10年以上にわたり、トルコ・イスタンブールに魅せられ、イスタンブールから発信するデザインの新作ジュエリーを発表している。2003年の“日本におけるトルコ年”には大使館後援のもと、記念作はもとより、トルコのジュエリー企業とのタイアップで初のトルコメイクのジュエリーを発表した。
彫金講師、企業デザイナーを経てコレクションを国内外に展開し、1993年にはデビアス主催のダイヤモンドデザインコンテストでグランプリを受賞。
その他受賞歴多数。ビエンナーレなど海外のジュエリーショーやアート展にも数多く出品し、高い評価を得ている。
(社)日本ジュウリーデザイナー協会会員
(社)日本ジュエリー協会会員
 
(株)ヒコジュエリーデザインアート
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プレジール原宿
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■ 松井 久子
  (株)ヒコジュエリーデザインアート


海外へのチャレンジはとても楽しみ
デザイナー活動“第2章”の始まり
“For you”をテーマに新たな展開も

 松井さんがデザインするすべてのジュエリーは、東西文化の融合する地・イスタンブールに身を置きながら得るインスピレーションから生まれている。さまざまな文化遺産、宝物殿類、遺跡などが残され、またシルクロードの拠点でもあるイスタンブール。

 「その中で風の匂いを感じ、遠くから聞こえてくるコーランの声に耳を澄ましていると、とても心地よい気分になれるんです。五感が刺激されてまるで万華鏡の中にいるような・・・。すっかり虜ですね」
 そうしたデザイン活動はもう10年以上に及び、訪れるたびに新しい発見があるという。2003年の「日本におけるトルコ年」では、記念イベントとして特別コレクションの発表も行った。世界的に有名な歴史的建造物であるアヤソフィア、ブルーモスク、トプカプ宮殿などをモチーフにした大作3部作は、それまでの松井さんの作品とはひと味違った具象的デザインのジュエリーで話題となった。この年の活動が評価され、トルコ政府からの表彰も受けている。
 「私の作品を通じて少しでもトルコの魅力をPRでき、日本とトルコの架け橋になれれば」との思いで取り組んだ一連のイベントは、文化的な役割も担ったものであり、「日本人の感性によるイスタンブールを感じて欲しい」と、その後もイスタンブールをテーマとした作品づくりは続いている。


「アナドゥル」
チューリップをモチーフに細密画を
使用した、トルコ職人との
コラボレ−ト作品
 昨年12月に東京港区のカナダ大使館内のシティ・クラブ東京メイプルルームで開催された個展では、「三都物語inイスタンブール」〜エーゲ海の煌めき〜と題して、日本の美しさを追求したシリーズとトルコの宝飾職人とのコラボレートにより生まれたニューコレクションを発表した。
 バージョンアップを図った「アナドゥル」はトルコ古来から伝わる細密画・ミニチュアを採用したエキゾチックな独創的なもので、1点1点手描きによる細密画をジュエリーと一体化させている。
 また「黒シリーズ」は日本のワビ・サビをブラックゴールドで表現しており、気品漂う仕上がりの作品となっている。
 どれもイスタンブールをテーマにしてきた松井さんの新境地を切り開くもので、トルコ年の経験を踏まえ、ワンステップアップした作品づくりに注目が集まっていた。
 イスタンブールをテーマにした作品づくりを展開する一方で、松井さんの胸の中には「新たな旅立ち」を期する構想も芽生えてきている。それは“For you”をコンセプトにしたスタイリッシュでキュートなジュエリー、老若男女を問わない大切な人への思いを込めた松井さんからの提案だ。
 “For you”銀河の舞、“For you”花(ブーケ)などのシリーズを今後発表していく。
 「恋人同志、お母さんと娘、夫婦、友達同志で・・・。さまざまな人と人との関係、それを絆のように結び付けるジュエリー。For you、あなたに、という気持ちが伝わるジュエリー。そんな素敵な作品を私なりの個性を加えて提案したい」 
 昨年9月には香港、そして今年3月にはイスタンブールで開催されたジュエリーフェアに出展、海外からもさまざまな展開の話が持ち上がってきており、実現へ向け動き出している。     
 新たなチャレンジに向けた話をする松井さんは楽しげでもある。イスタンブールをテーマにした作品と両立させながらの今後の活動は、デザイナーとしての“第2章”とも言えそうだ。
 「そうですね、第2章の始まりです」
 今年後半にはショップ展開も予定されており、ますます活躍の場、そして夢は広がっていく。