今回の写真は「ドナウ川の源泉」です。ドナウ川は、ここから2800キロあまり、東南の方向へ流れ下って黒海へ出ます。ヨーロッパ最大の大河としては、ライン川が有名ですが、拡大したヨーロッパの最大の大河は「ドナウ川」です。ドナウ川とライン川は、ドイツ国内のニュールンベルグ街郊外の運河で連結されていて、ヨーロッパを東西に貫通する水運の大動脈になっています。今回は初夏の新緑の季節の写真です。今年の5月末はヨーロッパも異常な高温になり、やや「涼しげな」写真かなとも思い掲載しました。
源泉の右に大きな石像が立っていますね。その右側、緑の植え込みを背もたれにするように四角い銅版の小さな薄い板が立っていますね。それがこの写真のポイントです。明治の日本文化を代表する巨人で、科学者であり、歌人であった斉藤茂吉のミゴトな日本語で書かれている美しい歌碑なのです。「大き河 ドナウの遠き みなもとを 尋めつつぞ 来て 谷のゆふぐれ 茂吉」。実は去年の秋、これを読んだときには感動して泣き出しそうになりました。前々から話には聞いていたんですが、何もかも忘れて立ちつくしました。
明治の日本を代表する大きな文化人だった茂吉、その大きなオトコの小さな足跡が、こんなヘンピな山地にもあって、思わずひれふしました。ドイツ語のコトワザに「小さな流れが集まって、大河をつくる」という諺があります。この源泉が、その諺の原点です。
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