯の半数を占める時代になり、多くの国民は増税と公的負担増にあえいでいる。
 しかも、それに輪をかけるのは、再来年四月の消費税10%への増税だ。もしも、予定道り引き上げられるなら、今の状態だと日本経済は大不況に陥る。
 こうした状況になったのも、成長戦略で何の成果も残せなかったアベノミクス破綻の結果だ。そして、課題は、今の金融超緩和策を、いかに問題なく正常化させるかだが、まだ金融緩和策が不十分だとして世界的な経済減速の中で、日銀に再度の緩和策を求める声も多い。となると、千兆円を超える日本国の借金が、世界恐慌の引き金になる可能性すらあるのだ。
 再三再四言ってきているように、どう見ても、当分景気が大幅に改善される見込みはない。となると、ますます自衛策を更に強固にする必要があるのではないか。
 ところで、昨夜こんな夢を見た。色々と、ブライダル・ジュエリーの販促強化策に力を入れても、その成果がなかなか出てこないのだ。どうしたものだろうと思っていると、はっとして気が付いたのは、デビアスはすでに、ダイヤモンドの広告サポートを、当の昔に止めていたのだと。だから独自の販促サポートを展開しても、その効き目がなかったのだと。
 その時、突如目が覚めたが、夢にも拘わらず極めて、強い納得感があった。というのは、広告のサポートなしに、モノを売るのは無理がある。必要性の少ない非日常性商品、ジュエリーの場合はなおさらだ。購入意欲を高めさせる条件なのだ。デビアスが全てのダイヤモンドジュエリーのマーケティングサポートを止めてから、早15年になる。その間、日本の宝飾業界は、何らの広告のサポートもなしにダイヤモンドジュエリーを販売してきたのだ。その間、経済環境も購入層も大きく変わった。そして、ダイヤモンドジュエリーのような非日常性商品が売れない時代になった。
 前々回に書いたように、日本の宝飾品市場は、ブライダル関連ジュエリー全体の需要は、年間五千億円から一兆円近くは見込める市場である。これまでのように、広告サポートがない状態が続くと、これらの年間需要を確保することは非常に難しいと考える。
 その結果、結婚指輪は、年間一千億円超ぐらいの需要に落ち込み、ダイヤモンド婚約指輪の需要は一千五百億円前後、また真珠などのブライダル関連ジュエリー全体の需要も一千億円から一千二百億円前後の規模に縮小するものと思われ、その需要回復は不可能になる。
 そのため、消費者の気持ちの中に、ブライダル・ジュエリーについての強い潜在需要があるうちに、需要を顕在化する手を打つ必要がある。
 つまり、ブライダル・ジュエリについての憧れを高め、その存在感を身近なものにして、購入意欲を高めるための広告サポートをジュエリー業界全体で具現化すべきだ。そして、そのスタート時期は早ければ早い方がいい。(完)
■宝飾ビジネスの明日の姿 第25回 ■2016年1月15日 金曜日 13時32分42秒

5年後のジュエリー業界(その6)

 安保法案通過後のこの一か月は、政治面は静かであったが、経済面では中国経済の先行きに不安が増しており、世界経済の今後に与える影響大のため、中国政府は今年六度目の利下げを10月25日から実施に踏み切った。
 一方、アベノミクスは実現策である三本の矢がウヤムヤとなり、完全に破綻、それに代わる新アベノミクスが登場、目標はGDP六百兆円の達成だそうだが、その「GDP」は、頑張っても出来っこないプラン?との評価もあり、卓上の空論と言えそうだ。
 いずれにせよ、1980年代、日本経済を支えていた中間層が完全に消滅して、今や年収二百五十万円以下の生活にゆとりのない低所得層が全世帯の半数を占める時代になり、多くの国民は増税と公的負担増にあえいでいる。
 しかも、それに輪をかけるのは、再来年四月の消費税10%への増税だ。もしも、予定道り引き上げられるなら、今の状態だと日本経済は大不況に陥る。
 こうした状況になったのも、成長戦略で何の成果も残せなかったアベノミクス破綻の結果だ。そして、課題は、今の金融超緩和策を、いかに問題なく正常化させるかだが、まだ金融緩和策が不十分だとして世界的な経済減速の中で、日銀に再度の緩和策を求める声も多い。となると、千兆円を超える日本国の借金が、世界恐慌の引き金になる可能性すらあるのだ。
 再三再四言ってきているように、どう見ても、当分景気が大幅に改善される見込みはない。となると、ますます自衛策を更に強固にする必要があるのではないか。
 ところで、昨夜こんな夢を見た。色々と、ブライダル・ジュエリーの販促強化策に力を入れても、その成果がなかなか出てこないのだ。どうしたものだろうと思っていると、はっとして気が付いたのは、デビアスはすでに、ダイヤモンドの広告サポートを、当の昔に止めていたのだと。だから独自の販促サポートを展開しても、その効き目がなかったのだと。
 その時、突如目が覚めたが、夢にも拘わらず極めて、強い納得感があった。というのは、広告のサポートなしに、モノを売るのは無理がある。必要性の少ない非日常性商品、ジュエリーの場合はなおさらだ。購入意欲を高めさせる条件なのだ。デビアスが全てのダイヤモンドジュエリーのマーケティングサポートを止めてから、早15年になる。その間、日本の宝飾業界は、何らの広告のサポートもなしにダイヤモンドジュエリーを販売してきたのだ。その間、経済環境も購入層も大きく変わった。そして、ダイヤモンドジュエリーのような非日常性商品が売れない時代になった。
 前々回に書いたように、日本の宝飾品市場は、ブライダル関連ジュエリー全体の需要は、年間五千億円から一兆円近くは見込める市場である。これまでのように、広告サポートがない状態が続くと、これらの年間需要を確保することは非常に難しいと考える。
 その結果、結婚指輪は、年間一千億円超ぐらいの需要に落ち込み、ダイヤモンド婚約指輪の需要は一千五百億円前後、また真珠などのブライダル関連ジュエリー全体の需要も一千億円から一千二百億円前後の規模に縮小するものと思われ、その需要回復は不可能になる。
 そのため、消費者の気持ちの中に、ブライダル・ジュエリーについての強い潜在需要があるうちに、需要を顕在化する手を打つ必要がある。
 つまり、ブライダル・ジュエリについての憧れを高め、その存在感を身近なものにして、購入意欲を高めるための広告サポートをジュエリー業界全体で具現化すべきだ。そして、そのスタート時期は早ければ早い方がいい。(完)
■宝飾ビジネスの明日の姿 第24回 ■2015年10月29日 木曜日 14時56分28秒

5年後のジュエリー業界(その6)

 安保法案通過後のこの一か月は、政治面は静かであったが、経済面では中国経済の先行きに不安が増しており、世界経済の今後に与える影響大のため、中国政府は今年六度目の利下げを10月25日から実施に踏み切った。
 一方、アベノミクスは実現策である三本の矢がウヤムヤとなり、完全に破綻、それに代わる新アベノミクスが登場、目標はGDP六百兆円の達成だそうだが、その「GDP」は、頑張っても出来っこないプラン?との評価もあり、卓上の空論と言えそうだ。
 いずれにせよ、1980年代、日本経済を支えていた中間層が完全に消滅して、今や年収二百五十万円以下の生活にゆとりのない低所得層が全世帯の半数を占める時代になり、多くの国民は増税と公的負担増にあえいでいる。
 しかも、それに輪をかけるのは、再来年四月の消費税10%への増税だ。もしも、予定道り引き上げられるなら、今の状態だと日本経済は大不況に陥る。
 こうした状況になったのも、成長戦略で何の成果も残せなかったアベノミクス破綻の結果だ。そして、課題は、今の金融超緩和策を、いかに問題なく正常化させるかだが、まだ金融緩和策が不十分だとして世界的な経済減速の中で、日銀に再度の緩和策を求める声も多い。となると、千兆円を超える日本国の借金が、世界恐慌の引き金になる可能性すらあるのだ。
 再三再四言ってきているように、どう見ても、当分景気が大幅に改善される見込みはない。となると、ますます自衛策を更に強固にする必要があるのではないか。
 ところで、昨夜こんな夢を見た。色々と、ブライダル・ジュエリーの販促強化策に力を入れても、その成果がなかなか出てこないのだ。どうしたものだろうと思っていると、はっとして気が付いたのは、デビアスはすでに、ダイヤモンドの広告サポートを、当の昔に止めていたのだと。だから独自の販促サポートを展開しても、その効き目がなかったのだと。
 その時、突如目が覚めたが、夢にも拘わらず極めて、強い納得感があった。というのは、広告のサポートなしに、モノを売るのは無理がある。必要性の少ない非日常性商品、ジュエリーの場合はなおさらだ。購入意欲を高めさせる条件なのだ。デビアスが全てのダイヤモンドジュエリーのマーケティングサポートを止めてから、早15年になる。その間、日本の宝飾業界は、何らの広告のサポートもなしにダイヤモンドジュエリーを販売してきたのだ。その間、経済環境も購入層も大きく変わった。そして、ダイヤモンドジュエリーのような非日常性商品が売れない時代になった。
 前々回に書いたように、日本の宝飾品市場は、ブライダル関連ジュエリー全体の需要は、年間五千億円から一兆円近くは見込める市場である。これまでのように、広告サポートがない状態が続くと、これらの年間需要を確保することは非常に難しいと考える。
 その結果、結婚指輪は、年間一千億円超ぐらいの需要に落ち込み、ダイヤモンド婚約指輪の需要は一千五百億円前後、また真珠などのブライダル関連ジュエリー全体の需要も一千億円から一千二百億円前後の規模に縮小するものと思われ、その需要回復は不可能になる。
 そのため、消費者の気持ちの中に、ブライダルジュエリーについての強い潜在需要があるうちに、需要を顕在化する手を打つ必要がある。
 つまり、ブライダルジュエリについての憧れを高め、その存在感を身近なものにして、購入意欲を高めるための広告サポートをジュエリー業界全体で具現化すべきだ。そして、そのスタート時期は早ければ早い方がいい。(完)
■宝飾ビジネスの明日の姿 第24回 ■2015年10月29日 木曜日 14時55分3秒

5年後のジュエリー業界(その4)

 拙稿を目にした福井の時計商A氏がこんな感想を書いていた。
 「自分は様々な業種を副業にしてやってきたが、時計の商売があれば何とかやっていける。筆者が言うように、宝石だけの商売は非常にきつい時代だ」と。
 そして「確かに苦しいが時計の売り上げがあれば、時宝店はまだまだ続けられる。それも顧客を大切にして頑張れば、何とかなる」と。
 確かに日本の宝石小売店は「時計屋さん」からスタートした。1980年代、宝飾品の販売が繁盛するにつれ、多くの時計店は宝飾品の扱い比率を高めていった。中には時計の扱いを完全に止めて、宝飾専門店に「鞍替えした店」もあった。
 この頃、セイコー、シチズンは世界の時計マーケットを制覇し、新興勢力のカシオが台頭してきた時期だ。しかし、世界のセイコーやシチズンは、日本の時計店の衰退とともに、その地位を下げていった。その後の国内時計市場は、海外ウオッチブランド進出の流れが活発化し、今やジュエリーウオッチを含め、海外ブランドに席巻されてしまっている。
 この流れを見ると、日本の時宝店は、日本の代表的なウオッチブランド、セイコー、シチズン、カシオをもっと大切にしなければいけなかった。単に売れるからと言って、海外ブランドを優先するのでは駄目だ。将来的に時宝店の生殺を握っているのは、国内の時計ブランドだ。
 昨年来、話題になっている中国からの観光客が上野や秋葉原の家電量販店で目を輝かせて爆買しているのは、セイコー、シチズン、カシオなどのコナーである。彼らに言わせれば、セイコー、シチズン、カシオの日本の時計は、「世界最高品質」のものであり、これ以上のものはないので「憧れの時計」なのだ。
 こうした中国からのお客の高い評価に対して、日本の時計屋の国産ウオッチブランドに対する評価は同なのか。
 確かに時計が機械式からクオーツへ、そしてアナログからデジタルへ変わっていったが、その技術革新に対して日本の時計屋は目を見張った。やがて、ファッションブランドやジュエリーブランドの海外ブランドが登場するにつけ、国産時計の最高品質の良さが忘れ去られ、ファッション性やラグジュアリス性が注目されるようになった。
 商品は、モノの機能価値から付加価値重視の時代へ変遷してきたが、今や再びモノの機能価値へ回帰する時代だ。と同時に、それはモノが豊富で便利すぎる時代への反省なのだ。
 “温故知新”は決して時代への逆行ではない。時宝店が再度、昔の面影を取り戻そうとすれば、当然その当時の主力商品の再点検が不可欠だ。
 加速度的に進行する少子高齢化社会において、全国一律に、かっての時計店の面影を取り戻すことは不可能だが、少なくとも主要都市のシャッター通りが時宝店の復活でにぎわいを取り戻すことを望みたい。
 そういえば、5年後の2020年は、再度東京でオリンピックが開かれる年だ。今から半世紀前の1964年、東京オリンピックが開かれたあの時代のエネルギーを取り戻すことは難しいが、次の時代への飛躍を図る姿勢だけは見せて欲しい。

■日本のジュエリー産業明日の姿を考える 第21回 ■2015年9月1日 火曜日 16時19分43秒

5年後のジュエリー業界(その2)

 新ジュエリー時代におけるビジネスモデルに、どんなものがあるかを考えてみたい。
 今まで折に触れて推奨してきた海外進出であるが、その展開には、現地で生産した商品を現地で販売する方式と国内で生産したものを輸出で販売する方式とが考えられる。
 前者は、巨大市場を抱える中国がターゲットになるが、一つだけ問題がある。中国の場合、現地での商品生産のライセンスは容易に取得することができるが、現地生産したものを、現地で販売するライセンスを取得するのは非常に難しい。
 つまり、発展途上国の場合、自国産業の育成保護のため、海外企業の国内活動について一定の制限を、非関税障壁の形で設けているケースが多く、わが国でも資本の自由化を行うまでは、とっていた保護政策なのである。
 こうした活動の制限があることを前提に、海外進出戦略を練る必要がある。
 また、多くの日本の海外進出企業に見られるように、現地の生産コストが安いため、現地生産したものを輸入して国内で販売する方法だが、宝飾品は今後とも、国内需要は低迷が予想されるので、これからのビジネスを活性化していく柱としては弱い。
 それよりも、日本の伝統文化を具現した国産高級ジュエリーの海外輸出の促進に力を入れるべきだ。過去において、国産ジュエリーの海外輸出の経験はほとんどないが、日本文化や和の文化に対する関心が海外で高まりつつある中で、日本のジュエリーを世界に問うことは今後のビジネスとして、やり方によっては、大いに有望である。
 市場としては、まずはヨーロッパであり、一世紀以上前の浮世絵ブーム同様、ジュエリーを通じて日本文化の新発見をしてもらうチャンスでもある。
 日本のジュエリーが具現化しようとする日本文化は、平安王朝文化や詫び、さびのモチーフもあるが、それらのものを表現したものは、非常に少なく、日本文化とのアイデンティティのないものが多い。つまり、今あるジュエリーの多くは、ジュエリー後進国である日本が歩いたあゆみそのものの表現である。
 それゆえ輸出に対応できるジュエリーを作るという課題はこれからである。
 然しながら、今まで内向きであったジュエリー産業が方向を変える転機にはなろう。
 大局的見地からのジュエリービジネスの方向付けは、以上だが、時宝店のビジネスの在り方については前月号で書いたように非常に深刻だ。
 急激な老齢化、過疎化で、地方中堅都市でさえ、シャッター通りが増えており、今や商店の没落は一業種の問題ではない。
 現実的に見れば、全国八大都市プラス・アルファという一部の人口集中地域でなければ、今までのような商売が出来ない時代になってきたようだ。
 即述のように、現在の業態では先細りは必至で、時代に即した副業を見つけ、それを拡大する中で新業態として開拓していくことが必要だが、今まで提供してきたサービスは、『ジュエリーを着飾る美しき装いの提案』であった。
 であるなら、ジュエリー、メイク、ファションの3つトータルの着こなしを提供する総合ビジネスの開発を試みたらどうだろう。
 女性はいつまでも美しくありたいと思うし、高齢の女性に化粧を施すと見違えるほど元気になる。また宝石貴金属は年に関係なく、女性にとってあこがれのモノだ。女性にとって変身できることは、魔法なのだ。トータルコディネイトで美しくなれることを「新しい宝飾ビジネスの核」において、ファッションアイテムである時計やメガネも含めて、ジュエリー、メイク、ファッションで多彩な着こなしを提案していったらどうだろうか。
■明日の姿を考える 21回 ■2015年7月16日 木曜日 12時59分59秒

5年後のジュエリー業界(その1)

 今年も前半が終わった。多少なりとも景気の回復感が見えてきたものの、個人消費は依然として低迷状態だ。
 これは、税金や公的負担、物価値上げが先行して、それに見合った給料アップが後追い状態にあるからだ。
 特に、最近の1ドル125円の円安は、超金融緩和策を推進してきた日銀さえもが戸惑いを見せる、景気の足を引っ張りかねないものなのだ。
 FRBは、恐らくこの9月に利上げに踏み切るだろうが、日本は来年10月に消費税10%への増税を控えているので、現行の金融緩和策の転換をいつやるかが非常に厳しい。おそらく、来年秋には、更なる景気悪化に見舞われ、打つ手がなく、歳入不足を補うには国債発行しかないであろう。
 問題にすべきは、消費税増税に対する2年前の国民的合意を確認することだ。
 国民が消費税増税を受け入れた理由は、次の二つからである。
 その一つは、年々増える高齢者の社会保障費を充実させるためだった。
 もう一つは、財政再建を一刻も早く行い、國と地方合わせて1千兆円に上る借金を孫の代に残さないためというのが、大義名分であった。
 増税した消費税が目的通り、的確に使われているかをチェックする必要がある。
 さてこの半年間、ジュエリー業界は、さしたる話題もなかったが、今が新たなビジネス・モデルを構築する最後のチャンスである。
 というのは、従来のジュエリー産業の路線の延長線上に、業界の明日の姿が見えないのだ。
 今後とも、ジュエリーの市場規模は縮小するが、産業としてなくなることはなく、存続はするであろう。
 しかしながら、今の状態では市場規模の現状維持も難しい。なぜなら、ジュエリーの需要開拓をするため積極的に広告や販促をしようとする姿勢すら見えないからだ。
 また、これからジュエリー産業は国際化が加速し、海外企業、特にインドや中国企業の日本市場進出も盛んになる。そのような海外企業に対抗できる力を持った日本企業がどれくらいあるだろうか。
 従来、高額宝飾品の販売機会であった展示会も、その姿を大きく変える。
 展示会の客は、宝石やジュエリーを購入できる一部の富裕層に絞られ、商品も限定品に絞られ、開催回数も減少するであろう。
 商品の高品質志向は依然と変わらず、日本のジュエリー市場の『世界一の高品質志向』を再確認させることになろう。
 一方、日本の新しいジュエリー市場になる可能性のある『コスチューム・ジュエリー』だが、商品のライフサイクルが短いのと、商売には多品種展開が欠かせないので、海外からの輸入商品を主にした対応の方が経営効率が良い。
 販売価格の安いジュエリーの供給についても受注数量の減少に伴い、徐々に国内生産から輸入対応に変わっていくであろう。しかし、日本の伝統文化を具現した高額ジュエリーについては、今後とも『日本の巧みの技術』が生かされよう。
 以前からの持論だが、日本国内のジュエリー年間需要は、ブライダル・ジュエリーと真珠の3点セット合わせて、最低でも5千億円から1兆円はあると推定する。
 当然、需要額は景気や社会的ブームに左右される。これらの生活必需ジュエリーの多くは、宝飾店での購入が大部分だが、急激に人口が減少し、過疎化が進む地方の宝石・時計・眼鏡の3品兼業店や時宝店の多くは、残念ながら5年から7・8年の間に姿を消すであろう。
 そして日本の宝飾小売店の姿は、チェーン展開している店も含め、全国で約5百社の有名宝飾専門店の本・支店、東京や大阪に旗艦店を展開する海外ビッグネーム店舗、それにデパートの内外ジュエリー専門売り場などに集約された時代になる。
 次回は、新しいジュエリー時代における『ビジネス・モデル』について考えてみる(続く)
■日本のジュエリー産業を考える 第20回 ■2015年6月2日 火曜日 11時28分23秒

買物難民の時代に 
 
 大手企業の2014年度3月期決算が出たが、小売・サービス業を除き、各業種ともに概ね前年度を上回る好決算だ。
 その理由は、年間を通じて為替が大幅円安で推移したため、外需による利益が企業業績に大きく貢献した。その代表格はトヨタで今期利益が3兆円というとてつもない額になった。  
 また株高による恩恵もあるようだが、その影響は極めて限定的だ。
 それよりも、円安による原材料の値上りで、国内需要が伸び悩んだ企業は、業績停滞の結果だ。なかでも、小売業や飲食業が良くない。いずれにしても、国内の景気回復はいまひとつで、依然として、給与は増えず、税金や公的負担増が先行し、大多数の庶民にとっては、先行きに明るさの見えない状況が続いている。
 企業が利益を増やす方法は、次の3つしかない。
 一つ目は、販売個数を増やすことであり、二つ目は、売上げが伸びなければ、商品単価を上げることであり、三番目は、生産コストや販売経費を減らすことである。
 経済の現状を見るに、これらの選択肢の中で、企業が主体的にとる戦略で、利益を確保できている企業がどれほどあるかといえば、その数は心もとない。つまり、得られる企業利益の大部分は、超金融緩和がもたらした円安の恩恵以外のなにものでもないのだ。一方、安倍総理が「俺のアベノミクスを台無しにするのか」と激怒したという日本の花形企業、シャープが落日の憂き目に会うという状況もある。
 今期欠損は2200億円のため、資本金1200億円を5億円に減資し、3500名もの従業員馘首と本社社屋の売却を企業再建のため、せねばならないという大変な状況だ。
 これと同じような状況が、次々と明るみに出てくる可能性もある。それほどまで、日本経済は不安定なのだ。
 ところで、前回の稿で、少子高齢化社会到来のなかで、宝飾店の新たな生き方の方向を提案したが、時代はまさに「買い物難民の時代」に入っている。しかも、それは、過疎が進行する地方だけでなく東京のような大都市においてもだ。
 農水省の調べだと、すでに、自宅から半径500メートル以内に買い物をする店がないという市町村が、全市町村約1800のうち、半数を占めるとのことで、自分で買い物をすることの出来ない人が、2025年には一千万人になるとの推計もある。
 20年前のJJTセミナーで、これからのビジネスで注目されるものは『御用聞き』が復活するといったが、まさにそうなのだ。
 ドライバーにとっては、買い物にはクルマ利用がつきものだが、高齢化とともにクルマ利用がママならないお年寄りが増えている。特に地方の場合、自宅から商業地までは、かなりの距離があり、高齢者にとっては、徒歩で買い物に行くのは難儀だ。日常の買い物になると、当然、誰かの助けが必要になる。だから、前回書いたように、年寄りになると、買い物に便利なJR駅周辺に住む人が増える。多くのスーパーや大型店では、ある金額以上の買い物については、買ったものを自宅に届けてくれるサービスがあるが、これとて、買い物は自分でしなければならない。日々の買い物の代行サービスや御用聞きがあれば便利だ。
 また、必要最低限の買い物をT箇所の店で出来ることが、年寄りにとっては、ありがたいのだ。昔のように、欲しいものが何でも揃った「よろずやさん」のような店の存在が便利なのだ。
 アマゾンや楽天のようにネット販売サービス網が完備された時代だが、それらネット販売の利用者の多くは4・50歳代までの若い世代で、ここでいう高齢者の利用は少なく、また、日々の買い物には向いていない。
 宝飾店は、今も昔も、地元の名士であり、地元に対する長年のお付き合いから、その信頼度は高く、高齢者から見れば、日々の買い物代行を安心して頼める存在なのだ。
 でも、いまさら、そんなことまでしてという店は、それでいい。宝石や貴金属の御用聞きなどないだろうが、三〇年以上も前から、毎日2台のクルマを2方向に走らせて、自社で販売したメガネの具合の点検を行っている店がある。
 客に喜ばれるサービスは何かを、さらに考えるべきだと思う。
■日本のジュエリー産業を考える 第19回 ■2015年6月2日 火曜日 11時26分37秒

今からでも遅くない宝飾店、再興の道を考える

 一か月前の4月1日夕方の新聞各紙や各局テレビ番組は、想定外の東証株価の値下がりで落胆コメントのオンパレードであった。その最大要因は、当日発表した日銀短観であった。
 多くの金融機関調査筋は、短観の大幅改善を予測していたのだが、結果は、昨年末と同じで、景気は据え置き状態であり、先行きの見通しも期待はずれの結果だったからだ。
 つまり、日本の景気回復は、喧伝されているほど良くはなく、依然として厳しい現実が明らかになったのだ。当然翌日の株価にも影響し、新年度のスタートダッシュを期待していた兜町もガッカリだった。
 ところで、30年ほど前のことだが、本紙でもまた、IJTのセミナーでも、宝飾店の高齢化社会での対応として、店を「井戸端会議のたまり場」にすることを、宝飾店が次の時代に生き残る道だとして提案したことがある。
 というのは、バブルが崩壊したころ、故郷にいる老齢の両親を都会で働く息子や娘たちは、心配なので同居しようとして呼び寄せる動きが活発化したことがあった。中でも顕著だったのは、北海道の札幌だった。
 冬、凍てつく故郷に親を残してはおけないと呼び寄せたため、札幌市の人口が異常に急増した時期があった。
 またその時期に、過疎化した地方都市のJR駅周辺が生活するには便利だということで、年寄りたちが家を引っ越すことが盛んになったことがある。
 このような動きを、宝飾店に先取りしてもらいたかった。
 最近、コンビニエンスストアーに介護施設を併設する試みが『異業種とのコラボ』として話題になっている。多くの宝飾店の本店の立地を見ると、いずれも最高の立地である。
 以前にも指摘したように高齢化に伴い、身体に不自由さを感じる年寄りは、生活するのに便利なところに住むようになり、一人暮らしの高齢者が増えるにつれ、年寄り同士で助け合うことが必要になってくる。
 今のコンビニエンスストアーの前身は、その昔、商売が難しくなった三河屋さんが多いが、それらの店が時代の変化を察知して、店替えをしたということなのだ。
 おそらく、日本に初めてコンビニエンスストアーが登場した40年前は、今のように全国で4万5千店もの店が展開し、人々の日常生活に密着した店になるとは想像することは出来なかった。
 時計店から宝石を扱うようになって一時代を築いた「宝飾店」が、その役目を終えて、新しい時代へ転身するのは今しかない。
 社会が店に求めている役割は多様にあり、その中で宝飾店が新たな高齢化ビジネスとして取り組むことが出来るものは沢山ある。
 そのキーワードになるのは、客である消費者が楽しく生活してもらうことへの提案であり、喜んでもらうには、どうしたらいいかを真剣になって考え、提案することである。
 今までやってきたビジネスの中で「客をもてなす」ことは、十分身についているはずだ。これを客の身になってより本物になるよう磨き上げることが必要だ。
 新たに展開するのは、多くの年寄りが笑顔で集うシャレたティーサロン、つまり現代の井戸端会議の場であっても良いし、孤独な年寄り宅へ笑顔と共に暖かなランチを宅配サービスする食堂であっても良い。
 人との絆という言葉は、ジュエリーのセールストークだけではない。何事においても、人との絆を本当に大切にすることが必要な時代に来たようだ。【続く】
■日本のジュエリー産業明日の姿を考える 第18回 ■2015年4月6日 月曜日 13時4分58秒

すっきりしてスタートしたい春、4月

今年は、敗戦後七十年、阪神淡路大震災から二十年、そして、東日本大震災後4年の年を迎えた。
これらは、一見何の関係もないように見えるが、それぞれで被害にあった人々にとっては、今もぬぐうことの出来ない深い悲しみが心にあるのだ。
とは言っても、いつまでも過去を追想しているばかりでは、人間進歩がない。今年こそはと、過去に決別し、新たな人生を切り開こうとしている人も多い。そんな意味では、区切りのよい4月がきたが、今後どうなるのか、見通しははっきりしない。
以前にも触れたことがあるが、最近発表されるいくつかの経済指標が、なんとなく変だ。特に、疑問を持つのは、週末の日経平均株価だ。日々の株価に、右往左往されるようでは、困ると書いたことがあるが、それはそうなのだが、いかにも景気がよさそうに見せるのも問題だ。
というのは、3月上旬のある日、NYダウが、今年最大の下げ幅を見せた翌日の東証株価は、取引終了間際に、奇妙な動きを見せた。その翌週月曜日の日経平均終値は、前日比かなりの高値で引けたが、流れでは、NYダウに引きずられて日経平均も大幅安になるはずであった。春闘の高額回答に水を差すのを嫌って、世界最強のファンドといわれる「年金積立金」を投入して、日経平均の値下がりを意図的に防いだものと推測する。もしそうだとしたら、それこそ大変なことだ。
現在の日本経済は、アメリカの景気回復力に依存しており、自力で景気を回復する力は殆んどないのだ。
今年の春闘は、昨年よりも高額回答となった大手企業のベースアップを支援する工作だったのかもしれないが、円安と米国の景気回復に頼らざるを得ないのが今の日本経済で、各企業力は、株価の勢いほどの力はないのだ。
つまり、人為的に創られた景気の良さは、早晩、化けの皮なので、はがれるものだ。このような危ない橋を渡っているような経済政策はごめんだ。
ところで、最近、ある雑誌で昨年の宝飾品年間小売額の推定を行った。
それによると、年間の小売額は、甘く見積もっても7800億円で、小売単価20万円以上の宝飾品の小売額は、総売り上げの約3割で2380億円、20万円未満の宝飾品、つまり売れ筋である価格帯1万円から10万円の宝飾品は、総売り上げの半数を占め、3900億円、婚約指輪や結婚指輪などのブライダル関連宝飾品が全売り上げの20%、1560億円と推定した。
また、5年先の2020年の年間予想小売額を推定したところ、伸びは微増で、年間小売額は8000億円という結果であった。
つまり、人口減と不要不急のものは買わないという倹約志向の定着で、たとえ海外市場で大いに頑張ったとしても、国内需要のシュリンクで、市場の売り上げ拡大は無理なようだ。
そして宝飾品の購入者は、ますます特定され、上代50万円以上のいわゆる、高額品の売り上げが、全体の売り上げの4割近くを占め、今まで主力だった10万円以下の低価格帯の宝飾品の売り上げは全売り上げの30%弱に減少するであろう。
しかしながら、婚約指輪、結婚指輪のブライダル関連商品は、全売り上げの2割強を確保、年間1800億円になる。また、徐々に浸透しているコスチュームジュエリーの市場は、宝飾品全売り上げの1割、800億円の市場に拡大すると思われる。いずれにせよ、厳しい状況が続くことに変わりはない。【続】
■■日本のジュエリー産業明日の姿を考える 第17回 ■2015年3月3日 火曜日 15時45分9秒

