| 世界一のジュエリー集積産地「宝石の町甲府」目指す
「第27回神戸国際宝飾協同組合山梨県ジュエリー協会総会」で柳本新理事長が誕生
5月18日〜20日の3日 間、神戸国際展示場にて「第27回神戸国際宝飾協同組合山梨県ジュエリー協会(旧:山宝協)は、5月25日に総会を開き、海外への輸出増を受け、組合の名称を「協同組合山梨県ジュエリー協会」に変更。また、役員改選がおこなわれ、27代目となる新理事長に柳本力氏(潟Nリエイトタカノ:社長)が就任した。 柳本理事長は「まず、前理事長の松本様には2期4年間、業界を取り巻く環境が非常に厳しい中、水宝協並びに組合員と宝飾業界の発展のために、様々な改革、改善に努められてこられました。私も4年間、松本体制のもと、副理事長と言う立場で松本理事長の背中を見ながら、共に汗を流して参りましたが、松本様の、ご人格とバイタリティ、それと組合活動に対する情熱は、目を見張るものが御座いました。今後も新執行部の顧問理事に残って頂き、お力添えを頂けると言うことで大変力強く、感謝しているところでございます」と述べてから、「組合創立70周年、4組合の統合10周年と記念すべき年に、理事長と言う大役を仰せつかり、私のような 零細企業の社長に、この大役が果たせられるのか、不安と緊張で、改めて身が引き締まる思いが致します。本日より協同組合「山梨県ジュエリー協会」の名称で、新執行部のスタートとなりますが、皆様のお力添えを頂きながら、業界の発展、組合の発展、組合員の皆様の発展のため、全力で努めてまいる所存でございます」との意気込みを語り、引き続いての支援と協力を願った。 続けて、「宝飾業界にとって2020年から3年間は、今まで遭遇したことのない試練の年でした。新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言発令による、休業やイベントの中止。インバウンドで盛り上がりを見せた小売市場も渡航禁止により閉ざされ、順調に拡大していた海外の展示会出展や海外市場も閉ざされました。宝飾品小売市場規模も 1991年度のピーク時3兆150億円から、コロナ禍の2020年度は統計史上最低の8195 億円と1/4近くまで縮小致しました 。更には 、2022年2月からは、ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受け、原材料の入手困難、価格の高騰などに見まわれ、又、アメリカと日本の金利差による、 円安による物価の高騰で消費者の節約モードは、更に進んでまいりました。そして、昨今ではアメリカの大手銀行シリコンバレーバンクの破綻後、世界的に資産を「金」に移す動きがみられ、円安と重なり、今月の5 月10日、「金」の税込み価格は、過去最高の9,794円と、25年前の11倍まで跳ね上がり、現在も高値を推移している為、貴金属を使用した宝飾品の急激なコスト上昇から、価格添加が難しい物もあり、利益率の低下が生じて来ております」 と近況を述べ、「この様に宝飾業界には、次から次へと強い向かい風が吹き続いておりましたが、新型コロナ感染症対策も大きく緩和され、ウィズコロナの時代となり、インバウンドも戻り始め、国内外のイベントもコロナ以前に戻り、3月の香港ジュエリーショーも、コロナ禍以前の様に、盛り上がりを見せました。又、4月に甲府のアイメッセで開催した国際展「山梨ジュエリーフェア」では、県内外及び海外から143社が出展、国内外から5590名の来場が有り、大成功をおさめました。宝飾業界の業況は大きく好転の気配を感じております。このチャンスを逃さぬよう、更なる組合、組合員の発展に繋げて行こうと考えております」と語った。 また、「皆様もご存じの通り、甲府市周辺は水晶研磨を起源に世界でも有数のジュエリー産業の集積地と言われておりますが、残念ながら海外はもとより、国内でも認知度は極めて低いと言わざるを得ません。又、作り手である熟練職人も減少傾向に有り、技術力の伝承にも課題を残しております。当組合は、ここ数年、「財政基盤の健全化」「組合員メリットの追求」等、当組合の魅力度アップを図ってまいりました。その結果、山梨で長年創業しているインド人のオーナー企業19社の加入も御座いました。期末時点の組合員数は178社となっており ます。県内には、宝飾品に携わる個人、法人は千社を超えると言われておりますが、組合加入社数は2割弱に留まっているのが状況です。