ジュエリーとファッションによる特別対談
 
 
 

「独自の世界に閉じ込まらずファッションとの接点を多く持った人に育ってほしい」

 石川 アパレルと比べるとジュエリーのスパンは長いじゃないですか。ですから豊かな暮らしを提案するという点では、売る側の責任がより大きいですよね。またジュエリーをデザインする側から言わせてもらうと、この洋服のここにジュエリーを着けたらという発想を洋服の世界の人に持ってもらえたらとも思いますね。

 
二宮 そうですね、私たち教育の現場の者としても、なぜこれが重要なのかということをしっかり教えていくことが求められていると思います。

 
石川 あと専門家だけが教えるとどうしても考えが傾いてしまいがちですよね。ジュエリーは生活しながら使うもの、生活の中で美しくあるべきものですから、もっと幅広い考えがあっていいと思います。グッドデザイン賞などはそういう考えからきているものですし、みんなが普段使うものがもっと美しくてもいいじゃないでしょうか。

 
二宮 今何のために学んでいるのかということですよね。目的や意味をきちんと持っていないと、いくら技術だけがあっても中途半端に終わってしまうのではないでしょうか。

 
石川 若い人たちの生き生きとした熱気を生かせる環境が必要です。ジュエリーの世界にもファッションと多くの接点を持った人に育ってほしいですね。ファッションの世界から得られるものをジュエリーの分野にどんどん生かしてもらいたいと思います。ジュエリー独自の、ジュエリーだけの世界に閉じこまらないで。

 二宮 個々のものを知っているだけではなくて、いろいろなことをトータルに知っていてひとつの専門分野を持つ、そういったことが必要とされているのではないでしょうか。

 
石川 日本人というのは昔から美意識は高かったと思いますしね。

 
二宮 そうですよね。でもそれをトータルに表現するというのがなぜか下手みたいで。若い女性がルイ・ヴィトンのバッグを持っていても印象に残るのはそのバッグだけで、本人のことは覚えていないとか。変ですよね。

 
石川 今は情報過多で何を選んでいいのかわからない時代ですが、若い時に物を作ったり選んだりする楽しさを覚えてほしいですよね。いろいろなことを見て聞いて、決め込まないでもらいたい。若い人というのは案外と頭が固かったりします。いつもいつも知ることは多くて、まだまだ知らないことが多いです。いろいろな世界がもっとあります。

 
二宮 場作りとしてだけのジュエリーやファッションではなく、より多くの人にこの分野に興味を持ってもらいたいですね。それが結果として日本のものづくりを育てる突破口になるわけですから。
 

 


| BACK |