ベストを選択するより、セコンド・ベストを選択する時代

 今年は、敗戦後満70年の年に当たるが、なんでもベストや一番を目指す時代から、セコンド・ベストでも良いという風潮の時代になったようだ。
 出来る出来ないは別にして、ベストな結果、つまり一番を目指して、最大限の努力を堅持する姿勢から、最初から一番になるのは無理だとあきらめて、コストパー重視で、実現可能な方向をとる時代になっている。
 民主党政権下で行われた事業仕分けの際、「日本はコンピューターの演算速度で世界一を目指しているので開発コストはかかる』との関係委員の説明に対して「なぜ2番じゃいけないんですか」と蓮舫議員が質問して話題になったが、最近は一番を目指さずして、まあまあの成績であれば、2番でも満足という風潮のようだ。
 明治維新以来、日本は欧米列強諸国に、追いつけ追い越せの努力をあらゆる分野でしてきて、それなりの成果を上げたのだが、第二次世界大戦で、敗戦国になり4等国に成り下がってしまった。しかし、灰燼と化した焼野原から驚異の発展を遂げ、今日の繁栄の礎を築いたのだ。
 日本人固有の負けず嫌いの賜物だろうが、何事も一番になるのは非常に難しい。しかし、最近は世代の違いなのか、ハナカラ一番になるのをあきらめて、2番にでもなればということを容認する時代になった。
 しかし、オリンピックにせよ、サッカーにせよ、「楽しんできます」では、メダル獲得など、お呼びでない。メダルを獲得した選手を見ると、そんなことなど口に出していない。勝利に対して貪欲でハングリー精神とガッツがないと駄目なのだ。そして一番を狙わない限り、まぐれでメダルを手にすることなど出来ないのだ。
 セコンド・べスト、つまり次善の策を選択するというのは、選ぶ事の出来るいくつかの選択肢が用意されていることが必要だ。
 ベストではないが、相対的に見て、まあまあ
良いのは、どれかという巾のある選択が出来るのが、セコンド・ベストの選択だ。
 それは、唯一無二、これしかないという「ベストな選択」とは異なって、甘えのある選択になる。この辺の見方が、戦前派と戦後派とで大きく違う。しかも「コスト・パー」が重んじられ、損得に目がない。
 それゆえ、何一つ不自由のない時代に育った世代に、厳しさに直面している日本経済の再興を任せることが出来るかについては大いに疑問だ。
 しかしながら、そうはいっても、われわれに出来ることには限りがあるし、彼らに任せなければならないのが現実だ。
 最大の課題は、ギリシャ政府の財政破綻が迫っている中で、早晩、アベノミクスも破綻する可能性があり、その後をどうするかが課題だ。
 日本は今、不況を自分からの手で作っているともいえる。というのは、1600兆円の個人の金融資産も、円安効果で溜め込むことが出来た300兆円を超す企業の内部留保も、一向に使う気配のない世界に類を見ない異常な国なのだ。これは、国民が政府の言うことを全く信じていないからなのだ。
 つまり、セコンド・ベストを選択したものの、その選択を信じていないのだ。
 もっと良い選択があるに違いないと思いながらも、傍観しているだけで、その実現のため行動しようとしないのだ。
 この愚かさを改めない限り、ベストな選択は出来ない。【終】
■日本のジュエリー産業明日の姿を考える 第16回 ■2015年2月6日 金曜日 16時27分59秒

「セコンド・ベストを選択する時代」の危うさ

 昨年十二月の選挙で国民がセコンド・ベストを選択したことから、大勝した安倍政権にとって今年は、まさに正念場の年なので、日本経済再建に本気度を見せようとしているが、世界経済から新年早々、難問を突き付けられている。
 新春早々開かれた日本を代表する企業の新年会では、ほとんどすべてのトップが、「今年は、経済回復が期待できる」と明るい抱負を語っていたが、果たしてそうなのか?
 円安と法人税の減税効果で、大手企業は景気回復が期待でき、給与アップの話も出ているが、中小零細企業にとっては、それどころではない。何せ、日本の全従業員の八割は、中小零細企業に勤務しているので、給与アップと言っても、その恩恵に授かれるものは限られている。しかも、給与アップできる条件は、米国経済が順調に回復したならばの話だ。
 2013年よりも2014年の売り上げはかなり上がったとの話があるが、物価は上がっているものの、サラリーマンの給与はぜんぜん上がらず後回し。ボーナスが多少良く成ったという大手企業はあっても、大多数の企業は渋く、依然として庶民の暮らしは厳しいのが現状だ。
 確かに昨年暮れ、消費支出が増えたように見えたが、それは従来貯蓄に回っていたボーナスが消費に向けられたり、また貯蓄の取り崩しによる消費が増えただけの話だ。
 四月から実施される予定だった消費増税のため、高額商品の「駆け込み需要」を期待した企業もあったが、消費増税延期で、それもあてに出来なくなった。2015年の日本経済は、昨年以上に低迷の一途をたどっている。
 最近、アベノミクスに対するマスコミの“ヨイショ”が極端に目につくようになっており、報道は景気の良い話を中心に取り上げるので、景気が回復してきたかのように世の中は雰囲気に踊らされ、庶民の財布の紐が多少緩んでいるというのが実態だが、誰も本気でそんな嘘に惑わされない。
 以前に指摘したように、アベノミクスは「祭りの証や太鼓と同じように囃し立てて景気づけをして、雰囲気で景気を盛り立てよう」という戦略だ。つまり、アベノミクスを構成する政策は、大胆な金融緩和、その中で円安を誘導し、輸出を拡大することを意図したが、それは輸入原材料の値段に跳ね返り、生活関連商品の大幅値上げとなって庶民の家計を苦しめている。
 第二は、景気を下支えするための公共投資策だが各産業の国際投資比率が高まる中で、公共事業の国内需要を活性化する力は衰えてしまっている。
 そして三番目は、税制面から支援する大手企業への税の優遇処置だが、企業はすでに三百兆円の内部留保を溜め込んでいる。にもかかわらず、企業の新規設備投資意欲や従業員給与の大幅改善などは全く見られず、安倍政権の経済政策は、今年破綻する可能性すらある。
 特に心配なのは、最近の風潮が次善の策で十分という流れに変わっていることだ。つまり、その実現は困難なので、最初からベストを目指さず、実現可能なセカンド・ベストで良いという安易な選択が当たり前の時代になってしまったことだ。不可能だと言われることに対するチャレンジする気概に欠けた国民性が蔓延する時代に入ったような気がする。
 具体例を揚げれば、先の総選挙の政権選択、然りだ。このような安易な選択が、どんな愚かさをもたらすかを、次回詳しく見てみよう。【終わり】
■■日本のジュエリー産業 明日の姿勢を考える 第15回 ■2015年1月7日 水曜日 14時39分25秒

どんな年になる羊年のことし

 「老人は、回想に生き、若者は、未来に生きる」という言葉があるが、終戦後70年を迎えた今年、老いも若きも、より厳しい現実を生きねばならない年になりそうだ。
 年末の総選挙は、自公の大勝に終わったが、投票率は史上最低の52%。
 今回の選挙で国民は、白紙委任状を託したわけではないが、良し悪しに拘わらず、日本が直面している政治的、経済的、社会的問題で未解決のモノを解決しようとする動きが活発になる。それらの中で、改善よりも、悪化させる方向へ動くものが多いと思う。
 そのためさまざまな混乱が起こる可能性がある。
 例えば、社会福祉や介護関係、教育・育児関係、雇用関係などは改善になるものが多い。
 年末に大幅安になった円安の悪影響は、当分続き給与は上がらず、物価高で庶民の生活は更に苦しくなる。
 そして庶民の中に鬱積していたものが、一斉に爆発する可能性も高い。それは政治家に対する不満や経済面での不平等、格差拡大の不満などがメインだ。
 それと同時に、政治離れが加速する。というのは、庶民に対して政治は何もしてくれないというあきらめの雰囲気が急速に拡大して、政治に頼ってはいられないという機運が広がる。そして日本人としての一体感が崩れるという現象が起こる。
 政策ンフレ実現のために実施した超金融緩和をいつ、どのように収束していくかが大問題になる。また国際的信頼度が低下した発行残高一千兆円もの日本国債を、どう処理していくかも世界が注目している。
 金利上昇で国の金利負担も年々多額になり、国家財政の硬直化が進む。
 つまり、財政再建と経済再建とは相いれないとして、与野党政治家は捉えているが、私はそうとは思わない。
 財政再建について、明確な再建策が提示されなければ、今年半ばにしてアベノミクスは破たんする。
 また今年も、地球温暖化による異常気象で強雪、大雨、低温、台風、竜巻等の気象災害は、マイナス要因として経済に大きな影響を与える。
 だがしかし、この辺で力強い新生日本を再構築することが出来なければ、世界における日本の政治的、経済的な指導的立場は完全に失われるであろう。こうした課題や難問を抱える今年だが、悪い事ばかりではないだろう。
 21世紀という新しい価値観が広まり、暫く定着する中で、新時代の成果が見え始めている。前世期に決別し、新しい時代のスタートがはっきり見えてきたのだ。
 年寄りには、現代が混迷の時代として映るが、若者には多彩なエネルギーに満ちた時代なのかもしれない。
 少子高齢化社会の進行を現実のものとして受け入れる中で、数量拡大よりも質の充実や工場をベースにした経済せ長を実現していくことが必要だ。
 お手軽なアベノミクスに拘っているのでは、日本の経済再建もグローバルなステージへ再登場して活躍することも絶望的だ。
 ここを払拭して、新しい時代の価値観に基づく経済政策を国民総力を挙げて、構築することが必須になる年だ。【続】
■日本のジュエリー産業 明日の姿勢を考える ■2014年12月17日 水曜日 14時22分53秒

行き詰まったアベノミクス、
今度の選挙は、その責任を問う選挙なのか

 この1年は、インフレ目標達成のため、日銀が仕掛けた円安とその結果による輸出関連企業の株高だけが目立ち、経済の堅実な改善は後回しにされ、庶民の家計困窮度は一段と増したが、それなりの工夫をしながら生活レベルの維持を何とか図ってき年であった。
 4月の消費税増税のため個人消費は低迷したままで、その改善は全く見られず、先月の18日発表された7〜9月のGDPの年度速報値は、大方の予想を大きく下回るマイナス1・6%という厳しい数値で、外遊帰りの安倍総理に突き付けた。
 これはとりもなおさずアベノミクス経済政策の破たんだ。第一の矢から第三の矢まで放たれば、日本経済は回復軌道に乗って、良く成ると言われてきたが、良くはならず、悪化の一途だ。
 以前から指摘してきたように、安倍政権の経済政策は失敗したのだ。
 公明党党首も含め、与党幹部は、アベノミクスは2倍強の株高を実現し、100万人もの雇用を創出し、賃金上昇を図ったと、依然としてその政策を擁護しているものが多いが、現在の日本経済は、依然として病状への対処の仕方が分からない状態なのである。
 何よりもやらなくてはならぬことは、財政再建と無座な経費の削減、つまり小さな政府への転換政策である。
 背不交換が、アベノミクスの成果を喧伝するのなら、予定通り来年10月に消費税増税を実施すればいい。
 それは出来ないと言って、衆議院を解散するのは、何のための解散なのか、まったく理解できないし、700億円という多額な血税の無駄遣いだ。
 安倍総理は、去る16日「民主党政権下、日本経済はマイナス成長だった」と語ったが、安倍政権下のこの1年の3四半期がマイナス成長なので、アベノミクスが成功しているとは絶対に言えない。今までの政策がうまくいかないので、それに代わる新政策を今度の選挙で問うというのなら分るが、政府・与党にその気はさらさらない。
 また国民の存在を無視した無益な政治が続くのではやりきれない。
 ところで11月11日の朝、何気なく妻が「今日は介護の日だって」と言ったので、「今日はジュエリーディで、また電池の日」と答えて新聞をめくった。
 しかし、朝日新聞1面の天声人語の脇に掲載された「十一月十一日、今日は電池の日。電池は大切に使いましょう」という広告が目に入ったものの、紙面を隅々まで見たが「ジュリーディ」の文字については何一つ見ることが出来なかった。 80年代後半から、あれほどまでの熱意をもって、ジュエリーを広く一般大衆に広めようとした業界の先人たちの努力が、今や完全に忘れ去られてしまったことに対して、寂しく思ったのは、私だけなのか。
 広告宣伝で、一つのことを浸透させるには、馬鹿の一つ覚えと言われようが、愚直にも、一つのことを飽きずに言い続けないと浸透させることは出ないということを知るべきだ。
 「ジュエリーディ」だって同じことだ。どうしてあれだけみんなが取り組んで、盛り上がったものを止めてしまったのだろう?そんな疑問を感じた日であった。【続く】

■明日の姿を考える 第51回 ■2014年12月17日 水曜日 14時19分53秒

宝石や貴金属は、庶民に無縁なもの

 無益な戦略と気が付いたのか「価格競争」が暫く下火になってきた。資力が続く限り、値下げ攻勢で競合をやっつけようとしたが、結局は、益することなく、相手も容易に参らないのでやめたところが多い。
 我が国の利口な消費者は、価格競争をしても、やすやすと、その手には乗らない。所詮、デフレスパイラルを助長しただけだ。また最近の急激な円安で商品コストが上がり、自分の身が持たないので止めざるを得ない事態になった企業もある。
 理は元にありと、納入業者いじめのような取引が横行しているが、自分で努力もせずに、利をむさぼろうとしてもダメだ。
 飲食料品をはじめ、衣料品、トイレタリーなど、あらゆる生活関連用品の価格競争が、ここ10数年続いたが、需要は拡大するどころか、縮小する以外の何物でもなかった。
 価格競争になじまない宝石・貴金属は例外だったが、それでも売り上げ全体の中で、通常の店売り比率は大幅に減ってきており、催事売り上げが全売り上げの8割以上も占める店がほとんどで、当然のことながら顧客は、富裕層に特化している。
 他業種が流通や取引形態、販売方法や広告宣伝、顧客管理の仕方が大きく変わって、ビジネス事態が大変革を遂げているが、宝飾業界は30年以上も前の商習慣や販売方法が、今もってフルに機能している業界だ。
 それが業界発展にプラスになっていればいいのだが、バブル経済崩壊後、市場規模は縮小の一途で、今や、一つの産業規模としては最低限の大きさにも満たない規模になりつつある。
 永遠に変わらぬ価値があることが、宝石や宝飾品の絶対条件だが、これ以外の条件は変わっても宝飾ビジネスは成り立つし、ビジネスは国際性を兼ね備えたものなので、ビジネス展開領域を国内に限る必要はない。
 今日の宝飾品の国別市場規模ベスト3を見ると、1位は米国、2位が中国、そして3位が日本だ。しかし、日本の市場規模は今や年間小売額が1兆円を大きく割っていて、中国の5分の1にも満たない。
 日本は高品質の宝石・ジュエリー消費国と言われてきたが、その名声も今や危うい。
 結論を言えば、日本の宝飾ビジネスの再生には、国内、国外を問わず、もっと宝飾品を売ることのできるノウハウを高めることが必要だ。つまり、宝飾品を売ることに、もっと専念して行かない事には、この国の宝飾ビジネスの存在意義は早晩消滅してしまう。そういう危機意識を持って当たることが必要だ。
 第二には、容易に買うことが出来ないから宝石であり、ジュエリーなのだという商品属性を改めて確認する必要がある。誰もが簡単に買えないから、憧れが生まれ、希少性があるから価値があるとの確認が必要だ。
 宝石屋は金持ち相手の商売で、庶民相手の商売ではない。そして、多くの宝飾品は、非日常性のものだ。再度、これからの宝飾ビジネスを発展させていくためには、この視点が不可欠だ。
 1960年代後半からデビアスは、世界的なダイヤモンド・ジュエリーキャンペーンを展開したが、それは在庫として、増え続けるメレーダイヤの新しい需要を増やすためのものではなかった。
 バブル経済時代に抱いたジュエリー大衆化時代は、幻想にしか過ぎなかったのだ。
 もともと、宝石や貴金属というシロモノは、特権階級のものであり、庶民には無縁のもの、その原点に再回帰した時代との認識が必要だ。【続】
■第12回 日本のジュエリー産業明日の姿を考える ■2014年10月10日 金曜日 12時44分39秒

今年後半の経済、どうなるか・その2

 前回、9月1日号で書いた以上に、今後の経済情勢は厳しくなりそうなので、再度取り上げてみた。
 去る9月20日からオーストラリアでG20財務相中央銀行総裁会議が開かれここにきて大きく落ち込む可能性のある世界経済の立て直し策を議論したが、財政出動に関する各国の足並みがそろわず、有効策が見出せずに終わった。世界経済が停滞する中、唯一、景気回復に向かっているのは米国だけで、ユーロ圏の4〜6月のGDPの伸びはゼロ成長になり、また日本も同時期、マイナス7・1%という最悪の状態だ。
 IMFが直近9月時点で今年の各国のGDPの成長率の見通しについて修正した結果は、米国2・1%、日本0・9%、ユーロ圏0・8%、中国7・4%であった。
 日本は、最近のドルの独歩高に伴う円安がは、燃料費や輸入原材料費の価格を大幅に押し上げ家計を圧迫、個人消費の低迷に拍車をかけている。
 前回も触れたが、米国は景気回復のため続けてきた超金融緩和政策を、まもなく終了するが、景気は回復しているとはいえ、依然として弱く、失業率も高水準だ。そのため、超金融緩和政策を転換しても、当分はゼロ金利政策を継続するものと思われ、ドル買ぃ円売り傾向は変わらないので、円安水準が、今後一時的にせよ、1ドル=112円〜115円前後になるこもありえる。
 然しながら、あれほど期待した円安傾向が、いまや景気をよくするどころか、阻害する要因になっているのだ。つまり、今世紀に入って、新興国との価格競争に対抗するため、多くの輸出関連企業は生産拠点の海外移転を図っており、海外工場で製造した部品を輸入して、それで組み立てた製品を輸出している企業も多い。 それらの企業にとっては、あまり円安が進むと差損が出て具合が悪い。恐らく、多くの企業が今年想定しているドル円相場は、1ドル=105〜107円前後なので、これ以上の円安になると為替差損で輸出も儲からなくなる。
 また来年10月に実施が予定されている10%への消費増税だが、政府・日銀の本心としては、景気の腰を折るため延期したいところだが、そうすることは、あまりにも危険性があるので、デフレ再来覚悟で実施する。また、苦肉の策として、事務的手続きが煩雑になるが、年に1%ずつ、増税する方法もありえる。
 いずれにせよ、今年4月の消費増税で、冷え切った個人消費の年内回復は無理で、その影響は、ボデイ・ブロウのように年明け以降も続くであろう。
 円安のため、最近、輸出関連株が、業績改善の期待感から値上がりしているが、期待感からだけであって、企業業績に裏打ちされたものではない。米国経済の動き一つで、円安から円高になったとき、日本株の大幅安があることを覚悟しておくことが必要だ。
 こう見てくると、いまの経済環境は、宝飾ビジネスにとって、非常に厳しいものだし、もしかすると、今までのなかで、最悪の状況なのかも知れない。
 というのは、最近、業態を問わず、宝飾業界から離脱していく人が多い。
 後継者がいない、高齢なので引退したい、精算できるときに、店閉いをしたい、等々、理由は様々だが、要は、宝飾ビジネスは、今、儲からないので、もう止めたいというのだ。確かに、全てご破算にして、新たに再スタートさせる時期なのかもしれない。次回、その方向を検討してみよう。
【続】
■第11回 今年後半の経済、どうなるか ■2014年8月29日 金曜日 14時35分45秒

今年の宝飾品市場規模は、ほぼ前年並みと推定する

 7月1日号で「最近の日本経済は、景気が良いのか、悪いのかが全く分からない」と書いたが、まさに」これを示す数字が8月中旬、政府から発表された。 
 それによると、今年4月〜6月のGDP一次速報は、年率換算で前年比6・8%の大幅減となり、1月〜3月のプラス6・7%とは、真逆の結果となった。
 この大幅な落ち込みは4月の消費増税直前の駆け込み需要の反動と言えなくはないが、スーパー、百貨店、飲食店ともに、4月〜6月の売り上げが既存店ベースで二割程度落ち込んだままで、回復の見込みが立たないとのことだ。
 中には最近の売り上げが、駆け込み需要の2倍も落ち込んだという店もあり、消費増税の影響は極めて深刻だ。最近の燃料費高騰による電気料金やガソリン代の値上げなどが、客の買い控えを強めているようだ。
 そのため大手スーパーの中には、日常生活に欠かせない商品の値下げに踏み切る店も出てきた。やはり増税先行で、賃上げは後回しという状況の中で、節約意識が一段と強まっているようだ。
 政府はGDPの大幅減を「駆け込み需要の反動の想定内」と強気の発言をしているが、消費増税対策として6兆円もの予算措置をして、それが機能せず無駄金になっていれば、その責任を安倍総理に、まずはとってもらわなくてはならない。
 GDPの見通しとともに大きな心配事が二つある。その一つは、7月下旬、IMFが今年の世界経済の成長率の見通しを3・7%から3・4%へ下降修正し、長期の世界経済の停滞を警告したのだ。
 世界経済を牽引する米国経済のGDPがこの1月〜3月マイナス成長を記録したのと新興国の経済発展のスピードがダウンしているのに懸念を示している。
 日本の今年の経済成長率1・6%は、1月〜3月の成長率が予想以上に強かったので、0・3%幅引き上げられたものだが、果たしてこのようにいけるかは疑問だ。
 もう一つの不安材料は、今年上半期の我が国の貿易収支は、過去最大の7兆5986億円の赤字になったことだ。製造業の海外移転が進んだため、円安にもかかわらず輸出は伸び悩んでおり、一方で発電用の燃料輸入額が膨らんだため、6月の貿易赤字も大幅な増加に転じている。
 従来のような製品輸出に頼った貿易立国にはもはや限界が見え始めている。さりとてフランスやイタリアのように、日本が観光で飯を食べられるようになるには、まだ間がある。また海外投資で稼ぐといっても、海外へ派遣する人材問題で頭が痛い。
 いずれにせよ、貿易立国の有り方について、21世紀型対応が急務なのだ。
 結論的に言って、年末から来年にかけての日本の景気の動向は、政府が想定する楽観的な状況で推移するとは思えない。
 つまり米国は年末にかけて、金融緩和政策を転換するが、それ自体、盤石な経済基盤の上で実施されるわけではないので、米国経済の景気回復は力強さに欠け、期待外れに終わること大であり、中国経済も不動産価格の大幅下落で失速中で、今年の後半以降の世界経済は大きく停滞する可能性がある。
 そのため消費税10%への増税が難しくなれば、最重要課題の財政再建に対応できなくなり、日本経済は借金問題で極めて困難な道に至るだろう。
 そうならないことを望みたいのだが、根無し草のアベノミクスの化けの皮がはげるのに、そう時間はかからない。
 宝飾業界にとって今年後半の販売環境は、景気回復に大きな改善はないものの、上期よりもマーケットは落ち着いたものになるので、資産家中心に高額品の購入が活発化するだろう。
 しかしながら、顧客が求めたい商品、例えば世界的に需要が多い3キャラ、5キャラ、7キャラなどの資産性のあるハイ・クオリティ・ラージストーンの品不足は深刻で、商品手当が難しく、この点が勝負のカギになる。
 またニューヨークダウの値上がりが一段落する秋口以降は、東証株価も大幅に値下がりするので、高額商品の需要は一時的なものと思われる。
 前回も書いたが、いずれにせよ、今年の宝飾品市場規模は、ほぼ前年並みと推定する。【続】
■日本のジュエリー産業明日の姿を考える第10回 ■2014年7月30日 水曜日 13時45分45秒

過去の遺産を食い潰す状態から脱却しないと崩壊の恐れのあるダイヤモンド婚約指輪市場

 非常に気になっていることがある。
 2000年夏、デビアスがそれまでの70年ちかく守り続けてきたダイヤモンド原石価格の維持サポーターの役を放棄することを宣言して、ダイヤモンドに関する全ての広告キャンペーンをやめて以来、早や15年になるが、その間、日本のダイヤモンド業者は、何らのダイヤモンド広告や販促プロモ―シヨンもせずして、ダイヤモンドを売り続けてきたが、デビアスが築いてくれたダイヤモンド婚約指輪に関する威光効果も、もはや、賞味期限切れになろうとしているのだ。
 バブル経済崩壊以来、依然として、宝飾品販売は長期に低迷しており、その回復の目鼻は全くみえていないが、ブライダル・ジュエリーの売り上げだけは、今のところ、比較的順調のようだ。しかし、これも今の状態が、何時まで続くかは怪しいものだ。
 デビアスが、日本で、ダイヤモンド婚約指輪のキャンペーンを始めたのは、1967年「永遠の愛の証、ダイヤモンド」のキャッチフレーズで、婚約指輪には、ダイヤモンド指輪が最も相応しいことを雑誌広告と映画館広告で浸透させてきた。
 その結果、キャンペーン直前の1966年は、婚約指輪に占めるダイヤモンド婚約指輪の普及率は、僅か6%だったが、70年には16%、74年39%、78年59%、82年70%、
86年には75%にまで普及した
 また、1980年、購入するダイヤモンド婚約指輪の単価アップを図るため「ダイヤモンド婚約指輪の値段は、給料の3か月分」のキャンペーンをスタートさせ、単価アップに成功、ダイヤモンド婚約指輪の地位を不動のものにした
 このキャッチフレーズは、今もって、中高年世代の記憶の中に強く残っているが、若い世代である今のターゲットには、なじみの薄いものになっている。
 事実、最近の調査によると、 婚約指輪の購入率そのものは大幅に低下しており、また、婚約指輪に占めるダイヤモンド指輪の割合も4割をきっているとのことだ。
 つまり、婚約指輪としてダイヤモンド指輪を贈るという習慣は、人々の生活に定着しておらず、これからなので、放っておくと、何時しか、人々の頭の中から消えてしまうのだ。
 今の状態のまま、業界が広告やプロモーシヨンなど、何もしなければ、ブライダル市場でダイヤモンド指輪が消滅するのは、時間の問題だ。
 デビアスは、10誌の女性誌・ファツシヨン誌に年間計100ページの広告を出稿するため、媒体費&制作費で約1億8千万円、また映画広告には7千万円、合計で年間2億5千万円を日本のダイヤモンド婚約指輪市場を確立するために投入してきた。 
 これと同じ額とはいわないが、せめて、半分の1億3千万円でも雑誌広告に投入して、ダイヤモンド婚約指輪市場の活性化を図るべきである。
 私の推定では、現在の日本の宝飾品市場規模は、8千億円をやや切ったところ、すなわち、約7700億円で、うち、ブライダル関連の宝飾品、つまり、婚約指輪や、結婚指輪、それにブライダル関連で購入される真珠ネックレスやイヤリングなどのジュエリーなどで3500億円、残りの3500億円が、特定少数の富裕層をターゲットにしているハイジュエリーの市場だ。
 もしも、前述のような規模で、業界が広告を投入して、積極的にダイヤモンド婚約指輪市場の活性化に取り組めば、5千億円ブライダルジュエリー市場の実現は夢ではない。【続】 
■日本のジュエリー産業明日の姿を考える 第9回 ■2014年7月2日 水曜日 12時59分5秒

取り組むべき最重要課題は、財政再建

 どうみても、最近の日本経済はおかしい。政府発表の統計をみても、景気が良いのか悪いのかが全く分からない。
 今年1-3月期のGDP成長率の2次速報値では、設備投資の伸びが予想を上回ったため、大幅に上方修正され、年率換算で6・7%という高成長を記録した。6%台の伸びは東日本大震災後の2011年7-9月以来の高さだ。然しながら、4月の機械受注統計によると、3月が過去最高の伸びだったので、4月の受注額は前月比9・1%減で景気は減速気味との判断だ。
 一方、内閣府が発表した本年4月の景気動向指数は、消費増税前の需要の反動で、前月よりも3・4ポイント低く、2ヶ月ぶりに低下、景気は「足踏み状態」にあるという。確かに、消費税増税による仮需が、べ-シックな景気動向を見えにくくしているが、これらの数値を見る限り、企業も、消費者も消費増税に右往左往している姿が浮き彫りにされており、今後の景気の動向に大きな不安を感じるのだ。
 というのは、前回述べたように、現在の景気の雰囲気を明るくしているものは株価の上昇しかない。その株価も、日経平均が1万4千円を割るとなると、アベノミクスの屋台骨がぐらつき、政権支持率も急降下するのは間違いない。
 その結果、消費増税によるマイナス面が如実に現れてくる気がする。
 増税後の4月、5月の小売業や卸業の売り上げ実態を見て、消費増税で落ち込んだ売り上げは、夏には回復するとの楽観的な見方が依然として多いが、イランやウクライナの国際情勢緊迫化の要因も加わり、年央から年末にかけて、先進国の景気は大きく落ち込む可能性が高い。
 最近、米国の景気回復は本物という見方が喧伝されているが、これも、秋の中間選挙を有利に進めたい民主党の企てだ。
ところで、最近、@法人税を段階的に20%台へ引き下げるA年収1千万円以上の専門職の残業代をゼロにするB混合診療を拡大するC年金資金の株式への運用D家事手伝いへの海外の労働力の活用などを盛り込んだ新成長戦略が発表され、法整備は来年行われるが、果たして、これらを実現することで、安倍首相が期待している日本経済の成長が保証されるかについては大いに疑問だ。
 いちばんの問題は、法人税の減税によって、減る財源を何にするかという財務省の懸念よりも、国の巨額の借金問題解決が、さらに先送りになるということだ。
 言い換えれば、無計画な財政再建策では先進国の信頼を得ることが出来ず、円の信用失墜で、国の財政基盤が危うくなるのはまちがいない。来年秋に予定されている消費税10%への増税さえ、実施できないことすらある。 
 安倍総理の思惑は、高率の法人税を多国並みに引き下げて、海外企業の日本への投資を促進し、雇用拡大を図ることだが、円通貨の不安が拡大すれば、それどころではない。
 今、国民が望んでいることは、集団的自衛権行使で国民の安全が確保されるという話ではなくして、安定した雇用が確保され、税金やインフレに悩むことのない穏やかで安心した日々の暮らしが保証されることだ
 庶民には年収1000万円の専門職の残業代がゼロになる話など興味はない。
 どうして、庶民にとってこんなにわかりづらい政治をするのかと思うこのごろだ。
■日本のジュエリー産業明日の姿を考える 第8回 ■2014年6月2日 月曜日 12時48分16秒

見逃してはならない日本がおかれている危機的状況

 考えれば考えるほど、日本は今、国の命運を大きく左右する重大な問題を多々抱えている。
 その代表的なものの一つは、国か抱える巨額な借金であり、もう一つは、予想以上のスピードで進行する人口減と高齢化社会問題だ。
 最近の人口推計によると、2060年に国と地方の借金総額は、GDPの伸びが年率2%で推移しても、8千兆円になるとのことだ。また今後とも、国債発行を
続ければ、1京円強という初めて聞く桁数の借金になるとのことだ。 
 また後者については、既に本欄でも触れたが、実情の深刻さは重大で、高齢者人口が減り出した地方都市も多く、高齢者の年金に頼っていたコンビニがつぶれ、地方の介護、医療関連産業もピンチに陥っており、雇用の場のない若者の大都市移住の加速化とあいまって、大幅な人口減で地域消滅の危機に直面しだした市町村がクローズアップされている。
 いずれにせよ、問題を解決できる人間が、その権限を使って行動しないところに問題がある。
 何時までも、大変だ、大変だと言うだけでは、何事も解決しない。問題を解決しようとする行動をしなければ駄目だ。いまや、待ったなしの問題に対して行動が求められているのだ。
 巨額の借金については、2020年に財政のプライマリー・バランスをゼロにするだけでは、国の借金が減る事にはならない。つまり、国債発行をやめるねば借金は減らない。しかし、高齢化社会を支えるための医療費や社会保障費の支出は年々拡大するので、消費税を西欧並みの20%以上に増税しなければない。また年々の借金の利払いも増えるので、財政支出を抑制するには、公共サービスを削減せざるを得ない。
 固定費として大きなウエイトを占める国会議員及び公務員の定員を大幅に削減して、人件費を減らさなければ、巨額借金の返済は出来ず、国家財政は破綻する。
 要するに「小さな政府への道」の選択だ。   
 一方、高齢者人口減で、地方での介護老人ホームの経営は非常に厳しくなってきたので、大都市での需要を求めて、地方の介護老人施設事業の大都市進出の動きが活発になってきた。 それは、地方の医療・介護事業における雇用喪失や雇用機会の減少を意味し、とくに若年労働人口の大都市移動を加速するのだ。
 これらの問題解決には一刻の猶予もない。
 財政危機については、先進国のトップを切って、リーダーは「小さな政府」への道への政策を選択すべきだし、先行き、のしかかってくる高率の消費増税導入も受け入れなければならない。
 また、後者について宝飾店がとるべき道は、自店の商圏を拡大する以外、生き残る道はない。
 つまり、大多数の宝飾店は、今の客数では早晩、ジリ貧になるのは確実で客数を拡大していくこと、また、客がいるところヘいって、商売をすることが、生き残れる条件なのだ。
 多く新規客を獲得できる@東京圏、大阪圏、名古屋圏などの3大商圏へ出店するか、それともA海外の新しい市場へ進出するか、またはBインターネット販売網を確立して、国内外の広い客層を捕らえた広域での商売をしていくかの選択だ。
こうした条件が整ってこそ「多業種販売」や「御用聞き販売」などが成功するのであり、ワクワクする商売が出来るのである。 
 今までに経験したことのない明日への挑戦の連続だ。それゆえ、身近に迫っている危機的状況を的確につかんで、自分の身は自分で守れる態勢を強固に確立することが重要だ。【続】
■日本のジュエリー産業明日の姿を考える 第7回 ■2014年5月1日 木曜日 13時58分44秒