そうした中、今回4組合 の統合10周年を機に、昨年9月に、業界の今後を担っていく若手を中心としたメンバーを各部会より選出して頂き、10年先を見据えたビジョン策定にあたり組合員13名、オブザーバー5名、総勢18名の「ビジョン策定プロジェクトチーム」 を設置いたしました。メンバーによる、組合活動の課題や問題点について議論を重ね、組合員内外のアンケート調査の実施により、現状における課題等を抽出し、その上で、課題解決に向け、今までの組合活動を継承し、将来に渡り持続可能な、強い組織運営を目的とし、中長期的な運営方針である、ビジョンの策定に至りました」と説明、ビジョンは、「世界一のジュエリーの集積産地「宝石のまち甲府」の確立です」とした。 続けて「甲府市を中心とした山梨県は、ジュエリーに関わる様々な企業が集積する、世界的に見ても有数なジュエ リー集積地です。当組合では世界を代表するジュエリー産業の中心的な組織として、組合員が豊かで活力に満ち溢れた、世界一のジュエリー集積地「宝石のまち甲府」の実現に向け取り組んでまいります。又、観光や果実、など様々な地域資源を有している事に加え、リニア、中部横断自動車道など、高速交通網の整備も予定され、国内外からの観光客やバイヤーの来県など、今後においては、飛躍的発展が期待できます」と補足した。 そして「今期の新執行部体制では、このビジョン実現に向けての第一歩である、3つの重点活動を行ってまいります。1つ目は「発信力の強化」です。国際展に移行した「山梨ジュエリーフェア」の更なる拡大により、国内外の出展社、バイヤーに山梨の魅力をアピールしてまいります。「山梨ジュエリー フェア」は、コロナ禍以前に開催された甲府ジュエリーフェアの2倍以上の集客になりました。又、同業団体ジェムマーケットとの連携により、5日間で11,000 人を超える、国内外からの集客が実現しました。これらの成果は、「宝石のまち甲府」の知名度アップにつながると共に宿泊、飲食、観光など山梨県又は甲府市における経済効果は非常に大きいと考えられます。それに、「秋のジュエリーウィークの拡大」では、昨年は11月11 日のジュエリーディを挟んだ1週間、甲府市内において、ジュエリーツーリズム、宝飾品に関わる様々なイベントを開催し、県外からも大勢の消費者が来県されました。消費者に向けても「宝石のまち甲府」をアピールしてまいります。さらに、新たに「国際委員会」を設置し、商工会議所の水晶宝飾部会と連携し「チーム山梨」で、新たな海外市場の開拓に着手してまいります。これらにより「宝石のまち甲府」「メイドイン甲府」を全世界に発信し、知名度を高めてまいります。2つ目は「人材の育成」です。 県立山梨県宝石美術専門学校との連携を強化し、作り手の育成と、起業家支援に繋がる施策の検討を実行し、魅力ある宝飾業界作りに貢献してまいります。これらにより、デザイン職、研磨職、美術彫刻職、貴金属加工職、営業職など、県内の宝飾産業従事者の人員の減少から、増加に転じてまいります。 3つ目は「組織力の強化」です。ローコ ストオペレーションを継続し、更なる財務基盤の健全化を進めると共に、組合員のメリットにつながる施策を検討実行し組合の魅力度アップを図ってまいります。 又、ミュージアムショップの収益化の実現、経費の削減、各種助成金の活用により、収益を様々な事業に活用できる資金体制の構築が可能になります。尚、現在、 組合会館内において、理事会、部会、地区会議等の充実、活性化を図る為リモート会議の環境の整備を行っており、今後は多くの組合員の意見、要望等の吸い上げ、情報の共有を図り、組織力の強化につなげてまいります」と述べた。 以上「発信力の強化」「人材育成」「組織力の強化」を重点課題に掲げ、 世界一の集積産地「宝石のまち甲府」の確立、知名度の向上を目指す。また、ジュエリーの集積産地である山梨の強みを最大限に活かし、組合員個々の業態や技術力を維持発展させ、次世代へ継承が可能な、強靭な組合体制の構築を目指していく。 最後に「これらの課題取り組みにあ たり、組合員のみならず、山梨県、甲府市、甲府商工会議所、金融機関との連携なくして実現は出来ません。今後とも今までに増してのご支援、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い致します」と話し、理事長就任のあいさつとビジョン策定の報告とした。 https://yja.or.jp/ |
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