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ナデシコ咲く古城とコウの鳥群れる山里

 

 

ナデシコという花は乾燥した荒地を好む花

ベルギー南部にあるアルデンヌ高原のブイヨン(Bouillon)城壁に咲くナデシコです。アルデンヌはベルギーの南半分の広大な高原で、ブイヨンは高原の南端のフランスとの国境にある小さな街です。「ナデシコ」は、フランス語で「ウイエ・ド・ジュルサレム=エルサレムなでしこ」です。十字軍の兵士の服に付着してエルサレムから運ばれてきた種が開花した花だから「ここの城壁にしか咲かない」という伝説の花なのです。実は、この城の城主だった人がイスラム教徒からヨーロッパのキリスト教徒の聖地エルサレムを奪回するため、あの十字軍の第一次遠征隊の総大将として、エルサレム奪回に成功して英雄になった後、現地に滞在中に客死しています。新兵器の武力で優っていたヨーロッパ側からは、エルサレム王を宣言されていたのですが、現地事情に精通した彼は、それを固辞してキリストの墓である=聖墳墓の守護者の称号に甘んじて、かの地に滞在中に客死したのです。まるで、いまのイラク戦争みたいな事情が、あの時代にもあったのでしょうね?ナデシコという花は乾燥した荒地を好む花で、古城の城壁はナデシコの生態環境として適しているので咲いているのでしょう。アルデンヌ高原は緑濃い森と草原の緑地ですから、広いアルデンヌの中でもここでしか咲かないのでしょう。

外見は楚々として平凡で美しい花です。

こんなに厳しい古城の岩壁のすき間に、こんなふうにしてナデシコは花を咲かせています。
ほかの花には厳しすぎる環境を好んで咲く花なのです。動物や人間のなかにも、ほかの仲間が住めない荒野を求めて生きている連中がいますが、野の花のなかにも荒野の好きな花があるのです。普通なら雑踏の中や群れの中が安全で安心なのですが、そこには腐敗や堕落、汚染があり、過当競争もありますから生命力の強い自然派の生き物には、そこがかならずしも安全で快適であるとは言えないのでしょう。ナデシコは、ほかの植物がまだ生育できない荒地が緑地に進化しつつある時、真っ先に荒地に飛びこんで行って、その荒地を独占してそこを自分の国にしてしまう花です。砂漠に住む花ではありません。体内に秘めたる志と強い生命力を持っているだけで、外見は楚々として平凡で美しい花です。私もやまとナデシコに特別な思いを持つ日本男子です。荒地のおおい山のなかでの行動を好むオトコですから「ナデシコの花は大好きです」。ナデシコの花はピンクの花なのですが、日本では白い花と表現されているケースがあります。ピンクの花でも草社会のなかでは個体数の少ない花で、受粉の機会の少ない花ですから大群のなかで咲くサクラのようには、すぐに散らないで個々の花々の受粉の機会を確実に確保するために開花期の長い花です。長く咲いているうちに、だんだん花々のなかの1部の花が色あせて白くなってしまうのです。

ヨーロッパ水運のカナメのひとつです。

ブイヨン城です。難攻不落の戦争に強そうな城でしょう。ヨーロッパの中央部に位置していて戦国の時代の長い間、激戦地だったアルデンヌ高原の中には、こんな感じの「戦国の城らしい城」が多いです。ベルギー最大の川はムーズ川(Meuse)です。アントワープの近くのロッテルダムで、河口がライン川と重なるように接近した状態で海へ出ます。アルデンヌは渓流の美しさでヨーロッパでは知られていますが、その渓流はムーズの本流や支流です。アルデンヌはフランス国内にもあり、フランス国内のアルデンヌを流れているムーズも実に味のある、何とも美しい川です。ヨーロッパ以外では見られない、不思議でいい感じのするスバラシイ流れが見られます。ムーズ川の上流は、モーゼル川の西側、セーヌ川東側のフランス国内・アルデンヌ高原のなかを流れています。これで川の位置の関係はお分かりでしょうか?ムーズの源流は、モーゼルの源流と重なるように流れています。モーゼルともセーヌ川の支流とも運河で結ばれていて、ヨーロッパ水運のカナメのひとつです