少子高齢化社会のなかで宝飾店はいかに生きるべきか

消費税増税が実施されて1ヶ月、その影響はいまだ顕著に見えていないのが今回の特徴のようだ。
 4月前半の百貨店の売り上げは例月の15%減だそうだが,3月に駆け込み需要を例月の30%増を確保できたので、先行きの影響は、それほどでもないとの楽観的な見方も出てきているが、時間がたつにつれ増税の影響がボデイブロウのようにじわじわと出てくるような気がする。というのは、今回は、売り上げの低迷状態が長引くような気がする。
 一方、4月以降、景気回復のシンボルである東証株価は大きく下げている。勿論,デイ・バイ・デイの株価の動きに一喜一憂するのは馬鹿げているが、米ソの緊張激化の中で、有事のドル神話は依然として生きており円高傾向の中で、日本の株価は下落気味、また、新興国経済の不調ともあいまって世界経済の流れが冷え込んできているのは事実だ。
 こうした流れのなかで、ムードに大きく左右される日本人の景気感覚が一挙に冷え込むと、祭りの鉦や太鼓のにぎやかしを最大の武器にしているアベノミクスは破綻の憂き目をみる。
 そうなるかどうかが、これから数ヶ月間の消費動向によるのだが、来年秋の消費税増税の実施をも含め、状況は予断を許さない。
 ところで、2013年10月1日現在の人口推計が発表されたが、日本の人口は3年連続で減少、前年比25万人減は過去最大の減少で、日本人のみの総人口は1億2570万4千人まで落ち込んだ。と同時に14歳以下は、全人口の12・9%、65歳以上の高齢者は総人口の4分の1を占め『団塊の世代』の高齢化に伴い、生産人口【15〜64歳】は116万5千人減の7901万人に低下、32年ぶりに8千万人台を割った。
 老齢化社会に対する社会保障政策充実の重要性は勿論だが、老齢化市場再開拓の重要性は一段と高まっている。高齢者市場は、いまや総人口の25%を占める巨大市場であり、2030年には、総人口の3分の1が65歳以上の高齢者になる。
 彼らが必要とする商品・サービスは多種多様で、単に介護関連商品・サービスの分野だけではない。
 高齢者世代には若い世代とは異なった商品やサービスに対するニーズがあり、それに着目した商品開発が必要だ。
 また高齢者は、金融資産を保有する人の割合は高く彼らは、依然として、ジュエリー購入の最重要顧客であることに間違いはない。
 宝飾店として、これら高齢の客に対してやるべきことは、生活環境の変化に対応した日々の暮らしの中で、楽しくジュエリーを着飾ってつけてもらうコーデイネイトの提案だ、いくつになっても見栄を張るのが男だが、女も同じで、いくつになっても可愛い女でありたいと思うのが女なのだ。
 老いても何時までも美しく可愛い女でありたい、生き生きと日々を楽しく過ごしてもらうためのおしゃれな小道具としてのジュエリーは、女性にとって掛買いのない友なのである。
 世代を超えて、女性に何時までもジュエリーと楽しんでもらう提案をし続けるのが宝飾店の役割であり、とくに、高齢を迎えたユーザーに対する提案は重要である。そうすることが、高齢化社会を生き抜くための宝飾店の道の一つなのだ。【続】

■日本のジュエリー産業明日の姿を考える 第6回 ■2014年4月1日 火曜日 11時59分10秒

時宝店で、おにぎりや弁当が売られていても、おかしくはない

企業減税推進にも積極的なので、政府の言うことを企業は素直にきいてくれて「ベースアップ」にも簡単に応じてくれるものと安倍総理は思っていたようだが史上最高益を上げたトヨタでさえ、回答は厳しいものだった。官製春闘と揶揄された今年の春闘は、大手一流企業の正規社員中心に、まあまあの賃上げが久方ぶりに行われたが、中小企業や非正規社員の置いてきぼりは相変わらずだ。
 3年連続で月々の現金給与平均額(12年実績・31万4054円)が減っているなか、今月から消費税増税がスタートしたが、年初来、生活防衛を図るため庶民はかなりの量の必需品の買い貯めをしているので今年第2・4半期以降、消費需要はかなりのダウンだ。
 世界的に見ても、今年の経済状況は厳しい。とくに、新興国の経済成長は急激に減速しており、今のままだと世界経済が不況に突入する可能性は大のため、それを避けようと先月インドネシアで開かれた20カ国財務相・中央銀行総裁会議にて、毎年の経済成長率の目標を最低2%に設定することを決定した。
 これをどう実現するかは各国の問題で、単なる努力目標で終わりそうだが、それほどまで今年の世界経済の見通しは暗く、アベノミクスという言葉に惑わされているどころの騒ぎではないのだ。日本は、膨大な貿易赤字が増え続けているので、外需拡大で成長を図らねばならないが、そう簡単なことではない。 
 ところで、条件はつくものの、地方の時宝店がパワーアップ出来る環境にあると前回書いたが、さらに重要なのは、「地域住民に支持される店」を再組織して地元商店街を再生させることが必要だ。
 必要ない店はないというが、それ以上に重要なことは、高齢化した地元、過疎化した地元に、今、必要な店は何かをみんなに問うことだ。人々が日々、生活していくのに、必要なモノを売っている店を誰もが必要としている。
 そんな店をシャッター通り商店街に再生していくことが、過疎化した地元を活性化する第一歩だ。
 時宝店は、時計、眼鏡、宝石の3商品を扱っている店が多く、それに加えて最近は補聴器を取り扱っている店もある。高齢者にとって、眼鏡や補聴器は必需品だが、値段が高いのか、補聴器の普及はまだまだ低い。
 これらの品を売る兼業店が現在の時宝店だが、これに新たに「生活に必要な物資」ー日々必要なものといえば、飲食料品がメインだがーを加えて販売する小売りの業態を開発したらどうか。
 寿司屋がラーメンやコーヒーを出す時代なのだから時宝店でおにぎりや弁当、デザートを買えたっていいのである。全ては、利用客が便利でありがたい、と思ってくれればいいのである。
 今までのメインな客は若者であったコンビニエンスストアが、高齢者へメインユーザーを切り替えるのは時間の問題だ。
 その昔、町へわざわざ汽車に乗って出かけなくても
村には、普段必要とするものが、ほぼ揃う「よろずやさん」という店があった。まさに、現代のよろずやさんが、コンビニエンスストアなのだ。
 タイム・コンビニエンスのコンセプトからスタートした、この小売り機能を時宝店に取り入れて進化させ、過疎化と高齢化に悩む不便な地方で効率的に機能する小売店として展開すれば、時宝店の再生はもとより、過疎化する地方の活性化にも役立つ一石二鳥である。これをヒントに、いろいろと考えてみる必要がある。【続】
■明日の姿を考える 第5回 ■2014年3月3日 月曜日 15時32分29秒

地方の時宝店が再びパワーアップする可能性

 猪瀬前都知事の5千万円収賄疑惑から、番外ともいうべき東京都知事選挙が突然行われ、しかるべき人が新都知事に選出されたが、都民にとっては、過去最悪ともいうべき無関心極まりない選挙になった。それは、前知事の辞任の仕方も有力後継者の出馬表明も、茶番劇さながらの様相で、都民が自分の身にかかる重大な選挙であるとの意識がもてなかったこともある。最初からマスコミも引き気味で、果たすべき役割を放棄していた感があるが、国民が政治に対して関心を失ったときほど、政治権力はじわじわと独裁へ堅固な歩みを始めるのである。
 いずれにしても、やりたい放題、したい放題の安倍政権の行動が一段と目立っているが、今後、その動向を厳しく監視する必要がある。
ところで、前回の続きだが、これからの少子高齢化社会において、ある程度の人口規模を持つ地方都市では、時計、めがね、宝飾品 の3品に、プラス・アルフアの商材、『全部で4つの主要商材を扱う時宝店』の復活の可能性は非常に高い。
 その理由は、第一には、昔ながらの時宝店は駅に近く店を構え、且つ、商店街の中心にあり、高齢者の買い物にとっては最高の立地だ。
 第二に、少子高齢化社会での時宝店のターゲットは 今までのような裕福層ではなく、地域住民の大半を占める庶民層、いわゆる中間層がメインターゲットだ。着実に進行する所得格差拡大のため、裕福層のウエイトは一段と減少するので、彼らだけを相手にした商売は成り立たなくなる。となれば、時報店の商売は、再度、広い客層をカバー出来る商材を用意して、時代環境に対応した経営展開が必要だ。つまり、地域住民には「よろずや屋的店」がありがたい存在だ。それとともに、静岡の安心堂が行っている自宅訪問によるめがねの定期的な点検サービスのように、客の元にでむいていく商売の仕方も必要だ。
 客対応は、かっての展示会販売にみられた「おもてなし」の対応ではなくして、商品中心にまっとうに個客に向き合う販売で「人と人とのつながり」が再度、重要になる。だからといって、全ての時宝店が復権できるわけではない。やはり、どうあっても地域一番店にならないと生き残れないことは厳しい現実だ。
 主要な客の顔ぶれは、当分変わらないが、何人かは毎年消えていく。その補充の必要性は、従来と変わらない。と同時に、店の存立を先々可能にしていくには、人口減少は必然なのだから、広域商圏で商売することを考えねばならない。そして重要なのは、地域密着の商売の仕方であり、地域住民から「有難たがられる店」でなくてはならない。
 また老齢化社会において求められるのは「相互互助の精神」であるが、それを十分発揮することのできる商店街組織の再興を図るべきだ
 現在、全国、どこの町へ行っても「シャッター商店街」が多いが、その再興は、時宝店がリーダーシップをとってやるべきだ。なぜなら、それは地元に対する恩返しであり、また時計屋は、、地元商店街の有力者であったからだ。
 ところで、アベノミクスの綻びが明確になってきた。なんだかんだといっても、結局は、米国頼みの日本の景気回復だったが、米国経済の先行き不安から、新興国からドル投資の引き上げが始まり、世界経済全体のがおかしくなっている。来月から消費増税が始まるが、一段と厳しい状況を乗り切る覚悟が必要だ。【続】
■明日の姿を考える 第4回 ■2014年2月12日 水曜日 15時25分1秒

「老齢化社会における宝飾店の在り方」 @

 2年目に入ったアベノミクスだが、今年の景気に対する財界人の見方は極めて楽観的だ。その多くは順調な株価の続伸を期待するもので、賃上げについては、消費増税分ぐらいは容認するとのことだが、これでは、消費拡大は無理だろう。そして、安倍総理が強調する「今年は経済の好循環が軌道に乗る」ことを予想する人はほとんどなく、本音は自分の企業だけがよければ他はどうでも良いという態度だ。時代は変わったもので、節操のない経営者が増えてしまった。
 ところで、昨年12月に引き続き、今後の宝飾店の在り方について考えてみよう。
 今から11年後の2025年になると、団塊の世代は全員が75歳以上になり、国民の四人に一人、つまり、全人口の25%が75歳以上の後期高齢者になる。
 少子高齢化の進行で日本の人口減は過速度的に進み、地方では消滅する市町村は急速に増加する。つまり、ほとんど人の住んでいない町や村がそこかしこに出現してくる時代になるのだ。
 高齢者のクルマ利用率が大幅に減るなかで、来店客数減少で郊外型商業地は衰退し、ロードサイド型マチつくりから、徒歩で買い物にいける駅中心のマチづくりに激変する。
 高度成長期、地方では、「クルマは一家に一台」から「家族一人に一台」と普及した結果、公共交通機関利用者は激減、そのため、多くのローカルバス会社は赤字に陥り、路線を廃止せざるを得なくなったところも多い。しかし、今日、交通手段を失った老齢者は、生きていくためには、日常の買い物が大問題で、交通の不便なところには住めず、駅周辺に住居を移転する人も増えている。そして、駅周辺にある、何でも買い物が出来る『よろずや』的存在のコンビニエンス・ストアの便宜性が高く評価される時代になってきた。
 また、買い物に出かけることの出来ないお年寄りには「御用聞き」の存在がありがたく「お買い物のお手伝い」が、顧客サービスの重要なものになってきた。
 これらの話は、遠い先の話ではなく、今の話なのだ。
 医学の進歩と公衆衛生の知識の普及で、日本人の寿命は大きく延びて、世界一の長寿大国になったが、国民の体力づくりはイマイチで、体力のない人が急増しているようだ。いまや明治生まれの人は、非常に少ない存在だが、明治や大正の「もののない不便な時代」に育った昔の人たちの方が、私が知る限りでは、身体壮健で丈夫だ。
 飽食の時代といわれ、好き嫌いが放任され、偏食や肥満が当たり前になっており、何もかもが便利で、何一つ不自由ない時代たが、一方で、、現代人の体力はひ弱になっているようだ。
 本格的な老齢化社会到来で、「マチの構造」も居住地マップも大きく変わらざるを得ないし、宝飾店も顧客のニーズや客が新たに求める期待に応える形で商売をしていかなければならない。これまでとは、質・量ともに異なる老齢化社会での好立地の条件は、全く異なるものになるのは当然だ。
 高度成長期に時代遅れとして放擲されたものが、復活することもあり得るのだ。 
 その昔、当業界の主流は、時計、眼鏡、宝石の三業店だが、それが老齢化社会で最も効率的な経営展開になることだってあり得る。この点を次回考えてみよう。【続】
■日本のジュエリー産業 ■2014年1月9日 木曜日 15時58分4秒

明日の姿を考える 第3回 『どうなる、この一年』

 明けましておめでとうございます。新年なので予定を変更して、今年がジュエリー業界にとって、どんな年になるかを考えてみたい。
 暮には、アベノミクス効果で、前年よりもお歳暮やクリスマスプレゼント、クリスマスケーキなどの購入単価や忘年会の費用が、前年よりも、かなり上がったとの景気の良い話が報道されたが、物価は上がっているものの、サラリーマンの給与は全然上がらず後回し。ボーナスが多少良くなったという輸出関連企業はあっても、大多数の企業は渋く、依然として庶民の生活は厳しいのが現状だ。
 確かに昨年の暮れ、消費支出が増えたのは事実だ。それは従来、ボーナスから貯蓄に回っていたものが消費に向けられ、また貯蓄の取り崩しによる消費が増えたのも事実である。
 今年4月から実施される消費増税のため、高額商品の「駆け込み需要」で、今のところ、消費が明るいのも事実だ。
 マスコミ報道は、景気の良い話を中心に取上げるので、経過が回復してきているという世の中の雰囲気に踊らされて、給料が増えていないにもかかわらず、庶民の財布の紐が揺るんでいるというのが実態だ。
 以前に指摘したように、アベノミクスは『祭の鉦や太鼓と同じように、囃し立てて景気付けをして、雰囲気で景気を盛り立てよう』という戦略だ。つまり、アベノミクスを構成する政策は、大胆な金融政策、その効果は円安誘導として現れたが、それは輸入原材料の値段に跳ね返り、生活関連商品の大幅値上げとなって庶民の家計を苦しめている。
 第2は、景気を下支えする為の公共投資策だが、各産業の国際投資比率が高まる中で、国内需要を活性化する力は大きく衰えている。
 そして、3番目は、税制面から支援する企業の税優遇措置だが、企業は既に300兆円の内部留保溜め込んでいるにもかかわらず、企業の新規設備投資意欲や従業員の給与を大幅に改善する意欲など、全く見られず安倍政権の当初計画は今年破綻する可能性もある。
 昨年の12月に発表された「税制改正大網」によると、企業に対しては、税の優遇措置が取られており、企業に対する「復興法人税」は前倒しで廃止されるが、個人は二の次だ。
 消費増税で4月以降、家計から約6兆円が吸い上げられるが、消費税が10%に上がる時点で導入が計画されていた「軽減税率」も事実上、先送りされた。
 また平成16年1月から高収入のサラリーマンは所得税・住民税が年最大14万円の増税になり、同年から軽自動車税も7200円から1万800円になる。
 今年の見通しだが、日本の輸出の伸びを支える海外経済は、米国は順調に景気回復基調にあるが、EU諸国は低迷、新興国は減速、国内は「駆け込み需要」の反動もあって、4月以降から年度いっぱい、落ち込みが続く。その落ち込みがどの程度のものになるかは、今後の「世界経済の景況感のレベル」による。また小売業・サービス業における消費増税の影響は、極めて大きいので、給料の大幅改善が見込めない現在、前回の消費増税時同様、今年度はマイナス成長になる事は間違いない。また円安が1ドル=110円台まで極端に進むと輸入原材料の大幅値上がりの為、生活関連物資は大幅に値上がりするのは必至で、政府想定外のインフレが起こる懸念もある。
 こんな点から、今年は昨年以上にジュエリー業界にとっては商売のしづらい年になる。【終】
■日本のジュエリー産業  ■2014年1月9日 木曜日 15時54分51秒

明日の姿を考える 第2回

 11月初旬、新生なった秋田県立美術館へ藤田嗣治渡仏100周年を記念して開かれた特別企画展に行ってきた。 
 久しぶりに、大壁画『秋田の行事』や『5人女』に再会できたのはうれしかった。
会期末なので、会場は県内外から訪れたフジタ・フアンで賑わってはいたものの、秋田の町は駅周辺以外、土曜の午後にもかかわらず 人影はほとんどなく、さびしい限りであった。
 秋田の市内は、シャッター通りになることは免れてはいるものの、ほとんどの店に客の姿がないという光景は、多くの県庁所在地の現状で、過疎化が地方の経済力低下を加速させている。
 6年前の平成19年、ある業界誌に『2005年の国勢調査人口増減率に基づいた近未来の地域発展力』について書いたが、当時『衰退』として格付けされたのは、全市町村約1800の22%、また『自然淘汰』とされた市町村が51%を占めており、既に青森、長野、金沢の3県庁所在地含めて、全国で94都市が『自然淘汰』にランク付けされている。
 小売業の将来は、近未来の人口動態を抜きにして論じることは出来ない。
 当時私が書いた記事で『依然して全国数千店あるといわれている時宝店の半数以上は、10年先には姿を消すが、その多くは後継者問題もあり早ければ、今後5年ぐらいの間に商売の継続について諦めざるを得なくなる。なかには、転業を図る店もあろうが、人口過疎地域の路面店の多くは廃業せざるを得なくなる』としているが、この流れに変わりはない。
 日本の総人口減少が始まったのは2005年だが、最近の予測では、地方からの若者流入で常に人口増加傾向にあった東京都でさえ、東京五輪の2020年をピークに人口減少に入るとのことで、2040年までに、多くの地方都市は消滅する恐れが大であり『極点社会』が到来する。
 2040年というのは、それほど先ではないのだ。先月から始まった福島原発廃炉作業だが、終了するまで40年の年月が掛かるというが、そのときまで原発所在地の浪江町や大熊町は存在しているだろうか?
 となると、国が巨額な税金を投入して実施する除染作業も、別のプランを考えた方がよいのかもしれない。
 それはそれとして、この先も、大きな経済成長が見込めず、少子化による人口減少と過疎化が進行する中で、宝飾店の明日は、どうなるのか。
 再三指摘してきたように、地域一番店以外、生き残ることは不可能で、宝飾店と言うに値する満足いく商売が出来なくなる。つまり、宝飾品や時計の商いでは、ほとんどの店は食っていけない時代になるのだ。
 全国各地を仔細に見ると、この状態に徐々になってきている。
 前々から『将来、日本の宝飾店の数は、全国で50店になる』といってきたが、多少言い過ぎた感じはあるものの、50歩100歩で、大手百貨店の宝石売り場を除き、各都道府県ごとに数社の宝飾店があれば、コト足る時代になるのは確実だ。
 所得格差の拡大で、宝飾品を購入できる人は大幅に減少、高級宝石や貴金属、高級輸入時計の国内需要は着実に減少、市場規模がさらに縮小するのは確実だ。 
 こうした中では1番店しか生き残れないが、どうすれば、1番店になれるかを考えることも必要だ。
店の立地条件や商圏の競争環境など、不動の条件はどうしようもないのでほっといて、それ以外の自らが自由に対応できることについて、先進的、革新的な行動をとることだ。そして、時代の流れを読み取る鋭い感受性を身に着けることが重要だ。
 世の中は大きく変わっている。それは、人々の購買行動や生活行動が激変しているということだ。そのため、店も変わらなければ、商売はなり行かない。つまり、今までと同じ品揃えや売り方でモノは売れない。
 客にあわせて、店も店主も変わらなければいけない。変わってしまった客に対して、ベストに対応するには、どうすればよいかを、次回、考えてみたい。【続】
■日本のジュエリー産業  ■2014年1月9日 木曜日 15時53分8秒

明日の姿勢を考える 第1回

 デフレからの脱却を図るため、2%のインフレ目標を達成する為、日銀は史上類を見ないレベルの金融緩和を行なっているが、未だに効果が上がる『アベノミクス第3の矢』が提案されず、物価ばかりが上がり続けており、それに加えて、増税と公的負担増で、庶民の暮らしは苦しくなるばかりだ。
 来春、消費税は8%に増税されるが、かってサラリーマンの平均年収は467万円あったが、いまや409万円まで落ち込んでいる。円安による生活関連商品・サービスの値上がりが、あらゆる分野で新興しており、給与のプラス分は完全に後回しになっている。
 安倍総理は財界に対して、円安効果で企業業績の回復で得た利益をベースアップに回して欲しいと要請はしているものの、それが実現する見通しは殆どない。まして全従業員の約4割が非正規社員で占められている現実を見たとき、大手企業の正規社員のベースアップをしただけで庶民の暮らしが良くなるはずはない。
 この先、アベノミクスが失敗すると、再び日本経済は暗闇の世界に陥ることになり、大きな付けを背負う事になる。そんな岐路に直面する年の瀬がまもなくやってくる。いずれにせよ、今後更に所得格差が拡大していく事は間違いない。 
 それゆえ、宝飾品のビジネスは、今まで以上に『お金持ち』相手のビジネスに様相を深めていくのは間違いないし、80年代に見られた『ジュエリーの大衆化時代』の再来は、この先半世紀はない。
 当然、高額品ジュエリーを買う客は、ますます特定化していくし、購入客数の減少も避けられない。
 効した時代が来る中で、どんな対応をすることが必要かについて考えてみよう。
 まず、問屋は今まで以上に、輸入高級時計の取り扱いが企業の拡大のカギになる。とまり、高額品ジュエリーの商いだけでは、売上げに限界が出てくる。またビジネスの海外進出に力を入れることも重要になってくる。つまり、国内需要だけでは、商売に限界が出てくる時代になる。
 『宝石・ジュエリーの総合商社』として生き残れるのは、デパートの卸商社を含めて、せいぜい5〜6社程度だ。それ以外で、宝石・ジュエリーの国内卸として生き残りたいところは、宝石・ジュエリー卸の「専門店化の方向」を推進していくことが不可欠だ。
 商品の企画開発は勿論、個性ある輸入ジュエリーの扱い拡大も卸の専門家に不可欠なものだ。
輸入ジュエリーの中心は、ダイヤモンドジュエリーがだが、欧米ジュエリー先進国のものより、いまや世界一の生産体制を確立しているインドのバラェティ豊かなハイ・ダイヤモンドジュエリーが狙い目になる。
 また、バラェティ豊かなセミプレシャスストーン。・ジュエリーに特化する卸業も新時代の有望なビジネス領域として注目される。
 また日本のジュエリー産地、甲府のメーカーの『卸業者として参入』が増えてくるが、国内需要は、もはや緩和状態なので主力は輸出に生き残りをかけたものになろう。
 一方、真珠の世界では、これからも数年のうちに企業の吸収合併が急速に進む。
 生産レベルでは、採算の取れない企業の撤退が進行しているが、問屋レベルでは、現在の市場規模に対して企業の数が多くて商売も大変だ。
 確かに、過去30年間に、真珠ビジネスはアコヤに加え、扱い商品が白蝶・黒蝶・淡水と増えていく中で、市場規模も拡大し、また需要も多様化していったが、国内の真珠市場で圧倒的なシェアを持っていたアコヤ市場が大きく減少したのが痛手だ。
 日本人の宝飾品需要から見ると、アコヤパール・ジュエリーは生活の必需品的存在で、景気の良しあしにあまり関係なく、需要のある商品だった。
 品質の高い日本のアコヤは、いまや国際的には高く評価されているブランド品なのだが、国内での評価はそれほどでもない。まずは、アコヤの魅力を復活させ、市場の活性化を図っていくには、ジュエリー業界全体で、日本産アコヤに対するユーザーの正当な評価を確立していく努力が、何よりも重要だと思う。次回は、小売の分野について見てみよう。【続】
■日本のジュエリー産業再生飛躍の道を考える 第9回 ■2013年9月30日 月曜日 13時22分17秒
  
フアスト・ジュエリーが広まる時代は目前だ

 8月末、ビッグサイトで開かれたJJFの出展ジュエリーを見ると、漸く市場の現状に対応した商品が増えてきた。値段も上代5万円から15万円までのものが非常に増えている。小粒のブリオレットやローズカットのダイヤをレーザーで穴をあけてワイヤーでつなげたネックレスは売れ筋ナンバーワンの商品だ。ダイヤのキラキラ感や光沢の魅力を楽しめるので人気があるんだろう。またダイヤの品質にこだわる客が少ないので、懐具合にあわせて、サイズの大きいものを提供できるので、売りやすいのも強みだ。
 新聞やテレビがアベノミクス効果で宝石や高級輸入時計などの高額品がバンバン売れていると景気の良い話を報じているが、確かに、百貨店で5カラットとか8カラットとかの大きなダイヤが売れたという話があるが、これは例外的な話で、宝飾店の実情は、漸く売り上げ下落は止まったものの目に見えたかたちで景気回復が訪れているのではない。
 ジュエリー購入者は相変わらず、ごく一部の富裕層に限られており、それらの人に年間どれだけ購入してもらうかの商売で、状況は以前と全く変わっていない。
 今年上半期は、宝石・貴金属の売り上げが伸びたものの、一方で高級輸入時計の売り上げがかなり落ちた店も多い。理由は、高級輸入時計を買える人は、買いたい時計を一応買ってしまったという『購入の一巡』だ。暫く、こんな状態が続くという。
 ところで、JJFでも若い女性が喜びそうなフアッシヨンコーデのワンポイントになる安価なブレスやネックを展示する店が増えてきた。特徴は、まずはつけたとき目立つことで最大の条件であり、なんとなくフアッシヨン性があり、可愛らしさを感じられることだ。そして、種類がいろいろあって購入する際、選ぶのが楽しいのも利点だ。値段は、上代で500円前後からなので買いやすいとともに、使い捨ても出来る気軽さがある。
 実際、サンプルを購入して、若い女性の意見を聞いてみたが、ジュエリーと異なるところは、@気軽につけられ、Aおしゃれ効果が高いこと。そして、B値段が安いので、C何種類かのバリエイシヨンを持っていれば、TPOにあわせたおしゃれな演出が出来るとのことだ。
 若い女の子にとって、ジュエリーの場合、最大のネックは、値段の高さだ。1万5千円もあれば、頭の先から足の先まで、トレンデイなトータルコーデをすることが出来る時代なので、ジュエリーを買うのに何万円も支払うのは無理だ。例えば、ダイヤモンドは一番ほしい宝石だが、自分では高くて買えないので、女性にとっては『プレゼントしてもらうもの』らしい。いまの若い女性の金銭感覚を如実に表しているのがバレンタインデイにあげるチョコレートの値段である。
 本命には、2000円プラスでもOKの有名ブランド・チョコ、付き合っている彼氏には心を込めて作った手作りチョコ、義理チョコはせいぜい500円がマックスで,出来れば、それ以下、そして、最近流行りの自分へのご褒美チョコでも1000円どまりというのが多い。一見派手そうで華やかに見えても、OLのつつましさは、今も昔も変わっていない。
 こう見てくると、21世紀の若い女性をターゲットにしたジュエリー市場を新たに構築することは容易でないことが分かる。まして、来年、再来年と消費税増税が実施される中で、非日常性の最たるものである『ジュエリー購入』を促進していくのは容易ではない。
 やはり、フアスト・フアッシヨンに対応した『フアストジュエリー市場』つまり、アクセサリー・ジュエリー市場の整備・確立を積極的に推進することが必要で、従来のジュエリー市場を補足・拡充していく戦略を考えるべきだ。 
 それは、今やピンだけの宝飾品だけでジュエリー市場は成り立たず、キリのジュエリーも必要になっている時代なのだ。上代5〜600円のものから数万円のジュエリーが、同じ店舗で売られる時代が来るのは、そう遠くないだろう。

■日本のジュエリー産業再生飛躍の道を考える 第8回 ■2013年9月20日 金曜日 13時1分31秒

当たりのことだが、世界の動きを見渡して行動することが重要だ

 久しぶりにダイヤモンドの話題が一般紙の朝刊1面トップをにぎわした。
 8月17日と18日の朝日新聞に『輝く石、地殻変動』のタイトルで、1日目はロシアが2009年にダイヤモンド採掘量でデビアス傘下の鉱山の採掘量を抜いて首位になったこと、2日目はロンドンにあるデビアスのダイヤモンド販売機構(CSO)が近くボツアナに移るという話で、一世紀にわたってデビアスが支配してきたダイヤモンド市場が、その源泉において大きな地殻変動が起きているという話だ。
 業界のわれわれにとっては、耳新しい話ではないが、2000年にデビアスの3代目ニコラス・オッペンハイマーが『デビアスが担ってきた価格維持の役割を放棄する』と宣言して以来、正面きって、ダイヤモンドの話題が一般紙で大きく取り上げられたことはなかった。というのは、デビアス自体、従来の経営体質を大きく変えて新しい企業に変わったのと、推測の域を出ないが、トップの意向で、デビアスに関する情報の外部流出を禁止したので、その動向がほとんど明らかにされず,シークレットのまま10年以上が経った。
 朝日新聞に掲載された情報によると、アルロサの推定では、昨12年の世界のダイヤモンド総採掘量は約1億2600万カラットでロシアはその27%の約3440万カラットを産出、コンゴ、ボツアナの2000万カラット強の産出量をを大きく上回っている。
 然しながら、ダイヤモンド採掘金額では、ボツワナがやや多く世界一で、ロシアを上回っているようだ。
 つまり、ボツワナの方が、産出されたダイヤモンドの中で、宝石用に使用される割合が多いといえる。
 デビアスが企業の生命線として最も力を入れてきたのが、ボツワナのジュワネング・ダイヤモンド鉱山だ。操業間もない1979年に訪れたことがある。
 同鉱山は世界のダイヤモンド産出量の約10%、年間10億ドルを稼ぐ最有力のダイヤモンド鉱山だ。
 ボツワナは2005年、世界のダイヤモンド採掘量の約30%を産出していたが、ボツワナ政府の収入は、D丁Cがボツワナで稼ぐ6億ドルのわずか1・5%にすぎなかった。しかも、ボツワナのダイヤモンド鉱山は、あと20年で枯渇するとの見方もある
 NHKが2010年5月、『アフリカ諸国が有する資源を巡って、中国やインドの進出』を特集した番組で、次のことを報じていた。
 ボツワナ政府は2005年、デビアスに与えているダイヤモンド採掘権を更新する際、デビアスに対してインドや中国もボツワナのダイヤモンド鉱山に大きな関心を持っているとのゆさ振りぶりをかけ、不利な取引条件を改善するため、粘り強く3年間交渉した結果、『デビアス・ボツワナDTC』を設立することに成功した。 
 そして、ジャン・ポールトルコフキーに対して、ボツワナDTCと取引する条件に『H&Aカッチング工場』を現地に建てることを提案、その誘致に成功している。
 これら一連の大きな変化が進行するなかで、ロンドンにあるデビアスのダイヤモンド販売機構(CSO)も経営上の観点から、ダイヤモンド生産地であるボユアナに移行することになったのであろう。
 ダイヤモンド一つにしても、今世紀に入って原石供給体制が大きく変わった。 
 日本では、ダイヤモンド輸入卸業という業態を維持するのに大変苦労する時代だ。だからといって、昔を懐かしんでいることほど愚かなことはない。
 かって、北極圏下にあるカナダのダイヤモンド鉱山に投資したテファニーは、子会社を通じて、今度はアルロサと長期のダイヤモンド購入契約を結んだとのことだ。
 状況の変化に先を読んで対応できる能力が日本の企業にはもっともっと必要だ。首相のトップセールスなど感心している時ではない。
 今回触れなかった内容は次回に書く。   【続】
■必要なのは、成長戦略ではなくして「成熟化戦略」だ F ■2013年8月12日 月曜日 11時44分30秒
 
三〇年ぶりに、パリを訪れた

 革命記念日の翌日から十日ほど、三〇年ぶりに、パリを訪れた。
 かっては、七月十五日のシャンジエリゼでのフランス大統領による軍事パレード閲兵が終わると、パリの町中にいるのは観光客、いわゆる「おのぼりさん」だけで、フランス人はバカンスでパリを脱出するといわれていたが、最近は少々事情が違うようだ。というのは、バカンス最盛期の避暑地はどこも、何もかもが高いのでシーズンをはずしてバカンスを取る人が非常に増えてきたとのことだ。
 それゆえ、日陰はさわやかだが、気温30度は当たり前のエアコンのないオフィスで仕事をやっている企業は多いという。
しかしながら、ほかのものは、あまり変わっていないようだ。フオーブル・サンノーレは相変わらず埃りぽいゴツゴツした歩きづらい通りのままだし、そこで商売する老舗のビックブランドショップの本店はモダーンとは程遠い古ぼけた店構えのままで、時間が止まったままのようだ。
 ヨーロッパを訪れたとき、つねに感じることは『どこか、日本は間違っている』ということだ。恐らく、それは、その昔、漱石がロンドンを訪れたときに感じたものに共通するものであろう。たとえ、景気が悪くても、生き生きとしていて、決して、あくせくしていないのだ。
 フランスは日本以上に所得格差が大きいので、大衆が求めるジュエリーといえば、いわゆるアクセが中心で、スワロフスキー・エレメントを使用したものなどは高額品の部類に入り、庶民には縁がない。
 そうした中、パリジエンヌは、どんなおしゃれをしているかをじっくり観察してみたが、これといって、目に留まるものはなかったが、ただ、オーソドックスなツーピースをニートに着こなすなかに、気品とスマートさを感じた。
 つまり、人に心地よさを感じさせるのがおしゃれで、普段着でも良いから、場の雰囲気に合ったものをきちんと着こなすのがうまい。それは、ココ・シャネルがポリシーにしていたことと同じだ。
 また、それは新たなジュエリー市場を開拓する上で『ピンキリ戦略』が重要なことと同じだ。
 手っ取り早くいうと、ジュエリーは、何よりも着用したときに、おしゃれで目立つことが重要なのだ。そして、少なくとも、値段に見合う装飾価値を持っていることが不可欠なのだ。装飾価値にはユニーク性、個性、美しさ、面白さ、フアッシヨン性等が入る。
 宝飾品といえば、希少価値が何よりも大事と考えられがちだが、それは何千万円という高額品について当てはまることであって、多くの場合は、着用したとき、おしゃれのポイントとして、ユニークで目立つとことが必須の条件なのだ。
 しかし『ピンキリ戦略』といっても最初から安い価格のジュエリーを作るということなど考えないほうがよいし、また、それは不可能だ。素材は何でもよいから、2千円位まででファションコーデを、おしゃれ且つ個性的に演出できる商品化可能な、今までにない楽しいアクセや装身具のアイデイァを数多く見つけることがスタートだ。デザインだけでなく、商品アイデイァそのものがおしゃれ!といわれるような、ファシヨントレンドに沿ったものであることが望ましい。ヘアーや顔、首、腕、腰まわり等,ファシヨンコーデのキメを演出するもの、又、おしゃれに羽織るスカーフのリングやqクリップのような付属品でもよい。
 使用素材は、例えばプラスチック、スチール、K18イエローゴールドと、実売につながるものを採用する。また、機能性や使い勝手のよさを考え、それになじむ素材を採用することも大事だ。
 要は、従来の宝飾品という概念を離れて、その時々のファッション・コーデの演出を助けるおしゃれでカジュアルな新アクセサリージュエリーの商品化を幅広く展開することにある。次回、その展開を更に考えてみよう。     【続】
■必要なのは、成長戦略ではなくして「成熟戦略」だ E ■2013年8月12日 月曜日 11時39分4秒
 
趣味、教養、文化など、今まで手付かずの分野にも大きな潜在市場がある

 様々な機会に「株価の動きに一喜一憂する必要はない」と言ってきたのだが、今回だけは、ちょっと事情が違った。
 3月末に、ある雑誌に、『安倍内閣発足のご祝儀相場は4月一杯で終って、その後、日経平均株価は1万円から1万2千円台、また為替相場は、現在の1ドル94円台からやや円高の92円台〜93円台で推移するだろう』と書いた。ところが、4月4日、日銀が大幅な金融緩和を発表すると、週明けの4月8日には1ドル98円の大幅円安で、株価も1万3192円となり、その後は約2ヶ月の間に株価は1万5627円まで上がり、為替も1ドル103円の円安になった。
 しかし、その後に起こった株価や相場の激しい乱高下は、安倍総理も黒田日銀総裁も全くの想定外だった。6月22日の日経平均1万5627円が6月13日には1万2445円へ下落、為替も93円の円高になリ、4月からに積み上げたもの全てを吐き出して振り出しに戻ってしまった。
 そもそも、アベノミクスとは、そういうものであった。『アベノミクス』という耳障りの良い言葉と大幅金融緩和が誘導剤となって円安が進行、株価は大幅に急騰、景気がよくなったようなお祭り騒ぎ気分が一時あったものの、経済の実態はまだ何も変わっていないので、あっという間に株価は下落、大幅円安も修正されて、今年の上半期が終わった。
 株価が下がったというのは、だいぶ上がったので、この辺でひとまず売って儲けをいただいておこうという人が多かったというだけの話だ。
 問題は、円安のため、あらゆる生活物資の値上げが着実に行われ、給与の改善は後回し、それに増税が加わって、今年後半、庶民の暮らしは一段と厳しくなる。
 アベノミクスの成長戦略は、これといったパンチ力のあるものがないことは、発表直後の株の失望売りで証明されている。
 トップセールスと称して、海外にまで原発を売り込みに行く必要など全くない。内需を確実に拡大していくには、各産業の既存市場を成熟化する効果的な方策を再考して、その実現のため着実な努力を図るべきだ。
 また直面している高年齢市場は必ずしもマイナス面ばかりではない。今まで体験したことのない興味深い新しい生活提案をしていけば、新しい需要を創生することはできる。確かに、老齢化すれば、行動に機敏さがなくなるし、飲み食いする量も減ってくるが、生活を多彩に楽しみたい、今までよりも楽な生活をしてみたいという欲望はより大きくなる。いわば、量よりも質やプラスアルファの価値を求める消費行動になってくる。
 それは、生活必需の衣食住の分野は勿論のこと、趣味、教養、文化など、今まで手付かずの分野にも大きな潜在市場がある筈だ。
 今日でさえ、高齢者マーッケットというと、せいぜい介護関連産業や高齢者の医療分野、健康市場、葬祭市場などが脚光を浴びているが、そんなみみちい市場ではない。
 つまり、前世紀には存在していなかった市場だが、今日、その規模は全人口の4分の1を占め、今後さらに拡大し続ける巨大市場なのである。そして、この市場の需要開拓に取り組み、需要を創生することこそが、日本経済再生のへ有力な道なのだ。つまり、高齢者に関連するあらゆる市場を成熟化をせていくことが目的で、その理念は『人に優しい社会』作る』ことなのだ。マーケティング視点からいえば、昔の高令者と今の高齢者ととの違いは、その規模と潜在購買力の大きさにある。
 そして、重要なことは、高齢者の視点に立って、今まで経験してこなかった楽しくて鮮度ののある生活体験やこんなことをしてみたいという人生を豊かにする提案をしていくことだ。当然、そのなかには、宝石や貴金属、ジュエリーも入るが、今までのような在り方では駄目だ。そんなことを含め、今回触れなかった、『ピンキリ戦略』について、次回、触れることにする。【続】
■必要なのは『成長戦略』ではなく『成熟化戦略』だ C ■2013年6月19日 水曜日 13時18分45秒

ジュエリー市場のピンキリ戦略・その具体的展開

 円安歓迎ムードの中、いつ1ドルが100円を超えるかが大方の関心事だったが、GW明けの5月9日、NYで1ドル=100円台を超える円安になったが、急速な円安を懸念する声が出始めている。
 というのは、多くの生活物資を輸入に頼る我が国としては、大幅に円安が進行すれば、生活関連商品は軒並み値上がりするのは当然だ。そして、給与が増えないでモノの値段だけが上がれば、アベノミクスは破綻するが、その恐れが出てきたのだ。
 安倍政権としては、参院選挙戦ではアベノミクスの輝かしい成果で、議席数の与野党逆転を図るつもりだったが、何せ円安が先走りしてしまい、それを制御するのが難しい。
 主要企業の今年3月期決算が発表されたが、円安メリットを生かせるのは、トヨタ、
ホンダ、富士重工など、クルマの海外輸出ウエイトの高い企業で、逆に海外で調達したものを国内で販売する企業にとっては、値上げをせずに、今まで通リの価格で販売するには、生産、販売両面において、さらなるコストダウンが強いられる。
 前回も触れたように、今、消費者ニーズの中でもっとも重要なのは、『価格の要因』だ。景気が悪い中で、モノの売れ行きに大きな影響を与えるのは価格だが、不景気が続くなかで、低価格商品戦略によって、新たな市場を確立した成功例として『ファスト・ファッション市場』をあげたが、これとて、大幅な円安になれば、値上げも不可欠で、おのずと需要にも限界が出てくるだろう。
 ここ数年、多くの自動車企業が製品輸出の為替相場として目安においていたのが1ドル=90円だそうだが、これに比べても1ドル100円超の急激な円安は、輸入に頼る企業にとっては、全ての面で準備不足で、困ることばかりだ。
 さて本論に戻ろう。前回、今から30年以上も前のサントリーの価格によるブランドセグメンテイション戦略を紹介したが、ジュエ3リーでは、どう考えればいいのか。
 価格に基づきジュエリーのブランド展開を行っている例は、ほとんど見当たらないが、あえてあるといえば、デザイナーブランド『ノブコイシカワ』のディフユージョンライン『As Time・アズ タイム』で、市場導入はバブル経済崩壊直前の1989年であった。
 このラインについて、故石川暢子氏は『デイリー&カジュアルをテーマにした、日常的に使いやすく年齢ではなく感性で選ぶ品揃え』で、『娘や孫とも共有できるかわいらしさと大人ぽっさを兼ね備えたシックなデザインが特徴』で、『ワンランク・アップを望むならば、この先にはブテイックライン、オートクチユールラインがあり、子供に譲っても順に揃えていけるように、ラインが違っても、おなじテイストでコーディネイトできるよう工夫されている』ラインだという。 
つまり、『ノブコ・・イシカワ』ブランドは、高級ジュエリーラインのオートクチュールライン、ブテイックラインからスタートし、それらを広く普及させる戦略ラインとして、ブランド『アズ タイム』を導入したのだ。
 勿論『アズ タイム』はここで話題にしたい『キリ』の部類に入るジュエリーではなく、ハイクオリテイ・ブランドジュエリーだが、『ノブコイシカワ』ブランドの普及ラインであり、同ブランドの中では値段も安く、消費者の買いやすさを狙った戦略商品だ。  と考える。
 大変残念なことだが『アズ
タイム』の市場導入直後、バブル経済は崩壊、市場環境が一変したので当初意図した『ディフユージョンラインとしての役割』を十分果たすこととは出来なかったとは思うが、これからのマーケティング戦略として、学ぶべきことは多いと思う。
 前回も触れたが、今まで以上に幅広い価格帯の商品を戦略的に導入することによって消費者が持つ価格に対する宝飾品のバリアーを取り除くことが必要だ。
 つまり、『宝石や貴金属は高くて買えない』と思い込んでいる人が、実に多い。消費者のこうしたマインドを打破しないことには、ジュエリー市場は大きくなれない。
 次回も価格戦略の展開について、さらに考えて見よう。【続】 
■必要なのは『成長戦略』ではなく『成熟化戦略』だ B ■2013年5月1日 水曜日 10時32分7秒
 
ジュエリー市場を魅力ある市場する『ピンキリ戦略』

 モノの売れ行きが悪いというのは、その商品が消費者の欲求にあっていないか、それとも、モノが買えないほど、景気がわる過ぎるかだ。
 だが、モノが売れないのを景気のせいにしていることが多いが、モノが売れない本当の理由は、消費者ニーズに合わない商品を供給しているからで、そのことに気がついていないことが非常に多い。
 消費者ニーズの中で重要なのは、『価格の要因』だ。景気が悪い中で、モノの売れ行きに大きな影響を与えるのは価格だが、バブル経済崩壊後の20年、不景気が続くなかで、低価格商品戦略によって、新たな市場を確立したのが『ファスト・ファッション市場』だ。つまり、提供した商品価格が現在の消費者ニーズにあっているのだ。
 大きな右肩上がりで急激な経済の成長拡大を見せていたバブル経済が突如崩壊したため、それまでの生活環境は一変、小さくなった懐具合にあわせた消費をせざるを得なくなり、その求めに応じた商品開発が必要であった。
フアスト・ファッションもそうだが、商品の値段を1円でも安くして購入を促進させるため、スーパーやコンビニエンス・ストアがすすめているPB商品の開発も、その一つだ。
 然るに、宝飾品の場合、景気が低迷しているにも関わらず、『価格』を軸にした商品開発があまり考えられていないのは府に落ちない。
 前回指摘したように宝飾品作りに、『素材の多様性』と商品特性である幅の広い価格帯という『ピンキリの優位性』を大胆に活用すれば、もっと消費者の欲求に合致した面白くて魅力的、しかも値段が安く求めやすいものを供給することが出来ると考える。
 宝石や貴金属は歴史的にも洋の東西を問わず、長いこと王侯貴族や富豪など、一部の特権階級が所有するモノであり、庶民には縁のないモノであった。そのため、高価なのは当然で、値段が云々されることなど、ほとんどなかった。今でさえ、宝石というモノは、ピンのものだけで、それ以外は、宝石として認めることは出来ないないという人が、業界人に多いのも事実だ。
 然しながら、宝飾品が大衆商品になった今、ピンだけではマスのビジネス展開は成り立たないので、『ピンキリの価格戦略』を有効に活用したマーケテイングがジュエリー市場の活性化をもたらす。
 1970年代、サントリーがブランド構築に使ったのは、『価格による商品差別化戦略』である。
 一番値段の安い『トリス』で若者のウイスキー需要を開拓、500円台の『レッド』と800円台の『ホワイト』で若手サラリーマン層を開拓、中・高年のウイスキー党を1400円台の『角』でカバーし、1900円台の『オールド』で裕福層とバー・クラブの需要に対応、ウイスキー輸入自由化に対しては、大阪万博の年に発売された2400円台のプレミアム・ウイスキー『リザーブ』でスコッチ攻勢に対抗、それに、最高級ウイスキー、1万円台の『インペリアル』を用意、フルの価格帯ラインでウイスキー黄金時代を確立したのだ。
 これと同じ手法がジュエリーにも利用できると思う。すなわち、今まで以上に幅広い価格帯の商品を戦略的に導入することによってジュエリーの販売機会を拡大することが可能だ。それは、とりもなおさず、消費者が持つ価格に対する宝飾品のバリアーを取り除いていくことになるのだ。
 『宝石』と聞くだけで『無理!無理!無理!』と即座に口走る女性が多い。
 つまり、『宝石や貴金属は高くて買えない』と思い込んでいる人が、実に多い。
 今までの宝飾品の供給と販売の仕方が、消費者にこうしたマインドを植えつけてきたのだ。これを打破しないことには、ジュエリー市場は大きくなれない。
 そのために業界がやるべきことは、宝飾品やジュエリーのなかには、誰もが買うことの出来る値段のもので、面白いものがいろいろあることを具体的に見せてあげることだ。次回、その価格戦略の展開について説明しよう。      【続】 
■必要なのは『成長戦略』ではなく『成熟化戦略』だ A ■2013年4月2日 火曜日 15時54分46秒

日本のジュエリー市場は、いまだ幼児期にあり、本格的な市場づくりは、これからである

 だいぶ前のことだが、『不景気の時代は、白モノだけを扱っていれば失敗はない』という先代の教えを守れば商売に間違いはないという話を老舗の問屋の社長から聞いたことがある。つまり、どんな時代も宝石屋の商売の基本は、ダイヤと真珠にあり、これさえ、ちゃんと扱えば、失敗のない商売が出来るというのだ
 確かにそうかもしれないが一方で、宝石の大きな魅力である色の楽しさが欠ける商売であり、宝石やジュエリーをつまらないものにしてしまう。
 当然なのだが、ジュエリー市場は、売れるのの優先のモノつくりや仕入れなので、色石は回転率がよくないので、作るほうも売るほうも避ける傾向が強い。そのため、扱う宝石やジュエリーは、彩りの多様性に欠け、奥行き感がなく、その世界を底の浅いものにしているのが現状だ。
 色石の中でも、とくに半貴石は、登場する機会が非常に少ない。ガーネット、ブラッドストーン、サードオニキス、シトリン、ラピスラズリなどは、誕生石のラインアップであるにも拘わらず、陽の目を見ることはほとんどない。
 外国ではそういうことはないのだが、日本で女性に『君の誕生石は?』と聞くと、いわゆる五大宝石以外の人の場合、引け目を感じていると思わせる答えが非常に多い。
 たとえば『四月に生まれれば、ダイヤなのでよかったのに、私の誕生石は○○なの』とか、『ガーネットはメジャーではないので、母がくれたパールを誕生石にしています』『誕生石はアメジストだけど、宝石屋さんに売っていないのでダイヤにしました』等々。
 この原因は、今まで、業界が半貴石を素敵な宝石として取り扱ってこなかったことに起因する。(本稿で「半貴石」の言葉を使うこと自体、問題があるとは思うが、表現の都合上、使用させていただく)カラフルで、ジュエリーの魅力をこの上なく高めるのが、貴石、半貴石を含めたカラーストーンだ。
 これ以外に、アクセなどに広く用いられているタイガーアイやジャスパーなどの天然石もジュエリー素材として含めるべきだ。
余談だが、ナビビアにあるでビアスのダイヤモンド鉱山、CDMの周辺は、ほぼ砂漠状態の砂地だが、そこかしこにタイガーアイやジャスパーが点々と転がっている。
 鉱山のセキュリテイはダイヤには非常に厳しいが、タイガーアイやジャスパーには目もくれないので、鉱山見学者の中には、お土産に拾っていくものもいるらしい。
 ところで、ジュエリーデザインは、世界中どこへいっても小さくてかわいらしい、いわゆるキュートなデザインが好まれるのは万国共通だが、使われているジュエリー素材はダイヤ、貴石、半貴石、天然石と非常に幅広く、彩り豊かで、デザインもバラエティに富んでいて、日本のようにダイヤモンド一辺倒で、色気のないものではない。
 やはり、宝石やジュエリーは、つけて楽しく美しいものでなければならないし、また見ても楽しく美しいものでなければならない。
 述べたような材料をフルに活用すれば、カラフルで装飾豊かな、おしゃれな着こなしに欠すことの出来ないジュエリーをリーズナブルな価格で供給することが出来るのだが、この点について、日本のジュエリー産業は、ほとんど何もしてこなかったともいえる。 
 まだ前々から触れているが、宝石やジュエリーは『ピンからキリまでのものがある』が、幅広いプライス・レンジという有利な商品特性をモノづくりに十分生かしてきていない。
この点は、次回詳しく触れるが『ピンキリの優位性』も『素材の多様性』も、いまだ、ジュエリーづくりに生かし切れていないし、市場を成熟化していくのに不可欠な要件である。そして、まだ幼児期にある日本のジュエリー市場を成熟したジュエリー市場にしていくことが今世紀の課題だと思う。【続】
■日本のジュエリー産業再生飛躍の道を考える 第2回 ■2013年2月15日 金曜日 11時15分8秒

アベノミクスは上手くいくかーその難しさを考える

 昨年末、安倍内閣が発足し、その政策期待から円安が急速に進み、株価も大幅に値を上げ、景気回復が芽生えたとの明るい賀詞交款会が増えたが、恐らく、これも短期の現象で終わる可能性が高い。というのは、今の動きに実績の裏づけがなく、ご祝儀相場みたいなもので、基本的に日本経済の構造はなんら変わっていない。
 いずれにせよ、日本経済の今後はデノミ脱却と経済成長を2%のインフレ達成と無期限の金融緩和策で実現しようとする極めてリスキーな『アベノミクス』の成否にかかっているが、失敗すれば、国家財政は破綻し、奈落の底だ。
 すでに同じような試みは、小泉内閣当時に行われている。バブル崩壊で破綻した日本経済再建を図るため、史上最大規模の国債発行と金融緩和策で対応したが、効果なく挫折している。失敗した原因は何かといえば、バブル時代には好景気に隠れて全く見えていなかった『急速に進む少子高齢化による個人消費の大幅減退』に対応した的確なマーケテングがなされていなかったことに尽きる。
 つまり、日本の消費構造が質・量ともに激変しているにもかかわらず、今まで通りのやり方で、モノを生産し、販売してきたところに問題があった。実際、我が家の年間の家計費でさえ、一昨年は400万円だったものが昨年は100万円も減っている。当然だが、高年齢になるにつれ、食べる量だって減るし、必要とする生活用品も若い時より少なくて済む。
 老齢化と人口減少で消費規模そのものが大きくシュリンクするのは当然だ。消費規模の大きな減少という重大要件を『右肩上がりの時代』に見逃してしまい、この20年間を突っ走ってしまったことの付けは大きい。
 今までも、国民が持っている1兆4千億円の金融資産の一部でも消費に回してもらえば経済は好転するのにといわれてきたが、ここにきて国は、裕福な高齢者の懐を消費にむけさせるため、子や孫に対する教育資金の生前贈与を優遇税制の導入で実現しようと考えている。
 然しながら、そんなことよりも、日本の将来を左右する財政健全化という大きな問題を抱えている。今のように国債という借金で国家予算の半分近くを賄う支出形態では、国の財政は早晩、破綻する。にもかかわらず『小さな政府への方向』に、いまだに明確な舵取りが出来ていないし、政権交代で『国の財政健全化問題』は忘れられた存在になっている。
 『安倍ノミクス』に対する主要な海外論評の多くは『日本政府は1千兆円もの借金体質財政をどうするのか』という点と『自国輸出を有利に展開しようとする円安誘導』に対する疑問だ。
 つまり、極端な円安誘導が契機になって、日本国債が暴落、円の信用不安で世界経済が再び大混乱に陥ることを西欧諸国は恐れているのだ。
 財政健全化をないがしろにし、万1『アベノミクス』が上手くいかないと、重大な危機を招く。 
 とくに昨年は過去最大の貿易赤字になったが、これが慢性化すると大変なことになる。
 選挙で自民党を選んだ以上、提案されている政策で日本経済再建のため、頑張ってもらわなければならないが、景気回復と財政健全化を両立させねばならない重い課題なのだ。(完)
■景気は厳しいけれどジュエリー業界は市場の方向性が見えてきた中で、今年はビジネスを活性化出来る年になる  ■2013年2月14日 木曜日 14時52分27秒

年末の総選挙の結果がまだざわめいているなかで新年を迎えた

 予想通り、自民党が大勝したが、今年は多くの経済予測が示すように、国内外ともに、景気はさらに悪化する見通しだが、こうしたなかで、ジュエリー業界だけは、長年続いた低迷から脱却できる機運が盛り上がる明るさのある年になると思う。
 というのは、漸く、不況下のジュエリー時代に即応できる商品開発と商売のやり方が定着し始めているからだ。
 どう考えても、従来からの貴石と貴金属を素材にした宝飾品だけにしがみ付くビジネスでは、商品の値段を下げても今の時代、購入できる人は限られるし、売り上げもおのずと限界があり、商売がジリ貧になるのは当然だ。
 バブル経済崩壊後、ファスト・ファッションが日本人の生活に定着してきたなかで、宝飾品も多くの庶民の支持を得るには、提案するものを変えざるをえなかったのだが、時代対応がまずく、市場は縮小一辺倒で今日まできてしまった。
 その間、ファスト・ファッションが普及するなかで、着こなしを『よりおしゃれに見せる小物の一つ』として、アクセはファッション・コーデに欠かせないものとして市場に定着してきた。ジュエリー業界が、全く相手にしなかった商品群だ。
 現在、帽子からバッグ、ブーツまでフアッシヨン一式への支出は平均2万円前後なので、アクセに払える金額はせいぜい3千円前後なので、この値段では、素材に半貴石すら使用することはできない。
 若い女の子用のアクセとしては、これでもいいのだが、中年層ー3、40代の女性には『装飾性とファッション性をコンセプトにした低価格のアクセ』では物足りず、『大人のアクセサリー』としての要素が必要なようだ。それは、単なるアクセサリーではなく宝飾品としても使えるものだ。
 一言でいえば、『アクセサリー・ジュエリー』というコンセプトのものだ。然しながら、カギは『価格』で、背伸びせずに無理なく購入できる値段のもので、アクセとして、装飾性、ファッシヨン性の機能があり、センスもよく、表現が大きくて着用したとき目立つことが必須であり、且つ宝飾品としての価値を持つものというのだ。
 となると、自ずと貴石や金、プラチナなどの貴金属の使用は価格の点で制限され、半貴石、天然石、シルバー、金メッキ、スワロフスキーエレメント、ビーズなどの素材を使用したものが、アイテム、デザインともバラエティ豊かに市場に登場しだている。
 かって、1万円や2万円の低価格帯ジュエリーで小さいけれどダイヤがついているというものがもてはやされていたが、その時代はもはや終わり、素材にこだわらず、まずは、おしゃれで目立つこと、表現優先で装飾性の高いものが求められているのだ。
 今まで、彩り豊かな宝石なのに、『半貴石はね』といってメーカーや小売サイドから敬遠されていたトパーズ、ペリドット、アメシスト、シトリン、ガーネット、トルコ石、オ二ッキス、メノウなどを使ったアクセサリー・ジュエリーが最近人気を得てもてもて状態だが、それらを製造販売しているのは通販業者やアパレル企業などの新規業者で、既存のジュエリー企業は、まだ様子見のところが多い。
 販売の相乗効果を求めて、ユニクロとビックカメラがジョイントする時代だ。新しいジュエリービジネスの流れが明確に見えてきたなかで、バスに乗り遅れないためにも、早急に舵を切ることが重要だ。
 どんなビジネスにも『こだわり』が大切だ。しかし『こだわるということ』はビジネスの奥義を極めるための努力であって、ビジネスを停滞させるものであってはならない。
 ジュエリー業界が過去にとらわれることなく、新しい時代の価値観を的確に捉えて行動していくならば、今年は停滞しているビジネスを活性化することの出来る年に必ずなる。        【完】
■日本のジュエリー産業再生の道を考える 第28回  ■2012年12月13日 木曜日 11時0分24秒

来年の行方は?国に頼らず、自らの手で難局を切り抜けていくことが大切
  
 今年の中国の経済成長率が当初目標の8%台達成は無理との見通しの中で、わが国はもとより、欧米先進各国に大きな失望感が広がっている。
 中国の経済成長率鈍化の最大要因は、EC諸国の経済情勢が予想以上に悪く、また米国の景気回復が大幅に遅れ、そのため、中国からの輸出が大きく落ち込んでいるからだ。
 また中国政府がとっているインフレ抑制策も国内需要に停迷をもたらし、都市・地方の格差問題の再燃が懸念される。世界経済成長の牽引役である中国経済が一時的にせよ、スローダウンしていることは、依然として改善の見られないユーロ危機下にある世界経済にとって重大な問題だ。
 万一、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、イタリアの国家財政が破綻したら、その被害総額は1700兆円になると推定され、最大負債国はフランスで300兆円、日本の負債も8番目に多く85兆円になり、ほぼ一年間分の国家予算が吹っ飛ぶ損失になる。
 ユーロの財政破綻で、世界恐慌を上回る悲劇的事態にならぬよう世界銀行は中国にも追加の金融支援を依頼しているが、いまだに色よい返事は無く、期待はずれになりそうだ。
 中国への期待は日本も同じだ。今、中国がこけたら大変なことになる。然しながら、日本は尖閣問題を抱えており、状況は非常に厳しい。 
 今年上半期の貿易収支は、近年に類を見ない3兆2千億円もの大幅赤字だ。しかも、懸念すべきは、10月の貿易統計は、4ヶ月連続の赤字で、とくに、自動車の対中国輸出額、前年同期比82%減という記録的な落ち込みが大きく響いている。
 もちろん,尖閣諸島問題が大きく影響しているが、対中貿易を改善することが出来ない限り、当分、貿易収支は赤字基調となり、いよいよ赤字国債発行による財政資金の国内調達にも限度が見えてくる。   
 こうした状況下で迎える来年は、どうなるのか。
 いま、日本にとっての最重要課題は『安定した政権の確立』と『日本経済成長戦略の実施プランの実行』だ。 
 漸く国会は解散され、来る12月16日に総選挙が行われるが、この1年、大臣も与野党含めて国会議員は、いったい何をしているのかが全く分からない「体たらくの政治」に、国民はおろか、先進諸国の指導者も愛想尽きた感じだ。
 こうした中で、10月26日、民主・自民両党に対抗する第三極の政党として石原新党結成が発表されたが、政局の話としては話題性はあるが、これで日本の政治が今までよりも良くなるという保証は何も無い。3年前に政権が自民党から民主党に変わったが、だからといって、政治が良くなったという事実は全く無く、公約としたこととは大違い、全て官僚の言いなりで、自民党時代よりも悪くているのは事実だ。
 大変残念だが、誰が政権を掌握しようが、民意に革命的変革がおこらない限り、官僚やアメリカの言いなり政治が続くことに間違いはない。
 新しい年においても、国家を運営する政治に大きな変革を期待することは出来ない。
 そのため、世界の経済悪化の中で日本経済は更なる悪化の道を辿り、今年以上に経営環境は厳しくなる。
 鳩山政権時代、赤字国債発行額が青天井にならぬよう発行限度額を決めたが、これを撤廃しようという危険な発言を安倍自民党総裁がしている。
 国内外ともに閉塞感が強まる中で、政治の面でも経済の面でも、焦りが出てくる年だ。
 企業も個人も「自力」が試される年だ。自らを律して難局に当たるべきだ。【続】
■日本のジュエリー産業再生の道を考える 第27回 ■2012年12月13日 木曜日 10時56分48秒