写真の川はムーズの支流の1つであるスモワ川(Semois)です。アントワープ住人時代に、
この川の上流の河畔で私は、「日本人から脱皮して地球人としても生きられるようになりたい」と念願してヨーロッパ社会への入門の課程を修業していた時代がありました。なぜ、あんなことができたのか?いまから思い返しても不思議なんですが、まるで何かに強制されているみたいにアントワープ時代の最初の数年間は、毎週一人で週末をアルデンヌで過ごしていました。インターネットが無かったから出来たことなんでしょうが、あのとき私の手元にパソコンがなくて幸運でした。あの過程が私を変えてくれたと思います。

アルザスで毎年6月に開かれているミネラルのフェア

アルザスで毎年6月に開かれているミネラルのフェアです。今回で42回目の伝統を誇る有名なフェアです。ヨーロッパ各地では、年間を通じて多数のミネラルのフェアが開かれています。そのなかでも「特別にヨーロッパらしい」ミネラルのフェアです。どちらかと言えば、プロフェッショナルな方々に適したフェアなのですが、プロはプロでも学術的なプロの世界ではありません。ファッショナブルな方面のプロ向きのフェアです。1部のお若いデザイナーさんなどには、ベストなフェアなのでしょうが、日本人デザイナーさんでも、文化的に猛烈な拒絶反応を起こされる方々も少なくないでしょう。クラッシックな鉱石学や宝石学の好きな方々には、10月下旬のミュンヘンフェアのほうが適しているでしょう。今年は10月29日〜31日です。会場は2月に開かれる世界最大のジュエリーフェアの「インホルゲンタ」会場と同じ会場ですが、ミネラル会場は「小さい」ですからフェアの会場の出入り口への最寄の地下鉄駅は1つ先の終点駅かもしれません。アルザスのミネラル・フェアの具体的な情報は下記で集めてください。http://www.euromineral.fr

イーダルの知人の店の写真です。

多数の出展者のなかにイーダルの知人がいました。彼の店の写真です。私の場合、私は変わり者の日本人ですから、ヨーロッパ側には遠方からでも私が誰なのか認知できるケースが多いようなのですが、その場合でも私の側からは、相手が誰なのか?さっぱり分からないケースがあります。今回もそのようなケースでした。

野外にテントを張った店が大部分ですが、このように建物のなかの会場もあります。出展者と来場者が家族みたいな親しい関係になっているケースも多いフェアであると聞いていましたが42回目ですからね、そんなケースもあるのでしょうね。アルザスも私にはヨーロッパの故郷です。アルデンヌの森が私にはヨーロッパ文化への入門の小学校で、アルザスの山里が中学校だったのでしょう。そこは、今回のミネラル・フェア会場のあるサンテ・マリエ・オ・ミンヌ(SAINTE-MARIEaux MINES)から近いリクヴィール(Riquewihr)という山里です。アルデンヌにも優るかもしれないほどのヨーロッパ最高の美食の山里です。近くにある大きな街はコルマール(Colmar)です。ベルギーやオランダやイギリスや北欧などの北国に住んでいる多数のヨーロッパ人には「人生の憧れの」「世界でイチバン楽しい田舎」と言っても過言ではない山里です。視線を上げるとその先には、ライン川の対岸にドイツの黒い森があります。スイスのバーゼルのフェア会場も南へ1時間未満の距離です。アジア島国の日本出身の私には、アルデンヌはアントワープ近くの小さなヨーロッパへの入口だったのですが、アルザスは南フランスやアルプスやイタリアなどの広いヨーロッパへの大きな入口の扉を開いてくれました。

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宝石クリエイター 「 乾 碩巳 」 記 「ヨーロッパの新宝石のガイド」 http://www.shapefree.com