領土問題、近隣諸国とどう付き合えばいいのか そのA

 その後の日中関係は悪化の一途だ。世界銀行及びIMF東京会議を中国代表はボイコットしたし、中国市場での9月以降の日本車販売台数はそれまでの月の半分しか売れず、トヨタは中国工場の年内生産の中止を決めた。
 対中貿易も輸出入ともに減少傾向が顕著になり、中国からの来日観光客はゼロに等しく、日中関係の悪化は、日本経済のみならず、世界経済への影響も無視できなくなってきた。
 今回の日本政府による『尖閣諸島領有宣言』は、胡錦濤国家主席の面子を潰したものなので中国政府としても、そう簡単には引き下がれない大問題なのだ。中国側にとっては、国交断絶をしてもおかしくない外交大事件なのだ。
 今の状態では、何十年時間をかけても解決は出来ない。
 解決手段として唯一あるのは、日本政府としては出来ないことだろうが、『国有化宣言』をいったん、棚上げにして、お互いの言い分を話し合う場を設けることだ。つまり、白紙撤回することしかないし、そうすることによって、日中関係は『雨降って地固まる』のだ。日本政府は『日中間に領土問題は存在しない』と一方的にいっているが、領土問題は相手あっての話なのだ。
 40年前の日中国交正常化交渉の席上、田中角栄首相と周恩来首相との間で、尖閣諸島の領有問題は先送りするとの非公式の合意があったとの伝聞もある。
 最近、国籍がどこであれ、グリーン・ビザ無しで居住できる世界唯一の町、ノルウエーのイヤーラスト・ビエンの存在を知ったが、その背景は、米・ソ・ノルウエー間で、この島の領有権を争った歴史的産物からだそうだ。
 尖閣問題も、竹島問題も当事国相互にとって、どうすれば今日的なベストな解決が出来るかについて話し合うべきだ。そうしないことには、決することは出来ないし、日本が解決する努力をしない限り、欧米諸国からも日本は無視され、孤立することは必至だ。
 政府、外務省はもとより、多くの日本人は、今回の事態をあまり深刻に考えていないようだが、それは、とんでも無いことで危機的状況になる前に、賢明な手を打つべきだ。
 当然、日本のジュエリー業界にとっても、中国市場は将来にかけて巨大な需要の見込める最重要の市場だ。漸く、この市場に対して、わが国業界企業の取り組みが顕在化してきたなかで、今回の事態は極めて憂慮すべきものである。
 海外市場に進出する場合、危険負担はつき物だが、なかでも、その国の政情や社会情勢の安定性は、市場の潜在需要の大きさとともに、市場進出を決める重要な要因でもある。冷戦時代は、社会主義体制国家への市場進出は避けていたが、ベルリンの壁崩壊後は、世界を見る目は大きく変わってきている。
 今回の尖閣問題は、海外へ進出している企業は、自社に非がある無しにかかわらず、リスクを負わねばならない場合があることを示唆しており、企業のリスク管理のあり方に新たな課題を提起した。
 既述のように、先行きは不透明だが、ピンチをチャンスに変えるというポジテイブな姿勢で、中国国内で商売する日本企業は、中国の取引先との間で、良い関係を築き上げる努力をして欲しい。【続】
■日本のジュエリー産業再生の道を考える 第26回 ■2012年9月27日 木曜日 14時41分52秒

領土問題、近隣諸国と、どう付き会えばいいのか その@
 
 野田内閣による尖閣諸島国有化の決定で、日中関係は急速に悪化、緊張感が高まっている。 
 中国各地で行われた抗議デモで中国に進出している日本企業に大きな被害が出ており、先行きの見通しがつかず、現地工場の操業停止を検討している日本企業も出てきた。
 満州事変の発端になった柳条湖事件80周年にあたる9月18日を境に、中国政府はデモ抑制策に転じたので、今のところ一般民衆の対日抗議行動は控えられてはいるが、今後の中国政府の対日抗議行動については、まったく予測がつかないので、どうしようもない。
 今回の尖閣諸島国有化が日中間に大きな波紋を起こすことは当初からわかっていたことで、どうして、野田首相が石原都知事の挑発に乗ってしまったのかが理解できない。
 以前にも書いたことだが、中国には、ややこしいことは相互の理解の下に白黒つけずに曖昧ににしておこうという考え方がある。つまり、曖昧さに白黒の決着をつけるのに費やされる膨大な時間や犠牲を考えると、相互にさしたる支障がなければ、そのままにしておいたほうが良いという考えだ。
 しかし、暗黙の了解を破って、一方がこれに決着をつけようと強引に出てくれば、黙って見てるわけにはいかず、なぜなんだということになる。
 今回の日本政府による尖閣諸島の国有化は、まさにこれだ。中国政府には、尖閣諸島は日本固有の領土とは認めがたいという言い分があるので、いままでは曖昧にしてきたのだが、日本政府が国有化すると白黒の結着をつけてきたので、これに対して中国政府は、対抗措置をとらざるを得ないというのだ。
 歴史的に見ても領土問題は、決して簡単に解決されるものではない。イスラエル対パレスチナの例をあげるまでもなく、何千年の年月をかけても解決されないものもある。
 現在、相手国に占有されている竹島も国後・択捉の北方領土問題も然りだ。 
これから何十年、何百年、それぞれの返還交渉に時間をかけても日本が主張する形で解決されることは絶対にない。
 今回の尖閣問題について、自民党総裁各候補は領土を守ることの重要性を強調し、外交の強化策や自衛隊の海外派兵が出来る法改正の必要性などを訴えていたが、そんなことで、懸案の対中、対韓、対ソの領土問題を解決出来るなどとは思えない。
 歴史上、領土が他国の侵略によって奪われた経験を持つ民族に比べて、日本人の領土意識は確かに薄弱だ。
 日本は、第二次世界大戦で連合国軍に負けたものの、外国の侵略で領土を奪われたという経験は今までしていない。
 つまり、領土というものの大切さについて、身に染み込む形では分かってはいない民族なのだ。
 中国側は、尖閣問題を解決したいのなら、まずは日本が尖閣を国有化する前の状態に戻せという主張だ。これは日本にとっては応じられないことなので、当分の間、おそらく最低でも3〜5年の間は、政経、民間交流ともに、日中関係は大幅に後退せざるを得ない。当然、対中貿易及び中国本土でのビジネスは大きな打撃を受けるだろうし、中国観光客の来日も皆無に等しくなる。
 中国本土でのジュエリービジネス展開も、一工夫も二工夫もが必要だ。
 一方、尖閣問題の陰に隠れている感じだが、韓国の実効支配下にある竹島問題も将来に対して、ややこしい問題を抱えている。
 次回、領土問題について、どんな形で近隣諸国と付き合えばよいのかを考えてみたい。『続』
■日本のジュエリー産業再生の道を考える 7回 ■2012年9月19日 水曜日 14時47分59秒
見えてきた新しいジュエリー時代の方向性

 政府は、先月末、景気見通しの判断を、10ヶ月ぶりに下降修正した。
 昨年3月に起こった東日本大震災の復興事業が本格的にスタートした昨年秋以降、国内の経済活動は活発化してきたが、ユーロ通貨危機解決の方向が混迷を深めているなかで、世界経済の落ち込みは決定的なものとなり、このところ、日本の輸出も大幅減が続いている。
 しかも、政府の経済見通し判断に先駆けて、個人消費を示す各経済指標は、軒並み対前年比割れで、内需は悪化していた。今回の政府見解は、それを追認する形だが、政治が混迷を深めるているなかで、年末へかけての景気がどうなるかが大変気がかりだ。
 こうしたなかで先週開かれたJJFは、それなりの成果を上げた企業が増えているようだ。
 つまり、今のような経済環境下でも、売れる可能性のあるものは何かを、長年、追究してきたが、そうした商品が、漸く日の目を見るようになってきたのだ、まだ、まとまった数の売り上げにはなっていないので、業界全体を活性化していけるものになってはいないが、これからは、こんなものが売れるとの示唆に富んだものがでてきた。
もちろん、これのものを新しい市場に定着させていくには、これからも、試行錯誤が必要だ。と同時に、昔と違い、今は、世の中の移り変わりが速い。
 たとえば、、人気のAKB48の絶頂期は、最早終わり、次のユニットの登場を待つ時代だ。これは、なにも人気歌手やお笑い芸人に限ったことではない。
 つねに新しさをアピールするなかで、消費者の興味を引き続けない限り、ものを売るのは大変な時代だ。
 ビック・ブランド然りで、客のブランド・ロイヤリテイを維持するために、つねに、新デザインの導入を図り、客のブランドに対する興味の維持に努めるのだ。
 しかし、ジュエリーの場合は、そうはいかない。では、キーになるものは何か。
 それは、自分がいつまでつけても、愛着を感じ、飽きないというものだと思う。
 『愛着を感じる』というのは、
そのジュエリーの購入や取得動機に大きく影響される。また、多くの人にとって、ジュエリーは滅多に買うものではないし、値段も決して安いものではない
特別のものなのだ。
 となれば、購入の際、選ぶのは、『いつまでつけても、飽きない』とか『さまざまな機会につけられる』という要素が非常に重要なのだ。それに加えて、やはり『価格』の要素も重要だ。
 きわめて常識的なことだが、これらは、どんな時代になっても変わらないし、ジュエリー・マーケティングの基本なのだ。
 長引く不況のなかで、さまざまな試行錯誤を続けてきたが、やっぱり、たどり着くところは原点だ。今回のJJFでも、原点を踏まえたものへの注目が増えている。
 やはり、地道な努力を続ける以外、この不況を乗り切る道はないのかもしれない。
 私が言い続けてきたことは、『大変だけれど、宝石商ほど、素敵な商売はない』ということだ。
 商売として採算の取れることは重要だが、多くの女性に夢を与えることができる商売は、宝石商以外ない。
 バブル経済終焉後、もはや20年を過ぎたが、かっては、次世代をどうしようかと頭を痛めた『後継者問題』も最近は聞くことがなくなった。いまや、あのシャープまでが、経営危機に陥る時代だが、年月の経過とともに当業界でも、淘汰・整理が行われ、結局は生き残れるとこらだけが存在するのが、今の状況だ。
 記述のように、世の中の流れはものすごく速い。確かに、その流れを気にすることは必要だが、一方では、その流れを気にすることなく、己の道を突き進むことが、ジュエリー企業の経営には必要だと思う。
 そして、昔も今も、ジュエリー企業の強みである小規模の『家族経営』のよさを十分に発揮することが、『愛着のある飽きのこない、いつまでも大切につけられるジュエリーを生み出す原動力になる』に違いない。
 それは、今もって、スイスのハンド・メイドの時計が名声を世界に拍しているが、それと同じようなことが、日本発のジュエリーにやってくることを待ち望みたいし、それは、決して夢ではないと、今年のJJAを訪ねて思った。{続}
■日本のジュエリー産業再生の道を考える 第6回 ■2012年7月30日 月曜日 14時1分47秒

「これからの競争に必要なもの」

 前回で触れたように、産業が発展していく大きなエネルギーの一つは企業間の競争である。お互いに切磋琢磨、競争していく中で、より魅力的な商品が生れ、消費需要が拡大する中で、産業規模が大きくなっていく。しかしながら、世界経済の発展が新興国の手にゆだねられて以来、「競争」の中味が「価格」一辺倒になっている。
 確かに、技術で製品を差別化出来る時代はすでに終わり、いまや、所得水準の低いマーケットでモノを売っていくための最大のキーファクターは、「いかに安い価格で、商品を提供出来るか」である。
 新興国マーケットのみならず、バブル経済崩壊後、20年以上にわたってデフレに苦しむ日本経済の中での「競争」も、「価格競争」以外のなにものでもなくなった。
 デフレ経済が長期に続く中で、安さを求める消費者に「安さを提供できる企業、安さを追求している企業」が正義の企業のように思われているが、それはとんでもない思い違いなのだ。
 安さを追求するといっても、リーマンショックを契機に、一段と厳しいコストカットが世界市場を席捲しており、世界一人件費の高い日本の場合は特に厳しく、ほとんど、すべての企業が従業員を正規社員から非正規社員に切り替えてコスト削減を図っているが、その結果、従業員全体に占める「非正規社員」の比率は3分の1以上となり、労働賃金の安さと雇用の不安定さに拍車をかけている。
 価格競争が労働賃金削減によるものである場合、その弊害は極めて大きい。着実に低所得世帯が増えるとともに、消費は拡大が阻止され、景気低迷は長期にわたる。
 確かに、価格の高さゆえに米国市場で、ソニーは韓国製品に市場を奪われてしまったが、超円高で国内生産商品の輸出がどうしようもなくなってしまった今、新たな時代に対応した経済論理が必要のようだ。つまり、今までの経済論理では、日本経済は太刀打ち行かなくなってしまっているのだ。
 前々から言われているように、内需中心よりの経済態勢に切り替えて、新たな産業競争の基盤つくりに力を入れていくべきだ。
 つまり、これから必要とされる競争とは経済成長を立て直し、内需拡大促進に寄与する産業基盤開発のための競争であろう。
 具体的に言えば、その一つは、新エネルギー産業基盤の開発競争だ。その産業開発は、今世紀の産業革命に匹敵するものだ。
もう一つは、産業としての魅力を失っている農業に新しい時代の息吹きを吹き込み、経営として成り立つものに再興していく競争だ。
 つまり、これからの時代に求められている競争とは、単にモノを数多く売るための競争ではなくして、人間社会の基盤を改善していくための産業開発競争であり、その流れの予兆を感じることが出来る。
 ところで、宝石・貴金属は最も「価格競争」とは縁遠い商品である。また、そうあるべきだ。とはいっても、最近はどうなっているかは分からないが、以前の展示会での販売員の口癖は、「新商品です、売れています、お買い得です」であった。
 宝石や貴金属はもともと高価な商品なので庶民にはなかなか買えないものだが、値段の安さは、確かに魅力だ。そのため、宝石のバーゲンには大勢の人が集まるのは事実だ。
 では、宝石・貴金属の世界で、競争をするとすれば、なにですべきなのか。
 モノづくりのサイドからいえば、「自然が人間に与えてくれた宝石や貴金属の魅力を十分引き出して、持つ人の心を魅了することの出来る素敵なジュエリーをつくり出すこと」だし、ジュエリーをお客様に届ける小売サイドからいえば、「お客様に十分満足していただけるお買い物をしていただく空間や時間の提供」ということになろう。
 宝飾品づくりでの差別化の追及はエンドレスだし、宝飾店が客に提供するさまざまなサービスの追及もエンドレスなのだ。
80年代初頭、まだ、日本で宝飾店ティフアニーの名前があまり知られていない頃の話だが、当時、二ユーヨーク本店に押しかける日本人客に対して、店長が「ブルーのギフトボックスだけがティフアニーのマジックではないのだ」といったとかいわなかったとか。
つまり、宝飾店が客の心を虜にするために行っているさまざまな努力もまた、エンドレスなものなのだ。
 ジュエリーを取り巻く環境が大きく変った今、モノづくりの場で、また、モノ売りの場で、必要とされる競争とは何かについて、見直すことも意義のあることだ。
 時空を超えても変らずにやるべき競争と、時代の必要性に応じて、必要とされる競争というものがあると思う。
 今のジュエリー業界を活性化していくため、必要とされる競争、なかでもと時代の求めている競争とは何かについて、夏休みの宿題の一つとして、是非考えて欲しい。[続]
■日本のジュエリー産業、再生の道を考える 第5回 ■2012年7月25日 水曜日 16時34分34秒

『新しい時代の競争力を確立していこう』

 今年もあわただしく半分が過ぎた。消費税増税法案をめぐって、この半年、政局がらみの国会はだらだらと続き、会期を延長しで漸く消費税増税関連法案が成立した。
この間、どう見ても、国民のための政治が行われているとは見えず、党利党略や自分のことしか考えない国会議員などは、もはや不要だ。民主党もどうしようもないが、野党も野党で、自民・公明両党ともに同罪だ。今の状態なら、衆参両院で現在の半分以下の議員定数で十分だし、それで国政はやっていける。早急に国の経営の仕方を合理化する『議員定数削減法案』を可決して、さっさと解散して出直すべきだ。また、公務員定数も依然として多すぎるし、民間企業に比べて、議員歳費や公務員給与も高すぎる。
 今のような政治が続く限り、財政再建どころか、日本の国自体が滅びることにもなりかねない。国際社会の中で、いま、日本の国力の評価や信用力は低下しているが、こんなコトでいいのか。
 一刻も早く、国民のための政治を行ってくれるまともな政治体制を確立することが必要だ。
 宝飾業界には、政治が悪いとか景気が悪いとかなどと、いっていられる時間的余裕などない。というのは、この10年以上もの間、宝飾業界はジリ貧一途の道をたどっており、多くの宝飾企業は、事業の成長性を見つけだせないままに競争力を失ってきており、近い将来、飛躍できるラッキーなチヤンスに出会わない限り結束力も失い、産業としての基盤が崩壊する恐れさえあるのだ。
そこまで、状況は悪化してきており、業界の将来に対する見通しは非常に暗い。 
そのため、もう一度原点に立ち返って、これからの時代、宝飾業界はいかにあるべきかを検討して、その方向を目指して、再スタートすべきだ。
確かに、業界がなくなっても、宝飾品はなくなることはないし、宝飾企業も生き残るところがあり、すべての企業がなくなるわけではない。
産業を活性化し、大きく発展させていくエネルギー源は、企業の競争力である。企業の競争力なくして、産業の発展はない。企業同士、お互いに切磋琢磨して競争をしていく中で、より高い品質のジュエリーを創り出す技術やデザイン・手法が生まれ、その中で、商品の魅力は増し、新たな需要が増えていく中で、産業規模は大きくなっていくのだ。  そして、世界が認める高い評価のジュエリーの創出も可能になるのだ。
ジュエリーが売れないからといって、結果として、萎縮しきって企業の闘争心や他社との競争をすっかり忘れてしまった企業が多すぎる。
過去の成功事例がすべてダメだということではない。確かに、昔を回顧して、ただ懐かしがっているだけではダメだが、当時の旺盛な企業闘争心を思い返すことは、新たな時代へ企業が大転換を図るエネルギーにしていく点では意味がある。
今の業界見渡せば、業界を牽引していくリーダー企業というものが消えてしまって見当たらない。つまり、その昔は、将来、うちも、あんな企業になってみたいという目標とする企業が絶対にあった筈だ。
残念ながら、今はないようだ。でも、国内に見当たらないのなら、グローバルで探せばいいのだ。
宝飾企業として、理想とする企業の姿を実現するため、それぞれの企業がそれなりの努力を重ねていけば、やがては、業界全体に新しい時代の競争心が芽生え、やがて、それは力となり、業界全体を牽引していく大きなエネルギーになる。
今の時代、企業は生き残るため、価格競争に没頭しているが、商品の性格上、宝飾品は価格競争になじまない商品だ。
こうした時代だからこそ、
当業界が必要とする、競争力とは何かについて、真剣に考えることは大いに意味のあることだ。(時計宝飾美術新聞・12年7月号)
■日本のジュエリー産業再生の道を考える 第4回 ■2012年6月19日 火曜日 10時34分53秒

 関東地方では173年ぶりの金環日蝕を見ることが出来、また独立電波塔としては世界一高い東京スカイツリーの開業と、明るい話題でにぎわった5月であったが、一方で、世界経済は再び、暗雲が漂い始めている。
 前回の続きを書く前に、一段と厳しい状況に直面してきた日本経済について触れておこう。
 10日ほど前、欧米系の格付会社フィッチ・レーティングスが、日本国債を「AA−」(ダブルAマイナス)から一段階下の「A+」(シングルAプラス)に引き下げたことを発表、日本の国債の格付は、最上位の「AAA」(トリプルA)から数えて5番目の評価になった。
 フィッチ社の国債格付は21段階あるが、「AAA」は米国、英国、ドイツ、フランスで、「AA+」がニュージーランド、「AA」が韓国とベルギー、「AA−」が中国とサウジ・アラビアで、日本はイスラエルと並んで、その下の「A+」である。
 今回、格付が下げられたのは、「公的債務比率がGDPの2倍以上という世界最大の借金を抱えていること」と、現在、国会で審議中の消費税増税法案成立の見通しが全く立っておらず、「財政再建に対する切迫感がない」という判断からなのだ。
 この影響は、ギリシャの政局不安やスペイン国債のデフォルト懸念と相俟って、EU各国国債の金利の上昇を加速させ、世界同時株安も進行しており、新興国含めて、世界経済の先行きに大きな不安をさもたらす可能性が再びでてきた。
事実、この機にいたって、1ドル70円台の超円高に再突入、もはや、車・家電はともに輸出は採算が全く取れないところまできてしまった。どんなに優れた技術を持った商品でも、マーケットの価格に合わない物を売るのは難しい。
米国の市場で、ソニーが韓国製品に負けているのは、まさに、値段が高いからだ。
ところで、ジュエリーの場合は、どうなるのか。私が推察するに、かっての日本のように、これからの時代、いずれかの市場でジュエリーが大衆化することはないだろう。
というのは、まだその姿は見えていないが、今の資本主義の先行きを予測するに、所得格差はますます拡大する一方だ。富めるものはますます裕福になり、貧するものは、その環境から抜け出すことが一段と困難になる。当然のことだが、宝石やジュエリーは再び富裕層が独占するものに復帰する。この傾向は、先進国も新興国も雄マジだ。そうなると、宝石やジュエリーは値段などはどうでもよくて、その価値を決めるものは、希少性になってくる。
希少性があるがゆえに宝石であり、稀れなる装飾性ゆえに、高価なジュエリーなのだ。
世界経済が不安定さを増す中で、富めるものは資産保全のため、いかなる手段を取るべきかについて頭を痛めているが、こうした経済環境が、宝石やジュエリーの希少価値に対する注目を加速させている。サザビーズやクリステイーズなどのオークション流行りの時代だが、インターナショナルに、ターゲットである富裕層の宝石やジュエリーに対する現在の価値観をクリアにすることも大切なことだ。
それほど、世界経済は大きく変貌しており、明日が分からない時代に入っているのだから。〔続〕
■日本のジュエリー産業再生の道を考える 第4回 ■2012年6月19日 火曜日 10時19分52秒

 関東地方では173年ぶりの金環日蝕を見ることが出来、また独立電波塔としては世界一高い東京スカイツリーの開業と、明るい話題でにぎわった5月であったが、一方で、世界経済は再び、暗雲が漂い始めている。
 前回の続きを書く前に、一段と厳しい状況に直面してきた日本経済について触れておこう。
 10日ほど前、欧米系の格付会社フィッチ・レーティングスが、日本国債を「AA−」(ダブルAマイナス)から一段階下の「A+」(シングルAプラス)に引き下げたことを発表、日本の国債の格付は、最上位の「AAA」(トリプルA)から数えて5番目の評価になった。
 フィッチ社の国債格付は21段階あるが、「AAA」は米国、英国、ドイツ、フランスで、「AA+」がニュージーランド、「AA」が韓国とベルギー、「AA−」が中国とサウジ・アラビアで、日本はイスラエルと並んで、その下の「A+」である。
 今回、格付が下げられたのは、「公的債務比率がGDPの2倍以上という世界最大の借金を抱えていること」と、現在、国会で審議中の消費税増税法案成立の見通しが全く立っておらず、「財政再建に対する切迫感がない」という判断からなのだ。
 この影響は、ギリシャの政局不安やスペイン国債のデフォルト懸念と相俟って、EU各国国債の金利の上昇を加速させ、世界同時株安も進行しており、新興国含めて、世界経済の先行きに大きな不安をさもたらす可能性が再びでてきた。
事実、この機にいたって、1ドル70円台の超円高に再突入、もはや、車・家電はともに輸出は採算が全く取れないところまできてしまった。どんなに優れた技術を持った商品でも、マーケットの価格に合わない物を売るのは難しい。
米国の市場で、ソニーが韓国製品に負けているのは、まさに、値段が高いからだ。
ところで、ジュエリーの場合は、どうなるのか。私が推察するに、かっての日本のように、これからの時代、いずれかの市場でジュエリーが大衆化することはないだろう。
というのは、まだその姿は見えていないが、今の資本主義の先行きを予測するに、所得格差はますます拡大する一方だ。富めるものはますます裕福になり、貧するものは、その環境から抜け出すことが一段と困難になる。当然のことだが、宝石やジュエリーは再び富裕層が独占するものに復帰する。この傾向は、先進国も新興国も雄マジだ。そうなると、宝石やジュエリーは値段などはどうでもよくて、その価値を決めるものは、希少性になってくる。
希少性があるがゆえに宝石であり、稀れなる装飾性ゆえに、高価なジュエリーなのだ。
世界経済が不安定さを増す中で、富めるものは資産保全のため、いかなる手段を取るべきかについて頭を痛めているが、こうした経済環境が、宝石やジュエリーの希少価値に対する注目を加速させている。サザビーズやクリステイーズなどのオークション流行りの時代だが、インターナショナルに、ターゲットである富裕層の宝石やジュエリーに対する現在の価値観をクリアにすることも大切なことだ。それほど、世界経済は大きく変貌しており、明日が分からない時代に入っているのだから。〔続〕
■日本のジュエリー産業再生の道を考える 第3回 ■2012年4月17日 火曜日 10時6分50秒

日本のジュエリー企業の海外市場進出が遅れたのは、以前にも触れたが、バブル経済崩壊までは国内に大きな需要があったので、何も、海外へ出ていく必要はなかったのだ。
そのため、労働賃金の安い新興国にジュエリーの生産工場を置いて、そこで生産したものを輸入して国内で販売している企業はあるが、戦前戦後を通じて、海外でその地の消費者相手に本格的にジュエリーを販売してきた企業はミキモト以外にない。
漸く最近になって、メーカーや小売店の何社かが、海外市場でのジュエリー販売に取り組む動きがあるが、やや遅きに失した感がある。
それはそれとして、海外市場で十分通用するバラエティ豊かなジュエリーがハイジュエリーの分野にはあるが、それをどうやって売るのかが課題である。
必要なのは海外市場でのマーケティングの構築である。 
まず、ベストな方法は、人任せにせず、進出する市場での活動を自ら管理監督することが重要で、自前の営業所を置いてダイレクトに戦略展開をなすベきだ。費用はかかるが、新しいビジネス開拓に投資は付きものだし、また失敗したとしても、大損をしないよう保険をかけるようなものだ。
そうしないことには、現在の厳しい国際競争に太刀打ちすることはできないだろう。
すべてに先立ち重要なのは、進出する市場を徹底的に調査することだ。とにかく、文化も価値観も慣習も全く違う土地で商売しようというのだから、頼りになるのは市場調査から得られる情報だ。
とくに重要なのは、販売商品の最終ユーザーは誰なのか、そのプロフイ―ルとユーザーを的確に押さえることができる流通チャネルはどこなのかを明確にすることだ。
情報として必要なものに取引慣習やしきたり、現地法人設立に関する手続きや税法上の問題などもあるが、これらは、進出市場を決める際、必要とされる事前情報だ。それらの情報については進出時点で、変更や齟齬がないかを確認する必要はある。
インターナシヨナル・ビジネス成功の大きなカギは、現地でよきパートナーや有能なアドバイザーを見つけられるかどうかにある。
私が見る限り、スイス企業は歴史的にこの点で優れた結果を残している。
国土が狭く、国内にこれといった資源のないスイスは、その昔から必然的に世界の国々を相手に商売せざるを得なかった。そのため、海外進出に当たって、まずは現地在住の友人・知人に声をかけ、進出事業への協力を依頼するのが通例だ。
スイス人の場合、国内での就職機会も少ないのでインターナショナルでビジネス機会を求める人が多い。そのため、優秀な人材を海外でも容易に求めることが出来るのだ。この点が日本人の場合とは異なるのだ。
現地人、日本人、いずれを問わずせよ、よきパートナー、有能なアドバイザーを見抜く目を持つことも大変重要なことだ。
市場調査に話を戻すと、
ユ―ザ―の商品に対する嗜好調査をすると言っても、ジュエリーの場合は個々人のスキきらいで、その評価が大きく左右される。また現物そのものを見てもらわないと、正確な判断がとれない。そのため、ユーザーに現物そのものを見てもうことが重要だ。また、ハイ・ジュエリーの場合は特に、現物そのものを見てもらえないと、購入されるチャンスはまずないだろう。
 購入機会をつくるのに、日本が得意とする展示会スタイルによるセールス・プロモーションの展開が有効だ。この場合、日本と状況が異なるのは、治安上の問題だ。この点について、十分な配慮が必要だ。以下、次回で触れたい。【続】  
■日本のジュエリー産業再生の道を考える 第2回 ■2012年3月30日 金曜日 15時9分53秒

3月中旬、今年のアカデミー主演女優賞を受賞した映画『鉄の女・サッチャアー』が日本でも公開され話題を呼んでいる。
今から30年以上も前の話だが、彼女がイギリス初の首相に就任したとき、当時のデビアス市場調査責任者、キース・アイブスに、どう思うかと聞いたところ、『サッチャーは政治家として力があるので適任だと思う』との歓迎の答えが返ってきた。
当時、イギリスは、今の日本と状況は非常に似ていて、老人病に罹った國といわれ、その国力は、世界の七つの海をユニオン・ジャックが制覇したときの面影は全くなく、政治は誰が首相をやってもうまくいかない状態だった。
こうした中での女性首相誕生に対して、保守的で伝統を重んじる英国紳士はどう考えているのかが私の興味で、男性がダメなので、女性に首相をやってもらうの?という多少、皮肉を込めた問いだった。
彼はサッチャアーについて『非常にタフな政治家』とも言った。タフさ加減は、その後の彼女の政治手腕で証明されたが、当時、われわれは、そのような情報を持ち持ち合わせていなかった。
どうして今、サッチャアーに触れるかといえば、日本が現在直面している政治的経済的閉塞感を強引に打開して、難題に対して大変革を施し、前進させることの出来るタフな政治家が絶対に必要だと思うからだ。中庸を重んじる日本人に「鉄の女」のDNAを求めるのは無理なのかもしれないが。今のままで、政治がいい筈はない。
 ところで、課題である『ジュエリー産業、再生の道』だが、商品力から見て、少なくとも、クリエィティビティのあるハイ・ジュエリー分野は、デザイン、アート性、つくりの技術などの点で、日本のジュエリーは、世界のトップレベルにあり、その国際競争力は十分あると判断出来る。
というのは、過去にデビアスが主催していたDDA入賞実績や国際パールデザインコンテスト、JJAジュエリーデザインコンテストなどの入賞作品のアート性や創造性、ジュエリーとしての完成度などから見て、世界一級品の折り紙を付けることが出来るのである。
 然しながら、それら品質レベルのハイ・ジュエリーの海外市場進出が試みられたことは、ほとんどない。
 それは、前号で記したように、商売として、あえて海外へ出ていかなくても大きな需要の見込める国内市場だけで十分であり、好況時には、国内のハイ・ジュエリー分野で、デザイナー・ジュエリーとして大きな利益を挙げることが出来たからだ。
 そのため、後れをとってしまったのが、海外市場で日本のハイ・ジュエリーを販売拡大するマーケティング技術の確立である。
今から10数年も前のことだが、今年一月に亡くなられた石川暢子さんに日本の伝統的な美の世界をモチーフにした彼女のジュエリーを海外で販売することを打診したことがある。
丁度その頃、彼女のもとにもフランスでジュエリーを販売しないかとの話がきていたが、断ったとのことだ。というのは、何カ月もの間、何点もの高価な商品を海外に委託するという余裕はないからだった。話は進まなかったが、高額ジュエリーの販路開拓も、またどんな方法で販売するかのノウハウ確立のすべては、これからである。
つまり、国際競争力のあるハイ・ジュエリーは既に手元にあるものの、それを強力に販売していくマーケティング力が、まだない。その確立こそが、海外市場進出のカギになるのだ。次回、その方法を考えてみる。      【続】
■日本のジュエリー産業再生の道を考える 第1回 ■2012年3月12日 月曜日 16時18分0秒

日本を代表する企業、パナソニック、ソニー、シャープなどの今期決算は、数千億円の大幅赤字だ。最大の原因は超円高といわれているが、近い将来、円高状況が改善する可能性は全くなく、大幅な円安に進行する時期があるとすれば、国債暴落による財政危機破綻に直面したときであろう。当面は円高環境の中で、いかに業績を改善していくかが、企業に課せられた最重要課題だ。
然しながら、最近の企業の業績悪化は、必ずしも円高だけのせいでもないし、アジア新興諸国の安い労働力のせいでもない。例えば、韓国はウオン安のため、輸入する原材料は大幅に高騰、輸出製品の価格を抑えるため、いかにコストダウンをするかで、今まで以上の努力をしている。また、アジア新興国の労働賃金は急速な経済発展に伴い、大幅な値上がりを示しており、決して安いものではなくなってきている。 
確かに、超円高と海外の安い労働力が、日本企業の競争力を弱め、業績の足を引っ張っているのは事実だが、それ以上に問題なのは、新興諸国の製品に対して、日本製品が品質の優位性を失ってきたことだ。
かってのように世界市場で日本製品が群を抜いてトップ・ブランドになれないのは、今の製品が他国製品に対して、ユーザーが賞賛する抜きん出た商品力がないからである。つまり、モノとしての創造性の欠如と品質力の相対的低下のため、「メイド・イン・ジャパン」が、品質の卓越性を示す証にはならなくなってしまったのだ。
品質や性能がどっこいどっこいだったら、どこの国のユーザーも値段の安い方を買うに違いない。つまり、今の日本の商品は、韓国製や中國製に比べて、それほど品質が優れているのではないのに、値段が高いのだ。
米国の液晶テレビ市場をサムソンやLGの韓国メーカーに奪われたソニーは、国内のテレビ生産部門を不採算部門として海外企業へ売却することを決めた。
昨年、我が国の貿易収支は31年ぶりの赤字になったが、それは世界に誇る技術力と日本的合理性と勤勉さで築き上げてきた『貿易立国』の座から滑り落ちたことを意味するものだ。
アジア新興諸国企業は、既に、技術レベルや従業員の勤勉性は勿論のこと、日本企業の十八番だった「カンバン制度」もものにしており、経営の革新性や柔軟性では、残念ながら、日本企業の上といわざるを得ないのだ。あれほどまでの優位性を誇っていた日本企業がどうして、こうなってしまったのか?
端的にいえば、ある時期から、国内に1億人を超す世界有数の巨大で豊かな市場が成長発展し、そのため、海外で遮二無二努力する必要に迫られなくなってしまったからだ。
つまり、60数年前の日本人は、戦後の荒廃から立ち上がるため、海外市場を宝の山として無我夢中で働き、その結果、人々の暮らしが良くなるにつれ、あらゆる産業分野で、国内需要が急速に拡大、国内で十分商売できる時期が訪れ、その豊かさを大いに享受することが出来るようになったのだ。
わがジュエリー業界だって然りで、バブル経済崩壊前の約25年は、今の中国のように宝石や貴金属が飛ぶように売れたのだ。しかし、他産業も同様だが、絶好調の時代に次の時代を先取りする革新的な経営改革や画期的な技術革新に着手せず、土地ころがしに関心を払う日々であったのだ。そして、空白の20年の後に今が来ている。どうすれば、ジュエリー業界の再生は図れるのか、次回、その具体策を検討する。       【続】
■第18回 今の時期、業績の良い宝飾時計店もある ■2012年2月7日 火曜日 16時39分10秒

その秘策は、何なのか

年明け早々、長野県のA宝飾店社長から葉書が届いた。
直近の販売状況について書いてあった。それによると、昨年12月の売上げは、全店で前年比132、長野市で展開する2店の売上げは前年比146、141と、好成績を上げたそうだ。 
勿論、宝飾品、時計など、全商品での売上げだが、この時期、多くの店が前年比をクリアするのを苦労している中で、この数字を達成するのは、例外中の例外だ。
好成績の要因については、後日、A社長に聞いてみるが、私が推察するに、次のような要因が好成績を生んでいるのではないかと思う。
それは、A店が競合他店を寄せ付けない『長野県下一の一流ブランド宝飾時計店』という圧倒的に強い店イメージを商品の品揃えと販売実績を通じて確立、商圏内の主要客の一店集中獲得に成功しているのだと思う。
しかも『地域一番店』ではなく、名実ともに『県下トップ店』としての地位を確立したのは、この六,七年という極めて短い期間のことだ。
バブル経済崩壊後の宝飾品や高級時計の販売は、新規需要が急速に鈍化する中で、有力店同志が伸びない需要をお互い取り合う激しいシエア競争に終始してきた。
然し、長野は1998年の冬季五輪開催のため、他地域に比べれば、急激な景気悪化は避けられたが、五輪終了とともに、地元経済は大きく落ち込んだ。
こうした中で、長野市の一番店であった老舗宝飾店が破綻、当時、県下地方都市で商売していたA店にも県都進出のチャンスが訪れた。
同じころ、大都市圏で販売伸び悩みに陥っていた輸入ブランドウオッチ各社は、地方での売上拡大を図るため、地方都市の百貨店や時計宝飾一番店に新たな販路を求めて、盛んに攻勢をかけていた。この動きにうまく乗ったのがA店だった
A店は長野新店オープンにあたって、いままで長野市には存在しなかった幅広い海外有力ブランドウオッチを幅広く品揃えして「高級ブランドイメージを前面に打ち出したウオッチ・ショップ」をスタートさせた。
不況感が渦巻く中、多くの企業が新規事業への投資を見送る中で、A店は訪れたチャンスに挑戦、短期間で『県下一の高級宝飾店、世界一流のブランドウオッチ・ショップ』という店イメージを名実ともに確立、
商圏主要顧客を一店集中で獲得の出来る店をつくることに成功した。
しかしながら、同じような手法での店づくりを他でやっても、必ずしも成功するとは限らない。
というのは、商圏規模や競合他店の力量、高級品やブランド志向の客の購買力など、いろいろな要件が絡むが、それ以上に重要なのは、新しい店づくりに対する大胆な取り組みと思い切りのよさだ。それに運も成功を左右する。
閉そく感のある現在の市場環境を打開し活性化していくには、少々のことでは消費者を動かすことは出来ない。つまり、非日常性の度合いが高く物でないと少しも驚かないし、関心すら持ってもらえない。
それゆえ、今の経営を革新しようとするなら、自ら信じるところに従い、人からは途轍もないことをやらかしたといわれるような大胆な転換を図ることが必要なのだ。【続】
■第17回 四半世紀になろうとしている『平成時代』 ■2011年12月27日 火曜日 13時43分5秒

今年こそ、ジュエリー業界を低迷から成長へ導く路線を確立することが必要
 
 「平成時代」、今年で二周り目の干支で、既に四分の一世紀になろうとしている。平成時代は、日本経済がバブルを迎えようとした時期に始まり、数年でバブルは弾け、その後、出口の見えない長い景気低迷が続き、『空白の二〇年』を経て今日まで来ている。
昨年は大震災と原発事故で、日本経済の再建、発展に更なる課題を抱えてしまった。
まさに今年は日本経済再建スタート、正念場の年だ。政治家も国民も総力を挙げて、日本経済を再建していこうという強い意思を持たないと、その実現はあり得ない。
経済は年々、成長するのが当たり前で、努力すれば暮らしは良くなるというかっての生活価値観が根底から覆ってしまった今、身にしみついているイージーな生活感覚をご破算にして、取り組まない限り、日本経済の再生・発展は無理だ。
年明けから震災復興増税や年金制度維持・改革のための消費税増税プランが具体化してくる。
国民にとっては大変厳しい動きだが、これを切掛けに、国の財政再建に積極的に協力して建て直していかないと、早晩、ギリシャやイタリアのような国家財政破綻の危機に見舞われる。
 今年もジュエリー業界は取り巻く市場環境は厳しいが、こうした重大な時期に、心機一転、『平成時代』において業界を低迷から成長へ導く方策を見つけることに総力を挙げて努力すべきだ。
既に『平成時代』は四半世紀になろうとしており、昭和時代とは異なった新しい時代独自の文化が定着してきた。
一万円もあれば、『頭の先から足の先まで、流行最先端のフアッション』を用意出来る時代だ。
ファスト・フアッションの登場で、『着るもの』には価格革命がおこり、ジュエリーは『置いてきぼり』を食っている。今までのように、業界が何もせず、年々の市場規模縮小に手をこまぬいている時代は終わった。
今年こそ、『平成時代』において、ジュエリー業界が成長していく道筋をつけるべきだ。そうしなければ、早晩、ジュエリー産業は無力な存在になるであろう。
新しいジュエリー市場を切り開くカギは、ハイテイ―ンからアラフォーまでの世代のジュエリー価値観を的確に把握することだ。
 彼女たちにとっては、アクセサリーもジュエリーも同じ意味合いを持つ『装飾品』である。しかし、値段が高くて購入することの出来ない『着るものに不釣り合いの値段のアクセサリーやジュエリー』は不用なのだ。
必要とされているアクセサリーやジュエリーは、、手軽に買えて、日常使いの出来るものなので、上下一万円のフアッションに数万円もするネックレスやイヤリングは不用のものなのだ。彼女たちにとって、必要とされる『非日常性のアクセサリーやジュエリー』は、ブライダル・ジュエリーと真珠の3点セットで、なくては困るものゆえ、値段が高くても購入するのだ。今後も販売重点商品が冠婚葬祭という非日常性に関連したジュエリーでは、需要拡大は期待できない。
 『価格』と『日常性』をキーワードに、『平成文化』を体現出来る商品を開発する中で、新たなジュエリー市場を創成することを望みたい。【完】
■第16回 大震災の復旧・復興が遅れると、日本経済の再興も遅くなる ■2011年12月8日 木曜日 15時17分7秒

 予想もしなかった天災や人災に見舞われ、多難な課題を残す中で、慌しく今年は暮れようとしている。
 何事もなく安寧で平和な暮らしができ、経済は成長するのが当たり前で、努力すれば暮らしは良くなるという日常生活の常識が根底から覆ってしまったのが今年であった。
 戦後60余年の間に身にしみついた生活体験が一瞬のうちにご破算にされ、こういうこともあるのだと自然の脅威を実感させられた年でもあった。
 改めて、『天災は忘れた頃にやってくる』との寺田虎彦の言葉を思い出す。
 彼は昭和9年、『天災と国防』の中で、「文明が進むほどに天災による損害の程度も累進する傾向にあるという事実を充分に自覚して、平生からそれに対する防御策を講じなければならないはずなのに、それがいっこうに出来ていないのはどういうわけか」と問い、その理由を『人は大きな天災と言うものは、極めてまれにしか起こらぬものと思っているからだ』と指摘したが、まさに、東京電力福島原発に対する事前の安全対策の不十分さは、その通リだ。
 11月下旬、福島県いわき市を訪れたが、宿泊施設はどこも福島第一原発事故対応の作業員で満杯、一日三千人もが動員されており、しかも、廃炉まで、作業は30年も続くとのこと。
 10年程前、従来の予測よりも大きな津波が来ることもあり得るとの予測結果が東電副社長のレベルまで報告されていたにもかかわらず、津波対策を放置した結果、今回の大津波で緊急電源装置の全てが流失、原子炉冷却が不能になり、プラントの水素爆発事故が起こったのである。
 3・11から9カ月が過ぎようとしているが、福島原発事故被害周辺地域で問題になりつつあるのは、「原発でいままで恩恵を受けてきた人」と「そうでなかった人」との感情的な対立が出てきたことだ。
自分たちは、過去に原発の恩恵を受けたことがないのに、今や放射能汚染や風評被害で、漁業は全く出来ず、米や農産物も売れずに困っている。一方、原発のある双葉地区の人は、原発建設当時から今日まで、過去何十年にわたって様々な原発開連の保証金や補助金の恩恵にあずかっており、そういう人たちが、いま、地元に帰ることが出来ないと被害者づらをして同情を買っているのは我慢がならないとのことだ。
今後、様々な分野で原発被害の補償問題が具体化してくる中で、その対立が一段とぎくしゃくするのは必至だ。
 つまり、原発事故被害周辺地域では、地震や津波による天災だけの被害地とは異なった複雑な被害者意識があり、事故の補償問題一つとってもカネが絡むことゆえ、事情は簡単ではない。
 依然として、岩手、宮城、福島の被災地には、破壊された建物や家屋の廃材やごみの膨大な山が、処分地を見つけることが出来ずに放置されている。災害発生当初は順調だった非災害地自冶体の廃材処分協力も、放射能汚染問題が拡大するにつれ地域住民の反対を恐れて、協力拒否が増えている。
 こう見てくると、今回の大災害の復旧・復興を一日も早く軌道に乗せないことには、苦境にある日本の経済再興がそれだけ遅れることにもなる。
 まさに、新しい年の課題は、震災の復興事業を加速していくことだ。   【続】 
■第15回 宝飾品市場は、大震災で完全に変わっている ■2011年12月8日 木曜日 14時59分23秒

 波乱に満ちた2011年も余すところ、あと2カ月、ユーロ各国の財政立て直しの行方が今後の世界経済を左右するが、我が国にとっては、どこまで円高が進行するかが最大の関心事だ。今でさえ、輸出企業は史上最高値を更新する超円高に頭を痛めているのに、1ドルが70円にでもなったら、日本経済は完全にお手上げだ。然しながら、その可能性は十分にある。
いずれにせよ、来年にかけて、落ち着き先の見えない円高の中で世界を相手に商売をせざるを得ない日本経済だ。いずれにせよ、今年と来年のGDP予測を大幅に下降修正せざるを得ないという景気悪化が潮流だ。
 宝飾品の売れ行きは、一時、回復の兆しが見えたとのニユースもあったが、株価の大幅下落で状況は一変し、改善は全く見られず、高額品も低価格商品も、今のところ、動きは鈍いままだ。
震災以後、大きく下落していたブライダル関連宝飾品の売り上げが元に戻りつつあるという明るい動きもあるが、単月でも、まだ前年レベルの売り上げには戻ってはいない。
 アイテムでは、結婚指輪の売れ行きが良いが、婚約指輪を買わずに、ダイヤの付いた結婚リングで間に合わせるカップルが増えている。
 そのため、女性用の結婚指輪の単価は昨年に比べて2割から3割上がっており、販売本数も順調に回復しているが、一方で、婚約指輪の販売本数はかなり減っており、いまのところ、ブライダル・ジュエリー・トータルの売り上げは、前年比で10%前後の売上減になっている。震災後、特徴的なのは、30歳代女性の結婚が目立っており、この年齢層ではブランド物含めて、高額の結婚指輪の売れ行きが良いようだ。
 ところで、いずれの産業も3・11以降の6カ月は、異常な市場状態に陥り混乱していたが、最近は漸く落ち着きを取り戻し、元の状態に戻りつつあるが、宝飾品市場の場合は、大震災後、いままでの売りの仕組みが機能しなくなっている。
例を挙げると、高額宝飾品の有力な販売手段である「展示会販売や催事販売」が非常に難しくなっている。つまり、展示会を行うにしても、十分な集客が出来ないのだ。原因として、上得意の高齢化や景気が一段と悪化したこともあろうが、いままでのように、自分があまり欲しいと思っていない宝石や貴金属をお付き合いで購入してくれる人たちが完全にいなくなってしまったのだ。
当然といえば当然なのだが、宝飾品マーケットは大震災を契機に、贅沢品の範疇である宝石・貴金属を購入できる経済資力のある人たちに特化した市場になってしまった。それゆえ、数百万円の高額品の場合は、購入者の意向がはっきりしているので、商品も探しやすいし商談も成立しやすいが、20万や30万のモノの方が売るのが難しいという声を聞くようになった。
値頃感があり売りやすかった、かっての中価格帯商品群は、今や購入層が完全に変わってしまったなかで、商品魅力度も商品価値観も別モノになってしまい、売れない商品になっている。
こうした状況を子細に検討し、過去の市場に決別して、新しいジュエリー市場の創造に取り組むことなくして、明日はない。
―2011・11・1号【続】―
■第14回 再発可能性のある金融危機、影響は世界恐慌に匹敵する規模。絶対に避けねばならないのだがー。  ■2011年10月3日 月曜日 16時3分33秒

 大震災発生後、半年経って漸く被災地では、本格的な復旧作業が始まっているが、その後の世界経済は、欧州の債務不安の影響が全世界に蔓延、世界恐慌が起こるかどうかの瀬戸際にある。
日本では、危機感がほとんどないのだが、大変なことが起ろうとしているのだ。
円に対してドルやユーロは歴史的な大幅安になり、株価は世界的に大きく値を下げ、金価格も下落しだした。
金融危機の再現といわれ出しているが、ギリシャの債務不履行懸念が財政不安のある欧州各国に及んでおり、そのため、ギリシャ政府などへ貸付残高の多い欧州各国の主要銀行の株価は大幅に下落、預金の流失や資産価値の低下で信用不安が高まっている。まずは、欧州各国政府が危機対応態勢を整え、ユーロの信頼度を取り戻さないとダメだ。
先進諸国の大幅な財政赤字が、今日の世界経済の牽引役である新興国の経済成長を変調させている。米ドルに対するインド・ルビ-―やブラジル・レアルの新興国の通貨安が、それらの国々のGDP成長率に影響を与え出しており、新興国から様々な非難が出てきている。
先進国の財政赤字を大幅削減し、財政を健全化することは、世界経済の安定的な発展に不可欠だ。
オバマ政権は、米国の双子の赤字の一つ、財政赤字について、今後12年間で4兆ドル(約340兆円)を、富裕層への増税、社会保障費の削減、国防費の削減、裁量的支出の削減などで減すと発表した。
果たして、野党共和党の賛成を得られるかどうかだ。
一方、日本も1千兆円近い莫大な財政赤字=國の借金を抱えているが、これもどうにかしないと、いけない状況に来ている。
借りたものは返すのが当然といっても、到底返えせる額ではない。
年金を始め、医療費や介護費などの社会保障費を大幅にカットし、消費税を25%に増税したとしても返せる額ではない。
それをやれば、いずれの政党とも、国民から総スカンを食し、成長も下がるので、出来るものではない。
どうするかというと、政府が借金を支払うことが出来ない宣言をする、つまり、債務不履行以外ないであろう。
つまり、超法規的に国の借金をチャラにすること以外、方法はないと断言できる。
今や、世界のあちこちで、このような怖しいことが起る可能性が大なのだ。
日本がこの半年間、大震災の復旧や原発事故の収束で、世界の動きから目をそらしている間に、世界経済は、とんでもない危機に直面しているのだ。
危機を回避するには、国際協調しかないのだが、欧米間は財政支援と今後の財政立て直しに関する意思統一がはかれず、米国は自国のことで精一杯、ゆとりがなくリーダーシップを取ることが出来ず、BRICSは、新興国が今さら豊かな先進国を支援する義理はないと冷たい。
そのため、危機を回避する有効な手段なく、なるようにしかならないという状態なのだ。
日本に経済力があれば、それなりの対応策を出すのだが、それが今は出来ない。
 ただ嵐が過ぎていくのを静かに待つ以外ないのだ。
 こういう中で、大震災と原発事故の重荷を抱えながら、今年下半期の日本経済が進行していくことを理解する必要がある。【続】
■第13回 前年の販売実績を維持することが今年の目標 ■2011年9月20日 火曜日 15時2分56秒

 宝飾品など、高額品の販売が好調だったため、震災後久しぶりに7月の百貨店の売上げは明るい数字になったが、8月初頭からの超円高と株価の大幅下落で、日本経済の先行きは、益々困った状況に直面している。
 前号で指摘したように、世界経済が再び不安定な状況に成ってきた要因はいくつかあるが、最大のものは、米国の景気回復が予想どおりに行っていないことだ。
 米国経済の先行き不安から投資資金は、金や比較的安全といわれている円買いに流れているので、金高騰や超円高になっているのだが、別の見方をすれば、米国政府による多額の借金のため、もはや世界の投資家から米ドルは信用されていないという事に他ならないのだ。
 海を越えて向こう岸の話なので、日本人の危機意識は薄いのだが、事実は明日にも米国債のデフォルトが起こっても不思議はないというのが米国経済の恐い一面なのだ。米国民ほどプライドの高い国民はいない。国家一大事のときほど、本当の話は伝わってこないのだ。
 こうした中で、超円高であろうがなかろうが、円という通貨の信用を守りきることが出来るのは、われわれ日本人しかいない。まず最低限やるべき事は、国民の総力を挙げて、内需を昨年のレベルに戻す努力をすべきだ。
 GDPの政府見通しも、本年度はマイナス成長だし、大震災や超円高で経済環境は過去最悪の状態だ。
 しかし被災地では、全ての人が生き残ることをかけて必死の努力をしているし、破壊しつくされた状況をゼロに戻す復旧事業では雇用が出始めており、明るいことがない訳ではない。やれることから自分の力でやるという意識が災害復興を大きく促進させる力なのだ。
 これと同じで、なんだかんだと、今の経済環境の悪さを嘆いても始まらない。株価の大幅安で富裕層の宝飾品の購入は再び、鈍化するかもしれないが、これを何とか食い止めて、今年度は少なくとも、昨年度並みの売上げを確保することが必要だ。
 そうしないことには、このままずるずると売上げダウンが続き、やがては、廃業に追い込まれるのは、目に見えており、ジュエリー産業そのものが産業として成り立たなくなることもありえるのだ。
 リーマンショック以来のジュエリーのビジネス環境は一段と厳しくなっており、今や産業として社会的認知の得られる年間最低売上げ規模、5千億円を割り込む可能性すらある。
 ジュエリーの推定年間小売り販売額1兆円を割り込んだのは、リーマンショックの年であったが、それ以降、僅か4年で売上げ規模が半分になる可能性がある。
 このままだと、今年のジュエリー推定年間小売販売額規模は5千億円台に落ち込むと思うが、明日への飛躍を図りたいなら、何が何でも、昨年並みの6千億円台のレベルを維持するよう業界全体で努力すべきだ。
 それを実現する原動力になるものは、理屈ではなくして、やる気であり、強靭な精神力だ。短期であるならば、日本人の精神力は強いし、困難を克服する上で通じるものだ。是非最悪の事態を乗り切ってもらいたい。【続く】
■第12回 世界経済の潮目が大きく変わりだしている ■2011年8月2日 火曜日 10時4分21秒

 3・11以降の約5ヶ月の間に、大震災で大打撃を受けた日本経済の不透明さが増しただけでなく、世界経済のそこかしこで大変動の予兆が感じられるようになってきた。
 それはこの3年間で、すでに治まったと思われるリーマンショックによる国際金融危機再燃の懸念が見えているのだ。
 依然として、ヨーロッパでは、ギリシャ問題がECの通貨制度、つまりユーロの信頼を左右しかねない状況下にあり、イタリアやスペインにおいてギリシャと同じような問題が起これば、ユーロ経済圏は大混乱に陥り、世界経済は大打撃を蒙る。
 3年前、サブプライム問題で金融危機に陥った米国経済は、政府の強硬措置で金融制度の信頼回復を図り、いち早く経済の立て直しを試みてきたが、高失業率は依然として解消されず、ここにきて個人消費も思ったほど伸びず、景気の回復速度は大幅に減速、おまけに、米政府の債務上限引き上げが決まらないため、8月上旬には、米国債の格下げや国債の債務不履行懸念が出ており、その結果、連日ニューヨーク株式市場は大幅に値を下げている。
 投機資金は、比較的安全といわれている金に流れ、ニューヨーク金先物市場は、1トロイオンス、1600ドルの大台を超え、市場最高値を更新した。
 こうした米国の政治経済の動きに大きな影響を受けているのが、円相場だ。このところの円高傾向は、米政府の債務上限の引き上げが決まらないので、ドルを売って安全な円を買っておこうとする動きのためだ。
 そのため7月26日、東京外国為替市場で円は高騰、4ヶ月ぶりに1ドル、77円台まで値上がりしたが、この円水準は、ようやく災害から復興してきた日本の輸出産業に大きなダメージを与える事は間違いない。
 一方で、世界経済発展の主力エンジンだった中国やインド経済も、今までのような「追いつけ、追い越せ」と、常に二桁成長を目標にしたハイスピードの経済成長方式では無理だということがわかってきた。
 中でも、国民生活の様々な面で歪みが出てきており、その不満が国家の根幹を揺り動かすレベルのモノになっている。
 当然、今までの成長路線を修正せざるを得ない状況で、今後両国の経済成長率のダウンは国際経済に大きな波紋を与えよう。 
 最近の中国高速鉄道の大事故をあげるまでもないが、経済発展速度が速過ぎると、かっての日本がそうであったように、肝心なことを見落としてしまうことがある。いま中国は、その教訓を学ぶことが必要だ。
 ところで、第二次補正予算は成立したが、国の災害復興事業は依然として遅々として進んでいないが、一方で、何から何まで、国に面倒を見てもらいたいとの要求があまりにも多いのも問題だ。
なぜなら、これらの要求をカバーできる予算などあるはずはないし、ちょっとやそっとの増税で賄いきれるものではない。
まずは国が取るべき責任の範囲を明確にして事に当たらないと、収集がつかなくなる、
世界経済の潮目が変わろうとしている時期に、災害の復旧・復興に当たる基本スタンスを再度、明確にして取り組むことが必要だ。【続】
■第11回 JJAの新布陣にジュエリー産業の再生第一歩を期待したい ■2011年7月6日 水曜日 14時46分16秒

 去る5月末、今後2年間、社団法人日本ジュエリー協会(JJA)を運営していく新執行部が発表された。それによると、従来から大所帯の感の強かった役員・理事の定員数の大幅削減と、役員などに小売業界関係者のウエイトを増やしたのが、今回の特徴だ。
 JJAはこの秋、現在の公益法人から一般社団法人へ移行する予定だが、これを見越した改革であり、人事なのだ。
 協会の諸活動は、消費者の利益と業界全体の発展のため、長期的な視点を持って市場の経済的、社会的環境に柔軟に対応しながら推進していく必要があり、また、それなりの成果を挙げていかなければならない。特に、業界が非常に厳しい状況に置かれているときほど、協会の存在価値が問われるのであって、先行きの見えない閉塞感の非常に強い今こそ、それを打破してくれるリーダーシップを協会がとってくれるものと、その期待は大きい。
 今回、役員・理事の定員数大幅減にも拘らず、役員・理事に小売業の人たちの比率が増えたのは大変いいことだ。業界が元気になるには、まずは小売店が元気になってもらわなければならないと、常日頃から言われてきたが、今回初めて協会の活動を小売り店主導で盛り上げてくれそうな図式が描かれている。
 いずれにせよ、協会の主要構成メンバーは製造、卸、小売の3業態だが、三者が一丸となって小売りの店頭で力を発揮するよう努力すれば、業界活性化に、それなりの成果を挙げることが出来ると信じる。消費者と接点にいる小売店の意見を大いに生かして、事に当たることが大事だ。こうした環境をフルに活用して貰いたい。
 現在のジュエリーの市場環境は、過去に類を見ない最悪の状態だが、これとて、見方を変えれば、ポジティブに取り組める側面がある。前回も触れたが、こんな時だからこそ、宝石やジュエリーの持つミステリアスな力が、人々に大きな勇気や希望を与えてくれる力になることもある。
 別段、高価な宝石やジュエリーでなくてもいい。自分のお守りになるもの、これからの人生に勇気を与えてくれるものになるのが宝石であり、ジュエリーなのだ。人からプレゼントされたものでもいい。
 今の時期、経済的、精神的にゆとりが無ければ、宝石やジュエリーを買うのは難しい。然し、こんな時だからこそ、人々に勇気や希望を与えてくれる宝石の持つ不思議なストーン・パワーやお守りとしての力を、人々に訴えていく事は、宝石商としての大切な役目だ。苦しい時代だからこそ、前向きの姿勢を人々に提案していくことが必要なのだ。
 日本人の場合、右向け!右!で、みんなが揃って右を向く。今回の大震災に際しての消費の自粛や夏の節電は、その典型的な例だ。被災地の人を考えると、お金など使って遊んでられないとの同情心から、震災以降の消費は大幅に控えられ、過去3ヶ月の小売り販売額は、いずれの業態ともに不振を極めている。
 こんな事だと災害復興は、いつまでたっても本格軌道には乗らない。今こそ、積極的にジュエリー業界でも、人々の暮らしに明るさと夢のある暮らしを作る提案をしていくことを考えてみたらどうか。【続】
■第10回 3・11で変わったといわれる日本、然し、先が見えなくなっているのは困ったもんだ ■2011年6月1日 水曜日 13時30分31秒

 去る3月11日起こった東北太平洋沖地震による大災害を切っ掛けに日本人の意識が大きく変わったと言われている。
 なかでも、家族や職場、地域に関係なく、人との絆の大切さについて、改めて認識したという人が増えている。それというのも、ある日、突然、あり得ないことが起こって、今までの生活が皆無に期すという現実を目の当りにして、人間は生かされている存在であり、また自分一人だけでは生きていくことはできないということをしみじみ感じたからだという。
 被害地の厳しい状況を見たとき、何か自分にできる事はないかと人誰しもが考えるが、日本民族のアイデンティティともいうべき助け合いの精神が、今回ほど様々な支援活動の分野で発揮された事はない。
 今回の被害は経験したことのない途方もない規模だ。それゆえ、災害の復旧や復興には大変な金がかかるし、時間もかかる。又。どこから手をつけていいのかわからぬものもある。しかし、被害の全体像を把握して、計画的に対応するという悠長な事は言っていられない緊急を要するものが大部分だ。そのため、国や地方公共団体も、やるべきことが多くて、あれもこれもと、総花的に対応しているので、復旧・復興が遅々として進んでいないようにも見える。
 どこかで、混乱気味の対応に区切りをつけて、目標設定の下に総合的な取り組みに変えていかないと行政として果たすべき責任を貫徹できないと思う。
 菅首相がこれほどまでリーダーシップ欠如のダメ政治家だとは思わなかったが、自民党も自民党で、この国家非常時にマネジメント能力のないダメ政党で、全くの役立っには困ったもんだ。
 選んだ国民が悪いと言えばそれまでなのだが、今回ほど政治家に対して国民が愛想を尽かしてしまった事はない。最大の問題は、いま自分たちが置かれている状況について、民主・自民両党幹部が全く理解してないことだ。
 大打撃を受けてマイナスからの再興スタートになる現在の日本経済と国民生活を、どう立て直していくかの国家一大事において、国会で不毛の議論をしている時間はない。国家の運営ができないというならば、即時解散して出直すべきだ。
 いまの状況だと、新しい日本の設計を任せては置けない。まずは、国民に未来に対する明確なビジョンを示すことが政治家の任務だ。それすらできない政治家は要らない。
 阪神大震災の経験を生かして、多彩なボランティア支援活動が展開されているが、この活動も一時的なものではなく、復興それぞれの段階に対応した長期的、かつ息の長い支援活動が求められる。
 いわゆる一時的、同情的な奉仕活動の域をでないものであっては欲しくない。
 最近発表されたGDPの結果は最悪だが、復旧・復興を順調な道に乗せていけば、マイナスレベルからの経済回復であっても明るさが増幅され、活気が出てくるし、そう遠くない時期にジュエリー市場も明るさを取り戻してくると思う。
 ややもすると暗くなりがちな時代だからこそ、夢や憧れの的である宝石やジュエリーの存在が大切なのだ。【続】
■第9回 「時間をかければ、大地震、大津波の被災地復興は可能だが、放射能で汚染された地域の復興は何十年かけても無理かもしれない?」 ■2011年6月1日 水曜日 13時20分12秒

 三万人もの貴い人命の犠牲と史上最大規模の災害を起こした東北太平洋沖地震の発生から一ヶ月半になろうとしているが、未だに電気、上下水道、ガスの生活インフラの完全復旧すら終わっていない被災地域もある。それだけ、根こそぎさらっていった大津波による被害の甚大さは予想を上回るものであり、また度重なる強い余震のため、折角、復旧したものが再び壊されて、やり直しになったものも少なくない。しかしながら、生活再建への力強い意気込みや地元の復興への第一歩を踏み出した動きが各地に見られるようになった。
 一方で、地震と津波の二大災害に加えて、福島第一原発の放射性物質拡散事故は、現場の東電および関係会社社員の必死の努力にも拘わらず、未だに、事故拡大の可能性も非常に高く危機的状況下にあり、好転への兆しすら、見えない状態だ。
 収束へ向けての工程スケジュールが発表されたが、その手順を踏めば収束できるという保証は全くない。
 緊急電源施設が破壊され、停電する中で、原子炉内が高温高圧状態になって、原子炉を覆う上屋が爆発で吹っ飛ぶという全く予想もしていなかった大事故が起こったが、その修復対応は、すべてが全く経験したことのないもので、手探り状態での作業だ。
 しかも、福島第一原発から拡散される高濃度放射性物質のため、政府は原発から半径20キロ圏の双葉、浪江、大熊、富岡、樽葉、南相馬,田村、葛尾、川内の市町村、約2万七千世帯が住む地域を「警戒区域」とし、実質上の立入り禁止区域に指定した。また半径30キロ圏についても放射性物質測定結果に基づき、「計画的避難区域」の設定がなされた。
 いずれにせよ、突然いままでの暮らしと働く場を奪われて、厳しい避難所生活を余儀なくされる点では、地震・津波の被災者も原発事故の避難者も同じだが、後者の場合、自分ではどうする事もできない、全く先の見えない状態に追い込まれているのだ。つまり、いつ地元へ戻れるかも分からないし、放射能汚染の度合いによっては、元のところに住むことができなくなる可能性もある。
 また、放射能汚染の度合いによっては、正業にしてきた農業も酪農も漁業もあきらめざるを得ないのだ。
 地震、津波、放射能の三重苦に加えて、放射能に関する無知ゆえの風評被害の四重苦に直面している地域もある。
 今や福島原発の放射能汚染の風評被害は、福島県や関東各県の農産物や海産物の需要減に止まらず、中国観光客の激減や人気のあった日本食食材輸出の大幅減少など、アジアの商機にも大きな影響が出ている。
 誰もが望むことは、いち早く原発事故が収束して、今回起こった三つの災害に対する復旧・復興への取り組みが順調に進むことだが、国も地方公共団体も途方もない災害規模のため、優先的にやるべきことが多すぎて、なにから手をつけていいのかが分からない状態だ。
 誰がイニシャティブを取るにせよ、未経験のことゆえ、ギクシャクすることも多かろうが、現場に強い専門家のアドバイスを多用することで、重大かつ緊急の課題を乗り切ってもらいたい【続】
■第8回「大災害の復旧・再興に国家・国民の総力を挙げて」 ■2011年4月27日 水曜日 16時32分37秒

 いつ起こるかは分からないが、起これば大変な事になる気がかりなことが二つあった。
 その一つが、国・地方で一千兆円にも達する大借金を抱えた日本国の財政破綻であり、もう一つは、明日きてもおかしくないと言われていた首都圏を震源とする関東大地震だ。
 後者がマグニチュード9という過去最大規模の地震エネルギーを有する東北太平洋沖地震として発生してしまった。
 地震だけであれば、これほどまでの大災害にはならなかったのだが、千年に一度あるかないかの大津波の発生で、未だになくなった方の数も把握できない未曾有の大災害になってしまった。人命も家も車も船も、そして町や村が根こそぎ津波にさらわれ、また緊急電源施設が流失破壊したなかで、放射能拡散レベル6に相当する福島第一原発の大事故が誘発された。
 私が中学・高校をすごしたのは、原発から半径30キロ圏に一部かかるいわき市だが、宮城県境の相馬市からいわき市にかけての浜通りの海岸沿いは、大津波の被害を受け、その惨状は三陸、気仙沼、塩釜、仙台同様、ひどいものだ。それに加えて、いわき市は放射能汚染の風評被害で市外からの物流は完全にストップ。そのため、スーパーもコンビにも売る商品がないので、開いている店は殆どない。またガソリンも手に入らず、依然として全世帯の4割が断水のため、生活することができず、他の地域に避難していく人が多い。
 風評被害で物資が配送されず、人の住めない町になってしまったいわき市の現状があまり報道されないのは、やはり放射能が恐いので、取材クールがやって来ない事にあるようだ。
 街に全く人気のない中で、いわき市にある「宝石・時計・メガネの店、ネモト」は震災後、2週間目から営業を再開した。一方、東北線沿線の福島の中通り、白河から郡山にかけては、地震の被害が極めて甚大だ。なかでも、郡山に本社のある「金美堂」は、取引先に対して被害の実情をファックスで訴えた。
それによると、本店オペラは倒壊を免れたものの、壁・天井の修復に相当の時間が必要で、出店している須賀川ロックタウンは半壊、またイオンや名取のダイヤモンドセンターは復旧にどれくらいかかるか分からない状況だ。
 例え、店がオープンしても、しばらくは客のいなくなった街で商売するのだから、打撃は底知れない。いずれにせよ、今月以降、ジュエリー業界の冷え込みは、さらに厳しくなる。
 今回の東北関東大震災の被害総額は、阪神淡路大震災の10兆円をはるかに上回り、30兆円に達するのは確実と言われているが、部品工場の被災で本社工場や海外工場での組立作業が操業停止に追い込まれるという間接被害を見込むと、被害総額はGDPの約1割、50兆円をくだらない。
 6月までには結論を出す事になっていた税制改革の検討も先延ばしにして、こうなった以上は、大災害の復旧・再興に全精力を集中して、之を契機に日本経済を活性化していく突破口にすることが、今回の災害で犠牲になった方々への供養だし、またそうせねばいけないと思う。
(オーラム企画社長 本多忠頼)
■消費税増税が財政再建のカギを握る ■2011年3月31日 木曜日 13時58分13秒

 時折、会う人から出るのは「明るい話題がないね」という言葉だ。「パンダが上野に来るよ」と言って「年間二百億円以上」の経済効果を説いてみても、東京スカイツリーと同様、下町での経済効果は大でも、日本経済全体から見れば、たいした事はない。
 二月の株高説を受けて確かに株価は盛り返しているが、眼に見える景気回復の兆しは期待薄で、一方、政治までもが一段と混迷の度を増しており、いい加減に解散して出直せといいたい状態だ。
 バブル崩壊後、20年近くの景気低迷の時代が続いてきたが、どうも今が普通の状態で、日本経済はこの先も今と同じような状態が延々と続くのは間違いないようだ。
 つまり、日本はもはや自力で経済を飛躍拡大させる潜在成長力はなくなっており、今後成長率を確保するには、かなりの部分を新興国をはじめとする海外市場の需要拡大に依存せざるをえないのが現実なのだ。
 しかも自国の経済成長のため、海外市場を頼りにしているのは、米国やドイツ、フランス、イタリアなどのEU諸国、韓国や台湾のアジア先進国も立場は日本と同じで、それらの国々と価格、品質で厳しく競い合う市場なので、多くの日本企業は現地生産商品で対応しないと勝てそうにない。
 そのため今以上に、日本企業の主要事業分野の海外移転が加速することは必至で、またそうしないことには生き残れない。そして、国内雇用が更に激減する中で、海外市場を求めての求職活動が活発に展開される日はそう遠くはない。
 こうした中で、最大の心配事は、国、地方が背負っている巨額な借金による財政破綻の危機だ。最近日本の長期国債の格付けについて、スタンダード・プアーズ社は、スペインよりも低い「ダブルAマイナス」へ引き下げた。
来春で、国・地方の借金は一千兆円となり、国民の貯えである金融資産一千四百兆円に迫る。まさに、国家財政破綻一歩手前の危機的状況に入ってくる。
 たとえ今年、消費税10%への増税が決まり、来年から実施されたとしても、10%では基礎年金の国庫負担の原資をもカバーできず、財政再建への貢献など、全く不可能だ。今後も今の社会保障制度を維持していくには、段階的に増税するにせよ、5年から7年先には、消費税15%から18%の税収が最低限は必要であり、それと同時に、人員削減、サービス削減による「小さな政府」を目指す行政の簡素化による経費の大幅削減努力が不可欠だ。
「まずは景気回復。その上で消費税の増税を」と言う人がいる。景気回復は妄想であって,当分税収は落ち込み、国債の発行なくして予算は組めない。いずれにせよ、消費税の早急な大幅増税なくして、国家財政破綻の危機を脱することは不可能だ。【続】
■オトコとオンナの『特別な日』を創造していくこと ■2011年2月1日 火曜日 12時59分53秒

 今年の成人式は女性の着物姿が非常に多くなった。一時、着物姿が少なくなった時期もあったが、このところ、自前、貸衣装に関係なく着物での出席者が、特に都市部で増えている。
 成人式を迎える女性の年末から新年にかけての話題といえば「成人式に何を着ていくの」だが、@大人の女性になった自覚を感じさせてくれるから、A一生に一度の成人式ぐらいは華やかに装いたい、B日本女性の正装は着物なので、等々の理由で着物が選ばれているようだ。
 着物が若い世代に復活してきたと見るのは早計だが、大卒の就職内定率が史上最悪という厳しい経済環境なので、自分にとって『特別な日』を大事にしたいという意識が高楊しているのは事実のようだ。
 今までのように、高価なジュエリーを自ら購入、「自分へのご褒美」なんてそう簡単には言っていられない厳しい時代だが、一方で、人それぞれ、自分にとって大事な日のために一年間かけて頑張ることもある。
 その代表的なものが、リオのカーニバルだ。まさに、熱狂的なサンバのリズムで踊ることが「わが命」で、その日の衣装のために、一年かけて貯めたお金をつぎ込むのだ。
 浅草のサンバカーニバルに、おどおどしてしまう草食民族の日本人には無理な話かもしれないが、人生の中で、燃え尽きたくなるようなドキドキする刺激的な『特別な日』がもっとあってもいいのではないか。
 というのは、婚約や結婚という機会だけでなく、ジュエリーが人生のイベントの中で、素敵なバイプレイヤーを演じるには、男女お互いにとって、刺激的であり、パッション溢れるドキドキ感のある『特別な日』があってこそ、素晴らしい演技力を発揮することができるのであって、そのような機会がないことには、ジュエリーの素晴らしい輝きも、宝石のミステリアスな魅力も発揮できない。
 成人式はジュエリーの需要を拡大できる好機ではあるが、それ以上に結婚記念日や夫婦の誕生日は、ジュエリーの需要をつくれる絶好の機会だ。今までのように「結婚記念日にジュエリーを」といっても、誰も振り向くことすらしてくれない。
 つまり『特別な日』であるはずの結婚記念日が、年とともに感激の思い出や存在感が色あせて、やがてその存在についてすら、夫婦お互いに無頓着になるケースが大部分だからだ。そのため、男がオスとして、また女がメスとして、お互いにギラギラしたパッションを持ち合わせている時期の結婚記念日を、夫婦の『特別な日』として意識づけ、ジュエリーのギフト機会に創り上げていくことが、ジュエリー業者のこれからの重要な仕事なのだ。
 人々の心の中に刺激的な想いや情熱、たぎる欲望が常にない限り、宝石やジュエリーを売ることは難しい。【続】
(オーラム企画社長 本多忠頼)
■悪くない、今年のジュエリービジネス ■2011年1月19日 水曜日 16時22分23秒

復権してくるブライダル市場

  昨年12月発表された日銀短観で大手企業が予想する今後の景気の見通しは非常に厳しい。超円高の定着とエコポイントの終了は、今年の企業業績に大きな影響を与えると共に、景気回復が遅れることは間違いないとの見方だ。
 確かに、生産者側から見れば、輸出も内需も不安要素が増しており、しばらく上向いてきた経済活動が、また後戻りする可能性は大きい。それほど今の景気の腰は弱いのだ。
 しかし、ここまで景気回復が長引き、節約の日々が続くと、消費者の間には「節約疲れ」が出てくる。多くの日本人はお金を持っていないわけではない。その証拠に、家電エコポイント改定を控えた昨年の11月のテレビ、エアコン、冷蔵庫などの売上げは、例年を大きく上回り、大変な盛況をみせた。つまり、不況でもビックリするほどモノが売れたというのは、それだけのお金を持っている証拠だ。いざというときの為、日本人はある程度のお金を貯めている。
 1400兆円の金融資産がその結果で、これがあるゆえに、国・地方の借金が900兆円近くあっても、今のところは安心していられるのだ。
 昨年秋後半からデパートや専門店の売上げは上向いており、年末は例年には見られないほど、2万円、3万円のおせちセットの注文が殺到した。
 これは、普段は節約、節約で何とか家族を我慢させているので、せめてお正月ぐらいは豪華に贅沢にという「倹約のご褒美」の意味合いがあったのかもしれない。
 今年、景気が飛躍的な改善を見せることはありえないが、大手企業の業績が悪いからといって、消費が低迷し続けるかというと、そうとも言い切れないものがある。
 リーマンショックで富裕層は、株や金融商品、外貨預金で大損し、しばらくは、お金を使う気にもならなかったようだ。しかし、何時まで待っても刑期は良くならないし、今が普通の状態として定着してしまった。株価はパッとしないが、日経平均は1万円を回復した。
 今までは我慢してきたが、こうなったら欲しいものは購入しようという「痺れを切らした消費」が今年は更に広がりそうだ。つまり、このような富裕層の心理が、高額品や贅沢品のマーケットを支配する。
 これは、宝飾品にとって悪い話ではない。まずは、高額の宝石やジュエリーの引き合いが活発になるし、成約も増える。しかし、大衆ジュエリー市場の動きは依然として鈍いだろう。
 だが、婚約指輪や結婚指輪の需要は大きく好転してくる。贅沢とは非日常性の価値観だ。
 結婚するふたりにとって豪華なブライダルリングは、一生で一度の贅沢であり、豪華さを演出するものだ。そういう意味からも、今年はブライダルジュエリー市場復権のスタートの年にもなる。(オーラム企画社長 本多忠頼)
■日本のジュエリ―産業、これからの生きる道 −第4回― ■2010年12月20日 月曜日 16時59分54秒

今や強力なジュエリー普及推進活動を業界あげてやるべきだ

 今年もあと一カ月を残すだけだが、経済情勢は予想通りの年であった。
一方で、全くの期待外れが、民主党の体たらくな政権運営だ。当初は多少ぎくしゃくしても半年もたてば、まともな政権運営が定着してきて国民の期待に沿った政治が推進されると思っていたが、それが全くの期待外れで大きな失望感を与える結果になっている。
 問題となっている法務大臣の発言からもわかるように、政治家としての素質や自覚、使命感に欠ける国会議員が多く、また、野党時代にロクに勉強もしなかったので、いざ政権を担当する段になったら、やることなすこと素人の域を出ないことが多すぎる。一言でいえば、勉強不足なのだが、最大の原因は、それぞれの領域に通じる専門的知識や能力がなく、また現場を踏んだ経験やナマの情報がないのもウイークポイントだ。そのため、何をやっても、中途半端の結果しか出せないのだ。
忘れていけないのは、政治家というのは、国民に対して結果責任を持たねばならない、極めて高度なプフエショナルの職業なので、ぽっと出の経験のない人にやらせてはならないものなのだ。民主党は、プロの政治家が育つ前に新政権が誕生したところに大誤算がある。このままだと、リーダーシップ欠除の管政権の下、更なる不況が進行するのは間違いない。全く困ったものだ。
昨年十一月、当時、経済財政相だった管直人首相が「デフレ宣言」をしたが、その後、状況は改善されるどころか、歴史的な円高で深刻さは一段と増し、企業の生き残りをかけた「安売り競争」は激しくなるばかりだ。こうした中で動いているジュエリーは、ブライダル・アイテムを除き、きわめて限定したものに限られる。具体的には、一カラット石で19万8千円のペンダント、4万9千8百円の8半〜9ミリのアコヤ真珠ネックレス、高いもので29万8千円の黒蝶真珠ネックレスなどで、非常にシンプルなもの、当面、必要とするものしか売れていない。富裕層でも、値段を気にする時代だが、現在購入している人たちは以前から欲しいと思っていたものが通販や特別セールで安く売られていたので、買ったという人たちで、購入客の範囲も限定される。
最近、電車の中でジュエリーを着けている女性をほとんど見かけなくなったが、過去十年の間に成人になった女性のジュエリー所有率は極端に低いものに違いなく、生活の中でジュエリーが置かれている環境は大きく変わってしまっている。
まずはダイヤモンド婚約指輪やアコヤ真珠3点セットの存在価値の復権をかけて、再度、強力な普及推進活動を業界あげてやるべきだ。いまや、市場の根幹さえ、危ういのだから。 
【続】
(オーラム企画社長 本多 忠ョ)
■日本のジュエリ―産業、これからの生きる道 −第3回― ■2010年11月2日 火曜日 1時31分12秒

成功の可能性あるビジネスモデルは、「フィスト・ジュエリー・ビジネス」

 久しぶりに、広島県竹原市シオタ宝石商の塩田直社長から電話があり、勉強会参加の各社社長に頑張るよう色々と発破をかけているとのことだが、状況は極めて厳しく、次の世代に引き継げない店も出ているとのことだ。
とくに地方は得意客の高齢化と大都市への人口流失で、この⒑年の間に売上げが半減している店も多いとのことだ。また年を取るに従い、宝石をつけて外に出る機会がほとんどないという客が多くなっている。そのため、宝石・貴金属、時計、メガネの三品だけでなく、洋服、バッグ、靴、絨毯、絵画、置物など、ありとあらゆるもの、買って貰えるものは何でも売ってきての結果だが、いくら裕福な人といっても必要ないものは買って貰えない。
 こうした実態を聞くに、もはや、来るところまで来てしまった観がある。新規客を開拓しようにも、人がいないのではやりようがないし、いまの経済情勢だと人口万単位の商圏相手の商売は、もはや成り立たない。
 中小宝飾店が生き残るには、少なくとも数店を拠点商圏に配置した広域商圏に影響力を持つ展開で、「ジュエラー」になるのが無理なら、アクセサリー・雑貨を主力にした若い世代対象のライトジュエリー・ショップの展開しかない。そして、最も重要なことは、ターゲットの懐具合にマッチする可愛い「即ギメ」アイテムを豊富にそろえることだ。
 宝石店主が、お客さんはお金を持っているのだけれど、なかなか使ってくれないと口にすることがある。しかし、それは昔の話であって、いまは違う。確かに、幾ばくかの蓄えはあるにしても、高価な宝石や貴金属に気ままに使えるお金は持っていないのだ。今までの得意客から全く新しい客へターゲットを切り替えていかない限り、生き残れる企業の経営基盤はつくれない。
前回も書いたが、これから宝石商・貴金属商として商売をやっていくには、「グローバルに通用する店」になければならないし、特定少数の一人ひとりの客ニーズに対応出来る「自社オリジナルと言える国内外から調達した一流の品揃えを売る店」になることが必要だ。
いずれにせよ、メーカーも卸も小売も、この先、当業界に残れる企業の顔ぶれが絞られてきた一方、ジュエリービジネスに参入しようとする企業は、外資系含めてかなりある。
はたから見ると、日本のジュエリ∸市場は、まだまだ魅力溢れる市場のようだ。そして、成功の可能性あるビジネスモデルは、製造小売で展開する「フィスト・ジュエリー・ビジネス」なのだ。
何事もやってみなければわからないが、海外企業にとって、日本での成功体験は、他のアジア市場でも通じるとのことだ。こうした観点から日本市場を子細に再見するのも必要だろう。  【続】
(オーラム企画社長 本多 忠ョ)
■製版自己完結型の製造小売、輸入小売の業態が主流になっていくのは確実だー第2回― ■2010年9月28日 火曜日 6時49分39秒

 急激な円高に対して、政府は単独で為替介入に踏み切り、ひとまず1ドル85円前後に戻しているが、1ドル90―95円位でないと、輸出関連企業はどこもやっていけないのが現状だ。
 いま、世界経済は円高の流れにあり、ふたたび、1ドル80円近くまで進む可能性はあるが、政府には断固として今の為替の戦いに勝ち抜いてもらわなければならない。
 一方、尖閣諸島問題でも難問を抱えてしまった。対中貿易頼りの日本経済にとっては、これからどう出るかで、先行きが大きく変わる。今、中華思想について勉強することも必要だ。
 ところで、ジュエリーの売上げは依然としてよくないが、新しい市場の芽生えも見えている。確かに、従来型の宝飾品の年間小売販売額は年初予測したように、前年比15%前後減少して6千8百億円―7千億円位になるだろう。最早、この規模では、「ジュエリー産業はマイナーな産業」と言わざるを得ない。
 然しながら、規模が小さくなっただけ、客の顔もよく見えるようになったし、要望に沿った仕事ができるようになる。 
必ずしも、産業として、大きいだけが良いことではないが、問題は市場が縮小することで、年々、元気がなくなることだ。
前回提起した「三つの生きる道」だが、海外展開については昨年来、詳細に触れたので、ここでは、まず「ジュエラーの道」に触れてみる。
商売の基盤を国内においての展開だが、当然、「グローバルな宝石商」を目指すことが必要だ。当面のターゲットは「国内の富裕層」だが、先行き、中国、韓国、台湾を始めとするアジアの国々の富裕層を取り込んでいかないと海外のブランド・ジュエラーに抗して、安定した経営をしていくことは無理だ。
また中高年の富裕層に頼り切っている店は、これから経済力を持つ20代、30代の若い世代の潜在購入層を自分の店の顧客層に育て上げていく努力をしていくことが不可欠だ。
当たり前のことだが、いまの客が卒業してから,客づくりをしても始まらない。以前のように、「親子孫3代のお客様」への商売の時代は終わっている。そのため、新たな老舗になる努力をしていかなければならない。
では、老舗とは何か。難しいことは別として、一言でいえば、「商売のあらゆる面で拘りを持つ店」だと思う。そして、「絶対に必要とされる店の存在」でなければならない。
何を扱えば良いかといえば、当然、ハイエンドのファインジュエリーに特化し、客の求めに対して、国内外の一流品といわれるものは何でも取り寄せることができることが必要だ。そして、これ製版自己完結型の製造小売、輸入小売の業態が主流になっていくのは確実だ。【続】 
(オーラム企画社長 本多 忠ョ)
■日本のジュエリー産業、これからの生きる道 ■2010年8月25日 水曜日 1時44分58秒

業態としては製販自己完結型の製造小売 ―第1回―

今回からテーマを変えて、課題を整理してみよう。
まずは最近の経済環境だが、7月は猛暑特需のお陰でコンビニも百貨店もまあまあの売上げだったようだ。しかしジュエリーにとっての販売環境は依然としてマイナス圧力が強い。なかでも株価がさえないのは痛い。
前号で指摘したように世界経済、とくにアメリカ経済の回復テンポが怪しくなっており、円はドル、ユーロに対して史上最高値の水準に迫る大幅高で、その結果、我が国輸出企業が受ける打撃は大きく、夏以降の業績悪化は必至で、先行きは非常に厳しい。
また車のエコ減税や家電製品のエコポイントは、一時的には景気の大幅落ち込みを食い止めはしたものの、所詮、需要の先食いでしかなく、抜本的な景気の立て直しを誘発するものにはなりえなかった。むしろ。打ち切られた後が大変で、年末から来年前半にかけて、不況色が増すのは必至だ。
いまの状態が当分続く中で、どうすれば日本のジュエリー産業は生き残れるのか?
それには、次の三つの選択肢しかないだろう。
第一は、前回まで書いてきたようにビジネスの軸足を海外市場におく、グローバルな経営展開に切り替えることだ。そして、日本市場もグローバル市場の一つとして捉える事が必要だ。
二つ目は、作るものも売るものもファインジュエリーに特化したジュエラーの道である。そして、業態としては製販自己完結型の製造小売だ。
当然、製造し販売する商品の品質は、国際的に評価の得られるレベルを目指したものでなくてはならない。
デザイナーズジュエリーや創作ジュエリーといわれる工房の仕事も、この領域だ。 
第三の選択肢は、ライト・ジュエリーといわれる分野も含めた「幅広いアクセサリー・装身具の製造販売分野」である。
値段の安さ、トレンド・新鮮度、可愛いらしさの魅力の三つが商品には絶対不可欠な条件で、常に新しいものを求めたいという消費者にこたえていかなければならない。
分かりやすく言えば、M&Hやフォエバー21の登場で、日本のアパレル市場が大きくかわったファースト・ファッションの「アクセサリー・ジュエリー・バァージョン」市場の構築だ。
多品種の量産量販体制が基本であり、商品にはグローバル性が必要で、それぞれの市場で通用する価値や魅力を持つことが必要なので、今までのビジネスの延長線上ではやれないことだ。
当然、インド、中国、マレーシアなどの新興国やEU諸国からの輸入商品と競合激化になることは必至だ。
ジュエリーの国内需要が更に落ち込む中で、これらの展開をどのようにすればよいかを、次回、検討したい。【続】
(オーラム企画社長 本多 忠ョ)
■不況の中でジリ貧が進むジュエリービジネスとどう向き合えばいいのか ■2010年7月27日 火曜日 10時32分19秒

安さに慣れ親しんだ商売では、宝飾品は売れない 第10回―最終回―
 
 昨年11月から本欄を書き始めて10カ月が過ぎたが、景気回復は遅々として進まず、それどころか、この数カ月は様々な面で、先行きの不透明感が増している。
先月の日銀短観によれば、景気は底堅さを見せだしたとしているが、それとてリーマンショック直後の最悪時に比べれば、心理的には良くなっているだけの話であって、多少状況が好転したとしても、それが個人消費の回復に直接、結び付くものではない。
 最近のドル、ユーロに対する円の大幅高は輸出頼みの日本経済にとって大きなマイナス要因だし、中国の景気に対する先行き懸念も出てきており、再び、我が国の景気が悪化しかねない状況下にある。
7月に入って株価は年初来の安値水準で、今のところ、底値さえ見えない始末だ。こうした状況では個人消費が上向く筈はない。
今夏のボーナスは昨年よりも多少良かったようだが、使途と言えば、一番はローンや借金返済で、次いでの答えは、「貯金する」だ。これでは、ほのかに期待していた夏の商戦も完全不発だ。
いずれにせよ、売る側も、買う側も、「安値だけしか頭にない」のでは、このさきも、成長戦略へ転換する糸口を見つることはできない。
確かに、今はどんな商売でも、「値段の安さ」は、多くのお客様の心を捉える最強の手段であることに間違いはない。
競争相手の値下げに追従しなかった「牛丼の吉野家」は、業界売上げ第1位から3位に転落、そのため、この夏限定で値下げに踏み切り、首位奪回を目指すとのことだ。
だが然し、吉野家の本心は、「値下げによる売り上げ拡大」ではなくして、女性客拡大による売上げ増にあるようだ。 現在、吉野家の店先をみると、ほとんどが男性客で、女性は入りたくても一人で入るにはかなりの勇気がいる。女性客にも、気軽に、もっと牛丼を食べてもらいたいというのが、今回の戦略の核心なのだ。
当業界といえば、半年前に比べると、展示会での高額ジュエリー購入にやや持ち直しの兆しが見えており、とくに、地方の客で顕著のようだ。しかし、景気が良くなったのではなく、従来の富裕層の買い控えが少し戻っただけの現象だ。やはり、高額ジュエリーのターゲットは【富裕層】で、それ以外の人たちには元々、無理のようだ。
フィスト・フアッションならぬ「フィスト・ジュエリー」は次世代ジュエリー&アクセサリー市場の中核商品になりえるが、宝飾品市場の中核商品ではない。あくまでも、宝飾品は、高くて、そう簡単には買えないがゆえに価値があり、憧れのあるものになるのだ。安さに慣れ親しんだ商売では、宝飾品は売れない。ときに、その商品の本質を見直すことも必要なのだ。
(オーラム企画社長 本多 忠ョ)
■不況の中でジリ貧が進むジュエリービジネスとどう向き合えばいいのか ■2010年6月28日 月曜日 14時54分9秒

自己規律の徹底と企業相互の牽制も必要になる −第9回−

 「予想通り」、それとも「やっぱり」と表現すればいいのかは別にして、鳩山内閣は発足以来、一年持たずして退陣してしまった。志はあっても、もともと一国のリーダーとしての素質のない人が総理になってしまったところに問題がある。彼を選んだのは、民主党員の責任だが、国民が政権交代に期待したことは、なにひとつ日の目を見ない中での代替わりとなった。
 現在の総理・菅内閣の最重要課題は、国・地方合わせて行政機関が抱える金融負債、つまり借金は2009年度末で1千兆円を越えてしまったが、この世界一巨大な借金財政の建て直しにどう道筋をつけていくかだ。再三言ってきたように、日本経済の成長戦略具体化も、財政再建の筋道が明確に示されない限り難しい。
 今回の参議院選で、しばらく消費税増税問題が各党論戦の重要テーマとして取上げられるが、それだけ国の赤字財政事情は緊急性を要する課題だ。
 景気対策で国債、財投債が前年度よりも約7%増えた結果、負債残高は1千兆円の大台を超えてしまった。家計の資産残高は、前年末で1452兆円なので、国の財政破綻にならずに済んではいるものの、民間の借金、約4百億円を差し引けば、もはやゆとりはなく破綻寸前の危険水域に張っている。いずれにせよ、財政債権は超党派で取り組まねばならない最重要課題だ。
 ところでまたまた、ダイヤモンドのカラー・グレーディングについて、その評価を意図的に甘くしたとの内部告発をマスコミが取上げ、騒ぎになっているが、この際この種の事件が二度と起こらないように再発防止を徹底しないと、ジュエリー業界は消費者および関係先から、益々信用されなくなるだろう。
 そもそも、今回の事件は鑑定会社の従業員リストラ問題に端を発しており、甘いグレーディングが行なわれたとされるのは、3年前の2007年2月から2008年10月末の間のことだ。その真偽はともかく、過去において何度か、問題になっていることに対して、どうして疑いをかけられるようになったのかを関係企業は猛省すべきだ。
 グレーディング作業は誰に見られようが、透明正大であることが絶対条件だ。鑑定会社に関わらず、全ての商売の基本は「信用」だが、その信用を得るのに何よりも重要なのは「何があっても、お天道様に顔向けできないことは絶対にするな」ということだ。分かりきったことだが、なかなか出来ないのが人間だ。
 今回の件は、当業界だけの特殊なものではない。様々な形で日常的に起こりえるものだ。
 だからこそ、業界一丸となって信頼性の確立に努力していくことが絶対必要だし、そのために自己規律の徹底と企業相互の牽制も必要になる。【続く】

■それぞれのオシャレ・テイストが選ぶ個性あふれるショップをー第8回― ■2010年6月15日 火曜日 5時37分44秒

 ギリシャの国家財政破綻危機を契機に、ユーロ圏発の金融危機再燃の兆候がみられるようになり、このところ東京市場は円高、ユーロ安が一段と進行、株価も年初來の大幅安で、回復基調を見せていた景気も一変し、二番底到来が多いに懸念される。
 今後も現在の水準で円高、ユーロ安が推移すれば、輸出関連企業の業績に与える影響は大で、ようやく芽生えてきた景気回復の芽が摘まれることになる。いずれにせよ、この1―2カ月の動きに注目する必要がある。
 前回に続き、現在の市場環境下で、小売店がなすべきことについて、検討してみよう。
前回、南アで開催されるワールドカップのオーナメントジュエリーについて触れたが、様々な国内のイベントやトピックスとコラボしたアクセやジュエリーの開発・発売が大きく増えてくると思う。
とくに地域活性化を図るイベントのノベルテイ定番「マスコットやキャラクター」に代わる有望なアイテムとして、アクセやライト・ジュエリーは新商品の分野だ。
 地域限定で各地の宝飾店がオリジナルデザインのアクセやライト・ジュエリーを手造り制作し販売していくことが必要になる時代だ。つまり、従来のように仕入れたモノを売る時代から、製造小売りの業態を積極的に試行することが大事だ。
 例えば再来年,注目の東京スカイツリーが完成するが、これなど、恰好のコラボ・アクセやジュエリーのテーマになる。
 東京下町の宝飾店がグループで商品を開発し発売することを考えてもいいのではないか。
そして、最大の課題は、店舗を、これからのターゲットである20―30代の人たちが、「今以上に多く集まる店にリニューアル」していくことだ。
重要なことは、ジュエリーショップ、アクセショップとして他の店とは違う、何かを感じさせる雰囲気をもつ店にしていくことだ。そうでないと、客は店に入ってくれない。
それは、トラディショナルな雰囲気の店であれ、トレンディな店であれ、何よりも際立った個性を感じさせる店でなければならない。端的にいえば、ターゲットである客に対してひと際、目立つ存在の店であることが重要なのだ。そして、店のフアンになってくれる客は、誰もが自分のテイストに共感出来る「雰囲気」、それが商品であれサービスであれーを、その店に見つけ出しているのだ。
アクセもジュエリーも、自分をよりオシャレに、魅力的に表現してくれるメイク道具と全く同じ存在で、自分の肌(おしゃれ感性)に合わないものに女性は手を出さない。
ヒト色々.オシャレ色々、それぞれのオシャレ・テイストが選ぶ個性あふれるショップを作る努力が必要だ。 【続】
(オーラム企画社長 本多 忠ョ)
■不況の中でジリ貧が進むジュエリービジネスとどう向き合えばいいのか ■2010年4月27日 火曜日 7時9分9秒

話題性をウリにした商品をフットワークよく売っていくことも重要 ―第7回―

 6回にわたって、これからのジュエリービジネスの展開として海外市場開拓の重要性について触れたが、他の産業同様、中国、インドを始め、アジア新興国市場での商売がうまくいくかどうかで、今後の企業業績が大きく左右される時代に入った。
 昨年のダイヤモンド輸入額を見てもわかるように、年間577億9千万円という数字は、第一次オイルショックの起こった35年前の年間輸入額580億円よりも少ない額で、今の日本のジュエリー市場規模は年間小売額1兆円を大きく割り込んでしまった。これは、私がJWトンプソンでデビアスを担当しだしたころの市場規模とほぼ同じだ。
 今年はジュエリーの売上げ下落が底を打ち、反転するとの楽観的な見方をする人もいるが、それは願望であっても現実の販売環境は昨年以上に厳しく、ほとんどの製造卸、小売店では前年売上げを維持するのは無理なようだ。何せ、小売りが活性化しないことには始まらない。現状を乗り切るには、どうしたらよいかを考えてみたい。
@何よりも重要なのは若い世代を顧客として開拓していくことだ。客が途絶えない限り、店はつぶれない。テイ―ンも含め、多くの店にとって手薄な20代、30代の顧客の開拓を積み重ねていくことが重要だ。今までお世話になってきた高年齢の客に頼る商売を続けるのでは明日はない。
A今まで販売してきた商品だけを販売するのでは売上げは先細りだ。モノの値段の基準が激変してしまった中で、新しい時代の消費者の懐具合にあった品揃えをしていかない限り、販売チヤンスは生まれてこない。新ジュエリー時代の先取りに挑戦する新商品の品揃えに積極的に取り組んでいくことが必要だ。先日、NHKが紹介していた甲府のサン宝石の「百円アクセサリー」が中学生に大人気だが、ジュエリーも、まずは、「手軽に買える値段」が絶対条件で、シルバー、14k、10k、真鋳、ステンレス、アクリルやビーズなど、従来の使用素材にこだわらないモノを使い、斬新で新しいファションや遊びのスタイルを先取りしようとするノベルテイ性のあるものが、これから形成されるジュエリー市場の中核になっていく。
B販売促進の戦略上、商品そのもののイベント性や話題性も重要な要素だ。
今年、南アフリカで開催されるワールドカップをモチーフにしたオーナメント・ジュエリーをAP社が制作・発売している。岡田ジャパンがもう少し強いと盛り上がる筈だがが、いずれにせよ、サッカーファンだったら男女を問わず、気になるアイテムだ。販売期間は限定されるが、こうした時期は、話題性をウリにした商品をフットワークよく売っていくことも重要だ。  【続】
(オーラム企画社長 本多 忠ョ)
■不況の中でジリ貧が進むジュエリービジネスとどう向き合えばいいのか―第6回― ■2010年4月12日 月曜日 6時0分9秒

アジア発展途上国から日本が必要とされる国になること

 今回は企業体質として持つべき「国際性」とは何かについて触れておこう。
 今から40年ほど前だが、スイスの食品会社、ネスレの日本支社にいたことがある。
同社は今日、年商10兆円規模の世界ナンバーワンの食品会社であるが、当時、既に、アメリカのクラフトやナビスコ、スイフトなどの大手食品会社に伍して、世界各国市場でビジネスを展開、世界有数の「優良インターナシヨナル企業」として注目されていた。
いかにしてワールド・ワイドにビジネスを成功させるかについては、ネスレを始めとするスイス企業の世界市場進出戦略がお手本になる。
スイスは国土が狭く、しかも山ばかり、資源にも乏しく、人口も少ない国だ。そのため、どんなに頑張ってもスイス国内での商売は限度がある。
 それゆえ、市場を海外に求めて、勤勉、能率、倹約の道徳感の下、創造性と粘り強さを生かし、変貌する世界にいかに適応するかを慎重に見極めながら、あらゆる機会を捉えて、着実に、且つ目立たぬように静かにビジネスを拡大していくというのが、何世紀もの間にスイス人の心の中に染みついた商売の知恵なのだ。
勤勉と倹約を美徳とする国民性は日本と類似しており、政治・社会の安定性に支えられて経済が繫栄してきたのも、また、資源がなく貿易立国として世界を必要にしてきたのも両国の共通点だ。   
 然しながら、スイスの企業が世界に名を知られ、それぞれの市場で独自の地位を獲得できているのは、技術、サービス、販売、経営の各分野で常に「最高の品質」を提供しているからである
また各市場で活躍するスイス人の卓越した能力、創造性、実利的な技術で相手国に利益をもたらし、巧みに人心をつかんでいる点も見逃せない。
堅実で常に慎重、地味で目立つことをしないのを商売のモットーにしているスイス人は、ニコラス・ハイエック・センターのようなものを銀座に立てることなどしない。ちなみに、スウォッチグループ、ハイエック会長はレバノン生まれだ。
当然と言えば当然だが、海外で商売する場合も、進出市場の人々に受け入れてもらえるよう十分配慮し「ギブ・アンド・テイク」の精神でやらないと上手くいかないのだ。 
つまり、インターナショナル・ビジネスはヤンキ―魂ではダメなのだ。とくに、民族のプライドに配慮することが大切だ。そして、現地で尊敬され、頼りにされる企業になることが必要だ。
当面は、中国、インドを始め、アジア発展途上国がターゲットだが、日本がこれらの国々を必要とすると同時に、これらの国々から、日本が必要とされるには、どんな存在でなければならないかを真剣に考えることが大事だ。【続】
(オーラム企画社長 本多 忠ョ)
■不況の中でジリ貧が進むジュエリービジネスとどう向き合えばいいのか ―第5回― ■2010年4月12日 月曜日 5時48分59秒

「郷に入ったら郷に従う」ことの重要さを知らなければ

 前回に続き「一歩前進したビジネス領域の開拓」、海外ビジネスを展開できる企業体質の確立と海外進出をするなら、外需を獲得できる足掛かりを早急に確立することの課題について検討しよう。
まず言いたいのは、今の日本企業の体質には「先取性」や「先駆性」のDNAが欠落しているということだ。10年この方、世界の流れの後追いばかりでトップランナーになろうとする素振りすら見せなくなっているし、企業規模の大小にかかわらず、失敗を恐れず未知なることに大胆にチャレンジしようとする企業も少なくなった。
然しながら、一方で、国内事業だけではどうしようもなくなって、海外に市場を求める企業が増えている。しかも、リーマン・シヨック以後、その進出先は経済が着実に拡大している中国などのアジア新興諸国やインドが圧倒的に多い。これらの市場はアメリカやEU諸国、韓国、台湾にとっても魅力ある市場なので競争も非常に厳しい。
アジア新興国市場への日本企業の進出の歴史は古いが、かっての意味合いとは全く逆で、「相手に商品やサービスを買って貰う売り手の立場」としての進出である。
極論すれば、相手からモノを買うのは誰にでも出来るが、モノを相手に買ってもらうということは、そう簡単なことではない。
そのため、現地責任者に求められるものは、今や、現地語が堪能といったことは当然で、それ以上に重要なことは、商談の際、即決、即断が日常的に求められるので、企業の意思決定のできる権限が与えられていることが絶対条件だ。
 今までように、本社に早く戻ることばかりを考えているような現地駐在員ではダメで、世界の競争相手が犇めく市場で商売を成功させたいのなら、その地に骨を埋める気でやらなければいけない。
 海外へ出て行く前に、中国での商売は難しいとか言って腰が引けているようではダメだ。今の時代、商売の難しくない國なんて、どこへ行ってもある筈はない。
 最近、中国でのグーグルの検閲問題について、最大ネットグループ「アリババ」の馬雲会長は「世界中、どこの国でもビジネスに困難はつきものだ。問題が解決できないからといって撤退すれば最大の失敗だ」と香港のセミナーで語ったが、それは同時に、「郷に入ったら郷に従う」ことの重要さを示唆したものと思う。
 海外に出たとき、どんな努力をしなければならないのかを身近に知るのなら御徒町にきているインド人を見れば、よく分かるだろう。
また、新しい経済環境の中で海外ビジネスに取り組む企業体質に「国際性」は非常に重要だ。日本人には国際性がないと言われるが、それはどういうことかについて、次回、考えてみる。【続】
■不況の中でジリ貧が進むジュエリービジネスとどう向き合えばいいのか ―第4回― ■2010年2月16日 火曜日 5時56分42秒

一歩前進したビジネス領域を開拓していかない限り、明日はない

 残念ながら、今のような経済情勢では、多くの消費者にとって宝石やジュエリーは、ここ当分は、購入予定のない商品だ。どう頑張っても内需だけでジュエリーの売り上げを拡大していくのは不可能だし、現在の売上げ低迷を食い止めるのも難しい。おそらく、今年の売り上げも前年割れになるだろう。これはジュエリーを取り扱う全ての企業に共通して言えることだ。
今のジュエリー需要規模から見れば、「人口10万人の町に宝飾店が1軒」あればこと足る時代だし、問屋やメーカーも商売の規模からみれば、その数は多すぎる。いずれにせよ、一歩前進したビジネス領域を開拓していかない限り、明日はない。
ではどうすればよいのか。基本的な方向としては、次の3つだ。
@今までの貴金属・宝石商としての実績をベースに、「世界に誇れる日本のジュエラー」としての地歩確立に邁進していくこと。
Aこれから形成されてくる新経済時代の「新中間層」をターゲットにした新たなジュエリービジネスを立ち上げること。
B国内ビジネス、プラス、海外ビジネスを展開できる企業体質をつくるとともに、外需を獲得できる足掛かりを早急に確立すること。
 @は、ファイン・ジュエリーをメインに取り扱うブランド・ストアの道であり、国内拠点を固める中で、海外進展も狙う。業態として小売専門店に加え、製造小売の参入が増えてくるであろう。
 Aは、激変した新経済時代の中で、不特定多数のマスの消費者が購入できる新しいジュエリーの開発と、その需要拡大を図るビジネス展開で、恐らく、明日のジュエリー・ビジネスの中心的存在になっていく分野だ。
カギは「買いやすい価段」と「トレンド・ファションの表現」だ。国内の需要だけでなく、将来的にアジア新興諸国の年収45万円〜250万円のボリュームゾーンの人々の需要開拓を狙うことも重要だ。ローコストで表現力豊かなジュエリーを開発しなければならないので、使用素材も貴石、プラチナ、k18などではなく、k10のような低品位貴金属素材、シルバー、、アクリル樹脂、ガラス、人工宝石などを用いたものが主流になるだろう。
H&M、ZARA,フォーエバー21、アバクロなど、海外のファストフアッションが大人気だが、これに対応できるジュエリーが登場する時代になるだろう。
Bはいうまでもなく、日本のジュエリーメーカー、製造卸にとって将来への発展の道だ。然しながら、海外市場、なかでも、中国やインドで成功するには容易ならざる努力と幸運が必要なようだ。
 どのようにチャレンジしていけばいいのか、次回、考えてみよう。【続】
(オーラム企画:社長 本多忠頼)
■不況の中でジリ貧が進むジュエリービジネスとどう向き合えばいいのか ■2010年1月22日 金曜日 7時40分17秒

暗さが先行する年だが、客目線になりきれば打開策を見出すことはできる。−第3回−

円高、株安、デフレの三重苦の中で新しい年を迎えた。リーマン・シヨックから2度目の正月だが、日本経済は過去経験したことのない厳しい状況下での年明けだ。
 暗い話題ばかりなので、新年は元気の出る、明るいメッセージが欲しいとのことだが、なかなか難しい。問題なのは、先行きの不透明さが暗さや不安感を増幅させていることだ。これを払拭させることが鳩山政権の緊急課題だ。
そして高い成長性が期待出来る新しい日本経済の基盤構築の実現について、官民挙げて取り組むことだ。
そうでないことには、政権交代の意味がないし、「失われた10年」の愚かさを再び繰り返すことになり、世界一の借金大国から永遠に抜け出すことが出来なくなる       
そして、景気回復どころか、日本の先行きについて見切りをつけて外に出ていく有力企業が増え続け、一方では、日本市場へ投資を呼びかけても、応えてくれる海外フアンドはないだろう。
いずれせよ、バブル経済崩壊以降、20年近くも続いている超低成長経済体質から早期に脱却しなければ明日はないし、これが出来れば、夢ある明日を構築することも可能だ。
では、何に原因があるのだろうか?
一言でいえば、過去の成功体験から脱しきれないからである。新しい時代環境になっても、それに適応していく切り替えを容易にできないのが日本人だ。状況変化を的確にとらえ、それを自分のものにしていこうとする野心ある行動が必要なときだ。
ジリ貧下にあるジュエリービジネスも、グローバルな視点で新たな需要を創造していく行動を業界あげて、精力的に取り組まないと「モノづくり」の基盤は崩壊してしまう。
遅ればせながら、JJAは、これからの日本のジュエリー産業発展には、海外市場開拓が必要・不可欠なものとし、海外フェアの参加やジャパンブランドの具体化に取り組んでいくとのことだが、成功の鍵は、アジアに発信できる魅力あるジュエリーをいかに開発し、提案していくかにある。
例えば、毎年のアジアのジュエリー・トレンドをリードしていくため「TOKYOジュエリー・コレクション」を立ち上げるのも一つのアイディアだ。今や、渋谷・原宿のギヤルズ・フアッシヨンは、アジアはもとより世界を席巻している。
こうした中で、東京発のトレンド・ジュエリー・コレクションの立ち上げが出来ない筈はない。これからのジュエリー時代を構築していくには、様々な新しい試みが必要だし、やったことのないことにチャレンジすることが絶対に必要だ。
暗さが先行する年だが、客目線になりきれば打開策を見出すことはできる。ご健闘を祈りたい。
(オーラム企画:社長 本多忠頼)
■不況の中でジリ貧が進むジュエリービジネスとどう向き合えばいいのか ■2010年1月22日 金曜日 7時33分46秒

人々に「必要とされるジュエリー」を開発することが市場進出第一の仕事だ。‐第2回‐

 収入、雇用ともに環境悪化が色濃くなる中で景気の「二番底」は避けられない状況だ。
 当然、鳩山内閣は景気浮揚策を打たねばならないが、前号で述べたように、V字回復をもたらす特効薬はないので、先行き日本経済の立て直しを図る上で不可欠となる新産業振興策について、その道筋を早急につけて国民に示すことが先決だ。
 前回提起した海外市場の展開だが、漸く新しい動きが小売業にもみられる時代になってきた。
 去る9月末、サダマツは台北市中心部にショップをオープン、東京発のブランド・ジュエリーをアジア市場に広める拠点にする計画だ。
 同じころ、パリ・オペラ座近くにグローバル旗艦店をオープンした柳井正フアーストリテイリング会長兼社長は「日本市場の個人消費の伸びについては、全く希望が持てない」として、今後の成長戦略の中心を海外市場におき、2020年の売上げ目標を5兆円に設定、世界最大の衣料品製造小売業を目指すという。
 昨年来、流通業全ての領域で展開されてきた「仁義なき低価格競争」は、売上げ下落に歯止めをかけられず、ほとんどの企業で失敗に終わっている。
 成長性のない市場で生き残るのに出来ることと言えば、シェアの獲得にしのぎを削ることしかない。
一方、アジア新興国市場、なかでも、中国やインドには21世紀の世界経済を牽引できる大きな力があり、世界の巨大工場であると同時に世界最大の潜在購買力を有する消費国でもある。そして、両国とも、大都市裕福層で宝飾品の需要は着実に拡大しており、既に、日本の小売市場の二倍強、2兆数千億円の市場が存在すると推定される。
 過去において、中国やインド、東南アジアへ進出した日本の宝飾企業の多くは、宝飾品素材買い付けや商品加工調達が主目的で、現地で商品を販売することを目的にした進出はほとんどなかった。
 いずれにせよ、海外市場で商売をするには、国産品の輸出か、現地生産・現地販売の展開をするかのいずれかだ。
 どちらを選ぶかは、各企業の戦略次第だが、今までのように、メイド・イン・ジャパンだから売れるという時代は終わった。確かに、資産10億ドル〈約900億円〉以上の大富豪が中国には130人いるとのことだが、長期的に中国市場で商売をするならば、これからのターゲットは、成長性の高い年収45万―315万円のボリュームゾーンの人々だ。それゆえ、高付加価値のある商品だから値段も高いという理屈は通用しない。現地の所得水準を考慮して、多少背伸びすれば購入できる値段で、人々に「必要とされるジュエリー」を開発することが、市場進出第一の仕事だ。
(オーラム企画:社長 本多忠頼)
■不況の中でジリ貧が進むジュエリービジネスとどう向き合えばいいのか?  ■2010年1月22日 金曜日 7時32分30秒

本多忠頼氏が10年ぶりの執筆に“乞うご期待”‐第1回‐

 このコラムを最後に書いたのは2000年12月1日号だった。あれから10年近くが過ぎたが、期待した21世紀の出だしは惨憺たる時代の巡り合わせになった。
 昨年9月のリーマンショックに見舞われたとはいえ、日本はバブル経済崩壊後、10数年がたった今もGDP年率数%の成長率しか達成できない情けない国になっている。
 誰の責任なのか!と追求したところで何も変わらない。行け行けどんどんには強いが、へこむとなかなか起き上がれない日本人特有の性格が災いしているのであろうか。
 現在、景気は回復途上にあるが、過去に手がけたような景気対策をなぞる戦略では、新国際競争時代における日本経済を強力に牽引していく産業基盤を構築していくことは不可能だ。
 これからの日本経済の発展は内需と外需のバランス如何にかかっている。
 そのためには内需拡大を支える新しい産業分野の育成が必要だが、環境自然エネルギー産業、食糧自給率アップと地域振興を図る農業経済基盤の再構築、介護・福祉サービス産業の基盤整備などどれをとっても、成果がでるまでかなりの時間がかかるし、国民の理解の下に、国として、人、モノ、カネを集中的に投資していくことが必要だ。
 こうした状況を考えたとき、経済のV字回復を夢見るのではなく、中長期的で経済の建て直しを図ることが重要で、また「空白の10年」の悪しき前例を繰り返さないことだ。
 こうした経済環境の中でジュエリービジネスの先行きについて、どう考えればよいのか。
 07年には、ジュエリーの年間小売販売額は1兆円あった。しかし、08年は前年比2割減の8千億円、また今年は、上半期のダイヤモンド、金、プラチナ地金、真珠、海外ジュエリーなどの輸入実績や宝飾店の販売動向をベースに年間販売額を予測すると、前年比で15%減の6800億円前後になるものと思う。
 つまり、この大不況の2年間の間に、1兆円市場の約3分の1を喪失したことになる。仮に、今後5年以内に景気が大幅に好転したとしても、1兆円の市場規模を取り戻すのは無理だ。
 というのは、健闘している展示会でさえ集客数は激減、購入単価も大幅に下落している。主要客が60歳代から80歳近い高齢者が多いのもマイナス要因で、早晩、売上高のジリ貧が加速する。
 残念ながら、どう見ても今後、ジュエリーの国内需要が増える可能性は少なく、伸びのない市場で徒労の戦いが続く。 
 こうした中でジュエリービジネスを再興し、その拡大を図って行くには海外市場の開拓以外、有効な方法はない。次回は、その可能性を検討したい。
(オーラム企画:社長 本多忠頼) 
■「ダイヤモンドで婚活応援」 ■2009年7月8日 水曜日 1時23分9秒

ラグジュアリーな一夜となる「ダイヤモンドなパーティー」の開催が待たれる。

先ごろ流行の“婚活”ブームに、ダイヤモンドの輝きが一役かえないものだろうか。近
年の晩婚化と少子高齢化、社会福祉環境や経済事情により、日本の人口減少が案じられる昨今で、いまや世界的社会現象の一つにある、老若男女の婚活ブーム。その中心となるのは、全てに本物志向の“アラフォー”世代の女性たちだ。華々しいキャリア人生と経済的自立、一人でいることの自由を謳歌し、あらゆる消費社会の訴求ターゲットとされながらも、それをステイタスの証と受けとめ、女性のサクセスストーリーに向かって十分頑張ってきた、21世紀を代表する結婚適齢期世代。激化する今日の経済戦争や希薄な人間関係、家族構成の大きな様変わりによる、病気や老後の心配と介護事情。叫ばれる「男性の草食化」の中で、そろそろ一人で頑張り続けることへの疲れと先行きへの不安が、彼女たちを一気に婚活へと導いた結果の社会的ブームといえよう。
更に、親を安心させたいという親孝行心の芽生えが増加したことも最大の要素となっているらしい。「子供を生むタイムリミット」や、色々な事情から「シングルマザー」となった人や、増え続ける「シングルファザー」の人々もここに加わり、様々な要素が織り成す婚活最前線。結婚したくても出来ないと嘆く人たちにとっても、結婚はいつの時代も、第二の人生に関わる大切な大仕事となっていることは言うまでもない。
また、第三の人生に賭ける新たなパートナー探しに活動的な、50代以降のシニア世代と称される人々の“熟婚”活動もここに加わる。世代間の婚活内容に共通のデジタル化時代には、思うような出会いが無いと嘆く各世代の彼らや彼女たちに、出会いの場と人を引き合わせ、結ぶためのサービスを産業とする結婚産業。時代に応じた多くの様々なサービスを提供することで、その会員数を確実に延ばしている。ネットにみられる多くの情報サイトをかわきりに、個人が営む結婚相談所等まで、個々の企業カラーでは、会員の資質を、学歴、収入、職業などで線引きすることで人的クオリティーを前面に打ち出す。婚活盛りの消費者は、自分の理想とする相手のいそうな見合い産業に加員し、高級会員費用と入会金を設けた会員制システムという差別化に取り込まれ、彼らの顧客となる。独身男女を囲い込む仕組みだ。
一昔前はどこにでもいた、いわゆる“おせっかいおばさん”の存在が減少したことも、このお見合いサービス産業が、活況を見せる最大の要因となっていることは間違いない。提供される多くの個人情報とサービスは、理想とする結婚相手を最短で素早く見つけられるというシンプルさが、このサービス産業がうけている最大要因。人生の伴侶との出会いの場となる大切な「婚活」パーティーは、ダイヤモンドの語源が意味する永遠性とその輝きを混めて、縁結びに一役立ちたいもの。ラグジュアリーな一夜となる「ダイヤモンドなパーティー」の開催が待たれる。
(ジュエリースペシャリスト:三島 由加理 y.mishima@mishima-associates.jp)
■トレンドを読む  ■2009年3月30日 月曜日 8時48分51秒

モノクロ市場からカラー市場へ 

政府上げて経済対応策が暗中模索を重ねる中で、依然としてジュエリー市場の景気も、
先行不安材料を多く抱える昨今だが、従来主流とされてきた「モノクロの流行=不況市場の構図から、今確実に、消費市場はカラー時代に突入している。
元気な明るい色で市場を活性させようという試みか、あらゆる消費“財”市場ではその
ための物作りが活発だ。専門家によると「色」による最大の企業メリットは(先行)投資額が最小で済む。ということだそうだ。
宝石類とその市場性は若干異なるものの、希少性、資産性という価値を省けば、今日主
流を極めるジュエリーも、確実に消費財の域に入っているといえるだろうか。今や衣食住はトータルコーディネートの時代となり、続く「個」を重んじる時代に、「私だけのジュエリー」を模索する消費者の姿は増加傾向にある。「色」で勝負に出た企業を見てみよう。
携帯電話でカラー携帯シェアー1位のNEC。ピンクに続きオレンジ色や緑色などでヒットを飛ばし、競合他社も続々とカラー携帯市場に進出。また、世界規模での売れ行きに大きな暗雲が立ち込めた「車」市場では、“色の王者”と称される日産のマーチが12色を発表し、前年比265%の快挙。
家電の世界でも色物家電が人気のようだ。不振にあえぐファッション業界でも、先ごろLAから上陸したKitson(キットソン)では、モノクロのボーダー柄に原色を加えた新しいマリンルックを発表し、多くの話題で興味を惹いた。初出店となる新宿ルミネ2では、オープン初日に2000人からの若い女性が列を成していた。参考までに、興味を惹く色と、「購買につながる目を惹く色」では、異なることも付け加えておきたい。
ジュエリー業界が発するイヤージュエリー、イヤーカラーはダイヤモンドとあるが、もう少し工夫は出来ないものか。世間は確実にカラー市場に突入しているなかで、消費者が振り向くジュエリープロモーションの展開が気になる。世間のトレンドにうまくコラボし、便乗することも大事なPRのコスト削減につながるのではないだろうか?2009年のターゲットは「本物志向の女性」。また、働く女性に向けた「癒し色」の研究結果にも注目される。ちなみに、2008年度の百貨店の主要客層とその売り上は、(新宿エリアに絞込み)高島屋・40代〜60代/本物志向の男女/774億円。小田急・30代〜40代/働く女性/1,071億円。伊勢丹・30代〜50代/ファッション感度の高い女性/2543億円で、2009年度のターゲット層に結んでいる。消費者の生活スタイルと趣味趣向が複雑化する中で、ジュエリー業界が仕掛けていく、ジュエリー本来の貴族的なラグジュアリー感と、匠的な手仕事の素晴らしさ、ハイエンドなサービスとは何か?そのための戦略が急務として映る。
(ジュエリースペシャリスト:三島 由加理 y.mishima@mishima-associates.jp)
■「巣篭もり」型消費とジュエリー   ■2009年2月10日 火曜日 3時1分33秒
     
装う「夢」に「利便性・低価格・高品質」の両立を目指す


まだまだ寒さの続く2月。個人消費の低迷と重なり、“身も心もおしゃれ”して出かける
先は以外と少ないようだ。昨年期待されたクリスマス商戦での勝ち組は、内的消費のスタイル。外出を控え家で楽しむ消費を「巣篭もり型」と称し、その代表が「内食」(家庭での食事)。高級レストランでの「特別ディナー」や「パーティー」からとって代わった。
家計の節約と普段より少し豪華を堪能するための、特別注文の有名パテシエによるクリスマスケーキや、旅を減らした旅行好きには、疑似体験を自宅で楽しめる駅弁などと、先ごろ話題にことかかないデパ地下食品や食の催事では、苦戦を強いられる百貨店でも例外で、前年を上回る売り上げを伸ばしているという。また、土鍋などの調理器具の類も前年同期比で2割増しと聞く。家具類の世界では簡素でシンプルなデザインが、飽きずに長く使えるという理由から、人気の北欧家具や食器類も好調ぶりのようだ。
 さて、駅弁がジュエリーとなんの関係が?大好きな駅弁買いを楽しみつつ、先ごろ変化急増を続ける消費生活パターンを静観していると、「ジュエリーのニーズがどこにあるのか?」と自問自答する。物産展では、少し奥に配列された“産直”を謳う「真珠」や「鼈甲」のショーケースに人だかりは見当たらない。日ごろジュエリーを肌着のごとく身に着ける私としても、先行きの収入先を懸念する多くの女性達に等しく、衝動買いの範囲は懸念されそうであるが、手持ちのジュエリーボックスを再点検し、貴金属の買い取り商戦を横目にし始めた消費者は、「自分のライフスタイル」に見合った製品アイテムに、よりニーズの「利便性」と「低価格・高品質」を求め、「夢」だけが一人歩きしたデザインには、素敵だけど「見てるだけ〜」の声が、今後益々消費者から聞こえてくる気がしてならない。持つことがステイタスとされていた海外の高級ブランドバックも、今や週単位でレンタルされる時代に入った。財布の紐を締め続ける「巣篭もり型」消費者に対して、今年、支持を得るジュエリーの姿を、更に模索し研究する必要は急務であろうか。
装う「夢」の代名詞であった人に魅せるジュエリーは着けていく場所も減少し、「自分のためのジュエリー」へと、個人主義が増加する市場は目の前にある。                    (ジュエリースペシャリスト:三島 由加理 y.mishima@mishima-associates.jp)

■CHANGE ! “チェンジ” ■2009年2月10日 火曜日 2時45分0秒

ジュエリー資本主義の再構築が急務

昨年のクリスマスイブに、旧友から毎年恒例となつた卓上カレンダーが届きました。
いつのまにか毎年楽しみに待つことになった、その今年のカレンダーには、平成とともに歩んだ20年の歴史が、12カ月12項目、そのどれもが大変興昧深いテーマで用意されたものでした。
1月のテーマはまさに相応しく「大河ドラマ20年」というくくりからスタートです。例えば、1989年は春日局に始まり、2008年の篤姫まで。という具合に、1年ごとに時代背景をドラマの記憶をたどりながら廻れるものでした。
その中で特に興味をひいた3月の月別テーマであつた「暮らしの20年」から、その詳細をお披露目したいと思います。

「増えたもの」        VS  「滅ったもの」
携帯電話            VS   公衆電話
老人ホーム           VS   年金
初任給             VS   サラリーマンの平均小遣い
塾・受験生・ゲーム       VS   子供の学力・読書量
コンビニ・ファミレス      VS   駄菓子屋・定食屋
ネットカフェ・漫画喫茶     VS   純喫茶
ミネラルウオーター・サプリメントVS   喫煙老
ファミコンー          VS   パチンコ屋
地震・気温           VS   地価
国際結婚(2倍)          VS   出生率(0,85)

めまぐるしい社会変化と進化を重ね続けた日本の20年。この市場対比から、2009年ジュエリー需要の位置関係が見えてくるようです。
われわれ宝飾業界においては一体何が「増え」何が「減った」のか。嗜好品の極致に位置する宝飾品は、消費者の一般的な認識である“私財”から、“消費財”へと意識Changeへ導き、更に「夢と実」の同時ダブルスタンdダ一ドによる市場の再構築は、今年の急務と
なるでしょうか。
ジュエリー スペシャリスト  三島 由加理(y.mishima@mishima-associates.jp)

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